特許第6367686号(P6367686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367686
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】液体柔軟剤組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/463 20060101AFI20180723BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20180723BHJP
   D06M 15/423 20060101ALI20180723BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20180723BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20180723BHJP
   D06M 23/12 20060101ALI20180723BHJP
   C07C 219/08 20060101ALI20180723BHJP
   C07C 219/06 20060101ALN20180723BHJP
【FI】
   D06M13/463
   D06M13/224
   D06M15/423
   D06M15/53
   D06M13/17
   D06M23/12
   C07C219/08
   !C07C219/06
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-217981(P2014-217981)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2016-84556(P2016-84556A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 典明
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−081881(JP,A)
【文献】 特表2008−538393(JP,A)
【文献】 特表2013−525614(JP,A)
【文献】 特表2013−524033(JP,A)
【文献】 特開2008−007872(JP,A)
【文献】 特開2004−099743(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0252668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00−15/715
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分を5質量%以上、20質量%以下、(B)成分を0.5質量%以上、10質量%以下、及び水を含有する、液体柔軟剤組成物。
<(A)成分>
下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の複数からなる成分であって、
一般式(1)中のRがアシル基であり、Rが水素原子である化合物(a1)の割合が一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、1質量%以上、40質量%以下、
一般式(1)中のR及びRが前記アシル基である化合物(a2)の割合が一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、60質量%以上、99質量%以下、
である成分。
【化1】

〔式中、Rは、炭素数16以上、22以下の脂肪酸からOHを除いた残基(アシル基という)であり、Rは、前記アシル基又は水素原子であり、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基であり、Qはエチレン基又はプロピレン基であり、Xは陰イオンである。〕
<(B)成分>
ペンタエリスリトールと炭素数16以上、22以下の脂肪酸とのエステル化合物の複数からなる成分であって、
脂肪酸モノエステル構造体の割合が、前記エステル化合物の全量中、40質量%以下、
脂肪酸ジエステル構造体と脂肪酸トリエステル構造体との合計の割合が、前記エステル化合物の全量中、45質量%以上、90質量%以下
である成分
【請求項2】
更に(C)成分として、logP値が2.0以上、6.0以下である香料化合物を90質量%以上含有する香料を内包したマイクロカプセルを含有する、請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項3】
マイクロカプセルが、メラミン樹脂を含有する外殻を有する、請求項2記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項4】
(A)成分/(B)成分の質量比が40/60以上、95/5以下である、請求項1〜3の何れか1項記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項5】
更に、(G)成分として、(A)成分、及び(B)成分以外の界面活性剤を含有する、請求項1〜4の何れかに記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項6】
(G)成分として、下記一般式(G1)で示される非イオン界面活性剤を含有する、請求項5記載の液体柔軟剤組成物。
1g−O−[(C24O)s(C36O)t]−H (G1)
〔式中、R1gは、炭素数8以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基である。s及びtは平均付加モル数であって、sは2〜50の数、tは0〜5の数である。(C24O)と(C36O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。〕
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
かつて、衣料用柔軟剤は炭素数が14〜24程度の2つの長鎖アルキル基を持つ4級アンモニウム塩又は3級アミン化合物を主基剤として用いるものであった。近年では、生物分解性に優れ、環境への影響をより軽減する目的のために、長鎖アルキル基や長鎖アルケニル基(以下、本発明では“長鎖アルキル基”は、長鎖アルケニル基の意味も含めて表現されているものとする。)の間にエステル結合やアミド結合を有する、脂肪酸由来の構造の柔軟基材が開発され使用されている。
【0003】
一方、非イオン界面活性剤と前記した4級アンモニウム塩又は3級アミン化合物とを併用する技術も知られている。特許文献1にはジメチルジエステル4級アンモニウム型柔軟剤とモノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩に保存安定性のために多価アルコールの脂肪酸エステルとを含有する液体柔軟剤組成物が記載されている。
【0004】
柔軟剤は本来繊維製品に対して柔らかさを主とする質感の変化をもたらす仕上げ剤として使用されてきたが、商品価値を高めるために、柔軟性のみならず繊維製品への賦香性の付与を目的とする柔軟剤が増えてきており、製品によっては賦香性能を全面に押すものも少なくない。繊維製品への賦香性を高めるための手段として、香料の配合量を増やす方法が考えられるが、香料として使用できる化合物は高値であることから配合量を増やすことは難しく、仮に増やしたとしても賦香後の持続性の問題がある。賦香効果の持続性のために特許文献2には、香料として使用が知られているヒドロキシ基を有する香料成分を用いたケイ酸エステル化合物とポリオキシエチレン基を有していてよい多価アルコール脂肪酸エステルとを含有する繊維製品処理剤が記載されている。
【0005】
また香りの持続性、残香性を目的として香料をマイクロカプセル化して配合する試みがなされている。香料のマイクロカプセル(以下、マイクロカプセル香料という場合もある)は、芯物質の香料を壁材で包んだ粒子状物質であり、その役割は芯物質の香料を保護し、カプセルに物理的な力が加わった際にカプセルの壁が破れて芯物質の香料を放出するものである。特許文献3には、芯物質として引火点が50〜130℃の範囲内の香料組成物を含有するカプセル化香料が記載されている。また、特許文献4には、高揮発性香料等の揮発成分と、それよりも高融点で相溶性がある添加剤を含有するマイクロカプセルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−81881号公報
