(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(a)部分水素添加ブロック共重合体において、ビニル芳香族炭化水素化合物単位の含有量が10〜20質量%であり、水素添加前の共役ジエン化合物単位中のシス、トランス結合が5〜25mol%の範囲で水素添加されている、請求項1又は2に記載の自着性粘着テープ用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に制限されるものでなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、以下において、重合体を構成する構成単位の事を「〜化合物単位」といい、重合体の材料として記載する場合は「単位」を省略し、単に「〜化合物」と記載する。
【0009】
[(a)部分水素添加ブロック共重合体]
部分水素添加ブロック共重合体は少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素化合物単位を主体とする重合体ブロックArと少なくとも1つの共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックDを含有する。
ブロック共重合体が有する共役ジエン化合物単量体単位(共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合)の水素添加率が10mol%以上、90mol%以下である。
部分水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量は、20,000以上、1,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは50,000以上であり、さらに好ましくは70,000以上である。また、より好ましくは500,000以下であり、さらに好ましくは300,000以下であり、さらにより好ましくは270,000以下である。
【0010】
部分水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量が20,000以上であることにより、自着保持性および生産性に優れ、また、部分水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量が1,000,000以下であることにより、優れた自着力を有する部分水素添加ブロック共重合体及び自着性テープ用組成物が得られる。なお、部分水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量は実施例に記載する方法により求めることができる。
本明細書において「ビニル芳香族炭化水素化合物単位を主体とする」とは、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロック中のビニル芳香族炭化水素化合物単位の含有量が、60質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であることを意味する。
【0011】
また、本明細書において「共役ジエン化合物単位を主体とする」とは、共役ジエン重合体ブロック中の共役ジエン化合物単位の含有量が、60質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であることを意味する。なお、本明細書において共役ジエン化合物単位は水素添加後であっても、共役ジエン化合物単位と称する。
【0012】
部分水素添加ブロック共重合体の構造としては、特に限定されないが、例えば、下記の式(i)〜(vi)が挙げられる。
(Ar−D)
n ・・・(i)
D−(Ar−D)
n ・・・(ii)
Ar−(D−Ar)
n ・・・(iii)
Ar−(D−Ar)
n−X ・・・(iv)
[(Ar−D)
k]
m−X ・・・(v)
[(Ar−D)
k−Ar]
m−X ・・・(vi)
(上記式(i)〜(vi)中、Arはビニル芳香族炭化水素化合物単位を主体とする重合体ブロックArを表し、Dは共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックDを表し、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、m、n及びkは、1以上の整数を表し、1〜6の整数であることが好ましく、複数存在する場合のArはビニル芳香族炭化水素化合物の種類や組成、重量平均分子量、構造が同じであっても異なってもよく、複数存在する場合のDは共役ジエン化合物の種類や組成、重量平均分子量、構造が同じであっても異なってもよい。)
【0013】
本実施形態の部分水素添加ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素ブロック重合体の含有量は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは11質量%以上であり、さらに好ましくは12質量%以上である。また、部分水素添加ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素ブロック重合体の含有量は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下であり、よりさらに好ましくは20質量%以下である。本実施形態に用いる部分水素添加ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素ブロック重合体の含有量が上記範囲であることにより、優れた自着力及び自着保持性を有し、またそのバランスにも優れた部分水素添加ブロック共重合体及び自着性テープ用組成物が得られる傾向にある。特に、ビニル芳香族炭化水素ブロック重合体の含有量が10質量%以上であることにより、優れた自着保持性を有する部分水素添加ブロック共重合体及び自着性テープ用組成物が得られる傾向にある。また、ビニル芳香族炭化水素ブロック重合体の含有量が50質量%以下であることにより、優れた自着力を有する部分水素添加ブロック共重合体及び自着性テープ用組成物が得られる傾向にある。
【0014】
ここで、部分水素添加ブロック共重合体が複数の成分からなる場合、部分水素添加ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素化合物単位の含有量とは、成分ごとの値ではなく、部分水素添加ブロック共重合体組成物全体としての含有量、すなわち各成分の含有量の平均値である。部分水素添加ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素化合物単位の含有量は、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。
【0015】
また、本実施形態に用いる部分水素添加ブロック共重合体中の水素添加前の共役ジエン化合物単位のビニル結合量は、好ましくは80mol%以下であり、より好ましくは70mol%以下であり、さらに好ましくは60mol%以下であり、よりさらに好ましくは50mol%以下である。また、水素添加前の共役ジエン化合物単位のビニル結合量は、好ましくは10mol%以上であり、より好ましくは20mol%以上であり、さらに好ましくは25mol%以上である。共役ジエン化合物単位のビニル結合量が上記範囲内であることにより、生産性、自着力、自着保持性に優れた特性が得られる傾向にある。
【0016】
また、本実施形態に用いる部分水素添加ブロック共重合体中の水素添加前の共役ジエン化合物単位のシス、トランス結合の含有量は好ましくは90mol%以下であり、より好ましくは80mol%以下であり、さらに好ましくは75mol%以下である。また、水素添加前の共役ジエン化合物単位のシス、トランス結合の含有量は、好ましくは20mol%以上であり、より好ましくは30mol%以上であり、さらに好ましくは40mol%以上であり、さらにより好ましくは50mol%以上である。共役ジエン化合物単位のシス、トランス結合の含有量が上記範囲内であることにより、生産性、自着力、自着保持性に優れた特性が得られる傾向にある。
【0017】
ここで、部分水素添加ブロック共重合体が複数の成分からなる場合、水素添加前の共役ジエン化合物単位のビニル結合量又はシス、トランス結合の含有量とは、成分ごとの値ではなく、部分水素添加ブロック共重合体全体としてのビニル結合量又はシス、トランス結合の含有量、すなわち各成分のビニル結合量又はシス、トランス結合の含有量の平均値である。
【0018】
