特許第6367663号(P6367663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367663電磁アクチュエータ、羽根駆動装置、及び該羽根駆動装置を備えたカメラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367663
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】電磁アクチュエータ、羽根駆動装置、及び該羽根駆動装置を備えたカメラ
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/10 20060101AFI20180723BHJP
   H02K 33/16 20060101ALI20180723BHJP
   G03B 9/14 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G03B9/10 D
   H02K33/16 B
   G03B9/10 A
   G03B9/14
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-194042(P2014-194042)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-65951(P2016-65951A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】若山 富裕
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−246556(JP,A)
【文献】 特開平06−261527(JP,A)
【文献】 特開2007−159377(JP,A)
【文献】 特開2012−060823(JP,A)
【文献】 特開2004−191750(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0116783(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/10
G03B 9/14
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に分割され異なる磁極に着磁された外周面を有し、かつ該外周面から突出して形成された駆動ピンを有するロータと
記ロータの外周面に対向するように2つの腕部を有する略U字に形成され、互いに異なる磁極発生する第1磁極部及び第2磁極部を有するヨークと
前記2つの腕部のうちの一方の腕部に巻回された励磁用のコイルと、を備え、
前記ヨークはさらに、前記ロータの外周面に対して略直角な端面の一方側の一部と対向する張出部を有し、
前記張出部は、前記第1磁極部から突出して形成された第1張出部と、前記第2磁極部から突出して形成された第2張出部と、を含んでおり、
前記ロータの回動により前記駆動ピンから駆動力を出力するよう構成された
ことを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
露光用の開口部を有する地板と、
前記開口部を開閉するべく前記地板に回動自在に指示された羽根と、
前記羽根を駆動する駆動源と、を備え、
前記駆動源は、請求項1に記載の電磁アクチュエータである
ことを特徴とする羽根駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電磁アクチュエータを備えたカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、電磁力により駆動力を発生する電磁アクチュエータ、該アクチュエータを用いた羽根駆動装置、及び該羽根駆動装置を備えたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラ用羽根駆動装置等に搭載される電磁アクチュエータとして、露光用の開口部を有する基板に対して回動自在に支持されると共に外周面が周方向に二分されてN極及びS極に着磁された円柱状のロータ、ロータの外周面に対向するように配置される磁極部を有する略U字型のヨーク、ヨークの周りに巻回された励磁用のコイル等を備えるものが知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。また、露光部の開口部を有する基板に対して回動自在に支持されると共に外周面が周方向に二分されてN極及びS極に着磁された円柱状のロータを設け、このロータに対して周方向に突出する突出部を一体的に回動するよう固定し、突出部を基板に形成したストッパに当接させることでロータの回動範囲を規制する電磁アクチュエータが知られている(特許文献3参照)。さらに、ロータに突出部を設けることでヨークに対向するロータの面を増加させ、電磁アクチュエータによる駆動トルクを強化する技術がある(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−152645号公報
