(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略矩形状の天井部材と、この天井部材の長手方向両端部にそれぞれの一端部を、回動可能に連結された1対の天井支持部材と、略矩形状で、長手方向両端部にこれら両天井支持部材の他端部がそれぞれ固定される床部材とを備え、
前記天井部材と前記各天井支持部材と前記床部材とを互いに水平に重ね合わせた折り畳み状態から、前記天井部材を吊り上げ、前記両天井支持部材をそれぞれ起立状態にまで回動させて組み立てられる、折り畳み式組立家屋であって、
前記天井支持部材は、前記天井部材の短手方向に互いに離隔した1対の柱部を有しており、
前記床部材は、この床部材の短手方向に互いに離隔した状態でこの床部材の長手方向に伸長する1対の床大梁を有しており、
前記天井支持部材の他端部を構成する前記柱部の固定側端部には、張出連結板が設けられており、
前記張出連結板は、前記折り畳み状態では、水平方向に配置された前記柱部の固定側端部から上方に向けて張り出し、前記天井部材の下面に開口した収納部内に収納されており、組立状態では、鉛直方向に配置された前記柱部の固定側端部と前記床大梁の長さ方向端面とを互いに突き合わせた状態で、前記床大梁の長さ方向端部内側面に固定される、
事を特徴とする折り畳み式組立家屋。
前記ローラに隣接した部分に、前記床大梁の側面と係合して、このローラがこの床大梁の上面から脱輪する事を防止する案内鍔部が設けられている、請求項3に記載した折り畳み式組立家屋。
【背景技術】
【0002】
従来から、組立家屋は、現場での施工作業及び撤去作業が可能である等の理由から、土木現場や建築現場等の仮設事務所として広く利用されている。又、施工効率及び撤去効率の向上を図る為、例えば特許文献1〜3等に記載される様に、従来から各種構造の組立家屋が提案されている。
【0003】
図18〜21は、このうちの特許文献1に記載された、従来構造の折り畳み式の組立家屋1を示している。この組立家屋1は、
図18に示した組立完成状態で、天井部材2と、妻側の1対の天井支持部材3、3と、複数の桁側壁面パネル4と、床部材5とを備えている。このうちの天井部材2は、略矩形板状で、鉄骨製の天井フレームに、屋根材及び天井材等をそれぞれ取り付ける事により構成されている。又、前記各天井支持部材3、3は、鉄骨製の天井支持フレームに、壁材や窓枠等を組み付ける事により構成されており、それぞれの一端部(組立状態での上端部)を、前記天井部材2の長手方向両端部に、それぞれヒンジ6、6(
図19〜21参照)を介して回動可能に連結されている。又、前記各桁側壁面パネル4は、壁材や窓枠等から構成されており、前記天井部材2の桁側両辺と前記両天井支持部材3、3の側辺と前記床部材5の桁側両辺から構成される矩形枠内に取り付けられている。更に、前記床部材5は、略矩形板状で、鉄骨製の床フレームに床板等を取り付ける事により構成されており、その長手方向両端部が、前記各天井支持部材3、3の他端部(組立状態での下端部)に固定されている。
【0004】
図18に示した様な組立完成状態を有する組立家屋1は、
図19に示す様な折り畳み状態で、前記天井部材2と前記床部材5との間部分に、前記各天井支持部材3、3が水平方向に折り畳まれた状態で配置され、前記天井部材2とこれら各天井支持部材3、3と前記床部材5とが、互いに水平に重ね合されている。尚、この状態で、前記各桁側壁面パネル4は取り外されており、前記各天井支持部材3、3の他端部(組立状態での下端部)は、前記床部材5に対して固定されていない。
【0005】
図19に示した様な折り畳み状態から、
図18に示した様な組立家屋1を組み立てるには、
図20に示す様に、クレーン7を利用して、前記天井部材2を吊り上げる。これにより、
図21に示す様に、水平方向に折り畳まれていた前記両天井支持部材3、3を、それぞれ90度回動させて鉛直方向に起立させる。次いで、これら両天井支持部材3、3の他端部を、前記床部材5の長手方向両端部に対して固定する。その後、前記各桁側壁面パネル4を取り付け、組立完成状態の組立家屋1を得る。
【0006】
上述した様な従来構造の折り畳み式組立家屋1の場合、折り畳み状態で、前記床部材5の上方に載置した前記天井部材2を吊り上げる事により、重力を利用して、前記両天井支持部材3、3を起立状態にまで回動させる事ができる。この為、組立家屋1を組み立てる際に、構成部材の一部を別の場所に仮置き(移動)する作業が不要になり、作業効率の向上を図れる。又、前記両天井支持部材3、3を起立させるのに要する作業者の負担を軽減できる等の優れた点がある。
【0007】
