特許第6367630号(P6367630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367630冗長系システム、冗長機器及びその切替方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367630
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】冗長系システム、冗長機器及びその切替方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/20 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   G06F11/20 623
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-146823(P2014-146823)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2016-24537(P2016-24537A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】南 克享
【審査官】 小林 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−004259(JP,U)
【文献】 特開平06−035739(JP,A)
【文献】 特開2006−235989(JP,A)
【文献】 特開平10−049505(JP,A)
【文献】 特開平06−044090(JP,A)
【文献】 特開2001−155002(JP,A)
【文献】 特開2002−278787(JP,A)
【文献】 特開2001−043105(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/063152(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0077250(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0288607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラーム状態を含む管理データの通信を実施するタイミングを示す同期信号を出力する同期信号発生器と、前記同期信号に同期して相互に取得した前記管理データに基づいて切替えを管理する複数の冗長機器とを有する冗長系システムにおいて、
前記管理データは、現用系に切り替える冗長機器の機器番号を指定する現用系機器番号を含み、
前記複数の冗長機器は、前記管理データの通信を実施するタイミングを示す同期信号を受信し、前記同期信号に同期して相互に前記管理データの通信を実施する通信部と、前記同期信号に同期して取得した前記管理データに基づいて切替えを管理する切替管理部と、を有し、
前記切替管理部は、自機器がアラーム状態でかつ現用系であれば、現用系に切り替える冗長機器の機器番号を前記現用系機器番号により指定した管理データを送信することを特徴とする冗長系システム。
【請求項2】
アラーム状態を含む管理データの通信を実施するタイミングを示す同期信号を受信し、前記同期信号に同期して相互に前記管理データの通信を実施する通信部と、同期信号に同期して取得した前記管理データに基づいて切替えを管理する切替管理部と、を有する冗長機器において、
前記管理データは、現用系に切り替える冗長機器の機器番号を指定する現用系機器番号を含み、
前記切替管理部は、自機器がアラーム状態でかつ現用系であれば、現用系に切り替える冗長機器の機器番号を現用系機器番号により指定した管理データを送信する冗長機器。
【請求項3】
前記管理データは、他の冗長機器から自機器に強制的に現用系を切り替える強制現用フラグを含み、前記切替管理部は、自機器が待機系でかつ自機器に強制的に現用系を切り替える場合、前記強制現用フラグをセットし自機器の機器番号を現用系機器番号により指定した管理データを送信することを特徴とする請求項2に記載の冗長機器。
【請求項4】
前記切替管理部は、受信した管理データのうち現用系機器番号がセットされている管理データが1つのみの場合、現用系への切替処理を開始することを特徴とする請求項2又は3に記載の冗長機器。
【請求項5】
アラーム状態を含む管理データの通信を実施するタイミングを示す同期信号を受信し、前記同期信号に同期して相互に前記管理データの通信を実施し、前記同期信号に同期して取得した前記管理データに基づいて切替えを管理する冗長機器の切り替え方法において、
前記管理データは、現用系に切り替える冗長機器の機器番号を指定する現用系機器番号を含み、自機器がアラーム状態でかつ現用系であれば、現用系に切り替える冗長機器の機器番号を現用系機器番号により指定した管理データを送信する、冗長機器の切替方法
【請求項6】