【特許文献2】特開2001−327143号公報
【特許文献3】特開平7−13215号公報
【特許文献4】特開2004−194403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カメラ等の小型化のためには、カメラ等に搭載される電磁アクチュエータも小型化する必要がある。従来の構成のまま全体的に小型化を図る場合、着磁された円柱状のロータが小さくなり、通電時にロータにより発生される駆動トルク、非通電時の磁気的吸引力がいずれも十分確保できないことがある。これによって、カメラにおけるシャッタ羽根の駆動源として該電磁アクチュエータが用いられた場合に、シャッタ羽根を安定的に駆動し、また所定の位置に保持することが困難になることがある。
【0005】
これに対して、上記課題を解決するために特許文献4に記載された構成を採用した場合、ロータを構成するマグネットの形状が複雑になり、製造コストが高くなる。また、補助磁極片を備える構成を採用すると、電磁アクチュエータ全体が大型化する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0007】
本発明の手段1は、
周方向に分割され異なる磁極に着磁された外周面を有し、かつ該外周面から突出して形成された駆動ピン(51d)を有するロータ(51)と、
励磁用のコイル(55)と、
前記ロータの外周面に対向する円弧面を有し、かつ前記コイルへの通電により互いに異なる磁極が発生する第1磁極部及び第2磁極部を有する少なくとも1つのヨーク(上側ヨーク54)と、を備え、
前記ヨークはさらに、前記ロータの軸方向への移動を抑制するよう前記ロータの上面の一部を覆う形状に形成された張出部(54d及び54e)を有し、
前記ロータの回動により前記駆動ピンから駆動力を出力するよう構成された
ことを特徴とする電磁アクチュエータである。
【0008】
上記構成の電磁アクチュエータによれば、張出部(54d及び54e)を設けたことによる磁気的吸引力及び反発力の強化により、ロータ(51)により発生される駆動トルクを向上させることができる。また、張出部がロータをスラスト方向(ロータの軸方向)に吸引する磁力を発するため、ロータを安定させることができる。また、ロータ(51)を構成するマグネットの形状をシンプルにすることで製造コストアップを抑制することができる。
【0009】
本発明の手段2は、
露光用の開口部を有する地板(10)と、
前記開口部を開閉するべく前記地板に回動自在に指示された羽根(31及び32)と、
前記羽根を駆動する駆動源と、を備え、
前記駆動源は、上記の電磁アクチュエータである
ことを特徴とする羽根駆動装置である。
【0010】
上記構成の羽根駆動装置によれば、比較的低コストで、安定的に動作可能な羽根駆動装置を構成することができる。
【0011】
本発明の手段3は、
上記の電磁アクチュエータまたは羽根駆動装置を含むカメラである。
【0012】
上記構成のカメラによれば、シャッタ開閉時に安定的に動作する比較的低コストのカメラを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電磁アクチュエータを含む羽根駆動装置の分解斜視図。
図2】電磁アクチュエータを含む羽根駆動装置の平面図。
図3】電磁アクチュエータを含む羽根駆動装置の断面図。
図4】上側ヨークの斜視図。
図5】ヨーク及びロータの斜視図。
図6】ロータの回転動作を説明する平面図。
図7】電磁アクチュエータを含む羽根駆動装置の動作を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
(1)羽根駆動装置の構成例
(2)動作例
2.補足事項
3.本発明の特徴
【0015】
<1.実施形態>
本実施形態の電磁アクチュエータの特徴のひとつは、上側ヨーク54が張出部54d及び54eを備える点であり、この張出部54d及び54eを備えることで、ロータ51により発生される駆動トルクを強化することなどが可能となる。以下、具体的に説明する。
【0016】
図1は、電磁アクチュエータを含む羽根駆動装置の分解斜視図である。