但し、上述した従来構造の場合、前記両天井支持部材3、3の他端部と、前記床部材5の長手方向両端部とを固定する為に、これら両部材3、5とは別体の連結金具(図示省略)を利用している。この様な連結金具を用いた場合、部品点数が増加する為、施工効率の面から不利になる。この様な事情に鑑み、上述した様な連結金具を、天井支持部材の他端部と床部材の長手方向端部との何れか一方の端部に、予め固定又は一体的に設けておく事も考えられる。但し、この場合には、施工効率の低下は防止できるものの、組立家屋を折り畳んだ際に、連結金具が他の部材と干渉してしまい、天井部材と1対の天井支持部材と床部材とを互いに水平に重ね合わせる事ができなくなる可能性がある。この為、組立家屋の折り畳み状態での積載性の低下(厚さ寸法の増大)を招いてしまう。又、従来構造の組立家屋1の場合、前記各天井支持部材3、3を回動させた際に、これら各天井支持部材3、3の他端縁が、前記床部材5の上面を引き摺り、この床部材5に傷等の損傷を生じる可能性もある。又、従来構造の場合には、天井部材2の上で作業する作業者の安全性を特段考慮した構造にはなっておらず、安全性の確保の面からは更なる改良の余地がある。又、従来構造の場合には、電気配線を収納するスペースが考慮されていない為、折り畳み状態で、電気配線が断線する可能性がある。又、電気配線が室内空間に露出し、室内空間の意匠を低下させる可能性もある。更に、従来構造の場合には、折り畳み状態の姿勢を維持したまま、クレーンにより吊り上げたり、搬送したりする事に就いては、特段考慮していない。この為、クレーンにより吊り上げた際に、前記
図20に示した様に、前記天井部材2及び前記各天井支持部材3、3のみが吊り上げられてしまい、折り畳み状態の姿勢を維持したまま、吊り上げる事はできない。又、前記
図19に示した状態で、トラックの荷台等にそのまま積層した場合には、前記天井部材2及び前記各天井支持部材3、3と、前記床部材5とが水平方向に相対変位してしまい、バランスを崩す可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、折り畳み状態での積載性の低下を防止しつつ、施工効率の向上を図れる、折り畳み式組立家屋の構造を実現すべく発明したものである。
又、本発明は必要に応じて、床部材の上面に損傷が生じる事を有効に防止できる構造、天井部材の上で作業する作業者の安全性を有効に確保できる構造、電気配線を効果的に収納できる構造、及び、折り畳み状態での作業性に優れた構造を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の折り畳み式組立家屋は、略矩形状の天井部材と、1対の天井支持部材と、略矩形状の床部材とを備える。
このうちの天井部材は、例えば鉄骨製の天井フレームと屋根材(防水シート、断熱材等を含む)と天井材(天井パネル)から構成される。
又、前記各天井支持部材は、例えば鉄骨製の天井支持フレームと妻側壁面パネルから構成され、
前記天井部材の短手方向に互いに離隔した1対の柱部を有しており、それぞれの一端部(組立状態での上端部)を前記天井部材の長手方向両端部に、回動ピンやヒンジ等を介して、回動可能に連結されている。
又、前記床部材は、例えば鉄骨製の床フレームと床材(床板、断熱材等を含む)から構成され、
前記床部材の短手方向に互いに離隔した状態でこの床部材の長手方向に伸長する1対の床大梁を有しており、その長手方向両端部に、前記両天井支持部材の他端部(組立状態での下端部)が固定される。
又、本発明の折り畳み式組立家屋は、前記天井部材と前記各天井支持部材と前記床部材とを互いに水平に重ね合わせた折り畳み状態から、前記天井部材を吊り上げ、前記両天井支持部材をそれぞれ起立状態にまで回動させて、組み立てられるものである。
【0011】
特に本発明の折り畳み式組立家屋の場合には、前記天井支持部材の他端部
を構成する前記柱部の固定側端部に、張出連結板を設けている。
又、
前記張出連結板は、前記折り畳み状態で
は、水平方向に配置された前記柱部の固定側端部から上方に向けて張り出し、前記天井部材の下面に開口した収納部内に収納されて
おり、組立状態では、鉛直方向に配置された前記柱部の固定側端部(下端部)と前記床大梁の長さ方向端面とを互いに突き合わせた状態で、前記床大梁の長さ方向端部内側面に固定される。
【0012】
又、上述した様な本発明の折り畳み式組立家屋を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記床部材を、この床部材の短手方向に互いに離隔した状態で、
前記1対の床大梁と、これら両床大梁の長さ方向両端寄り部分同士を互いに連結する1対の伸縮梁とを有する床フレームを含んで構成する。
そして、これら両伸縮梁の長さ寸法を調整する事により、前記両床大梁の長さ方向両端部同士の間隔を調整(拡縮)可能とする。
【0013】
又、本発明の折り畳み式組立家屋を実施する場合、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記床部材を、
前記1対の床大梁を有する床フレームを含んで構成する。
又、前記天井支持部材を回動させる際に、この天井支持部材の他端部に設けたローラを、前記床大梁の上面を転動させる。
【0014】
又、上述した様な請求項3に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項4に記載した発明の様に、前記ローラに隣接した部分に、前記床大梁の側面と係合して、このローラがこの床大梁の上面から脱輪する事を防止する案内鍔部を設ける。
