(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の連結器具では、屈曲部が自由に屈曲可能であるため、車椅子やベッド、ストレッチャなどの患者利用器具が移動したときに意図せずに屈曲してしまう可能性があり、患者利用器具への医療用スタンドの追従性に問題がある。
【0005】
特許文献2の連結器具は、車椅子に固定されるものであるが、医療用スタンドは常に連結される側のものであり、入れ替わるのは車椅子やベッド、ストレッチャなどの患者利用器具側であるので、本来医療用スタンド側に固定することが望まれる。しかしながら、医療用スタンドは、支柱にキャスタがついているだけの構成であるため、大型の連結器具を固定すると邪魔となる。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、医療用スタンドに固定しても邪魔にならず、使い勝手の良い連結器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記目的を達成するため、本発明は、
患者利用器具と医療用スタンドとを連結する連結器具であって、
前記医療用スタンドに固定される固定部と、
該固定部に回転自在に連結される棒状部と、
前記棒状部の先端に設けられ、前記患者利用器具に連結可能な連結部とを備え、
前記固定部と前記棒状部との間には、前記固定部と前記棒状部とを隙間なく固定する固定状態と、前記棒状部を前記医療用スタンドから離すように離隔する離隔状態とに切換自在な切換機構が設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、連結部を患者利用器具から取り外した後、棒状部を固定部に対して回転させながら切換機構を離隔状態とすることにより、連結部を医療用スタンドに連結させることができる。これにより、連結器具をコンパクトに医療用スタンドに固定することができる。
【0009】
[2]また、本発明においては、切換機構を弾性部材で構成し、弾性部材を変形させることにより、棒状部を医療用スタンドから離すように離隔する離隔状態にすることができる。
【0010】
[3]また、本発明においては、固定部を棒状部にボルトとナットとで固定し、切換機構は、ボルトが挿通されてスライド自在なスライド孔と、棒状部のボルトとナットとで狭持される部分に設けられた棒状部の肉厚の薄い肉薄部及び棒状部の肉厚の厚い肉厚部とで構成され、ボルトとナットとが棒状部の肉厚の薄い肉薄部にスライドすることにより、離隔状態に切り換えられ、ボルトとナットとが棒状部の肉厚の厚い肉厚部にスライドすることにより、固定状態に切り換えられるように構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態の連結器具1は、輸液スタンドなどの医療用スタンド2と患者利用器具としての車椅子3とを連結するものである。医療用スタンド2は、輸液バッグ等を支える支柱2aを備える。連結器具1は、医療用スタンド2に固定されるクランプからなる固定部4と、一方の端部(一方端部)が固定部4と回転自在に接続されて板棒状に延びる棒状部5と、棒状部5の他方の端部(他方端部、先端)に設けられたクランプからなる連結部6とを備える。棒状部5の一方端部には、挿通孔5aが設けられる。クランプからなる連結部6は車椅子3に連結される。これにより、
図1に示すように、連結器具1によって、医療用スタンド2と車椅子3が連結される。
【0013】
図2に示すように、連結器具1は、連結を必要としない場合には、連結部6を医療用スタンド2に連結することにより、医療用スタンド2にコンパクトに装着することができる。
【0014】
図3に示すように、クランプからなる連結部6は、連結側爪部7aと、連結側爪部7aに車椅子3などの連結部分を押し付ける連結側押付ボルト7bと、連結側爪部7aに対向して配置されて連結側押付ボルト7bと螺合する雌ネジ孔7cが切られたボルト螺合部7dとを備える。連結部6は、他方端側ボルト8aと他方端側ナット8bとで棒状部5に固定される。
【0015】
図4に示すように、クランプからなる固定部4は、連結部6と同様に、固定側爪部9aと、固定側爪部9aに医療用スタンド2の支柱2aなどの連結部分を押し付ける固定側押付ボルト9bと、固定側爪部9aに対向して配置されて固定側押付ボルト9bと螺合する雌ネジ孔9cが切られたボルト螺合部9dとを備える。固定部4は、一方端側ボルト10aと一方端側ナット10bとで棒状部5に固定される。
【0016】
一方端側ボルト10aは、一方端側頭部10cを備える。一方端側ボルト10aは、一方端側ボルト10aの雄ネジ部の径よりも大きい径の挿通孔5aに挿通されている。一方端側ナット10bと棒状部5との間には、ゴムからなる弾性部材11が設けられている。また、固定部4には、回転用ボルト12aと回転用ナット12bとが設けられている。
【0017】