図2は、電磁アクチュエータを含む羽根駆動装置を押え板側から見た平面図である。
図3は、電磁アクチュエータを含む羽根駆動装置を、図2のB−Bの位置で見た断面図である。
図4は、張出部54d及び54eを備える上側ヨーク54の斜視図である。
図5は、組み立てられた状態のヨーク(下側ヨーク52、中ヨーク53、及び上側ヨーク54)、及びロータ51の斜視図である。
図6は、回動するときのロータ51及びヨークを示す平面図である。
図7は、シャッタ羽根31及び32が動作するときの羽根駆動装置の平面図である。
【0017】
<(1)羽根駆動装置の構成例>
図1に示されるように、本実施形態の羽根駆動装置(シャッタ装置とも呼ばれる)は、地板10、口径板20、シャッタ羽根31及び32、羽根押え板40、ロータ51、下側ヨーク52、中ヨーク53、上側ヨーク54、コイル55、並びに押え板56を含んで構成される。本実施形態では、ロータ51、下側ヨーク52、中ヨーク53、上側ヨーク54、及びコイル55を含む構成を電磁アクチュエータと呼ぶ。また、地板10は基板と呼ばれることもある。
【0018】
<地板10>
地板10は、図1乃至図3に示されるように、円形をなす被写体光路用の開口部10a、ロータ51を回動自在に支持する支軸11などを備える。また、後述するように、地板10の支軸11を備える面と反対の面には、シャッタ羽根31及び32を回動自在に支持する支軸12a及び12bなどを備える(図7参照)。
【0019】
<口径板20>
口径板20は、図1及び図3に示されるように、開口部20aにより、羽根駆動装置における開口を所定の口径にするため、地板10とシャッタ羽根31及び32との間に配置される。
【0020】
<シャッタ羽根31及び32>
シャッタ羽根31及び32は、組み合わされることによって一対のシャッタ羽根対を構成する。図1及び図7に示されるように、シャッタ羽根31及び32は、それぞれ支軸12a及び12bが挿入される円孔31a及び32a、並びに駆動ピン51dが挿入される長孔31b及び32bを備える。シャッタ羽根31及び32は、駆動ピン51dの移動によって、互いに近づいて開口部10aを閉鎖し、または互いに遠ざかり開口部10aを開放するような開閉動作を行う(図7参照)。この動作については後述する。
【0021】
<羽根押え板40>
羽根押え板40は、図1及び図3に示されるように、開口部40aを備えており、地板10と共に、口径板20並びにシャッタ羽根31及び32を挟むように配置される。羽根押え板40は、所定の間隔をおいてネジ等により地板10と連結され、シャッタ羽根31及び32を回動自在に収容する羽根室を画定する。
【0022】
<電磁アクチュエータ>
上記のとおり、本実施形態の電磁アクチュエータは、ロータ51、下側ヨーク52、中ヨーク53、上側ヨーク54、及びコイル55を含む。
【0023】
<ロータ51>
ロータ51は、図1図3図5、及び図6に示されるように、円筒状に形成され、支軸11が通される貫通孔51a、外周面51b、及び該外周面51bから径方向外側に突出してさらに地板側に伸長されて形成された駆動ピン51dを備える。また、ロータ51は、図6に示されるように、ヨーク52乃至54の第1腕部と第2腕部とにそれぞれ対向する箇所が互いに異なる極性になるよう、所定の境界面を境に二分されて着磁される。本実施形態では、ロータ51は、ヨーク52乃至54の第1腕部52a乃至54aに対向する第1磁極部52a´乃至54a´がN極に、ヨーク52乃至54の第2腕部52b乃至54bに対向する第2磁極部52b´乃至54b´がS極に、それぞれ着磁される。駆動ピン51dは合成樹脂により形成され、接着剤により外周面51dに取り付けられる。なお、駆動ピン51dは必ずしも合成樹脂である必要はなく、他の材料により形成されてもよい。
【0024】
<駆動ピン51d>
駆動ピン51dは、ロータ51の回転駆動力を外部に伝達すると共に、ヨーク52乃至54との間で磁気的吸引力及び磁気的反発力を生じるよう作用する。本実施形態では、駆動ピン51dは、回転駆動力をシャッタ羽根31及び32に対して伝達するよう構成される。
【0025】
<ヨーク52乃至54>
本実施形態の電磁アクチュエータは、下側ヨーク52、中ヨーク53、及び上側ヨーク54からなる複数のヨークを含んで構成される。このヨークは必ずしも3つで構成される必要はなく、1以上のヨークを含んで構成されうる。
【0026】
下側ヨーク52は、図1図3、及び図5に示されるように、湾曲して形成されその端部に円弧面をなす第1磁極部52a´をもつ第1腕部52a、直線状に形成されその端部に円弧面をなす第2磁極部52b´をもつ第2腕部52bを画定するように、略U字状に屈曲した板状に形成される。また、第1磁極部52a´の先端には端面52a´´が形成され、第2磁極部52b´の先端には端面52b´´が形成されている。
