(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ロックボルトの引き抜き力を大きくすることができ、かつ、ロックボルトの引き抜き時間を短くできる電動ステアリングロック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明は、ステアリングシャフトに係合するロック位置と、その係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材(31,32)と、電動モータ(61)の駆動力によって正逆回転可能な回転部材(40)と、前記ロック部材、及び、前記回転部材の一方側に雄ネジ部(32a)、他方側に雌ネジ部(40b)を備えて、前記回転部材の回転に応じて前記ロック部材をロック位置、又は、アンロック位置に向けて移動させるネジ機構と、前記ロック部材のアンロック作動時に、前記ネジ機構の雄ネジ部と雌ネジ部との噛み合いが外れた後に、前記ロック部材を引き続きアンロック位置方向に前記ネジ機構の作動ピッチよりも長い作動ピッチで作動させるカム機構(32h,40d)と、を備える電動ステアリングロック装置(1)である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電動ステアリングロック装置において、前記カム機構は、前記回転部材(40)側に設けられた原節(40d)と、前記ロック部材(31,32)側に設けられた従節(32h)とを備え、前記ロック部材がロック位置にあり、前記ネジ機構の雄ネジ部(32a)と雌ネジ部(40b)とが噛み合っているときには、前記カム機構の原節と従節とは前記ロック部材の作動方向にずれて、前記回転部材の回転方向において係合不能な位置にあり、前記ロック部材がアンロック位置方向に移動して前記ネジ機構の噛み合いが外れたときには、前記カム機構の原節と従節とは、前記回転部材の回転方向において係合可能となるように配置されていること、を特徴とする電動ステアリングロック装置(1)である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電動ステアリングロック装置において、前記ロック部材(31,32)をロック位置方向に向けて付勢するスプリング(51)を設けたこと、を特徴とする電動ステアリングロック装置(1)である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の電動ステアリングロック装置において、前記回転部材(40)は、内周面に前記ネジ機構の雌ネジ部(40b)、及び、前記カム機構の原節(40d)が形成された円筒状の部材であり、前記ロック部材(31,32)は、前記回転部材に挿通されて、外周面に前記ネジ機構の雄ネジ部(32a)、及び、前記カム機構の従節(32h)が設けられた略棒状部材であり、前記ロック部材がアンロック位置にあり、前記カム機構の原節と従節とが前記回転部材の回転方向に係合する位置にある場合に、前記ネジ機構の雄ネジ部と雌ネジ部とは前記ロック部材の進退方向にずれて設けられていること、を特徴とする電動ステアリングロック装置(1)である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電動ステアリングロック装置は、ロックボルトの引き抜き力を大きくすることができ、かつ、ロックボルトの引き抜き時間を短くできる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0015】
(実施形態)
図1は、本発明による電動ステアリングロック装置1の実施形態を示す分解斜視図である。
図2は、電動ステアリングロック装置1のロック状態を示す縦断面図である。
図3は、電動ステアリングロック装置1のアンロック状態を示す縦断面図である。
図4は、回転部材40を示す斜視図である。
なお、
図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
さらに、以下の説明中において、特に説明しない限り、上下等の向きを示す記載は、
図1から
図3中における向きを指すものとする。
【0016】
本発明に係る電動ステアリングロック装置1は、電動によって不図示のステアリングシャフト(ステアリングホイール)の回動をロック/アンロックするものである。電動ステアリングロック装置1は、非磁性体の金属(例えば、マグネシウム合金)で構成されたハウジング10と、ハウジング10の下面開口部を覆う金属製のカバー20とを外装として有している。
【0017】
ハウジング10は、矩形ボックス状に成形されており、その上部には円弧状の凹部10aが形成されている。この凹部10aには、不図示のコラムチューブが嵌め込まれ、このコラムチューブは、ハウジング10に取付けられる不図示の円弧状のブラケットによってハウジング10に固定される。なお、図示しないが、コラムチューブ内には、ステアリングシャフトが挿通しており、このステアリングシャフトの一端には、ステアリングホイールが取付けられている。ステアリングシャフトの他端は、ステアリングギヤボックスに連結されている。そして、運転者がステアリングホイールを回動操作すれば、その回転は、ステアリングシャフトを経てステアリングギヤボックスに伝達され、操舵機構が駆動されて左右一対の前輪が転舵されて所要の操舵がなされる。
【0018】
また、ハウジング10の側部には、矩形のコネクタ配設部10bが開口している。さらに、ハウジング10の側部には、ピン11が圧入される円孔状のピン孔10cが形成されている。
【0019】
