(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記媒体押上部は、前記複数の媒体のうちの一部を押し上げた状態のまま、前記媒体搬出部から所定量の前記媒体が搬出されたときに、前記複数の媒体のうちの一部の押し上げを解除する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の媒体供給装置。
前記媒体押上部は、前記媒体搬出部から前記媒体を搬出しようとするときであって、前記媒体押上部が前記媒体を押し上げない状態かつ前記媒体収納部に収納された前記媒体の量が所定量以上のときに、複数の前記媒体のうちの一部を押し上げる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の媒体供給装置。
前記媒体押上部は、前記媒体交換カバーが閉状態であって、前記媒体押上部が前記媒体を押し上げない状態かつ前記媒体収納部に収納された前記媒体の量が所定量以上のときに、複数の前記媒体のうちの一部を押し上げる
ことを特徴とする請求項6に記載の媒体供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方法のうち、垂直方向に積み上げられた媒体における最下部の媒体(冊子)を供給する方法を採用するとき(特許文献4)、媒体を供給する都度、媒体を押し上げる動作を行っていたため、動作時間にロスが発生していた。また、積み上げられた媒体のうちの最下部の媒体に対する負荷を十分に軽減できずに、媒体表面に擦り傷が発生することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0007】
本発明の一態様は、
媒体を垂直方向に積み重ねるよう複数収納する媒体収納部(カード収納部2)と、
前記媒体収納部の最下部から前記媒体を水平方向に搬出する媒体搬出部(カード搬出部6)と、
前記媒体収納部に収納された複数の前記媒体のうちの一部を押し上げる媒体押上部(カード押上部)と、を備え、
前記媒体押上部は、前記媒体搬出部から前記媒体が連続的に搬出されるときには前記複数の媒体のうちの一部を押し上げたままの状態で保持し続ける
ことを特徴とする媒体供給装置(カード供給装置1)である。
【0008】
上記構成の媒体供給装置によれば、媒体を水平方向から挟みながら上昇させる構成とするため、最下部に位置する媒体に対する重量負荷を効果的に軽減することができる。さらに、媒体が連続的に搬出されるときに媒体を押し上げたままの状態で保持し続けるため、媒体搬出時に都度媒体を押し上げる必要がなくなる。その結果、媒体供給装置から媒体が供給されるときの動作時間を短縮することができる。
【0009】
また、本発明の別の態様では、上記媒体供給装置において、
前記媒体押上部(カード押上部)は、前記媒体搬出部から一の前記媒体が搬出されてから、次の前記媒体が搬出されることなく所定の時間が経過したときに、前記複数の媒体のうちの一部の押し上げを解除する
ことを特徴とする。
【0010】
上記構成の媒体供給装置によれば、媒体が連続的に搬出されているか否かの状態を、適切に検出しながら、媒体を搬出するよう動作させることができる。
【0011】
また、本発明の別の態様では、上記媒体供給装置において、
前記媒体押上部(カード押上部)は、前記複数の媒体のうちの一部を押し上げた状態のまま、前記媒体搬出部から所定量の前記媒体が搬出されたときに、前記複数の媒体のうちの一部の押し上げを解除する
ことを特徴とする。
【0012】
上記構成の媒体供給装置によれば、所定量の媒体が搬出され、押し上げられていない媒体の量が減少したときに、一旦、媒体の押し上げを解除する構成とすることができる。これによって、媒体収納部の最下部の媒体に適切な重量負荷がかかるよう制御することが可能となる。
【0013】
また、本発明の別の態様では、上記媒体供給装置において、
前記媒体押上部(カード押上部)は、前記媒体搬出部から前記媒体を搬出しようとするときであって、前記媒体押上部が前記媒体を押し上げない状態かつ前記媒体収納部に収納された前記媒体の量が所定量以上のときに、複数の前記媒体のうちの一部を押し上げる
ことを特徴とする。
【0014】
上記構成の媒体供給装置によれば、媒体収納部に収納された媒体の量が多いときにのみ、媒体の押し上げを行うよう制御することが可能となる。
【0015】
また、本発明の別の態様では、上記媒体供給装置において、
前記媒体収納部は、開状態で前記媒体の出し入れが可能となる媒体交換カバー(外装カバー91)を有しており、
前記媒体押上部は、前記媒体交換カバーが開状態のときには前記媒体を押し上げることを禁止する
ことを特徴とする。
【0016】
上記構成の媒体供給装置によれば、媒体収納部の媒体の交換を容易にする構成とすることができる。
