(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放熱部は、全体が球形であるか、あるいは、該放熱部における前記基板本体の表面側が該基板本体の表面側から裏面側に向かって平面視の断面積が大きくなる錐体形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術で説明した問題点を解決し、絶縁材からなる基板本体の表面上に形成した表面パッドに比較的高い発熱性を有する発光素子などの素子を実装した際にも、上記表面パッドに接する絶縁材にクラックが生じにくく、マザーボードの表面上に傾斜して搭載されても、熱の放熱方向がずれにくく且つ基板本体の静電容量を均一に保ち易い配線基板を提供する、ことを課題とする。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、基板本体の表面上に形成する表面パッドの面積に対し、該表面パッドに一端が接続され且つ他端が前記基板本体の内部に埋設される放熱部に接続される第1接続部の断面積を小さくし、且つ前記放熱部における基板本体の裏面側を球面にする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の配線基板(請求項1)は、絶縁材からなり、互いに平行な表面および裏面と、該表面と裏面との間に位置する側面とを有する基板本体と、該基板本体の表面上に形成された表面パッドと、上記基板本体の内部に埋設された放熱部と、上記表面パッドと上記放熱部とを接続する第1接続部とを備えた配線基板であって、上記放熱部は、少なくとも上記基板本体の裏面に対向する面が球面であり、
且つ前記基板本体の表面側から裏面側に向かう方向に沿った複数組の凹溝および凸条が形成されていると共に、平面視において、上記基板本体の表面に露出する上記第1接続部の面積は、上記表面パッドの面積よりも小さい、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記放熱部は、基板本体の表面上に形成された表面パッドに対し、平面視で該表面パッドの面積よりも小さい面積の第1接続部を介して、接続されている。即ち、平面視において、基板本体の表面に露出する第1接続部の面積は、表面パッドの面積よりも小さくされている。そのため、追って、上記表面パッドの上方に比較的発熱量の多い発光素子などの素子が実装された場合、該素子から発せられる熱は、第1接続部を介して上記放熱部に伝達され、該放熱部の表面から基板本体を構成している前記絶縁材中に順次放散された後、外部に放出される。そのため、前記表面パッドとこれに接する基板本体の絶縁材との間における熱膨張係数の差に起因して、該絶縁材の表面側にクラックが生じる事態を皆無にするか、あるいは確実に抑制することが可能となる。
更に、前記放熱部は、少なくとも前記基板本体の裏面に対向する面が球面(半球面)であるので、本配線基板がプリント基板などのマザーボードの表面上に垂直線に対して傾斜して搭載され、上記放熱部が傾斜姿勢となっても、該放熱部を介した発光素子などの素子からの熱の放熱方向がずれにくくなる。そのため、放熱経路が大きく変化しないので、水平姿勢の場合と同様の放熱性能が得られる。
しかも、上記のように傾斜姿勢で搭載した際においても、上記放熱部の球面と上記マザーボードの搭載面との間の距離が水平姿勢の場合とほぼ同様に均一であるため、かかる場所ごとにおける静電容量がほとんど変化しなくなる。
加えて、前記放熱部の球面や、前記錐体形状をなす曲面または複数の側面に、該放熱部の頂部側から底面側に向かって延びる複数組の凹溝および凸条が形成されていることにより、当該放熱部の表面積が拡大されている。
そのため、前記発光素子などから第1接続部を介して伝達された熱を、前記基板本体の絶縁材中に効率良く放散でき、該絶縁材と上記放熱部との密着強度も高められると共に、製造時における導電性ペーストの充填作業をスムーズに行うことができる。
従って、追って、発熱量の高い素子が表面パッドの上方に実装されても、該素子の発熱によって、上記表面パッドに接する基板本体の表層側の絶縁材にクラックが生じにくいと共に、傾斜姿勢でマザーボード上に搭載されても、上記熱の放熱方向がずれにくく且つ静電容量も安定した配線基板を提供できる。
【0008】