また、ビニル結合量とは、水素添加前において、1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物単位の総mol量に対する、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれている共役ジエン化合物単位の総mol量の割合である。また、シス、トランス結合の含有量とは、水素添加前において、1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物単位の総mol量に対する、1,4−結合で組み込まれている共役ジエン化合物単位の総mol量の割合である。
【0019】
なお、水素添加後において、水素未添加の1,2−結合、水素添加後の1,2−結合、水素未添加の3,4−結合、水素添加後の3,4−結合、水素未添加の1,4−結合及び水素添加後の1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物単位の総mol量に対する、水素未添加の1,2−結合、水素添加後の1,2−結合、水素未添加の3,4−結合及び水素添加後の3,4−結合で組み込まれている共役ジエン化合物単位の総mol量の割合は、水素添加前の共役ジエン化合物単位のビニル結合量と等しい。したがって、水素添加前の共役ジエン化合物単位のビニル結合量は、水素添加後の部分水素添加ブロック共重合体組成物を用いて核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定でき、具体的には後述する実施例に記載の方法により測定できる。なお、ビニル芳香族炭化水素化合物単位の含有量、重量平均分子量の値は水素添加前後でほぼ同じ値となるので水素添加後の値を採用する。
【0020】
水素添加工程において、ビニル芳香族炭化水素化合物単位の共役結合が水素添加されてもよいが、自着力や自着保持性の観点から、全ビニル芳香族炭化水素化合物単位の共役結合の水素添加率は、30mol%以下が好ましく、10mol%以下が好ましく、3mol%以下がさらに好ましい。
また、本実施形態に用いる部分水素添加ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位の水素添加率は、10mol%以上、90mol%以下であり、好ましくは15mol%以上であり、より好ましくは20mol%以上であり、さらに好ましくは25mol%以上である。このような水素添加率であることにより、自着力や自着保持性に優れる傾向にある。また、共役ジエン化合物単位の水素添加率は、80mol%以下が好ましく、70mol%以下がより好ましく、60mol%以下がさらに好ましい。
【0021】
共役ジエン化合物単位の水素添加率が上記範囲内であることにより、低温特性、耐候性、耐熱性に優れ、自着力、自着保持性のバランスに優れた部分水素添加ブロック共重合体及び自着性テープ用剤組成物が得られる傾向にある。
本実施形態において、耐候性、低臭気特性の観点から、部分水素添加ブロック共重合体における共役ジエン化合物単位中のビニル結合量のうち、80mol%以上が水素添加されていることが好ましい。85mol%以上がより好ましく、90mol%以上がさらに好ましい。
【0022】
本実施形態において、自着力、自着保持性の観点から、部分水素添加ブロック共重合体における共役ジエン化合物単位中のシス、トランス結合の含有量のうち、5〜25mol%が水素添加されていることが好ましい。8mol%以上がより好ましく、10mol%以上がさらに好ましい。23mol%以下がより好ましく、20mol%以下が更に好ましい。
【0023】
自着力、自着保持性、粘着力、耐候性のバランスの観点から、部分水素添加ブロック共重合体の共役ジエン化合物単位のうち、水素添加されたシス、トランス結合が5〜25mol%であるとき、ビニル芳香族炭化水素化合物単位の含有量が10〜20質量%であることがより好ましい。
ビニル結合量中の水素添加率、及びシス、トランス結合中の水素添加率は共役ジエン化合物単位中のビニル結合量と水素添加率を制御することにより制御することができる。
【0024】
部分水素添加ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単位の水素添加率及び共役ジエン化合物単位のうち、シス、トランス結合が水素添加された割合は、実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、部分水素添加ブロック共重合体が複数の成分からなる場合、共役ジエン化合物単位の水素添加率とは、成分ごとの値ではなく、部分水素添加ブロック共重合体全体としての共役ジエン化合物単位の水素添加率、すなわち各成分の共役ジエン化合物単位の水素添加率の平均値である。
【0025】
〔ブロック共重合体組成物〕
本実施形態の部分水素添加ブロック共重合体は、自着力と自着保持性のバランス改善の観点から下記成分(A)と成分(B)の2つの異なる構造を有する部分水素添加ブロック共重合体からなる部分水素添加ブロック共重合体組成物でることが好ましい。このとき、成分(A)と成分(B)の重量平均分子量の比(成分(B)の重量平均分子量)/(成分(A)の重量平均分子量)が1.3〜10であることが好ましい。
【0026】
前記成分(A)は、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素化合物単位を主体とする重合体ブロックArと少なくとも1つの共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックDを含有する部分水素添加ブロック重合体であり、重量平均分子量が20,000以上、500,000以下であることが好ましく、
前記成分(B)が、少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素化合物単位を主体とする重合体ブロックArと少なくとも1つの共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックDを含有する部分水素添加ブロック重合体であり、重量平均分子量が30,000以上、1,000,000万以下であることが好ましい。
【0027】
成分(A)及び/又は成分(B)の部分水素添加ブロック共重合体中に、重合体ブロックAr及び/又はDが複数存在している場合には、各重合体ブロックAr及びDの重量平均分子量、組成、構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
部分水素添加ブロック共重合体組成物中の成分(A)及び成分(B)の含有量は、好ましくは、成分(A)が20質量%以上、90質量%以下であり、かつ、成分(B)が10質量%以上、80質量%以下であり、より好ましくは成分(A)が30質量%以上、85質量%以下であり、かつ、成分(B)が15質量%以上、70質量%以下であり、さらに好ましくは成分(A)が35質量%以上、80質量%以下であり、かつ、成分(B)が20量%以上、65質量%以下であり、さらにより好ましくは成分(A)が40質量%以上、75質量%以下であり、かつ、成分(B)が25質量%以上、60質量%以下である。
【0028】
成分(A)及び成分(B)の含有量が上記範囲内であることにより、自着力と自着保持性がともに優れた、そのバランスも良い部分水素添加ブロック共重合体及び自着性テープ用組成物が得られる。
成分(A)及び成分(B)の含有量は、後述する製造方法の諸条件を調整することにより上記範囲内に制御することができる。また、成分(A)及び成分(B)の含有量は、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。なお、成分(A)及び成分(B)の含有量の値は水素添加前後でほぼ同じ値となるが、水素添加後の値を採用する。
【0029】
成分(A)の重量平均分子量に対する成分(B)の重量平均分子量の比(成分(B)の重量平均分子量)/(成分(A)の重量平均分子量)は、1.3以上、10以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以上、8.0以下であり、さらに好ましくは1.8以上、5.0以下である。成分(A)の重量平均分子量に対する成分(B)の重量平均分子量の比が上記範囲内であることにより、自着力と自着保持性に優れ、またそのバランスも優れた部分水素添加ブロック共重合体及び自着性テープ組成物が得られる。成分(A)及び成分(B)の含有量、重量平均分子量、及び重量平均分子量の比は、後述する製造方法の諸条件を調整することにより上記範囲内に制御することができる。また、成分(A)及び成分(B)の重量平均分子量、及び重量平均分子量の比は、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。以下、各成分についてより詳細に説明する。
