特許第6367625号(P6367625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367625
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】音量調整装置および音量調整方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20180723BHJP
   H03G 1/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
   H03G1/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-140129(P2014-140129)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-19116(P2016-19116A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】高畑 智輝
【審査官】 三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−086222(JP,A)
【文献】 特開2011−049722(JP,A)
【文献】 特開2012−142719(JP,A)
【文献】 特開2006−155447(JP,A)
【文献】 特開2012−209890(JP,A)
【文献】 特開2013−126060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H03G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の音量レベルを示す表示オブジェクトに対する指示体の接触を検知する検知部と、
前記検知部が前記表示オブジェクトに対する前記指示体の接触を検知した場合、そのときの前記音量レベルと、前記表示オブジェクトにおける前記指示体の接触位置に対応する前記音量レベルとの差分を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記差分が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記差分が前記閾値よりも大きいと判定された場合、前記機器の音量レベルを、前記接触位置に対応する前記音量レベルまで徐々に変更し、前記判定部によって前記差分が前記閾値よりも大きくないと判定された場合、前記機器の音量レベルを、前記接触位置に対応する前記音量レベルに急峻に変更する音量調整部とを備え
前記検知部によって前記指示体の接触が継続して検知されている間、
前記算出部は、前記差分を繰り返し算出し、
前記判定部は、前記差分が予め定められた閾値よりも大きいか否かを繰り返し判定し、
前記音量調整部は、
前記判定部によって前記差分が前記閾値よりも大きいと判定されている間、前記機器の音量レベルを、前記接触位置に対応する前記音量レベルに向けて徐々に変更し、
前記判定部によって前記差分が前記閾値よりも大きくないと判定されると、前記機器の音量レベルを、前記接触位置に対応する前記音量レベルに急峻に変更することを特徴とする音量調整装置。
【請求項2】
音量調整装置による音量調整方法であって、
前記音量調整装置の検知部が、機器の音量レベルを示す表示オブジェクトに対する指示体の接触を検知する検知工程と、
前記音量調整装置の算出部が、前記検知工程において前記表示オブジェクトに対する前記指示体の接触が検知された場合、そのときの前記音量レベルと、前記表示オブジェクトにおける前記指示体の接触位置に対応する前記音量レベルとの差分を算出する算出工程と、
前記音量調整装置の判定部が、前記算出工程において算出された前記差分が、予め定められた閾値よりも大きいか否かを判定する判定工程と、
前記音量調整装置の音量調整部が、前記判定工程において前記差分が前記閾値よりも大きいと判定された場合、前記機器の音量レベルを、前記接触位置に対応する前記音量レベルまで徐々に変更し、前記判定工程において前記差分が前記閾値よりも大きくないと判定された場合、前記機器の音量レベルを、前記接触位置に対応する前記音量レベルに急峻に変更する音量調整工程とを含み、
前記算出工程において、前記算出部は、前記検知部によって前記指示体の接触が継続して検知されている間、前記差分を繰り返し算出し、
前記判定工程において、前記判定部は、前記検知部によって前記指示体の接触が継続して検知されている間、前記差分が予め定められた閾値よりも大きいか否かを繰り返し判定し、
前記音量調整工程において、前記音量調整部は、前記検知部によって前記指示体の接触が継続して検知されている間、前記判定部によって前記差分が前記閾値よりも大きいと判定されている間は前記機器の音量レベルを前記接触位置に対応する前記音量レベルに向けて徐々に変更し、前記判定部によって前記差分が前記閾値よりも大きくないと判定されると、前記機器の音量レベルを、前記接触位置に対応する前記音量レベルに急峻に変更する
ことを特徴とする音量調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量調整装置および音量調整方法に関し、特に、タッチパネルの操作により機器の音量を調整することが可能な音量調整装置および音量調整方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図7に例示するように、機器の音量レベルを視覚的に示すレベルゲージをディスプレイに表示し、当該レベルゲージの任意の位置上においてユーザがタッチパネルに触ると、機器の音量レベルをその接触位置に応じた音量レベルに変更することができるようにした技術が利用されている。