尚、前記基板本体を構成する絶縁材は、セラミックあるいは樹脂であり、前記セラミックには、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミックやガラス−アルミナなどの低温焼成セラミックが含まれ、上記樹脂には、熱硬化性であり且つ耐熱性を有する合成樹脂(例えば、エポキシ、ポリエステル、シリコン、ポリイミド樹脂など)が含まれる。
また、前記基板本体の表面は、該表面に開口するキャビティの底面も含む。
更に、前記表面パッドは、基板本体の表面よりも外側にその厚み分だけ突出して形成されている。該パッド上には、追って発光ダイオード(LED)などの発光素子やパワーモジュールに用いられる半導体素子などのような発熱量が比較的大きな素子が実装される。
【0009】
また、前記放熱部は、主に熱伝導性に優れた金属からなり、該金属には、W、Mo、Ag、Cuなどやこれらの何れかを主成分とする合金が含まれ、かかる金属を構成するための金属粉末は、製造時における流動性を確保するため、平均粒径で1μm以下が望ましい。但し、該放熱部は、一部に製造時に用いた導電性ペースト中に含まれていたバインダ樹脂などの非導電性成分を含有していても良い。
更に、前記第1接続部は、前記放熱部と同様の金属からなり、断面が円形のほか、楕円形、長円形、矩形状、または五角形以上の多角形状などを呈していても良い。
加えて、前記基板本体には、1個の前記表面パッドに対し、複数の第1接続部と、単数または複数の放熱部とが電気的に接続された形態とされていても良い。
【0010】
また、本発明には、前記放熱部は、全体が球形であるか、あるいは、該放熱部における前記基板本体の表面側が該基板本体の表面側から裏面側に向かって平面視の断面積が大きくなる錐体形状である、配線基板(請求項2)も含まれる。
上記のうち、全体が球形の形態である放熱部によれば、前記放熱方向がズレ難く且つ前記静電容量の安定性も容易に確保し得る。しかも、容積に対して表面積が小さいので、比較的薄い基板本体の内部に埋設させることも容易である。
一方、前記基板本体の表面側が該表面側から裏面側に向かって平面視の断面積が大きくなる錐体形状で、且つ上記基板本体の裏面側の面が前記球面(半球面)の形態である放熱部によれば、上記放熱方向および静電容量の安定性に加えて、前記第1接続部から伝達された熱を上記球面側に向かって次第に速く伝達することも可能となる。
尚、前記放熱部における表面側の錐体形状は、円錐形状あるいは多角錐形状などである。
【0011】
更に、本発明には、
前記基板本体の裏面に対向する前記放熱部の球面には、前記基板本体の裏面あるいは側面に他端が露出する第2接続部の一端が接続されている、配線基板(請求項
3)も含まれる
。
【0012】
これによれば、第1接続部、放熱部、および第2接続部を介して、前記基板本体の表面と裏面との間、あるいは該表面と側面との間を電気的に導通可能となる。そのため、例えば、追って、前記表面パッドの上方に実装される発光素子などの素子における一方の電極と、上記基板本体の裏面または側面に形成される裏面パッドあるいは側面導体との間が電気的に接続可能となる。しかも、上記放熱部および裏面パッドあるいは側面導体を介して、上記素子の電極と、追って本配線基板自体が搭載されるマザーボードなどの表面パッドとを電気的に接続することもできる。更に、前記素子が発する熱を裏面パッドあるいは側面導体を介して、基板本体の外部に放出することも可能となる。
【0013】
尚、上記第2接続部も、前記第1接続部や放熱部と同様な金属からなり、且つ第1接続部と同様の形態であると共に、基板本体の裏面あるいは側面に対し、上記第1接続部と同様にして配置されている。
また、上記第2接続部の他端が露出する基板本体の裏面または側面には、これらと個別に接続する裏面パッドあるいは側面導体が形成されている。
更に、前記第2接続部は、錐体形状を呈する前記放熱部の底面側から基板本体の裏面および側面の双方に延びた形態であっても良い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態の配線基板1aを示す垂直断面図、
図2(A)は、該配線基板1aの内部に埋設される放熱部8a付近を示す斜視図である。
かかる配線基板1aは、
