【0026】
次に、これを高温高圧処理する。
前記高温高圧処理は、300℃以上500℃以下の温度で、3GPa以上7.7GPa以下の圧力を、3時間以下の処理時間で、前記出発原料に適用する高温高圧工程と、前記出発原料を前記圧力及び温度に昇圧昇温する昇圧昇温工程とからなる処理である。
高温の処理温度は、報告されている状態図を外挿すると、300℃で、3GPa以上がα−PbO
2型TiO
2の安定領域になるため、300℃以上とすればよい。逆に、500℃超とすると、粒成長が起こり、粒子の粗大化という問題が生じる。
高圧の処理圧力も、報告されている状態図を外挿すると、300℃で、3GPa以上がα−PbO
2型TiO
2の安定領域になるため、3GPa以上とすればよい。逆に、7.7GPa超とすると高圧装置の部材の消耗および一度に合成できる試料量の減少という問題が生じる。
高温高圧工程の処理時間は、0分でもよい。rutile、anatase→α−PbO
2への変化は速いので、例えば、処理温度を500℃とすると、温度を上げる途中でα−PbO
2への相転移が完了するためである。逆に、3時間超としても得られる利点がなく、合成コストの上昇という問題が生じる。
前記高温高圧処理は、前記出発原料をカプセル内に充填し、前記カプセルを高圧セル内に装填してから、前記高圧セルを高温高圧装置内に配置して、行う。
高温高圧処理には、例えば、ベルト式の高温高圧装置を用いる。
【実施例】
【0040】
(実施例1−1)
(合成)
α−PbO
2型TiO
2に関しても、ナノ粒子・ナノ多結晶体化を行うことで、光触媒活性を向上させることを目的とし、ナノ多結晶体の合成実験を行った。
【0041】
まず、出発原料(starting material)として、ルチル型−アナターゼ型TiO
2混合粉末(TECNAN社製)を用意した。これは、粒径10nm以上15nm以下のルチル型TiO
2ナノ粒子と、粒径10nm以上15nm以下のアナターゼ型TiO
2ナノ粒子を、ルチル型:アナターゼ型=21.2:78.8となる質量比で混合した粉末であった。
次に、これを、白金カプセルに封入した。
次に、白金カプセルを高圧セル内に配置した。
図6は、白金カプセルを高圧セルに配置したときの断面模式図である。
【0042】
次に、高圧セルをベルト型高温高圧装置内に配置した。
図7は、ベルト型高温高圧装置の高圧プレス部の写真と、ベルトとアンビル部の写真である。
次に、白金カプセルを温度200℃に加熱した。
次に、圧力5.5GPaを加圧し、1時間、状態を維持して、白金カプセル内の出発原料を高温高圧処理した。
処理後、室温まで急冷した。
急冷後、除圧した。
以上のようにして、実施例1−1試料を製造した。
【0043】
(実施例1−2)
温度300℃とした他は実施例1−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例1−2試料を製造した。
【0044】
(実施例1−3)
温度400℃とした他は実施例1−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例1−3試料を製造した。
【0045】
(実施例1−4)
温度500℃とした他は実施例1−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例1−4試料を製造した。
【0046】
(実施例1−5)
温度600℃とした他は実施例1−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例1−5試料を製造した。
【0047】
(実施例1−6)
温度700℃とした他は実施例1−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例1−6試料を製造した。
【0048】
(実施例1−7)
温度800℃とした他は実施例1−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例1−7試料を製造した。
【0049】
(比較例1)
出発原料であるルチル型−アナターゼ型TiO
2混合粉末(TECNAN社製)を比較例1試料として用意した。
【0050】
(XRD測定)
次に、5.5GPaの高圧下、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃の高温処理を1時間した実施例1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−7試料及び出発原料である比較例1試料のXRD測定を行った。
図8は、実施例1−1〜1−7試料及び比較例1試料のXRDパターンである。
ルチル型TiO
2、アナターゼ型TiO
2及びα−PbO
2型TiO
2の標準データも合わせて示した。
【0051】
5.5GPaの高圧下、300℃以上の高温処理を1時間した場合には、ルチル型TiO
2とα−PbO
2型TiO
2の混合粉末が得られた。すなわち、300℃以上の800℃以下の高温処理では、どの温度でもルチル型TiO
2が混在した。
【0052】
(実施例2−1)
圧力7.7GPaとした他は実施例1−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例2−1試料を製造した。
【0053】
(実施例2−2)
温度300℃とした他は実施例2−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例2−2試料を製造した。
【0054】
(実施例2−3)
温度400℃とした他は実施例2−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例2−3試料を製造した。
【0055】
(実施例2−4)
