特許第6367694号(P6367694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367694
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両用変速装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/54 20060101AFI20180723BHJP
   F16H 3/72 20060101ALI20180723BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20180723BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20180723BHJP
   B60K 6/365 20071001ALI20180723BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   F16H3/54
   F16H3/72 A
   B60K6/445
   B60K6/40
   B60K6/365
   B60L11/14ZHV
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-236942(P2014-236942)
(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公開番号】特開2016-44808(P2016-44808A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0111407
(32)【優先日】2014年8月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 伯 猷
(72)【発明者】
【氏名】朴 太 植
(72)【発明者】
【氏名】金 錫 俊
(72)【発明者】
【氏名】安 哲 民
(72)【発明者】
【氏名】邊 成 崑
(72)【発明者】
【氏名】崔 光 敏
(72)【発明者】
【氏名】許 準 會
【審査官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−153113(JP,A)
【文献】 特開2007−001446(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0250274(US,A1)
【文献】 実開昭57−058119(JP,U)
【文献】 特開2011−112172(JP,A)
【文献】 特開2007−270865(JP,A)
【文献】 特開平09−071139(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/105482(WO,A1)
【文献】 特開2012−162144(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102013006858(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/54
B60K 6/365
B60K 6/40
B60K 6/445
B60L 11/14
F16H 3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機ハウジング内で、エンジンの動力が入力される入力軸の軸線上に配置された第1、第2モータ/ジェネレータ、遊星ギヤセット、第1、第2出力ギヤ、ブレーキ、及び回転制限部材を含むハイブリッド車両用変速装置において、
前記変速装置は、前記エンジンと第1モータ/ジェネレータとの動力を前記第2出力ギヤに伝達するように前記入力軸の半径外側に配置された中空軸と、前記第2モータ/ジェネレータの動力を第1出力ギヤに伝達するように前記中空軸の半径外側に配置された外郭軸と、前記変速機ハウジングの後端部に結合されたリヤカーバーと、を更に含み、
前記遊星ギヤセットは、サンギヤ、遊星キャリア、及びリングギヤを回転要素として含み、
前記サンギヤは、前記第1モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブとスプライン結合した状態で、第1ベアリングによって変速機ハウジングに回転可能に支持され、前記リングギヤは、前記変速機ハウジングに第2ベアリングによって回転可能に支持された中空軸に連結部材を介して連結され、前記遊星キャリアは、前記サンギヤとの間及び中空軸の延長端との間にそれぞれ配置された第3ベアリングによって回転可能に支持されたことを特徴とするハイブリッド車両用変速装置。
【請求項2】
前記エンジン側から後方に、回転制限部材、第2出力ギヤ、第1出力ギヤ、第2モータ/ジェネレータ、遊星ギヤセット、第1モータ/ジェネレータ、及びブレーキが順次に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項3】