図5に示すように、棒状部5の一方端部には、一方端側ボルト10aが挿通される挿通孔5aを中心として略C字状に切り抜かれた回転用切欠部13が設けられている。回転用切欠部13には、回転用ボルト12aが挿通される。固定部4と棒状部5を接続する一方端側ボルト10aは大径の挿通孔5aに挿通され、一方端側ナット10bと棒状部5との間には弾性部材11が設けられているため、このままでは、棒状部5は固定部4に対して自由に回動することができる。しかしながら、回転用切欠部13に挿通された回転用ボルト12aと回転用ナット12bとを締め付けることにより、固定部4に対する棒状部5の回動を制限することができる。
【0018】
連結器具1を
図1の状態から
図2の状態に移行すべく、連結部6を車椅子3から取り外して、回転用ボルト12aと回転用ナット12bとによる締め付けを解除し、棒状部5を固定部4に対して回動させると、
図6に示すように、連結部6が医療用スタンド2の支柱2aに衝突してしまい。連結部6を医療用スタンド2の支柱2aに連結させることができない。
【0019】
この問題を解決すべく、第1実施形態の連結器具1では、一方端側ナット10bと棒状部5との間に、弾性部材11が設けられている。これにより、
図7に示すように、固定部4が固定される支柱2a(
図7では省略)に対して弾性部材11を押し潰すように圧縮変形させながら棒状部5を傾けて、棒状部5を医療用スタンド2の支柱2aから離すように離隔させた離隔状態とすることができる。これにより、棒状部5を回動中に連結部6が支柱2aに衝突することを防止し、連結部6を支柱2aに連結して
図2に示す状態に移行することができる。第1実施形態においては、弾性部材11、回転用ボルト12a、回転用ナット12bで、本発明の切換機構が構成される。
【0020】
図2の状態に移行した後は、回転用ボルト12aと回転用ナット12bとを締め付けることにより、固定部4に対する棒状部5の回動を制限することができ、また、離隔状態に移行することも阻止することができる。第1実施形態においては、回転用ボルト12aと回転用ナット12bとを締め付けた状態が固定部4と棒状部5とが隙間なく固定された固定状態に該当する。
【0021】
第1実施形態の連結器具1によれば、連結部6を患者利用器具としての車椅子3から取り外した後、棒状部5を固定部4に対して回転させながら切換機構としての弾性部材11を圧縮変形して固定部4と棒状部5とが傾斜して離隔する離隔状態とすることにより、連結部6を医療用スタンド2の支柱2aに衝突させることなく支柱2aに連結させて
図1の状態から
図2の状態に移行することができる。これにより、連結器具1をコンパクトに医療用スタンド2に固定することができ、車椅子3と連結していない状態でも、連結器具1が邪魔になることなく、連結器具1を簡易な構成で使い勝手の良いものとすることができる。
【0022】
なお、第1実施形態においては、患者利用器具として車椅子3を用いて説明した。しかしながら、本発明の患者利用器具は車椅子に限られず、患者が利用する他の器具であってもよい。例えば、患者利用器具は、ベッドやストレッチャであってもよい。
【0023】
[第2実施形態]
次に
図8から
図12を参照して第2実施形態の連結器具1を説明する。なお、第1実施形態の連結器具1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態の連結器具1は、第1実施形態のものと比較して切換機構が異なる以外は同一に構成される。
【0024】
図8に示すように、第2実施形態の連結器具1の棒状部5には、段部14が設けられている。
図10では、固定部4を省略した状態で、棒状部5の一方端部のみ示している。段部14は、
図1に示すように連結器具1で医療用スタンド2と車椅子3とが連結されている状態、即ち、支柱2aと棒状部5との長手方向が互いに交差する状態において、固定部4の連結部6側の端部が係止されるように構成されている。
【0025】
図9に示すように、棒状部5には、長手方向に延びるスライド孔5bが設けられている。また、スライド孔5bに合わせて一方端側ナット10bを受け入れる様に穿設された第1と第2の2つのナット受入穴15a,15bが設けられている。
図11に示すように、第1ナット受入穴15aは一方端側ナット10bの厚さと同程度の浅い穴であり、第2ナット受入穴15bは、第1ナット受入穴15aよりも深い穴に形成されている。
【0026】
図8に示すように、一方端側ナット10bが第1ナット受入穴15aに位置しているときには、一方端側ボルト10aの一方端側頭部10cの座面と一方端側ナット10bの座面との間の間隔が棒状部5の第1ナット受入穴15aの部分の板厚と同一となっており、棒状部5が固定部4から離れることができない固定状態となる。
図8の状態から、
