(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367664
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】部分めっき方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
C25D 5/02 20060101AFI20180723BHJP
C25D 17/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
C25D5/02 H
C25D17/00 A
C25D17/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-194590(P2014-194590)
(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2016-65282(P2016-65282A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】506365131
【氏名又は名称】DOWAメタルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 圭介
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】尾形 雅史
【審査官】
一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−274098(JP,A)
【文献】
特開平08−283984(JP,A)
【文献】
特開平01−015392(JP,A)
【文献】
特開昭62−017195(JP,A)
【文献】
特開2009−293114(JP,A)
【文献】
特開平08−032005(JP,A)
【文献】
特開平08−242061(JP,A)
【文献】
特開昭50−097866(JP,A)
【文献】
特開2004−190129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/02
C25D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に複数の帯状のめっき領域と非めっき領域が長手方向に沿って延びるとともに幅方向に交互に配置されるように非めっき領域をマスキングした帯板状の条材をめっき浴内に連続的に送給し、めっき浴内の条材とアノードとの間に電流を流して条材の少なくとも一方の面にストライプ状に電気めっきを施す部分めっき方法において、複数の帯板状の遮蔽板を、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部の遮蔽幅の部分に対向するように、めっき領域とアノードとの間に配置して、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部とアノードとの間の電流密度を低減することを特徴とする、部分めっき方法。
【請求項2】
前記複数の帯板状の遮蔽板が、前記めっき浴内の前記複数の帯状のめっき領域の略全長にわたって延びていることを特徴とする、請求項1に記載の部分めっき方法。
【請求項3】
前記複数の帯状のめっき領域の少なくとも一つの帯状のめっき領域が他の帯状のめっき領域よりも幅が狭い幅狭めっき領域であり、帯板状の幅狭めっき領域用遮蔽板を、前記めっき浴内の幅狭めっき領域の全長の一部にわたって、前記めっき浴内の幅狭めっき領域の長手方向に延びる中央部に対向するように、前記幅狭めっき領域と前記アノードとの間に配置して、前記条材のめっき領域のめっき時間の一部において、前記めっき浴内の幅狭めっき領域と前記アノードとの間の電流密度を低減することを特徴とする、請求項1または2に記載の部分めっき方法。
【請求項4】
めっき槽内に連続的に送給される帯板状の条材の少なくとも一方の面の長手方向に沿って延びるとともに幅方向に互いに離間して配置された複数の帯状のめっき領域に電気めっきを施す部分めっき装置において、複数の帯板状の遮蔽板が、めっき槽内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部の遮蔽幅の部分に対向するように、条材の搬送路とアノードとの間に配置され、前記複数の帯状のめっき領域の少なくとも一つの帯状のめっき領域が他の帯状のめっき領域よりも幅が狭い幅狭めっき領域であり、帯板状の幅狭めっき領域用遮蔽板が、前記めっき槽内の幅狭めっき領域の全長の一部にわたって、前記めっき槽内の幅狭めっき領域の長手方向に延びる中央部に対向するように、前記条材の搬送路と前記アノードとの間に配置されていることを特徴とする、部分めっき装置。
【請求項5】
前記複数の帯板状の遮蔽板が、前記めっき槽内の前記複数の帯状のめっき領域の略全長にわたって延びていることを特徴とする、請求項4に記載の部分めっき装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の部分めっき方法によってストライプ状に電気めっきを施した条材を切断して、複数のめっき材を製造することを特徴とする、めっき材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分めっき方法およびその装置に関し、特に、被めっき材の一部にめっきを施す部分めっき方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被めっき材の一部にめっきを施す方法として、予め被めっき材のめっきを施さない部分(非めっき領域)にテープを貼り、このテープによって被めっき材の一部がマスキングされた状態で被めっき材にめっきを施し、めっき後にテープを除去する方法が知られている。