前記第1モータ/ジェネレータは、
ローターに連結されたハブの一側内側部と、リヤカーバーの内側に形成された固定端の外側部と、の間に介在された第4ベアリングと、
前記ハブの他側外側部及び前記変速機ハウジングの間に介在された前記第1ベアリングと、
によって回転可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項4】
前記第1、第2、第4ベアリングは、ボールベアリングからなり、前記第3ベアリングは、スラストベアリングからなることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項5】
前記回転制限部材は、ワンウェイクラッチ、ツーウェイクラッチ、又はブレーキで構成されたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項6】
前記第1出力ギヤと前記第2出力ギヤとの間に配置され、前記外郭軸に連結されるパーキングギヤを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項7】
前記外郭軸は、前記パーキングギヤを軸方向に固定するためのスナップリングと、前記スナップリングの離脱を防止するための固定リングと、が設置されたことを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項8】
前記第2出力ギヤは、前記中空軸の前端部にスプライン結合され、前記第2出力ギヤの延長端の外側部と前記変速機ハウジングとの間には第5ベアリングが介在されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項9】
前記第2モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブは、前記外郭軸にスプライン結合され、前記外郭軸には、前記ハブを軸方向に固定するためのスナップリングと、前記スナップリングの離脱を防止する固定リングと、が設置されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項10】
前記ブレーキは、前記リヤカーバーと、前記第1モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブと、の間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項11】
前記変速機ハウジングの内部で、第1、第2出力ギヤ上部には、チャーニングオイルを捕集する捕集タンクが配置されたことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項12】
前記入力軸とリヤカーバーの内側に形成された固定端との間に、潤滑パイプが設置されたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【請求項13】
前記潤滑パイプの一端は、前記固定端のオイル通路に嵌合して固定され、前記潤滑パイプの他端は、前記入力軸のオイル通路にギャップを形成しながら挿入されたことを特徴とする請求項12に記載のハイブリッド車両用変速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用変速装置に係り、より詳しくは、電気自動車モード、動力分岐モード、及びオーバードライブモードを具備するハイブリッド車両用変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ハイブリッド車両は、異なる二種類以上の動力源を効率的に組み合わせて駆動される車両である。
このようなハイブリッド車両は、通常、エンジンとモータ/ジェネレータとを動力源として使用する。ハイブリッド車両は、低速では相対的に低速トルク特性の良いモータ/ジェネレータを主動力源として使用し、高速では相対的に高速トルク特性の良いエンジンを主動力源として使用する。
【0003】
これにより、ハイブリッド車両は、低速区間で化石燃料を使用するエンジンの作動を停止してモータ/ジェネレータを使用するため、燃費改善と排気ガスの削減に優れた効果がある。
【0004】
上記のようなハイブリッド車両用変速装置は、単一モード方式と多重モード方式に分類される。
単一モード方式は、変速制御のためのクラッチ及びブレーキのようなトルク伝達機構が不要であるという長所はあるが、高速走行時に効率が低下して燃費が低く、大型車両に適用するためには、付加的なトルク増倍装置が必要であるという短所がある。
一方、多重モード方式は、高速走行時に効率が高く、それ自体でトルク増倍が可能なように設計することができ、中大型車両にも適用可能であるという長所がある。
【0005】
これにより、近年は、単一モード方式よりは多重モード方式が主に採択されるようになってきており、それに伴う研究が活発に行われている。
