特許第6367595号(P6367595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367595
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/34 20060101AFI20180723BHJP
   E06B 9/388 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   E06B9/34
   E06B9/388
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-77709(P2014-77709)
(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公開番号】特開2015-200066(P2015-200066A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100123733
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 大樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】江上 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】江川 健
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−221066(JP,A)
【文献】 特開2009−203781(JP,A)
【文献】 特開2001−173344(JP,A)
【文献】 実公昭15−013915(JP,Y1)
【文献】 実開昭64−046397(JP,U)
【文献】 米国特許第06758258(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06− 9/18
E06B 9/24− 9/388
E06B 9/40− 9/50
E06B 9/56− 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透光性シートと、
第2透光性シートと、
前記第1透光性シートの一端と前記第2透光性シートの一端とを、当該第1透光性シートと当該第2透光性シートとが対向するようにかつ第1間隔を空けて第1方向で支持する支持部材と、
前記第1透光性シートと前記第2透光性シートとの間に設けられた複数のルーバと、
前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートを前記第1方向で相対移動させて当該第1透光性シートと前記第2透光性シートとの間隔を変化させることで前記複数のルーバ間を開閉可能な開閉機構と、
前記第1透光性シートの他端と前記第2透光性シートの他端とを第2間隔を空けて接続するボトムレールであって、前記第2間隔を二分する中心線よりも前記第1透光性シート側において前記第1方向または前記対向方向に突出する突出部を有し、前記ルーバ間が開放された状態において前記中心線よりも前記第1透光性シート側に重心を有するボトムレールと
を具備し、
前記支持部材は、
前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートを前記ルーバ間が閉塞された状態で巻き取り可能な巻取パイプと、
当該巻取パイプによる前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートの巻き取りに伴い前記ボトムレールが前記支持部材側へ移動した場合に、前記突出部に当接して前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートのさらなる巻き取りを規制する規制部とを有する
ブラインド。
【請求項2】
請求項1に記載のブラインドであって、
前記開閉機構は、前記第1透光性シートを前記支持部材から離れる方向へ移動させ、前記第2透光性シートを前記支持部材へ近づく方向へ移動させることで前記ルーバ間を閉塞させ、
前記支持部材は、前記規制部が前記突出部に当接した状態で前記ボトムレールの前記第2の透光性シート側の少なくとも一部を収容する収容部を有する
ブラインド。
【請求項3】
第1透光性シートと、
第2透光性シートと、
前記第1透光性シートの一端と前記第2透光性シートの一端とを、当該第1透光性シートと当該第2透光性シートとが対向するようにかつ第1間隔を空けて第1方向で支持する支持部材と、
前記第1透光性シートと前記第2透光性シートとの間に設けられた複数のルーバと、
前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートを前記第1方向で相対移動させて当該第1透光性シートと前記第2透光性シートとの間隔を変化させることで前記複数のルーバ間を開閉可能な開閉機構と、