【0017】
また、本発明の別の態様では、上記媒体供給装置において、
前記媒体押上部は、前記媒体交換カバー(外装カバー91)が閉状態であって、前記媒体押上部が前記媒体を押し上げない状態かつ前記媒体収納部に収納された前記媒体の量が所定量以上のときに、複数の前記媒体のうちの一部を押し上げる
ことを特徴とする。
【0018】
上記構成の媒体供給装置によれば、媒体の搬出が行われない場合でも予め媒体を押し上げておくことで、媒体の搬出が行われる際の動作時間を短縮することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
(1)カード供給装置の構成例
(2)動作例
2.カード供給装置の特徴
3.補足事項
【0021】
<1.実施形態>
まず、本発明の実施形態について説明する。本実施形態のカード供給装置の特徴のひとつは、垂直方向に積み上げられたカードを水平方向から挟みながら上昇させることができるカード押上部を備える点である。以下、特徴部分を中心に、具体的に説明する。
【0022】
<(1)カード供給装置の構成例>
図1〜
図4は、カード供給装置1の全体外観を示す図である。
図2は、
図1に示された筐体の一部が除去されたカード供給装置1の外観、
図3及び
図4はカード収納部2が取り外された状態のカード供給装置1の外観を示す。
図4は、
図3とは逆の側面から見たカード供給装置1を示している。
図1〜
図4に示されるように、カード供給装置1は、カード収納部2、駆動源4、カード搬出部6、台座7、及びプーリ駆動源8などを含んで構成される。カード供給装置1はさらに、第1歯車54a及び54b、並びに第2歯車55a及び55bを含む、カード押上部を含んで構成される。また、
図3に示されるように、カード収納部2はカード供給装置1から取り外し可能に構成される。
【0023】
図5〜
図7は、カード押上部及びその周辺の構成を示す図である。
図5では、アーム52a及び52bが下げられた状態(上昇する前の状態)のカード押上部及びその周辺が示されている。
図6では、アーム52a及び52bが上昇した状態のカード押上部及びその周辺が示されている。
図7では、ツマミ付きネジ511a及びゴムパッド51aと、ツマミ付きネジ511b及びゴムパッド51bとが取り外された状態のカード押上部及びその周辺が示されている。後述するように、カード押上部に含まれるゴムパッド51a及び51bは、オペレータによって容易に取り外し可能になっている。
【0024】
図5〜
図7に示されるように、駆動源4から変速ウォームギア部81に伝達された動力は、ベルト82a及び82bを回転させ、これによって第3歯車56a及び56bを回転させることで、間接的に第2歯車55a及び55bを回転させる。第2歯車55a及び55bが回転すると、第1歯車54a及び54bが回転する。ベルト82aには、軸83を介して変速ウォームギア部81の回転力が伝達される。
【0025】
図8は、カード押上部の構成を示す図である。
図5〜
図8に示されるように、カード押上部は、ゴムパッド51a、アーム52a、溝カム53a、及び第1歯車54aを含む左側カード押上部と、ゴムパッド51b、アーム52b、溝カム53b、及び第1歯車54bを含む右側カード押上部と、を含んで構成される。
【0026】
図5〜
図8に示されたカード押上部では、第1歯車54a及び54bから溝カム53bに対して伝達された回転力が、溝カム53a及び53bに形成された溝の作用により、アーム52a及び52bに対して垂直方向の動力に変換される。カード押上部では、アーム52a及び52bが垂直方向に上昇すると、ゴムパッド51a及び52bは互いに水平方向に近づきながら上昇し、所定の位置まで上昇すると、ゴムパッド51a及び52bがカード3を水平方向から挟むよう構成されている。すなわち、カード押上部は、カード収納部2に収納されたカード3を水平方向から挟みながら上昇させることで押し上げることができる構成となっている。
【0027】
より具体的には、アーム52a及び52bには、
図5〜
図8に示されるように摺接部521a及び521bが形成されている。これらの摺接部521a及び521bは、それぞれアーム52a及び52bの上(ゴムパッド51a及び51bが配置された位置)から下に向かって徐々に厚さが薄くなっており、この厚さの変化により勾配が形成される。また、これらの摺接部521a及び521bが当接する位置にはローラ57a及び57bがそれぞれ配置される(
図5〜
図8参照)。ゴムパッド51a及び51bは、バネなどによりカード3側(内側)に力を加えられる。
【0028】
アーム52a及び52bが降下位置にあるとき、摺接部521a及び521bの上方のより厚い部分にローラ57a及び57bが接し、ゴムパッド51a及び51bはカード3から離れる状態となっている(
