(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外科用ケーブルスリーブは、前記スリーブ本体部の底部から前記ケーブル挿通孔の軸線と直交する方向に突出する軸状導入部を有することを特徴とする請求項1に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記スリーブ保持器具は、前記スリーブ装着部よりも基端側において、少なくとも軸線周りの回転駆動力を伝達可能に構成された軸状接続部、或いは、回転駆動軸をさらに備え、
前記スリーブ規制嵌合部により前記スリーブ本体部の姿勢が規制された状態で前記軸状導入部と前記軸状接続部が同軸に構成されることを特徴とする請求項2に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記スリーブ規制嵌合部は、前記スリーブ本体部を開口端から挿入可能でかつ内部に収容可能に構成される収容開口部と、前記収容開口部の内部に構成され前記スリーブ本体部に嵌合して前記スリーブ本体部の姿勢を規制する規制嵌合面とを有し、
前記スリーブ保持部は、前記規制嵌合面に嵌合して姿勢が規制された前記スリーブ本体部に対して先端側から係合し、前記収容開口部の内面から規制力を受けることにより前記スリーブ本体部を前記規制嵌合面に嵌合して姿勢が規制された状態に保持固定することを特徴とする請求項2又は3に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記スリーブ本体部は、骨の表面に載置若しくは対向して配置される底面、前記底面の反対側に設けられる上面、及び、前記底面と前記上面の間に配置される外側面を有し、
前記外側面は、前記上面の側に斜めに向くように傾斜する傾斜外面部を備え、
前記規制嵌合面は、前記傾斜外面部とは逆側に傾斜するとともに前記傾斜外面部と整合する傾斜角度を備えた傾斜内面部を備え、
前記傾斜外面部が前記傾斜内面部に当接した状態で前記スリーブ本体部の姿勢が規制されることを特徴とする請求項4に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記規制嵌合面には、前記スリーブ本体部の奥側に配置され、前記上面に当接する奥側内面部が含まれることを特徴とする請求項5に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記外側面には、それぞれが前記傾斜外面部であって、前記底面に沿った第1の方位に向かう第1の傾斜外面部と、前記第1の方位と交差する前記底面に沿った第2の方位に向かう第2の傾斜外面部とが設けられ、
前記スリーブ規制嵌合部には、それぞれが前記傾斜内面部であって、前記第1の方位に対面し、前記第1の傾斜外面部に当接する第1の傾斜内面部と、前記第2の方位に対面し、前記第2の傾斜外面部に当接する第2の傾斜内面部とが設けられることを特徴とする請求項5又は6に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記第1の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第1の傾斜外面部と、前記第2の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第2の傾斜外面部とを有し、
前記第1の方位に沿って相互に対向する位置に設けられた一対の前記第1の傾斜内面部と、前記第2の方位に沿って相互に対向する位置に設けられた一対の前記第2の傾斜内面部とを有することを特徴とする請求項7に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記第1の傾斜外面部及び前記前記第2の傾斜外面部のうちの少なくとも一つの傾斜外面部と、当該少なくとも一つの傾斜外面部に当接する、前記第1の傾斜内面部及び前記第2の傾斜内面部のうちの少なくとも一つの傾斜内面部とが、相互に対応する平坦面に構成されることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記スリーブ保持器具は、前記収容開口部において前記開口端の側に開放されるとともに、前記スリーブ本体部の姿勢が規制された状態で前記ケーブル挿通孔の両側の開口にそれぞれ外側から臨み、前記外科用ケーブルを挿通可能な一対の切り欠き部を有することを特徴とする請求項4乃至10のいずれか一項に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記外科用ケーブルスリーブは、前記スリーブ本体部の底部から前記ケーブル挿通孔の軸線と直交する方向に突出する軸状導入部を有することを特徴とする請求項12に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記スリーブ保持器具は、前記外側筒体から突出する基端部において、少なくとも軸線周りの回転駆動力を伝達可能に構成された軸状接続部、或いは、回転駆動軸をさらに備え、
前記規制嵌合面により前記スリーブ本体部の姿勢が規制された状態で前記軸状導入部と前記軸状接続部若しくは回転駆動軸が同軸に構成されることを特徴とする請求項13に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記規制嵌合面は、前記外側筒体において前記スリーブ本体部の外側面と対向する位置に形成された収容内面部と、前記内側軸体において前記スリーブ本体部の上面と対向する位置に形成された奥側内面部とを有することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
前記第1の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第1の傾斜外面部と、前記第2の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第2の傾斜外面部とを有することを特徴とする請求項17に記載の外科用ケーブルスリーブシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の外科用ケーブルスリーブの軸状把持部の根元には、スリーブ本体部を骨上に設置した後に軸状把持部を折り取りにより除去するためのノッチ(切り込み)が形成されるので、この根元部分の強度が低下する。このため、上記軸状導入部を骨内に導入する際に誤って上記ノッチ部分が折れてしまったり、曲がってしまったりする虞がある。ノッチ部分が折れるとその後の骨内への導入作業が困難になることは勿論であるが、ノッチ部分が曲がるだけでも、軸状把持部と軸状導入部の間の同軸性が失われるので、軸状導入部を電動工具等により回転させながら骨内に導入することは難しくなる。また、上記外科用ケーブルスリーブは生体適合性の観点でチタン合金やステンレス鋼などで形成されるので、上記軸状導入部の骨内導入後に軸状把持部をスリーブ本体部から切り離す際に上記ノッチ部分の折り取りが困難になり、何回か繰り返し折り曲げ作業を行う必要があるため、手術時の作業性を悪化させる原因となっている。さらに、上記軸状把持部を除去した後にスリーブ本体部の上面には折り取り時に生じたノッチ部分の切断端部が残る場合があり、この切断端部は患者に負担を与える虞があるため、当該切断端部をスリーブ本体部の上面から取り除く作業がさらに必要になる場合も考えられる。
【0006】
一方、従来から、上記の軸状導入部を有しない外科用ケーブルスリーブも一般的に使用されている。この種の外科用ケーブルスリーブでは、上述の軸状導入部を骨内に刺入する際の問題は生じない代わりに、骨に対する位置決めが難しくなることにより、限定された切開部位内において、外科用ケーブルが挿通された状態で、骨上の位置及び姿勢を細かく調整する必要があるため、手術時の取り扱いが困難になるという問題がある。特に、上記のプレートとは併用されないタイプの小さなスリーブであるほど、取り扱いの困難性は増大する。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、外科用ケーブルを用いる手術時において外科用ケーブルスリーブを安全かつ確実にしかも容易に設置することができる外科用ケーブルスリーブ及びスリーブ保持器具の構造を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる実情に鑑み、本発明に係る外科用ケーブルスリーブシステムは、外科用ケーブルを挿通するケーブル挿通孔を備えたスリーブ本体部を有する外科用ケーブルスリーブと、前記外科用ケーブルスリーブの前記スリーブ本体部に対して着脱可能に連結されるスリーブ装着部を先端部に備えるとともに、前記先端部から前記ケーブル挿通孔の軸線と直交する方向に伸びて前記スリーブ装着部の反対側に基端部を備えるスリーブ保持器具と、を具備する。より具体的には、外科用ケーブルスリーブは、骨の表面に載置若しくは対向して配置される底面、前記底面の反対側に設けられる上面、前記底面と前記上面の間に配置される外側面、及び、前記外側面の少なくとも一部に開口する外科用ケーブルを挿通させるためのケーブル挿通孔を備えたスリーブ本体部を有することが好ましい。また、前記スリーブ装着部は、前記スリーブ本体部の姿勢が規制された状態となるように前記スリーブ本体部を着脱可能に保持固定する。このスリーブ装着部は、前記スリーブ本体部に嵌合してその姿勢を規制するスリーブ規制嵌合部と、前記スリーブ本体部を前記スリーブ規制嵌合部に嵌合した状態に保持するスリーブ保持部とを有する。
【0009】
本発明によれば、外科用ケーブルスリーブのスリーブ本体部をスリーブ保持器具の先端部に設けられたスリーブ装着部に着脱可能に保持固定でき、この保持固定時には、スリーブ規制嵌合部によりスリーブ保持器具に対してスリーブ本体部の姿勢が規制された状態がスリーブ保持部により維持される。これにより、外科用ケーブルスリーブ自体に従来の軸状把持部を設ける必要がなくなるとともに、スリーブ保持器具に対して外科用ケーブルスリーブの姿勢が規制されるため、手術時においてスリーブ保持器具を用いて容易に外科用ケーブルスリーブを操作することが可能になる。ここで、前記スリーブ保持部は、外力を受けない状態で自律的に上記規制された状態を保持できるように構成されることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記外科用ケーブルスリーブは、骨内に導入される部分として、前記スリーブ本体部の底部から前記ケーブル挿通孔の軸線と直交する方向に突出する軸状導入部を有することが好ましい。この場合において、前記スリーブ保持器具は、前記スリーブ装着部よりも基端側において、少なくとも軸線周りの回転駆動力を伝達可能に構成された軸状接続部、或いは、回転駆動軸をさらに備え、前記スリーブ規制嵌合部により前記スリーブ本体部の姿勢が規制された状態で前記軸状導入部と前記軸状接続部若しくは前記回転駆動軸とが同軸に構成されることがさらに好ましい。これによれば、外科用ケーブルスリーブの軸状導入部と、スリーブ保持器具の軸状接続部若しくは回転駆動軸とが同軸に構成されることにより、軸状接続部を手動式や自動式の回転駆動工具に接続したときに、或いは、スリーブ保持器具に回転駆動工具の回転駆動軸が一体に設けられたときに、スリーブ保持器具を介して軸状導入部を同軸に回転操作することができるため、従来の軸状把持部の折損や曲がりなどに起因する問題がなくなり、軸状導入部を安全かつ確実に骨内に導入することができる。上記の少なくとも軸線周りの回転駆動力を伝達可能に構成された軸状接続部とは、例えば、角形断面や少なくとも一部の角度範囲に平坦縁を備える断面などといった非円形断面形状を少なくとも一部の軸線領域に有することにより、外部より回転駆動力を伝達可能に構成された部分を言う。