【0030】
(成分(A))
成分(A)は、少なくとも一つのビニル芳香族炭化水素化合物単位を主体とする重合体ブロックArと少なくとも一つの共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックDと、を含有することが好ましい。
【0031】
成分(A)のブロック共重合体の重量平均分子量は、20,000以上、500,000以下であることが好ましく、より好ましくは30,000以上であり、さらに好ましくは40,000以上であり、さらにより好ましくは70,000以上である。また、より好ましくは175,000以下であり、さらに好ましくは150,000以下であり、120,000以下であることがさらにより好ましい。
成分(A)の重量平均分子量が20,000以上であることにより、生産性に優れ、また、成分(A)の重量平均分子量が500,000以下であることにより、優れた自着力を有する部分水素添加ブロック共重合体組成物及び自着性テープ用組成物が得られる。なお、成分(A)の重量平均分子量は実施例に記載する方法により求めることができる。
【0032】
成分(A)の構造としては、特に限定されないが、例えば、下記の式(i)〜(vi)が挙げられる。
(Ar−D)
n ・・・(i)
D−(Ar−D)
n ・・・(ii)
Ar−(D−Ar)
n ・・・(iii)
Ar−(D−Ar)
n−X ・・・(iv)
[(Ar−D)
k]
m−X ・・・(v)
[(Ar−D)
k−Ar]
m−X ・・・(vi)
(上記式(i)〜(vi)中、Arはビニル芳香族炭化水素化合物単位を主体とする重合体ブロックArを表し、Dは共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックDを表し、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、m、n及びkは、1以上の整数を表し、1〜6の整数であることが好ましく、複数存在する場合のArはビニル芳香族炭化水素化合物の種類や組成、分子量、構造が同じであっても異なってもよく、複数存在する場合のDは共役ジエン化合物の種類や組成、分子量、構造が同じであっても異なってもよい。)
【0033】
前記式(i)〜(vi)の中でも、Ar−D、D−Ar−Dによって表される部分水素添加ブロック共重合体がより好ましい。成分(A)がこのような構造を有することにより、優れた低溶融粘度特性、粘着力、及びタックを有し、そのバランスにも優れた部分水素添加ブロック共重合体組成物及び自着性テープ用組成物が得られる傾向にある。
【0034】
(成分(B))
成分(B)は、少なくとも二つのビニル芳香族炭化水素化合物単位を主体とする重合体ブロックArと少なくとも一つの共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックDと、を含有することが好ましい。
【0035】
成分(B)の部分水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量は、30,000以上、1,000,000以下であることが好ましく、50,000以上であることがより好ましく、70,000以上であることがさらに好ましい。また、500,000以下であることがより好ましく、400,000以下であることがさらに好ましく、300,000以下であることがさらにより好ましい。成分(B)の重量平均分子量が30,000以上であることにより、優れた保持力や粘着力を有し、また、成分(B)の重量平均分子量が1,000,000以下であることにより、優れた低溶融粘度特性を有する部分水素添加ブロック共重合体組成物及び自着性テープ用組成物が得られる。なお、成分(B)の重量平均分子量は実施例に記載する方法により求めることができる。
【0036】
自着力と自着保持性の観点から、成分(B)は2つのビニル芳香族炭化水素単位を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1つの共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックを含有する水素添加ブロック共重合体組成物である、ことが好ましい。
さらに、成分(B)の部分水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量が、140,000以上であり、2つのビニル芳香族炭化水素単位を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1つの共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックを含有する部分水素添加ブロック共重合体組成物であることがより好ましい。2つのビニル芳香族炭化水素単位を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1つの共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックを含有する部分水素添加ブロック共重合体組成物としては、特に限定されないが、例えば、式Ar−D−Ar、(Ar−D)
2X、D−Ar−D−Ar、D−Ar−D−Ar−D、D−(Ar−D)
2X、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0037】
また、前記成分(A)及び前記成分(B)からなる水素添加ブロック共重合体組成物の動的粘弾性スペクトルにおける−100℃から0℃における損失係数(tanδ)の最大値は0.4〜4.0であることが好ましい。上記損失係数の最大値が0.4以上であることにより風合いやタックに優れたブロック共重合体及び粘接着組成物が得られ、4.0以下であることにより保持力に優れたブロック共重合体及び粘接着組成物が得られる。同様の観点から、0.5以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましく、0.8以上がよりさらに好ましく、0.9以上がよりいっそうさらに好ましい。また、2以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.6以下がさらに好ましい。
【0038】
〔水素添加ブロック共重合体の製造方法〕
水素添加ブロック共重合体は、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素化合物を重合させて重合体を得る重合工程、得られた重合体の共役ジエン化合物単位中の二重結合を水素添加する水素添加工程、水素添加されたブロック共重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する脱溶剤工程、脱溶剤された部分水素添加ブロック共重合体をクラム化するクラム化工程を順次行い、製造することができる。
【0039】
部分水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量は、例えば後述するカップリング剤の種類や添加量を制御することによって調整することができる。また、後述する重合開始剤の添加量と添加回数を制御して、複数回に分けて添加することによっても、重量平均分子量を調整することができる。また、後述する失活剤の添加量を制御して一度失活工程を行い、さらに重合反応を続けることによっても、重量平均分子量を調整することができる。
【0040】
部分水素添加ブロック共重合体が成分(A)と成分(B)の2つの異なる構造を有する部分水素添加ブロック共重合体からなる部分水素添加ブロック共重合体組成物の場合、組成物の成分(A)と成分(B)は、別々に製造して、後から混合してもよいし、同時に製造してもよい。成分(A)と成分(B)を同時に製造する場合、成分(A)と成分(B)の重量平均分子量、重量平均分子量の比及び含有量は、例えば後述するカップリング剤の種類や添加量を制御することによって調整することができる。また、後述する重合開始剤の添加量と添加回数を制御して、複数回に分けて添加することによっても、成分(A)と成分(B)の重量平均分子量、重量平均分子量の比及び含有量を調整することができる。また、後述する失活剤の添加量を制御して一度失活工程を行い、さらに重合反応を続けることによっても、成分(A)と成分(B)の重量平均分子量、重量平均分子量の比及び含有量を調整することができる。
【0041】
(重合工程)
重合工程は、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素化合物を含む単量体を重合させて重合体を得る工程である。