【0027】
中ヨーク53は、下側ヨーク52と同じ構成である。中ヨーク53は、図1図3、及び図5に示されるように、湾曲して形成されその端部に円弧面をなす第1磁極部53a´をもつ第1腕部53a、直線状に形成されその端部に円弧面をなす第2磁極部53b´をもつ第2腕部53bを画定するように、略U字状に屈曲した板状に形成される。また、第1磁極部53a´の先端には端面53a´´が形成され、第2磁極部53b´の先端には端面53b´´が形成されている。
【0028】
上側ヨーク54は、下側ヨーク52及び中ヨーク53と類似した構成であるが、張出部54d及び54eを備える点で異なる。上側ヨーク54は、図1図3図5、及び図6に示されるように、湾曲して形成されその端部に円弧面をなす第1磁極部54a´をもつ第1腕部54a、直線状に形成されその端部に円弧面をなす第2磁極部54b´をもつ第2腕部54bを画定するように、略U字状に屈曲した板状に形成される。また、第1磁極部54a´の先端には端面54a´´が形成され、第2磁極部54b´の先端には端面54b´´が形成されている。上側ヨーク54の第1磁極部54a´の上面には、円弧面に沿って内側に張り出すように張出部54dが円弧状に形成され、第2磁極部54b´には、第1磁極部54a´同様に、円弧面に沿って内側に張り出すように張出部54eが円弧状に形成される。これらの張出部54d及び54eは、図4及び図5に示されるように、張出部54d及び54eは、ロータ51との間で磁気的吸引力を発生する。さらに、ロータ51は、後述する押え板56の凸部56dと接触することで、ロータ51がスラスト方向(ロータ51の軸に沿った上側ヨーク54の方向)に動くことを抑制可能に配置される。
【0029】
<コイル55>
コイル55が巻回されたボビン55aは、図2及び図6に示されるように、下側ヨーク52、中ヨーク53、及び上側ヨーク54が重ね合わされた状態で、第2腕部52a乃至54aを覆うよう配置される。コイル55は、該コイル55に外部から所定の電力が供給されることで励磁され、これによってヨーク52乃至54を電磁的に着磁可能に構成される。
【0030】
<押え板56>
押え板56は、図1に示されるように、コイル55の収容スペースを画定する切欠き56a、端子56b及び56c、並びに凸部56dを備える。
【0031】
<(2)動作例>
次に、上記構成の羽根駆動装置における電磁アクチュエータの動作について、図6及び図7を参照しながら具体的に説明する。以下の説明では、上側ヨーク54の着磁状態を例に挙げて説明するが、下側ヨーク52及び中ヨーク53についても同様の着磁状態となる。
【0032】
コイル55に対して電力が供給されない無通電状態では、ロータ51の外周部と、ヨークの両側の腕部及び張出部54d及び54eとの磁気的吸引力により図6(a)の状態が保持される。次に、コイル55に電力が供給されない無通電状態から、コイル55に電力が供給される通電状態へと変化すると、第1腕部54a及び張出部54dはS極に、第2腕部54b及び張出部54eはN極に、それぞれ着磁される。これによって、第1腕部54a及び張出部54dはロータ51のN極に着磁された部分との間で、第2腕部54b及び張出部54eはロータ51のS極に着磁された部分との間でそれぞれ磁気的吸引力を発生し、図6(a)から図6(b)を経て図6(c)の状態へと遷移する。その後、コイル55への電力供給が停止され無通電状態になると、この図6(c)の状態が保持される。なお、ロータ51は、ストッパ10bによって、羽根31及び32を介し、その停止位置が決定される。このように、コイル55への通電によってロータ51が反時計回りに回転する。このロータ51の回転に伴い、ロータ51と一体的に形成された駆動ピン51dが回転することで、磁気的吸引力により発生された駆動力が電磁アクチュエータの外部(本実施形態では羽根駆動装置のシャッタ羽根31及び32)に伝達される。
【0033】
一方で、コイル55が逆向きの通電が行われると、第1腕部54a及び張出部54dはN極に、第2腕部54b及び張出部54eはS極にそれぞれ着磁される。これによって、第1腕部54a及び張出部54dはロータ51のN極に着磁された部分との間で、第2腕部54b及び張出部54eはロータ51のS極に着磁された部分との間でそれぞれ磁気的反発力を発生し、図6(c)から図6(b)を経て図6(a)の状態へと遷移する。その後、コイル55への電力供給が停止され無通電状態になると、この図6(a)の状態が保持される。なお、ロータ51は、ストッパ10cによって、羽根31及び32を介し、その停止位置が決定される。このように、コイル55への逆向きの通電によってロータ51が時計回りに回転する。このロータ51の回転に伴い、ロータ51と一体的に形成された駆動ピン51dが回転することで、磁気的反発力により発生された駆動力が電磁アクチュエータの外部(本実施形態では羽根駆動装置のシャッタ羽根31及び32)に伝達される。
