特許第6367616号(P6367616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367616
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】板金加工における板金モデル作成装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/01 20060101AFI20180723BHJP
   G06F 17/50 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B21D5/01 Z
   G06F17/50 622A
   G06F17/50 680Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-124432(P2014-124432)
(22)【出願日】2014年6月17日
(65)【公開番号】特開2016-2567(P2016-2567A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】柴田 隆浩
【審査官】 村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3085272(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/01
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機によって板金材料を加工して板金製品を作成する板金加工システムにおいて、製造シミュレーションを行って板金モデルを作成する板金モデル作成装置であって、
公称板厚に基づいた製造シミュレーションを行って前記板金製品の一次板金モデルを作成し、前記板金材料の種類毎に分類された前記板金材料の実板厚の統計値を取得し、前記一次板金モデルの作成における板金情報に基づいて、前記板金材料の種類毎に分類された統計値における平均値および中央値の1つが選択され、その選択された平均値あるいは中央値に基づいて、前記一次板金モデルの公称板厚値を仮想実板厚値に変更して二次板金モデルを生成し、前記二次板金モデルに基づいてCAMにより生成されたNCデータにより、実加工が行われることを特徴とする板金モデル作成装置。
【請求項2】
前記一次板金モデルが、前記板金製品を面で表現したサーフェイスモデルからなるペーパーモデルを構成する全ての面を対象として、前記ペーパーモデルを、その面形状および公称板厚に合わせて複数のフランジに分割し、その各フランジを接合することによって、前記板金製品を構成する外面、内面、及び板厚面を含む全ての面が立体的に表現されたソリッドモデルとして作成され、
前記一次板金モデルの作成における板金情報が、前記板金製品において寸法精度が要求される箇所の情報を有しており、
前記寸法精度が要求される箇所の情報として、前記板金製品を構成する外面に係わる外側寸法の箇所と、前記板金製品を構成する内面に係わる内側寸法の箇所とがあり、前記各フランジの接合点が、前記寸法精度が要求される箇所の情報に基づいて決定され、
前記寸法精度が要求される箇所に対して、前記一次板金モデルの公称板厚値を前記仮想実板厚値に変更し、前記各フランジの接合点を順次接合して前記各フランジを接合する事によって二次板金モデルを生成することを特徴とする請求項1に記載の板金モデル作成装置。
【請求項3】
前記板金製品を構成する外面に係わる外側寸法が重要な場合、前記寸法精度の要求される箇所を、前記板金製品を構成する外面に係わる外側寸法として、前記板金製品を構成する外面に係わる外側に前記各フランジの接合点を決定し、
前記板金製品を構成する内面に係わる内側寸法が重要な場合、前記寸法精度の要求される箇所を、前記板金製品を構成する内面に係わる内側寸法として、前記板金製品を構成する内面に係わる内側に前記各フランジの接合点を決定することを特徴とする請求項2に記載の板金モデル作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板金加工における板金モデル作成装置に関し、特に、必要とされる精度を確実に得ることができる板金モデル作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、板金製品の加工・製造においては、まず、CADにより、所望する板金製品の情報から、製造シミュレーションを行って、板金三次元(3D)モデルを作成し、その板金3Dモデルに基づいて、CAMにより、NCデータを作成し、そのNCデータに従って、加工機により実際の加工を行うようになっている。
【0003】
従来のCADにおけるシミュレーションでは、所望する板金製品の情報として、板金素材の公称板厚や公称材料パラメータ情報が用いられ、それに基づいて板金3Dモデルが作成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−172058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現場で加工している材料の実板厚は公称板厚と異なっているので、実際に加工される製品の寸法の精度に誤差が多いという問題点があった。
【0006】
