(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる通話録音システムおよび通話音声移行方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態における通話録音システムを含み、オフィスやコールセンタ等で実現される電話対応システム1000の全体構成図である。
図1に示すように、電話対応システム1000は、架電者である顧客の電話機101と、公衆網102と、電話機101から公衆網102経由の着信をオペレータ端末107に着信させるPBX(Private Branch eXchange)103と、オペレータと架電者の録音済みの通話録音ファイル(音声ファイル)とそのときの録音情報(録音開始時刻、録音終了時刻等の情報)と通話情報(通話開始時刻、通話終了時刻、通話した通話端末番号等)を1つの通話記録として関連付けして通話を管理する通話録音管理装置104と、オペレータと架電者との通話を録音する通話録音装置105と、通話をモニタリングする管理者端末106と、オペレータ端末107とを有している。なお、電話機101、公衆網102、PBX103、オペレータ端末107は、一般的な機器、ネットワーク、装置、端末である。
【0015】
通話録音管理装置104は、PBX103から通話情報を受け取って記憶部に記憶する。また、通話録音管理装置104は、通話録音装置105から通話録音ファイルおよび録音情報ファイルを受け取り、記憶部に記憶するとともに、PBX103から受け取った通話情報にこれらのファイルを対応付けて記憶部に記憶する。
【0016】
通話録音装置105は、PBX103とオペレータ端末107の間に流れるRTP(Real-time Transport Protocol)データをキャプチャすることで通話録音ファイルおよび録音情報ファイルを作成し、通話終了後、通話録音ファイル、録音情報ファイルを通話録音管理装置104に送信する。
【0017】
管理者端末106は、通話録音管理装置104または通話録音装置105に記憶されている通話録音ファイルを再生するとともに、現在通話しているオペレータと架電者の通話音声を通話録音装置105から取得して通話をモニタリングする。これらの各部が行う具体的な処理については、
図2〜4を用いて後述する。
【0018】
図2は、本システムの主要構成である通話録音管理装置104、通話録音装置105、管理者端末106の機能的な構成例およびこれらの関係を示す図である。
図2に示すように、通話録音管理装置104は、通話情報取得部2100と、通話情報2111と録音データ2112とを記憶する記憶部211と、録音データ取得部2120とを有している。
【0019】
通話情報取得部2100は、PBX103から通話開始の旨を受信すると、通話情報2111の記録を開始する。通話情報2111は、PBX103から通話終了の旨を受信するまで記録される。
【0020】
録音データ取得部2120は、PBX103から通話終了の旨を受信すると、通話録音装置105から音声ファイルおよび録音情報ファイルを取得し、これらを対応付けた録音データ2112を記憶部211に記憶する。さらに、録音データ取得部2120は、通話情報2111と録音データ2112とを対応付けて記憶する。
【0021】
通話録音装置105は、音声データ取得部202と、音声録音ファイル生成部203と、記憶部204とを有している。
【0022】
音声データ取得部202は、通話録音データインタフェース201上を流れるPBX103とオペレータ端末107との間のRTPデータをキャプチャする。
【0023】
通話録音ファイル生成部203は、音声データ取得部202が取得したRTPデータから、音声ファイルが記録された通話録音ファイル2041とその音声ファイルについての録音情報が記録された録音情報ファイル2042とを作成する。後述するように、生成した通話録音ファイル2041は、管理者端末106からの要求(再生完了信号)にしたがって、通話録音ファイル再生要求インタフェース205を介して、管理者端末106に送信される。
【0024】
聴話音声出力部2061は、通話音声データインタフェース207上を流れるRTPデータを取得してモニタリング音声を出力する。
【0025】
遅延発生部2062は、聴話音声出力部2061が出力したRTPデータであるモニタリング音声データをある時間だけ遅延させ、管理者端末106に送信する。遅延されたモニタリング音声データは、モニタリング音声インタフェース210を介して、管理者端末106によって聴取される。具体的には後述するが、通話録音ファイルの再生間隔に応じた時間だけモニタリング音声データを遅延させる。
【0026】
なお、本実施例では、聴話音声出力部2061および遅延発生部2062は、通話録音装置105が有していることとしたが、管理者端末106に備えられていてもよい。この場合、遅延させたモニタリング音声データがネットワークの影響(例えば、ネットワークの回線速度による影響)を受けないため、遅延時間のぶれをなくすことができる。
【0027】
管理者端末106は、音声ファイル再生音出力部208と、音声出力切替部209とを有している。
【0028】
音声ファイル再生音出力部208は、通話録音装置105から受け取った通話録音ファイルを再生し、通話録音ファイルの再生が完了すると、再生完了信号を通話録音装置105に送信する。
【0029】