アラーム状態を含む管理データの通信を実施するタイミングを示す同期信号を受信する処理と、前記同期信号に同期して相互に前記管理データの通信を実施する処理と、前記同期信号に同期して取得した前記管理データに基づいて切替えを管理する処理とを冗長機器のCPUに実行させるためのプログラムであって、前記管理データは、現用系に切り替える冗長機器の機器番号を指定する現用系機器番号を含み、前記切替えを管理する処理は、自機器がアラーム状態でかつ現用系であれば、現用系に切り替える冗長機器の機器番号を現用系機器番号により指定した管理データを送信する処理を含む、プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冗長系システム、冗長機器及びその切替方法に関し、特に冗長機器の現用系と待機系とを切替える冗長系システム、冗長機器及びその切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冗長系システムにおいては、同一機能をもつ冗長機器が複数台備えられ、現用系に異常が検知された場合等にはその冗長機器は待機系に切替えられ、待機系のうちから選択された冗長機器が現用系に切替えられる。具体的には、例えば、特開平9−305558号公報に示されているシステムがある。すなわち現用系サーバ装置と待機系サーバ装置からなるデータベースシステムにおいて、現用系サーバ装置と待機系サーバ装置のシステム監視プロセスが、互いに通信を行うことで相手サーバ装置の監視を行う。待機系サーバ装置のシステム監視プロセスが、現用系サーバ装置の異常を検知した場合、自己のシステムを現用システムに切り替える。
また例えば、特開平5−250195号公報に示されている、現用系プロセッサと待機系プロセッサをもつデュプレックス構成の情報処理システムもある。すなわち現用系のプロセッサの稼働状態を待機系のプロセッサによって調査するために、通信回線を介する相互データ通信によって相手側のプロセッサの稼働状況を監視するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−305558号公報
【特許文献2】特開平5−250195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、信頼性の要求されるシステムでは、3台以上の装置が冗長化された多数冗長系が採用されている。上述の特開平9−305558号公報及び特開平5−250195号公報に記載の技術では、2台のサーバあるいはプロセッサ間で通信を実施すれば両方の装置の状態が同時に検知できる。しかし、3台以上の冗長機器を含む多数冗長系においては、3台同時に状態を把握するのが困難であり、現用系の状態を検知してから現用系を切替えるまでに2重化システムと比較して時間がかかっていた。
【0005】
本発明は、3台以上の冗長機器からなる多数冗長系システムにおいて、現用系の状態を検知してから現用系に切替える時間を短縮可能な冗長系システム、冗長機器及びその切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冗長系システムは、アラーム状態を含む管理データの通信を実施するタイミングを示す同期信号を出力する同期信号発生器と、同期信号に同期して相互に取得した管理データに基づいて切替えを管理する複数の冗長機器とを有している。
【0007】
また、本発明の冗長機器は、アラーム状態を含む管理データの通信を実施するタイミングを示す同期信号を受信し、同期信号に同期して相互に管理データの通信を実施する通信部と、同期信号に同期して取得した管理データに基づいて切替えを管理する切替管理部と、を有している。
【0008】
また、本発明の冗長機器の切替え方法は、アラーム状態を含む管理データの通信を実施するタイミングを示す同期信号を受信するステップと、同期信号に同期して相互に管理データの通信を実施するステップと、同期信号に同期して取得した管理データに基づいて切替えを管理するステップとを有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、3台以上の冗長機器からなる多数冗長系システムにおいて、現用系の状態を検知してから現用系に切替える時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の冗長系システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1の冗長機器の構成を示すブロック図である。
図3図3は、冗長機器が他の冗長機器との間で通信する管理データの構成を示す図である。
図4図4は、冗長機器のデータ送信動作を示すフローチャートである。
図5図5は、いずれかの冗長機器で強制現用フラグがセットされた場合の冗長機器の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、現用系でアラームフラグがセットされた場合の冗長機器の動作を示すフローチャートである。
図7図7は、全ての冗長機器が待機系として動作した場合の冗長機器の動作を示すフローチャートである。
図8図8は、複数の現用系が存在した場合の冗長機器の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の冗長系システムの一実施形態の構成を示す図である。
【0013】
冗長系システム1は、同期信号を出力する同期信号発生器10と、同期信号に合わせ、相互に通信を実施する冗長機器21〜2nと、同期信号発生器10から冗長機器21〜2nに同期信号を入力するために同期信号発生器10とを備えている。さらに冗長系システム1は、冗長機器21〜2nを接続する同期信号ネットワーク30と、冗長機器間で管理データを双方向通信するため冗長機器21〜2n間を接続する管理データネットワーク40とを備えている。