図1に示すように、例えば、ガラス−セラミックなどのセラミック(絶縁材)からなり、互いに平行な表面3および裏面4と、該表面3と裏面4との周辺間に位置する四辺の側面5とを有する基板本体2と、該基板本体2の表面3上に形成された表面パッド6と、該基板本体2の内部に埋設された放熱部8aと、を含んでいる。
上記放熱部8aは、
図1,
図2(A)に示すように、全体が球形9を呈し、その基板本体の裏面4側に対向する面も球面(半球面)9aとなっている。該放熱部8aの上下には、断面が円形状の第1接続部11と第2接続部12とが、当該放熱部8aの中心部を貫通する垂直線(仮想)と同軸状に接続されている。
【0016】
図1に示すように、前記第1接続部11は、前記基板本体2の表面3における中心部付近に上端部が露出し且つ前記表面パッド6の底面に接続されている。また、前記第2接続部12は、前記基板本体2の裏面4における中心部付近に下端部が露出し且つ該裏面4に形成された裏面パッド7の上面に接続されている。
尚、
図1においては、第1接続部11および第2接続部12の中心軸は、それぞれ基板本体2の表面3および裏面4と直交しているが、必ずしも当該形態に限定されるものではない。
更に、前記基板本体2の表面3と裏面4との周辺部の何れかには、該表面3と裏面4との間を貫通する細長い円柱形状のビア導体20が配設され、その上端部には、上記表面3上に形成された表面電極21が接続され、上記ビア導体20の下端部には、上記裏面4上に形成された裏面電極22が接続されている。
上記表面電極21は、
図1に示すように、追って表面パッド6の上方に実装される発光素子24における片方の電極とボンディングワイヤ23を介して、電気的に接続される。一方、前記裏面パッド7および裏面電極22は、追って本配線基板1aが搭載される図示しないマザーボード側の外部端子と導通可能とされる。
【0017】
加えて、
図2(B)に示すように、前記放熱部8aに替えて、第1接続部11と第2接続部12との間に、前記基板本体2の裏面4側に対向する面が球面(半球面)9aであり且つ基板本体2の表面3側に対向する面が側面視で楕円形を呈する半楕円球形状部10であって、全体が卵形状を呈する放熱部8bを、上記第1接続部11と第2接続部12との中心軸と同軸心状に配設しても良い。かかる形態では、第1接続部11は、放熱部8bの頂部13から立設している。
尚、前記表面・裏面パッド6,7、放熱部8a,8b、第1・第2接続部11,12、ビア導体20、および表面・裏面電極21,22は、基板本体2を構成するセラミックがガラス−セラミックのような低温焼成セラミックの場合には、主にAgまたはCuからなり、上記セラミックがアルミナなどの高温焼成セラミックの場合には、主にWまたはMoからなる。
【0018】
以下において、前記配線基板1aの製造方法について説明する。
予め、
図3(A)の垂直断面図で示すように、前記第1接続部11および第2接続部12を上下に有する前記放熱部8aを形成するため、これらと相似形状である模型部9p,11p,12pからなる立体模型8mと、前記ビア導体20と相似形の立体模型20mとを製作した。
即ち、平均粒径が1〜50μmであるアクリル樹脂の粉末および接着剤などからなる液状の原料を、図示しない3次元プリンタに用いることによって、
図3(A)に示すように、上下の模型部11p,12pと、これらに挟まれ且つ全体が球形状である放熱部8a用の模型部8pとからなる立体模型8mを成形した。
また、上記原料および3次元プリンタを用いることで、
図3(A)の右側に示すように、前記ビア導体20と相似形の立体模型20mを成形した。
【0019】
次に、図示しない型内に配設された直方体状のキャビティ内に、前記立体模型8m,20mをそれぞれの上・下端面のみを該キャビティの天井面および床面に接触させ且つ拘束した状態として、上記キャビティ内にガラス−セラミック(絶縁材)のスラリをゲルキャスト法によって充填した。
その結果、
図3(B)に示すように、前記スラリが乾燥した生(未焼成)のセラミック体からなり、表面3、裏面4、およびこれらの四辺間に位置する側面5を有し、立体模型8mの模型部11p,12p,20mの両端面が表面3と裏面4とに個別に露出している未焼成の素基板本体30が得られた。
次いで、上記素基板本体30を所定の温度帯に加熱して、該素基板本体30を構成している前記ガラス−セラミックを焼成した。かかる加熱過程において、前記立体模型8m,20mを構成していた前記アクリル樹脂の粉末や接着剤などは、当該立体模型8m,20mごとの上端部側から順次外部に蒸発して行った。