前記第1透光性シートの他端と前記第2透光性シートの他端とを第2間隔を空けて接続するボトムレールであって、前記第2間隔を二分する中心線よりも前記第1透光性シート側において前記第1方向または前記対向方向に突出する突出部を有し、前記ルーバ間が開放された状態において前記中心線よりも前記第1透光性シート側に重心を有するボトムレールと
を具備し、
前記ボトムレールは、前記ルーバ間が開放された状態において当該ルーバと対向する第1面と、当該第1面に対向する第2面と、前記第1面に設けられ前記第1透光性シートの他端と接続される第1接続部と、前記第2面に設けられ前記第2透光性シートの他端と接続される第2接続部とを有する
ブラインド。
【請求項4】
第1透光性シートと、
第2透光性シートと、
前記第1透光性シートの一端と前記第2透光性シートの一端とを、当該第1透光性シートと当該第2透光性シートとが対向するようにかつ第1間隔を空けて第1方向で支持する支持部材と、
前記第1透光性シートと前記第2透光性シートとの間に設けられた複数のルーバと、
前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートを前記第1方向で相対移動させて当該第1透光性シートと前記第2透光性シートとの間隔を変化させることで前記複数のルーバ間を開閉可能な開閉機構と、
前記第1透光性シートの他端と前記第2透光性シートの他端とを第2間隔を空けて接続するボトムレールであって、前記第2間隔を二分する中心線よりも前記第1透光性シート側において前記第1方向または前記対向方向に突出する突出部を有し、前記ルーバ間が開放された状態において前記中心線よりも前記第1透光性シート側に重心を有するボトムレールと
を具備し、
前記突出部は、前記ボトムレールの長手方向に沿って移動可能な錘を内蔵する
ブラインド。
【請求項5】
第1透光性シートと、
第2透光性シートと、
前記第1透光性シートの一端と前記第2透光性シートの一端とを、当該第1透光性シートと当該第2透光性シートとが対向するようにかつ第1間隔を空けて第1方向で支持する支持部材と、
前記第1透光性シートと前記第2透光性シートとの間に設けられた複数のルーバと、
前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートを前記第1方向で相対移動させて当該第1透光性シートと前記第2透光性シートとの間隔を変化させることで前記複数のルーバ間を開閉可能な開閉機構と、
前記第1透光性シートの他端と前記第2透光性シートの他端とを第2間隔を空けて接続するボトムレールであって、前記第2間隔を二分する中心線よりも前記第1透光性シート側において前記第1方向に突出する突出部を有するボトムレールとを具備し、
前記支持部材は、
前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートを前記ルーバ間が閉塞された状態で巻き取り可能な巻取パイプと、
当該巻取パイプによる前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートの巻き取りに伴い前記ボトムレールが前記支持部材側へ移動した場合に、前記突出部に当接して前記第1透光性シート及び前記第2透光性シートのさらなる巻取りを規制する規制部とを有する
ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、調光機能を有するロールタイプのブラインドが存在する。下記特許文献1には、支持フレームに対し回転可能に支持された巻上筒から二枚の生地を同巻上筒に沿って吊下支持し、両生地の間には上下に多数段のスラットを支持し、両生地の下端にボトムレールを吊下支持し、上記支持フレームに設けられた操作手段で巻上筒を回転駆動することにより生地を介して各スラットを角度調節可能とするとともに、生地とスラットとを巻上筒に巻き取り可能とした巻上型ブラインドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−221066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このブラインドにおいては、ボトムレールは下面が下方へ膨らむように湾曲形成された本体と、その本体に嵌着される嵌着部材とから筒状に構成され、嵌着部材が本体に嵌着されることにより、本体と嵌着部材との間に上記生地が挟着されるようになっている。したがって、上記ボトムレールの重心は、その形状から、スラットが開いた状態において両生地の中央付近に位置することになる。
【0005】