【0014】
同期信号発生器10は、冗長機器21〜2nに接続され、冗長機器21〜2nが管理データを送信するタイミングを示す同期信号を発生し、冗長機器21〜2nに同期信号に同期した通信を指示する。
【0015】
管理データネットワーク40は、冗長機器21〜2nは、他のすべての冗長機器との間で管理データを通信可能に接続するネットワークである。
【0016】
図2は、図1の冗長機器21の構成を示すブロック図である。なお本実施形態においては、冗長機器21〜2nはいずれも図2に示す構成を備えている。
【0017】
図2に示すように、冗長機器21は、自機器のアラーム状態を含む管理データの通信を実施するための通信部211と、受信した管理データに基づいて、自機器の切替えの管理等の処理を行うための切替管理部212とを備えている。切替管理部212は、たとえばCPU2121と、メモリ2122とを含んで構成されている。CPU2121としてFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いてもよい。
【0018】
通信部211は、同期信号発生器10から同期信号を受信すると、図3に示す現用系機器番号51、アラームフラグ(ALM)52、および強制現用フラグ(SEL)53を含む管理データ50を、冗長系システム1内の他の冗長機器22〜2nに対して送信する。これとともに、他の冗長機器22〜2nから送信された管理データ50を受信する。
【0019】
切替管理部212は、通信部211が送信する管理データ50中の、現用系機器番号51、アラームフラグ(ALM)52、および強制現用フラグ(SEL)53を管理する。また切替管理部212は、自機器及び他の冗長機器に固有に付与されている機器番号の情報を保持している。
【0020】
現用系機器番号51は、現用系の機器では自機器の機器番号がセットされ、待機系の機器ではリセットされて(「0」がセットされて)いる。
【0021】
アラームフラグ(ALM)52は、自機器がアラーム状態であればセットされ(例えば「1」がセットされ)、自機器がアラーム状態でなければリセットされて(例えば「0」がセットされて)いる。少なくとも同期信号のタイミング以上の頻度で切替管理部212が自機器内のアラーム状態を確認し、その結果がアラームフラグ(ALM)52に反映される。
【0022】
強制現用フラグ(SEL)53は、自機器のアラーム状態により強制的に他の冗長機器を現用系に切り替える場合、あるいは逆に、強制的に他の冗長機器から自機器を現用系に切り替える場合、にセットされる(例えば「1」がセットされ)。そうでなければリセットされて(例えば「0」がセットされて)いる。
【0023】
また、切替管理部212は、同期信号に同期して受信した管理データ50に含まれている現用系機器番号51がすべてリセット状態であるかを判断し、連続何回すべてリセット状態であったかを示す情報を保持している。また、すべてリセット状態になる前に現用系であった機器の機器番号も保持している。
【0024】
冗長機器21〜2nは、自機器がアラーム状態でかつ現用系の場合に現用系機器番号により指定する機器番号を決めるルールを予め他の冗長機器と共有しておく。また受信した管理データに強制現用フラグ(SEL)がセットされているものが2つ以上あった場合についても、予めルールを共有しておく。その他、全てが待機系として動作した場合、指定された現用系が何らかの要因で現用系に切替えがされなかった場合、複数の現用系が存在した場合、等についても、予めルールを共有しておく。
【0025】
次に本発明の実施の形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図4は、図1の冗長機器の送信処理の動作を示すフローチャートである。
【0026】
図4を参照すると、まず、冗長機器21の切替管理部212は、同期信号発生器10が発生した管理データを送信するタイミングを示す同期信号を受信する。その同期信号に同期して、メモリ2122中のアラームフラグ(ALM)と強制現用フラグ(SEL)のデータをリセットし(ステップS1)、自機器のアラーム状態の確認を行う(ステップS2)。
もしアラーム状態であればメモリ2122中のアラームフラグのデータをセットする(ステップS3)。またアラーム状態であれば、自機器が現用系か判断する(ステップS4)。自機器が現用系であれば、通信を行っている他の装置のうち、予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて、例えば、自機器の次に大きい機器番号を現用系機器番号にセットする(ステップS5)。自機器が現用系でなければ現用系機器番号は変更しない。
【0027】
またステップS2で自機器がアラーム状態でなければ、強制的に自機器を現用系に切り替えるかを決定する(S6)。例えば、管理データに、アラーム状態ではないが、アラーム状態になる前兆を示す情報、例えば充電情報などを含ませ、他の機器の充電量が少なく自機器がアラーム状態になる可能性が最も低いといったような場合や、他の理由で強制的に切り替える場合等、強制的に自機器を現用系に切り替える場合にはメモリ2122中の強制現用フラグ(SEL)のデータをセットし(ステップS7)、現用系機器番号に、自機器の機器番号をセットする(ステップS8)。
切替えない場合は、強制現用フラグ(SEL)、現用系機器番号は変更しない。