【0020】
その結果、
図4(A)に示すように、前記ガラス−セラミックからなり、表面3、裏面4、およびこれらの四辺間に位置する側面5を有し、前記立体模型8m,20mが蒸発して除去された跡には、該立体模型8m,20mとそれぞれ相似形の空洞部9s,11s,12sからなる立体空洞部8sと空洞部20sとが内部に形成されている焼成済みのセラミックからなる基板本体31が得られた。
更に、前記空洞部8s,20s内ごとにAg粉末あるいはCu粉末(金属粉末)を含む導電性ペーストを前記表面3側の上端部(開口部)から充填した。
その結果、
図4(B)に示すように、前記空洞部8s内に上記導電性ペーストからなる未硬化の第1・第2接続部11u,12uと、未硬化の放熱部9uとからなる立体導体部8uが形成され、且つ前記空洞部20s内に上記導電性ペーストからなる未硬化のビア導体20uが形成された基板本体2が得られた。
尚、上記放熱部9uの内部や周囲には、球形状の前記模型部9pと相似形の空洞部9sに上記導電性ペーストが充填されたので、空隙が全く生じていなかった。
【0021】
次に、未硬化の第1・第2接続部11u,12uと、放熱部9uと、ビア導体20uとを内設する前記基板本体2を、所定の温度帯に加熱することで、上記放熱部8uとビア導体20pとを硬化(キュア)させた。その結果、
図5(A)に示すように、硬化した第1・第2接続部11,12を上下に有する球形9の放熱部8aと、ビア導体20とを内部に埋設している基板本体2が得られた。
そして、上記基板本体2の表面3と裏面4とを研磨した後、該表面3および裏面4に露出する第1・第2接続部11,12の端面付近ごと、およびビア導体20の両端面付近に対し、Ti合金をスパッタリングして、それぞれ平面視が矩形状あるいは円形状を呈する下地金属層を形成し、該下地金属層ごとの表面にCuをスパッタリングして表層金属層を積層してパッド本体を形成した後、それらの表面に対して電解Niメッキおよび電解Auメッキを順次施して、Niメッキ膜およびAuメッキ膜(図示せず)を内外2層にして被覆した。
【0022】
その結果、
図5(B)に示すように、第1・第2接続部11,12、放熱部8a、およびビア導体20を基板本体2の内部に埋設していると共に、前記第1・第2接続部11,12の端面ごとに個別に接続した表面・裏面パッド6,7と、ビア導体20の両端面に個別に接続した表面・裏面電極21,22とを、前記表面3あるいは裏面4に形成した前記配線基板1aを得ることができた。
尚、前記模型部9pの形状を変更することで、前記放熱部8bを基板本体2の内部に前記同様に埋設した配線基板1aを製造することもできる。
以上のような製造方法によれば、前記配線基板1aを、一個でも多数個取り方式でも、比較的少ない工程によって、精緻で且つ確実に製造することができる。
【0023】
前記のような配線基板1aによれば、全体が球形状あるいは卵形状を呈する放熱部8a,8bは、基板本体2の表面3上に形成された表面パッド6に対し、平面視で該表面パッド6の面積よりも小さい面積の第1接続部8を介して接続されている。即ち、平面視において、基板本体2の表面3に露出する第1接続部8の面積は、表面パッド6の面積よりも小さくされている。そのため、追って、表面パッド6の上方に比較的発熱量の多い発光素子24が実装された場合、該素子24から発せられる熱は、第1接続部11を介して放熱部8a,8bに伝達され、該放熱部8a,8bの表面から基板本体2を構成しているガラス−セラミック中に順次放散された後、外部に放出される。そのため、上記表面パッド6とこれに接する基板本体2の表面3を構成するガラス−セラミックとの間における熱膨張係数の差に起因して、該基板本体2の表面3側にクラックが生じる事態を皆無にできるか、少なくとも確実に抑制することが可能となる。
【0024】
更に、前記放熱部8a,8bは、少なくとも前記基板本体2の裏面4に対向する面が球面(半球面)9aであるので、例えば、
図6に示すように、本配線基板1aの裏面パッド7や裏面電極22をプリント基板26の表面に形成された外部端子27上にハンダ28を介して接続した際に、該配線基板1aが傾斜して搭載され、且つ上記放熱部8a,8bが傾斜姿勢になっても、該放熱部8a,8bを介した発光素子24からの熱の放熱方向がずれにくくなる。その結果、放熱経路が大きく変化しないので、水平姿勢の場合と同様の放熱性能が得られる。尚、