多重モード方式の動力伝達装置は、遊星ギヤセット、モータ及び発電機として使用される複数のモータ/ジェネレータ、遊星ギヤセットの回転要素を制御するトルク伝達機構(摩擦要素)、及びモータ/ジェネレータの動力源として使用されるバッテリーなどを含んで構成される。
【0006】
このような多重モード方式の動力伝達装置は、遊星ギヤセット、モータ/ジェネレータ、及びトルク伝達機構の連結構成により異なった作動メカニズムを有する。
また、多重モード方式の動力伝達装置は、その連結構成によって耐久性、動力伝達効率、装置寸法などが異なるため、ハイブリッド車両用変速装置の分野では、より耐久性に優れで、動力損失が少なく、コンパクトな動力伝達構造を具現するための研究開発が続けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−137333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、遊星ギヤセットのサンギヤ及び第1モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブそれぞれを、各々一つのベアリングで変速機ハウジングに回転可能に支持し、遊星ギヤセットのリングギヤと中空軸も、各々一つのベアリングで変速機ハウジングに回転可能に支持して、コンパクトな構成が可能なハイブリッド車両用変速装置を提供することを課題とする。
【0009】
また、本発明は、第1モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブと、リヤカバーの内側に形成された固定端と、の間のベアリングを、ハブの内側部に設置することによって、変速機ハウジングの全長を縮小したハイブリッド車両用変速装置を提供する。
また、本発明は、慣性モーメントの大きい外郭軸にパーキングギヤを配置してパーキング衝撃を低減したハイブリッド車両用変速装置を提供する。
【0010】
また本発明は、チャーニングオイル(churning oil)を捕集するための捕集タンクを第2モータ/ジェネレータとエンジンとの間に配置された第1、第2出力ギヤの上部に配置し、EV走行時に第2モータ/ジェネレータに冷却オイルを容易に供給するハイブリッド車両用変速装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置は、変速機ハウジング内で、エンジンの動力が入力される入力軸の軸線上に配置された第1、第2モータ/ジェネレータ、遊星ギヤセット、第1、第2出力ギヤ、ブレーキ、及び回転制限部材を含むハイブリッド車両用変速装置において、
変速装置は、エンジンと第1モータ/ジェネレータとの動力を第2出力ギヤに伝達するように入力軸の半径外側に配置された中空軸と、第2モータ/ジェネレータの動力を第1出力ギヤに伝達するように中空軸の半径外側に配置された外郭軸と、変速機ハウジングの後端部に結合したリヤカーバーと、を更に含むことができる。
【0012】
遊星ギヤセットは、サンギヤ、遊星キャリア、及びリングギヤをその回転要素として含み、サンギヤは、第1モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブとスプライン結合した状態で、第1ベアリングによって変速機ハウジングに回転可能に支持され、リングギヤは、変速機ハウジングに第2ベアリングによって回転可能に支持された中空軸に連結部材を介して連結され、遊星キャリアは、サンギヤとの間及び中空軸の延長端との間それぞれ配置された第3ベアリングによって回転可能に支持されることができる。
【0013】
前記エンジン側から後方に、回転制限部材、第2出力ギヤ、第1出力ギヤ、第2モータ/ジェネレータ、遊星ギヤセット、第1モータ/ジェネレータ、及びブレーキが順次に配置されることができる。
【0014】
前記第1モータ/ジェネレータは、ローターに連結されたハブの一側内側部及びリヤカーバーの内側に形成された固定端の外側部の間に介在する第4ベアリングと、ハブの他側外側部及び変速機ハウジングの間に介在された第1ベアリングと、によって回転可能に支持されることができる。
【0015】
前記第1、第2、第4ベアリングは、ボールベアリングからなり、第3ベアリングは、スラストベアリングからなることができる。
前記回転制限部材は、ワンウェイクラッチ、ツーウェイクラッチ、又はブレーキで構成されることができる。
【0016】
前記第1出力ギヤと前記第2出力ギヤとの間に配置され、外郭軸に連結されるパーキングギヤを更に含むことができる。
前記外郭軸は、パーキングギヤを軸方向に固定するためのスナップリングと、スナップリングの離脱を防止するための固定リングと、が設置されることができる。
【0017】
前記第2出力ギヤは、中空軸の前端部にスプライン結合され、第2出力ギヤの延長端の外側部と変速機ハウジングとの間には第5ベアリングが介在することができる。
前記第2モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブは、外郭軸にスプライン結合され、外郭軸には、ハブを軸方向に固定するためのスナップリングと、スナップリングの離脱を防止する固定リングとが設置されることができる。