なお、実験や理論等により得られた補正式や補正係数など曲げ補正値に関する各種データを考慮して仮想完成状態モデルを作成する技術が提案されているが、効果的に寸法精度の誤差を解消できるものでなかった(特許文献1)。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、加工機によって板金材料を加工して板金製品を作成する板金加工システムにおいて、製造シミュレーションを行って板金モデルを作成する板金モデル作成装置であって、公称板厚に基づいた製造シミュレーションを行って前記板金製品の一次板金モデルを作成し、前記板金材料の種類毎に分類された前記板金材料の実板厚の統計値を取得し、前記一次板金モデルの作成における板金情報に基づいて、前記板金材料の種類毎に分類された統計値における平均値および中央値の1つが選択され、その選択された平均値あるいは中央値に基づいて、前記一次板金モデルの公称板厚値を仮想実板厚値に変更して二次板金モデルを生成し、前記二次板金モデルに基づいてCAMにより生成されたNCデータにより、実加工が行われることを特徴とする板金モデル作成装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記一次板金モデルが、前記板金製品を面で表現したサーフェイスモデルからなるペーパーモデルを構成する全ての面を対象として、前記ペーパーモデルを、その面形状および公称板厚に合わせて複数のフランジに分割し、その各フランジを接合することによって、前記板金製品を構成する外面、内面、及び板厚面を含む全ての面が立体的に表現されたソリッドモデルとして作成され、前記一次板金モデルの作成における板金情報が、前記板金製品において寸法精度が要求される箇所の情報を有しており、前記寸法精度が要求される箇所の情報として、前記板金製品を構成する外面に係わる外側寸法の箇所と、前記板金製品を構成する内面に係わる内側寸法の箇所とがあり、前記各フランジの接合点が、前記寸法精度が要求される箇所の情報に基づいて決定され、前記寸法精度が要求される箇所に対して、前記一次板金モデルの公称板厚値を前記仮想実板厚値に変更し、前記各フランジの接合点を順次接合して前記各フランジを接合する事によって二次板金モデルを生成することを特徴とする請求項1に記載の板金モデル作成装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記板金製品を構成する外面に係わる外側寸法が重要な場合、前記寸法精度の要求される箇所を、前記板金製品を構成する外面に係わる外側寸法として、前記板金製品を構成する外面に係わる外側に前記各フランジの接合点を決定し、前記板金製品を構成する内面に係わる内側寸法が重要な場合、前記寸法精度の要求される箇所を、前記板金製品を構成する内面に係わる内側寸法として、前記板金製品を構成する内面に係わる内側に前記各フランジの接合点を決定することを特徴とする請求項に記載の板金モデル作成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワークの実板厚情報に基づいて、所望する寸法精度を確実に得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を実施した板金加工システムの概略を示す全体斜視図である。
図2図1に示した板金モデル作成装置(CAD)5の概略構成を示すブロック図である。
図3図1および図2に示したCAD5による板金モデル作成動作のフローチャートである。
図4図1および図2に示したCAD5による板金モデル作成動作で使用するヒストグラムのグラフ図である。
図5】CAD5による外側寸法が重要な場合における製造板金3Dモデルの作成動作の説明図である。
図6】CAD5による内側寸法が重要な場合における製造板金3Dモデルの作成動作の説明図である。
図7】CAD5によるフランジごとに重要寸法が異なる場合における製造板金3Dモデルの作成動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明を実施した板金加工システムの概略を示す全体斜視図であり、図2は、図1に示した板金モデル作成装置(CAD)5の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、板金加工システム1は、LAN3を介して、製造シミュレーションを行って板金三次元(3D)モデルを作成する板金モデル作成装置(CAD)5と、CAD5により作成された板金3DモデルからNCデータを生成するコンピュータ支援装置(CAM)7と、CAM7からのNCデータに基づいて板金加工を行う加工機9と、種々のデータを記憶するデータベース10と、が接続された構成となっている。
【0015】
図2に示すように、CAD5は、CPU11に、RAM13と、ROM15と、ディスプレイ17と、入力装置19とが接続されており、CPU11がLAN3に接続されている。
【0016】
そして、CPU11は、後述するように、ROM15に記憶されている板金モデル作成プログラムに従い、データベース10よりのデータに基づいて板金3Dモデルおよび製造板金3Dモデルを作成するようになっている。
【0017】
次に、図3〜7を参照してCAD5による板金モデル作成動作について説明する。
【0018】
図3は、図1および図2に示したCAD5による板金モデル作成動作のフローチャートであり、図4〜7は、図1および図2に示したCAD5による板金モデル作成動作の説明図である。
【0019】