そうすると、巻上筒が巻上げ方向に回転し生地が巻上筒により引き上げられてスラットが(閉じる方向へ)傾動し、それに伴いボトムレールも傾動した場合には、スラットには、ボトムレールの傾動方向とは逆方向の力、すなわち二枚の生地が離間する方向の力が作用することになるため、二枚の生地が接する程度までスラットが完全に閉じられず、遮蔽性が低下してしまうという問題があった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、遮蔽性を向上させることが可能なブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るブラインドは、第1透光性シートと、第2透光性シートと、支持部材と、複数のルーバと、開閉機構と、ボトムレールとを有する。上記支持部材は、上記第1透光性シートの一端と上記第2透光性シートの一端とを、当該第1透光性シートと当該第2透光性シートとが対向するようにかつ第1間隔を空けて第1方向で支持する。上記複数のルーバは、上記第1透光性シートと上記第2透光性シートとの間に設けられる。上記開閉機構は、上記第1透光性シート及び上記第2透光性シートを上記第1方向で相対移動させて当該第1透光性シートと上記第2透光性シートとの間隔を変化させることで上記複数のルーバ間を開閉可能である。上記ボトムレールは、上記第1透光性シートの他端と上記第2透光性シートの他端とを第2間隔を空けて接続する。またボトムレールは、上記第2間隔を二分する中心線よりも上記第1透光性シート側において上記第1方向または上記対向方向に突出する突出部を有し、上記ルーバ間が開放された状態において上記中心線よりも上記第1透光性シート側に重心を有する。
【0008】
これによりブラインドは、ボトムレールに設けられた突出部により、ボトムレールの重心を第1透光性シート側ヘ偏らせ、かつ、突出部を第1方向または対向方向にも突出させることで、ルーバ間が閉塞された状態において、ボトムレールの重心がより低い位置となり、第1透光性シートに対して下方へ引っ張る力が作用するとともに、ボトムレールが起立する(垂直な)姿勢を保とうとするため、ルーバの遮蔽性を向上させることができる。
【0009】
上記支持部材は、巻取パイプと規制部とを有してもよい。上記巻取パイプは、上記第1透光性シート及び上記第2透光性シートを上記ルーバ間が閉塞された状態で巻き取り可能である。上記規制部は、当該巻取パイプによる上記第1透光性シート及び上記透光性シートの巻き取りに伴い上記ボトムレールが上記支持部材側へ移動した場合に、上記突出部に当接して上記第1透光性シート及び上記第2透光性シートのさらなる巻き取りを規制する。
【0010】
これによりブラインドは、突出部を規制部に当接させて係止させることで、ボトムレールが巻取パイプに巻き込まれるのを防止でき、さらに第1透光性シート及び第2透光性シートが本来とは逆方向へ巻き上げられてしまう、いわゆる逆巻きを防止することができる。
【0011】
上記開閉機構は、上記第1透光性シートを上記支持部材から離れる方向へ移動させ、上記第2透光性シートを上記支持部材へ近づく方向へ移動させることで上記ルーバ間を閉塞させてもよい。この場合上記支持部材は、上記規制部が上記突出部に当接した状態で上記ボトムレールの上記第2の透光性シート側の少なくとも一部を収容する収容部を有してもよい。
【0012】
これによりブラインドは、突出部が規制部に当接した状態でボトムレールの第2透光性シート側を支持部材内に収容することができるため、第1透光性シート及び第2透光性シートが限界まで巻き取られた場合にボトムレールの露出量を最小限に抑えることができ、巻き取り時の見栄えを向上させることができる。
【0013】
上記ボトムレールは、上記ルーバ間が開放された状態において当該ルーバと対向する第1面と、当該第1面に対向する第2面と、上記第1面に設けられ上記第1透光性シートの他端と接続される第1接続部と、上記第2面に設けられ上記第2透光性シートの他端と接続される第2接続部とを有してもよい。
【0014】
これによりブラインドは、ボトムレールにおいて、第1透光性シートが第1面(上面)、第2透光性シートが第2面(下面)にそれぞれ接続されることで、開閉機構によりルーバ間が閉塞された場合に、第2透光性シートがボトムレールの第2面を引き上げてボトムレールを起立させる方向の力が作用するため、ルーバの遮蔽性をより向上させることができる。
【0015】
上記突出部は、上記ボトムレールの長手方向に沿って移動可能な錘を内蔵してもよい。
【0016】
これによりブラインドは、突出部に内蔵された錘により、ボトムレールの重心を第1透光性シート側寄りにすることで、ルーバ閉塞時において第1透光性シートを下方へ引っ張りかつボトムレールを起立させることでルーバ間の遮蔽性を向上できるとともに、錘をボトムレールの長手方向に沿って移動可能とすることで、ブラインド正面視における第1透光性シート及び第2透光性シートの左右のバランスを調整して、巻き取り時の巻き乱れを防止することができる。