【0003】
図7は、従来技術に係る音量調整方法の具体例を説明するための図である。図7に示す画面700は、ユーザが機器の音量調整を行う際に、その機器が備えるディスプレイに表示される画面の一例である。図7(a)は、音量調整が行われる前の画面700の状態を示している。図7(b)は、音量調整が行われた後の画面700の状態を示している。
【0004】
図7に示すように、画面700は、機器の音量レベルを示す表示オブジェクトであるレベルゲージ702を含んで構成されている。図7の例では、機器の音量レベルの調整範囲は、「00」〜「40」となっている。音量レベルの数値が大きくなるほど、スピーカから出力される音声の音量が大きくなる。
【0005】
この画面700が表示されるディスプレイの前面には、タッチパネルが重ねて設けられている。ユーザは、レベルゲージ702における所望の音量レベルに対応する位置上でタッチパネルに触れることにより、機器の音量レベルを直ちにその音量レベルへと変更することができる。
【0006】
例えば、図7(a)では、機器の現在の音量レベルv1が「08」となっている。これに応じて、レベルゲージ702では、音量レベル「08」に対応する位置まで、レベル表示がなされている。ここで、音量レベル「30」に対応する位置上でユーザがタッチパネルに触れたとする。この場合、音量レベル「30」に目標音量レベルv2が設定され、図7(b)に示すように、機器の音量レベルは直ちに「30」に変更される。このため、機器が備えるスピーカからは、突然大きな音が出力されてしまう。
【0007】
このような問題を解決すべく、下記特許文献1に記載の音量調整装置は、音量設定値の変化量が許容最大変化量を超える場合、その変化量が許容最大変化量以下となるように音量設定値を変更して、変更後の音量設定値で音量を調整するようにしている。これにより、下記特許文献1に記載の音量調整装置は、突然大きな音がスピーカから出力されてしまうことを回避することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−49722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これ以外にも、機器の音量レベルが急激に大きく変更されてしまうことを回避する方法として、機器の音量レベルを指定された音量レベルまで徐々に(線形に)変化させる方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、音量レベルの変更量が比較的小さく、突然大きな音がスピーカから出力される虞がない場合であっても音量レベルが一定してゆっくりと変更されるため、音量レベルが指定された音量レベルに到達するまでに時間がかかり、ユーザにストレスを感じさせてしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、スピーカから突然大きな音が出力されてしまうことを防止しつつ、機器の音量レベルが指定された音量レベルに到達するまでの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、機器の音量レベルを示す表示オブジェクトに対する指示体の接触を検知した場合、そのときの音量レベルと、表示オブジェクトにおける指示体の接触位置に対応する音量レベルとの差分を算出し、当該差分が予め定められた閾値よりも大きいと判定された場合、機器の音量レベルを、接触位置に対応する音量レベルまで徐々に変更し、当該差分が予め定められた閾値よりも大きくないと判定された場合、機器の音量レベルを、接触位置に対応する音量レベルに急峻に変更するようにしている。その上で、本発明では、指示体の接触が継続して検知されている間、差分を繰り返し算出すると共に、差分が予め定められた閾値よりも大きいか否かを繰り返し判定し、差分が閾値よりも大きいと判定している間は機器の音量レベルを接触位置に対応する音量レベルに向けて徐々に変更し、差分が閾値よりも大きくないと判定すると、機器の音量レベルを、接触位置に対応する音量レベルに急峻に変更するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、音量レベルの変化量が比較的大きく、突然大きな音がスピーカから出力される虞がある場合には、突然大きな音がスピーカから出力されることがないように、機器の音量レベルが徐々に変化する。一方、音量レベルの変化量が比較的小さく、突然大きな音がスピーカから出力される虞が無い場合には、機器の音量レベルが指定された音量レベルに急峻に到達するように、機器の音量レベルが急峻に変化する。このため、本発明によれば、指定された音量レベルへの変化量が比較的大きい場合にスピーカから突然大きな音が出力されてしまうことを防止しつつ、指定された音量レベルへの変化量が比較的小さい場合に機器の音量レベルが指定された音量レベルに到達するまでの時間を短縮することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る車載装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る車載装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の第1実施形態に係る音量調整方法の具体例(第1例)を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る音量調整方法の具体例(第2例)を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る車載装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係る音量調整方法の具体例を示す図である。