【0018】
前記ブレーキは、リヤカーバーと、第1モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブと、の間に配置されることができる。
前記変速機ハウジングの内部で、第1、第2出力ギヤ上部には、チャーニングオイルを捕集する捕集タンクが配置されることができる。
【0019】
入力軸とリヤカーバーの内側に形成された固定端との間に、潤滑パイプが設置されることができる。
前記潤滑パイプの一端は、固定端のオイル通路に嵌合して固定され、潤滑パイプの他端は、入力軸のオイル通路にギャップを形成しながら挿入することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のハイブリッド車両用変速装置は、入力軸IS上に配置される遊星ギヤセットのサンギヤとリングギヤを、それぞれ第1モータ/ジェネレータと中空軸と共にベアリングによって変速機ハウジングに回転可能に支持されるようにしたことで、構成部品数を減らして変速装置をコンパクトできるという利点がある。
【0021】
また、第1モータ/ジェネレータ用のベアリングを第1モータ/ジェネレータのローターに連結されたハブの内側部に挿入したので、変速機ハウジングの全長を更に縮小することができるという利点があった。
また、慣性モーメントの大きい外郭軸にパーキングギヤを連結したことで、パーキング衝撃を低減することができた。
【0022】
また、チャーニングオイル(churning oil)を捕集するための捕集タンクを第1、第2出力ギヤの上部に配置したので、EV走行時に第2モータ/ジェネレータに冷却オイルの供給を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置の構成図である。
図2】本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置の断面図である。
図3図2のA部分の拡大断面図である。
図4図2のB部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
但し、本発明の実施例を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素については同一の図面符号を適用して説明する。
下記の説明において、構成要素の名称を第1、第2等と区分したのは、その構成要素の名称が同一であり、これを区分するためであるので、必ずしもその順序に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置の構成図である。
図1に示すように、本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置は、エンジンEngと第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の動力を車両の走行状態により変化させ、変化した動力を第1、第2出力ギヤOG1、OG2を通じて出力する。
【0026】
変速装置は、第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2、遊星ギヤセットPS、第1、第2出力ギヤOG1、OG2、ブレーキBK、回転制限部材(OWC、TWC、又はブレーキ)、減速ギヤ手段CGUを含む。
第1モータ/ジェネレータMG1と第2モータ/ジェネレータMG2とは、それぞれ独立した動力源であり、モータおよびジェネレータの両方の機能を備える。
【0027】
第1モータ/ジェネレータMG1は、遊星ギヤセットPSのサンギヤSと直接連結し、サンギヤSを通じて回転動力を遊星ギヤセットPSに供給するモータとして作動する。
第2モータ/ジェネレータMG2は、外郭軸MS2を通じて第1出力ギヤOG1と直接連結し、第1出力ギヤOG1に回転動力を供給するモータとして作動する。
【0028】
このため、第1モータ/ジェネレータMG1の固定子と第2モータ/ジェネレータMG2の固定子は、それぞれ変速機ハウジングHに固定され、第1モータ/ジェネレータMG1の回転子と第2モータ/ジェネレータMG2の回転子がそれぞれ遊星ギヤセットPSのサンギヤと第1出力ギヤOG1に連結される。
【0029】
第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2と遊星ギヤセットPSとは、入力軸IS上に配置される。
この時、第1出力ギヤOG1は、第2モータ/ジェネレータMG2の動力を出力する出力ギヤとして作動し、第2出力ギヤOG2は、遊星ギヤセットPSを通じて伝達されたエンジンEng及び第1モータ/ジェネレータMG1の動力を出力する出力ギヤとして作動する。
【0030】
また、ブレーキBKは、油圧によって摩擦結合する多板式油圧摩擦結合ユニットからなり、本発明の実施例において、回転制限部材としてワンウェイクラッチOWCが使用されることを例示したが、これに限定されるものではなく、ツーウェイクラッチTWC又はブレーキBRAKEが使用されてもよい。