カバー20は、矩形平板状に成形されており、その内面(上面)には3つのブロック状のピン留め部21(
図1には1つのみ図示)と有底筒状のギヤ保持部22が一体に立設されている。ここで、3つのピン留め部21は、ハウジング10のピン孔10cの位置に対応する箇所に形成されており、これらには、ピン11が圧入される円孔状のピン挿通孔21a(
図1には1つのみ図示)が形成されている。
【0020】
カバー20は、ハウジング10の下面開口部を下方から覆うようにハウジング10の下端部内周に嵌め込まれている。カバー20は、ハウジング10の側部に形成された3つのピン孔10cに挿通するピン11をカバー20に立設された3つのピン留め部21に形成されたピン挿通孔21aに圧入することによってハウジング10に固定される。
【0021】
ハウジング10には、ロック部材収納部10fと基板収納部10gが形成されており、これらロック部材収納部10fと基板収納部10gとの間には、ギヤカバー60が配置されている。このギヤカバー60は、後述のウォームギヤ62に塗布されたグリスが基板70側へ飛散することを防止する。
【0022】
また、ロック部材収納部10fには、ロックユニット(ロック部材)30が収納されている。ロックユニット30は、ステアリングシャフトに係合するロック位置と、その係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能となるように、以下のように構成されている。ロックユニット30は、下端部外周に雄ネジ部32aが刻設されたスライダ32と、このスライダ32内に上下動可能に収容されたプレート状のロックボルト31とを有している。ここで、ロックボルト31には、上下方向に長い長孔31aが形成されており、ロックボルト31は、長孔31aに横方向に挿通するピン34によってスライダ32に連結されている。なお、ピン34は、スライダ32に横方向に貫設されたピン挿通孔32bに圧入によって挿通保持されている。
【0023】
ロックボルト31は、ハウジング10に形成された矩形のロックボルト挿通孔10d内に上下動可能に嵌合している。ロックボルト31は、ロックボルト31とスライダ32の隔壁32fとの間に縮装されたスプリング52によってスライダ32から上方に常時付勢されている。通常は、ロックボルト31の長孔31aの下部がピン34に係合することによってロックボルト31は、スライダ32と共に上下動する。
【0024】
また、スライダ32の上部外周には、図中で水平に延びるアーム32dと、回り止め部32cとが一体に形成されている。アーム32dは、ハウジング10内においてスライダ32の移動と共に上下動可能に収容されている。回り止め部32cは、ハウジング10に形成された係合溝10eに係合してスライダ32の回転を規制する。そして、アーム32dの先端部には、横断面形状が矩形の磁石収納部32eが形成されている。この磁石収納部32eには、四角柱状の磁石33が圧入によって収納されている。
【0025】
ハウジング10内に形成されたロック部材収納部10fには、円筒状の回転部材40が正逆回転可能に収容されている。回転部材40の下部である小径部42の外周は、カバー20の内面(上面)に立設されたギヤ保持部22によって回転可能に保持されている。そして、この回転部材40の小径部42の外周には、ウォームホイール40aが形成され、内周には、雌ネジ部40bが形成されている。
【0026】
回転部材40の内部には、略棒状に形成されたスライダ32の下部が挿入されており、このスライダ32の下部外周に形成された雄ネジ部32aは、回転部材40の内周に形成された雌ネジ部40bが噛合い可能となっている。これら雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとにより、回転部材40の回転に応じてロックボルト31及びスライダ32(ロックユニット30)をロック位置、又は、アンロック位置に向けて移動させるネジ機構が構成されている。
また、カバー20のギヤ保持部22の中心部に形成された円柱状のスプリング受け23とスライダ32の隔壁32fとの間には、スプリング51が縮装されている。ロックユニット30(スライダ32及びロックボルト31)は、スプリング51によって常時上方に付勢されている。
また、スライダ32の雄ネジ部32aの上方には、非噛合い部32gが設けられている。これと対応して、回転部材40の雌ネジ部40bの下方には、非噛合い部40cが設けられている。したがって、スライダ32の位置が下方のアンロック位置に近づくと所定の位置から、雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとの噛合いが外れることとなる。
【0027】
さらに、回転部材40の上部である大径部41の内周面には、ロックボルト31及びスライダ32の進退方向に傾斜して伸びる原節40dが部分的に突出して形成されている。これと対応してスライダ32の外周面には、ロックボルト31及びスライダ32の進退方向に傾斜して伸びる従節32hが部分的に突出して形成されている。本実施形態では、原節40d及び従節32hは、いずれも略対向する位置に2箇所設けられており、ロックボルト31及びスライダ32(ロックユニット30)のアンロック作動時に、ネジ機構の雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとの噛み合いが外れた後に、スライダ32及びロックボルト31を引き続きアンロック位置方向にネジ機構の作動ピッチよりも長い作動ピッチで作動させるカム機構を構成している。このカム機構では、ロックボルト31及びスライダ32がロック位置にあり、ネジ機構の雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとが噛み合っているときには、カム機構の原節40dと従節32hとはロックボルト31及びスライダ32の作動方向にずれて、回転部材40の回転方向において係合不能な位置にある。また、ロックボルト31及びスライダ32がアンロック位置方向に移動してネジ機構の噛み合いが外れたときには、カム機構の原節40dと従節32hとは、回転部材40の回転方向において係合可能となるように位置が決められて配置されている。