【0003】
また、めっき処理槽内においてアノードに対向しながらアノードに沿って搬送されるテープ状製品の導体部をめっきする電解めっき装置において、アノードとテープ状製品の間に、テープ状製品の導体部の幅より狭い開口を有する絶縁性の遮蔽板を設けて、テープ状製品の導体部の端部に外側から入り込んで到達する電流成分により、テープ状製品の端部でめっきが厚くなり、中央部付近で薄くなるのを抑えることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−293114号公報(段落番号0010−0020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数の帯状のめっき領域と非めっき領域が長手方向に沿って延びるとともに幅方向に交互に配置されるように非めっき領域をマスキングした帯板状の条材をめっき浴内に連続的に送給して、条材にストライプ状に電気めっきを施す場合には、特許文献1の遮蔽板を使用しても、各々の帯状のめっき領域の長手方向に延びる周縁部に電流が集中し易くなるのを抑えるのが困難であり、各々の帯状のめっき領域の幅方向のめっきの膜厚分布を均一にするのが困難である。また、各々の帯状のめっき領域の幅が異なる場合、例えば、幅の狭い帯状のめっき領域がある場合には、特許文献1の遮蔽板を使用しても、その幅の狭い帯状のめっき領域に電流が集中し易くなるのを抑えるのが困難であり、他の帯状のめっき領域よりもめっきが厚くなり易い。
【0006】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、複数の帯状のめっき領域と非めっき領域が長手方向に沿って延びるとともに幅方向に交互に配置されるように非めっき領域をマスキングした帯板状の条材にストライプ状に電気めっきを施す場合に、各々の帯状のめっき領域の幅方向のめっきの膜厚分布を略均一にすることができる、部分めっき方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、上記の各々の帯状のめっき領域の幅が異なる場合でも、幅の狭い帯状のめっき領域において他の帯状のめっき領域よりもめっきが厚くなるのを防止することができる、部分めっき方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、少なくとも一方の面に複数の帯状のめっき領域と非めっき領域が長手方向に沿って延びるとともに幅方向に交互に配置されるように非めっき領域をマスキングした帯板状の条材をめっき浴内に連続的に送給し、めっき浴内の条材とアノードとの間に電流を流して条材の少なくとも一方の面にストライプ状に電気めっきを施す部分めっき方法において、複数の帯板状の遮蔽板を、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部に対向するように、めっき領域とアノードとの間に配置して、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部とアノードとの間の電流密度を低減することにより、各々の帯状のめっき領域の幅方向のめっきの膜厚分布を略均一にすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明による部分めっき方法は、少なくとも一方の面に複数の帯状のめっき領域と非めっき領域が長手方向に沿って延びるとともに幅方向に交互に配置されるように非めっき領域をマスキングした帯板状の条材をめっき浴内に連続的に送給し、めっき浴内の条材とアノードとの間に電流を流して条材の少なくとも一方の面にストライプ状に電気めっきを施す部分めっき方法において、複数の帯板状の遮蔽板を、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部に対向するように、めっき領域とアノードとの間に配置して、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部とアノードとの間の電流密度を低減することを特徴とする。
【0010】
この部分めっき方法において、複数の帯板状の遮蔽板が、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の略全長にわたって延びているのが好ましい。また、複数の帯状のめっき領域の少なくとも一つの帯状のめっき領域が他の帯状のめっき領域よりも幅が狭い幅狭めっき領域である場合に、帯板状の幅狭めっき領域用遮蔽板を、めっき浴内の幅狭めっき領域の全長の一部にわたって、めっき浴内の幅狭めっき領域の長手方向に延びる中央部に対向するように、幅狭めっき領域とアノードとの間に配置して、条材のめっき領域のめっき時間の一部において、めっき浴内の幅狭めっき領域とアノードとの間の電流密度を低減するのが好ましい。
【0011】