【0031】
このようなハイブリッド車両用変速装置を更に具体的に説明する。
遊星ギヤセットPSは、シングルピニオン遊星ギヤセットであり、サンギヤS、サンギヤSと外接で噛み合うピニオンPを回転可能に支持する遊星キャリアPC、そしてピニオンPと内接で噛み合うリングギヤRを回転要素として含む。
【0032】
遊星ギヤセットPSは、サンギヤSが第1モータ/ジェネレータMG1に直接連結されると同時に、変速機ハウジングHに選択的に固定され、遊星キャリアPCが入力軸ISに直接連結され、リングギヤRが出力要素として作動する。
【0033】
第1モータ/ジェネレータMG1は、遊星ギヤセットPSのサンギヤSと連結され、サンギヤSを駆動させるモータとして作動する。
第2モータ/ジェネレータMG2は、第1出力ギヤOG1と直接連結され、第1出力ギヤOG1に動力を伝達するモータとして作動する。
エンジンEngの動力は、入力IS軸を通じて遊星ギヤセットPSの遊星キャリアPCに入力される。
【0034】
ブレーキBKは、オーバードライバーOD(OVER DRIVE)で作動するブレーキであり、遊星ギヤセットPSのサンギヤSと変速機ハウジングHとの間に配置されている。ブレーキBKは、サンギヤSと変速機ハウジングHとを選択的に連結して、サンギヤSを選択的に固定要素として作動させる。
ワンウェイクラッチOWCは、入力軸ISと変速機ハウジングHとの間に配置され、入力軸ISを一方向のみに回転させる。
【0035】
また、遊星ギヤセットPSのリングギヤRは、中空軸MS1を通じて第2出力ギヤOG2と直接連結され、エンジンEng及び/又は第1モータ/ジェネレータMG1の回転動力を第2出力ギヤOG2に入力する。
そして、第1、第2出力ギヤOG1、OG2の回転速度は、減速ギヤ手段CGUを通じて減速され、減速された回転速度がデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
【0036】
減速ギヤ手段CGUは、入力軸ISとデファレンシャルDIFFとの間で入力軸ISに平行に配置される第1、第2中間軸CS1、CS2を含む。
第1中間軸CS1の一側には、第1中間ギヤCG1が固定的に配置され、第1出力ギヤOG1と噛合い、第2中間軸CS2の一側には、第2中間ギヤCG2が固定的に配置され、第2出力ギヤOG2と噛合う。
【0037】
また、第1、第2中間軸CS1、CS2の他側には、それぞれ第1、第2駆動ギヤDG1、DG2が固定的に配置され、デファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGと噛合う。
この時、第1、第2中間ギヤCG1、CG2の直径は第1、第2駆動ギヤDG1、DG2の直径に比べて大きいので、減速ギヤ手段CGUは、第1、第2出力ギヤOG1、OG2の回転速度を減速し、減速された回転速度を終減速ギヤFGに伝達する。
【0038】
ハイブリッド車両用変速装置は、EVモード、動力分岐モード、ODモードを具現することができる。
EVモードでは、ワンウェイクラッチOWCが作動し、ODモードではブレーキBKが作動し、市内走行で頻繁に使用される動力分岐モードではワンウェイクラッチOWC及びブレーキBKの両方とも作動しない。
【0039】
EVモードでは、ワンウェイクラッチOWCの作動で入力軸ISが一方向のみに回転し、エンジンEngは停止した状態を維持する。
EVモードでは、第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2が同時に駆動され、第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の動力の全てが、デファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
【0040】
つまり、第1モータ/ジェネレータMG1の回転動力は、遊星ギヤセットPSを通じて第2出力ギヤOG2に逆回転速度で出力され、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力は、第1出力ギヤOG1に同速で出力される。従って、第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の速度制御によって電子的無段変速が行われる。
【0041】
この時、第1モータ/ジェネレータMG1の回転動力は、遊星ギヤセットPS、第2出力ギヤOG2、第2中間ギヤCG2、第2駆動ギヤDG2を通じてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達され、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力は、第1出力ギヤOG1、第1中間ギヤCG1、第1駆動ギヤDG1を通じてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
【0042】