図6中で左側の裏面電極22は、内部導体とは接続されないダミー電極である。
【0025】
しかも、上記のように傾斜姿勢で搭載した際においても、上記放熱部8a,8bの球面9aと上記プリント基板26の搭載面との間の距離が水平姿勢の場合とほぼ同様となるので、かかる部位における静電容量もほとんど変化しなくなる。
従って、追って、発熱量の多い発光素子24などを表面パッド6の上方に実装しても、該素子24の発熱によって、上記表面パッド6に接する基板本体2の表面3側のセラミックにクラックが生じにくいと共に、マザーボードの表面上に傾斜姿勢で搭載されても、上記熱の放熱方向がずれにくく且つ静電容量も安定した配線基板1aを提供することができる。
【0026】
図7(A)は、前記とは異なる形態の放熱部8cの付近を示す斜視図である。
上記放熱部8cは、
図7(A)に示すように、前記基板本体2の裏面4に対向する面が前記放熱部8aと同じ球面(半球面)9aであり、且つ基板本体2の表面3に対向する面が、該表面3側から裏面4側に向かって平面視の面積が大きくなる円錐面(錐体形状)14であると共に、該円錐面14の頂部15に第1接続部11の下端部が同軸状にして接続されている。
また、
図7(B)は、更に異なる形態の放熱部8dの付近を示す斜視図である。
上記放熱部8dは、
図7(B)に示すように、前記基板本体2の裏面4に対向する面が前記放熱部8aと同じ球面(半球面)9aであり、且つ基板本体2の表面3に対向する面が、該表面3側から裏面4側に向かって平面視の面積が大きくなる四角錐面(錐体形状)16であると共に、該四角錐面16の頂部16aに上記第1接続部11の下端部が同軸状にして接続されている。上記四角錐面16は、4つの側面17から構成されている。尚、該四角錐面16は、五角錐面、六角錐面、あるいは、八角錐面などとしても良い。
以上のような放熱部8c,8dは、前記放熱部8aに替えて、前記配線基板1aの基板本体2の内部に前記同様にして埋設することができる。
【0027】
図8(A)は、異なる形態の配線基板1bの概略を示す垂直断面図である。
かかる配線基板1bは、
図8(A)に示すように、前記同様の基板本体2、表面パッド6、第1接続部11、および放熱部8aを備えている。該配線基板1bは、放熱部8aの球面9aの最低部と基板本体2の裏面4との間に前記第2接続部12を有していない反面、基板本体2における周辺部に一対のビア導体20を左右対称にして貫通させ、且つこれらの両端ごとに表面電極21および裏面電極22を個別に接続している。
上記表面パッド6の上方には、
図8(A)に示すように、追って、発熱量が比較的多い半導体素子25が実装され、該素子25における一対の外部電極(図示せず)と、左右一対の表面電極21との間は、ボンディングワイヤ23を介して電気的に個別に接続される。
【0028】
以上のような配線基板1bによれば、前記配線基板1aと同様の表面3側のセラミックにクラックが生じにくいと共に、前記半導体素子25から発生する熱は、表面パッド6および第1接続部11を介して放熱部8aに放散され、基板本体2を構成する前記セラミックに拡散された後に、外部に放出される。しかも、上記半導体素子25は、前記ボンディングワイヤ23、基板本体2を貫通する一対のビア導体20、および前記裏面電極22を介して、本配線基板1bを搭載するプリント基板などのマザーボード(図示せず)と導通可能とされるので、所要の動作を確実に奏することができる。更に、基板本体2の裏面4には、一対の裏面電極22だけを形成するので、それらの配置すべき位置を比較的自由に設計することもできる。
尚、上記配線基板1bの基板本体2内に埋設する放熱部8aは、前記放熱部8b〜8dの何れかに替えても良い。
【0029】
図8(B)は、更に異なる形態の配線基板1cを示す垂直断面図である。
かかる配線基板1cは、
図8(B)に示すように、前記同様の基板本体2、表面パッド6、第1接続部11、放熱部8a、ビア導体20、および表面・裏面電極21,22を備えている。該配線基板1cは、前記第2接続部12および裏面パッド7を有していないが、上記放熱部8aの球面9aには、他端が基板本体2の側面5に露出し且つ基板本体2の表面3と平行な第2接続部12aの一端が接続されている。該第2接続部12aの他端が露出する上記基板本体2の側面5には、側面導体18が形成され、該側面導体18の下端部は、基板本体2の裏面4の周辺部側に形成された裏面パッド19に接続されている。