図5参照)。アーム52a及び52bが降下位置から上昇位置に向かって上昇移動すると、摺接部521a及び521bの下方の、厚みがより薄い部分にローラ57a及び57bが当接するようになり、これによりカード3側(内側)に力を加えられているゴムパッド51a及び51bはカード3に接近して、積み重ねられたカード3の途中位置に当接する。そして、アーム52a及び52bがさらに上昇すると、ゴムパッド51a及び51bはカード3を水平方向両側から挟みながら上昇して、最終的にはカード3を持ち上げながら支持する状態となる(
図6参照)。
【0029】
駆動源4は、供給される電力により動作するモーター(押上部用モーター410)を内部に備えており、このモーターが動作することにより、モーターの回転力が第2歯車55a及び55b、並びに54a及び54bを介して溝カム53a及び53bに伝達する。また、駆動源4は、上記のように供給される電力により自動的に駆動される構成に加え、マニュアルノブ41をオペレータが手動で回転させることで手動でも駆動されるよう構成されている。すなわち、駆動源4は自動または手動により駆動され、その動力をカード押上部の溝カム53a及び53bに伝達する。
【0030】
図9は、ツマミ付きネジ511a及び511bと、ゴムパッド51a及び51bとを示す図である。ゴムパッド51a及び51bは、それぞれゴム部512a及びゴム支持部513aと、ゴム部512b及びゴム支持部513bとをアーム52a及び52bに固定するよう作用する。ツマミ付きネジ511a及び511bは、オペレータによってアーム52a及び52bから手動でそれぞれ取り外し可能になっている。ゴム支持部513a及び513bは、それぞれ板金で形成される。
【0031】
図10は、カード収納部2の外観を示す図であり、
図10(a)は開閉扉21が閉じた状態、
図10(b)は開閉扉21が開いた状態でのカード収納部2を示す。カード収納部2は、
図1〜
図4に示されるように台座7に設置され、カード3を横にした状態で垂直方向に積み重ねるよう複数収納するよう構成される。また、前述のようにカード収納部2はカード供給装置1から取り外し可能である(
図3参照)。カード収納部2の水平方向の断面は、カード3を横にした状態で収納できるよう、カード3とほぼ同じ矩形状となっている。また、カード収納部2は、
図10に示されるように開閉可能な開閉扉21を備えており、開閉扉21が開いた状態でカード3を出し入れ可能に構成されている。カード3の出し入れは、複数のカード3がまとめられたカードカセットの交換により行われる。開閉扉21には、開口部22が形成されている。また、カード収納部2の開閉扉21に設けられた開口部22と対向する位置にも同様に、開口部22が形成されている。カード供給装置1では、開閉扉21が閉じた状態で、カード押上部のゴムパッド51a及び51bが、この開口部22からカード3にアクセスできるようになっている。カード収納部2に収納されたカード3の上方には、カード3に一定以上の重量負荷を与える錘部材が載せられてもよい。
【0032】
図11は、カード供給装置1の側面図である。
図12及び
図13は、
図11に示されたカード供給装置1をA−Bの断面で正面側から見た、正面断面図である。
図14は、カード供給装置1の上面図である。
図15及び
図16は、
図14に示されたカード供給装置1をC−Dの断面で側面側から見た、側方断面図である。
【0033】
カード搬出部6は、ツメ61、繰出し部62、ベルト63、駆動プーリ64及び従動プーリ65を含んで構成される(
図1、
図2、及び
図13〜
図16参照)。カード搬出部6は、カード収納部2の下方に配置され、
図16に矢印で示された水平方向に沿って往復移動可能に構成される。このカード搬出部6は、繰出し部62に設置されたツメ61によって、カード収納部2の最下部にあるカード3の端部に接しながら押し出す。
【0034】
プーリ駆動源8は、供給される電力により動作するモーターを内部に備えており、このモーターが動作することによりモーターの回転力が駆動プーリ64に伝達し、これによって駆動プーリ64を回転駆動させる。
【0035】
カード搬出部6の繰出し部62は、ベルト63に固定されている。ベルト63は、駆動プーリ64と従動プーリ65との間に張られて設置されている。駆動プーリ64は、プーリ駆動源8に連結され、プーリ駆動源8が動作することで順方向及び逆方向に回転駆動される。
【0036】
図17は、外装9が装着されたカード供給装置1の外観を示す図である。
図18は、外装カバー91が開放された状態の外装9が装着されたカード供給装置1を示す図である。
図17及び
図18に示されるように、外装9は、カード供給装置1を覆うように形成され、外装カバー91が形成されている。また、