重合反応温度は、通常10〜150℃、好ましくは30〜130℃、より好ましくは40℃〜100℃である。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量および溶媒を液相に維持するに十分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されない。要する時間は条件によって異なるが、通常、48時間以内、好ましくは0.5〜10時間である。
【0042】
<炭化水素溶媒>
上述したように、重合工程においては、炭化水素溶媒を用いる。炭化水素溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。炭化水素溶媒は1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0043】
<重合開始剤>
重合工程においては、重合開始剤として、少なくとも有機リチウム化合物を用いる。有機リチウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物が挙げられる。より具体的には、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。重合開始剤は1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤は複数回に分けて、反応液に添加してもよい。こうすることにより、重量平均分子量や構造が異なる複数種のブロック共重合体を含む組成物を一度に得ることができる。
【0044】
<重合に用いる単量体>
共役ジエン化合物は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエン化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。このなかでも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、自着性テープ組成物の自着保持性改良の観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。共役ジエン化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
ビニル芳香族炭化水素化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。このなかでも、経済性の点から、スチレンが好ましい。ビニル芳香族炭化水素化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
部分水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素化合物単位及び共役ジエン化合物単位以外の単量体単位を含んでもよく、重合工程においては、ビニル芳香族炭化水素化合物及び共役ジエン化合物の他、当該単量体と共重合可能な他の単量体を用いることができる。
【0046】
重合工程においては、重合速度の調整、重合した共役ジエン単量体単位のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の制御、共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素化合物との反応比率の調整等の目的で、所定の極性化合物やランダム化剤を使用することができる。
極性化合物やランダム化剤としては、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類;チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0047】
<カップリング剤>
重合工程においては、活性末端を有するビニル芳香族−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、その活性末端に対して官能基が1モル当量未満となる量で、前記式(iv)〜(vi)、(x)〜(xiii)においてXで表されるカップリング剤を添加してもよい。
【0048】
添加されるカップリング剤としては、特に限定されないが、2官能以上の任意のカップリング剤を用いることができる。2官能のカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシランなどの2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどの2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタンなどの2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズなどの2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、CO、2―クロロプロペンなどが挙げられる。
【0049】
3官能のカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、トリクロロエタン、トリクロロプロパンなどの3官能性ハロゲン化アルカン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシランなどの3官能性ハロゲン化シラン;メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの3官能性アルコキシシラン;などが挙げられる。
【0050】
4官能のカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、テトラクロロエタンなどの4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシランなどの4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性アルコキシシラン;テトラクロロスズ、テトラブロモスズなどの4官能性ハロゲン化スズ;などが挙げられる。
【0051】
5官能以上のカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどが挙げられる。その他、エポキシ化大豆油、2〜6官能のエポキシ基含有化合物、カルボン酸エステル、ジビニルベンゼンなどのポリビニル化合物を用いることもできる。カップリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記の中でも色調、プラントへの低悪影響性の観点から、非ハロゲン系カップリング剤であることが好ましい。また、生産性やプラントへの低悪影響性の観点から、エポキシ基含有化合物、アルコキシシランであることが好ましい。
【0052】
以上のように、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、その活性末端に対して官能基が1モル当量未満となる量で、カップリング剤を添加すると、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のうちの一部のブロック共重合体において、活性末端同士がカップリング剤の残基を介して結合される。そして、活性末端を有するビニル芳香族−共役ジエンブロック共重合体の残り一部は、未反応のまま溶液中に残ることとなる。これらのカップリング剤を用いた反応では、カップリング剤の種類や添加量を調製することなどにより、カップリング率を制御することができる。
【0053】
本実施形態の重合体の製造方法における、重合工程で実施する重合方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用でき、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
【0054】
<失活剤>
重合工程においては、失活剤を添加してもよい。失活剤としては、特に限定されないが、水又はアルコールなどが知られている。このなかでも失活効率の観点から、アルコールが好ましい。失活剤は重合工程のどのタイミングで添加してもよい。添加する失活剤が活性末端の100mol%より少ない量であれば、失活剤の添加後に共役ジエン化合物及び/又はビニル芳香族炭化水素化合物をさらに続けて添加してもよい。こうすることにより失活していない活性末端と共役ジエン化合物及び/又はビニル芳香族炭化水素化合物との重合反応が継続し、異なる分子量の重合体を含む重合体溶液を得ることができる。
【0055】