また、本発明による部分めっき装置は、めっき槽内に連続的に送給される帯板状の条材の少なくとも一方の面の長手方向に沿って延びるとともに幅方向に互いに離間して配置された複数の帯状のめっき領域に電気めっきを施す部分めっき装置において、複数の帯板状の遮蔽板が、めっき槽内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部に対向するように、条材の搬送路とアノードとの間に配置されていることを特徴とする。
【0012】
この部分めっき装置において、複数の帯板状の遮蔽板が、めっき槽内の複数の帯状のめっき領域の略全長にわたって延びているのが好ましい。また、複数の帯状のめっき領域の少なくとも一つの帯状のめっき領域が他の帯状のめっき領域よりも幅が狭い幅狭めっき領域である場合に、帯板状の幅狭めっき領域用遮蔽板が、めっき槽内の幅狭めっき領域の全長の一部にわたって、めっき槽内の幅狭めっき領域の長手方向に延びる中央部に対向するように、条材の搬送路とアノードとの間に配置されているのが好ましい。
【0013】
また、本発明によるめっき材の製造方法は、上記の部分めっき方法によってストライプ状に電気めっきを施した条材を切断して、複数のめっき材を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の帯状のめっき領域と非めっき領域が長手方向に沿って延びるとともに幅方向に交互に配置されるように非めっき領域をマスキングした帯板状の条材にストライプ状に電気めっきを施す場合に、各々の帯状のめっき領域の幅方向のめっきの膜厚分布を略均一にすることができる。
【0015】
また、各々の帯状のめっき領域の幅が異なる場合でも、帯板状の幅狭めっき領域用遮蔽板を、めっき槽内の幅狭めっき領域の全長の一部にわたって、めっき槽内の幅狭めっき領域の長手方向に延びる中央部に対向するように、条材の搬送路とアノードとの間に配置すれば、幅の狭い帯状のめっき領域において他の帯状のめっき領域よりもめっきが厚くなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本発明による部分めっき装置の実施の形態を模式的に示す平面図である。
【
図1B】
図1AのIB−IB線で切断して模式的に示す断面図である。
【
図1D】
図1CのID−ID線で切断して模式的に示す断面図である。
【
図2】
図1Aおよび
図1Bに示す部分めっき装置の遮蔽板の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図3】実施例および比較例で使用した条材にマスキングテープを貼り付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による部分めっき方法の実施の形態では、少なくとも一方の面に複数の帯状のめっき領域と非めっき領域が条材の長手方向に沿って延びるとともに幅方向に交互に配置されるように非めっき領域をマスキングした帯板状の条材を(めっき槽内にめっき液を含む)めっき浴内に連続的に送給し、めっき浴内の(カソードとしての)条材とアノードとの間に電流を流して条材の少なくとも一方の面にストライプ状に電気めっきを施す部分めっき方法において、複数の帯板状の遮蔽板を、(好ましくは、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の略全長にわたって、)めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部に対向するように、めっき領域とアノードとの間に配置して、めっき浴内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部とアノードとの間の電流密度を低減する。また、複数の帯状のめっき領域の少なくとも一つの帯状のめっき領域が他の帯状のめっき領域よりも幅が狭い幅狭めっき領域である場合に、帯板状の幅狭めっき領域用遮蔽板を、めっき浴内の幅狭めっき領域の全長の一部にわたって、めっき浴内の幅狭めっき領域の長手方向に延びる中央部に対向するように、幅狭めっき領域とアノードとの間に配置して、条材のめっき領域のめっき時間の一部において、めっき浴内の幅狭めっき領域とアノードとの間の電流密度を低減する。
【0018】
また、本発明による部分めっき装置の実施の形態では、めっき槽内に連続的に送給される帯板状の条材の少なくとも一方の面の長手方向に沿って延びるとともに幅方向に互いに離間して配置された複数の帯状のめっき領域に電気めっきを施す部分めっき装置において、(好ましくは、めっき槽内の複数の帯状のめっき領域の略全長にわたって、)複数の帯板状の遮蔽板が、めっき槽内の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部に対向するように、条材の搬送路とアノードとの間に配置されている。また、複数の帯状のめっき領域の少なくとも一つの帯状のめっき領域が他の帯状のめっき領域よりも幅が狭い幅狭めっき領域である場合に、帯板状の幅狭めっき領域用遮蔽板が、めっき槽内の幅狭めっき領域の全長の一部にわたって、めっき槽内の幅狭めっき領域の長手方向に延びる中央部に対向するように、条材の搬送路とアノードとの間に配置されている。
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明による部分めっき方法およびその装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1Aおよび