図12に示すように、棒状部5を固定部4に対して回動させると、段部14による係止が解除される。固定部4の本体部分4aは長方形状であり、回動により本体部分4aの長手方向と棒状部5の長手方向とが平行な状態から交差する状態に切り換わるためである。これにより、
図12の状態から、固定部4を棒状部5のスライド孔5bに沿って長手方向にスライドさせることができる。第2実施形態においては、段部14が固定部4(固定部4を基準に見れば、棒状部5)のスライドを阻止するスライド阻止部として機能する。
【0027】
これにより、一方端側ボルト10a及び一方端側ナット10bを第2ナット受入穴15bに位置させることができる。棒状部5の第2ナット受入穴15bの部分の板厚は、一方端側ボルト10aの一方端側頭部10cの座面と一方端側ナット10bの座面との間の間隔よりも薄くなっている。このため、第1実施形態の
図7で説明したように、棒状部5の他方端部を医療用スタンド2の支柱2aから離隔させて傾斜させた離隔状態とすることができる。第2実施形態においては、スライド孔5bと第2ナット受入穴15bとで本発明の切換機構が構成されている。また、棒状部5の第1ナット受入穴15aの部分が本発明のボルトとナットとで狭持される肉厚の厚い肉厚部、棒状部5の第2ナット受入穴15bの部分が本発明のボルトとナットとで狭持される肉厚の薄い肉薄部に該当する。
【0028】
第2実施形態の連結器具1によっても、連結部6を患者利用器具としての車椅子3から取り外した後、棒状部5を固定部4に対して回転させてスライド孔5bに沿ってスライドさせて固定部4と棒状部5とが傾斜して離隔する離隔状態とすることにより、連結部6を医療用スタンド2の支柱2aに衝突させることなく支柱2aに連結させて、第1実施形態で示した
図1の状態から
図2の状態へ移行するように、状態を移行させることができる。これにより、連結器具1をコンパクトに医療用スタンド2に固定することができ、車椅子3と連結していない状態でも、連結器具1が邪魔になることなく、連結器具1を簡易な構成で使い勝手の良いものとすることができる。
【0029】
また、第2実施形態の連結器具1は、医療用スタンド2と車椅子3とを連結している状態ではスライド阻止部としての段部14が固定部4の本体部分4aを係止してスライドを阻止する。このため、医療用スタンド2と車椅子3とを連結している状態で固定部4のスライドにより連結器具1が伸縮することを防止でき、医療用スタンド2と車椅子3との間の追従性を良好に保つことができる。
【0030】
なお、第2実施形態においても、患者利用器具として車椅子3を用いて説明した。しかしながら、本発明の患者利用器具は車椅子に限られず、患者が利用する他の器具であってもよい。例えば、患者利用器具は、ベッドやストレッチャであってもよい。
【0031】
また、切換機構を構成する第1ナット受入穴15aは、一方端側ナット10bが棒状部5から突出することとなるが省略してもよい。この場合、棒状部5の厚さを、一方端側ボルト10aの一方端側頭部10cの座面と一方端側ナット10bの座面との間の間隔と同一に設定すればよい。
【0032】
[第3実施形態]
図13を参照して、第3実施形態の連結器具1を説明する。第3実施形態の連結器具1は、第2実施形態の段部14に代えて、2つのピン16でスライド阻止部を構成した点を除き、全て第2実施形態と同一の構成である。
【0033】
第3実施形態の連結器具1によっても、第2実施形態のものと同様に、連結部6を患者利用器具としての車椅子3から取り外した後、棒状部5を固定部4に対して回転させてスライド孔5bに沿ってスライドさせて固定部4と棒状部5とが傾斜して離隔する離隔状態とすることにより、連結部6を医療用スタンド2の支柱2aに衝突させることなく支柱2aに連結させて、第1実施形態で示した
図1の状態から
図2の状態へ移行するように、状態を移行させることができる。これにより、連結器具1をコンパクトに医療用スタンド2に固定することができ、車椅子3と連結していない状態でも、連結器具1が邪魔になることなく、連結器具1を簡易な構成で使い勝手の良いものとすることができる。
【0034】
また、第3実施形態の連結器具1も、医療用スタンド2と車椅子3とを連結している状態ではスライド阻止部としてのピン16が固定部4の本体部分4aを係止してスライドを阻止する。このため、医療用スタンド2と車椅子3とを連結している状態で固定部4のスライドにより連結器具1が伸縮することを防止でき、医療用スタンド2と車椅子3との間の追従性を良好に保つことができる。
【0035】
なお、第3実施形態においても、患者利用器具は車椅子に限られず、患者が利用する他の器具であってもよい。例えば、患者利用器具は、ベッドやストレッチャであってもよい。
【0036】
また、切換機構を構成する第1ナット受入穴15aは、一方端側ナット10bが棒状部5から突出することとなるが省略してもよい。この場合、棒状部5の厚さを、一方端側ボルト10aの一方端側頭部10cの座面と一方端側ナット10bの座面との間の間隔と同一に設定すればよい。