また、原節40dと従節32hとからなるカム機構の作動ピッチは、雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとからなるネジ機構の作動ピッチよりも長くなるように構成されている。
なお、これらネジ機構とカム機構とのより詳しい関係については、後述する。
【0028】
ハウジング10に形成されたロック部材収納部10fには、電動モータ61が横置き状態で収納されている。この電動モータ61の出力軸61aには、小径のウォームギヤ62が出力軸61aと一体で回転するように取付けられている。このウォームギヤ62は、回転部材40の外周に形成されたウォームホイール40aとかみ合っている。ウォームギヤ62とウォームホイール40aとは、電動モータ61の出力軸61aの回転力をロックユニット30の進退力に変換する駆動機構を構成している。
【0029】
一方、ハウジング10に形成された基板収納部10gには、その内面がロックユニット30の作動方向と平行となるように基板70が収納されている。この基板70の内面上下のロック位置とアンロック位置に対応する位置には、基板70をベース部として、磁気センサであるホール素子72,73がそれぞれ固定されている。これらのホール素子72,73と磁石33とによって作動位置検出機構が構成され、この作動位置検出機構によってロックユニット30の位置(ロック位置/アンロック位置)が検出される。また、基板70には、電動モータ61が接続されるモータ接続端子71と、コネクタ74とが設けられている。
【0030】
次に、ネジ機構とカム機構との関係に着目しながら、本実施形態の電動ステアリングロック装置1の動作を説明する。
先ず、
図5から
図7を用いて、アンロック動作について説明する。
図5は、ロック状態にあるロックボルト31及びスライダ32と、回転部材40との関係を示す図である。
図6は、
図5のロック状態からアンロック状態への移行途中におけるロックボルト31及びスライダ32と、回転部材40との関係を示す図である。
図7は、
図5のロック状態から移行したアンロック状態にあるロックボルト31及びスライダ32と、回転部材40との関係を示す図である。
なお、
図5から
図7を含めて以下に示す図では、従節32hとの位置関係を説明するために、本来は見ることができない原節40dを図示している。
【0031】
図5に示すロック状態では、ロックボルト31がステアリングシャフトの凹部に係合しており、ステアリングがロック状態である。このとき、カム機構の原節40dと従節32hとは非係合状態であり、ネジ機構の雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとは噛み合い状態である。
【0032】
図5のロック状態からアンロック状態に移行させるために、電動モータ61が駆動させられて回転部材40が正転(図中の手前側が右方向に回転)すると、ネジ機構の雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとの作用により、ロックボルト31及びスライダ32は、アンロック方向(下側)に移動する。この状態では、ネジ機構によってロックボルト31及びスライダ32を駆動するので、仮にロックボルト31に据え切りトルクがかかって係合凹部の内側面がロックボルト31に圧接した状態になっていたとしても、強い力でロックボルト31を引き抜くことが可能である。また、このとき、カム機構の原節40dと従節32hとは、上下方向に相対的な位置がずれているので、互いに係合したり衝突したりすることはない。
【0033】
さらに回転部材40が正転を続けると、非噛合い部32g及び非噛合い部40cの上下方向の位置が、それぞれ雌ネジ部40b及び雄ネジ部32aと一致する(互いに対向する)ようになるので、ネジ機構の雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとの噛み合いが外れて空転状態となる。このとき、スプリング51の付勢力によって、ロックボルト31及びスライダ32は、その空転状態の位置(上下方向の位置)が保持される。その後、カム機構の原節40dと従節32hとが回転部材40の回転方向において係合し(
図6参照)、ロックボルト31及びスライダ32は、引き続きカム機構によってアンロック方向(図中の下方)に移動を行う。
【0034】
このとき、カム機構の作動ピッチは、ネジ機構の作動ピッチよりも長く設定されているため、ロックボルト31及びスライダ32は、ネジ機構による移動速度よりも速くアンロック位置に移動する。
【0035】
ロックボルト31及びスライダ32がアンロック位置まで移動すると、不図示の制御部は、ホール素子73によって磁石33の磁力を検出し、ロックボルト31及びスライダ32がアンロック位置に移動したことを検出して、電動モータの駆動を停止し、ロック動作が完了する。
【0036】
次に、
図8から
図10を用いて、ロック動作について説明する。