【0017】
本発明の他の形態に係るブラインドは、第1透光性シートと、第2透光性シートと、支持部材と、複数のルーバと、開閉機構と、ボトムレールとを有する。上記支持部材は、上記第1透光性シートの一端と上記第2透光性シートの一端とを、当該第1透光性シートと当該第2透光性シートとが対向するようにかつ第1間隔を空けて第1方向で支持する。上記複数のルーバは、上記第1透光性シートと上記第2透光性シートとの間に設けられる。上記開閉機構は、上記第1透光性シート及び上記第2透光性シートを上記第1方向で相対移動させて当該第1透光性シートと上記第2透光性シートとの間隔を変化させることで上記複数のルーバ間を開閉可能である。上記ボトムレールは、上記第1透光性シートの他端と上記第2透光性シートの他端とを第2間隔を空けて接続する。またボトムレールは、上記第2間隔を二分する中心線よりも上記第1透光性シート側において上記第1方向に突出する突出部を有する。上記支持部材はさらに、巻取パイプと規制部とを有する。上記巻取パイプは、上記第1透光性シート及び上記第2透光性シートを上記ルーバ間が閉塞された状態で巻き取り可能である。上記規制部は、当該巻取パイプによる上記第1透光性シート及び上記透光性シートの巻き取りに伴い上記ボトムレールが上記支持部材側へ移動した場合に、上記突出部に当接して上記第1透光性シート及び上記第2透光性シートのさらなる巻取りを規制する。
【0018】
これによりブラインドは、ボトムレールに設けられた突出部により、ボトムレールの重心を第1透光性シート側ヘ偏らせることで、ルーバ間が閉塞された状態において、ボトムレールの重心がより低い位置となり、第1透光性シートに対して下方へ引っ張る力が作用するとともに、ボトムレールが起立する(垂直な)姿勢を保とうとするため、ルーバの遮蔽性を向上させることができる。さらにブラインドは、突出部を規制部に当接させて係止させることで、ボトムレールが巻取パイプに巻き込まれるのを防止でき、さらに第1透光性シート及び第2透光性シートが本来とは逆方向へ巻き上げられてしまう、いわゆる逆巻きを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、遮蔽性を向上させることができる。しかし、この効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るブラインドの正面図である。
図2】上記ブラインドのルーバ間が開放された状態を示す側面図である。
図3図2に示したブラインドの断面図である。
図4図3に示したボトムレールの拡大断面図である。
図5図3に示したブラインドのシートを下限まで巻き下げてルーバ間を閉塞した状態を示した断面図である。
図6図3に示したブラインドのシートを上限まで巻き取った状態を示した断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るブラインドの下部の側面方向の断面図である。
図8図7に示したブラインドのルーバが閉塞した状態を示した断面図である。
図9】ボトムレールの突出部の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係るブラインドについて説明する。
【0023】
[ブラインドの構成]
図1は、本実施形態に係るブラインドの正面図である。また図2は、当該ブラインドのルーバ間が開放された状態を示す側面図である。また図3は、図2に示したブラインドの断面図である。また図4は、図3に示したボトムレールの拡大断面図である。
【0024】
これらの図に示すように、ブラインド100は、支持部材1と、前方シート2と、後方シート3と、複数のルーバ4と、ボトムレール5とを有する。
【0025】
前方シート2及び後方シート3は、透光性を有する例えばレース等の半透明または透明のシートであり、それらの各上端が、支持部材1によって所定間隔(図3のD1)を空けてY方向で支持される。ここで「前方」とは、図1のZ方向手前側(図2及び図3の左側)であり、「後方」とは、図1のZ方向奥側(図2及び図3の右側)である。
【0026】
前方シート2と後方シート3との間には、複数のルーバ4が、Y方向に沿って間隔を空けて設けられている。前方シート2及び後方シート3と各ルーバ4との接続方法は接着でもよいし縫製でもよい。
【0027】
各ルーバ4は、合成樹脂繊維または天然繊維からなる織布、編布、不織布、紙シート、合成樹脂シート、木材シートといった任意の材質からなるシートである。各ルーバ4は可撓性を有していてもよい。
【0028】
図1から図3に示すように、前方シート2と後方シート3とが上記所定間隔だけ離間し、各ルーバ4がそれら前方シート2及び後方シート3と略直交する(XZ平面上にある)状態にある場合には、隣り合うルーバ4の間が開放された状態である。この開放状態においては、日射等の外部からの光が、後方シート3を透過し、ルーバ4に反射して、前方シート2を透過して、あるいは後方シート3を透過した光が直接前方シート2を透過して室内に差し込む。