動力分岐モードは、市内区間で頻繁に使用されるモードで、ブレーキBKとワンウェイクラッチOWCの両方とも作動しない。
動力分岐モードでは、エンジンEngと第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2が同時に駆動され、エンジンEngと第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の回転動力が全てデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
【0043】
つまり、エンジンEngの回転動力は、入力軸ISを通じて遊星ギヤセットPSの遊星キャリアPCに入力された後、リングギヤRを通じて第2出力ギヤOG2に主動力として伝達され、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力は、第1出力ギヤOG1に補助動力として伝達される。
【0044】
この時、第1モータ/ジェネレータMG1が作動して遊星ギヤセットPSのサンギヤSに第1モータ/ジェネレータMG1の回転動力が入力されれば、サンギヤSが反力要素として作動してエンジンEngの回転動力が遊星キャリアPCを通じて出力される。
このような動力分岐モードでは、遊星ギヤセットPSが直接的に変速に関与せず、第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2の速度制御によって電子的無段変速が行われる。
【0045】
第1、第2出力ギヤOG1、OG2に入力されたエンジンEng及び第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力は、第1、第2中間ギヤCG1、CG2と、第1、第2駆動ギヤDG1、DG2と、を通じてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
そして、ODモードでは、エンジンEngの回転動力が主動力として使用され、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力が補助動力として使用される。
【0046】
ODモードでは、ブレーキBKの作動でエンジンEngの回転動力が入力軸ISを通じて遊星ギヤセットPSの遊星キャリアPCに入力される。この場合、サンギヤSが固定要素として作動するので、入力軸ISの回転速度は増加し、増加した回転速度はリングギヤRを通じて第2出力ギヤOG2に伝達される。同時に、第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力が第1出力ギヤOG1に伝達される。
【0047】
ODモードでは、遊星ギヤセットPSが直接的に変速に関与せず、入力軸IS、遊星ギヤセットPSを通じて第2出力ギヤOG2に伝達されるエンジンEngの動力と、第1出力ギヤOG1に伝達される第2モータ/ジェネレータMG2の動力によって電子的無段変速が行われる。
【0048】
第1、第2出力ギヤOG1、OG2に入力されたエンジンEng及び第2モータ/ジェネレータMG2の回転動力は、第1、第2中間ギヤCG1、CG2と第1、第2駆動ギヤDG1、DG2を通じてデファレンシャルDIFFの終減速ギヤFGに伝達される。
【0049】
これにより、エンジンEngと第1モータ/ジェネレータMG1及び第2モータ/ジェネレータMG2は、全て駆動力を発生させることができ、第1モータ/ジェネレータMG1と第2モータ/ジェネレータMG2の速度制御を通じて変速比を連続的に変化させることができ、燃費性能を向上させることができる。
以下、ハイブリッド車両用変速装置を更に詳しく説明する。
【0050】
図2は、本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置の軸方向展開断面図であり、図3乃至図4は、図2のA部分、B部分の拡大断面図である。
図2に示すように、本発明の実施例に係るハイブリッド車両用変速装置は、エンジンEngの動力が入力される入力軸ISの軸線上に第1、第2モータ/ジェネレータMG1、MG2、遊星ギヤセットPS、第2モータ/ジェネレータMG2用の第1出力ギヤOG1、エンジンEng用の第2出力ギヤOG2、オーバードライブOD用のブレーキBK、及びワンウェイクラッチOWCが配置される。
【0051】
この時、入力軸ISの軸線上には、エンジンEngから後側に、ワンウェイクラッチOWC、第2出力ギヤOG2、第1出力ギヤOG1、第2モータ/ジェネレータMG2、遊星ギヤセットPS、第1モータ/ジェネレータMG1、及びブレーキBKが順次に配置される。
【0052】
また、入力軸ISと同軸でエンジンEngの動力又は第1モータ/ジェネレータMG1の動力を第2出力ギヤOG2に伝達するための中空軸MS1が入力軸ISの半径外側に配置され、第2モータ/ジェネレータMG2の動力を第1出力ギヤOG1に伝達するための外郭軸MS2が中空軸MS1の半径外側に配置される。
【0053】