【0011】
本発明において、前記スリーブ規制嵌合部は、前記スリーブ本体部を開口端から挿入可能でかつ内部に収容可能に構成される収容開口部と、前記収容開口部の内部に構成され前記スリーブ本体部に嵌合して前記スリーブ本体部の姿勢を規制する規制嵌合面とを有し、前記スリーブ保持部は、前記スリーブ本体部に対して先端側から係合し、前記収容開口部の内面から規制力を受けることにより前記スリーブ本体部を前記規制嵌合面に嵌合して姿勢が規制された状態に保持固定することが好ましい。これによれば、スリーブ本体部を収容開口部に挿入して規制嵌合面に当接させることでスリーブ本体部の姿勢が規制された状態となり、この姿勢の規制状態は、スリーブ本体部に対して先端側から係合するスリーブ保持部が収容開口部の内面から規制力を受けることにより維持され、保持固定される。したがって、収容開口部の内部に収容された状態で、スリーブ本体部の姿勢が規制されるとともにスリーブ本体部を保持固定できるため、スリーブ本体部の姿勢を充分な剛性で保持固定しつつ、スリーブ装着部の構造を簡易に構成することが可能になる。本構成は、軸状導入部を有しない外科用ケーブルスリーブにも適用可能であるが、特に、外科用ケーブルスリーブが軸状導入部を有する場合に、軸状導入部の軸ぶれや軸の倒れを防止する上でより効果的である。
【0012】
本発明において、前記外側面は、前記上面の側に斜めに向くように傾斜する傾斜外面部を備え、前記スリーブ規制嵌合部は、前記傾斜外面部とは逆側に傾斜するとともに前記傾斜外面部と整合する傾斜角度を備えた傾斜内面部を備え、前記傾斜外面部が前記傾斜内面部に当接した状態で前記スリーブ本体部の姿勢が規制されることが好ましい。これによれば、スリーブ保持器具の収容開口部内において、外側面に設けられる上面の側に向けて傾斜する傾斜外面部が、スリーブ規制嵌合部に設けられ傾斜外面部とは逆側に整合した傾斜角度で傾斜した傾斜内面部に当接することにより、スリーブ本体部の収容位置及び収容姿勢がそれぞれ傾斜内面部に対する嵌合位置により直接に規定されることになるため、収容開口部内におけるスリーブ本体部の位置及び姿勢の再現性を高めることができ、スリーブ本体部とスリーブ保持器具との間のガタや軸ぶれを低減することが可能になる。
【0013】
本発明において、前記外側面には、それぞれが前記傾斜外面部であって、前記底面に沿った第1の方位に向かう第1の傾斜外面部と、前記第1の方位と交差する前記底面に沿った第2の方位に向かう第2の傾斜外面部とが設けられ、前記規制嵌合面には、それぞれが前記傾斜内面部であって、前記第1の方位に対面し、前記第1の傾斜外面部に当接する第1の傾斜内面部と、前記第2の方位に対面し、前記第2の傾斜外面部に当接する第2の傾斜内面部とが設けられることが好ましい。これによれば、相互に交差した第1の方位と第2の方位に沿って配置される第1の傾斜外面部と第2の傾斜外面部がそれぞれ対応する第1の傾斜内面部と第2の傾斜内面部に当接することで、相互に交差する異なる方位において傾斜外面部と傾斜内面部が当接して全方位的に嵌合することとなるため、スリーブ本体部とスリーブ保持器具との間のガタや軸ぶれを低減することが可能になり、スリーブ本体部の上記軸線に対する姿勢をさらに高精度に規制することができる。ここで、前記第1の方位に沿って相互に背反する前記軸線の両側の位置にそれぞれ設けられた一対の前記第1の傾斜外面部と、前記第2の方位に沿って相互に背反する前記軸線の両側の位置にそれぞれ設けられた一対の前記第2の傾斜外面部とを有し、前記第1の方位に沿って相互に対向する前記軸線の両側の位置にそれぞれ設けられた一対の前記第1の傾斜内面部と、前記第2の方位に沿って相互に対向する前記軸線の両側の位置にそれぞれ設けられた一対の前記第2の傾斜内面部とを有することが好ましい。
【0014】
本発明において、前記規制嵌合面には、前記スリーブ本体部の奥側に配置され、前記上面に当接する奥側内面部が含まれることが好ましい。これによれば、スリーブ本体部の上面が奥側内面部に当接することにより、スリーブ本体部の姿勢をさらに高精度かつ強固に規制することができる。この場合に、前記スリーブ本体部の前記上面及び前記奥側内面部は、それぞれ平坦に構成されることが望ましい。これによれば、平坦な上面が平坦な奥側内面部に当接することにより、ケーブル本体部をさらに安定した状態でスリーブ保持器具に保持固定することができる。
【0015】
本発明において、前記スリーブ保持器具は、前記収容開口部において前記開口端の側に開放されるとともに、前記スリーブ本体部の姿勢が規制された状態で前記ケーブル挿通孔の両側の開口にそれぞれ外側から臨み、前記外科用ケーブルが挿通可能な一対の切り欠き部を有することが好ましい。これによれば、前記一対の切り欠き部は、前記スリーブ本体部の姿勢が規制された状態で外部から前記外科ケーブルを前記ケーブル挿通孔に挿通すること、並びに、前記ケーブル挿通孔に挿通された前記外科ケーブルを前記スリーブ本体部とともに取り外すことを許容する。したがって、スリーブ保持器具の収容開口部内においてスリーブ本体部の姿勢が上述のように規制された状態であっても、外科用ケーブルを一対の切り欠き部を通してスリーブ本体部のケーブル挿通孔に挿通させることができるとともに、これらの切り欠き部が収容開口部の開口端側に開放されていることにより、スリーブ本体部と、これに挿通させた外科用ケーブルからスリーブ保持器具を取り外すこともできるため、スリーブ本体部をスリーブ保持器具に保持固定したままで、スリーブ本体部に対する外科用ケーブルの挿通作業を行うことが可能になる。特に、上記切り欠き部(後述する実施形態の切り欠き状の開口孔に相当する。)を設ける構成は、スリーブ規制嵌合部を構成する収容開口部及びその内部の規制嵌合面によるスリーブ本体部の姿勢規制機能や、スリーブ規制嵌合部により姿勢が規制されたスリーブ本体部を保持固定するための収容開口部の内面によるスリーブ保持部に対する規制機能に与える制約を抑制しつつ、外科用ケーブルの挿通経路に干渉しない構造を確保する上で効果的である。
【0016】
ここで、上記各発明におけるより具体的な構成としては、前記一対の第1の傾斜外面部に前記ケーブル挿通孔がそれぞれ開口することが望ましい。これによれば、ケーブル挿通孔の長さを十分に確保しつつスリーブ本体部をコンパクト化する上で最も好適な形状となる。また、前記第1の方位と前記第2の方位は相互に直交することが望ましい。このような構成が最もスペース効率がよく、スリーブ本体部のコンパクト化にも寄与する。
【0017】
さらに、前記外側面は、前記第1の傾斜外面部と前記第2の傾斜外面部との間に形成された円筒外面部を有し、前記スリーブ規制嵌合部は、前記第1の傾斜内面部と前記第2の傾斜内面部との間に前記円筒外面部を回避し、或いは、前記円筒外面部に嵌合する対応内面部を有することが望ましい。これによれば、傾斜外面部や傾斜内面部の間に円筒外面部や対応内面部が配置されることで、スペース効率を高め、コンパクト化を図ることができる。特に、スリーブ保持器具がスリーブ本体部を保持固定した状態で、スリーブ本体部の外側面に設けられた円筒外面部と、スリーブ保持器具のスリーブ規制嵌合部に設けられた対応内面部とが同軸に配置されて相互に嵌合可能に構成される場合には、スリーブ本体部の保持固定時の姿勢の再現性を高めることができる。また、スリーブ保持器具の収容開口部に対するスリーブ本体部の導入時及び取り出し時において円筒外面部が対応内面部によって案内されるため、着脱時の操作性を向上させることができる。さらに、外科用ケーブルスリーブに軸状導入部が設けられる場合には、当該軸状導入部とスリーブ保持器具の軸状接続部若しくは回転駆動軸との間の同軸精度を高めることもできる。
【0018】
また、前記第1の傾斜外面部及び前記第2の傾斜外面部のうちの少なくとも一つの傾斜外面部と、当該少なくとも一つの傾斜外面部に当接する、前記第1の傾斜内面部及び前記第2の傾斜内面部のうちの少なくとも一つの傾斜内面部とが相互に対応する平坦面に構成されることが望ましい。これによって、当該少なくとも一つの傾斜外面部とこれに対応する傾斜内面部が当接することで、スリーブ本体部とスリーブ保持器具が軸線周りの回転方向に係合する。したがって、スリーブ本体部とスリーブ保持器具との間に別の回転止め構造を設けなくても、スリーブ保持器具を回転駆動することによって外科用ケーブルスリーブを回転させることが可能になる。なお、一対の前記第1の傾斜外面部と一対の前記第2の傾斜外面部、及び、一対の前記第1の傾斜内面部と一対の前記第2の傾斜外面部が設けられる場合には、前記一対の第1の傾斜外面部及び前記一対の前記第2の傾斜外面部のうちの少なくとも一つの傾斜外面部と、当該少なくとも一つの傾斜外面部に当接する、前記一対の第1の傾斜内面部及び前記一対の第2の傾斜内面部のうちの少なくとも一つの傾斜外面部と(相互に当接するもの同士)が相互に対応する平坦面に構成されることが最も望ましい。
【0019】
上記各発明において、前記スリーブ保持器具は、前記収容開口部を先端部に備えた筒状の外側筒体と、前記外側筒体に対して軸線方向に移動可能な状態で前記外側筒体を貫通するとともに、先端部に形成されたスリーブ保持部を備えた内側軸体と、前記内側軸体を前記外側筒体に対する軸線方向の基準位置に位置決め保持する位置決め保持手段と、を有することが好ましい。ここで、前記収容開口部の内部には、前記外側筒体と前記内側軸体の少なくとも一方に形成され、前記スリーブ本体部に嵌合して前記スリーブ本体部の姿勢を規制する規制嵌合面が構成される。また、前記スリーブ保持部は前記スリーブ本体部に対して先端側から係合し、前記外側筒体に対する前記内側軸体の軸線方向の位置が前記基準位置にあるときには、前記収容開口部の内部において前記スリーブ保持部が前記収容開口部の内面から規制力を受けることにより前記スリーブ本体部が前記規制嵌合面に嵌合して姿勢が規制された状態に保持固定される。また、前記外側筒体に対する前記内側軸体の軸線方向の位置が前記基準位置よりも先端側に設定された着脱位置にあるときには、前記スリーブ保持部及び前記スリーブ本体部が前記収容開口部の開口端から突出して前記スリーブ保持部が前記収容開口部の内面による規制力から解放されることにより前記スリーブ本体部が着脱可能に構成される。ここで、前記スリーブ保持部は、前記内側軸体が前記基準位置にあるときには前記収容開口部の内面による規制力を受けた状態で前記スリーブ本体部を固定し、前記内側軸体が前記着脱位置にあるときには前記収容開口部の開口端から突出して前記規制力から解放されることにより、内側軸体が基準位置にあれば、スリーブ本体部を確実に保持固定することができ、また、内側軸体が着脱位置にあるときには、スリーブ本体部の着脱作業を容易に行うことが可能になる。この場合に、前記外科用ケーブルスリーブが前記スリーブ本体部の底部から前記ケーブル挿通孔の軸線と直交する方向に伸びる軸状導入部を有することが好ましい。この場合には、前記スリーブ保持器具には、前記外側筒体から突出する基端部において、少なくとも軸線周りの回転駆動力を伝達可能に構成された軸状接続部、或いは、回転駆動軸をさらに備え、前記規制嵌合面により前記スリーブ本体部の姿勢が規制された状態で前記軸状導入部と前記軸状接続部若しくは回転駆動軸が同軸に構成されることが好ましい。