【特許文献2】特開2010−144308号公報
【特許文献3】特開2006−249326号公報
【特許文献4】国際公開第2007/038570号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように柔軟基材として脂肪酸エステルタイプの4級アンモニウム塩は、その分解性の良さから、世界的規模で使用される柔軟基材となっている。しかしながら、これらエステル型4級アンモニウム塩は、従来のジ長鎖アルキルジ短鎖アルキルタイプの4級アンモニウム塩を用いた場合よりも柔軟性が劣るという課題がある。
【0008】
更には、前記したように近年、柔軟剤による繊維製品に対する賦香性が求められており、その手段として香料をマイクロカプセル化した微粒子を用いることが知られている。マイクロカプセル香料は、付着した繊維製品に摺動、衝突などの物理的な刺激が与えられることで、マイクロカプセルの殻が破壊されて香り立ちがより引き立つため、使用による香りの発生を認識させることができるものである。一方で、処理後の繊維製品は静置された状態ではそれほど顕著な香り立ちを期待できず、着用者の動きによる香り立ちの意外性がある一方で、静止時での香り立ちも求められている。
【0009】
本発明は、脂肪酸エステル構造を有する4級アンモニウム塩を含有し、優れた柔軟性を示す液体柔軟剤組成物を提供するものである。
【0010】
更に本発明は、マイクロカプセル香料を用いた場合に、マイクロカプセル香料内の香りを、処理後の対象物に物理的刺激を与えない状況下においても芳香させることができる液体柔軟剤組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記(A)成分を5質量%以上、20質量%以下、(B)成分を0.5質量%以上、10質量%以下、及び水を含有する、液体柔軟剤組成物に関する。
<(A)成分>
下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の複数からなる成分であって、
一般式(1)中のRがアシル基であり、Rが水素原子である化合物(a1)の割合が一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、1質量%以上、40質量%以下、
一般式(1)中のR及びRが前記アシル基である化合物(a2)の割合が一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、60質量%以上、99質量%以下、
である成分。
【0012】
【化1】
【0013】
〔式中、Rは、炭素数16以上、22以下の脂肪酸からOHを除いた残基(アシル基という)であり、Rは、前記アシル基又は水素原子であり、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基であり、Qはエチレン基又はプロピレン基であり、Xは陰イオンである。〕
<(B)成分>
ペンタエリスリトールと炭素数16以上、22以下の脂肪酸とのエステル化合物の複数からなる成分であって、
脂肪酸モノエステル構造体の割合が、前記エステル化合物の全量中、40質量%以下、
脂肪酸ジエステル構造体と脂肪酸トリエステル構造体との合計の割合が、前記エステル化合物の全量中、45質量%以上、90質量%以下
である成分
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、脂肪酸エステル構造体タイプ4級アンモニウム塩を用いても優れた柔軟性を示す液体柔軟剤組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記脂肪酸エステル構造体タイプ4級アンモニウム塩の液体柔軟剤組成物に、マイクロカプセル香料を用いた場合に、マイクロカプセル香料内の香りを、処理後の対象物に物理的刺激を与えない状況下においても芳香させることができる液体柔軟剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは検討を重ねた結果、(A)成分のエステル化度が異なる脂肪酸エステル構造体タイプの4級アンモニウム塩の混合物を柔軟基材として用いた際に、(B)成分のエステル化度の異なるペンタエリスリトールの脂肪酸エステル化合物を特定比率で用いることで、優れた柔軟性を高めることができることを見出し、更には賦香剤としてマイクロカプセル香料を用いた場合に、処理後の対象物に物理的刺激を与えない場合でも芳香することが可能になることを見出した。
【0016】
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、
下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の複数からなる成分であって、
一般式(1)中のRがアシル基であり、Rが水素原子である化合物(a1)の割合が一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、1質量%以上、40質量%以下、
一般式(1)中のR及びRが前記アシル基である化合物(a2)の割合が一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、60質量%以上、99質量%以下、
である成分である。
【0017】
【化2】
【0018】
〔式中、Rは、炭素数16以上、22以下の脂肪酸からOHを除いた残基(アシル基という)であり、Rは、前記アシル基又は水素原子であり、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1以上、3以下のアルキル基であり、Qはエチレン基又はプロピレン基であり、Xは陰イオンである。〕
【0019】
化合物(a1)は、Rが前記アシル基であり、Rが水素原子である化合物であって、(A)成分中に1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下含まれる。
化合物(a2)は、R及びRが前記アシル基である化合物であって、(A)成分中に60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、そして、99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下含まれる。
【0020】
一般式(1)におけるアシル基としては、炭素数16以上、18以下の脂肪酸からOHを除いた残基が好ましい。
前記脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、パーム油脂肪酸、ひまわり油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、及び硬化牛脂脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
、Rは、炭素数1以上、3以下のアルキル基であり、好ましくはメチル基又はエチル基である。
Qは好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
は、有機又は無機の陰イオンが挙げられ、好ましくはハロゲンイオン、より好ましくはクロロイオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数12以上18以下の脂肪酸イオン、炭素数1以上3以下のアルキル基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンであり、これらの中ではクロロイオンが好ましい。
【0021】
(A)成分は脂肪酸と低級アルキルジエタノールアミン又は低級アルキルジプロパノールアミン(以下、低級アルキルはメチル基、エチル基又はプロピル基を意味する)、好ましくはメチルジエタノールアミンとを脱水エステル化反応させる方法(脱水エステル化法という)、又は脂肪酸低級アルキルエステルと低級アルキルジエタノールアミン又は低級アルキルジプロパノールアミン、好ましくはメチルジエタノールアミンとをエステル交換反応させる方法(エステル交換法という)により得られたエステル化物を、アルキル化剤で4級化反応させることで得ることができる。