【0015】
又、本発明の折り畳み式組立家屋を実施する場合には、例えば請求項5に記載した発明の様に、前記天井部材の上面に転落防止装置を構成するスタンションを設ける。
このスタンションは、前記天井部材に対して水平方向から鉛直方向に回動可能に支持された回動柱と、この回動柱に対しこの回動柱の長さ方向にスライド可能に支持されたスライド係合片と、前記天井部材に固定された受部材とを備える。
又、この受部材には、前記回動柱を鉛直方向に起立させた際に下方に移動するスライド係合片と係合し、この回動柱の回動を規制する、係合凹部を設けている。又、必要に応じて、前記受部材には、前記回動柱を水平方向から鉛直方向に向けて回動させた際に、前記スライド係合片を上方に案内移動させる案内部を設ける。
更に、上述した様な請求項5に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項6に記載した発明の様に、前記受部材に、掛止孔を形成する等して、前記天井部材を吊り上げる際に使用するワイヤを掛止する機能を備えさせる。
【0016】
又、本発明の折り畳み式組立家屋を実施する場合には、例えば請求項7に記載した発明の様に、前記天井支持部材を、
前記1対の柱部を備えた天井支持フレームを含んで構成する。そして、これら両柱部のうち少なくとも一方の柱部を、電気配線を収納可能に構成する。
【0017】
又、本発明の折り畳み式組立家屋を実施する場合には、例えば請求項8に記載した発明の様に、前記折り畳み状態で、前記天井支持部材と前記床部材とを、例えば鉛直方向に配置した固定プレートにより固定する。
【0018】
更に、本発明の折り畳み式組立家屋を実施する場合には、例え
ば、前記床部材に、この床部材の長手方向に離隔する状態で、フォークリフトに設けられた爪を挿入する為の1対の爪挿入部を設ける。
【発明の効果】
【0019】
以上の様な構成を有する本発明の折り畳み式組立家屋によれば、折り畳み状態での積載性の低下を防止しつつ、施工効率の向上を図れる。
即ち、本発明の場合には、天井支持部材の他端部に、折り畳み状態で上方に向けて張り出した、床部材の長手方向端部に固定する為の張出連結板をそれぞれ設けている。この為、本発明によれば、天井支持部材及び床部材とは別体の連結金具を使用する場合に比べて、組立家屋の施工効率の向上を図れる。又、折り畳み状態で、前記張出連結板を、天井部材の下面に開口する状態で設けられた収納部内に収納できる為、この張出連結板が他の構成部材と干渉する事を防止できる。この為、この張出連結板を前記天井支持部材の他端部に設けた場合にも、前記天井部材とこれら各天井支持部材と前記床部材とを互いに水平に重ね合わせる事が可能になる。従って、折り畳み状態での積載性の低下を防止できる。この結果、本発明によれば、折り畳み状態での積載性の低下を防止しつつ、施工効率の向上を図れる。
【0020】
又、請求項2に記載した発明の場合には、床フレームを構成する1対の伸縮梁の長さ寸法を調整する事により、この床フレームを構成する1対の床大梁の長さ方向両端部同士の間隔を調整する事ができる。この為、これら両床大梁の長さ方向両端部同士の内側
(又は外側
)に、前記各天井支持部材の他端部に設けられた1対の張出連結板を固定する構造を採用した場合に、これら両張出連結板を前記両床大梁の長さ方向両端部同士の間に配置(挿入)する作業の作業性の向上と、固定部に於ける結合強度の向上との両立を図れる。
【0021】
又、請求項3に記載した発明の場合には、前記天井支持部材を回動させる際に、この天井支持部材の他端部に設けたローラが、前記床部材を構成する床大梁の上面を、長さ方向中間部と長さ方向端部との間で転動する。この為、前記天井支持部材の他端縁部が、前記床部材の上面を引き摺って損傷する事を防止できる。又、請求項3に記載した発明の場合には、前記天井支持部材が鉛直に起立する状態まで、前記ローラが前記床大梁の上面を転動する事が可能になる為、前記天井支持部材の他端部が、この天井支持部材の回動作業が完了する(起立する)以前に、不支持状態になる事を有効に防止できる。この結果、前記天井部材と前記天井支持部材との連結部に衝撃的な荷重が加わる事を防止して、この連結部の耐久性の向上を図れる。
又、請求項4に記載した発明の場合には、前記ローラに隣接して設けた案内鍔部が、前記床大梁の側面と係合する事により、このローラが、この床大梁の上面から脱輪する事を防止できる。この為、前記天井部材及び前記両天井支持部材と、前記床部材とが、鉛直軸回りに相対回転する事を有効に防止できる。
【0022】
又、請求項5に記載した発明の場合には、回動柱を水平状態から鉛直状態にまで回動させるだけで、この回動柱を回動不能に起立させる事ができる。この為、スタンションを、別途工具を使用せずに組み立てる(起立状態で固定する)事ができる。
更に、請求項6に記載した発明の場合には、スタンションに、天井部材を吊り上げる際にワイヤを掛止する為の機能を併せ持たせる事ができる為、部品点数の低減及びコストの低減を図れる。