図7】従来技術に係る音量調整方法の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
〔車載装置10の機能構成例〕
図1は、本実施形態に係る車載装置10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示す車載装置10は、特許請求の範囲に記載の機器の一例であって、自動車等の車両に搭載されている装置である。また、車載装置10は、特許請求の範囲に記載の音量調整装置としての機能を有している。車載装置10は、各種音声(例えば、当該車載装置10にて再生中の音楽、目的地までの経路の案内音声等)をスピーカ10cから出力することができるようになっている。また、車載装置10は、タッチパネル10bの操作により、スピーカ10cから出力される音声の音量調整を行うことができるようになっている。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る車載装置10は、その機能構成として、表示制御部11、検知部12、算出部13、判定部14、音量調整部15および音声出力制御部16を備えている。また、車載装置10は、ディスプレイ10a、タッチパネル10bおよびスピーカ10cを備えている。
【0017】
上記各機能ブロック11〜16は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11〜16は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0018】
表示制御部11は、ディスプレイ10aによる表示を制御する。例えば、表示制御部11は、ユーザが車載装置10の音量レベルを調整するとき、当該調整のための音量調整画面300(図3参照)を、ディスプレイ10aに表示させる。音量調整画面300は、車載装置10の音量レベルを示すレベルゲージ302(図3参照)を含んで構成されている。
【0019】
検知部12は、レベルゲージ302に対する指示体(例えば、ユーザの指、スタイラスペン等)の接触を検知する。具体的には、レベルゲージ302が表示されるディスプレイ10aの前面には、タッチパネル10bが重ねて設けられている。このため、検知部12は、このタッチパネル10bからの検知信号により、レベルゲージ302に対する指示体の接触を検知する。検知部12は、上記検知信号により、タッチパネル10bに対する指示体の接触位置を特定することができる。そして、検知部12は、タッチパネル10bの接触位置に応じたレベルゲージ302の位置を、レベルゲージ302に対する接触位置として特定することができる。
【0020】
算出部13は、検知部12がレベルゲージ302に対する指示体の接触を検知した場合、そのときの車載装置10の音量レベルv1と、レベルゲージ302における指示体の接触位置に対応する音量レベルv2(以下、「目標音量レベルv2」と称する)との差分Δvを算出する。検知部12が指示体の接触を検知したときの車載装置10の音量レベルv1は、車載装置10の音声出力を制御する音声出力制御部16から得ることができる。
【0021】
判定部14は、算出部13によって算出された差分Δvが予め定められた閾値thよりも大きいか否かを判定する。閾値thは、車載装置10が備える記録媒体(RAM、ROM、ハードディスク、半導体メモリ等)に予め記憶されている。閾値thには、その閾値th未満の音量レベルの増加が急峻に行われたとしても、突然大きな音がスピーカから出力されることがないように、適切な値が設定される。なお、閾値thは、ユーザが任意の値を設定できるようにしてもよい。
【0022】
音量調整部15は、判定部14による判定結果に応じた方法により、車載装置10の音量レベル(スピーカ10cから出力される音声の音量レベル)を調整する。具体的には、音量調整部15は、判定部14によって差分Δvが閾値thよりも大きいと判定された場合、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2まで徐々に変更する。このときに用いられる音量レベルの変化の傾き(単位時間あたりの音量レベルの変化量)には、その傾きにて音量レベルが増加しても、突然大きな音がスピーカ10cから出力されることがないように、適切な値が設定される。
【0023】
一方、音量調整部15は、判定部14によって差分Δvが閾値thよりも大きくないと判定された場合(差分Δv<閾値thのとき)、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2に急峻に変更する。本発明における「急峻に」とは、少なくとも、判定部14によって差分Δvが閾値thよりも大きいと判定された場合(差分Δv>閾値thのとき)よりも、単位時間あたりの音量レベルの変化量が大きい(すなわち、音量レベルの変化速度が速い)ことを意味する。その一具体例として、本実施形態では、音量調整部15は、差分Δv<閾値thのとき、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2に直ちに変更するようにしている。これに限らず、音量調整部15は、差分Δv<閾値thのとき、差分Δv>閾値thのときよりも音量レベルの変化の傾きを大きくするようにしてもよい。
