【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る遠心圧縮機は、
回転軸と、
前記回転軸の少なくとも一部を囲むメインケーシングであって、前記回転軸の軸線方向にて相互に離間した入口および出口を有するとともに、前記入口側の前記回転軸の部分を囲み且つ前記入口に連通する環状空間を有するメインケーシングと、
前記メインケーシングの内部に前記回転軸に固定された状態で配置された少なくとも一つのインペラと、
前記環状空間内に配置された前記回転軸の軸線方向に沿って延在する整流部材と、
前記整流部材に沿って設けられ、前記回転軸の軸線方向に沿って相互に離間した複数の噴射孔と、
前記環状空間内を延び、前記複数の噴射孔に供給される洗浄液が流動可能な流路と
を備える。
【0007】
上記(1)の構成によれば、以下に述べるように洗浄液が流路幅の全域に渡って均一に行き渡り、インペラの表面を全体的にむらなく十分に洗浄することができる。
インペラの前端縁は、メインケーシング内の回転軸の周りの円環形状の開口、即ちインペラ入口を通じて、回転軸の軸線方向に沿って環状空間に臨んでいる。メインケーシングの入口に流入した流体は、環状空間内を回転軸の周方向に沿って流れた後、回転軸の半径方向に沿ってインペラ入口に向かうように流れる。そして、流体の流動方向は、インペラ入口近傍で半径方向から軸線方向へと徐々に変化し、流体は、軸線方向に沿ってインペラ入口に流入する。
このような流動方向の変化に対応して、流体の流れの幅方向も変化する。具体的には、流れの幅方向は、環状空間内で流体が回転軸の周方向又は半径方向に沿って流れているときには回転軸の軸線方向に一致し、インペラ入口に流入後に軸線方向に沿って流れているときには回転軸の半径方向に一致する。
なお、環状空間内に配置された整流部材は、流体の流動方向が回転軸の周方向から半径方向に変化するのを補助する役割を有する。
【0008】
ここで、上記(1)の構成によれば、整流部材に沿って設けられた複数の噴射孔から洗浄液が噴射されるので、噴射直後の洗浄液は、環状空間内を周方向又は半径方向に沿って流れる流体によって輸送される。また、複数の噴射孔が回転軸の軸線方向に沿って相互に離間しているので、噴射直後の洗浄液は、回転軸の軸線方向、即ち流体の流れの幅方向にて分散させられる。
このように噴射直後の洗浄液が流れの幅方向に分散させられることで、流体の流動方向が回転軸の半径方向から軸線方向に変化した後、即ち流体がインペラ入口に流入した後も、洗浄液は流れの幅方向、即ち回転軸の半径方向に分散させられた状態を維持する。これにより洗浄液がインペラに到達したとき、洗浄液が流路幅の全域に渡って均一に行き渡り、インペラの表面を全体的にむらなく十分に洗浄することができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記整流部材は、前記回転軸の周方向にて前記入口と反対側に配置される。
上記(2)の構成によれば、整流部材が回転軸の周方向にて入口と反対側に配置されるので、噴射直後の洗浄液は、入口と反対側から回転軸の軸線方向、即ち、流体の流れの幅方向にて分散させられる。
また、複数の噴射孔が入口と反対側に配置される整流部材に沿って設けられるので、複数の噴射孔から噴射された洗浄液は、メインケーシングの入口側の内壁面に付着するのを抑制できる。これにより、インペラの洗浄に用いられない洗浄液の無駄を少なくすることができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記整流部材は、前記回転軸の半径方向に沿って延在する整流体を有し、
前記複数の噴射孔の少なくとも一部は前記整流体の表面に配置される。
上記(3)の構成によれば、複数の噴射孔の少なくとも一部の噴射孔は回転軸の半径方向に沿って延在する整流体の表面に配置されるので、噴射直後の洗浄液は、整流体の表面に沿って流れる流体によって輸送される。また、複数の噴射孔が回転軸の軸線方向に沿って相互に離間しているので、噴射直後の洗浄液は、整流体の幅方向、即ち流体の流れの幅方向にて分散させられる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記整流体は、前記環状空間に配置された入口案内翼列の一部を構成している。
上記(4)の構成によれば、整流体が環状空間に配置された入口案内翼列の一部を構成するので、噴射直後の洗浄液は、入口案内翼から回転軸の軸線方向、即ち、流体の流れの幅方向にて分散させられる。
【0012】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)又は(4)の構成において、
前記整流部材は、前記入口から前記整流体に向けて前記環状空間の流路断面積を徐々に縮小する翼体を有する。
上記(5)の構成によれば、整流部材は、入口から整流体に向けて環状空間の流路断面積を徐々に縮小する翼体を有するので、入口から整流体に向けて流れる流体の圧力低下が抑制される。
【0013】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の何れか一つにおいて、
前記複数の噴射孔の少なくとも一部は、前記回転軸の軸線方向に沿って一列に配置される。
上記(6)の構成によれば、複数の噴射孔の少なくとも一部の噴射孔は、回転軸の軸線方向に沿って一列に配置されるので、噴射直後の洗浄液は、環状空間内を周方向又は半径方向に沿って流れる流体に均一に分布される。このように噴射直後の洗浄液が流体に均一に分布されることで、噴射直後の洗浄液は、回転軸の軸線方向、即ち流体の流れの幅方向にて均一に分散させられる。
【0014】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の何れか一つにおいて、
前記複数の噴射孔の少なくとも一部は、前記回転軸の軸線方向に沿って千鳥状に配置される。
上記(7)の構成によれば、複数の噴射孔の少なくとも一部の噴射孔は、回転軸の軸線方向に沿って千鳥状に配置されるので、噴射直後の洗浄液は、相互に干渉することなく、環状空間内を周方向又は半径方向に沿って流れる流体に均一且つ高密度に分布される。このように噴射直後の洗浄液が流体に均一且つ高密度に分布されることで、噴射直後の洗浄液は、回転軸の軸線方向、即ち流体の流れの幅方向にて均一に分散させられる。