【0020】
この場合において、前記規制嵌合面は、前記外側筒体において前記スリーブ本体部の外側面と対向する位置に形成された収容内面部と、前記内側軸体において前記スリーブ本体部の上面と対向する位置に形成された奥側内面部とを有することが好ましい。規制嵌合面は、外側筒体と内側軸体の少なくとも一方に形成されていればよいが、外側筒体の収容開口部内に形成される収容内面部と、内側軸体の先端部に形成される奥側内面部とを有する規制嵌合面を構成することにより、主としてスリーブ本体部の軸線周りの半径方向及び回転方向を収容内面部により規制し、主としてスリーブ本体部の軸線方向をスリーブ保持部と奥側内面部により規制することができるため、スリーブ本体部の姿勢を高い剛性で規制することができるとともに、外側筒体と内側軸体の構造に整合した形でスリーブ本体部の姿勢を規制できることから、各部の構造を簡易に構成できる。
【0021】
また、前記位置決め保持手段は、前記外側筒体の内周面上に形成された外側環状溝と、前記内周面に対して軸線方向に摺動可能に対面する前記内側軸体の外周面上に形成されるとともに前記内側軸体が前記基準位置にあるときに前記外側環状溝と対向配置される内側環状溝と、前記内側軸体が前記基準位置にあるときには、相互に対向配置された前記外側環状溝と前記内側環状溝の双方に係合することにより前記基準位置における保持力をもたらし、前記内側軸体が前記着脱位置にあるときには、相互に軸線方向にずれた位置に配置された前記外側環状溝と前記内側環状溝のうちの一方に収容される弾性部材とを有することが望ましい。この弾性部材は、例えば、C字状の弾性リングで構成できる。
【0022】
次に、本発明に係る外科用ケーブルスリーブは、骨の表面に載置若しくは対向して配置される底面、前記底面の反対側に設けられる上面、前記底面と前記上面の間に配置される外側面、及び、前記外側面の少なくとも一部に開口する外科用ケーブルを挿通させるためのケーブル挿通孔を備えたスリーブ本体部を有し、前記外側面には、それぞれ前記上面の側に斜めに向くように傾斜する傾斜外面部であって、前記底面に沿った第1の方位に向かう第1の傾斜外面部と、前記第1の方位と交差する前記底面に沿った第2の方位に向かう第2の傾斜外面部とが設けられることを特徴とする。この場合に、前記軸線の両側において前記第1の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第1の傾斜外面部と、前記軸線の両側において前記第2の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第2の傾斜外面部とを有することが好ましい。なお、この外科用ケーブルスリーブにおいて、前記スリーブ本体部には、相互に平行な軸線を備えた一対の前記ケーブル挿通孔が形成される場合があり、また、単一の前記ケーブル挿通孔のみが形成される場合もある。
【0023】
本発明において、前記スリーブ本体部の前記底面から突出して骨内に導入される軸状導入部をさらに有することが好ましい。この場合には、前記第1の傾斜外面部と前記第2の傾斜外面部との間に前記軸状導入部の軸線と同軸に形成された円筒外面部が設けられていることが好ましい。
【0024】
さらに、前記第1の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第1の傾斜外面部と、前記第2の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第2の傾斜外面部とを有する場合において、前記ケーブル挿通孔の両側の開口は前記一対の第1の傾斜外面部にそれぞれ設けられ、前記一対の第2の傾斜外面部の傾斜角度は、前記一対の第1の傾斜外面部の傾斜角度より小さいことが望ましい。これによれば、ケーブル挿通孔に外科用ケーブルを挿通した後に前記一対の第2の傾斜外面部同士を押しつぶしてカシメ固定する際に、第2の傾斜外面部の傾斜角度がより小さいことで、クリンパ等のカシメ工具が上滑りしにくくなるため、カシメ固定を容易にかつ確実に行うことが可能になる。また、第1の傾斜外面部の傾斜角度がより大きいことで、上方から見たときにケーブル挿通孔の開口が視認しやすくなるため、ケーブル挿通孔に対する外科用ケーブルの挿通作業を容易に行うことができる。
【0025】
また、前記第1の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第1の傾斜外面部と、前記第2の方位に沿って相互に背反する位置に設けられた一対の前記第2の傾斜外面部とを有する場合において、前記ケーブル挿通孔の両側の開口は前記一対の第1の傾斜外面部にそれぞれ設けられ、前記一対の第1の傾斜外面部の間の距離は、前記一対の第2の傾斜外面部の間の距離よりも大きいことが望ましい。これによれば、ケーブル挿通孔に外科用ケーブルを挿通した後に前記一対の第2の傾斜外面部同士を押しつぶしてカシメ固定する際に、第1の傾斜外面部の間の距離がより大きいことでケーブル挿通孔が長くなってカシメ固定が可能となる範囲が増大し、より広い範囲でのカシメ固定や複数箇所でのカシメ固定が可能になるため、カシメ固定を確実にかつ強固に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、外科用ケーブルを用いる手術時において外科用ケーブルスリーブを安全かつ確実にしかも容易に設置することができる外科用ケーブルスリーブ及びスリーブ保持器具の構造を実現するという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、
図1〜
図6を参照して本発明に係る第1実施形態の外科用ケーブルスリーブシステムについて説明する。本実施形態の外科用ケーブルスリーブシステムは、
図1に示す外科用ケーブルスリーブ10と、この外科用ケーブルスリーブを着脱可能に保持固定する
図3に示すスリーブ保持器具20とを有する。
【0029】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る外科用ケーブルスリーブ10について説明する。この外科用ケーブルスリーブ10は、生体適合性の観点からチタン合金やステンレス鋼などで形成され、略直方体状のスリーブ本体部11と、このスリーブ本体部11から突出する丸棒状の軸状導入部12とを備えている。スリーブ本体部11は、外科用ケーブル(図示せず)を挿通可能な、例えば、1.0〜2.0mm程度の内径を有する、断面円形の直孔状のケーブル挿通孔11a,11aを有し、このケーブル挿通孔11aの両端はいずれも外部に開口している。ケーブル挿通孔11aの内面のうち開口縁側にある内面部分は、開口縁に近づくに従って拡径するように凸曲面状に構成されている。これは、外科用ケーブルをスムーズに挿通させることができるようにするとともに、外科用ケーブルの取り回し方向が骨の表面形状や架設態様に応じてケーブル挿通孔11aの軸線方向とは異なった方向とされた場合であっても、外科用ケーブルに損傷を与えずに、しかも、外科用ケーブルに緩みを生じさせることなく架設できるようにするためである。スリーブ本体11は、中央から上記軸状導入部12が突出する略平坦な底面11dと、この底面11dの反対側に設けられる上面11uと、底面11dと上面11uの間において上記軸状導入部12の軸線12xの周りに設けられた外側面11sとを備えている。スリーブ本体部11の厚み(高さ)は、例えば、2.0〜4.0mm程度、好ましくは2.5〜3.8mmとされる。なお、図示例では、スリーブ本体部11の底面11dに開口する軸穴に軸状導入部12の基端部が圧入され、底面11dと軸状導入部12が溶接等により固着された状態とされているが、スリーブ本体部11と軸状導入部12が一体成形により形成されていてもよい。図示例では、スリーブ本体部11に一対のケーブル挿通孔11aが設けられている。これらの一対のケーブル挿通孔11aは、いずれも上面11uと底面11dの間の同じ高さ位置に配置され、相互に平行な軸線を備えるように形成されている。
【0030】
上記外側面11sには、上記軸線12xの周りに、上面11uの側に向けて傾斜する複数の傾斜外面部が設けられている。まず、上記ケーブル挿通孔11aの両端がそれぞれ開口する一対の第1の傾斜外面部11sa,11saが設けられる。一対の傾斜外面部11sa,11saは、上記軸線12xに直交し、上記底面11dに沿った第1の方位11f(
図1(d)参照)に沿って軸線12xの両側に軸線12xから等距離にある相互に背反する位置に配置されている。また、上記外側面11sには、一対の第2の傾斜外面部11sb,11sbが上記軸線12xと上記第1の方位11fの双方に直交し、上記底面11dに沿った第2の方位11g(
図1(d)参照)に沿って軸線12xの両側に軸線12xから等距離にある相互に背反する位置に配置される。このように、スリーブ本体部11の傾斜外面部として相互に異なる方位を向いた第1の傾斜外面部11saと第2の傾斜外面部11sbとが設けられることにより、後述するスリーブ保持器具20の収容開口部21a内に設けられた収容内面部21dにそれぞれの傾斜外面部に対応する傾斜内面部を設けて相互に嵌合するように構成すれば、軸線12xに対するスリーブ本体部11の姿勢(角度姿勢)を確実に規制できる。
【0031】
ここで、上記一対の第1の傾斜外面部11saと11saの間の第1の方位11fに沿って測った距離Laは、上記一対の第2の傾斜外面部11sbと11sbの間の第2の方位11gに沿って測った距離Lbよりも大きく構成されている。これによって、ケーブル挿通孔11aの長さを大きく確保することができるため、外科用ケーブルを挿通したケーブル挿通孔11aにカシメ加工を施す際にケーブル長さ方向の固定範囲を大きくしたり、ケーブル長さ方向の複数箇所でカシメ加工を行ったりすることができるなど、後述するカシメ固定時の固定力を増大させることができ、カシメ作業自体も容易にかつ確実に行うことができる。なお、図示例では、上記距離La,Lbはいずれも、第1の傾斜外面部11saと上面11uとの間の稜線部の間の距離(最短距離)を示している。なお、図示例では、スリーブ本体部11の上面11uと外側面11sとの間の稜線部及び角部に、並びに、底面11dと外側面11sとの間の稜線部に、それぞれ面取り加工が施されている。
【0032】
また、軸線12xに対する第1の傾斜外面部11saの傾斜角度θaは、軸線12xに対する第2の傾斜外面部11sbの傾斜角度θbよりも大きく構成されている。図示例では、傾斜角度θaは10度、傾斜角度θbは5度である。後述するように、ケーブル挿通孔11aに外科用ケーブルが挿通された後には、外科用ケーブルを固定するために、一対の第2の傾斜外面部11sbをクリンパによって挟圧し、ケーブル挿通孔11aを狭窄して外科用ケーブルをカシメ固定する。このとき、第2の傾斜外面部11sbの上記傾斜角度θbが小さいことにより、クリンパ等のカシメ工具の上滑り(工具が作業時に上面11u側へずれてしまうこと)を抑制することができるとともに、挟圧方向が挟圧される面に対して傾斜することでカシメに要する押圧力が増大することなどによるカシメ固定の困難性を低減することができるため、カシメ固定の作業を容易にかつ確実に行うことができる。
【0033】
さらに、