【0028】
以上のステップS1からS8が完了したら、メモリ2122中の現用系機器番号、アラームフラグ、および強制現用フラグを取得して管理データを作成する。そして他のすべての冗長機器に対して、現用系機器番号、アラームフラグ、および強制現用フラグを含む管理データを送信する(ステップS9)。
【0029】
図5から8は、他の冗長機器から管理データが送信され、各冗長機器がそれらを受信した後の動作を示すフローチャートである。なお、自機器から送信した管理データも他の冗長系装置から受信した管理データと同様に扱い、以下の処理を実施する。
【0030】
まず、図5を参照して、いずれかの冗長機器で強制現用フラグ(SEL)がセットされた場合の冗長機器の動作を説明する。
【0031】
まず受信した管理データに強制現用フラグ(SEL)がセットされているものがあるかを判断し(ステップS11)、セットされているものがない場合は、後述の図6のフローにしたがって動作する。
【0032】
もしセットされているものがあった場合、受信した管理データのうち、強制現用フラグ(SEL)がセットされているものが1つのみか判断する(ステップS12)。もし1つであれば、自機器の管理データかを判断し(ステップS13)、自機器であれば現用系機器番号に、自機器の機器番号をセットする(ステップS14)。自機器でなければ現用系機器番号をリセットする(ステップS15)。受信した管理データに強制現用フラグ(SEL)がセットされているものが2つ以上あった場合は、予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて、例えば、現用系機器番号が一番小さい番号は自機器の機器番号か判断する(ステップS16)。自機器であれば現用系機器番号に自機器の機器番号をセットする(ステップS17)。自機器の機器番号でなければ現用系機器番号をリセットする(ステップS18)。
【0033】
次に図6を参照して、現用系でアラームフラグ(ALM)がセットされた場合の冗長機器の動作を説明する。図5のフローのステップS11において受信した管理データに強制現用フラグ(SEL)がセットされているものがない場合、次に以下のフローにしたがって動作する。
【0034】
現用系機器のアラームフラグ(ALM)がセットされているか判断し(ステップS21)、現用系のアラームフラグ(ALM)がセットされている場合、現用系のデータにおいて指定された現用系機器番号が自機器の機器番号か判断する(S22)。自機器であれば現用系機器番号に自機器の機器番号をセットし(ステップS23)、自機器でなければ現用系機器番号をリセットする(ステップS24)。ステップS21において現用系機器のアラームフラグ(ALM)がセットされていない場合は、次の図7のフローにしたがって動作する。
【0035】
次に、図7を参照して、全ての冗長機器が待機系として動作した場合の冗長機器の動作を説明する。
【0036】
例えば現用系が何らかの要因で強制現用フラグ(SEL)を設定せず、強制動作を停止した場合等にすべての機器が待機系として動作することがある。同期信号が3回送信される間、3回連続で、全てが待機系として動作した場合、予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて、例えば、最後に現用系であった冗長機器の次の機器番号の冗長機器が、現用系として動作する。また、電源投入時には、予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて、例えば、1番小さい機器番号の冗長装置が現用系となるよう、最後に現用系であった冗長機器を1番小さい機器番号より小さい番号、例えば「0」に設定しておく必要がある。
【0037】
さらに例えば指定された現用系が何らかの要因で現用系に切替えがされなかった場合等に、その後もすべての機器が待機系のままとなることがある。そのときは、予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて、例えば6回連続で全てが待機系として動作した場合、その時の一番小さい機器番号が、現用系として動作するように切替処理する。
【0038】
図7を参照すると、まず、受信したデータに含まれている現用系機器番号がすべてリセット状態であるか(0であるか)を判断する(ステップS31)。すべてリセット状態であれば、6回連続で現用系機器番号がすべてリセット状態であるか判断する(ステップS32)。そうでなければ3回連続ですべてのデータの現用系機器番号がリセット状態であるか判断する(ステップS33)。
【0039】
3回連続以外の回数であれば、現用系機器番号をリセットする(ステップS34)。
【0040】
3回連続で現用系機器番号がすべてリセット状態であれば、自機器の機器番号が、予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて決められる機器番号であるか判断する(ステップS35)。例えば、すべてのデータの現用系機器番号がリセット状態になる前の、最後に現用系であった冗長機器の機器番号の次に大きい番号であるか判断する。自機器の機器番号が、最後に現用系であった冗長機器の機器番号の次に大きい番号であれば、現用系機器番号に自機器の機器番号をセットし(ステップS36)。
【0041】