エステル化物を得る反応における低級アルキルジエタノールアミン又は低級アルキルジプロパノールアミン、好ましくはメチルジエタノールアミンに対する脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルのモル比は、好ましくは1.2/1以上、より好ましくは1.3/1以上、更に好ましくは1.4/1以上であり、そして、好ましくは1.85/1以下、より好ましくは1.8/1以下、更に好ましくは1.7/1以下である。
【0022】
脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルとしては、牛脂、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、及びオリーブ油から選ばれる油脂をケン化して得られる脂肪酸組成のものが好ましく、尿臭や汗臭の抑制効果の観点から、牛脂、パーム油及びヒマワリ油から得られるものがより好ましい。
これらは炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するアルケニル基を多量に含有するため、例えば特開平4−306296号公報に記載されているような晶析や、特開平6−41578号公報に記載されているメチルエステルを減圧蒸留する方法、あるいは特開平8−99036号公報に記載されている選択水素化反応を行うことにより炭素−炭素不飽和結合を2つ以上含有する脂肪酸の割合を制御する方法等により製造することができる。
なお、選択水素化反応を行った場合には不飽和結合の幾何異性体の混合物が得られるが、脂肪酸の幾何異性体のシス/トランス比(モル比)は、トランス/シスのモル比が、好ましくは0/100以上、より好ましくは5/95以上、そして、好ましくは75/25以下、より好ましくは50/50以下である。
【0023】
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、
ペンタエリスリトールと炭素数16以上、22以下の脂肪酸とのエステル化合物の複数からなる成分であって、
脂肪酸モノエステル構造体の割合が、前記エステル化合物の全量中、40質量%以下、
脂肪酸ジエステル構造体と脂肪酸トリエステル構造体との合計の割合が、前記エステル化合物の全量中、45質量%以上、90質量%以下
である成分である。
【0024】
(B)成分を用いることで、(A)成分の柔軟性を更に高めることができる。更には後述する(C)成分の香料を内包するマイクロカプセルを、(A)成分を主基材とする柔軟剤組成物に使用する場合は、(B)成分を用いることで、処理後の対象物に物理的接触が無い場合でも(C)成分からの匂いを引き出すことができる。通常マイクロカプセル香料自体の芳香は弱く、物理的接触でカプセルが壊れることで強く芳香する。繊維製品処理に用いた場合、マイクロカプセル内の香料を芳香させるためには、擦りつけ等の動作が求められる。
【0025】
脂肪酸モノエステル構造体と脂肪酸テトラエステル構造体は、組成物の保存安定性等の相安定性に影響する。
【0026】
なお、(B)成分を構成するペンタエリスリトールと炭素数16以上、22以下の脂肪酸とのエステル化合物には、エステル化度の異なる4つの化合物がある。
(B)成分を構成するエステル化合物のうち、脂肪酸モノエステル構造体は、ペンタエリスリトールの4つの水酸基のうち、1つが脂肪酸とエステルになっている化合物である。この化合物は(B)成分の制限下において、脂肪酸モノエステル構造体という場合もある。
また、(B)成分を構成するエステル化合物のうち、脂肪酸ジエステル構造体は、ペンタエリスリトールの4つの水酸基のうち、2つが脂肪酸とエステルになっている化合物である。この化合物は(B)成分の制限下において、脂肪酸ジエステル構造体という場合もある。
また、(B)成分を構成するエステル化合物のうち、脂肪酸トリエステル構造体は、ペンタエリスリトールの4つの水酸基のうち、3つが脂肪酸とエステルになっている化合物である。この化合物は(B)成分の制限下において、脂肪酸トリエステル構造体という場合もある。
また、(B)成分を構成するエステル化合物のうち、脂肪酸テトラエステル構造体は、ペンタエリスリトールの4つの水酸基の全てが脂肪酸とエステルになっている化合物である。この化合物は(B)成分の制限下において、脂肪酸テトラエステル構造体という場合もある。
【0027】
脂肪酸は、16以上、18以下の脂肪酸が好ましい。脂肪酸の具体的例としてはステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸が挙げられる。硬化パーム油脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等の飽和脂肪酸が好適である。
【0028】
(B)成分中の脂肪酸モノエステル構造体の割合は、柔軟性付与の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上であり、柔軟性向上の観点から、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは29質量%以下である。
【0029】
(B)成分中の脂肪酸ジエステル構造体と脂肪酸トリエステル構造体との合計の割合は、柔軟性の向上の観点から、45質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、組成物の安定性の観点から、90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
前記の合計割合を満たした上で、(B)成分中、脂肪酸ジエステル構造体の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
また、前記の合計割合を満たした上で、(B)成分中、脂肪酸トリエステル構造体の割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
【0030】
なお、(B)成分は、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルのうち、脂肪酸テトラエステル構造体を含有する場合もある。(B)成分中の脂肪酸テトラエステル構造体の割合は、組成物の安定性の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0031】
(B)成分の一例として、
ペンタエリスリトールと炭素数16以上、22以下の脂肪酸とのエステル化合物の複数からなる成分であって、
脂肪酸モノエステル構造体の割合が、前記エステル化合物の全量中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、そして40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%未満、より好ましくは29質量%以下、
脂肪酸ジエステル構造体の割合が、前記エステル化合物の全量中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、そして好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、
脂肪酸トリエステル構造体の割合が、前記エステル化合物の全量中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、そして好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、
脂肪酸テトラエステル構造体の割合が、前記エステル化合物の全量中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、そして好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、より好ましくは10質量%以下、