【0023】
又、請求項7に記載した発明の場合には、天井支持部材を構成する天井支持フレームの柱部に、電気配線を収納する事ができる。この為、折り畳み状態で、電気配線が断線する事を有効に防止できる。又、組立家屋の室内空間の意匠が低下する事を防止できる。
【0024】
又、請求項8に記載した発明の場合には、折り畳み状態での姿勢を維持する事ができる。この為、折り畳んだ状態での吊り上げ作業や搬送作業等の作業性の向上を図れる。更に、
床部材に、フォークリフトに設けられた爪を挿入する為の1対の爪挿入部を設ける場合には、フォークリフトを利用して組立家屋を移動する事が可能になる為、移動作業の為のスペースが小さく済むと共に、移動作業の作業効率の効率を図れる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[実施の形態の1例]
図1〜17は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の折り畳み式の組立家屋1aは、天井部材2aと、1対の天井支持部材3a、3aと、桁側壁面パネル4と、床部材5aとを備えるもので、それ単体で単棟として使用する事もできるし、複数を連結し連棟として使用する事もできる。
【0027】
本例の組立家屋1aは、組立完成状態で、前記天井部材2aと前記床部材5aとの長手方向両端部同士の間に、前記両天井支持部材3a、3aが立設されると共に、前記天井部材2aの桁側両辺とこれら両天井支持部材3a、3aの側辺と前記床部材5aの桁側両辺から構成される矩形枠内に、前記各桁側壁面パネル4が取り付けられる。これに対し、折り畳み状態では、これら各桁側壁面パネル4が取り外され、
図2に示す様に、前記天井部材2aと前記床部材5aとの間部分に、前記各天井支持部材3a、3aが、水平方向に折り畳まれた状態で配置される。この為、本例の場合には、前記各天井支持部材3a、3aの一端部(組立状態での上端部)を、折り畳み状態及び組立完成前の状態で、前記天井部材2aの長手方向両端部に対し回動可能に連結しているのみで固定せず、組立完成状態で、回動不能に固定する。一方、前記各天井支持部材3a、3aの他端部(組立状態での下端部)は、折り畳み状態及び組立完成前の状態で自由端としており、組立完成状態で、前記床部材5aの長手方向両端部に固定する。
【0028】
又、本例の組立家屋1aの場合にも、折り畳み状態から組み立てるには、前記天井部材2aを、クレーン等を利用して吊り上げ、前記両天井支持部材3a、3aを、重力を利用して、それぞれ水平状態から起立状態にまで回動させる。これに対し、組立状態から折り畳むには、前記両天井支持部材3a、3aの両端部(組立状態での上下両端部)と、前記天井部材2a及び前記床部材5aの長手方向両端部との固定を解除する。そして、この天井部材2a及び前記両天井支持部材3a、3aを、クレーン等を利用して僅かに吊り上げた状態で、これら両天井支持部材3a、3aをそれぞれの他端部同士を近づける方向に回動させつつ、前記天井部材2aを下降させる。これにより、前記両天井支持部材3a、3aを、起立状態から水平状態にまで回動させて、前記天井部材2aと前記床部材5aとの間部分に折り畳んだ状態で配置する。
本例の組立家屋1aの基本的な構成、並びに、組立作業及び折り畳み作業に関する基本作業は、以上の通りである。以下、本例の組立家屋1aの詳細に就いて説明する。
【0029】
本例の組立家屋1aを構成する天井部材2aは、全体形状を略矩形状としており、鉄骨製の天井フレーム8と、この天井フレーム8の上面に取り付けられる屋根材9と、この天井フレーム8の下面に取り付けられる複数枚の天井パネル10a、10bとを備えている。このうちの天井フレーム8は、略矩形枠状で、前記天井部材2aの短手方向(
図4の上下方向)に互いに離隔した状態で、この天井部材2aの長手方向(
図4の左右方向)に伸長する1対の天井大梁11、11と、これら両天井大梁11、11同士を連結する複数本の天井小梁12、12と、これら天井小梁12、12同士又はこれら天井小梁12、12と天井大梁11、11とを連結する補強梁13、13とを備えている。又、前記屋根材9は、例えば
溶融55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板
:登録商標)、カラー鋼板等の金属板製で、前記天井フレーム8全体を覆う状態で、この天井フレーム8の上面に、ビスや釘等を利用して取り付けられている。又、前記各天井パネル10a、10bはそれぞれ、例えばカラー鋼板、化粧合板、断熱材(例えば発砲スチロール)、防湿シート等を適宜組み合わせて成るものである。又、これら各天井パネル10a、10bのうち、前記天井フレーム8の長手方向中間部に取り付けられる天井パネル10a、10aは、ビス等により、工具を利用せずには取り外しが不能に固定されている。これに対し、前記天井フレーム8の長手方向両端部に取り付けられる1対の天井パネル10b、10bは、工具を利用せずに取り外し可能に構成されており、