ステップS32で、6回連続で現用系機器番号がリセット状態であれば、通信を行っている装置のうち予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて、例えば、一番小さい機器番号が自機器の機器番号であるか判断する(ステップS37)。通信を行っている装置のうち一番小さい機器番号が自機器の機器番号であれば現用系機器番号に自機器の機器番号をセットし(ステップS38)、自機器でなければ現用系機器番号をリセットする(ステップS39)。ステップS31において現用系機器番号がリセット状態でないものがある場合は、次の図7のフローにしたがって動作する。
【0042】
最後に図8を参照して複数の現用系が存在した場合の冗長機器の動作を説明する。
【0043】
アラームがない現用系、前回の同期信号時に強制的に自機器に現用系機器番号を設定した機器、現用系にアラームがあって機器番号を設定した機器に該当するものが複数あれば、管理データ中の現用系機器番号が0以外であるものが複数存在することになる。
【0044】
管理データ中の現用系機器番号が0以外であるものが複数存在した場合、予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて決められる機器番号、例えば、その中から一番小さい機器番号の機器が、現用系として動作する。
【0045】
図8を参照すると、まず、受信した管理データ中の現用系機器番号が0以外であるものが複数存在するか判断する(ステップS41)。複数存在する場合、そのうち予め他の冗長機器と共有した所定のルールに基づいて、例えば、現用系機器番号が一番小さい番号は自機器の機器番号か判断し(ステップS42)、自機器であれば現用系機器番号に、自機器の機器番号をセットする(ステップS43)。自機器の機器番号でなければ現用系機器番号をリセットする(ステップS44)。
【0046】
ステップS41で現用系機器番号が0以外であるものが複数存在しない場合、現用系機器番号が自機器の機器番号か判断し(ステップS45)、自機器であれば現用系機器番号に、自機器の機器番号をセットし(ステップS46)、現用系を、現用系機器番号の機器とする(ステップS48)。自機器でなければ現用系機器番号をリセットする(ステップS47)。
すなわち現用系機器番号に自機器の機器番号がセットされている場合には、自機器がそれまで現用系であれば現用系としての動作を継続し、自機器がそれまで待機系であれば、現用系への切替処理を開始する。現用系機器番号に自機器の機器番号がセットされていなければ、自機器がそれまで待機系であれば待機系としての動作を継続し、自機器がそれまで現用系であれば、待機系への切替処理を開始する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、同期信号発生器10が発生した管理データを送信するタイミングを示す同期信号を受信する。各冗長機器が同期信号に同期して、自機器のアラーム状態、強制切替えを希望する強制現用フラグ及び切替先を指定する現用系機器番号をセットした管理データを送信する。また他の冗長機器から受信した管理データを参照して現用系機器番号をセットし、現用系待機系切替え処理を行う。この構成により、3台以上の冗長機器からなる多数冗長系システムにおいて、現用系の状態を検知してから現用系に切替える時間を短縮できる。
【0048】
なお、本発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されず、種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記の実施形態では、同期信号発生装置10で同期信号を生成して複数の冗長機器21〜2nに同期信号を入力し、この同期信号により管理データを送信し、引き続き管理データの受信及び切替処理を行っている。これと異なり、1回の同期信号に対しては管理データ送信までを行い、次の同期信号に同期して管理データの受信及び切替処理を行うとしてもよい。
【0050】
これにより管理データの受信及び切替処理についても全冗長機器の処理を確実に同期することができる。
【0051】
また同期信号発生器10から並行して、管理データ送信を指示する同期信号と、管理データの受信及び切替処理を指示する同期信号を別々に出力してもよい。
【0052】
これにより管理データの送信タイミングから管理データの受信及び切替処理タイミングを独立して管理することができる。
【0053】
また上記の実施形態では、同期信号発生装置10から同期信号を複数の冗長機器21〜2nに入力する同期信号ネットワーク30とは別に管理データネットワーク40を備えている。これと異なり、同期信号ネットワーク30のみを用い、複数の冗長機器21〜2n間で管理データの通信を行うとしてもよい。
【0054】
これにより管理データネットワークが不要となり、簡単な構成とすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 冗長系システム
10 同期信号発生器
21〜2n 冗長機器
30 同期信号ネットワーク
40 管理データネットワーク
211 通信部
212 切替管理部
2121 CPU
2122 メモリ
50 管理データ
51 現用系機器番号
52 アラームフラグ(ALM)
53 強制現用フラグ(SEL)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8