(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367613
(24)【登録日】2018年7月13日
    
      
        (45)【発行日】2018年8月1日
      
    (54)【発明の名称】五徳
(51)【国際特許分類】
   F24C  15/10        20060101AFI20180723BHJP        
【FI】
   F24C15/10 F
【請求項の数】3
【全頁数】8
      (21)【出願番号】特願2014-114794(P2014-114794)
(22)【出願日】2014年6月3日
    
      (65)【公開番号】特開2015-230105(P2015-230105A)
(43)【公開日】2015年12月21日
    【審査請求日】2017年5月18日
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
          (73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
          (74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川  惠清
          (74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻  勝久
          (74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾  由重
          (74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口  武
          (74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出  英敏
          (74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石  晴樹
          (74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村  豊
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】林  秀明
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】作田  寛和
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】宮藤  章
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】石木  達也
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】宇野  香奈
              
            
        
      
    
      【審査官】
        沼田  規好
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          特開2014−020646(JP,A)      
        
        【文献】
          実開昭60−149362(JP,U)      
        
        【文献】
          特開2004−245553(JP,A)      
        
        【文献】
          実公昭46−016612(JP,Y2)    
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C    15/10        
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  複数本の爪と、これら爪を連結している連結枠とからなるとともに、放射状に配置されている上記爪の調理機器に対する接地部に弾性を有する緩衝材が取り付けられた五徳であって、
  上記爪はその接地部下端に下方及び両側面に開口する凹所と、この凹所の下方開口縁に位置しかつ互いに対向する側に突出する抜け止め用の一対の突起とを備え、
  上記緩衝材は上記凹所に嵌り込む突部と、該突部の根元部にあって上記突起が係止する一対の係止凹部とを備え、
  さらに上記突部は自身の変形を許容するための空間を有しており、上記爪は上記凹所内に上記空間内に入り込んで上記突部の変形を抑制する抑制体を有しており、
  上記空間は上記突部の先端側を2つに分けることでその間に形成された上方に開口するものであり、上記抑制体は、上記凹所の中央から下方に向けて突出した軸であることを特徴とする五徳。
【請求項2】
  上記爪は、外周側縦片と、内周側縦片と、この両縦片の上端間をつなぐ横片とからなる逆U字形であり、外周側縦片の下端が上記緩衝材が取り付けられた接地部となっているとともに、内周側縦片が上記連結枠に連結されていることを特徴とする請求項1記載の五徳。
【請求項3】
  前記緩衝材は、爪の外周を囲む囲み片を一体に備えていることを特徴とする請求項1または2記載の五徳。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、調理機器に設けられる五徳に関するものである。
 
【背景技術】
【0002】
  バーナーを備えた調理機器はそのバーナー部分に五徳を配置しているが、天板にあけたバーナー用開口にバーナーのヘッド部分を臨ませている調理機器では、天板であるトッププレート上に着脱自在に配置するタイプの五徳が用いられている。このような五徳では、五徳上に重い鍋等を載せた状態で五徳をずらしてしまうような力が働くと、五徳がトッププレート表面を傷つけてしまうおそれがある。
【0003】
  このために、五徳におけるトッププレートと接触する接地部に例えばシリコンゴム等の耐熱性を有する弾性材からなる緩衝材を取り付けたものがある。特許文献1には、五徳の底面に緩衝材をビス止めしたものが示されており、特許文献2には五徳の底面に形成した凹所に、緩衝材の弾性を利用して嵌め付けたものが示されている。
【0004】
  しかし、前者は別途ビスが必要であるとともに工具を用いたビス止め作業が必要である。後者は緩衝材を嵌め付けるだけでよいものの、取り付けの容易さと、緩衝材の脱落の防止の両立を図ることが難しい。つまり、特許文献2に示されたものは、五徳に設けた凹所の開口縁に抜け止め用の突起を形成して、緩衝材における上記凹所に嵌め込む突部の根元部に上記突起が係止する係止凹部を設けたものとなっている。
【0005】
  この場合、緩衝材の上記突部を凹所に嵌め込む時、突起によって圧縮された後、凹所に嵌ることになる。このために突起の突出量を大きくして抜け止めを確実に行えるようにすると、突部を大きく圧縮しなくては凹所に嵌め込むことができないために、緩衝材の取り付けが困難となる。突起の突出量を小さくすれば緩衝材の嵌め付けを容易に行うことができるが、緩衝材が抜け落ちやすくなってしまう。
 