図14に示す様に、組立作業時及び折り畳み作業時には取り外される。
【0030】
又、本例の折り畳み式組立家屋1aの場合、前記各天井大梁11、11の内側面(内部空間に対向する側面)と、前記各天井パネル10a、10aとの間部分に、これら各天井大梁11、11に沿って長い溝部14、14が設けられている。これら各溝部14、14は、組立完成状態で、ゴム又は樹脂製の目隠し部材15a、15bにより全体が塞がれているが、折り畳み作業を行う際には、これら目隠し部材15a、15bのうち、前記各溝部14、14の長さ方向中央部を塞いだ目隠し部材15b、15bのみを取り外しておく。これにより、前記各溝部14、14の長さ方向中央部に、後述する張出連結板35、35を収納する為の収納部16が、前記天井部材2aの下面に開口した状態になる。これら各収納部16の寸法は、前記折り畳み式組立家屋1aを折り畳んだ状態で、1対の張出連結板35、35を収納できるだけの長さ寸法、これら各張出連結板35、35の先半部(上半部)を収納できるだけの深さ寸法、及び、これら各張出連結板35、35を収納できるだけの幅寸法をそれぞれ有する。
【0031】
又、前記屋根材9の上面の四隅部(中心から等間隔離れた4個所位置)には、前記天井部材2aをクレーン(
図19〜21参照)により吊り上げる際に利用するワイヤを掛止する為の係止鉤(吊金具)17、17が設けられている。又、前記屋根材9の上面には、転落防止装置を構成する4本のスタンション18、18が設けられている。これら各スタンション18は、
図9〜10に示した様に、回動柱19と、スライド係合片20と、特許請求の範囲に記載した受部材に相当する前記係止鉤17とから構成されている。このうちの回動柱19は、この係止鉤17を前記屋根材9に固定する為のボルト21を利用して、この屋根材9に対して水平方向から鉛直方向に回動可能に支持されている。又、前記スライド係合片20は、前記回動柱19の長さ方向に長い1対の長孔22、22が形成されており、これら各長孔22、22を挿通した1対のボルト23、23により、前記回動柱19に対し、この回動柱19の長さ方向にスライド可能に支持されている。更に、前記係止鉤17は、全体形状を略D字形としており、その中央部にワイヤを掛止する為の掛止孔24が設けられている。又、前記係止鉤17の外周縁部には、前記回動柱19を水平方向から鉛直方向に向けて回動させた際に、前記スライド係合片20を上方に案内移動させる円弧状の案内部25と、前記回動柱19を鉛直方向に起立させた際に下方に移動する前記スライド係合片20と係合し、この回動柱19の回動を規制する、係合凹部26が設けられている。又、この回動柱19の先端部には、
図11に示した様な、略U字形の本体部27と、この本体部27の先端部に掛け渡されるアイボルト28とから成る、係止具29が取り付けられる。
【0032】
以上の様な構成を有するスタンション18は、前記屋根材9の上で作業する作業者の安全を確保する為に設けられるもので、具体的には、次の様に利用する。即ち、前記各スタンション18、18をそれぞれ起立させた状態で、それぞれの先端部に設けられた係止具29を利用して図示しないロープを架け渡す。そして、前記屋根材9の上で作業を行う場合には、作業者に対して一端部を連結した安全帯の他端部(例えばフック)の内側に、前記ロープを通す。尚、本例の場合には、前記屋根材9の上に4本のスタンション18、18を設けているが、スタンションの数は、4本に限定されず、2本以上設ける事ができ、その配置位置も図示の構造に限定されずに自由に配置できる。
【0033】
前記各天井支持部材3a、3aは、全体形状を略矩形状としており、鉄骨製の天井支持フレーム30、30と、これら各天井支持フレーム30、30の内側に嵌め込まれる、妻側壁面パネル31、31とを備えている。尚、これら各妻側壁面パネル31を、矩形枠状の壁材(例えばカラー鋼板)と、この壁材の内側に建て込まれた引戸障子や窓枠等の建具から構成する事もできる。前記各天井支持フレーム30は、
図13に示す様に、矩形枠状で、折り畳み状態で水平方向に配置されると共に組立状態で鉛直方向に配置される1対の柱部32a、32bと、これら両柱部32a、32bの長さ方向両端部同士を連結した1対の連結梁33a、33bとを備えている。特に本例の場合には、前記各柱部32a、32bの長さ方向両端部のうち、組立状態で上端部に位置する一端部
(回動側端部)に、略矩形板状の回動用張出連結板34を設けており、組立状態で下端部に位置する他端部
(固定側端部)に、矩形板状の張出連結板35を設けている。これら回動用張出連結板34及び張出連結板35はそれぞれ、前記各柱部32a、32b(の長さ方向)に対して直角方向で、且つ、前記組立家屋1aを折り畳んだ状態で、上方に向けて張り出す状態で設けられている。又、前記回動用張出連結板34及び前記張出連結板35は、前記各柱部32a、32bの中心軸に対して平行な同一仮想平面上に設けられている。
【0034】