また、成分(A)と成分(B)の2つの異なる構造を有する部分水素添加ブロック共重合体からなる水素添加ブロック共重合体組成物の場合、失活工程において成分(A)と成分(B)の含有量は、重合開始剤の添加量に対する失活剤の添加モル量を調整することによって制御することができる。失活剤の添加モル量が多いほど成分(A)の含有量が多くなり、失活剤の添加モル量が少ないほど成分(B)の含有量が少なくなる傾向にある。
【0056】
さらに、失活剤の添加後に共役ジエン化合物及び/又はビニル芳香族炭化水素化合物を添加し、重合反応を続けることにより成分(A)と成分(B)の重量平均分子量、重量平均分子量の比を制御することができる。具体的には、失活剤の添加後に添加する共役ジエン化合物及び/又はビニル芳香族炭化水素化合物の量が多いほど、成分(B)の重量平均分子量が大きくなり、それに伴い重量平均分子量の比も大きくなる傾向にある。
【0057】
(水素添加工程)
水素添加工程は、重合工程で得られた重合体の少なくとも共役ジエン化合物単位中の二重結合を水素添加反応により水素添加物とする工程である。具体的には、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して水素添加されたブロック共重合体溶液を得ることができる。その際、ブロック共重合体の水素添加率は、反応温度、反応時間、水素供給量、触媒量などを調整することにより制御することができる。
【0058】
水素添加反応に使用される触媒としては、特に限定されないが、例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒と、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触媒、又はRu、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒、或いはチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒が知られている。このなかでも、経済性、重合体の着色性あるいは接着力の観点から、チタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒系が好ましい。
【0059】
水素添加反応温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは30〜150℃である。また、水素添加反応に使用される水素の圧力は、好ましくは0.1〜15MPaであり、より好ましくは0.2〜10MPaであり、さらに好ましくは0.3〜5MPaである。さらに、水素添加反応時間は、好ましくは3分〜10時間であり、より好ましくは10分〜5時間である。なお、水素添加反応は、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0060】
水素添加方法としては、特に限定されないが、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、及び特公昭63−5401号公報に記載された方法が挙げられる。
水素添加反応は、特に限定するものではないが、高い水素添加活性の観点から、後述する重合体の活性末端を失活する工程後に行うことが好ましい。
【0061】
(脱溶剤工程)
脱溶剤工程は、重合体を含む溶液の炭化水素溶媒を脱溶剤する工程である。脱溶剤方法としては、特に限定されないが、例えばスチームストリッピング法や直接脱溶媒法により脱溶剤する方法が挙げられる。上記重合体の製造方法により得られる重合体中の残存溶媒量は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらにより好ましくは0.2質量%以下であり、よりさらにより好ましくは0.05質量%以下であり、特により好ましくは0.01質量%以下である。
【0062】
また、本実施形態に用いるブロック共重合体組成物の耐熱老化性やゲル化の抑制の観点から、酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル補捉剤のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤のリン系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。このなかでも、重合体の耐熱老化性やゲル化の抑制の観点から、少なくともフェノール系酸化防止剤を添加することが好ましい。
その他、重合体の着色防止や高い機械強度の観点から、重合体中の金属を除去する脱灰工程や、ポリマーのpHを調整する中和工程、例えば、酸の添加や炭酸ガスの添加を行ってもよい。
【0063】
上述のようにして製造できる本実施形態に用いる部分水素添加ブロック共重合体は、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、スズから選ばれる原子を含む極性基含有官能基がブロック共重合体に結合した、いわゆる変性重合体や、ブロック共重合体成分を無水マレイン酸等の変性剤で変性した変性ブロック共重合体を含んでもよい。このような変性共重合体は、上述の方法で得られる水素添加ブロック共重合体に対し、公知の変性反応を行うことにより得られる。
【0064】
((b)充填剤)
本実施形態の自着性テープ用組成物は充填剤を1〜300質量部含む。充填剤は、得られる自着性テープ用組成物の用途、要求性能によって、多種多様に選択する事ができる。
充填剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、亜鉛華、けい酸アルミニウム、シリカ、タルク、けい藻土、けい砂、軽石粉、スレート粉、雲母粉、アルミニウムゾル、アルミナホワイト、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、単結晶チタン酸カリウム、カーボン繊維、活性亜鉛華、炭酸亜鉛、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、リサージ、鉛丹、鉛白、水酸化カルシウム、活性化水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。これらの充填剤の中でも、自着力の観点からカルシウムを含む充填剤、亜鉛華、シリカ、酸化チタンが好ましく、カルシウムを含む充填剤がより好ましい。カルシウムを含む充填剤としては上述した中でも炭酸カルシウムが好ましい。これらの充填剤を配合すると、粘着剤に適度の凝集性を付与する事が出来る。これらの充填剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0065】
充填剤の含有量は、(a)部分水素添加ブロック共重合体100質量部に対して、1〜300質量部であり、好ましくは50〜250質量部であり、より好ましくは75〜200質量部である。充填剤の含有量が上記範囲内であることにより、低粘着力及び自着力、自着保持性のバランスが良好となる。
【0066】
((C)粘着付与樹脂)
本実施形態の自着性テープ用組成物は粘着力、自着力の観点から(c)粘着付与樹脂をさらに含有することが好ましい。粘着付与樹脂は、得られる粘接着剤組成物の用途、要求性能によって、多種多様に選択することができる。粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、天然ロジン、変性ロジン、水添ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、水添ロジンのペンタエリスリトールエステル、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの3次元ポリマー、水添テルペンのコポリマーの水素化誘導体、ポリテルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体、脂肪族石油炭化水素樹脂、脂肪族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体、芳香族石油炭化水素樹脂、芳香族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体、環状脂肪族石油炭化水素樹脂、環状脂肪族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体などを例示することができる。これらの粘着付与樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
粘着付与樹脂は、色調が無色〜淡黄色であって、臭気が実質的に無く熱安定性が良好なものであれば、液状タイプの粘着付与樹脂も使用できる。