【0024】
これにより、音量レベルの変化量が比較的大きい場合には、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2へと徐々に変化し、音量レベルの変化量が比較的小さい場合には、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2へと急峻に変化するようにしている。
【0025】
なお、実際にスピーカ10cから出力される音の音量調整は、音声出力制御部16によって制御される。このため、音量調整部15による車載装置10の音量レベルの調整結果は、音声出力制御部16を介して、実際にスピーカ10cから出力される音の音量へと反映されることとなる。そして、音声出力制御部16の制御により、実際にスピーカ10cから出力される音の音量調整が行われると、その調整後の音量レベルが、表示制御部11の制御によって、音量調整画面300(図3参照)に示されている音量レベルの値に直ちに反映されることとなる。
【0026】
〔車載装置10による処理の一例〕
図2は、本発明の第1実施形態に係る車載装置10による処理の一例を示すフローチャートである。例えば、図2に例示する処理は、図3に示すような音量調整画面300をディスプレイ10aに表示して、当該音量調整画面300による音量調整がなされるときに実行される。
【0027】
まず、検知部12が、レベルゲージ302に対する指示体の接触を検知する(ステップS202)と、検知部12が、指示体の接触位置を特定する(ステップS204)。次に、算出部13が、現在の車載装置10の音量レベルv1と、ステップS204で特定された指示体の接触位置に対応する目標音量レベルv2との差分Δvを算出する(ステップS206)。
【0028】
そして、判定部14が、ステップS206で算出された差分Δvが予め定められた閾値thよりも大きいか否かを判定する(ステップS208)。ここで、差分Δvが閾値thよりも大きくないと判定された場合(ステップS208:No)、音量調整部15が、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2に直ちに変更する(ステップS216)。これに応じて、音声出力制御部16が、スピーカ10cの出力音量を変更する(ステップS218)。そして、車載装置10は、図2に示す一連の処理を終了する。
【0029】
一方、差分Δvが閾値thよりも大きいと判定された場合(ステップS208:Yes)、音量調整部15が、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2に向けて一段階変更する(ステップS210)。これに応じて、音声出力制御部16が、スピーカ10cの出力音量を変更する(ステップS212)。
【0030】
そして、音量調整部15が、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達したか否かを判定する(ステップS214)。ここで、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達していないと判定された場合(ステップS214:No)、車載装置10は、ステップS208以降の処理を再度実行する。一方、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達したと判定された場合(ステップS214:Yes)、車載装置10は、図2に示す一連の処理を終了する。
【0031】
〔音量調整方法の具体例〕
図3は、本発明の第1実施形態に係る音量調整方法の具体例(第1例)を示す図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る音量調整方法の具体例(第2例)を示す図である。図3および図4に示す音量調整画面300は、ユーザが車載装置10の音量調整を行う際に、ディスプレイ10aに表示される画面の一例である。
【0032】
図3および図4に示すように、音量調整画面300は、車載装置10の音量レベルを示す表示オブジェクトであるレベルゲージ302を含んで構成されている。図3および図4の例では、車載装置10の音量レベルの調整範囲は、「00」〜「40」となっている。音量レベルの数値が大きくなるほど、スピーカ10cから出力される音声の音量が大きくなる。
【0033】
ユーザは、ディスプレイ10aに音量調整画面300が表示されているときに、レベルゲージ302における所望の音量レベルに対応する位置上でタッチパネル10bに触れることにより、その音量レベルを目標音量レベルv2として設定し、車載装置10の音量レベルを目標音量レベルv2へと変更させることができる。このとき、車載装置10による音量レベルの変更動作は、現在の音量レベルv1と目標音量レベルv2との差分Δvが閾値thよりも大きいか否かによって異なる。
【0034】
例えば、図3は、差分Δvが閾値thよりも大きい場合の、車載装置10による音量レベルの変更動作を表している。図3では、閾値thとして「10」が設定されており、現在の音量レベルv1が「08」のときに、目標音量レベルv2が「30」に設定された例を表している。
【0035】
この場合、差分Δvは「22」となり、差分Δvが閾値thよりも大きくなることから、音量調整部15は、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2(音量レベル「30」)まで徐々に変更する。図3では、一例として、音量レベルを「2」ずつ徐々に変更する例を表している。
【0036】