前記回動用張出連結板34は、前記各天井支持フレーム30、30(柱部32a、32b)の一端部を、前記天井フレーム8(天井大梁11、11)の長手方向両端部に対し、折り畳み状態及び組立完成前の状態で、回動可能に支持すると共に、組立完成状態で、回動不能に固定する為に利用する。前記各回動用張出連結板34には、
図14に示す様に、前記各天井大梁11の長
さ方向端部に水平方向に回転可能に支持された回動ピン36を挿通する為の回動孔37と、組立完成状態で、前記各天井大梁11の長
さ方向端部の内側面に対し回動不能に固定するボルトを挿通する為のボルト用貫通孔38、38とが、それぞれ形成されている。これら各ボルト用貫通孔38、38は、
図14の(A)に示した前記天井支持部材3aの起立状態で、前記天井大梁11の長
さ方向端部に設けられた複数の通孔39、39と整合する位置に設けられている。又、前記回動用張出連結板34のうち、組立状態で上側に位置する上辺の先半部には、前記回動孔37を中心とする円弧部40が設けられている。これにより、前記回動ピン36を中心に、前記各天井支持フレーム30が回動した場合にも、前記回動用張出連結板34の上辺が前記屋根材9の下面に対し干渉(接触)する事を防止している。
【0035】
前記張出連結板35は、前記各天井支持フレーム30、30(柱部32a、32b)の他端部を、前記床部材5a(後述する床大梁49、49)の長手方向両端部の内側面に対し、組立完成状態で固定する為に利用する。前記張出連結板35には、組立完成状態で、前記各床大梁49の長
さ方向端部の内側面に対し固定するボルトを挿通する為のボルト用貫通孔41、41が形成されている。これら各ボルト用貫通孔41、41は、組立完成状態(天井支持部材3aの起立状態)で、前記各床大梁49の長
さ方向端部に設けられた複数の通孔42、42と整合する位置に設けられている。特に本例の場合には、この様な構成を有する前記張出連結板35の先半部(折り畳み状態での上半部)を、前記
図2、6、7、8に示した様な折り畳み状態で、前記収納部16内に収納している。
【0036】
又、本例の場合には、前記各柱部32a、32bをそれぞれ、断面正方形状の主柱43と、この主柱43の内側面に固定された断面長方形状の補助柱44a、44bとから構成している。又、前記両柱部32a、32bのうち、一方の柱部32bを構成する補助柱44bの側面(組立状態で内部空間に対向する面)を、取り外し可能なカバー体45により構成している。これにより、前記補助柱44bの内側空間を、電気配線46を収納する為の配線収納空間としている。
【0037】
前記床部材5aは、全体形状を略矩形状としており、鉄骨製の床フレーム47と、この床フレーム47の上面に取り付けられる、例えば塗装合板等の床板48a、48bとを備えている。このうちの床フレーム47は、略矩形枠状で、前記床部材5aの短手方向に互いに離隔した状態で、この床部材5aの長手方向に伸長する1対の床大梁49、49と、これら両床大梁49、49の長さ方向中間部同士を連結する複数本の床小梁50、50と、これら両床大梁49、49の長さ方向両端寄り部分同士を連結する1対の伸縮梁51、51と、前記床小梁50、50と前記床大梁49、49とを連結する補強梁52、52とを備えている。前記両床板48a、48bのうち、前記床フレーム47の長手方向中間部に取り付けられる床板48a、48aは、ビス等により、工具を利用せずには取り外しが不能に固定されている。これに対し、前記床フレーム47の長手方向両端部に取り付けられる1対の床板48b、48bは、工具を利用せずに取り外し可能に構成されており、組立作業時及び折り畳み作業時には取り外される。又、
図8に示す様に、前記床部材5aの短手方向(左右方向)に関する前記床板48a(48b)の長さ寸法Xを、前記両床大梁49の外側面間の長さ寸法Yよりも小さくしている(X<Y)。これにより、これら各床大梁49の上面のうちで、前記各床板48aから露出した外側半部を、これら各床大梁49の全長に亙り設けられたローラ転動面53としている。
【0038】
又、前記床フレーム47を構成する1対の伸縮梁51、51はそれぞれ、
図15に示した様に、長さ方向両端部に、ボルト54の軸部を挿通する為の円孔が形成された梁部本体55と、この梁部本体55の長さ方向両端部に前記ボルト54によりそれぞれ固定された1対の調整板部56とから構成されている。これら両調整板部56は、それぞれ前記ボルト54を挿通可能な長孔57が形成されており、前記両床大梁49、49の内側面に基端部が固定(溶接)されている。本例の場合には、前記長孔57内での前記ボルト54の位置を変化させる事により、前記伸縮梁51、51の長さ寸法及び前記両床大梁49、49の長
さ方向両端部同士の間隔を変更する事が可能である。
【0039】
又、本例の場合、前記床部材5aを構成する床フレーム47に、この床フレーム47の長手方向に離隔する状態で、フォークリフトに設けられた爪を挿入する為の、矩形孔状の1対の爪挿入部58、58を設けている。これら各爪挿入部58、58は、前記床フレーム47を構成する前記両床大梁49、49の外側面にそれぞれ開口する状態で設けられており、これら両床大梁49、49の内側面に固定された断面コ字形の爪案内部59、59と、これら両爪案内部59、59同士を連結する1対の連結部材60、60とから構成されている。