上記配線基板1cも、前記配線基板1aと同様な効果を奏することができる。
尚、上記配線基板1cの基板本体2内に埋設する放熱部8aは、前記放熱部8b〜8dの何れかに替えても良い。
また、前記第2接続部12aは、前記球面9a側から側面5側に向かって斜め下向きに傾斜する形態としても良い。
更に、前記第2接続部12aや側面導体18などに加えて、前記第2接続部12および裏面パッド7を更に有する形態の配線基板1cとしても良い。
【0030】
図9(A)は、応用形態の放熱部8aの付近を示す斜視図である。
かかる放熱部8aは、
図9(A)に示すように、その球面9aを含む球形9の表面に、前記基板本体2の表面3側から裏面4側に向かう方向(垂直方向)に沿った複数組の凹溝32および凸条33を、上記方向と直交する円周方向に沿って連続して形成している。上記凹溝32および凸条33は、第1接続部11および第2接続部12側では皆無となり、且つ第1接続部11と第2接続部12との中間位置では、該凹溝32が最深となり、且つ該凸条33が最高となっている。
上記複数組の凹溝32,33を更に球形9の全体に形成することで、前記放熱部8aの表面積が一層大きくなるので、前記基板本体2を構成するセラミックとの密着面積が増大すると共に、前記発光素子24あるいは半導体素子25からの熱を基板本体2のセラミック中に一層効率良く放散することが可能となる。しかも、製造時における前記空洞部内への導電性ペーストの充填も支障を生じない。
尚、上記複数組の凹溝32,33を、前記放熱部8bの球面9aおよび半楕円球形状部10に対しても、前記同様に形成しても形成しても良い。
【0031】
また、
図9(B)は、応用形態の放熱部8cの付近を示す斜視図である。
かかる放熱部8cは、
図9(B)に示すように、その円錐面14における前記基板本体2の表面3側から裏面4側に向かう方向に沿った複数組の凹溝34および凸条35を連続して形成している。かかる複数組の凹溝34および凸条35は、前記基板本体2の裏面4に対向する球面9a側にも上記と同じ方向に沿って連続して形成しても良い。
上記複数組の凹溝34,35を円錐面14に形成し、更に球面9aにも形成することで、前記放熱部8cの表面積が一層大きくなり、前記基板本体2を構成するセラミックとの密着面積が増大すると共に、前記発光素子24などからの熱を基板本体2のセラミック中に一層効率良く放散することが可能となる。しかも、製造時における前記空洞部内への導電性ペーストの充填も支障を生じない。
尚、上記複数組の凹溝34,35を、前記放熱部8cの円錐面14や、前記放熱部8dの四角錐面16に対しても、前記同様に形成しても形成しても良い。
【0032】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記基板本体2を構成する絶縁材は、ガラス−セラミック以外の低温焼成セラミックや、アルミナなどの高温焼成セラミックとしても良い。後者の場合、前記放熱部8a〜8dやビア導体20などには、WまたはMoなどが適用される。更に、上記絶縁材には、熱硬化性で且つ耐熱性の合成樹脂(例えば、エポキシ樹脂など)を適用しても良い。
また、前記基板本体は、その表面の中央部に開口するキャビティを有する形態とし、該キャビティの底面(表面)に前記第1接続部11の一端部を露出させ、その真上に表面パッド6を接続させて形成しても良い。
【0033】
また、前記放熱部は、単一の基板本体の内部に複数個を埋設し、該複数個の放熱部ごとに前記第1接続部を接続し、更に、第2接続部を接続しても良い。
更に、前記放熱部において、前記球面を除いた部位の錐体形状は、例えば、第1接続部側に水平で平坦な円形面や四角面の頂面(頂部)を有し、垂直断面が台形状で、且つ全体が円錐形状あるいは四角錘形状を呈する形態としても良い。
また、上記水平で平坦な円形面や四角面の頂面を有する錐体形状を含む放熱部の場合、該頂面に対し複数の第1接続部を接続した形態としても良い。
加えて、前記発熱部8a〜8dの球面9aと前記基板本体2の裏面4との間には、互いに対称状に傾斜した複数の第2接続部を配設しても良い。