粘着付与剤の含有量は、(a)部分水素添加ブロック共重合体100質量部に対して、4〜200質量部が好ましく、より好ましくは10〜150質量部であり、さらに好ましくは20〜120質量部である。粘着付与樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、低粘着力及び自着力、自着保持性のバランスが良好となる。
【0068】
(軟化剤)
軟化剤は必要に応じて添加可能で、種類は特に限定されないが、例えば、公知のパラフィン系やナフテン系、アロマ系のプロセスオイル及びこれらの混合オイル等のオイル、可塑剤、合成液体オリゴマー、及びそれらの混合物が挙げられる。
軟化剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、出光興産社製のダイアナフレシアS32(商品名)、ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)、ダイアナプロセスオイルNS−90S(商品名)、Kukdong Oil&Chem社製のWhite Oil Broom350(商品名)、DNオイルKP−68(商品名)、BPケミカルズ社製のEnerperM1930(商品名)、Crompton社製のKaydol(商品名)、エッソ社製のPrimol352(商品名)、PetroChina Company社製のKN4010(商品名)等が挙げられる。
また、軟化剤の含有量は任意であるが、1〜200質量部が好ましい。
【0069】
(その他の成分)
本実施形態の粘接着剤組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、本実施形態の粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体以外の合成ゴム若しくはポリマー、ワックス、光安定剤等の安定剤、及びその他の添加剤を含んでもよい。
【0070】
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−0−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)]アクリレート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロビオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトールーテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0071】
酸化防止剤の市販品の具体例としては、住友化学工業(株)製のスミライザーGM(商品名)、スミライザーTPD(商品名)及びスミライザーTPS(商品名)、チバスペシャリティーケミカルズ社製のイルガノックス1076(商品名)、イルガノックス1010(商品名)、イルガノックスHP2225FF(商品名)、イルガフォス168(商品名)及びイルガノックス1520(商品名)、城北化学社製のJF77(商品名)を例示することができる。これら安定化剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の含有量は任意であるが、好ましくは自着性粘着テープ用組成物100質量部に対して5質量部以下である。
【0072】
本明細書において、「本実施形態において用いるブロック共重合体以外の」とは、本実施形態のブロック共重合体のいずれにも該当しないことを意味する。本実施形態において用いるブロック共重合体以外の合成ゴム又はポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂又はビニル芳香族系熱可塑性樹脂、天然ゴム、共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ポリペンテナマーゴム、芳香族ビニル系エラストマーを添加してもよい。ポリオレフィン系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、アタクチックポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。共役ジエン系ゴムとしては、以下に限定されないが、例えば、イソプレン−イソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。ここで、本実施形態における「芳香族ビニル系エラストマー」は、本実施形態におけるブロック共重合体のいずれにも該当しないものである。すなわち、本実施形態における芳香族ビニル系エラストマーとしては、以下に限定されないが、例えば、本実施形態において用いるブロック共重合体以外のスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン系ブロック共重合体等が挙げられる。本実施形態において用いるブロック共重合体以外の合成ゴム又はポリマーとしては、上記の合成ゴム又はポリマーの含有量は任意であるが、好ましくは自着性粘着テープ用組成物100質量部に対して0.5質量部以上95質量部以下である。
【0073】
組成物には、必要に応じて、ワックスを含有しても良い。組成物中のワックスの添加量は、20重量%以下が好ましい。低い溶融粘度、特に140℃以下での低い溶融粘度が必要な場合には、50℃〜110℃の融点を有する、パラフィンワックス、微晶質ワックス、ならびにフィッシャー‐トロプシュワックスから選択される少なくとも一種のワックスを2〜10重量%含有することが好ましい。含有量は5〜10重量%の範囲がより好ましい。また、前記ワックスの融点は、65℃以上が好ましい。70℃以上がより好ましく、75℃以上がさらに好ましい。また、このときに併用する粘着付与剤の軟化点は、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。このとき、得られる組成物のG‘(測定条件:25℃、10rad/s)が1Mpa以下、さらに、7℃以下の結晶化温度が好ましい。
【0074】
光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤等を挙げることができる。
【0075】
〔自着性粘着テープ用組成物の塗布方法〕
自着性粘着テープ用組成物を塗布する方法は、目的とする製品を得ることができる限り、特に制限されるものではなく、例えば、自着性粘着テープ用組成物を溶媒に溶かし、溶液塗工する方法や自着性粘着テープ用組成物を溶融させて塗工するホットメルト塗工法等で塗工する方法が挙げられる。
ホットメルト塗工法は、接触塗布及び非接触塗布に大別される。「接触塗布」とは、ホットメルト接着剤を塗布する際、噴出機を部材やフィルムに接触させる塗布方法をいう。また、「非接触塗布」とは、ホットメルト接着剤を塗布する際、噴出機を部材やフィルムに接触させない塗布方法をいう。接触塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、スロットコーター塗工及びロールコーター塗工等が挙げられる。また、非接触塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、螺旋状に塗布できるスパイラル塗工、波状に塗布できるオメガ塗工やコントロールシーム塗工、面状に塗布できるスロットスプレー塗工やカーテンスプレー塗工、点状に塗工できるドット塗工などが挙げられる。
【0076】
〔自着性粘着テープ〕
本実施形態の自着性粘テープは基材の少なくとも一面に本実施形態の自着性粘着テープ用組成物を塗布したものである。
【0077】
〔基材〕
基材は、クラフト紙、クレープ紙、和紙などの繊維状物質で形成された多孔性材料や、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂などで形成したプラスチックフィルムを適宜に使用することができる。上記多孔性材料を使用する場合、強度、耐候性、剛性などの特性を調整するために、含浸剤、背面処理剤などによって適宜処理を施すようにすることができる。この多孔性材料の秤量、厚みは用途によって適宜に選択されて特に限定されない。
【0078】
上記プラスチックフィルムは、上記したもののほか、生分解性や、光分解性のプラスチックフィルムを使用すると環境面から好ましいものとする事が出来る。また、上記したものを複数組み合わせて使用する事も出来、上記プラスチックフィルム同士を、またはプラスチックフィルムと多孔性材料などを積層して使用することもできる。また、必要に応じて、多孔性のプラスチックフィルムを用いる事もできる。上記プラスチックフィルムには、粘着剤層を形成する粘着剤との密着性を向上させるために、片面又は両面にコロナ処理やプラズマ処理、プライマー処理などの表面処理を施すようにすることもできる。
このプラスチックフィルムを使用した基材の秤量は、特に限定されることなく使用されることができる。