【0040】
又、本例の組立家屋1aの場合、前述した様な組立作業及び折り畳み作業の作業効率の向上を図るべく、前記各天井支持フレーム30、30の他端部(組立状態での下端部)に、
図16、17に示した様な、ローラ組立体61を着脱可能としている。このローラ組立体61は、前記各天井支持フレーム30、30を構成する柱部32a、32bの下面に対し、カムやビス、マグネット等を利用して固定される、略コ字形の枠体62と、この枠体62に対し水平方向に支持された軸63と、この軸63の周囲に回転可能に配置されたローラ64と、この枠体62のうちで、このローラ64が支持された部分よりも外側(外部空間側でローラ64の外側に隣接する部分)に支持された円形状の案内鍔部65とを備える。本例の場合、前記床部材5aの短手方向に関して、前記各ローラ転動面53と整合する位置に、前記各ローラ64が配置されると共に、前記各床大梁49の外側面よりも僅かに外側位置に、前記各案内鍔部65が配置される様に、前記天井部材2a及び前記各天井支持部材3a、3aと前記床部材5aとの位置関係を規制した状態で作業を行う。
【0041】
上述の様な構成を有する前記各ローラ組立体61、61を取り付けて行う、組立作業及び折り畳み作業に就いて、
図2及び
図3を参照しつつ説明する。
先ず、組立作業を行う場合には、
図2に示す様に、前記組立家屋1aの折り畳み状態で、前記各天井支持フレーム30、30の他端部に対し、前記各ローラ組立体61、61を取り付ける。そして、従来構造の場合と同様に、前記天井部材2aを、クレーン等を利用して吊り上げると、
図3に示した様に、前記両天井支持部材3a、3aの他端部に装着された前記各ローラ64、64が、前記各ローラ転動面53、53上を前記各床大梁49、49の長
さ方向中間部から端部に向けてそれぞれ転動する。又、同時に、前記各案内鍔部65、65の内側面が前記各床大梁49、49の外側面に対しそれぞれ係合する事で、前記各ローラ64、64が前記各ローラ転動面53、53から脱輪する(天井部材2a及び天井支持部材3aが床部材5aに対し鉛直方向の軸回りに回転する)事を防止する。そして、前記各ローラ64、64が、前記各床大梁49、49の長
さ方向端部を超えた(長
さ方向に脱輪した)ならば、前記天井部材2aを僅かに下降させて、前記各張出連結板35、35を、前記両床大梁49、49の長
さ方向両端部の内側面同士の間に配置(挿入)する。次いで、前記両伸縮梁51、51の長さ寸法を短くする事により、前記両床大梁49、49の長
さ方向両端部同士の間隔を小さくする。これにより、これら両床大梁49、49の長
さ方向両端部内側面により、前記両張出連結板35、35を外側から挟持する(隙間のない状態にする)。そして、前記各通孔42、42と前記各ボルト用貫通孔41、41とをそれぞれ室外側から室内側に向けて挿通する状態でボルトを固定し、前記各張出連結板35、35を前記各床大梁49、49の長
さ方向端部内側面に対し固定する。又、前記各天井大梁11、11の長
さ方向両端部に形成された通孔39、39と、前記各回動用張出連結板34、34に形成されたボルト用貫通孔38、38とをそれぞれ室外側から室内側に向けて挿通する状態でボルトを固定し、前記各回動用張出連結板34、34を前記各天井大梁11、11の長
さ方向端部に対し固定する。本例の場合には、この様な組立作業により、折り畳み式の組立家屋1aが組み立てられる。
【0042】
これに対し、折り畳み作業を行う場合には、
図1に示した状態から、前記各張出連結板35、35と前記両床大梁49、49の長
さ方向両端部とを固定しているボルトを取り外すと共に、前記各回動張出連結板34、34と前記両天井大梁11、11の長
さ方向両端部とを固定しているボルトを取り外す。そして、前記天井部材2a及び前記両天井支持部材3a、3aを、クレーン等を利用して僅かに吊り上げた状態で、これら両天井支持部材3a、3aの他端部に対し、前記各ローラ組立体61、61を取り付ける。次いで、
図3に示した様に、前記両天井支持部材3a、3aをそれぞれの他端部同士を近づける方向に回動させつつ、前記天井部材2aを下降させる。特に本例の場合には、この様な作業時に、前記両天井支持部材3a、3aの他端部に装着された前記各ローラ64、64が、前記各ローラ転動面53、53上を前記各床大梁49、49の長
さ方向端部から中央に向けてそれぞれ転動する。又、同時に、前記各案内鍔部65、65の内側面が前記各床大梁49、49の外側面に対しそれぞれ係合する事で、前記各ローラ64、64が前記各ローラ転動面53、53から脱輪する事を防止する。そして、前記両天井支持部材3a、3aを、起立状態から水平状態にまで回動させて、前記天井部材2aと前記床部材5aとの間部分に折り畳んだ状態で配置する。又、本例の場合には、