音声出力切替部209は、音声ファイル再生音出力部208から受け取った通話録音ファイルの再生が現在の通話に追いついた時点で、音声の出力を音声ファイル再生音出力部208から出力される通話録音ファイルの音声から、通話録音装置105から受信したモニタリング音声に切り換える。
【0030】
図3は、再生した通話録音ファイルが現時点の通話に追いついてモニタリングに移行するまでの処理シーケンスを示す図である。
【0031】
図3に示すように、まず、PBX103が電話機101から着信を受けると(S301)、PBX103は、その着信信号に含まれる内線番号を読み取り、その内線番号のオペレータ端末107に呼接続し、オペレータ端末107は、その呼に対して応答する(S302)。
【0032】
PBX103は、オペレータ端末107からの応答を受けると、通話録音管理装置104に通話情報を送信し、通話が開始される(S303)。以降、オペレータ端末107と電話機101との間では、呼切断となるまで通話が継続される(C)。
【0033】
通話が開始されると、通話録音装置105の音声データ取得部202は、RTPデータをキャプチャし、通話録音ファイル生成部203は、そのRTPデータから通話録音ファイル2041および録音情報ファイル2042の作成を開始する(S304)。以降、通話終了まで、通話録音装置105の音声データ取得部202は、RTPデータをキャプチャする(R)。
【0034】
その後、管理者端末106が通話録音管理装置104に対してリアルタイム再生を要求する(S305)。この時点では、通話録音管理装置104には通話録音ファイルが記憶されていないため、通話録音管理装置104の録音データ取得部2120は、管理者端末106に対して、通話録音装置105に対して通話録音ファイルを取得するように指示する(S306)。
【0035】
管理者端末106の音声ファイル再生音出力部208は、その指示に従って、通話録音装置105に通話録音ファイルを要求する(S307)。以降、管理者端末106は、通話録音装置105に対して、通話録音ファイルの再生が現在の通話に追いつくまで通話録音ファイルを要求する(P)。
【0036】
通話録音装置105の通話録音ファイル生成部203は、管理者端末106からの要求に従って、それまで作成した通話録音ファイルを管理者端末106に送信する(S308)。通話録音装置105の通話録音ファイル生成部203は、あらかじめ定められたタイミングで、ある時点までの通話を通話録音ファイルとして生成する。
図3では、通話録音ファイルが作成されるタイミングをT0〜T3で表している。
【0037】
管理者端末106の音声ファイル再生音出力部208は、通話録音装置105から受信した通話録音ファイルを再生する。このとき、音声ファイル再生音出力部208は、通常、通話録音ファイルの録音時間よりも速い時間t0で高速再生するため、通話録音ファイルの録音時間よりも再生時間が短くなる。
【0038】
音声ファイル再生音出力部208は、通話録音ファイルの再生が終了すると、S307の場合と同様に、通話録音装置105に通話録音ファイルを要求し(S309、S311)、通話録音装置105から受信した通話録音ファイルを時間t1、t2で再生する(S310、S312)。
【0039】
上述したように、管理者端末106の音声ファイル再生音出力部208は、通話録音ファイルを高速再生しているため、ある時点で再生が録音ファイルの作成に追いついてしまう。
図3の例では、再生時間t2が経過した段階では、次に通話録音ファイルが作成されるタイミングT3よりも速いタイミングT3aで要求されるため、まだ次の通話録音ファイルが作成されていない。
【0040】
しかし、通話録音装置105の通話録音ファイル作成部203は、通話録音ファイルが生成されるタイミングT3より前のタイミングT3aの時点で管理者端末106から通話録音ファイルの要求を受信した場合(S313)、録音ファイルの作成が再生に間に合わないと判断し、その時点Pnまでの通話録音ファイルを生成し、管理者端末106に送信する(S314)。
【0041】
管理者端末106の音声ファイル再生音出力部208は、通話録音装置105から受信したその時点Pnまでの通話録音ファイルを時間t3で再生すると、次の通話録音ファイルを要求する(S315)。このとき、通話録音ファイル105の通話録音ファイル作成部203は、上述したタイミングT3aからその要求を受けたタイミングT4aの間が通話録音ファイルの再生時間t3であると判断するとともに、通話録音ファイルの作成間隔の最短時間であると判断し、その再生時間t3を遅延発生部2062に通知する。そして、通話録音装置105の遅延発生部2062は、聴話音声出力部2061から出力されたモニタリング音声データを、T3a時点から再生時間t3だけ遅らせて管理者端末106に送信する(S316)。
【0042】
一方、通話録音ファイル生成部203は、最短時間であると判断した再生時間t3の間で通話録音ファイル(すなわち、タイミングT3aからT4aの間のPnからPn+KまでのRTPデータ)を作成し、作成した通話録音ファイルを管理者端末106に送信する(S317)。このとき、通話録音装置105の遅延発生部2062は、S316の場合と同様に、聴話音声出力部2061から出力されたモニタリング音声データを、T4a時点から再生時間t3だけ遅らせて管理者端末106に送信する(S318)。
【0043】