図18に示されるように、外装9の外装カバー91を開放することで、カード供給装置1のカード収納部2にアクセスすることができる。カード収納部2は、このように外装9の外装カバー91が開放された状態で取り出すことができる。カード収納部2にはカード3が収納されるが、このようにカード収納部2を取り出すことで、カード収納部2に収納されたカードの交換が可能となる(
図3及び
図10参照)。カード収納部2に収納されたカードの交換は、複数のカード3が収納可能なカードカセットの交換により、一括で交換することが可能である。なお、カードカセットを利用しない場合は、カード3をそのまま補充する構成とすることもできる。
【0037】
図19は、外装9が備える、外装カバーセンサ92を示す図である。
図19に示されるように、外装9において外装カバー91が形成された箇所には、外装カバー91の開閉状態を検出可能な外装カバーセンサ92が設けられている。
【0038】
<センサ>
また、カード供給装置1には、複数のセンサが設けられる。カード収納部2には、カセット有無センサ310、カードニアエンドセンサ320、及びカード有無センサ330が設けられる。また、カード供給装置1には、押上部位置センサ340、及びカード位置センサ350が設けられる。
【0039】
カセット有無センサ310は、カード収納部2にカードカセットがあるか否かを検出する。カセット有無センサ310及び下記の各センサは、光学センサや重さセンサなどでよって構成される。
【0040】
カードニアエンドセンサ320は、カード収納部2に収納されたカード3の量を検出する。カードニアエンドセンサ320は、カード収納部2に収納されたカード3の高さを光学的に検出することでカード3が所定の高さ以上の位置まで積み上げられているか否かを検出する。なお、カードニアエンドセンサ320は、カード3の総重量に基づいてカード3の高さを推測するような構成であってもよい。
【0041】
カード有無センサ330は、カード収納部2にカードが存在するか否かを検出する。押上部位置センサ340は、カード押上部が上昇位置にあるか、降下位置にあるか(すなわち上昇していない状態の位置にあるか)を検出する。カード位置センサ350は、搬出されるべき最下部のカード3の位置を検出する。
【0042】
<カード供給装置の機能的構成>
図20は、PC100と、PC100に接続されたカード供給装置1とを含むカード供給システムの機能的構成を示すブロック図である。
図20に示されるように、カード供給装置1は、制御部200、外装カバーセンサ92、カセット有無センサ310、カードニアエンドセンサ320、カード有無センサ330、押上部位置センサ340、カード位置センサ350、駆動源4、及びプーリ駆動源8を含む。制御部200は、CPU210及びメモリ220を含む。駆動源4は、押上部用モーター410を含む。プーリ駆動源8は、カード搬送用モーター420を含む。
【0043】
制御部200に含まれるCPU210及びメモリ220は、以下の動作例で具体的に説明するように、PC100から受信したカード搬出指示、及びカード供給装置1に含まれる各種センサによる検出結果に基づき、駆動源4の押上部用モーター410及びカード搬送用モーター420の動作を制御する。
【0044】
<(2)動作例>
ここで、カード供給装置1におけるカードの押し上げ及び搬出の動作(動作例1及び動作例2)と、オペレータによりゴムパッド51a及び51bが交換されるときの動作と、を順に説明する。
【0045】
<カード押し上げ及び搬出動作例(1)>
まず、カード供給装置1におけるカードの押し上げ及び搬出動作の一例(動作例1)について説明する。
【0046】
図21は、カード供給装置1におけるカード押し上げ、及び搬出動作を示すフローチャートである。
【0047】
<S100〜120>
カード供給装置1の制御部200での処理が開始すると(S100)、まず、制御部200は、メモリ220に記憶された枚数カウンタを初期化する(S110)。そして、制御部200は、カード押上部をDOWN位置(カード3を押し上げない状態)にする(S120)。このとき、制御部200は、押上部位置センサ340によりカード押上部の位置を検出し、既にDOWN位置であればそのままの状態とし、UP位置であればDOWN位置に変更するよう、駆動源4の押上部用モーター410を駆動する。
【0048】