図1(a)を見れば明らかなように、外科用ケーブルスリーブ10の上方から見たときに、上記傾斜角度θaが大きいと上方から第1の傾斜内面部11saが視認しやすくなるので、ケーブル挿通孔11aの開口も視認しやすくなり、その結果、外科用ケーブルをケーブル挿通孔11aに挿通する作業が容易になるというメリットもある。
【0034】
スリーブ本体部11は、上記軸線12xを中心とする図示二点鎖線で示す円筒面CY(
図1(a)参照)内に限定されるように構成される。その結果、上記外側面11sには、上記一対の第1の傾斜外面部11sa,11saと上記一対の第2の傾斜外面部11sb,11sbの間(平面形状の角部)に、それぞれ上記軸線12xを中心とする共通の上記円筒面CYに沿った4つの円筒外面部11spが形成される。図示例では、各円筒外面部11spは、上面11uに隣接する部分(面取りされた角部に接する部分)を頂点とし、底面11dに隣接する部分(面取りされた稜線部に接する部分)を底辺とする略三角形状の輪郭を有している。上記円筒面CYの半径は、外科用ケーブルをケーブル挿通孔11aに挿通させて保持し、カシメ固定する際に支障のない値であればよい。ただし、上記構成に限らず、少なくとも一つ以上の円筒外面部が設けられ、かつ、この円筒外面部と嵌合する後述するスリーブ保持器具20の対応内面部21dpが設けられる場合には、スリーブ保持器具20に対するスリーブ本体部11の保持固定時の軸心位置を定めることが可能になる。もっとも、この場合において、円筒外面部11spと対応内面部21dpとによる案内性を高めるには、図示のように、相互に軸線12xを挟んで対向する面部分を有する少なくとも二つ以上の同軸の円筒外面部を軸線12xの周りの180度を越える範囲にわたって設けることが好ましい。
【0035】
上述のように、軸線12xの周りの各傾斜外面部の間に円筒外面部11spが形成されることで、後述するスリーブ保持器具20による姿勢の規制機能を低下させずにスリーブ本体部11のコンパクト化を図ることができるから、全体としてスペース効率を向上させることが可能になる。特に、スリーブ本体部11は、軸線12xを中心とする上記円筒面CY内に全体が収まるように構成されるとともに、上記円筒面CY上に上面11uの角部が配置されることで、平面的にコンパクトに構成できると同時に、ケーブル挿通孔11aの長さ範囲や貫通空間を十分に確保することが可能になる。また、スリーブ本体部11を保持固定する後述するスリーブ保持器具20の収容開口部21aを小径に形成できるため、スリーブ保持器具20をも含めた全体の外科用ケーブルスリーブシステムの外径を小さく構成することができるというメリットもある。
【0036】
さらに、上記一対の第1の傾斜外面部11sa,11sa及び一対の第2の傾斜外面部11sb,11sbは、いずれも略平坦な傾斜面となっている。したがって、いずれの傾斜外面部も上記円筒面CYと同軸に形成された円筒面とは異なる。このように、傾斜外面部が軸線12xを中心とする同軸の円筒面とは異なる面(平坦面には限定されず、曲面であってもよい。)に構成されることにより、後述する収容内面部21dや奥側内面部22aからなる規制嵌合面との当接によりスリーブ本体部11の姿勢が規制された状態では、外科用ケーブルスリーブ10とスリーブ保持器具20との間で軸線12x周りの回転方向に傾斜外面部が収容内面部21dに係合固定されることになるので、外科用ケーブルスリーブ10をスリーブ保持器具20に対して回転止めすることができる。このような回転止めの機能は、上記4つの傾斜外面部のうち少なくとも一つの傾斜外面部が上記円筒面CYと同軸の円筒面で構成されていなければ実現される。
【0037】
軸状導入部12は、上記底面11dの中央から底面11dと直交する方向へ向けて円柱軸状に突出している。軸状導入部12の先端部には鋭利に形成されたポイント部12pを備えた先端刃12aが形成されている。軸状導入部12は骨内に導入される部分であり、図示例では外周面が平滑な円筒面とされたピン形状を有する。ただし、外周面にねじが形成された骨ねじ形状、或いは、多角形状や星型断面などの異形断面を備えた種々の釘形状を備えていてもよい。軸状導入部12は、例えば、外径が2.0〜3.0mm、長さが30〜80mmで、2〜5mm刻みで異なる長さのものを選択して使用できるように揃えることが好ましい。
【0038】
次に、
図2〜
図4を参照して、本実施形態のスリーブ保持器具20の構造について説明する。スリーブ保持器具20は、
図2に示す外側筒体21と、
図3及び
図4に示す内側軸体22と、
図3(d)に示す弾性部材23とを有する。
【0039】
外側筒体21は全体として軸線21xの方向に貫通した筒状に構成され、その先端側の内部には、先端側に開口する収容開口部21aが設けられている。収容開口部21aの基端側(奥側)には円筒状の中間孔部21bが設けられ、この中間孔部21bのさらに基端側には基端孔部21cが形成される。ここで、収容開口部21aの内径は基端孔部21cの内径よりも大きい。また、中間孔部21bの内径は、第2の方位21gに沿った収容開口部21aの内径よりも小さいが、第1の方位21fに沿った収容開口部21aの内径とほぼ等しく、さらに、基端孔部21cの内径よりも大きい。
【0040】
収容開口部21aは、上記外科用ケーブルスリーブ10のスリーブ本体部11を収容する部分である。この収容開口部21a内には上記規制嵌合面の少なくとも一部を構成する収容内面部21dが設けられ、この収容内面部21dは、スリーブ本体部11をその軸線12xを軸線21xに合わせてそのまま収容開口部21aの開口端から軸線方向に挿入することで収容可能となるように構成されているとともに、スリーブ本体部11の外側面11sが当接して嵌合した状態でスリーブ本体部11の姿勢を規制するように構成される。すなわち、収容内面部21dは、上述のスリーブ本体部11の外形に合わせて構成され、スリーブ本体部11を先端の開口端から導入したときに、最終的にスリーブ本体部11が収容開口部21a内の奥側に突き当たった状態ではスリーブ本体部11の軸線12xに対する位置及び姿勢が固定されるようになっている。
【0041】
収容内面部21dには、軸線21xの周りに、先端の開口端の側に向けて傾斜した複数の傾斜内面部が設けられている。まず、軸線21xと直交する第1の方位21f(
図2(a)参照)に沿って軸線21xの両側に軸線21xから等距離にある相互に対向する位置に配置される一対の第1の傾斜内面部21da,21daが、上記第1の傾斜外面部11saとは逆向きに傾斜する態様で設けられている。また、上記軸線21x及び第1の方位21fの双方に直交する第2の方位21g(
図2(a)参照)に沿って軸線21xの両側に軸線21xから等距離にある相互に対向する位置に配置される一対の第2の傾斜内面部21db,21dbが、上記第2の傾斜外面部11saとは逆向きに傾斜する態様で設けられる。
【0042】
上記スリーブ本体部11が収容開口部21a内に挿入されたとき、上記一対の第1の傾斜内面部21da,21daは、上記一対の第1の傾斜外面部11sa,11saに当接するようになっている。そして、上記一対の第1の傾斜内面部21da,21daは、上記一対の第1の傾斜外面部11sa,11saと整合する軸線21xに対する傾斜角度φaを有する。この傾斜角度φaは上記傾斜角度θaとほぼ一致している。図示例では傾斜角度φaは10度である。また、上記スリーブ本体部11が収容開口部21a内に挿入されたとき、上記一対の第2の傾斜内面部21db,21dbは、上記一対の第2の傾斜外面部11sb,11sbに当接するようになっている。そして、上記一対の第2の傾斜内面部21db,21dbは、上記一対の第2の傾斜外面部11sb,11sbと整合する軸線21xに対する傾斜角度φbを有する。この傾斜角度φbは上記傾斜角度θbとほぼ一致している。図示例では傾斜角度φbは5度である。
【0043】
上記軸線21xの周りの上記一対の第1の傾斜内面部21da,21daと上記一対の第2の傾斜内面部21db,21dbの間には、スリーブ本体部11の平面形状の角部、すなわち、上記円筒外面部11spを回避するように構成された4つの対応内面部21dpがそれぞれ形成されている。これらの対応内面部21dpを設けることにより、スリーブ本体部11の姿勢が収容開口部21a内で正しく規制された状態(軸線12xが軸線21xに一致した状態)になるように、第1の傾斜外面部11saが第1の傾斜内面部21daに当接するとともに、第2の傾斜外面部11sbが第2の傾斜内面部21dbに当接することを収容内面部21dが阻害しないようになっている。なお、図示例とは異なるが、上記4つの対応内面部21dpを、軸線21xを中心とする共通の円筒面CYに沿った面とし、これらの対応内面部21dpの軸線21xを中心とする半径位置を、上記スリーブ本体部11の円筒外面部11spの軸線11xを中心とする半径と略一致するように設定することで、各円筒外面部11spが対応内面部21dpの内側にほぼぴったりと嵌合するように構成してもよい。
【0044】
また、上記一対の第2の傾斜内面部21db,21dbの幅方向中央には、軸線21xに沿って平行に伸びるアーム収容溝21eがそれぞれ形成されている。これらのアーム収容溝21eは、後述する内側軸体22のスリーブ把持アーム22b,22bを収容可能に構成されるとともに、スリーブ本体部11を保持固定したときにその内底面がスリーブ把持アーム22bを外周側から規制するようになっている。また、アーム収容溝21eは収容開口部21aの開口端において外側に向けて開放された形状を有する。なお、アーム収容溝21eは、図示例では凹曲面状の内底面を有する。ただし、当該内底面の形状は特に限定されるものではなく、上記内底面が平坦面となっていてもよい。さらに、上記一対の傾斜内面部21da,21da及びこれらの両側に隣接する上記対応内面部21dp上から外部に貫通する開口孔21h,21hが上記第1の方位21fに沿った軸線21xの両側において相互に対向する位置にそれぞれ形成されている。これらの開口孔21h,21hは、上記スリーブ本体部11のケーブル挿通孔11a,11aの両側の開口軸線とほぼ一致する軸線を有する位置に形成される。これによって、後述するように収容開口部21a内にスリーブ本体部11を収容した状態でスリーブ本体部11及びケーブル挿通孔11a或いはその開口縁が開口孔21hからどのように見えるか(或いは見えないか)によってスリーブ本体部11の収容位置(収容深さ)を確認できるようになっている。なお、開口孔21h,21hは図示例ではケーブル挿通孔11aの開口径とほぼ同じ開口径を有するが、これとは異なり、開口孔21hの開口範囲(開口径)をケーブル挿通孔11aの開口範囲(開口径)と異なるように構成してもよい。なお、開口孔21hの開口形状は、図示例の円形に限らず、種々の形状とすることができる。
【0045】
一方、上記中間孔部21bの内周面(図示例では円筒面)には、上記軸線21xの周りに形成された外側環状溝21iが形成されている。外側環状溝21iの断面形状は部分円状(図示例では半円よりも小さな部分円)であり、後述する弾性部材23の断面の外周側の一部(図示例では半分よりも少ない断面部分)のみが収容可能となるように構成されている。ここで、外側環状溝21iの部分円筒状の内面形状は、特に、半円よりも小さな部分円状の断面を構成する内面形状は、後述する内側軸体22が外側筒体21に対して軸線21Xの方向に摺動するとき、弾性部材23を外側環状溝21iに対してスムーズに出入り可能とするのに役立つ。
【0046】