【0079】
〔用途〕
本実施形態の自着性粘着テープ用組成物は、低粘着力、優れた、自着力、自着保持性、耐候性、低臭気特性、低温特性が良好である。このような特徴を生かして、植物等を結束する自着性テープとして好適に用いる事ができる。
【実施例】
【0080】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお以下の実施例及び比較例において、重合体の特性や物性の測定は下記の方法により行った。
【0081】
〔水素添加ブロック共重合体の特性〕
<(1−1)重量平均分子量>
水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量は、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して、クロマトグラムのピークの分子量に基づいて、求めた。水素添加ブロック共重合体が成分(A)と成分(B)の2つの異なる構造を有する水素添加ブロック共重合体からなる水素添加ブロック共重合体組成物の場合、重量平均分子量の最も小さいピークを成分(A)、成分(A)の次に重量平均分子量の大きいピークを成分(B)として、同様に求めた。なお、成分(A)および成分(B)は各成分のピーク面積を総ピーク面積で除した値((成分(A)あるいは成分(B)のピーク面積)/(総ピーク面積))が0.1以上であるとする。測定ソフトとしては、HLC−8320EcoSEC収集を用い、解析ソフトとしては、HLC−8320解析を用いた。ピーク面積は後述する方法で測定した。
【0082】
(測定条件)
GPC ;HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
検出器 ;RI
検出感度 ;3mV/分
サンプリングピッチ;600msec
カラム ;TSKgel superHZM−N(6mmI.D×15cm)4本(東ソー株式会社製)
溶媒 ;THF
流量 ;0.6mm/分
濃度 ;0.5mg/mL
カラム温度 ;40℃
注入量 ;20μL
【0083】
<(1−2)成分(A)及び成分(B)の含有量>
水素添加ブロック共重合体が成分(A)と成分(B)の2つの異なる構造を有する水素添加ブロック共重合体からなる水素添加ブロック共重合体組成物の場合、上記(1−1)で測定した溶出曲線の総ピーク面積に対する成分(A)のピーク面積の割合を成分(A)の含有量とした。また、上記(1−1)で測定した溶出曲線の総ピーク面積に対する成分(B)のピーク面積の割合を成分(B)の含有量とした。なお、面積比については、解析ソフトにHLC−8320解析を用いて各ピーク間曲線の変曲点での垂直分割により求めた。
【0084】
<(1−3)ビニル芳香族単量体単位(スチレン)の含有量>
一定量のブロック共重合体組成物をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて、溶解液中のビニル芳香族化合物成分(スチレン)に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度を測定した。得られたピーク強度から、検量線を用いてビニル芳香族単量体単位(スチレン)の含有量を算出した。
【0085】
<(1−4)ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量>
I.M.Kolthoff,et al., J.Polym.Sci.,1946,Vol.1,p.429に記載の四酸化オスミウム酸法で、下記ポリマー分解用溶液を用いて、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量を測定した。
(測定条件)
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前の抜き取り品
ポリマー分解用溶液:オスミウム酸0.1gを第3級ブタノ−ル125mLに溶解した溶液
【0086】
<(1−5)共役ジエン単量体単位中のビニル、シス、トランス結合量及び、各々に対する水素添加率>
水添反応後の反応液に、大量のメタノールを添加することで、部分水添ブロック共重合体を沈殿させて回収した。次いで、部分水添ブロック共重合体をアセトンで抽出し、部分水添ブロック共重合体を真空乾燥した。これを、1H−NMR測定のサンプルとして用いて、ビニル、シス、トランス結合量及び、各々に対する水添率を測定した。
1H−NMR測定の条件を以下に記す。
【0087】
(測定条件)
測定機器 :JNM−LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
【0088】
<(1−6)動的粘弾性スペクトルの損失係数tanδの最大値>
動的粘弾性スペクトルを下記の方法により測定し、損失係数tanδの最大値を得た。
まず、水素添加ブロック共重合体組成物を厚さ2mmのシートに成形した後に幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、測定用試料とした。
装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーに測定用試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、測定範囲−100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件により測定した。
【0089】
〔(2):組成物の物性の測定〕
(粘接着組成物(配合α、配合β、配合γ、配合θ)の作製)
部分水素添加ブロック共重合体100質量部に対して、粘着付与剤であるQuintoneR 100(日本ゼオン(株)製)を200質量部と、軟化剤であるダイアナプロセスオイルNS−90S(出光興産(株)製)を5質量部と、充填剤である酸化チタンFTR−700(堺化学工業(株)製)を280質量部配合と、老化防止剤であるイルガノックス1010(BASF(株)製)を1質量部配合し、オイルバスを用いて加熱しながら、ミキサー(型式:L5M−A、シルバーソンニッポン(株)、パドル型4枚翼)により180℃×60分間溶融混練し、ホットメルト型粘接着剤組成物(配合α)を得た。
【0090】
部分水素添加ブロック共重合体100質量部に対して、粘着付与剤であるアルコンM100(荒川化学工業(株)製)を150質量部と、充填剤である酸化亜鉛 1種(堺化学工業(株)製)を230質量部配合と、老化防止剤であるイルガノックス1010(BASF(株)製)を1質量部配合し、オイルバスを用いて加熱しながら、ミキサー(型式:L5M−A、シルバーソンニッポン(株)、パドル型4枚翼)により180℃×60分間、溶融混練し、ホットメルト型粘接着剤組成物(配合β)を得た。
【0091】
部分水素添加ブロック共重合体100質量部に対して、粘着付与剤であるアルコンP100(荒川化学工業(株)製)を50質量部と、充填剤である炭酸カルシウム スーパー#1500(丸尾カルシウム(株)製)を150質量部配合と、老化防止剤であるイルガノックス1010(BASF(株)製)を1質量部配合し、トルエンを600質量部配合し、常温でミキサー(型式:L5M−A、シルバーソンニッポン(株)、パドル型4枚翼)により60分間、撹拌し、溶剤型粘接着剤組成物(配合γ)を得た。
【0092】
部分水素添加ブロック共重合体クラム100質量部に対して、粘着付与剤であるアルコンP100(荒川化学工業(株)製)を50質量部と、充填剤であるシリカ ST-CROWN(白石カルシウム(株)製)を150質量部配合と、老化防止剤であるイルガノックス1010(BASF(株)製)を1質量部配合し、トルエンを600質量部配合し、常温でミキサー(型式:L5M−A、シルバーソンニッポン(株)、パドル型4枚翼)により60分間、撹拌し、溶剤型粘接着剤組成物(配合θ)を得た。
【0093】
<(2−1)粘接着剤組成物(配合α、配合β、配合γ、配合θ)の低臭気特性評価>
低臭気特性は、官能試験により評価した。特定量の組成物を14cm×8cmのPE袋に入れて封をした10分後に、袋内のにおいをかぎ、においを感じたものを臭気ありとした。得られた結果に基づいて低臭気特性を下記の基準により評価した。
粘接着組成物が20g以上でも臭気を感じない場合:◎
粘接着組成物が10g以上、20g未満で臭気を感じない場合:〇
粘接着組成物が5g以上、10g未満で臭気を感じない場合:△
粘接着組成物が5g未満で臭気を感じる場合:×
【0094】
(粘着テープの作製)
ホットメルト型粘接着剤組成物は、室温まで冷却しこれをトルエンに溶かした。得られたトルエン溶液をアプリケーターでPETフィルムにコーティングし、その後、室温で30分間、70℃のオーブンで7分間保持し、トルエンを完全に蒸発させて、粘着層の厚さ40μmの粘着テープを作製した。