一方、図4は、差分Δvが閾値thよりも小さい場合の、車載装置10による音量レベルの変更動作を表している。図4では、閾値thとして「10」が設定されており、現在の音量レベルv1が「08」のときに、目標音量レベルv2が「16」に設定された例を表している。
【0037】
この場合、差分Δvは「8」となり、差分Δvが閾値thよりも小さくなることから、音量調整部15は、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2(音量レベル「16」)に直ちに変更する。
【0038】
このように、第1実施形態の車載装置10によれば、差分Δvが閾値thよりも大きい場合は、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2へ徐々に変化する。一方、差分Δvが閾値thよりも小さい場合は、車載装置10の音量レベルが急峻に目標音量レベルv2へ変化するが、この場合、スピーカ10cから突然大きな音が出力されてしまう虞はない。このため、第1実施形態の車載装置10によれば、指定された音量レベルへの変化量Δvが比較的大きい場合にスピーカ10cから突然大きな音が出力されてしまうことを防止しつつ、指定された音量レベルへの変化量Δvが比較的小さい場合に車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達するまでの時間を短縮することができる。したがって、ユーザにストレスを感じさせないようにすることができる。
【0039】
なお、図2のフローチャートからも明らかなように、第1実施形態の車載装置10は、一旦、指示体の接触を検知して目標音量レベルv2を設定すれば、その後は指示体の接触が継続して行われていなくとも、当該車載装置10の音量レベルを目標音量レベルv2に変更するようになっている。
【0040】
但し、第1実施形態の車載装置10は、車載装置10の音量レベルを目標音量レベルv2に向けて徐々に変更している途中で、新たに指示体の接触を検知した場合、その接触位置に対応する音量レベルを新たな目標音量レベルv2’として設定しなおす。これにより、第1実施形態の車載装置10は、ユーザが、指示体の接触位置を途中で変更した場合であっても、これに応じて、速やかに変更後の接触位置に対応する音量レベルを目標音量レベルv2’として設定し、この目標音量レベルv2’に向けて、当該車載装置10の音量レベルを変更することができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に、図5および図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。以下、本発明の第2実施形態に関し、第1実施形態からの変更点について説明する。
【0042】
〔車載装置10による処理の一例〕
図5は、本発明の第2実施形態に係る車載装置10による処理の一例を示すフローチャートである。図5に示す第2実施形態のフローチャートは、ステップS210にて音量調整部15が車載装置10の音量レベルを一段変更し、これに応じてステップS212にて音声出力制御部16がスピーカ10cの出力音量を変更した後に、ステップS214に代えてステップS214’を有する点、および、ステップS214’の判定結果がYesの場合にはステップS204に処理を戻す点で、図2に示す第1実施形態のフローチャートと異なる。
【0043】
ステップS214’では、検知部12が、レベルゲージ302に対する指示体の接触が継続して行われているか否かを判定する。例えば、検知部12は、タッチパネル10bから検知信号を受信し続けている間は、指示体の接触が継続して行われていると判定し、タッチパネル10bからの検知信号が途絶えた場合、指示体の接触が継続して行われていないと判定する。
【0044】
ここで、レベルゲージ302に対する指示体の接触が継続して行われていないと判定された場合(ステップS214’:No)、車載装置10は、図2に示す一連の処理を終了する。すなわち、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達する前に指示体がタッチパネル10bから離れると、その時の音量レベルで、音量レベルの変化が停止することとなる。一方、レベルゲージ302に対する指示体の接触が継続して行われていると判定された場合(ステップS214’:Yes)、車載装置10は、ステップS204以降の処理を再度実行する。
【0045】
すなわち、この第2実施形態では、判定部14によって差分Δvが閾値thよりも大きいと判定された場合(ステップS208:Yes)、検知部12によって指示体の接触が継続して検知されている間(すなわち、指示体がレベルゲージ302に接触し続けている間)、車載装置10の音量レベルを徐々に変更し続けるようにしている。
【0046】
そして、このように車載装置10の音量レベルが徐々に変更され続けている間、算出部13による差分Δvの算出処理(ステップS204)、および、判定部14による差分Δvが閾値thよりも大きいか否かの判定処理(ステップS206)を、繰り返し行うようにしている。
【0047】
そして、判定部14によって差分Δvが閾値thよりも大きいと判定されている間(ステップS206:Yes)、音量調整部15は、車載装置10の音量レベルを、引き続き目標音量レベルv2に向けて徐々に変更する(ステップS208)。一方、判定部14によって差分Δvが閾値thよりも大きくないと判定されると(ステップS206:No)、音量調整部15は、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2に直ちに変更する(ステップS212)。