また、上記基端孔部21cは軸線方向にほぼ同径の円筒孔状に構成されているが、上記中間孔部21bの側の一部に相互に対向する平坦内面部21j,21jを備えた回転方向係合孔部21caを備えている。これらの平坦内面部21j,21jは、後述する内側軸体22に設けられる回転方向係合軸部22faの平坦外面部22gと対面することにより、外側筒体21と内側軸体22とが相互に軸線21xの周りに回転しないように規制する回り止めとなっている。なお、この回り止めは、上記のように対向する一対の平坦内面部21jに限らず、単一の平坦内面部のみで構成してもよく、或いは、上記回転方向係合孔部21caの断面を全体として矩形状としてもよいなど、相対的な回転を抑止する機能を奏するものであれば、回転方向係合軸部22faとともに種々の構成とすることが可能である。
【0047】
外側筒体21の先端側部分の外径は、上記収容開口部21aを設けるために或る程度大きく構成されているが、外側筒体21の基端側部分には上記先端側部分よりも小径化された縮径部21kが設けられるとともに、この縮径部21kのさらに基端側(図示例では基端縁)に縮径部21kよりも外周側に張り出したフランジ部21mが設けられる。この縮径部21k及びフランジ部21mは、後述する弾性部材23による弾性的保持状態を解除する際において、後述する内側軸体22を外側筒体21に対して軸線21xに沿った方向の図示左側へ向けて押し込むときに、或いは、外側筒体21を内側軸体22に対して軸線21xに沿った方向の図示右側へ引き出すときに、指等の引っ係りを確保するために役立つ。なお、外側筒体21の基端21nは図示例ではフランジ部21mよりも後方に配置されるが、フランジ部21mと一体に構成されていてもよい。
【0048】
次に、
図3を参照して内側軸体22の構造について説明する。内側軸体22は、全体として軸状に構成され、その先端側部分が
図3に示すように上記外側筒体21の内部に収容される。内側軸体22の先端部には、上記収容開口部21aの内部の奥側に配置される奥側内面部22aが形成される。この奥側内面部22aは上記スリーブ本体部11の上面11uと整合する面方位及び面形状を有している。図示例では奥側内面部22aは上記軸線21xと直交する平面(平坦面)となっている。本実施形態では奥側内面部22aが上記規制嵌合面の一部を構成する。この場合において、奥側内面部22aは、上面11uと当接して、上記第1の傾斜内面部21da及び第2の傾斜内面部21dbとともにスリーブ本体部11に嵌合し、外科用ケーブルスリーブ10の姿勢を規制する。図示例では奥側内面部22aは上面11uと密接するようになっている。ただし、奥側内面部22dは必ずしも上面11uと当接する必要はなく、僅かな隙間を介して対向するように構成されていて、実質的に上記規制嵌合面の一部を構成しないものであってもよい。なお、これとは逆に、上記規制嵌合面を内側軸体22の先端部にのみ形成し、内側軸体22のみでスリーブ本体部11の姿勢を規制することができるようにして、外側筒体21の収容内面部21dがスリーブ本体部11の姿勢を規制しない構造にすることも可能である。
【0049】
また、上記内側軸体22の先端部には、上記奥側内面部22aの外周側の、上記第2の方位21gに沿った軸線21xの両側に、先端側に延出する一対のスリーブ把持アーム22b,22bが設けられる。ここで、スリーブ把持アーム22bは、上記スリーブ保持部を構成する。これらの一対のスリーブ把持アーム22b,22bは、収容開口部21a内に配置されるときに上記アーム収容溝21eの内部に収容される。また、スリーブ把持アーム22b,22bの先端には、内周側に向けて、すなわち、上記第2の方位21gの内側(軸線21x側)に向けて突出するスリーブ把持爪22cが設けられている。また、スリーブ把持アーム22bの外面は、上記アーム収容溝21eの凹曲面状の内底面に対応して、凸曲面状に構成されている。これは、スリーブ本体部11の保持固定状態において上記アーム収容溝21eの内底面により規制されるスリーブ把持アーム22Bの安定性を向上させるためである。したがって、スリーブ把持アーム22bの外面の曲率はアーム収容溝21eの内底面の曲率よりも大きいか、或いは、実質的に等しいことが好ましい。
【0050】
スリーブ把持爪22cの内側表面は軸線方向に見て滑らかな凹曲線状の輪郭を有している。また、スリーブ把持爪22cは、内側軸体22が外側筒体21に対して後述する軸線21xに沿った方向の既定の基準位置にあるときに先端が収容開口部21a内に没するように構成される。これにより、スリーブ保持器具20の収容開口部21aの開口端よりスリーブ把持爪22cが突出することがなくなるので、軸状導入部12を骨内に導入する際にスリーブ把持爪22cが骨に干渉することが防止され、スリーブ本体部11に近い根元部分まで軸状導入部12を骨内に導入することが可能になる。
【0051】
上記内側軸体22の上述の先端部よりやや基端側には、
図3(b)に示すように、上記中間孔部21bの内周面(図示例では円筒面)に嵌合する外周面(図示例では円筒面)を有する中間軸部22dが設けられている。この中間軸部22dの外周面には、内側環状溝22e1,22e2が形成される。この内側環状溝22e1,22e2には、
図3(d)に示すように、金属などの弾性素材で形成された断面が円形で全体がC字状に延在する弾性部材23(Cリング)が嵌合している。内側環状溝22e1,22e2は、弾性部材23を外周側から縮径状態となるように弾性変形させることで完全に溝内部に没した状態にすることができる形状及び深さを備えている。
【0052】
図3(a)〜(c)では、内側軸体22は外側筒体21に対して軸線21xの方向の基準位置に配置されている。この基準位置とは、スリーブ本体部11を保持固定する際の後述する軸線方向の位置である。上記の基準位置を有する配置状態では、内側環状溝22e2は上記外側環状溝21iと対面(正対)するようになっている。このとき、上記弾性部材23は、自身の弾性復元力によって拡径状態となり、その断面の一部が上記内側環状溝22e2内に収容されるとともに残部が上記外側環状溝21i内に収容されるように配置され、その結果、外側環状溝21iと内側環状溝22eの双方に係合する。これにより、弾性部材23は、外側筒体21に対して内側軸体22を軸線21xに沿った方向の上記基準位置に保持する。
【0053】
上記中間軸部22dのさらに基端側には、上記基端孔部21c内に収容される基端軸部22fが設けられる。この基端軸部22fの上記中間軸部22dに隣接する部分には、上記回転方向係合孔部21caに対して軸線21xの周りに回転しないように嵌合する回転方向係合軸部22faが設けられる。この回転方向係合軸部22faには、上記一対の平坦内面部21jに対応(対面)する一対の平坦外面部22gが形成されている。
【0054】
図示例では、内側軸体22において、より大径の中間軸部22dと、より小径の基端軸部22f(回転方向係合軸部22fa)との間に段差が設けられるとともに、これらを収容する外側筒体21においても、より大径の中間孔部21bと、より小径の基端孔部21cとの間に段差が形成される。これらの段差によって、内側軸体22は外側筒体21に対して上記基準位置よりも軸線21xの図示左側(先端側)へは移動可能であるが、図示右側(基端側)へは移動できないように構成される。ただし、僅かな距離であれば図示右側へ移動可能に構成されていてもよい。なお、上記の構成とは異なり、回転方向係合軸部22faと、さらに基端側にある基端軸部22fの他の部分との間に設けた段差、並びに、これに対応する回転方向係合孔部21caと、さらに基端側にある基端孔部21cの他の部分との間に設けた段差によって、上述のように外側筒体21に対する内側軸体22の軸線21xの移動の向きを制限してもよいなど、上記の移動の向きの規制態様は種々に構成することができる。
【0055】
上記基端軸部22fの基端側部分(外側筒体21の基端21nから後方へ突出している部分)は、後述するようにスリーブ本体部11を保持固定した状態で、外科用ケーブルスリーブ10の上記軸状導入部12と同軸になるように構成された軸状接続部22hとなっている。この軸状接続部22hには、後述する回転駆動系を接続するための保持用環状溝22i及び回転接続用異形部22jが形成されている。この軸状接続部22hはスリーブ保持器具20の基端部を構成する。
【0056】
図4は、本実施形態のスリーブ保持器具20により上記外科用ケーブルスリーブ10のスリーブ本体部11を保持固定した状態を示す断面図(a)及びその一部を拡大して示す拡大部分断面図(b)である。また、
図5は、上記スリーブ保持器具20からスリーブ本体部11を着脱可能な状態を示す断面図(a)及びその一部を拡大して示す拡大部分断面図(b)である。本実施形態では、前述のように、外側筒体21の収容開口部21a及び収容内面部21dと、内側軸体22の奥側内面部22a及びスリーブ把持アーム22bとが、スリーブ保持器具20の上記スリーブ装着部を構成している。このスリーブ装着部は、先端に上記収容開口部21aの開口端が設けられる態様でスリーブ保持器具20の先端部に設けられている。スリーブ装着部は、収容開口部21aと、その内部において規制嵌合面を構成する収容内面部21d及び奥側内面部22aとを有するスリーブ規制嵌合部を有する。また、スリーブ装着部は、上記規制嵌合面に嵌合することによるスリーブ本体部11の姿勢が規制された状態を保持するためのスリーブ保持部である内側軸体22のスリーブ把持アーム22bと、このスリーブ把持アーム22bの先端のスリーブ把持爪22cが先端側からスリーブ本体部11に係合し、スリーブ本体部11を上述のように姿勢が規制された状態に保持固定できるように、スリーブ把持アーム22bを外周側から規制する外側筒体21の収容開口部21a内のアーム収容溝21eの内底面と、を有する。ここで、本実施形態のスリーブ保持部であるスリーブ把持アーム22bは、上記アーム収容溝21eの内底面から受ける規制力により、外力を受けない状態で自律的にスリーブ本体部11の上記規制された状態を保持固定できるように構成される。
【0057】
また、スリーブ保持器具20は、外側筒体21に対する内側軸体22の軸線方向の位置を基準位置と着脱位置との間で移動可能に構成する貫通構造を有し、外側軸体21に対して内側軸体22を上記基準位置に保持するための外側環状溝21i、内側環状溝22e2及びこの内部に収容される弾性部材23によって構成される、位置決め保持手段を備えている。また、内側環状溝22e1及びこの内部に収容される弾性部材23は、当該弾性部材23が上記中間孔部21bの内周面に圧接されることで、外側筒体21と内側軸体22の間の軸線方向の相対移動時に弾性力により摩擦抵抗を生じさせ、上記位置決め保持手段による基準位置の保持力を補う。特に、本実施形態では、内側環状溝22e2内の弾性部材23が外側環状溝21iから容易に脱出可能に構成しつつ、当該弾性部材23が外側環状溝21iにも係合する基準位置における充分な保持力を確保して、外科用ケーブルスリーブ10をスリーブ保持器具20のスリーブ装着部に確実に保持固定させるために、上記摩擦抵抗を利用している。なお、図示例では外側環状溝21iは一箇所にのみ形成されているが、内側環状溝22e1に対応するもう一つの外側環状溝を設けて、二箇所で上記保持力を生じさせるようにしてもよい。スリーブ保持器具20は、スリーブ装着部から軸線21xに沿って基端側へ伸びる延長形状(軸状)に構成され、内側軸体22の外側筒体21から突出した基端部には上記軸状接続部22h(回転駆動軸)が設けられる。外科用ケーブルスリーブ10を保持固定した状態では、スリーブ保持器具20の姿勢は、軸線12xに沿って伸びる延長形状(軸状)となる。