脂肪酸ジエステル構造体と脂肪酸トリエステル構造体との合計の割合が、前記エステル化合物の全量中、45質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、そして、90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、
である成分が挙げられる。
【0032】
(B)成分中のエステル化合物の割合に関して、モノエステル構造体からテトラエステル構造体の各エステル構造体の割合は、ジエステル構造体及びトリエステル構造体の合計の割合と矛盾しないものとする。
【0033】
本発明の(B)成分となるエステル混合物を得る方法としては、特開平5−140037号公報の例えば実施例1、特開平5−140038号公報の例えば実施例1などを参考にすることができる。
【0034】
エステル化度の異なるペンタエリスリトール脂肪酸エステルの比率は、ゲル浸透クロマトグラムにより測定することができる。
【0035】
本発明の(B)成分は、ペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応、又はペンタエリスリトールと脂肪酸低級アルキルエステル(低級アルキルはメチル基、エチル基、プロピル基)とのエステル交換反応で製造することが好ましく、(B)成分の条件を満たす混合物を得るためには、ペンタエリスリトール1モルに対して脂肪酸、又は脂肪酸低級アルキルエステルを、好ましくは0.8モル以上、より好ましくは1.0モル以上、より好ましくは1.2モル以上、そして、好ましくは2.2モル以下、より好ましくは2.0モル以下、より好ましくは1.8モル以下の割合でエステル化反応、又はエステル交換反応させることが好ましい。エステル化反応触媒又はエステル交換反応触媒としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウムなどの苛性アルカリ、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウムなどの酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチラートなどのアルコラート、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの脂肪酸石鹸から選ばれるアルカリ触媒、リン酸、亜燐酸、次亜リン酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの酸触媒を用いることができる。反応温度は触媒の種類などにより50℃以上、250℃以下の範囲内で適宜選択することができる。アルカリ触媒を用いる場合には反応温度は好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下であり、酸触媒を用いる場合には反応温度は好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
【0036】
反応は、攪拌下、反応速度向上のために、通常0.01MPa以上、0.09MPa以下程度の減圧下、又は常圧で反応系内に窒素を導入し、生成する水、或は低級アルコールを系外に除去しながら行うことが好ましい。
【0037】
脱水エステル化反応の場合には反応の進行はJISK0070−1992に記載の方法で酸価(AV)及び鹸化価(SV)を測定することで確認を行い、好適にはAVが10mgKOH/g以下、好ましくは6mgKOH/g以下となった時、特に6mgKOH/g以下になった時にエステル化反応を終了する。また、エステル交換反応の場合にはガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーを用いて確認することができ、これらクロマトグラフィーの条件は多価アルコールや脂肪酸の種類で異なり、適宜公知の条件で最適な条件を選択することができる。
【0038】
反応終了後は、触媒を中和や吸着除去などの不活性化した後、未反応のペンタエリスリトールや脂肪酸を減圧留去する方法や、未反応物質を低温で固化析出させてろ過する方法などを採用することができる。
【0039】
[(C)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物は、更に(C)成分として、logP値が2.0以上、6.0以下である香料化合物を90質量%以上含有する香料を内包したマイクロカプセルを含有することが好ましい。
(C)成分のマイクロカプセルは、所定の香料と任意の香料希釈剤又は溶剤との混合物をカプセル化したものである。マイクロカプセルの外殻(壁材)に樹脂を用いて、公知の方法により前記香料及び任意成分が封入される。(C)成分は、芯−殻構造を有するマイクロカプセルであって、芯物質がlogP値が2.0以上、6.0以下の香料化合物を90質量%以上含有する香料を含む成分であり、殻物質が高分子化合物であるマイクロカプセルであってよい。
【0040】
(C)成分のマイクロカプセルの調製法は特に制限されず、公知のマイクロカプセル化方法を採用することができる。具体的には化学的製法(界面重合法、in situ重合法、オ
リフィス法)、物理化学的方法(コアセルベーション法)、機械的・物理的方法(気中懸濁被覆法、噴霧乾燥法、高速気流中衝撃法)等が挙げられる。マイクロカプセルの外殻としては、ポリウレタン、ポリアミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン、アラビアゴム、デンプン等の各種高分子化合物が挙げられる。(C)成分のマイクロカプセルの外殻が、ポリウレタン、ポリアミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルギン酸塩、ポリアクリル樹脂、ゼラチン及びアラビアゴムから選ばれる一種以上により構成されていることが好ましく、更にはメラミン樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂という場合もある)を含むことがより好ましい。
【0041】
(C)成分のマイクロカプセルの製造方法についてより具体的には、“造る+使うマイクロカプセル”(小石眞純ら、工業調査会、2005年発行)や、特開2008−63575号公報、特開2006−249326号公報、特開平11−216354号公報、特開平5−222672号公報等に記載されている方法を採用することができる。
【0042】
本発明の(C)成分のマイクロカプセルの好ましい製造方法としては、エチレン−無水マレイン酸共重合体等の乳化剤と香料及び任意の希釈剤又は溶剤を水中に分散させて乳化物を得た後、この乳化物にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂等の壁材を添加して撹拌することによりマイクロカプセルのスラリーを得る方法が挙げられる。
【0043】
予め、壁材を形成する樹脂となるモノマーと、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−アクリルアミド共重合等の乳化剤とを水中で混合して、壁材・乳化剤混合物を調製した後、この壁材・乳化剤混合物と香料及び任意の希釈剤又は溶剤とを乳化し、この乳化物にホルムアルデヒドを添加して撹拌することによりマイクロカプセルのスラリーを得る方法等が挙げられる。
【0044】
本発明に使用される香料は、香料として使用されることが知られている有機化合物であって、「香料と調香の実際知識」(中島基貴著、産業図書(株)、1995年6月21日発行)に記載の香料成分を適宜、香調、用途にしたがって組み合わせることができる。また、仕上げ剤として知られている、柔軟剤、糊剤、スタイリング剤又はその他仕上げ剤の特許文献に記載された香料成分や香料組成物を、本発明の効果を損なわない限り、その配合量も含めて検討した上で用いることができる。
【0045】
このうち(C)成分のカプセルに包含される香料〔以下、香料(C1)という〕は、logP値が2.0以上、6.0以下である香料化合物〔以下、香料化合物(c1)という〕を90質量%以上含有する。香料(C1)は、通常、香料化合物(c1)を含む複数の香料化合物を含有する組成物である。また、香料化合物(c1)は、カプセルの製造容易の観点から、logP値が2.0以上、好ましくは2.3以上、より好ましくは2.5以上であり、そして、6.0以下、好ましくは5.5以下、より好ましくは5.0以下である。