図2に示す様に、この様な折り畳み状態での姿勢を維持する為、前記各天井支持部材3a、3aと前記床部材5aとを、鉛直方向に配置された固定プレート66a、66bにより固定している。図示の構造の場合、中央側に配置した固定プレート66aを、前記天井部材2a(天井大梁11)に対しボルトにより固定しているが、この固定プレート66aは、その上端縁をフック状に形成し、当該フック部を前記天井部材2a(天井大梁11)に係止する事で、前記各天井支持部材3a、3aと前記床部材5aとを固定するだけでなく、これら各天井支持部材3a、3aと前記天井部材2aとの鉛直方向に関する間隔が拡がる事も防止できる。
本例の場合には、この様な折り畳み作業により組立家屋1aが折り畳まれる。
【0043】
以上の様な構成を有する本例の組立家屋1aによれば、折り畳み状態での積載性の低下を防止しつつ、施工効率の向上を図れる。
即ち、本例の場合には、1対の天井支持部材3a、3aの他端部に、これら各天井支持部材3a、3aに対し直角方向で、且つ、折り畳み状態で上方に向けて張り出した、前記各張出連結板35、35を設けている。この為、本例の構造によれば、前記各天井支持部材3a、3a及び前記床部材5aとは別体の連結金具を使用する場合に比べて、組立家屋の施工効率の向上を図れる。又、折り畳み状態で、前記各張出連結板35、35を、前記天井部材2aの下面に開口する状態で設けられた収納部16内に収納できる為、これら各張出連結板35、35が他の構成部材と干渉する事を防止できる。この為、これら各張出連結板35、35を前記各天井支持部材3a、3aの他端部に設けた場合にも、前記天井部材2aとこれら各天井支持部材3a、3aと前記床部材5aとを互いに水平に重ね合わせる事が可能になる。従って、折り畳み状態での積載性の低下を防止できる。この結果、本例の組立家屋1aによれば、折り畳み状態での積載性の低下を防止しつつ、施工効率の向上を図れる。
【0044】
又、本例の場合には、前記両伸縮梁51、51の長さ寸法を調整する事により、前記両床大梁49、49の長さ方向両端部同士の間隔を調整する事ができる。この為、前記両張出連結板35、35を前記両床大梁49、49の長さ方向両端部同士の間に配置(挿入)する作業の作業性の向上と、これら各張出連結板35、35と床大梁49、49の長
さ方向端部との固定部に於ける結合強度の向上との両立を図れる。つまり、前記両張出連結板35、35を挿入する場合には、前記両伸縮梁51、51の長さ寸法を長く調整する事で、前記両床大梁49、49の長
さ方向両端部同士の間隔を大きくしておき、挿入が済んだ後には、前記両伸縮梁51、51の長さ寸法を短く調整する。これにより、上記2つの相反する要求を両立する事ができる。
【0045】
又、本例の場合には、前記各天井支持部材3a、3aを回動させる際に、これら各天井支持部材3a、3aの他端部に設けた1対のローラ64、64が、前記両床大梁49、49の上面(ローラ転動面53、53)を長
さ方向中間部と長さ方向端部との間で転動する。この為、前記各天井支持部材3a、3aの他端縁部が、前記床部材5aの上面を引き摺って損傷する事を防止できる。又、本例の場合には、前記各天井支持部材3a、3aが鉛直に起立する状態まで、前記各ローラ64、64が前記各床大梁49、49の上面を転動する事が可能になる為、これら各天井支持部材3a、3aの他端部が不支持状態になる事を有効に防止できる。又、前記各ローラ64、64に隣接して設けた案内鍔部65、65が、前記各床大梁49、49の外側面と係合する事により、これら各ローラ64、64が、これら各床大梁49、49の上面から脱輪する事を防止できる。この為、前記天井部材2a及び前記両天井支持部材3a、3aと前記床部材5aとが、鉛直方向の軸回りに相対変位する事を有効に防止できる。従って、組立作業の作業効率を向上させる事ができる。
【0046】
又、本例の場合には、前記各スタンション18を構成する回動柱19を水平状態から鉛直状態にまで回動させる作業を行うだけで、この回動柱19を回動不能に起立させる事ができる。この為、前記各スタンション18を、別途工具を使用せずに組み立てる(起立状態で固定する)事ができる。
更に、本例の場合には、前記各スタンション18を構成する係止鉤17に、前記天井部2aを吊り上げる際にワイヤを掛止する為の機能を併せ持たせる事ができる為、部品点数の低減及びコストの低減を図れる。
【0047】
又、本例の場合には、前記各天井支持フレーム30、30を構成する一方の柱部32bに、電気配線46を収納する事ができる。この為、折り畳み状態で、電気配線46が断線する事を有効に防止できる。又、室内空間の意匠が低下する事を防止できる。
【0048】
又、本例の場合には、前記各固定プレート66a、66bにより、前記各天井支持部材3a、3aと前記床部材5aとの鉛直方向に関する間隔が拡がる事を防止している為、折り畳み状態での姿勢を維持する事ができる。この為、折り畳んだ状態での吊り上げ作業や搬送作業等の作業性の向上を図れる。更に、本例の場合には、前記床部材5a(床フレーム47)に、1対の爪挿入部58、58を設けている為、フォークリフトを利用して組立家屋を移動する事が可能になる。従って、移動作業の為のスペースが小さく済むと共に、移動作業の作業効率の効率を図れる。