【0058】
本実施形態では、
図4(a)及び(b)に示すように、内側軸体22が外側筒体21に対して軸線21xに沿った方向の基準位置に配置されるときには、スリーブ本体部11を保持固定することができる。この状態では、スリーブ本体部11の上面11uが上記奥側内面部22aに押し付けられ密接した状態で、第1の傾斜外面部11saが外側筒体21の第1の傾斜内面部21daに当接し、第2の傾斜外面部21sbが第2の傾斜内面部21dbに当接した嵌合状態とされる。また、この嵌合状態は、一対のスリーブ把持アーム22b,22bの先端にそれぞれ形成されたスリーブ把持爪22cによってスリーブ本体部11の外側面11s(第2の傾斜外面部11sb)と底面11dの間の稜線部が把持されることにより維持される。このとき、収容開口部21a内に設けられた上記アーム収容溝21eの内底面に当接することでスリーブ把持アーム22bの外側への変形が規制されるため、この規制力を受けた状態でスリーブ把持爪22cは規制嵌合面により姿勢が規制されたスリーブ本体部11を保持固定する。このとき、外側筒体21に対する内側軸体22の軸線21xに沿った図示左向きの移動が生じない限り、すなわち内側軸体22が基準位置に位置決めされている限り、スリーブ把持爪22cによるスリーブ本体部11の上記規制嵌合面による姿勢の規制状態が維持される。
【0059】
ここで、本実施形態では、奥側内面部22aと、スリーブ把持アーム22bとが一体に構成されているため、スリーブ把持爪22cは、スリーブ把持アーム22bの弾性変形により軸線21xを中心とする半径方向には移動するものの、奥側内面部22aに対して軸線21xに沿った方向には基本的には移動しない。したがって、スリーブ本体部11が奥側内面部22aとスリーブ把持爪22cとの間に挟圧保持されるように、予め内側軸体22の形状寸法を設定しておくことで、スリーブ本体部11の軸線21xに沿った方向の位置決めを確実に行うことができる。また、上記外側筒体21と内側軸体22の軸線21xに沿った方向の相対位置を調整することで、スリーブ本体部11が上記傾斜内面部21da,21dbに嵌合した状態で奥側内面部22aに対しても密接した状態となるように構成することが固定保持の位置精度を高め安定性を向上させる上で望ましい。ただし、本実施形態では、結果としてスリーブ本体部11が収容開口部21aの内部に構成される規制嵌合面に嵌合してその姿勢が規制されるように構成されていればよい。したがって、収容内面部21dに嵌合することでスリーブ本体部11の姿勢が規制されるのであれば、必ずしもスリーブ本体部11の上面11uが奥側内面部22aに密接したり当接したりしている必要はない。
【0060】
また、上記のようにスリーブ把持爪22cによるスリーブ本体部11の上記嵌合状態の維持は、スリーブ把持爪22cの内側の凹曲面状の把持面22csによって実現されている。この把持面22csが凹曲面状に構成されることで、スリーブ把持アーム22bの上記アーム収容溝21eの内底面による変形制限の程度に応じた当接位置でスリーブ本体部11(図示例では底面11d側の角部)を係合保持することができる。また、この凹曲面状の把持面22csには、後述する着脱位置においてスリーブ把持爪22cからスリーブ本体部11を取り外す際にも不要な引っ係りを抑制することができるというメリットもある。
【0061】
本実施形態では、上述のようにスリーブ本体部11がスリーブ保持器具20の収容開口部21aの内部に構成された規制嵌合面に嵌合してスリーブ本体部11の姿勢が正規に規制された状態となったとき、スリーブ保持器具20の軸状接続部22hと、外科用ケーブルスリーブ10の軸状導入部12とが同軸に構成されるようになっている。したがって、スリーブ本体部11がスリーブ保持器具20により保持固定された状態では、常に上述の軸状導入部12と軸状接続部22hとの間の同軸性は確保される。これにより、軸状接続部22hを図示しない回転駆動工具の回転駆動軸に接続することにより、軸線12xを中心として外科用ケーブルスリーブ10の軸状導入部12を回転駆動することが可能になる。
【0062】
上述のように、
図4(a)及び(b)に示すスリーブ保持器具20によるスリーブ本体部11の保持固定状態は、上記外側筒体21に対して上記内側軸体22が基準位置にあることで実現される。この基準位置は、本実施形態では、上述の外側環状溝21i及び内側環状溝22e2に対する弾性部材23の係合により弾性的に保持されている。この弾性的な保持状態は、外側筒体21に対して内側軸体22を軸線21xに沿って図示左側へ押し込むことにより、或いは、外側筒体21を内側軸体22に対して軸線21xに沿って図示右側へ引き出すことにより、弾性部材23が外側環状溝21i内から内側環状溝22e内へその弾性力に抗して縮径されつつ押し込まれることで解除される。その後は、弾性部材23が縮径状態で内側環状溝22e内に没した状態で、上記中間孔部21bの内周面と上記中間軸部22dの外周面が相互に摺動し、
図5(a)及び(b)に示す着脱位置まで外側筒体21に対する内側軸体22を移動させることができる。なお、上記着脱位置は、以下に説明するように、スリーブ本体部11を装着でき、かつ、スリーブ本体部11を取り外すことのできる、内側軸体22の外側筒体21に対する軸線21xに沿った方向の相対位置である。なお、本実施形態とは逆に、基準位置から外れた状態で弾性部材23が拡径状態で外側環状溝21i内に収容されるように、外側環状溝21iと内側環状溝22e2の断面形状の関係を本実施形態とは逆に構成してもよい。また、本実施形態では上述のように位置決め保持手段として外側環状溝21i、内側環状溝22e2及び弾性部材23が設けられているが、本発明の位置決め保持手段としては、このような構成に限らず、アーム収容溝21eの内底面とスリーブ把持アーム22bの外側面との圧接状態のみにより外側筒体21と内側軸体22の軸線方向の位置関係が摩擦力により保持される構造となっていてもよい。この場合、保持力を高めるために上記内底面と上記外側面の少なくともいずれか一方の圧接部位に嵌合用若しくは係合用の凹部若しくは凸部又は段差部を形成してもよい。また、本発明の位置決め保持手段は、結果として基準位置における保持力を生ずるものであればよく、例えば、公知の締め付けナット構造、止めねじ構造などで構成することもできる。
【0063】
上述のようにして、内側軸体22を外側筒体21に対して軸線21xに沿った方向の図示左側へ移動していくと、やがて
図5(a)及び(b)に示すように上記着脱位置でスリーブ本体部11の全体が収容開口部21aから外側へ脱した状態となる。この状態では、スリーブ把持アーム22bの先端側部分は上記アーム収容溝21eの開放された開口縁から外側へ突出している。このとき、スリーブ把持アーム22bの先端側部分はアーム収容溝21eの内底面に規制されなくなるため、スリーブ把持アーム22bの外周側への弾性変形によりスリーブ把持爪22cが外周側へ退避可能となり、その結果、スリーブ本体部11を一対のスリーブ把持爪22c,22cの間から取り外すことが可能になり、また、スリーブ本体部11を一対のスリーブ把持爪22c,22cの間に挿入することも可能になる。なお、一対のスリーブ把持アーム22bが弾性変形可能に構成されていることにより、上記着脱位置では、スリーブ保持器具20を外科用ケーブルスリーブ10の軸線に対して
図5の紙面に沿った方向に軽く傾斜させるだけで、スリーブ把持爪22cをスリーブ本体部11から簡単に取り外すことができる。この際においても、スリーブ把持爪22cの上記凹曲面状の把持面22csは、スリーブ保持器具20からのスリーブ本体部11の離脱を容易にする。ただし、スリーブ把持アーム22bを弾性変形させなくても、スリーブ本体部11を第1の方位21f(11f)に沿って移動させて一対のスリーブ把持アーム22b,22bの間から脱出させ、また、スリーブ本体部11を第1の方位21f(11f)に沿って移動させて一対のスリーブ把持アーム22b,22bの間に挿入することもできる。
【0064】
なお、
図2(a)及び(c)並びに
図3(c)において二点鎖線で示し、
図6において実線で示すように、外側筒体21の壁面に側面開口(図示の長円状の孔)を設けてもよい。このとき、当該側面開口の両側の外側筒体21の外面と、上記側面開口から透視可能な内側軸体22の外周面に、それぞれ対応するマーク(例えば、軸線周りに伸びるけがき線などのライン)を設けることで、外側筒体21と内側軸体22の軸線方向の位置関係を確認可能とすることができる。ここで、上記基準位置において外側筒体21のマークと内側軸体22のマークが一致するように構成することが望ましい。また、
図3〜
図6に示すように、基準位置において外側筒体21の基端21nと一致する内側軸体22の外周面に上記と同様のマークを形成することによっても、同様の効果を得ることができる。
【0065】
スリーブ保持器具20によるスリーブ本体部11の保持固定状態において、
図4(a)に示す図示例では、スリーブ本体部11の底面11dは、外側筒体21の先端縁(収容開口部21aの開口縁)よりも軸線方向の後方位置に配置される。この外側筒体21の先端縁と底面11dとの間隔は、スリーブ保持器具20を用いて外科用ケーブルスリーブ10の軸状導入部12を骨内に導入したとき、外側筒体21の先端縁が骨の表面に当接しても、スリーブ本体部11の底面11dが骨の表面に密接せず、骨の表面から僅かに離間した状態とするのに役立つ。このようにスリーブ本体部11の底面11dを骨の表面から離間させることで、外科用ケーブルをケーブル挿通孔11aに挿通させる際に作業が容易になり、また、軸状導入部12を骨内に導入した後であっても、外科用ケーブルの架け渡し方向にケーブル挿通孔11aの向きを整合させる際等において、スリーブ本体部11の向きを変え易くなる。この場合、最終的には、追加の打ち込み作業等により、スリーブ本体部11の底面11dが骨の表面に密接するまで軸状導入部12を骨内に導入することが好ましい。その後、外科用ケーブルに張力を加えながら、スリーブ本体部11のカシメ作業を行う。
【0066】
図6は、上記スリーブ保持器具20を回転駆動工具と接続する態様を示す説明図である。なお、図示例では回転駆動工具を電動工具であるパワーツールと記載しているが、回転駆動工具としては、Tレンチなどの手動工具でもよい。本実施形態において、上記軸状接続部22hは、
図6に示す連結具24を介して図示しないパワーツールなどの回転駆動工具に接続される。この連結具24は、スリーブ保持器具20を大型化することなく、一般的な回転駆動工具(電動工具)に接続可能とするためのアダプターである。図示例において、連結具24は、工具に対して着脱可能に接続固定される図示右側の後端部を有するとともに、軸状接続部22hを受け入れる接続穴が先端縁24cに開口するように設けられた軸状体24aと、この軸状体24aに対して既定範囲内で軸線方向にスライド可能に接続される筒状部24bとを有する。この筒状部24bが軸状体24aに対して後端側にスライドしたときには上記軸状接続部22hが上記接続穴に挿入可能とし、軸状体24aに対して先端側にスライドしたときには上記軸状接続部22hの保持用環状溝22iに係合して軸状接続部22hを離脱不能に保持する着脱可能な軸保持機構を備える。この軸保持機構は、例えば、筒状部24の後端側へのスライドによって半径方向外側に退避可能となり、先端側へのスライドによって半径方向内側に押し込まれる係止ボールを備えた公知のジョイント機構である。ここで、上記保持用環状溝22iは連結具24のソケット部の係止ボール(図示せず)に係合して接続状態が保持される。