【0046】
香料化合物(c1)として、オクタナール(3.0)、ノナナール(3.0)、デカナール(4.0)、リラール(2.2)、リリアール(3.9)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.9)、アミルシンナミックアルデヒド(4.3)、p,t−ブチルヒドロシンナミックアルデヒド(3.6)、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド(2.9)、酢酸ヘキシル(4.9)、酢酸トリシクロデセニル(2.4)、酢酸シトロネリル(4.2)、酢酸ゲラニル(3.7)、酢酸リナリル(3.5)、酢酸ターピニル(3.6)、酢酸o,t−ブチルシクロヘキシル(4.1)、酢酸p,t−ブチルシクロヘキシル(4.1)、プロピオン酸アリルシクロヘキシル(2.9)、プロピオン酸トリシクロデセニル(3.9)、カプロン酸アリル(3.2)、サリチル酸アミル(4.6)、サリチル酸ヘキシル(5.1)、サリチル酸ベンジル(4.2)、サリチル酸シクロヘキシル(4.5)、サリチル酸シス−3−ヘキセニル(4.6)、ジヒドロジャスモン酸メチル(2.4)、α−イオノン(3.7)、β−イオノン(3.7)、γ−メチルイオノン(4.0)、α−ダマスコン(3.6)、β−ダマスコン(3.6)、δ−ダマスコン(3.6)、γ−ノナラクトン(2.8)、γ−デカラクトン(3.3)、γ−ウンデカラクトン(3.8)、ネロリンヤラヤラ(3.2)、シクラメンアルデヒド(3.5)、リモネン(4.4)、テトラヒドロリナロール(3.5)、ターピネオール(2.6)、ゲラニオール(2.4)、シトロネロール(3.3)、リナロール(2.6)、テトラヒドロリナロール(3.5)、オイゲノール(3.0)、ジヒドロミルセノール(3.0)、フェニルヘキサノール(3.5)、メチルアンスラニレート(2.0)、メチルβ−ナフチルケトン、(2.8)、イソEスーパー(4.7)、セドリルメチルエーテル(5.1)、サンダルマイソールコア(花王(株)製)(3.9)、ジャバノール(ジボダン社製)(4.7)、アンブロキサン(5.3)、1,8−シネオール(2.9)、ゲラニルニトリル(3.9)、シトロネリルニトリル(4.4)、11-オキサ-16-ヘキサデカノリド(ムス
クR-1、ジボダン製)(4.5)、エチレンブラシレート(4.6)、エチレンドデカン
ジオエート(4.1)、カシュメラン(4.0)から選ばれる1種以上の香料化合物が挙げられる。なお、logP値が6.0よりも高い香料として、シクロペンタデカノリド(6.3)、シクロヘキサデカノリド(6.8)、アンブレットリド(6.4)もカプセルに内包する香料として使用できる。ここで、( )内の数字はlogP値である。
【0047】
本発明において、logP値とは、有機化合物の水と1−オクタノールに対する親和性を示す係数である。1−オクタノール/水分配係数Pは、1−オクタノールと水の2液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPの形で示すのが一般的である。多くの化合物のlogP値が報告されており、Daylight Chemical Information Systems, Inc. (Daylight CIS)などから入手しうるデータベースには多くの値が掲載されているので参照できる。実測のlogP値がない場合には、Daylight CISから入手できるプログラム“CLOGP"等で計算することができる。このプログラムは、実測のlogP値がある場合にはそれと共に、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出され
る“計算logP(ClogP)”の値を出力する。
【0048】
フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(cf. A. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch,P.G. Sammens, J.B. Taylor and C.A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。このClogP値を、化合物の選択に際して実測のlogP値の代わりに用いることができる。本発明では、logPの実測値があればそれを、無い場合はプログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値を用いる。
【0049】
(C)成分のマイクロカプセルの内包物(芯物質)中、香料(C1)の割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。(C)成分のマイクロカプセルは、香料(C1)の他に、希釈剤、溶剤、固化剤を内包してもよく、希釈剤ないし溶剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンを挙げることができ、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸の低級アルコール又はグリセリンエステルを挙げることができる。マイクロカプセルに内包する希釈剤、溶剤、固化剤の量は、マイクロカプセルの内包物(芯物質)中、好ましくは10質量%以下である。
【0050】
(C)成分のマイクロカプセルの1次平均粒径は、好ましくは1μm以上、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下である。本発明のマイクロカプセルの平均粒径は、HORIBA製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910によって求められたメジアン径である。なお、(C)成分は、保存安定性を損なわない程度に一部凝集していてもよい。また本発明の液体柔軟剤組成物は、香料(C1)以外の香料を内包したマイクロカプセル、香料を内包していないマイクロカプセル、カプセルの殻の断片を、本発明の効果及び繊維製品の質感や美観に影響しない限り、含有していてもよい。
【0051】
<液体柔軟剤組成物>
本発明の液体柔軟剤組成物は(A)成分を5質量%以上、好ましくは7質量%以上、より好ましくは9質量%以上、そして20質量%以下、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有する。
また、本発明の液体柔軟剤組成物は(B)成分を0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、そして10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下含有する。
また、本発明の液体柔軟剤組成物は(C)成分を好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、そして、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下含有する。
また、本発明の液体柔軟剤組成物は、(A)成分/(B)成分の質量比が、より優れた柔軟性と組成物の安定性を得るために、好ましくは40/60以上、より好ましくは50/50以上であり、柔軟効果の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは93/7以下、より好ましくは90/10以下である。
【0052】
本発明の液体柔軟剤組成物の残部は、水である。水は、脱イオン水、脱イオン水に次亜塩素酸塩を少量配合した滅菌した水、水道水などを用いることができる。
【0053】
本発明の液体柔軟剤組成物の30℃のpHは、好ましくは2.5以上であり、そして、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。処理後の繊維製品の発香性及び残香性の両方の点及び保存安定性の点からこの範囲が好ましい。
pHは、JIS K 3362;2008の項目8.3に従って30℃において測定する。
pHの調整は、アルカリ剤と酸剤によって調整されるが、酸剤は後述するクエン酸、コハク酸などの有機酸を用いてもよい。