【0029】
一方、前方シート2と後方シート3とが近接し、各ルーバ4が前方シート2及び後方シート3と略平行な状態にある場合には、隣り合うルーバ4の間が閉塞された状態である。この閉塞状態においては、上記外部からの光は後方シート3を通過するが閉塞状態にあるルーバ4によって遮蔽される。
【0030】
図3に示すように、支持部材1は、セットフレーム13を有する。ブラインド100は、当該セットフレーム13が、その後方(後方シート3側)に設けられたブラケット12(図3参照)を介して窓枠や壁等にネジ等によって固定されることで設置される。図1及び図2に示すように、支持部材1の側面には、サイドカバー11が設けられている。
【0031】
また図3に示すように、支持部材1は、内部に巻取パイプ14を回転可能に保持する。巻取パイプ14の一端には、図示しないプーリが設けられており、プーリはこれに巻き掛けられる操作コード8(図1及び図2参照)によって回転駆動され、この回転が巻取パイプ14に伝達される。当該プーリはプーリケース7(図1及び図2参照)に収容されている。
【0032】
これらプーリ、操作コード8及び巻取パイプ14は、前方シート2及び後方シート3の巻き取り(上昇)及び巻き下げ(下降)に用いられるほか、前方シート2及び後方シート3が巻き下げられた状態においては、ルーバ4間の開放状態と閉塞状態とを切り替える開閉機構として機能する。
【0033】
(ボトムレール)
図1から図4に示すように前方シート2及び後方シート3の各下端には、ボトムレール5が接続されている。
【0034】
図2に示すように、ボトムレール5の両側面には、ボトムレールキャップ21が接続されている。また図2から図4に示すように、ボトムレール5の下面5bであって、前方シート2側には、Y方向及びZ方向に突出する突出部20が設けられている。
【0035】
図3及び図4に示すように、ボトムレール5は、前方シート2の下端と後方シート3の下端とを、所定間隔(両図のD2)を空けて接続する。
【0036】
図4に示すように、上記突出部20は、上記間隔D2を二分する中心線Cよりも前方シート2側に形成される。当該形状により、突出部20は、ルーバ4間が開放された状態(ボトムレール5がXZ平面と略平行な状態)において、上記中心線Cよりも前方シート2側に重心を有する。
【0037】
ボトムレール5は、ルーバ4間が開放された状態でルーバ4と対向する上面5aと、当該上面5aに対向する下面5bとを有する。ボトムレール5の上面5aの前方側及び後方側の各端部(Z方向の左右端部)には、上記前方シート2の下端及び後方シート3の下端をそれぞれ接続することで両シートを取り付ける取付部22が設けられる。
【0038】
取付部22は、例えば逆T字状の溝として形成されており、当該溝には、上記前方シート2の下端及び後方シート3の下端が底面側に連結された取付プレート23が挿入される。
【0039】
また、突出部20の内部は空洞とされており、その空洞には、錘24が内蔵されている。当該錘24は、ボトムレール5の長手方向(X方向)において移動可能とされている。
【0040】
上記錘24としては、例えばボトムレール5の長手方向のサイズよりも短いサイズの長尺状のものが1つ設けられる。
【0041】
当該錘24は、前方シート2及び後方シート3のX方向(図1の左右方向)におけるバランスを調整して、巻き取り時における巻き乱れを防止するとともに、突出部20の形状と相俟って、上記ボトムレール5の重心を前方シート2側へ偏らせる役割を担う。
【0042】
また、図2及び図3に示すように、支持部材1の後方であって、ブラケット12の下方には、例えば弾性体等からなる緩衝材15が設けられている。当該緩衝材15は、巻取パイプ14による前方シート2及び後方シート3の巻き取り時において、ボトムレール5が支持部材1側へ移動した際に、ボトムレール5の突出部20に当接する。すなわち、緩衝材15は、前方シート2及び後方シート3のさらなる巻き取りを規制する規制部(ストッパー)として機能する。
【0043】
また、支持部材1内部の巻取パイプ14とブラケット12との間には、上記巻き取り時において、上記緩衝材15が上記突出部20に当接した状態で、ボトムレール5の後方シート3側の少なくとも一部(緩衝材15と当接しない部分)を収容するボトムレール収容部16が設けられている。
【0044】
[ブラインドの動作]
次に、以上のように構成されたブラインド100の動作について説明する。
【0045】
(ルーバの開閉動作)
まず、ルーバ4の開閉動作について説明する。図5は、図3に示したブラインド100の前方シート2及び後方シート3を下限まで巻き下げてルーバ4間を閉塞した状態を示した断面図である。