【0067】
ここで、回転駆動工具の回転駆動軸に対して内側軸体22が軸線21xの周りに相対的に回転しないようにするため、上記接続穴の奥部には、回転接続用異形部22jと回転方向に係合して軸状接続部22hと軸状体24aとを回転方向に固定する異形穴部を備える。この連結具24は、スリーブ保持器具20をコンパクトに構成しつつ、一般的なチャック構造を備えた回転駆動工具を用いることができるようにする上で効果的である。なお、上記軸状接続部22hが回転駆動工具と直接に連結可能であれば上記連結具24は不要である。
【0068】
なお、内側軸体22は外側筒体21に対して上記回転方向係合孔部21ca(平坦内面部21j)と上記回転方向係合軸部22fa(平坦外面部22g)との回転方向の係合によって相対的に回転しないように構成されているので、上記軸状接続部22hを、連結具24を介して(或いは、介さないで、)回転駆動工具と接続することにより、スリーブ保持器具20は全体として回転駆動可能になり、その結果、外科用ケーブルスリーブ10を回転駆動することが可能になる。
【0069】
ここで、本実施形態では、スリーブ装着部がスリーブ本体部11の姿勢を規制しているときに、スリーブ保持器具20の軸状接続部22hが外科用ケーブルスリーブ10の軸状導入部12に対して同軸になるように構成している。しかし、図示例とは異なるが、上記軸状接続部22hを設ける代わりに、スリーブ保持器具20にTレンチなどの回転駆動工具に相当する部分を一体に設けてもよい。この場合には、当該回転駆動部分の回転駆動軸を軸状導入部12に対して同軸に構成すればよい。なお、この点は、以下の他の実施形態でも同様である。
【0070】
[外科用ケーブルスリーブの他の実施形態]
次に、
図7を参照して、外科用ケーブルスリーブの上記以外の他の実施形態について説明する。
図7(a)に示す外科用ケーブルスリーブ10′は、スリーブ本体部11′の外側面11s′の一部、図示例では第2の傾斜外面部11sb′の高さ中間位置に、段差部11sqを形成している。このようにすると、段差部11sqに上述のスリーブ把持爪22cを係合させることにより、
図7(b)に示すように、スリーブ本体部11′を外側面11s′上で保持固定することが可能になる。これにより、スリーブ保持器具20の先端縁(収容開口部21aの開口端)におけるスリーブ本体部11の底面11dからの張り出し量を小さくしたり、上記先端縁が底面11dと一致するように構成したり、さらには上記先端縁が底面11dよりも上面11u側に配置されるように構成したりすることができるため、軸状導入部12の骨内への導入作業においてスリーブ保持器具20の骨との干渉を避けることができる。また、上記のように第2の傾斜外面部11sb′に軸線12xに沿った方向の段差部11sqが形成されることにより、後述するクリンパ等の工具を用いたカシメ固定の際に工具の上滑りを防止できるという利点もある。以上のように、スリーブ保持部(スリーブ把持爪22c)がスリーブ本体部11′を把持する際の係合部位は、上述のような外側面11sと底面11dの間の角部に限らず、スリーブ本体部11′の形状に応じて軸線21xに沿った上記規制状態を維持する方向にスリーブ本体部11′を係合保持できる箇所であれば、如何なる箇所でもかまわない。
【0071】
図7(c)は、別の外科用ケーブルスリーブ30の外観を示す斜視図である。この外科用ケーブルスリーブ30はスリーブ本体部31と軸状導入部32とを有するが、スリーブ本体部31の形状が上記実施形態とは異なる。スリーブ本体部31は、全体として平面視で楕円状若しくは長円状に構成されている。そして、外側面31sは、水平断面が楕円状若しくは長円状の錐台形状の傾斜外面部を周囲全体に亘って備えている。このように傾斜外面部が周囲全体に亘る錐台形状であっても、この錐台形状に対応する一体若しくは分割された、一つ若しくは複数の傾斜内面部をスリーブ保持器具の収容開口部内に設けることで、上記実施形態と同様にスリーブ本体部31を保持固定することができる。すなわち、この錐台形状の傾斜外面部は、上記第1実施形態と同様に、相互に異なる方位を向いた第1の傾斜外面部と第2の傾斜外面部とを実質的に備えた構成となっている。また、この楕円状若しくは長円状の錐台形状により、上記第1実施形態と同様に、図示しないスリーブ保持器具とスリーブ本体部31の間の回転方向の係合状態をも確保することができる。
【0072】
図7(d)は、スリーブ本体部31′と軸状導入部32を有する外科用ケーブルスリーブ30′を示す。この外科用ケーブルスリーブ30′のスリーブ本体部31′の外側面31s′は円錐台状に構成された(図示例では一体の)傾斜外面部を備えている。また、図示しないスリーブ保持器具との間の回転方向の係合状態を確保するために、円錐台状の傾斜外面部の一部をカットして、平坦部31pを形成している。この外科用ケーブルスリーブ30′においても、上記円錐台状の傾斜外面部により、上記第1実施形態と同様に、相互に異なる方位を向いた第1の傾斜外面部と第2の傾斜外面部とを実質的に備えた構成となっている。また、上記平坦部31pを設けることにより、上記第1実施形態と同様に、図示しないスリーブ保持器具とスリーブ本体部31′の回転方向の係合状態を確保することができる。
【0073】
図7(e)は、スリーブ本体部41のみからなる外科用ケーブルスリーブ40を示す。このように、外科用ケーブルスリーブ40は、スリーブ本体部41を有するが、軸状導入部に相当するものを有しない構成、すなわち、底面41dが完全に平坦なものであってもよい。また、
図7(f)に示すように、底面41dから突出する1又は複数の突起42(図示例では複数)を有するもの40′であってもよい。なお、外科用ケーブルスリーブ40′の変形態様としては、底面41dにローレット状の溝など微細な凹凸が形成されたものであってもよい。
【0074】
なお、上記各実施形態のスリーブ保持器具は、いずれも、収容開口部を備えた外側筒体と、この外側筒体の内部に配置されて軸線方向に移動可能な内側軸体とを有するもので構成できるが、このような構成とする必要はなく、例えば、上記のようにスリーブ本体部に対応する形状の規制嵌合面が設けられたスリーブ規制嵌合部と、規制嵌合面に嵌合して姿勢が規制されたスリーブ本体部を保持固定するスリーブ保持部とを備えたものであればよい。例えば、スリーブ保持部が収容開口部を備えた外側筒体の外周側からスリーブ本体部に係合するような構造であってもよく、また、外側筒体における収容開口部の周囲の壁面の一部が弾性変形可能なスリーブ保持部として機能するように構成され、このスリーブ保持部の外側への弾性変形を規制する規制スリーブ体を軸線方向に移動可能に外側筒体の外周上に取り付けた構成であってもよい。
【0075】
[スリーブ保持器具の他の実施形態]
次に、
図8を参照して、スリーブ保持器具の上記以外の他の実施形態について説明する。
図8に示す第2実施形態のスリーブ保持器具50では、内側軸体は上記実施形態の内側軸体22と同様に構成できるので、図示及び説明を省略する。外側筒体51は、収容開口部51aの壁面に開口孔51hを有するが、この開口孔51hは、上記第1実施形態の開口孔21hとは異なり、収容開口部51aの開口端の側に開放された切り欠き状に形成されている。このとき、上記内側軸体22に設けられるスリーブ把持アーム22b及びその先端のスリーブ把持爪22cは、上記第2の方位21gに沿った軸線21xの両側に配置されるので、開口孔51hを通してケーブル挿通孔11aに挿通される外科用ケーブルには干渉しない。これにより、スリーブ本体部11を収容内面部51dに嵌合させスリーブ保持器具50に保持固定した状態のままで、開口孔51hを介して図示しない外科用ケーブルをケーブル挿通孔に通すことができるとともに、ケーブル挿通孔に外科用ケーブルを挿通したままで、スリーブ保持器具50から外科用ケーブルをスリーブ本体部とともに取り外すことができる。したがって、後述するように、スリーブ本体部のケーブル挿通孔に対する外科用ケーブルの挿通作業や、スリーブ本体部に挿通させた外科用ケーブルの骨等に対する取り回し作業などにおいても、スリーブ本体部を位置決め保持するためにスリーブ保持器具50を用いることが可能になる。また、上述のような軸状導入部を備えない外科用ケーブルスリーブ40、40′では、その寸法が小さいことから手術中に落としてしまったり、術野(切開箇所)が狭いことにより外科用ケーブルQの挿通作業が困難になったり、外科用ケーブルスリーブ40,40′の上面と底面を逆様にして用いてしまったりする場合があるが、本実施形態のスリーブ保持器具50を用いて外科用ケーブルスリーブ40,40′を予め保持固定しておくことにより、手術中の取り扱いが容易になり、外科用ケーブルQを挿通しやすくなり、さらには、スリーブの上面と底面の取り違えも防止できるという効果が得られる。
【0076】
さらに、
図9及び
図10を参照して、異なる実施形態について説明する。
図9は、外科用ケーブルスリーブ60のスリーブ本体部61にスリーブ保持器具70を装着した状態をケーブル挿通孔61aの軸線方向に見た様子を示す部分断面図(a)、ケーブル挿通孔61aの軸線と直交する方向に見た様子を示す部分断面図(b)及び外観全体を示す外観図(c)である。また、
図10は、外科用ケーブルスリーブ60の平面図(a)、側面部分断面図(b)及び正面部分断面図(c)である。
図10に示す第3実施形態では、外科用ケーブルスリーブ60のスリーブ本体部61にケーブル挿通孔61aが一つだけ形成されている。このため、スリーブ本体部61の外形寸法がコンパクトに構成されている。より具体的に述べると、第1実施形態と同様に、ケーブル挿通孔61aの軸線と平行な第1の方位61fに沿ったスリーブ本体部61の長さ(第1実施形態の距離Laに相当する。)は、第1の方位61f及び軸状導入部62の軸線62xと直交する第2の方位61gに沿ったスリーブ本体部61の長さ(第1実施形態の距離Lbに相当する。)よりも大きいが、両長さの比は第1実施形態の値よりも大きく、1.5〜2.0倍程度となっている。スリーブ本体部61の上面61uと底面61dは第1実施形態と同様に相互に平行かつそれぞれが平坦に形成される。また、スリーブ本体部61の上面61uと外側面61sとの間の稜線部及び角部に、並びに、底面61dと外側面61sとの間の稜線部に、それぞれ面取り加工が施される。さらに、外側面61sには第1実施形態と同様にケーブル挿通孔61aが開口する一対の第1の傾斜外面部61saとケーブル挿通孔61aが開口しない一対の第2の傾斜外面部61sbとが設けられている。そして、軸線62xに対する第1の傾斜外面部61saの傾斜角度θaは、第2の傾斜外面部61sbの傾斜角度θbよりも大きく、傾斜角度θaは10度、傾斜角度θbは5度である点も第1実施形態と同様である。また、円筒面CYに沿った4つの円筒外面部61spが設けられる点も同様である。なお、ケーブル挿通孔61aの内面のうち開口縁側にある内面部分は、第1実施形態と同様に開口縁に近づくに従って拡径するように凸曲面状に構成されている。
【0077】