【0054】
本発明の液体柔軟剤組成物の30℃の粘度は、使用勝手の点で、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上であり、そして、好ましくは200mPa・s以下、より好ましくは150mPa・sである。
粘度は、B型粘度計を用いて、No.1〜No.3ローターの何れかのローターのうち測定時に目盛が20〜80の範囲に入るローターを用い、60r/minで、測定開始から1分後の指示値である。液体柔軟剤組成物は30±1℃に調温して測定する。ローターが複数存在するようならば、小さい番号のローターを用いた数値を採用する。
【0055】
[その他の成分]
本発明の液体柔軟剤組成物には以下に示す成分を含有することが好ましい。
<(D)水溶性有機溶剤>
本発明の柔軟剤組成物は、組成物の安定性や粘度の観点から、(D)成分として、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。(D)成分としては、柔軟剤に配合することが知られている水溶性の有機溶剤が挙げられる。(D)成分について「水溶性」とは100gの20℃の脱イオン水に対して20g以上溶解することをいう。具体的には、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、モノエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、イソプロパノール、エタノール等を挙げることができる。好ましくはエチレングリコール及びエタノールから選ばれる水溶性有機溶剤である。液体柔軟剤組成物の粘度が高い場合や相安定性を調整したいときは水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
本発明の液体柔軟剤組成物は、(D)成分を、好ましくは1.0質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下含有する。
【0056】
<(E)無機塩>
本発明の液体柔軟剤組成物には、貯蔵安定性を向上させる目的から必要に応じて(E)成分として無機塩を配合することができる。無機塩としては、水溶性無機塩が好ましく、具体的には塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムから選ばれる水溶性無機塩が貯蔵安定性の点から好ましい。(E)成分について「水溶性」とは100gの20℃の脱イオン水に対して20g以上溶解することをいう。無機塩は柔軟剤自体の液性の安定性に寄与する。
本発明の液体柔軟剤組成物は、(E)成分を、好ましくは0.01質量%以上、そして、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下配合してなる。
【0057】
<(F)酸剤>
本発明の液体柔軟剤組成物には、(A)成分の第4級アンモニウム化合物の加水分解による分解を抑制する上で、原液のpHを30℃で2.5以上、4.0以下に調整することが好ましい。そのために、本発明の液体柔軟剤組成物は、(F)成分として酸剤を配合することが好ましい。
【0058】
酸剤としては、無機酸又は有機酸が挙げられる。無機酸の具体例としては、塩酸、硫酸が使用できる。有機酸の具体例としては、炭素数1以上、10以下の1価又は多価のカルボン酸、又は炭素数1以上、20以下の1価又は多価のスルホン酸が挙げられる。より具体的にはメチル硫酸、エチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、(o−、m−、p−)キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ギ酸、グリコール酸、メチルグリシン2酢酸、エチレンジアミン4酢酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸が挙げられる。好ましくは、ギ酸、メチルグリシン2酢酸、エチレンジアミン4酢酸、及びクエン酸から選ばれる1種以上である。
【0059】
酸剤はpHが上記範囲になる範囲で配合され、安定性を損なわない程度に制限される。(F)成分の配合量は(A)成分の種類や量によって適宜調整する。なお有機酸の場合、有機酸塩で配合した場合でも、pHにより一部が酸構造となる場合は酸剤とする。
【0060】
<(G)その他の界面活性剤>
本発明の液体柔軟剤組成物には、(G)成分として、(A)成分、及び(B)成分以外の界面活性剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
【0061】
(G)成分としては、陽イオン性界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、下記(I)〜(III)から選ばれる一種以上が好ましく、(II)から選ばれる一種以上がより好ましい。
(I):アルキル基又はアルケニル基の炭素数が10以上、22以下のジ長鎖アルキル又はアルケニルジメチルアンモニウム塩
(II):アルキル基又はアルケニル基の炭素数が10以上、22以下のモノ長鎖アルキル又はアルケニルトリメチルアンモニウム塩
(III):アルキル基又はアルケニル基の炭素数が10以上、22以下のモノ長鎖アルキル又はアルケニルジメチルベンジルアンモニウム塩
【0062】
非イオン界面活性剤としては、下記(IV)及び(V)から選ばれる一種以上が挙げられる。
(IV):下記一般式(G1)で表される非イオン界面活性剤
1g−O−[(C24O)s(C36O)t]−H (G1)
〔式中、R1gは、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは16以下のアルキル基又はアルケニル基である。s及びtは平均付加モル数であって、sは2以上、好ましくは10以上、そして、50以下、好ましくは40以下の数、tは0以上、好ましくは1以上、そして、5以下、好ましくは3以下の数である。(C24O)と(C36O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。〕
(V):下記一般式(G2)で表される非イオン界面活性剤
【0063】
【化3】
【0064】
〔式中、R1gは前記の意味を示す。Aは−N<又は−CON<であり、u及びvはそれぞれ独立に0以上、40以下の数であり、u+vは5以上、そして、60以下、好ましくは40以下の数である。R2g、R3gはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基である。〕
【0065】
(G)成分としては、非イオン界面活性剤が好ましく、前記一般式(G1)で表される非イオン界面活性剤がより好ましい。
【0066】
<(H)脂肪酸>
本発明の液体柔軟剤組成物には、柔軟効果を向上させる目的から、(H)成分として、脂肪酸を配合することが好適である。脂肪酸は(A)成分の合成時の未反応物や(A)成分の分解物として含有されることもできる。
脂肪酸としては、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、ベヘニン酸等の炭素数12以上、22以下の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸から選ばれる脂肪酸がより好ましい。
【0067】
<(I)香料>
本発明の液体柔軟剤組成物は、(I)成分として、(C)成分であるマイクロカプセルに内包されていない香料を含有することができる。(I)成分の香料は、液体柔軟剤組成物の液体部分に溶解又は分散して存在する。
【0068】
(I)成分の香料としては、一般に柔軟組成物に使用されている種々の天然あるいは合成香料が挙げられる。例えば、
(I)脂肪酸エーテル、芳香族エーテル(フェノールエーテルを除く)等のエーテル、
(I)脂肪酸オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド、
(I)アセタール、
(I)ケタール、
(I)フェノール、
(I)フェノールエーテル、
(I)脂肪酸、テルペン系カルボン酸、水素化芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸、