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−150670号公報
【特許文献2】特開2013−072630号公報
 
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
  本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、取り付けが容易であるとともに脱落しにくい緩衝材を備えた五徳を提供することにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0008】
  上記課題を解決するために、本発明に係る五徳は、複数本の爪と、これら爪を連結している連結枠とからなるとともに、放射状に配置されている上記爪の調理機器に対する接地部に弾性を有する緩衝材が取り付けられたものにおいて、上記爪はその接地部下端に下方
及び両側面に開口する凹所と、この凹所の
下方開口縁に位置
しかつ互いに対向する側に突出する抜け止め用の
一対の突起とを備え、上記緩衝材は上記凹部に嵌り込む突部と、該突部の根元部にあって上記突起が係止する
一対の係止凹部とを備え、さらに上記突部は自身の変形を許容するための空間を有しており、上記爪は上記凹所内に上記空間内に入り込んで上記突部の変形を抑制する抑制体を有して
おり、上記空間は上記突部の先端側を2つに分けることでその間に形成された上方に開口するものであり、上記抑制体は、上記凹所の中央から下方に向けて突出した軸であることに特徴を有している。
【0010】
  ここで、上記爪は、外周側縦片と、内周側縦片と、この両縦片の上端間をつなぐ横片とからなる逆U字形であり、外周側縦片の下端が上記緩衝材が取り付けられた接地部となっているとともに、内周側縦片が上記連結枠に連結されていることが好ましい。
【0011】
  また、前記緩衝材は、爪の外周を囲む囲み片を一体に備えていることが好ましい。
 
【発明の効果】
【0012】
  本発明にあっては、爪の凹所に緩衝材の突部を嵌め込む時、先端が2つに分かれた突部は間の空間の存在によって撓みやすくなっているために、抜け止めのための突起の突出量を大きくしても、緩衝材を容易に取り付けることができる。しかも突部が凹所に嵌った状態では上記空間に抑制体が位置して突部の撓みを防ぐために、突起と係止凹部との係止による抜け止めを確実に行うことができ、緩衝材の不用意な脱落を防ぐことができる。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の一例の五徳の斜視図である。
【
図2】(a)は同上の平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図3】同上の五徳を備えた調理機器の一例を示す平面図である。
【
図4】同上の五徳における爪を示しており、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は平面図、(d)は断面図である。
【
図5】同上の緩衝材を外した状態の爪を示しており、(a)は斜視図、(b)は正面図
、(c)は平面図である。
【
図6】同上の緩衝材を示しており、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は平面図、(d)は断面図である。
【
図7】同上の爪への緩衝材の取り付け途中の状態の説明図である。
 
【発明を実施するための形態】
【0014】
  以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、
図3は本発明に係る五徳1を備えた調理機器5を示している。環状の火炎形成部を有するバーナー6を上面の左右に備えるとともに内部にグリル庫を備えた図示例の調理機器5は、カウンターキッチン用のビルトイン型のもので、図中61はバーナー用の点消火指令及び火力調節のための操作部、62はグリル庫用のタッチパネル型操作部、65はグリル庫用排熱口、66は前面扉である。操作部61,62を上面に配している関係上、バーナー6,6は共に調理機器5の後方寄りに配置して、バーナー6からの熱的影響を操作部61,62が受けにくくなるようにしている。
 
【0015】
  調理機器5の天板であるトッププレート50上には、バーナー6を囲む金属製の五徳1が配置されている。ここにおける五徳1は、
図1及び
図2に示すように、3本以上(図示例では6本)の爪2と、平面視がリング状の連結枠3とからなる。連結枠3に対して放射状に等間隔で配置された爪2は、夫々内周側縦片21と外周側縦片22とこの両縦片21,22の上端間をつなぐ横片23とからなる逆U字形の板状物であり、内周側縦片21の下端がリング状の連結枠3に溶接固定されている。
 