【0046】
前方シート2及び後方シート3が全て巻き下げられた状態においては、上記巻取パイプ14の回転により前方シート2と後方シート3とがY方向で相対移動し、両シートの間隔が変化することで、上記ルーバ4の開放状態と開閉状態とが切替可能とされる。
【0047】
すなわち、図3及び図5に示すように、図3に示した状態から、例えば上記操作コード8の前方側が引き下ろされ、巻取パイプ14が図5における反時計回り方向へ回転すると、前方シート2が支持部材1から離れる方向へ、後方シート3が支持部材1へ近づく方向へ、それぞれ移動し、前方シート2よりも後方シート3の位置が高くなるとともに、ルーバ4がXY平面方向(図5の矢印方向)へ傾動していくことで、図5に示すような、ルーバ4間が閉塞した状態となる。
【0048】
この際、ボトムレール5に設けられた突出部20により、ボトムレール5の重心が前方シート2側へ偏っており、かつ、突出部20が、図5のZ方向のみならずY方向(下方)にも突出していることで、ルーバ4間の閉塞状態において、ボトムレール5の重心がより低い位置となる。したがって、前方シート2に対して下方へ引っ張る力が作用するとともに、ボトムレールが起立する(垂直な)姿勢を保とうとするため、前方シート2、ルーバ4及び後方シート3が互いに重なり合いやすくなり、ルーバ4による遮蔽性が向上する。
【0049】
一方、図5に示した状態から、例えば上記操作コード8の後方側が引き下ろされ、巻取パイプ14が上記時計回り方向へ回転すると、前方シート2の高さと後方シート3の高さとが同等となっていくとともにルーバ4がXZ平面方向へ傾動していくことで、図3に示すような、ルーバ4間が開放した状態となる。
【0050】
この際、上記突出部20(及び錘24)の荷重により、ブラインド100を正面視するユーザにとって、前方シート2のフラット感が高まり、見栄えが向上する。
【0051】
(シートの巻き取り動作)
次に、上記前方シート2及び後方シート3の巻き取り動作について説明する。
【0052】
図6は、上記図3に示したブラインド100の前方シート2及び後方シート3が上限まで巻き取られた状態を示した断面図である。
【0053】
図5及び図6に示すように、図5に示したルーバ4の閉塞状態から、例えば操作コード8の前方側が引き下ろされることで、上記巻取パイプ14が図5における反時計回り方向へ回転し、上記前方シート2及び後方シート3が支持部材1側(Y方向上側)へ巻き取られて上昇する。
【0054】
この際、図6に示すように、前方シート2及び後方シート3が全て巻き取られると、ボトムレール5の突出部20の側面が上記緩衝材15に当接し、前方シート2及び後方シート3並びにボトムレール5のさらなる巻き取りが規制される。
【0055】
これにより、ボトムレール5が巻取パイプ14に巻き込まれるのが防止され、さらに前方シート2及び後方シート3が本来とは逆方向へ巻き上げられてしまう、いわゆる逆巻きも防止される。
【0056】
また図6に示すように、上記当接と同時に、ボトムレール5の後方シート3側(突出部20が形成されていない部分)は、支持部材1の上記ボトムレール収容部16に収容される。
【0057】
これにより、前方シート2及び後方シート3が上限まで巻き取られた場合に、ボトムレール5の露出量が最小限に抑えられるため、見栄えが向上する。すなわち、ボトムレール5の突出部20が、ルーバ4の遮蔽性を向上させる機能とストッパーとしての機能を兼ねることで、ボトムレール5の形状が不必要に大型化することなく、見栄えが向上する。
【0058】
一方、前方シート2及び後方シート3が全て巻き取られた状態から、例えば操作コード8の後方側が引き下ろされることで、上記巻取パイプ14が図2及び図3における時計回り方向へ回転し、前方シート2及び前方シート2が巻き下げられて下降する。
【0059】
この場合も、上記突出部20(及び錘24)の荷重により、さらなる操作コード8の引き下ろしがなされない限り、ルーバ4の閉塞状態が維持される。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、ブラインド100は、ボトムレール5に設けられた突出部20(及び錘24)により、ルーバ4の閉塞時における遮蔽性を向上させることができる。
【0061】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るブラインドについて説明する。本実施形態において、上記第1実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0062】
図7は、本実施形態に係るブラインドの、ルーバが開放した状態を示す下部側面方向の断面図である。また図8は、図7に示したブラインドのルーバが閉塞した状態を示した断面図である。
【0063】