板金モデル作成動作は、まず、過去に実際に加工された材料の板厚を、前もって所定のパラメータに基づいて履歴管理して統計値を算出しておき、通常の公称板厚に基づいて作成された板金3Dモデル(一次板金モデル)に対して、その統計値を加味して、製造板金3Dモデル(二次板金モデル)を作成するようになっている。
【0020】
まず、図3のステップ101において、前工程として、過去に実際に加工された材料の板厚を、前もって所定のパラメータに基づいて履歴管理して実板厚の統計値を得る。
【0021】
すなわち、加工機9によって加工された板金製品は、通常、材料棚等に保管されることとなるが、その加工された板金製品の実板厚を履歴管理し、実板厚のヒストグラムとして集め、その統計値を算出して記憶しておく。
【0022】
すなわち、加工された板金製品の実板厚が測定され、履歴管理として、例えば、材質や製造元やロット等の板金材料の種類毎に分類され、図4に示すようなヒストグラムに集計され、そのヒストグラムから平均値や中央値等の統計値が算出され記憶される。
【0023】
実際には、加工された板金製品の実板厚の測定は、オペレータにより行われ、材質等の材料の種類情報と共に、CAD5に入力される。CAD5は、図4に示すようなヒストグラムを集計し、そのヒストグラムから平均値や中央値等の統計値を算出し、データベース10に記憶する。なお、この実施形態では、ヒストグラムの集計および統計値の算出は、CAD5によって行われるようになっていたが、他にコンピュータを設け、そのコンピュータによって行うようにしても良い。
【0024】
次に、ステップ103において、通常の公称板厚に基づいて、これから加工する板金製品の板金3Dモデル(一次板金モデル)を作成する。
【0025】
すなわち、CAD5によって、以下のようにペーパーモデルから、板金3Dモデルが作成される。ここで、ペーパーモデルとは、板金製品が面で表現されたサーフェイスモデルのことを言い、また、板金3Dモデルとは、板金製品を構成する外面、内面、及び板厚面を含む全ての面が立体的に表現されたソリッドモデルのことを言う。
【0026】
まず、CAD5のCPU11により、板金製品のペーパーモデルに対し、曲げ箇所、切断箇所、及び突き合わせパターンに関する属性情報が付加されるとともに、板金材料の材質、板厚、及び板厚方向に関する板金情報が付加される。すなわち、板金情報は、板金材料の種類を規定する。
【0027】
そして、板金情報には、板金製品において寸法精度が要求される箇所の情報も含まれ、この寸法精度が要求される箇所の情報としては、後述するように、外側寸法の箇所と、内側寸法の箇所と、フランジごとの寸法の箇所などがある。
【0028】
ここで、上記板厚としては、公称板厚が用いられる。
【0029】
そして、CPU11の制御により、ペーパーモデルを構成する全ての面を対象として、ペーパーモデルを、その面形状および公称板厚に合わせて複数のフランジに分割し、その各フランジを接合することによって板金製品の板金3Dモデルが作成される。
【0030】
次に、ステップ105において、ステップ101において取得された実板厚の統計値を用いて、ステップ103において作成された板金製品の板金3Dモデル(一次板金モデル)から製造板金3Dモデル(二次板金モデル)を作成する。
【0031】
すなわち、CPU11の制御により、板金ワークの材質、板厚、及び板厚方向に関する板金情報から板金材料の種類毎に分類された実板厚の平均値や中央値等の統計値の1つが選択され、作成された板金製品の板金3Dモデルにおける公称板厚値が、選択された実板厚の統計値を用いた仮想実板厚値に変更され、製造板金3Dモデルが作成される。
【0032】
そして、ここでは、加工板金製品には、寸法精度が要求される箇所と、寸法精度が要求されない箇所とが存在するので、以下に説明するように、それぞれの箇所に対応して、寸法を変更するようにしている。
【0033】
次に、製造板金3Dモデルの製造について、加工板金製品における寸法精度が要求される箇所として、外側寸法が重要な場合と、内側寸法が重要な場合と、フランジごとに重要寸法が異なる場合とを例に取って説明する。
【0034】
図5は、外側寸法が重要な場合における製造板金3Dモデルの作成動作の説明図である。
【0035】
外側寸法が重要な場合では、図5(a)の例に示すように、板金3DモデルMの外側寸法は、D1=30、D2=35、D3=20、D4=80、D5=55となっており、これらの寸法を保持することが重要となる(数値単位:mm)。ここで、公称板厚をTとすると、実板厚はtで示されている。
【0036】
次に、図5(b)に示すように、板金3DモデルMは、その形状に合わせて分割された複数のフランジm1〜m5を接合することにより表現される。まず、その各フランジm1〜m5において、公称板厚値Tが、取得された実板厚の統計値を用いた仮想実板厚値tに変更される(図5(b)において矢印Bで示される)。
【0037】
そして、各接合点は、板金情報に含まれる寸法精度が要求される箇所の情報に基づいて決定される。
【0038】
すなわち、この場合、外側寸法が重要となるので、各フランジm1〜m5の接合点は、図5(b)に示すように、フランジm1の接合点はm1cとなり、フランジm2の接合点はm2c1、m2c2となり、フランジm3の接合点はm3c1、m3c2となり、フランジm4の接合点はm4c1、m4c2となり、フランジm5の接合点はm5cとなる。
【0039】