溶剤型粘接着剤組成物は、アプリケーターでPETフィルムにコーティングし、その後、室温で30分間、70℃のオーブンで7分間保持し、トルエンを完全に蒸発させて、粘着層の厚さ40μmの粘着テープを作製した。
【0095】
<(2−2)粘接着剤組成物(配合α、配合γ、配合β、配合θ)のプローブタック>
プローブタックはASTM D2979に準じて測定した。温度23℃にて、粘着テープをウェイト(荷重10g)に張り付けた後、プローブ(5mmφ)を1mm/secの速さで粘着テープに接触させる。1秒後に1mm/secの速さでプローブを引き剥がし、そのときの最大値を測定し、タックを評価した。評価は、良い順から◎、○、△、×とする。
0.6>プローブタック(N/5mmφ) :◎
1.2>プローブタック(N/5mmφ)≧0.6 :○
2.0>プローブタック(N/5mmφ)≧1.2 :△
プローブタック(N/5mmφ)≧2.0 :×
【0096】
<(2−3)粘接着剤組成物(配合α、配合γ、配合β、配合θ)の粘着力>
温度23℃にて、25mm幅の粘着テープをSUS板に貼り付け、引き剥がし速度300mm/minで引き剥がし、その際の180°剥離力を測定した。得られた剥離力に基づいて下記の基準により粘接着剤組成物の粘着力を評価した。評価は、良い順から◎、○、△、×とする。
粘着力(N/10mm)<4 :◎
4≦粘着力(N/10mm)<7 :○
7≦粘着力(N/10mm)<13 :△
13≦粘着力(N/10mm) :×
【0097】
<(2−4)粘接着剤組成物(配合α、配合γ、配合β、配合θ)の自着力>
温度23℃及び5℃にて、10mm幅の粘着テープの粘着面を内側として、貼り合わせ長さが100mm以上になるように貼りあわせ、引き剥がし速度300mm/minでT型剥離し、そのとき得られた剥離力(N/10mm)を評価した。評価は、良い順から◎、○、△、×とする。
(23℃雰囲気下)
15≦自着力(N/10mm) :◎
10≦自着力(N/10mm)<15 :○
7≦自着力(N/10mm)<10 :△
自着力(N/10mm)<7 :×
(5℃雰囲気下)
13≦自着力(N/10mm) :◎
8≦自着力(N/10mm)<13 :○
4≦自着力(N/10mm)<8 :△
自着力(N/10mm)<4 :×
【0098】
<(2−5)粘接着剤組成物(配合α、配合γ、配合β、配合θ)の自着保持性>
幅10mm、長さ100mmの自着性粘着テープの両端部の長さ20mmの粘着剤の部分を残し、中央部の60mmの粘着剤部分に長さ60mmの前記自着性粘着テープと同じ自着性粘着テープを貼付して非粘着化し、自着性粘着テープの試験片とした。上記試験片の両端部の長さ20mmの粘着剤の部分同士を合掌貼りにし、できたループ部に直径15mmの金属製の支持棒を挿通して支持し、重さ1000gの錘を吊り下げ、温度を50℃とした状態で錘の落下時間を評価した。評価は、良い順から○、△、×とする。
120≦保持力(50℃)(分)<600 :○
30≦保持力(50℃)(分)<120 :△
保持力(50℃)(分)<30 :×
【0099】
<(2−6)粘接着剤組成物(配合α、配合γ、配合β、配合θ)の耐候性>
25mm幅の粘着テープをSUS板に貼り付けたサンプルを、スガ試験機株式会社製サンシャインウエザーメーターを使用し、雰囲気温度43℃、50%RH、ブラックパネル温度63℃、降雨12分/1時間の条件で、24時間処理した後、温度23℃にて、引き剥がし速度300mm/minで引き剥がし、その際の180°剥離力を測定した。得られた剥離力に基づいて下記の基準により粘接着剤組成物の粘着力を評価した。評価は、良い順から◎、○、△、×とする。
粘着力(N/10mm)<4 :◎
4≦粘着力(N/10mm)<7 :○
7≦粘着力(N/10mm)<13 :△
13≦粘着力(N/10mm) :×
【0100】
〔(3):水素添加触媒の調製〕
後述する実施例及び比較例において、水素添加ブロック共重合体またはその組成物を作製する際に用いる水素添加触媒を、下記の方法により調製した。攪拌装置を具備する反応容器を窒素置換しておき、これに、乾燥、精製したシクロヘキサンを1L仕込んだ。次に、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加した。これを十分に攪拌しながら、トリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液をさらに添加して、室温にて約3日間反応させた。これにより水素添加触媒を得た。
【0101】
〔(4):ブロック共重合体の調製〕
<製造例1〜4>
攪拌機及びジャケット付きのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサンを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を70℃に設定した。N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン及びn−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液を添加し、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液を連続的に添加した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、1,3−ブタジエン85質量部を含むシクロヘキサン溶液を連続的に添加して重合を継続した。ブタジエンの重合転化率は100%であった。その後に、カップリング剤を添加し、カップリング反応させた。カップリング剤としてはエポトートZX−1059(新日鉄住金化学株式会社)とシクロヘキサンを質量比で、90:10で混合したものを用いた。カップリング剤添加後、メタノールを加えて失活させた。この段階でポリマー溶液を一部抜出、製造例1のブロック共重合体を得た。
【0102】
上記のようにして調整した水素添加触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素添加反応を行い、部分水添ブロック共重合体とし、ポリマー溶液を一部抜出し、ポリマー製造例2のブロック共重合体を得た。リアクターに残ったポリマー溶液を更に水素添加反応を行い、部分水素添加ブロック共重合体とし、ポリマー製造例3のブロック共重合体を得た。リアクターに残ったポリマー溶液を更に水素添加反応を終点まで行い、完全水素添加ブロック共重合体とし、ポリマー製造例4のブロック共重合体を得た。
【0103】
<製造例5、6>
スチレンの添加量を8質量部、1,3−ブタジエンの添加量を92質量部に変える以外は製造例3と同様の方法で製造例5のブロック共重合体を得た。また、スチレンの添加量を25質量部、1,3−ブタジエンの添加量を75質量部に変える以外は製造例3と同様の方法で製造例6のブロック共重合体を得た。
得られた共重合体を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
<実施例1〜4、比較例1〜3>
製造例1〜6のブロック共重合体及びSIS(D1161クレイトン社製)を用い、上述した粘接着組成物の作製方法により、ホットメルト型粘接着剤組成物(配合α)を得た。更に、上述した粘着テープの作製方法により粘着テープを得た。これらの粘接着剤組成物及び粘着テープを使って上述した粘接着剤組成物の物性の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
【0106】
<実施例5〜8、比較例4〜6>
製造例1〜6のブロック共重合体及びSIS(D1161クレイトン社製)を用い、上述した粘接着組成物の作製方法により、ホットメルト型粘接着剤組成物(配合β)を得た。更に、上述した粘着テープの作製方法により粘着テープを得た。これらの粘接着剤組成物及び粘着テープを使って上述した粘接着剤組成物の物性の測定を行った。これらの結果を表3に示す。
【0107】
<実施例9〜13、比較例7〜9>
製造例1〜6のブロック共重合体及びSIS(D1161クレイトン社製)を用い、上述した粘接着組成物の作製方法により、ホットメルト型粘接着剤組成物(配合γ)を得た。また、製造例3のブロック共重合体を用い、上述した粘接着組成物の作成方法により、実施例13に示す溶剤型粘接着組成物(配合θ)を得た。更に、上述した粘着テープの作製方法により粘着テープを得た。これらの粘接着剤組成物及び粘着テープを使って上述した粘接着剤組成物の物性の測定を行った。これらの結果を表4に示す。
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】