図1Bに示すように、本実施の形態の部分めっき装置10は、(銀めっき液などの)めっき液12が供給されるめっきセル14と、このめっきセル14を内部に収容してめっきセル14からオーバーフローしためっき液12を貯留するオーバーフロー槽16とからなるめっき槽18を備えている。
【0021】
めっき槽18のめっきセル14の幅方向両側の側壁の上部には、めっきセル14内の所定量以上のめっき液12を矢印Aのようにオーバーフローさせてオーバーフロー槽16内に貯留させるための開口部14bが形成されている。
【0022】
めっき槽18のオーバーフロー槽16の底部の溜まっためっき液12は、ポンプ20により矢印Bのように流れてリザーブ槽22に貯留され、ポンプ20により矢印Cのように、めっき槽18のめっきセル14内に供給されて循環するようになっている。
【0023】
めっき槽18のめっきセル14の長手方向両端の側壁の幅方向中央部の上部には、それぞれ(銅条材などの導電性の金属)条材24の導入口および導出口としての一対のスリット14aが側壁を貫通して形成されているとともに、オーバーフロー槽16の長手方向両端の側壁の幅方向中央部の上部には、それぞれ条材24の導入口および導出口としての一対のスリット16aが(それぞれスリット14aに対向して)側壁を貫通して形成されており、これらのスリット14aおよび16aは、帯板状の条材24の幅方向が鉛直方向になるように鉛直方向に延びている。
【0024】
めっき槽18のめっきセル14内には、めっきセル14内に送給された条材24の両面の各々に対向するように一対のアノード26が設けられている。また、めっき槽18のオーバーフロー槽16の外側には、その長手方向両端の側壁の一対のスリット16aの各々に対向して給電板(または給電ロール)28が設けられている。アノード26は、めっき槽18の外部に設けられた整流器(外部直流電源)30のプラス(+)側に接続され、給電板(または給電ロール)28は、整流器30のマイナス(−)側に接続されて、給電板28に当接しながら(または給電ロール28間に挟持されながら)矢印D方向にめっき槽16内に送給される(カソードとしての)条材24とアノード26との間で電流を流すことができるようになっている。
【0025】
めっき槽16内に送給される条材24の両面の各々には、複数(図示した実施の形態では2本)のマスキングテープ32が互いに離間して平行に条材24に沿って延びるように貼り付けられて帯状の非めっき領域が形成され、条材24の表面のマスキングテープ32が貼り付けられていないストライブ状の部分(複数の帯状のめっき領域)にめっき皮膜34が形成されるようになっている。
【0026】
めっき槽18のめっきセル14内には、導入口側と導出側の各々において、条材24の一方の面に対向するように、めっきセル14の底面から鉛直方向上方に延びた一対の支柱36が設けられているとともに、条材の他方の面に対向するように、めっきセル14の底面から鉛直方向上方に延びた一対の支柱36が設けられている。条材24の両面の各々に対向するように設けられた一対の支柱36には、めっきセル14内の条材24の略全長にわたって、条材24の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部に対向するように配置された複数(図示した実施の形態では3つ)の(帯状めっき領域周縁部用)遮蔽板38が固定されており、これらの遮蔽板38により、条材24のストライプ状のめっき領域の長手方向周縁部(の遮蔽幅a、b、c、dの部分)とアノード26との間の電流密度を低減させて、条材24のストライプ状のめっき領域の長手方向周縁部のめっき皮膜34がその中央部より厚くなるのを防止するようになっている。なお、条材24の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部の幅(遮蔽幅)は、めっき領域の幅などから適宜定めることができる。
【0027】
また、条材24の複数の帯状のめっき領域のうち、他の帯状のめっき領域より幅の狭い帯状のめっき領域の長手方向に延びる中央部に対向してめっきセル14内の条材24の全長の一部の長さにわたって延びるように配置された少なくとも一つ(図示した実施の形態では1つ)の(幅狭めっき領域用)遮蔽板40が、隣接する(帯状めっき領域周縁部用)遮蔽板38に固定されており、この遮蔽板40により、めっきセル14内で搬送される条材24の幅の狭い帯状のめっき領域がアノード26と対向する時間を短くして、条材24のめっき領域のめっき時間の一部において、めっき槽内のめっき領域とカソードとの間の電流密度を低減することにより、幅の狭い帯状のめっき領域のめっき皮膜34が他の帯状のめっき領域のめっき皮膜34より厚くなるのを防止するようになっている。なお、遮蔽板40の長さは、幅の狭い帯状のめっき領域の幅と他の帯状のめっき領域の幅との関係から適宜定めることができる。
【0028】
また、
図2に示すように、支柱36と遮蔽板38との間に、遮蔽板38と条材24との間隔を調整する間隔調整板42を設けて、条材24の複数の帯状のめっき領域の各々の長手方向に延びる周縁部とアノード26との間の電流密度の低減を調整できるようにしてもよい。
【0029】
このようにしてストライプ状のめっきを施した条材24を長手方向に沿って延びる切断線(