温度500℃とした他は実施例2−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例2−4試料を製造した。
【0056】
(実施例2−5)
温度600℃とした他は実施例2−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例2−5試料を製造した。
【0057】
(実施例2−6)
温度700℃とした他は実施例2−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例2−6試料を製造した。
【0058】
(実施例2−7)
温度800℃とした他は実施例2−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例2−7試料を製造した。
【0059】
(実施例2−8)
温度1100℃とした他は実施例2−1と同様にして、高温高圧処理して、実施例2−7試料を製造した。
【0060】
(XRD測定)
次に、7.7GPaの高圧下、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃の高温処理を1時間した実施例2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6、2−7試料及び出発原料である比較例1試料のXRD測定を行った。
図9は、実施例2−1〜2−7試料及び比較例1試料のXRDパターンである。
ルチル型TiO
2、アナターゼ型TiO
2及びα−PbO
2型TiO
2の標準データも合わせて示した。
【0061】
7.7GPaの高圧下、300℃の高温処理を1時間した場合には、ルチル型TiO
2微粒子とα−PbO
2型TiO
2微粒子の混合粉末が得られた。
しかし、7.7GPaの高圧下、400℃以上の高温処理を1時間した場合には、α−PbO
2型TiO
2微粒子のみからなる粉末が得られた。
【0062】
(粒径算出)
次に、Scherrerの式を用いて、XRDパターンの半値幅から、実施例2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6試料の粒径を算出した。
図10は、7.7GPaの高圧下、粒径の温度処理温度依存性を示すグラフである。
粒径は、処理温度に1次線形で比例して、大きくなった。
7.7GPaの高圧下、500℃以下の高温処理を1時間した場合には、粒径80nm以下のα−PbO
2型TiO
2微粒子のみからなる粉末が得られた。
また、7.7GPaの高圧下、400℃以下の高温処理を1時間した場合には、粒径45nm以下のα−PbO
2型TiO
2微粒子のみからなる粉末が得られた。
また、7.7GPaの高圧下、300℃以下の高温処理を1時間した場合には、ルチル型TiO
2微粒子が混在していたが、出発原料の結晶サイズを反映した粒径15nm以下のα−PbO
2型TiO
2微粒子が得られた。
【0063】
(SEM観察)
次に、実施例2−3、2−4、2−5、2−6、2−7、2−8試料のSEM観察を行った。
図11は、実施例2−3、2−4、2−5、2−6、2−7、2−8試料のSEM観察像である。
【0064】
7.7GPaの高圧下、500℃以下の高温処理を1時間した場合には、粒径80nm以下のα−PbO
2型TiO
2微粒子のみからなる粉末が得られた。
また、7.7GPaの高圧下、400℃以下の高温処理を1時間した場合には、粒径45nm以下のα−PbO
2型TiO
2微粒子のみからなる粉末が得られた。
【0065】
(光触媒活性評価)
次に、実施例2−3試料(7.7GPa、400℃処理)及び実施例2−2試料(7.7GPa、300℃処理)の光触媒活性評価を行った。
図12は、光触媒活性測定系の概略図である。
光触媒活性評価は、前記測定系の反応セル内の水素発生実験により行った。表1は、評価実験条件である。
【0066】
【表1】
【0067】
図13は、実施例2−3試料(7.7GPa、400℃処理)の光触媒活性評価を示すグラフである。水素発生量の経時変化を示したグラフである。
α−PbO
2型TiO
2(粒径2μm)、Aeroxide P25(混合粉末、粒径 21nm)、アナターゼ型TiO
2(粒径300nm)の測定結果も合わせて示した。
図13では、α−PbO
2型TiO
2(粒径2μm)を「bulk」と表記している。
α−PbO
2型TiO
2(粒径2μm)の光触媒活性は、アナターゼ型TiO
2(粒径300nm)よりは良かった。
一方、実施例2−3試料(7.7GPa、400℃処理)は、24時間の時点で排出水素量がAeroxide P25の約2倍となり、「bulk」及びAeroxide P25よりも光触媒活性が高かった。
実施例2−3試料(7.7GPa、400℃処理)が、粒径45nm以下のα−PbO
2型TiO
2微粒子のみからなる構成による効果であると推定した。
【0068】
(紫外可視吸収スペクトル測定)
次に、拡散反射法により、実施例2−2〜2−7の紫外可視領域の吸収スペクトルを測定した。比較のために、α−PbO
2型TiO
2(粒径2μm)も測定した。
図14では、α−PbO
2型TiO
2(粒径2μm)を「bulk」と表記している。なお、拡散反射スペクトルにクベルカ−ムンク(Kubelka−Munk)変換を行って、吸光度に変換した。
図14は、紫外可視領域の吸収スペクトル測定結果である。
ナノ粒子化により、半導体ナノ粒子と同様に、吸収端の「ブルーシフト」(短波長・高エネルギー側へのシフト)が観測された。
【0069】
(XRD再測定:長期間の安定性)
7.7GPa、400℃試料(実施例2−3)を、10か月以上、大気中に放置してから、X線回折を再測定した。
図15は、XRD再測定結果である。
大気中に10か月以上放置しても、XRDスペクトルは完全に重なり結晶構造に変換の無いことが確認できた。