本実施形態に係るブラインド200においては、上述の第1実施形態と比較して、ボトムレール5において上記前方シート2及び後方シート3が取り付けられる位置が異なる。
【0064】
すなわち、第1実施形態では、2つの取付部22はいずれもボトムレール5の上面5aに設けられたため、前方シート2及び後方シート3はいずれもボトムレールの上面5aに取り付けられた。
【0065】
しかし、本実施形態に係るブラインド200では、図7に示すように、前方シート2の下端を取り付けるための取付部22及び取付プレート23はボトムレール5の上面5aに設けられる一方、後方シート3の下端を取り付けるための取付部22及び取付プレート23はボトムレール5の下面5bに設けられる。換言すると、後方シート3は、ボトムレール5の下面5bの後方端部を下方から抱え込むように設けられる。
【0066】
このように、前方シート2がボトムレール5の上面5a、後方シート3がボトムレール5の下面5bに接続されることで、図7に示したルーバ4の開放状態から、上記巻取パイプ14の回転により後方シート3が上昇しルーバ4が閉塞状態へ移行する際には、後方シート3がボトムレール5を引き上げる力(図7の矢印参照)がボトムレール5の下面5b側に作用して、図8に示すように、ボトムレール5を垂直に起立させる。これにより、ルーバ4の遮蔽性がより向上する。
【0067】
<変形例>
本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0068】
ボトムレール5及び突出部20の構成は、上述した各実施形態における構成に限られない。
【0069】
例えば、上述の実施形態では、突出部20はボトムレール5の下面5bから(図4のY方向へ)突出し、かつ、ボトムレール5の側面から(図4のZ方向へ)突出した構成とされたが、いずれか一方方向にのみ突出していてもよい。
【0070】
図9は、ボトムレール5の下面5bから突出した突出部20の変形例を示す。同図では、説明の都合上、上記前方シート2及び後方シート3並びに2つの取付プレート23は省略しているが、同図左側が前方シート2側、同図右側が後方シート3側である。
【0071】
前方シート2がボトムレール5の上面5aの取付部22に取り付けられ、後方シート3がボトムレール5の下面5bの取付部22に取り付けられる点は上記第2実施形態と共通である。
【0072】
同図に示すように、この例では、突出部20は断面が略D字状とされ、そのY方向の高さは上記第1及び第2実施形態の突出部20よりも大きく設定されている。これにより、ブラインドのY方向のサイズに応じて、巻取パイプ14による巻き取り状態における前方シート2及び後方シート3の、巻取パイプ14の半径方向における厚みが変わっても、突出部20が緩衝材15に適切に当接することができる。
【0073】
また錘24は、上記第1及び第2実施形態におけるものと比べて、高さ方向に大きく、幅方向に小さいものが用いられ、また、ボトムレール5の上面5a側かつやや中央寄りに設けられている。
【0074】
また突出部20は、緩衝材として機能する弾性体等の材料から形成されてもよい。この場合、上記支持部材1には上記緩衝材15は設けられなくても構わない。
【0075】
また、突出部20は、前方シート2及び後方シート3のY方向の長さに応じて、その図2図3のY方向(図6のZ方向)における突出度合いが変更されてもよい。
【0076】
すなわち、支持部材1が前方シート2及び後方シート3のY方向の長さに関わらず同一の物が用いられる場合、巻取パイプ14による巻き取り状態における前方シート2及び後方シート3の、巻取パイプ14の半径方向における厚みが変わることになる。したがって、その厚みに応じて突出部20が緩衝材15に適切に当接するように、突出部20の図6のZ方向における高さが調整されてもよい。
【0077】
また、上記突出部20の高さ調整に代えて、またはそれに加えて、上記巻き取り状態における半径方向の厚みに応じて、上記支持部材1に設けられる緩衝材15の位置が、図6のZ方向において変更されてもよい。
【0078】
上述の実施形態では、突出部20に内蔵される錘24として、長尺状のものが1つ設けられたが、錘24は、例えばボトムレール5のX方向の左右端部において移動可能に2つ設けられてもよいし、左右端部のみならず中央寄りにも移動可能に(すなわち3つ以上)設けられてもよい。これにより前方シート2及び後方シート3の正面視左右方向(X方向)におけるバランス調整が容易となる。
【符号の説明】
【0079】
1…支持部材
2…前方シート
3…後方シート
4…ルーバ
5…ボトムレール
5a…上面
5b…下面
8…操作コード
14…巻取パイプ
15…緩衝材
16…ボトムレール収容部
20…突出部
22…取付部
24…錘
100、200…ブラインド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9