図3において点線44で示す)で切断すれば、1回のめっきで複数のめっき条材を得ることができる。また、このようにしてストライプ状のめっきを施した条材24を切断前または切断後にプレスして、コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などを製造することができる。なお、コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などを製造する場合には、条材24の幅が30〜500mm程度であるのが好ましく、条材24の表面の帯状のめっき領域の幅が数mm〜100mm程度であるのが好ましい。
【0030】
また、本実施の形態の部分めっき装置10によるめっき材の生産性を高めるために、めっき槽18を直列に複数配置して、条材24をめっき槽18に送給する速度を上げてもよい。
【実施例】
【0031】
以下、本発明による部分めっき方法およびその装置の実施例について詳細に説明する。
【0032】
[実施例1]
条材(被めっき材)24として銅合金(C110R−1/2H)からなる板幅100mm、板厚0.6mmの条材を用意し、リール・ツー・リール(フープ)めっき装置を使用して、
図3に示すように、条材24の各々の面の幅方向端部から0〜10mmまでの部分と56.5〜74mmまでの部分がストライブ状のめっき領域(斜線で示す領域)になるように、幅方向端部から10〜56.5mmまでの部分と74〜100mmまでの部分にマスキングテープ32を貼り付けて、前処理として、水洗し、アルカリ脱脂し、水洗し、酸洗した。
【0033】
次に、めっき液12としてスルファミン酸Niめっき液を使用し、上記の前処理後の条材を(遮蔽板38によるめっき領域の周縁部の(
図1Cにおいてa、dで示す)遮蔽幅を2mm、(
図1Cにおいてb、cで示す)遮蔽幅を3mmとし、遮蔽板38の長さを800mm、遮蔽板40の長さを300mmとした)
図1A〜
図1Dに示す部分めっき装置に送給して、電流密度10A/dm
2で最低膜厚が1μmになるまで電気めっきを行って、条材上にNi下地めっき皮膜を形成した。
【0034】
次に、めっき液12として(3g/Lのシアン化銀カリウムと90g/Lのシアン化カリウムからなる)Agストライクめっき液を使用し、Ni下地めっきを行った条材を上記と同様の部分めっき装置に送給して、電流密度2A/dm
2で10秒間電気めっきを行って、Ni下地めっき皮膜上にAgストライクめっき皮膜を形成した。
【0035】
次に、めっき液12として(160g/Lのシアン化銀カリウムと100g/Lのシアン化カリウムと180mg/Lのセレノシアン酸カリウムからなる)Agめっき液を使用し、Agストライクめっきを行った条材を上記と同様の部分めっき装置に送給して、電流密度5A/dm
2で最低膜厚が5μmになるまで電気めっきを行って、Agストライクめっき皮膜上にAgめっき皮膜を形成した。
【0036】
このようにしてAgめっきを行った条材のAgめっき皮膜の厚さを蛍光X電膜厚計により測定したところ、Agめっき皮膜の幅方向に0.5mm間隔で測定した56か所の最大厚さは6.96μm、最小厚さは5.00μmであり、(最大厚さ−最小厚さ)×100/(最小厚さ)は39%であった。また、(細い帯状のAgめっき皮膜の幅方向中央の厚さ(μm)−太い帯状のAgめっき皮膜の幅方向中央の厚さ(μm))×100/(理想のAgめっき皮膜の厚さ(5μm))は11%であった。また、(Agめっき皮膜の平均厚さ(μm))×100/(理想のAgめっき皮膜の厚さ(5μm))は109%であった。
【0037】
[実施例2]
(幅狭めっき領域用)遮蔽板40を使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、条材のAgめっきを行って、Agめっき皮膜の厚さを測定したところ、最大厚さは8.67μm、最小厚さは5.01μmであり、(最大厚さ−最小厚さ)×100/(最小厚さ)は73%であった。また、(細い帯状のAgめっき皮膜の幅方向中央の厚さ(μm)−太い帯状のAgめっき皮膜の幅方向中央の厚さ(μm))×100/(理想のAgめっき皮膜の厚さ(5μm))は29%であり、(Agめっきの平均厚さ(μm))×100/(理想のAgめっき皮膜の厚さ(5μm))は125%であった。
【0038】
[比較例]
(帯状めっき領域周縁部用)遮蔽板38と(幅狭めっき領域用)遮蔽板40を使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、条材のAgめっきを行って、Agめっき皮膜の厚さを測定したところ、最大厚さは15.06μm、最小厚さは5.03μmであり、(最大厚さ−最小厚さ)×100/(最小厚さ)は201%であった。また、(細い帯状のAgめっき皮膜の幅方向中央の厚さ(μm)−太い帯状のAgめっき皮膜の幅方向中央の厚さ(μm))×100/(理想のAgめっき皮膜の厚さ(5μm))は42%であり、(Agめっきの平均厚さ(μm))×100/(理想のAgめっき皮膜の厚さ(5μm))は140%であった。
【符号の説明】
【0039】
10 部分めっき装置
12 めっき液
14 めっきセル
14a スリット
14b 開口部
16 オーバーフロー槽
16a スリット
18 めっき槽
20 ポンプ
22 リザーブ槽
24 条材
26 アノード
28 給電板(または給電ロール)
30 整流器
32 マスキングテープ
34 めっき皮膜
36 支柱
38 (帯状めっき領域周縁部用)遮蔽板
40 (幅狭めっき領域用)遮蔽板
42 間隔調整板
44 切断線