接合点はm1cと接合点はm2c1とが接合され、接合点はm2c2と接合点はm3c1とが接合され、接合点はm3c2と接合点はm4c1とが接合され、接合点はm4c2と接合点はm5cとが接合され、図5(c)に示すようなフランジ同士の接合として表現される。
【0040】
図5(c)に示すようなフランジ同士の接合に基づいて板金3Dモデルを形成すると、図5(d)に示すように、実板厚値を反映させながら、外側寸法に影響を与えないように形成された製造板金3Dモデルを得ることができる。
【0041】
図6は、内側寸法が重要な場合における製造板金3Dモデルの作成動作の説明図である。
【0042】
内側寸法が重要な場合では、図6(a)の例に示すように、板金3DモデルMの内側寸法は、D6=25、D7=35、D8=25、D9=70、D10=50となっており、これらの寸法を保持することが重要となる(数値単位:mm)。ここで、公称板厚をTとすると、実板厚はtで示されている。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、板金3DモデルMを、その形状に合わせて、複数のフランジm1〜m5に分割し、その各フランジm1〜m5を接合することにより表現する。まず、その各フランジm1〜m5において、公称板厚値Tが、取得された実板厚の統計値を用いた仮想実板厚値tに変更される(図6(b)において矢印Bで示される)。
【0044】
そして、この場合、内側寸法が重要となるので、各フランジm1〜m5の接合点は、図6(b)に示すように、フランジm1の接合点はm1cとなり、フランジm2の接合点はm2c1、m2c2となり、フランジm3の接合点はm3c1、m3c2となり、フランジm4の接合点はm4c1、m4c2となり、フランジm5の接合点はm5cとなる。
【0045】
そして、接合点はm1cと接合点はm2c1とが接合され、接合点はm2c2と接合点はm3c1とが接合され、接合点はm3c2と接合点はm4c1とが接合され、接合点はm4c2と接合点はm5cとが接合され、図6(c)に示すようなフランジ同士の接合として表現される。
【0046】
上記図6(c)に示すようなフランジ同士の接合に基づいて板金3Dモデルを形成すると、図6(d)に示すように、実板厚値を反映させながら、内側寸法に影響を与えないように形成された製造板金3Dモデルを得ることができる。
【0047】
図7は、フランジごとに重要寸法が異なる場合における製造板金3Dモデルの作成動作の説明図である。
【0048】
フランジごとに重要寸法が異なる場合では、図7(a)の例に示すように、板金3DモデルMのフランジごとの重要寸法は、D11=30、D12=40、D13=30、D14=80、D15=55となっており、これらの寸法を保持することが重要となる(数値単位:mm)。ここで、公称板厚をTとすると、実板厚はtで示されている。
【0049】
次に、図7(b)に示すように、板金3DモデルMを、その形状に合わせて、複数のフランジm1〜m5に分割し、その各フランジm1〜m5を接合することにより表現する。まず、その各フランジm1〜m5において、公称板厚値Tが、取得された実板厚の統計値を用いた仮想実板厚値tに変更される(図7(b)において矢印Bで示される)。
【0050】
そして、この場合、外側寸法が重要となるので、各フランジm1〜m5の接合点は、図7(b)に示すように、フランジm1の接合点はm1cとなり、フランジm2の接合点はm2c1、m2c2となり、フランジm3の接合点はm3c1、m3c2となり、フランジm4の接合点はm4c1、m4c2となり、フランジm5の接合点はm5cとなる。
【0051】
接合点はm1cと接合点はm2c1とが接合され、接合点はm2c2と接合点はm3c1とが接合され、接合点はm3c2と接合点はm4c1とが接合され、接合点はm4c2と接合点はm5cとが接合され、図7(c)に示すようなフランジ同士の接合として表現される。
【0052】
図7(c)に示すようなフランジ同士の接合に基づいて板金3Dモデルを形成すると、図7(d)に示すように、実板厚値を反映させながら、内側寸法に影響を与えないように形成された製造板金3Dモデルを得ることができる。
【0053】
図3のフローチャートに戻り、ステップ107において、ステップ105において作成された製造板金3Dモデル(二次板金モデル)に基づいて、CAM7により、NCデータが生成され、ステップ109において、CAM7により生成されたNCデータに基づいて、加工機9により実加工が行われる。
【0054】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、以下のように適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0055】
すなわち、上記実施形態では、図3のステップ105において、取得され選択された実板厚の統計値を用いて、作成された板金製品の板金3Dモデルから製造板金3Dモデルを作成するようにしていたが、作成された板金製品の板金3Dモデルに対して、設計者が直接に実板厚を指定し、製造板金3Dモデルを作成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 板金加工システム
3 LAN
5 板金モデル作成装置(CAD)
7 コンピュータ支援装置(CAM)
9 加工機
10 データベース
11 CPU
13 RAM
15 ROM
17 ディスプレイ
19 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7