【0048】
〔音量調整方法の具体例〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る音量調整方法の具体例を示す図である。この第2実施形態では、車載装置10は、ユーザがレベルゲージ302を触り続けている間、車載装置10の音量レベルを変更し続けるようにしている。
【0049】
例えば、図6では、閾値thとして「10」が設定されており、音量レベルv1が「08」であるときに、目標音量レベルv2が「30」に設定され、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達するまでの間、ユーザがレベルゲージ302を触り続けた例を表している。
【0050】
この場合、最初は差分Δvが「22」となり、差分Δvが閾値thよりも大きくなることから、音量調整部15は、車載装置10の音量レベルを、目標音量レベルv2(音量レベル「30」)に向けて徐々に変更する。その過程において、図6に示すように、車載装置10の最新の音量レベルv1が徐々に目標音量レベルv2に向けて遷移してゆくことで、差分Δvは徐々に小さくなってゆく。
【0051】
そして、差分Δvが徐々に小さくなってゆく中で、差分Δvが閾値thよりも大きい間は、音量調整部15は、引き続き、車載装置10の音量レベルを目標音量レベルv2(音量レベル「30」)に向けて徐々に変更する。そして、図6(N−1)に示すように、差分Δvが閾値thよりも小さくなると、音量調整部15は、図6(N)に示すように、車載装置10の音量レベルを目標音量レベルv2(音量レベル「30」)に直ちに変更する。
【0052】
このように、第2実施形態の車載装置10によれば、差分Δvが閾値thよりも大きい場合、当初(差分Δvが閾値thよりも小さくなるまで)は、車載装置10の音量レベルが徐々に変化するが、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達する直前には、車載装置10の音量レベルが急峻に変化する。このとき、差分Δvが十分に小さくなっているため、スピーカ10cから突然大きな音が出力されてしまう虞はない。すなわち、第2実施形態の車載装置10によれば、差分Δvが閾値thよりも大きい場合であっても、その一部の区間(差分Δvが閾値thよりも小さくなる区間)については、音量レベルの変化速度を早めることができるようになっている。
【0053】
このため、第2実施形態の車載装置10によれば、指定された音量レベルへの変化量Δvが比較的大きい場合にも、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達するまでの時間を短縮することができる。したがって、ユーザにストレスを感じさせないようにすることができる。
【0054】
なお、上記第2実施形態において、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達した後に、レベルゲージ302上で指示体の接触を継続してなぞり操作が行われた場合、その都度新たな目標音量レベルv2’が設定されて、その目標音量レベルv2’へ車載装置10の音量レベルが変更されることとなる。この場合、差分Δvが閾値thよりも小さくなるような微調整操作が行われている間は、車載装置10の音量レベルは、その微調整操作に追従するかのように、新たな目標音量レベルv2’へ直ちに変更されることとなる。したがって、この微調整操作においても、ユーザにストレスを感じさせないようにすることができる。
【0055】
また、上記第2実施形態において、車載装置10の音量レベルが目標音量レベルv2に到達するまでの間に、指示体の接触が継続されたまま、指示体の接触位置が変更された場合(例えば、ユーザが指示体によってレベルゲージ302上をなぞった場合)、その都度、変更後の指示体の接触位置に対する音量レベルを新たな目標音量レベルv2’として、その目標音量レベルv2’に向けて車載装置10の音量レベルを変更するようにしてもよい。
【0056】
また、上記第1実施形態と上記第2実施形態とを組み合わせて実施するようにしてもよい。例えば、レベルゲージ302に対する指示体の接触を最初に検知部12が検知したとき、指示体の接触の継続時間が所定の閾値よりも短い場合(例えば、ワンタッチ操作の場合)には、上記第1実施形態(図2)の処理の手順によって車載装置10の音量レベルを変更し、指示体の接触の継続時間が所定の閾値よりも長い場合(例えば、長押し操作の場合)には、上記第2実施形態(図5)の処理の手順によって車載装置10の音量レベルを変更するようにしてもよい。
【0057】
なお、上記各実施形態では、特許請求の範囲に記載の機器を車載装置10に適用し、特許請求の範囲に記載の音量調整装置としての機能を車載装置10に備える例を説明したが、これに限らない。特許請求の範囲に記載の機器は、車載装置10以外の装置(例えば、スマートフォン等の携帯端末、音響機器等)にも適用することができる。また、特許請求の範囲に記載の音量調整装置としての機能を車載装置10以外の装置に備えることもできる。
【0058】
その他、上記各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 車載装置(音量調整装置,機器)
10a ディスプレイ
10b タッチパネル
10c スピーカ
11 表示制御部
12 検知部
13 算出部
14 判定部
15 音量調整部
16 音声出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7