一方、スリーブ保持器具70は、上記各実施形態と同様に外側筒体71と内側軸体72からなり、外側筒体には収容開口部71dが設けられ、内側軸体72には奥側内面部72a、スリーブ把持アーム72b及びスリーブ把持爪72cが設けられるなど、基本的に上記実施形態と同様に構成される。なお、スリーブ保持器具70の収容開口部71aの内部に構成される収容内面部71dは、上記実施形態において記載したようにスリーブ本体部61と嵌合することによりその姿勢を規制することのできる形状であればよく、スリーブ本体部61の形状に応じて種々に構成することができる。なお、この場合に、スリーブ保持器具70においても、上記開口孔51hと同様の切り欠き部を形成することができる。このスリーブ保持器具70では、上述のようにスリーブ本体部61がコンパクトに構成されることにより、収容開口部71aが設けられた先端部をコンパクトに構成することができる。なお、外側筒体71には、第1実施形態と同様に上記第1の傾斜外面部61saに嵌合する第1の傾斜内面部と、上記第2の傾斜外面部61sbに対応する第2の傾斜内面部とが設けられ、これらは収容内面部71dに含まれる。また、外側筒体71には、第1実施形態と同様に上記円筒外面部61spを回避した形状の、或いは、上記円筒外面部61spと嵌合するように上記円筒面CYに沿った円筒内面状の、対応内面部が設けられ、これも収容内面部71dに含まれる。さらに、上記収容内面部71dには、第1実施形態と同様に内側軸体72に形成された前記奥側内面部72aが含まれる。なお、外側筒体71には、スリーブ把持アーム72bが収容されるアーム収容溝71eも形成されている。この実施例でも、スリーブ保持器具70の基端部に設けられる軸状接続部或いは回転駆動部は、上記収容開口部71a内に装着された外科用ケーブルスリーブ60の軸状導入部62と同軸に構成される。
【0078】
本実施形態では、スリーブ本体部61にケーブル挿通孔61aが一つだけ設けられることにより、クリンパによるクリンプ時の操作容易性や確実性を高めることができる。また、ケーブルを外科用ケーブルスリーブ60で1箇所ずつ固定することができるため、ケーブルの取り回し態様の自由度を高めることができ、クリンプ後の外科用ケーブルに対する保持固定力も大きくすることができる。さらに、
図11(b)及び(c)を参照して後述するように、外科用ケーブルに張力を加えたときにスリーブ本体部11が外科用ケーブルを屈折させる方向に回旋するといったことが生じないため、取り扱いが容易になる。なお、この外科用ケーブルスリーブ60を用いた手術方法としては、例えば、以下のようなものが考えられる。まず、骨の二箇所にそれぞれ軸状導入部62を導入して2つの外科用ケーブルスリーブ60を固定する。次に、ケーブル挿通孔61aを通過できない拡径された頭部を一端に形成した外科用ケーブルを、他端から一方の外科用ケーブルスリーブ60のケーブル挿通孔61aに挿通し、外科用ケーブルの他端を骨の穿孔に通過させてから他方の外科用ケーブルスリーブ60のケーブル挿通孔61aに挿通する。そして、外科用ケーブルの他端を牽引して張力を加えた状態で、2つの外科用ケーブルスリーブ60のスリーブ本体部61をクリンプする。最後に、2つのスリーブ本体部61からはみ出た外科用ケーブルの両端を切断する。
【0079】
[本実施形態の使用方法]
最後に、
図11及び
図12を参照して、上記外科用ケーブルスリーブシステムを用いた手術態様の一例を説明する。
図11(a)は、本実施形態の外科用ケーブルスリーブ10及びスリーブ保持器具20を回転駆動工具80に接続し、外科用ケーブルスリーブ10の軸状導入部12を骨B内に導入する様子を示す。ここで、本実施形態の外科用ケーブルスリーブ10は
図6に示すように上記スリーブ保持器具20に装着された態様で手術現場に供給される。この態様では、外科用ケーブルスリーブ10及びスリーブ保持器具20は、滅菌処理された状態で、当該状態を維持可能な包装体内に密閉されることが好ましい。回転駆動工具80は、先端にチャック81を備え、このチャック81によってスリーブ保持器具20を回転方向及び軸線方向に固定することができる。より具体的には、図示例の場合、上述の連結具24が内側軸体22の軸状接続部22hに連結されるとともに、チャック81によって連結具24の軸状体24aの後端部が回転駆動工具80と回転方向及び軸線方向に固定される。このようにして、回転駆動工具80を稼働させると、スリーブ保持器具20は外科用ケーブルスリーブ10とともに回転駆動され、外科用ケーブルスリーブ10の軸状導入部12は先端刃12aから軸線12xに沿って骨B内にねじ込まれる。このとき、外科用ケーブルスリーブ10の軸状導入部12とスリーブ保持器具20の軸状接続部22hは同軸に構成されるので、軸ぶれが生ずることもなく、軸状導入部12は安定した状態で骨B内に刺入される。
【0080】
図11(b)は、上述のようにして骨Bに軸状導入部12を挿入した外科用ケーブルスリーブ10に外科用ケーブルQを挿通させた状態を示す平面図である。この場合、外科用ケーブルQは、一方のケーブル挿通孔11aに挿通された後に骨Bを周回して他方のケーブル挿通孔11aに挿通される。その後、外科用ケーブルQの両端に図示しないテンショナーを用いて張力Rを加え、外科用ケーブルQで骨Bを締付ける。この場合、外科用ケーブルQの両端に張力Rを加えると、外科用ケーブルQを介してスリーブ本体部11は図示の回旋力Sを受けるため、
図11(c)に示すように、スリーブ本体部11が軸状導入部12を中心として回旋してしまう。このような場合には、
図8に示すスリーブ保持器具50を用いることが好ましい。この場合においても、スリーブ保持器具50を
図11(a)に示すように回転駆動工具80に連結して骨B内に軸状導入部12を刺入する。その後、スリーブ保持器具50を外科用ケーブルスリーブ10のスリーブ本体部11に装着した状態とし、この状態で、上記切り欠き状の開口孔51hを通して外科用ケーブルQをケーブル挿通孔11aに挿通させる。そして、外科用ケーブルQの両端に張力Rを加える際には、スリーブ本体部11が回旋しないようにスリーブ保持器具50を把持してその回転を妨げるようにする。その後、スリーブ保持器具50を外科用ケーブルQ及びスリーブ本体部11から取り外し、クリンプ等の作業を行う。なお、
図7(e)及び(f)に示す軸状導入部12を備えていない外科用ケーブルスリーブ40,40′であっても上記と同様に外科用ケーブルに張力Rを加えることにより上述の回旋力Sを受けるので、これらの外科用ケーブルスリーブ40,40′を用いる場合でもスリーブ保持器具50は有効である。
【0081】
図12は膝蓋骨骨折を治療する方法を示す。この方法では、
図12(a)に示すように、2本の上記外科用ケーブルスリーブ10の軸状導入部12を膝蓋骨Pにそれぞれ刺入し、軸状導入部12の先端部が膝蓋骨Pの反対側より僅かに突出した状態とする。そして、膝蓋骨Pの反対側より突出した軸状導入部12の先端部に係合させた外科用ケーブルQを、
図12(b)に示すように、スリーブ本体部11のケーブル挿通孔11aに挿通させ、外科用ケーブルQを図示のような8の字状に架設する。そして、外科用ケーブルQの両端に張力Rを与えた状態で、スリーブ本体部11をクリンパなどの工具で押しつぶすことで、外科用ケーブルQをスリーブ本体部11にカシメ固定する。
【0082】
このとき、上記の軸状導入部12を膝蓋骨P内に刺入する際には、スリーブ本体部11を上述のスリーブ保持器具20で保持固定した状態で、スリーブ保持器具20を上述のような回転駆動工具により回転駆動することで、回転する軸状導入部12の先端刃12aで膝蓋骨Pを掘り込みながら徐々に軸状導入部12を刺入していく。このとき、上記軸状接続部22hは軸状導入部12と同軸に構成されているので、軸状導入部12が軸ぶれすることなく、安定かつ容易に骨内に導入することができる。なお、上記各実施形態を用いた手術の適用対象としては、上記の膝蓋骨骨折に限らず、股関節骨折、大腿骨骨折、人工股関節置換、骨幹部骨折、肘頭骨折、足関節内果骨折などの固定手術などが挙げられる。
【0083】
そして、上述のように軸線12xに対する傾斜角度θbが傾斜外面部11saの傾斜角度θaよりも小さい両側の傾斜外面部11sbをクリンパ等により押しつぶすことで、カシメ固定を容易に行うことができる。また、ケーブル挿通孔11aの貫通方向に沿った長さ(一対の第1の傾斜外面部11saの間の距離La)が当該貫通方向及び上記軸線12xに共に直交する方向の幅(一対の第2の傾斜外面部11sbの間の距離Lb)より長いため、ケーブル長さ方向のカシメ固定の範囲を十分に確保しやすくなるとともに、複数箇所のカシメ固定も可能であるため、外科用ケーブルQの固定力を容易に高めることができる。
【0084】
なお、上記のようにスリーブ保持器具20,50,70を回転駆動して外科用ケーブルスリーブ10,60の軸状導入部12,62を骨内へ導入していく際に、何らかの理由で軸状導入部12に導入抵抗が加わることで軸状導入部12,62が折損すると、骨内の軸状導入部12,62の残留部分を除去することが極めて困難になる。そこで、上記スリーブ保持器具において回転駆動力を伝達する経路途中、例えば、スリーブ保持器具20,50,70の回転方向係合軸部22faと軸状接続部22hとの間に回転駆動力に対する脆弱部(切り込み部や縮径部など)を形成しておくことにより、上記導入抵抗が加わったときに軸状導入部12,62が折損する前に上記脆弱部が折損し、結果として軸状導入部12,62の折損を防止することができるようにしてもよい。
【0085】
尚、本発明の外科用ケーブルスリーブシステム及び外科用ケーブルスリーブは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記第1実施形態では、平面視で矩形状のスリーブ本体部11を備えた外科用ケーブルスリーブ10と、これに対応する収容内面部21dや奥側内面部22dを備えた規制嵌合面を収容開口部21aの内部に有するスリーブ保持器具20について詳細に説明したが、スリーブ保持器具20の規制嵌合面については、
図7(c)や(d)に示されるスリーブ本体部31,31′などの各種の形状を有するスリーブ本体部の形状に容易に対応させて設計することができる。すなわち、外科用ケーブルスリーブのスリーブ本体部がスリーブ保持器具の収容開口部に挿入可能であって、スリーブ本体部の外面が規制嵌合面に嵌合し、スリーブ本体部の姿勢が規制されるように構成されていればよい。したがって、スリーブ保持器具の規制嵌合面は、スリーブ本体部を軸線に沿って収容開口部に挿入したときにそのまま嵌合する形状とすればよく、例えば、上記の錐台形状の外側面31s,31s′では、これらに整合する逆錐台形状の内面を有するものとすればよい。
【0086】
また、上記各実施形態では、スリーブ保持器具に収容開口部を設け、スリーブ本体部を収容開口部内に収容したときに嵌合によりスリーブ本体部の姿勢が規制されるように構成されているが、本発明はこのような収容構造に限らず、スリーブ規制嵌合部によりスリーブ本体部の姿勢を規制した状態でスリーブ保持部により着脱可能に保持固定することができるスリーブ装着部を備えていればよい。例えば、スリーブ保持部としては、上記一対のスリーブ把持アーム22bを有するものに限らず、単一のスリーブ把持アームを備えたものであってもよい。さらに、スリーブ保持器具に適用される外科用ケーブルスリーブとしては、ケーブル挿通孔を備えたスリーブ本体部を有するものであればよく、各添付図面に示された軸状導入部を備えたもの、平坦な上面及び底面を備えたもの等には限定されない。