図3に示すように、この時遊星ギヤセットPSのサンギヤSは、第1モータ/ジェネレータMG1のローターRT1に連結されたハブ13とスプライン結合され、サンギヤSとハブ13とは、第1ベアリングB1によって変速機ハウジングHに回転可能に支持される。
【0054】
また、遊星ギヤセットPSのリングギヤRは、変速機ハウジングHに、第2ベアリングB2によって回転可能に支持された中空軸MS1に連結部材17を介して連結されている。
また、遊星ギヤセットPSの遊星キャリアPCの一側面とサンギヤSとの間、及び遊星キャリアPCの他側面と中空軸MS1の延長端19との間には、それぞれ第3ベアリングB3が配置されて遊星キャリアPCを回転可能に支持する。
【0055】
そして、第1モータ/ジェネレータMG1のローターRT1に連結されたハブ13の一側内側部と、変速機ハウジングHの後端部に結合するリヤカーバーRCの内側に形成された固定端11の外側部と、の間には第4ベアリングB4が介在され、ハブ13の他側外側部と、変速機ハウジングHと、の間には第1ベアリングB1が介在され、これらによってローターRT1は回転可能に支持される。
【0056】
ここで、第1モータ/ジェネレータMG1のローターRT1に連結されたハブ13と、リヤカーバーRCの内側に形成された固定端11と、の間に設置される第4ベアリングB4がハブ13の内側部に挿入されて設置されるので、変速機ハウジングHの全長を縮小することができるという利点がある。
また、第1、第2、第4ベアリングB1、B2、B4は、ボールベアリングからなり、第3ベアリングB3は、スラストベアリングからなり、リヤカーバーRCは、変速機ハウジングHの後端部に装着される。
【0057】
そして、図4に示すように、第1出力ギヤOG1と第2出力ギヤOG2との間には、パーキングギヤPGが配置されており、パーキングギヤPGは、外郭軸MS2にスプライン結合して連結される。
ここで、パーキングギヤPGは、慣性モーメントが比較的大きい外郭軸MS2に連結され、パーキング衝撃を低減するようになっている。
【0058】
また、外郭軸MS2に連結されたパーキングギヤPGは、外郭軸MS2に装着されたスナップリングSR1によって軸方向の動きが制限され、スナップリングSR1は、固定リングLR1によって外郭軸MS2に軸方向及び径方向に固定され、高速回転時にスナップリングSR1の離脱が防止されている。
【0059】
また、第2出力ギヤOG2は、中空軸MS1の前端部にスプライン結合され、第2出力ギヤOG2の前方に延長された延長端21の外側部と、変速機ハウジングHと、の間に第5ベアリングB5が介在され、これによって第2出力ギヤOG2は、変速機ハウジングHに対して回転可能に支持される。
【0060】
図3に示すように、第2モータ/ジェネレータMG2は、ローターRT2と連結したハブ15が外郭軸MS2にスプライン結合した状態で、スナップリングSR2によって軸方向の動きが制限され、スナップリングSR2は、再び固定リングLR2によって外郭軸MS2に軸方向及び径方向に固定される。従って、高速回転時にスナップリングSR2の離脱が防止される。
【0061】
また、ブレーキBKは、変速機ハウジングHの後端部に装着されたリヤカーバーRCと第1モータ/ジェネレータMG1のローターRT1に連結されたハブ13との間に配置される。この時、ブレーキBKのピストン23は、リヤカーバーRCに向かって配置される。
【0062】
また、図2に示すように、変速機ハウジングHの内部で第2モータ/ジェネレータMG2とエンジンEngとの間の第1、第2出力ギヤOG1、OG2の上部にチャーニングオイルを捕集するための捕集タンクTKが配置されている。従って、変速機ハウジングHの内部の空間を効果的に活用しながら、第2モータ/ジェネレータMG2に冷却オイルの供給が有利に構成される。
【0063】
そして、入力軸ISとリヤカーバーRCの内側に形成された固定端11との間には、潤滑パイプ25が設けられる。潤滑パイプ25は、固定端11のオイル通路Lに一端が嵌合して固定され、入力軸ISのオイル通路Lに他端がそれらの間にギャップを形成しながら挿入されて、潤滑オイルが遊星ギヤセットPS側に案内されるように設けられる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は、上記実施例に限定されず、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等であると認められる範囲の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0065】
IS 入力軸
MS1 中空軸
MS2 外郭軸
MG1、MG2 第1、第2モータ/ジェネレータ
PG 遊星ギヤセット
S サンギヤ
PC 遊星キャリア
R リングギヤ
OG1、OG2: 第1、第2出力ギヤ
RC リヤカーバー
11 固定端
13、15 ハブ
B1、B2、B3、B4、B5 ベアリング
PG パーキングギヤ
R1、SR2 スナップリング
R1、LR2 固定リング
BK ブレーキ
図1
図2
図3
図4