【0016】
そして、五徳1における各爪2の外周側縦片22の下端には、耐熱性及び弾性を有する緩衝材4が装着されており、五徳1をトッププレート50上に置いた時、緩衝材4がトッププレート50表面に接地する。なお、連結枠3及び爪2の内周側縦片21の下端は、調
理機器5に対して浮いた状態となる。また、6本の爪2のうちの一つおきの爪2の内周側縦片21は、その下端に位置決め用の凸部24を連結枠3よりも内周側のところに備えており、これら凸部24は、バーナー6側に設けた位置決め用凹部67(
図3参照)内に位置して、五徳1の位置ずれを防ぐ。
 
【0017】
  ここで、五徳1の爪2を逆U字形とし、複数本の爪2の各内周側縦片21をリング状の連結枠3で連結し、各爪2の外周側縦片22の下端を接地部としていることから、五徳1上に重量物を載せた時に横片23に作用する荷重は、内周側縦片21と外周側縦片22とによって分散支持することができる。また、接地するのが外周側縦片22の下端のみとなっているが、大荷重で五徳1が撓んでも、内周側縦片21の下端や連結枠3が接地して撓みを制限するために、塑性変形領域まで五徳1が変形することはなく、荷重が無くなれば五徳1は元の形状に復帰する。このために、内周側縦片21や外周側縦片23を、細い部材で構成しても、耐荷重が大きいものを得ることができる。これ故に、五徳1を製作するための材料量の減少による低廉化を図ることができるとともに、五徳1の軽量化を図ることができる。
 
【0018】
  次に五徳1の爪2における外周側縦片22の下端に装着した緩衝材4について説明する。爪2の外周側縦片22の下端には、緩衝材4の装着のために、
図5に示すように、下端縁及び両側面に開口する凹所25を設けて、凹所25の下端開口縁には互いに対向する抜け止め用突起27,27を設けている。また、凹所25の中央には下方に向けて突出する軸26を備えている。この軸26の先端は、上記抜け止め用の突起27の上縁とほぼ同じ高さで且つ突起27先端と軸26との間には、水平方向において隙間が空けられている。
 
【0019】
  爪2に装着される緩衝材4は、前述のように耐熱性及び弾性を有する材料、例えばシリコンゴムからなるもので、
図6に示すように、上記凹所25に下方から嵌り込む突部40を備えている。ここにおける突部40は、先端側が2つに分かれて、間に突部40の変形を許容するための空間41を有するものとなっている。そして突部40の根元部には上記抜け止め用の突起27が係止することになる係止凹部42,42を備えている。また、突部40の周囲には、五徳1の爪2の外周側縦片23の外周を囲むことになる筒状の囲み片44を一体に有している。なお、囲み片44の内面と突部40の両側面とは一体に繋がっているが、分離していてもよい。
 
【0020】
  上記囲み片44は、突部40が凹所25から爪2の側方に抜け落ちるのを防ぐ。また、五徳1の清掃時の清掃性を向上させる。
 
【0021】
  五徳1の爪2の外周側縦片23の下端への緩衝材4の取り付けは、爪2の上記凹所25に緩衝材4の突部40を嵌め込むことで行う。この時、凹所25の開口縁に位置する突起27で突部40が押されるが、2つに分かれた突部40の間に空間41が存在するために、突部40は容易に撓んで、突起27が係止凹部42に係止するまで突部40が凹所25内に侵入することを許す。従って緩衝材4の嵌め付けを簡便に行うことができる。
 
【0022】
  そして、いったん緩衝材4を装着して突起27が係止凹部42に係止する状態となった時には、上記空間41内には軸26が位置して突部40は変形しにくくなる。突部40の変形を抑制する抑制体として機能する軸26の存在により、緩衝材4が不用意に脱落するようなことがない。
 
【0023】
  なお、上記のような緩衝材4の取付構造は、五徳1の形状が図示例のものに限定されるものではなく、多様な形態の五徳1に利用することができる。また、緩衝材4は、耐熱性及び弾性を有する材質であればよく、例にあげたシリコンゴム製のものに限定されるものではない。
 
 
【符号の説明】
【0024】
  1  五徳
  2  爪
  3  連結枠
  4  緩衝材
  25  凹所
  26  軸
  27  突起
  40  突部
  41  空間
  42  係止凹部
  44  囲み片