【0034】
図7には、上記のようにコイル55への通電がなされたときのシャッタ羽根31及び32の動作が示されている。すなわち、図7(a)に示されるように、開口部10aがシャッタ羽根31及び32によって覆われず開放された状態でコイル55への通電がなされると、駆動ピン51dの移動に伴い、シャッタ羽根31及び32開口部10aを閉鎖するよう移動する。同様に、コイル55への逆向きの通電がなされると、シャッタ羽根31及び32が開口部10aを閉鎖した状態(図7(b))から、開口部10aを開放する状態(図7(a))へと遷移する。
【0035】
<2.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0036】
上記実施形態では、3つのヨーク52乃至54を含む構成について説明しているが、このヨークの数は任意に決定可能である。
【0037】
また、張出部54d及び54eの形状は、図示した形状以外にもロータのスラスト方向(軸方向)への移動を抑制可能な形状に変化させてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、駆動される羽根がシャッタ羽根である例について説明したが、この羽根は絞り羽根またはフィルタ羽根としても適用可能である。
【0039】
<3.本発明の特徴>
以上、説明したような構成の電磁アクチュエータ及び羽根駆動装置は、以下のような特徴を備える。
【0040】
本発明の電磁アクチュエータは、周方向に分割され異なる磁極に着磁された外周面を有し、かつ該外周面から突出して形成された駆動ピン51dを有するロータ51と、励磁用のコイル55と、ロータ51の外周面に対向する円弧面を有し、かつコイル55への通電により互いに異なる磁極が発生する第1磁極部及び第2磁極部を有する少なくとも1つのヨーク(上側ヨーク54)と、を備え、ヨーク(上側ヨーク54)はさらに、ロータ51の軸方向への移動を抑制するようロータ51の上面の一部を覆う形状に形成された張出部54d及び54eを有し、ロータ51の回動により駆動ピン51dから駆動力を出力するよう構成されたことを特徴とする。
【0041】
上記構成の電磁アクチュエータによれば、張出部54d及び54eを設けたことによる磁気的吸引力の強化により、ロータ51により発生される駆動トルクを向上させることができる。また、無通電状態においても、ロータ55の外周部と、ヨークの腕部並びに張出部54d及び54eとの間に発生する磁気的吸引力により、羽根の開閉状態を保持することができる。また、張出部54d及び54eがロータ51をスラスト方向(ロータ51の軸方向)に吸引する磁力を発するため、ロータ51を安定させることができる。また、ロータ51を構成するマグネットの形状をシンプルにすることで製造コストアップを抑制することができる。
【0042】
また、本発明の羽根駆動装置は、露光用の開口部を有する地板10と、開口部を開閉するべく地板に回動自在に指示されたシャッタ羽根31及び32と、シャッタ羽根31及び32を駆動する上記電磁アクチュエータを備えることを特徴とする。
【0043】
上記構成の羽根駆動装置によれば、比較的低コストで、安定的に動作可能な羽根駆動装置を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明はカメラ用の羽根駆動装置などとして好適に適用される。
【符号の説明】
【0045】
10…地板
10a…開口部
10b、10c…羽根ストッパ
20…口径板
20a…開口部
31、32…シャッタ羽根
40…羽根押え板
51…ロータ
51a…貫通孔
51b…外周面
51d…駆動ピン
52…下側ヨーク
53…中ヨーク
54…上側ヨーク
52a、53a、54a…第1腕部
52a´、53a´、54a´…第1磁極部
52a´´、53a´´、54a´´…端面
52b、53b、54b…第2腕部
52b´、54b´、54b´…第2磁極部
52b´´、53b´´、54b´´…端面
54d、54e…張出部
55…コイル
55a…ボビン
56…押え板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7