その後、管理者端末106の音声ファイル再生音出力部208は、通話録音装置105から受信した通話録音ファイルを時間t4で再生する。この再生時間t4は、再生時間t3の間に作成された通話録音ファイルの再生時間であるため、音声出力切替部209は、T4a以降の音声を出力する場合には、音声出力を、通話録音ファイルからモニタリング音声データに切り替える必要があると判断し、再生時間t4が経過すると、S317で受信した通話録音ファイルからS318で受信したモニタリング音声データに出力を切り替える(S319)。
【0044】
以降、管理者端末106の音声出力切替部209は、電話機101とオペレータ端末107との間の通話が終了するまで(S320〜S322)、モニタリング音声データを出力する。通話が終了すると、その通話についての通話録音ファイルと録音情報ファイルとが通話録音管理装置104の通話情報取得部2100および録音データ取得部2120によってそれぞれ取得され、記憶部211に記憶される。
【0045】
なお、上述した例では、通話録音装置105が管理者端末106から通話音声ファイルの要求を受けた間隔を再生時間および遅延時間としているが、通話録音装置105が管理者端末106に通話音声ファイルを送信した間隔を再生時間および遅延時間としてもよい。
【0046】
また、上述した例では、通話録音ファイルの作成間隔の最短時間を、録音ファイルの作成が再生に間に合わないと判断した時点までに作成された通話録音ファイルの再生時間としたが、録音管理装置105にかかる処理負荷(例えば、通話録音ファイルの作成処理の負荷やその送信処理の負荷)が低い場合には、さらに次のタイミングで作成された通話録音ファイルの再生時間を、通話録音ファイルの作成間隔の最短時間としてもよい。
【0047】
さらに、上述した最短時間を定めるまでに、通話録音ファイルの作成が一定の回数以上繰り返された場合には、通話録音装置105にかかる処理負荷が許容値を超えると判断し、一定の回数を超える直前に作成された通話録音ファイルの再生時間を、上述した最短時間として定めてもよい。
【0048】
図4は、通話録音ファイルの再生からモニタリングに移行する際のタイムシーケンスを示す図である。
図4では、
図3を用いて説明したように、T0時点で管理者端末106から通話録音ファイルの再生を要求した場合、通話録音管理装置104を介して通話録音装置105に再生要求を通知する。通話録音装置105では、追いかけ再生要求時点T0までの通話録音ファイルを作成する。
【0049】
管理者端末106では、通話録音装置内のT0以前データ(1)の通話録音ファイルを再生する。管理者端末106では、T0以前データ(1)の通話録音ファイルの再生終了後、次のT0〜t1(2)の通話録音ファイルを再生する。同様に、T0〜T1(2)の通話録音ファイルの再生終了後は、T1〜T2(3)の通話録音ファイルを再生する。
【0050】
しかし、T1〜T2(3)の通話録音ファイルの再生終了後は、次のT2〜T3(4)の通話録音ファイルが作成されていない。したがって、管理者端末106はT1〜T2(3)の通話録音ファイルの再生終了時点、すなわちT3a時点の通話録音ファイルの作成を通話録音装置105に要求する。
【0051】
通話録音装置105では、管理者端末106からの通話録音ファイルの作成要求を受けると、要求時点(T3a)までの通話録音ファイルを作成する。管理者端末106では、要求時点までのT2〜T3a(4a)の通話録音ファイルを再生する。この動作を繰り返していくと、通話録音ファイルの作成間隔が徐々に短くなり、通話録音装置105の処理負荷が増加する。
【0052】
そこで、T2〜T3a(4a)の通話録音ファイルの再生時間、すなわちT3a〜T4a(5a)までの時間を通話録音ファイル作成間隔の最短時間と定め、T3a〜T4a(5a)の間の通話録音ファイルの再生終了後は、通話録音ファイルの再生が現在の通話に追いついたと判断し、モニタリングに移行する。
【0053】
但し、このままモニタリングに移行すると、取得されるモニタリング音声データはT5a時点からのデータとなってしまう。そのため、本システムでは、モニタリング音声データの出力を、通話録音ファイル作成間隔の最短時間T3a〜T4a(5a)と同じ時間だけ遅延させることにより、通話録音ファイルの再生からモニタリング音声に切り替える際に音声が欠落することなくスムーズに移行することが可能となる。
【0054】
すなわち、本システムでは、まず、再生要求があった時点で、それまで蓄積した音声データを、再生可能なファイル形式(音声ファイルである通話録音ファイル)に変換して通話録音管理装置104に録音ファイルの存在を登録し、再生エンジンによる再生を起動する。これにより、録音中の音声の再生が開始されるが、通話録音ファイルを高速再生すると現時点の通話に追いついてくるので、通話録音ファイルに変換する間隔を徐々に短くする必要がある。
【0055】
しかし、通話録音ファイルの作成間隔が、極端に短くなると再生時間より準備のための処理のオーバヘッドが大きくなり、処理負担が極端に増大する。したがって、その作成間隔の最短時間を定め、その間隔に達するまでは、再生処理を続ける。次にその間隔が最短時間に達し、通話録音ファイルの再生が現時点の通話に追いついた時点で、モニタリングに移行する。この時、モニタリング音声出力を、上記の音声ファイル作成間隔の最短時間と同じ時間遅延させることにより、通話録音ファイルによる再生音声からモニタリング音声に出力を切り替えた時に音声の欠落のないスムーズな移行を実現することができる。