(I)酸アマイド、ニトロムスク、ニトリル、アミン、ピリジン、キノリン、ピロール、インドール等の含窒素化合物
等の合成香料が挙げられる。また、動物、植物からの天然香料が挙げられる。また、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料が挙げられる。(I)成分として、これらの1種又は、2種を混合して使用することができる。
【0069】
(I)成分としては、例えば、1969年化学工業日報社刊印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年MONTCLAIR, N. J.刊STEFFEN ARCTANDER著‘Perfume and Flavor Chemicals’等に記載の香料成分が使用出来る。
【0070】
また、(I)成分の香料として、香りの持続性、残香性を目的として、ヒドロキシ基を有する香料成分をケイ酸エステル(例えば、特開2009−256818号記載)体として併用することが出来る。
【0071】
[更なる任意成分]
更なる任意成分としては、以下の成分が挙げられる。
本発明の液体柔軟剤組成物は、基材劣化の抑制のために、BHTなどの周知の酸化防止剤を含有してもよく、(A)成分や(C)成分又は香料成分などには既に基材に配合されている場合もある。配合することで分解による臭気発生を抑制することができる。
【0072】
本発明の液体柔軟剤組成物には、審美や長期保存時の着色による懸念を払拭する観点から、柔軟剤に配合されていることが知られている染料ないし顔料を配合することができる。
【0073】
また本発明の液体柔軟剤組成物には、プロキセル名やケーソン名で市販されている防菌・防黴剤を、安定性を損なわない範囲で配合することができる。
【0074】
さらに、本発明の液体柔軟剤組成物は、長期保存時の色相変化や香りの変質を防ぐ目的でメチルグリシン2酢酸(これはMGDAとしても知られている)、エチレンジアミン4酢酸(これはEDTAとしても知られている)、クエン酸及びそれらの塩などのキレート剤を含有することができ、MGDAが生分解性の上で好ましい。含有量は組成物中0.1質量%以下の少量で十分効果がある。なお、キレート剤は前記酸剤として機能してもよく、pH調整の目的を兼ねてもよい。
【0075】
また本発明の液体柔軟剤組成物には、繊維製品の風合いや感触の向上のために通常柔軟剤に配合する事が知られているジメチルポリシロキサンや各種変性シリコーンを配合してもよい。
【0076】
本発明の液体柔軟剤組成物は、繊維製品用として好適である。繊維製品は、衣料、寝具、タオルなどが挙げられる。
【実施例】
【0077】
<合成例1> (a−1)の合成
酸価205.8mgKOH/gの脂肪酸(パルミチン酸/ステアリン酸/オレイン酸/その他=11質量%/66質量%/20質量%/3質量%)とメチルジエタノールアミンとを、反応モル比1.7/1(脂肪酸/メチルジエタノールアミン)で、脱水縮合反応させて、N,N−ジアルカノイルオキシエチル−N−メチルアミンを主成分とする縮合物を得た。次にこの縮合物のアミン価を測定し、該縮合物に対してメチルクロライドを0.97等量用い、4級化を行い、N,N−ジアルカノイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライドを主成分とし、エタノールを10質量%含有する4級アンモニウム塩化合物を得た(以下、(a−1)という)。(a−1)が含む第4級アンモニウム塩中、化合物(a1)の割合は21質量%、化合物(a2)の割合は79質量%であった。(a−1)は、4級化率が95質量%であり、化合物(a1)、化合物(a2)、エタノール以外に、ジエステル構造体の3級アミン化合物、微量のジエタノールアミン及びその4級化物、並びに微量の脂肪酸を含んでいた。
【0078】
<合成例2> (a−2)の合成
酸価205.8mgKOH/gの脂肪酸(パルミチン酸/ステアリン酸/オレイン酸/その他=11質量%/66質量%/20質量%/3質量%)とビス−(2−ヒドロキシプロピル)−メチルアミンとを、反応モル比1.8/1(脂肪酸/ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−メチルアミン)で、脱水縮合反応させて、反応縮合物の酸価が0.6mgKOH/gになるまで、190℃で、反応時間8時間で、減圧下でエステル化した。次にこの縮合物のアミン価を測定し、該縮合物に対してメチルクロライドを0.95等量用い、4級化を行い、N,N−ジアルカノイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライドを主成分とし、4級アンモニウム塩化合物を得た(以下、(a−2)という)。(a−2)が含む第4級アンモニウム塩中、化合物(a1)の割合は8.2質量%、化合物(a2)の割合は91.8質量%であった。(a−2)は、4級化率が94質量%であり、化合物(a1)、化合物(a2)、エタノール以外に、ジエステル構造体の3級アミン化合物、微量の2−ヒドロキシプロピルアミン及びその4級化物、並びに微量の脂肪酸を含んでいた。
【0079】
なお、(a−1)、(a−2)について、化合物(a1)、化合物(a2)の割合、並びにその他成分の分析はHPLCを用い下記条件により測定した。
<HPLC条件>
カラム:Inertsil NH2 5μm(4.6×250mm)
移動相:0.05%(質量/容量)−トリフルオロ酢酸/ヘキサン溶液:メタノール:テトラヒドロフラン=85:10:5(容量比)
流速:測定開始から10分までは0.8mL、測定開始から10分超55分までは1.2mL、測定開始から55分超60分までは0.8mL
温度:25℃
検出:CAD
注入量:20μL
【0080】
<合成例3> (b−1)の合成
ペンタエリスリトール180g、ステアリン酸565g(ペンタエリスリトール1モルに対して脂肪酸1.5モル)、NaOH0.27gを、4つ口フラスコに仕込み、窒素ガスを導入しながら加熱し、反応で生成する水を除去しながら、235℃で5時間反応させた。反応物の酸価が1mgKOH/g以下になったことを確認し、70℃に冷却後、析出した未反応のペンタエリスリトールを同温度で加圧ろ過し、(b−1)を合成した。得られた(b−1)は、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの混合物であり、各エステル化合物の割合は、脂肪酸モノエステル構造体29質量%、脂肪酸ジエステル構造体43質量%、脂肪酸トリエステル構造体23質量%、脂肪酸テトラエステル構造体5質量%であった。脂肪酸モノエステル構造体、脂肪酸ジエステル構造体、脂肪酸トリエステル構造体、及び脂肪酸テトラエステル構造体の割合は、高速GPC装置 HCL−8220GPC(東ソー株式会社製)を用いて下記条件で測定した。
<HPLC条件>
カラム:TSKgel G1000HXL+G2000HXL(直列連結)
移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流速:0.7ml/min
温度:25℃
検出器:RI
試料濃度及び注入量:1%THF溶液、20μl
【0081】
<合成例4> (b’−1)の合成
合成例2においてペンタエリスリトールを180g、ステアリン酸を264g(ペンタエリスリトール1モルに対して脂肪酸0.7モル)を用いた以外は同様の方法で合成し(b’−1)を得た。得られた(b’−1)は、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの混合物であり、各エステル化合物の割合は、脂肪酸モノエステル構造体62質量%、脂肪酸ジエステル構造体31質量%、脂肪酸トリエステル構造体6質量%、脂肪酸テトラエステル構造体1質量%であった。
【0082】
<合成例5> (c−1)の製造
ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体(デモールEP、固形分25%、花王株式会社)1.7gを塩酸で中和後、さらにイオン交換水で希釈することにより、固形分3%、pH4.3の水溶液を得た。次に、前記ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液100gに、表1の組成の香料(c1−1)を36g加え、ホモミキサーを用いて乳化し、これを50℃に昇温した。次に、部分メチロール化メラミン樹脂(商品名Cymel385、固形分80%、Cytec Industries Inc製)を12g、イオン交換水35gを混合した水溶液を滴下した。これを50℃で2時間保持し、さらに70℃で1時間保持し、さらに80℃で3時間保持し、封入を完了させた。その後、放冷することによって、平均粒径7μm、有効分30質量%のマイクロカプセルスラリーとして(c−1)を得た。(c−1)は、マイクロカプセルの内包物(芯物質)中、香料(C1)の割合が80質量%であった。
【0083】
ここで、香料(c1−1)は、下記表1のものである。
【0084】
【表1】
【0085】
<合成例6> (c−2)の製造
イオン交換水240gを1L4つ口フラスコに加えた。4つ口フラスコには2本の滴下ロートを接続し、1本の滴下ロートにはアクリル酸98.8g(和光純薬工業(株)製)、アクリルアミド20.0gを混合した液(モノマー液)を入れておき、もう1本の滴下ロートにはV−50(和光純薬工業(株)製、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオアミジン)ジヒドロクロライド)3.75gをイオン交換水75gで希釈した液(開始剤液)を入れた。この装置を210kPaまで減圧し、窒素で常圧に戻す作業を3回繰り返すことにより、脱気した。フラスコ内を70℃に加熱後、モノマー液を3.7g/分、開始剤液を1.3g/分となるように滴下し、滴下後さらに2時間熟成後、反応液を冷却した。反応液300gをアセトン800gに滴下することにより、ポリマーの再沈殿を行なった。得られたポリマーを60kPaの減圧下80℃で48時間乾燥し、アクリル酸−アクリルアミド共重合体52gを得た。重量平均分子量は17万であった。
【0086】
上記の方法で得られたアクリル酸−アクリルアミド共重合体2.4gをイオン交換水84gに希釈し、水酸化ナトリウム水溶液でpH4に調整した。これに部分メチロール化メラミン樹脂(商品名Cymel385)3gを加え、30分間攪拌を行なった。次に、前記合成例4で用いた、表1の組成の香料(c1−1)を76g加え、ホモミキサーを用いて乳化し、これを50℃に昇温し、1時間保持した。一方で、アクリル酸−アクリルアミド共重合体1g、イオン交換水48gを混合した水溶液を水酸化ナトリウムでpH4.8に調整し、部分メチロール化メラミン樹脂(商品名Cymel385)10g、硫酸ナトリウム1.5gを加え、30分間攪拌後、これを乳化液に加えた。70℃で14時間保持した後、冷却し、平均粒径7μm、有効分30質量%のマイクロカプセルスラリーとして(c−2)を得た。(c−2)は、マイクロカプセルの内包物(芯物質)中、香料(C1)の割合が80質量%であった。
【0087】
実施例及び比較例で使用した成分のうち、表中記号で示したものを以下に示す。
<(A)成分>
(a−1):上記合成例1で製造した、4級アンモニウム塩混合物を含む反応生成物。表3に示した(a−1)の数値は、(a−1)の有姿での含有濃度である。(a−1)中の(A)成分濃度は85質量%である。
(a−2):上記合成例2で製造した、4級アンモニウム塩混合物を含む反応生成物。表3に示した(a−2)の数値は、(a−2)の有姿での含有濃度である。(a−2)中の(A)成分濃度は95質量%である。
【0088】
<(B)成分>
(b−1):上記合成例3で製造した、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル混合物を含む反応生成物
【0089】
<(B’)成分>
(b’−1):上記合成例4で製造した、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル混合物を含む反応生成物
【0090】
<(C)成分>
(c−1)上記合成例5で製造したマイクロカプセル香料
(c−2)上記合成例6で製造したマイクロカプセル香料
【0091】
<(G)成分>
(g−1):ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数が30モルである)
【0092】
実施例1〜7及び比較例1〜2
表2に示す組成の液体柔軟剤組成物を以下の方法で調製した。得られた液体柔軟剤組成物について、下記要領で柔軟性付与効果及び賦香性効果について評価した。結果を表2に併せて示す。表2中、一部の比較例は、(B’)成分を(B)成分として(A)成分/(B)成分の質量比を示した。
【0093】
<液体柔軟剤組成物の調製>
300mLのガラスビーカー(内径7cm、高さ11cm)に、液体柔軟剤組成物出来上がり質量300gとなるのに必要な量の95%に相当する量のイオン交換水(65℃)と(D)成分である水溶性有機溶剤、(F)成分である酸剤、(G)成分である界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤を入れ、ウォーターバスにて内容物温度が65℃以上となるよう加熱した。次いで、スリーワンモーター(新東科学(株)製、TYPE HEIDON 1200G)に装着した攪拌羽根(タービン型攪拌羽根、3枚翼、翼長2cm)をガラス製ビーカー底面から1cmの高さに設置し、回転数350r/minで攪拌しながら、あらかじめ65℃で溶融・混合した(A)成分である脂肪酸エステル構造体タイプの4級アンモニウム化合物と(B)成分又は(B’)成分であるペンタエリスリトール脂肪酸エステルと(C)成分であるマイクロカプセル香料粒子を投入した後、65℃加熱下10分間350r/minにて攪拌し、さらに(E)成分である水溶性無機塩を加え10分間撹拌した。次いで、氷水を入れたウォーターバス中で内容物が25℃になるまで、回転数350r/minにて攪拌冷却した。内容物温度が30℃まで下がった後、各成分の濃度が表2記載の値となるのに必要な量のイオン交換水を添加し、30℃、回転数200r/minにて10分間攪拌し、液体柔軟剤組成物を得た。
【0094】
<柔軟性の評価方法>
(1)評価タオルの前処理
あらかじめ、非イオン性界面活性剤(ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物(平均付加モル数8))を用いて、市販の木綿タオル(武井タオル製、TW−220)24枚を、日立自動洗濯機NW−6CYの洗濯工程を5回繰り返した(非イオン界面活性剤使用量4.5g、標準コース、水量45L、水温20℃、洗浄時間10分、ため濯ぎ2回)。その後、20℃、43%RHの条件下で1日間乾燥した。
【0095】
(2)評価タオルの柔軟処理
National製電気バケツ式洗濯機(MiniMini、型番:NA−35)に、20℃に調温した市水を4.5L注水し、上記(1)の方法で前処理した木綿タオル2枚を投入し、1分間攪拌した。攪拌後、表2記載の液体柔軟剤組成物を木綿タオル1.5kg当たり10gとなる量にて投入し、5分間攪拌した。その後、脱水層で3分間脱水し、20℃43%RHの条件下で1日間乾燥した。
【0096】
(3)柔軟性の評価
10人のパネラーによって、表2に記載の組成の配合液で処理・乾燥した木綿タオルの柔らかさを、比較例1で処理・乾燥した木綿タオルのやわらかさと比較した。表2中の柔らかさの数値は、10人のパネラーの平均値を表している。この評価では、平均の点数が1.5以上であることが好ましい。
評価基準:
0:比較例1よりも柔らかくない
1:比較例1と同等の柔らかさ
2:比較例1より柔らかい
【0097】
<処理後の繊維製品の賦香性評価>
前記「柔軟性の評価方法」の(2)の方法で柔軟処理後、乾燥させた木綿タオルを、4つ折りにした状態で10分間静置させた。静置後、4つ折りの状態から2つ折りの状態に木綿タオルを開き、開いた部分の香りの強さを、比較例1で処理・乾燥した木綿タオルのそれと比較した。評価は、10人のパネラーで行い、パネラーの評価毎に、4つ折りの状態で10分間静置後、2つ折りの状態で官能評価を実施した。表2中の香りの強さの数値は、10人のパネラーの平均値を示す。この評価では、平均の点数が1.1以上であることが好ましい。
評価基準:
0:比較例1よりも香りが弱い
1:比較例1と同等の香りの強さ
2:比較例1よりも香りが強い
【0098】
【表2】