図8は、アンロック状態にあるロックボルト31及びスライダ32と、回転部材40との関係を示す図である。
図9は、
図8のアンロック状態からロック状態への移行途中におけるロックボルト31及びスライダ32と、回転部材40との関係を示す図である。
図10は、
図8のアンロック状態から移行したロック状態におけるロックボルト31及びスライダ32と、回転部材40との関係を示す図である。
【0037】
図8のアンロック状態では、ロックボルト31とステアリングシャフトの凹部との係合が解除されており、ステアリングがアンロック状態である。このとき、カム機構の従節32hと原節40dとは係合状態であり、ネジ機構の雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとは、噛み合っておらず、ロックボルト31及びスライダ32の進退方向(図中の上下方向)に離間してずれている状態にある。
【0038】
図8のアンロック状態からロック状態へ移行するために、電動モータ61が駆動して回転部材40が逆転(図中の手前側が左方向に回転)すると、スプリング51の付勢力によって、ロックボルト31及びスライダ32は、カム機構の従節32hと原節40dとの傾斜にしたがって、ロック方向(図中の上方)に移動を開始する。
【0039】
回転部材40が逆転を継続していくと、
図9に示す状態までロックボルト31及びスライダ32が移動して、カム機構の従節32hと原節40dとの係合が解除される。そして、ネジ機構の雄ネジ部32aがスプリング51の付勢力により雌ネジ部40bに押し付けられ、ネジ機構の雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとの噛み合いが開始されて、ロックボルト31及びスライダ32は、引き続きネジ機構によってロック方向に移動を継続する。このとき、カム機構の従節32hと原節40dとは、ロックボルト31及びスライダ32のロック位置方向への移動によって、上下方向に位置がずれるため、再度係合することはない。
【0040】
ロックボルト31及びスライダ32が
図10に示すロック位置まで移動すると、ロックボルト31がステアリングシャフトの凹部に係合し、ステアリングがロックされる。また、制御部は、ホール素子72によって磁石33の磁力を検出し、ロックボルト31及びスライダ32がロック位置に移動したことを検出して、電動モータ61の駆動を停止して、ロック動作を完了する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、電動ステアリングロック装置1は、ロックボルト31及びスライダ32のアンロック作動時に、ネジ機構の雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとの噛み合いが外れた後に、ロックボルト31及びスライダ32を引き続きアンロック位置方向にネジ機構の作動ピッチよりも長い作動ピッチで作動させるカム機構を備える。よって、ロックボルト31をステアリングシャフトから引き抜く際には、ネジ機構を用いて強い力でロック部材を引き抜くことができ、引き抜いた後は、ネジ機構の噛み合いが解除され、引き続き、カム機構によって短い時間でロックボルト31及びスライダ32をアンロック位置まで移動させることができる。すなわち、ロックボルト31に据え切りトルクが係っている場合でも、ロックボルト31を引き抜くことが可能である。また、ロックボルト31及びスライダ32の全体的な引き抜き時間も全てネジ機構で作動させる従来の形態と比較して短くすることができる。
なお、アンロック動作に要する時間を短くできることから、ネジ機構のピッチを小さくしてロックボルト31を引き抜く力をより大きくするという設定を行うこともできる。
【0042】
また、電動ステアリングロック装置1は、カム機構をスライダ32と回転部材40とに設けられているので、部品点数を増やすことなく、簡単に構成することができる。
さらに、電動ステアリングロック装置1は、ネジ機構が噛み合って作動している間は、カム機構の原節40dと従節32hとが回転部材40の回転方向に係合することはなく、また、カム機構が係合作動している間は、ネジ機構の噛み合いが外れているため、ネジ機構、及び、カム機構のそれぞれが、他方の作動に影響を及ぼすことがなく、ロックボルト31及びスライダ32を作動させることができる。
【0043】
さらにまた、電動ステアリングロック装置1は、ロックボルト31及びスライダ32をロック位置方向に付勢するスプリング51を設けられているので、ロックボルト31及びスライダ32がロック作動する際に、カム機構の原節40dと従節32hとの係合が解除された後は、ロックボルト31及びスライダ32はスプリング51の付勢力によってロック位置方向に移動し、ネジ機構の雄ネジ部32aが雌ネジ部40bに押し付けられるため、雄ネジ部32aと雌ネジ部40bとが確実に噛み合うことが可能である。
また、ロックボルト31及びスライダ32がアンロック作動する際には、ロックボルト31及びスライダ32は、スプリング51の付勢力によってネジ機構の噛み合いが外れて空転する位置に保持されるため、その空転時にカム機構の原節40dと従節32hとが係合するように設定配置すればよく、精密な寸法精度を必要としないため、電動ステアリングロック装置1は、設計、及び、製造を容易にできる。
【0044】
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。よって、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。