ここで、カード押上部がカードを押し上げた状態を解除するとき(UP位置からDOWN位置へと変更するとき)の具体的な動作について説明する。カード押上部をDOWN位置に変更する(カード押上部を下げて、カードを押し上げた状態を解除する)とき、制御部200は、上記のとおり押上部用モーター410を動作させて回転力を発生させる。ここで発生された回転力は、第2歯車55a及び55b、並びに第1歯車54a及び54bを介して溝カム53a及び53bに伝達される。溝カム53a及び53bが回転すると、上昇していたアーム52a及び52bが降下し、これによってゴムパッド51a及び51bが降下していく。このように、カード収納部2に形成された開口部22からカード押上部が降下することで、カード3の押し上げが解除される。
【0049】
図13及び
図16には、カード3の一部が押し上げられた状態のカード供給装置1が示されている。
図13及び
図16に示されるように、カード収納部2に収納されたカード3は、下部に残されたカード3aと、押し上げられたカード3bとに分けられる。
【0050】
<S130>
次に、制御部200は、枚数カウンタの値が指定枚数より多いか否かを確認する(S130)。以下で説明するように、枚数カウンタは、カードを押し上げたままの状態で搬出されたカードの枚数をカウントしており、ここではカードが押し上げられたままで指定枚数のカードの搬出が行われたか否かを判定している。これは、カードが押し上げられたままで指定枚数のカードの搬出が行われた場合には、カード押上部をDOWN位置に変更するためである。
【0051】
<S140>
次に、制御部200は、タイマーにより検出された経過時間が指定時間より長いか否かを確認する(S140)。以下で説明するように、タイマーは、カードが搬出されるタイミングで初期化されており、ここではカードが搬出された後に、次のカードが搬出されないまま指定時間が経過したか否かを判定している。これは、カードが連続的に搬出されない場合には、カード押上部をDOWN位置に変更するためである。
【0052】
<S150>
次に、制御部200は、カード収納部2のカバー(外装カバー91)が開放状態(OPEN状態)であるか否かを確認する(S150)。これは、外装カバー91が開放状態になったときには、カードカセットの交換のためなどにカード収納部2が取り出されることが想定されるため、カード押上部をDOWN位置にするためである。
【0053】
<S160>
上記のように、枚数カウンタの値が指定枚数より多い場合(S130でY)、タイマーにより検出された経過時間が指定時間より長い場合(S140でY)、またはカード収納部2のカバー(外装カバー91)が開放状態(OPEN状態)である場合(S150でY)、制御部200は駆動源4の押上部用モーター410を駆動し、カード押上部をDOWN位置にする(S160)。なお、制御部200は、押上部位置センサ340によりカード押上部の位置を検出し、既にDOWN位置であればそのままの状態とし、UP位置であればDOWN位置に変更するよう、駆動源4の押上部用モーター410を駆動する。
【0054】
<S170>
次に、カード供給装置1は、PC100からのピック指示(カード搬出指示)を受信したか否かを確認する(S170)。ピック指示を受信していなければ、S130の処理に移行する。
【0055】
<S180>
制御部200がPC100からのピック指示(カード搬出指示)を受信していた場合、制御部200は、押上部位置センサ340によりカード押上部の位置を確認し、カード押上部が下がっている(DOWN位置にある)か否かを確認する(S180)。これは、カード押上部が上がっている(UP位置にある)場合には、そのままカードの搬出処理を実施可能であるが、カード押上部が下がっている(DOWN位置にある)場合には、カードの搬出処理の前にカード押上部を上げる(UP位置にする)処理をするためである。
【0056】
<S190>
カード押上部が下がっていた場合(S180でY)、制御部200は、カードニアエンドセンサ320により、カードの量が減って、カードがニアエンドにあるか否かを確認する(S190)。これは、カードがニアエンドにある場合には、最下部にあるカードに対する重量負荷が小さく、カードを押し上げずにカードを搬出したとしても擦り傷が発生する可能性が低いため、カードの押し上げが必要か否かを判定するものである。カードがニアエンドにあった場合には(S190でY)、カード供給装置1はカードピック処理(カードの搬出処理)を行う(S220)。
【0057】
<S200>
カードがニアエンドになければ(S190でN)、制御部200は、カード押上部をUP位置に変更するよう、駆動源4の押上部用モーター410を駆動する(S200)。また、制御部200は、枚数カウンタ及びタイマーを初期化する。その後、カード供給装置1はカードピック処理(カードの搬出処理)を行う(S220)。
【0058】
ここで、カード押上部がカードを押し上げるときの具体的な動作について説明する。カード押上部をUP位置に変更する(カードを押し上げる)とき、制御部200は、上記のとおり押上部用モーター410を動作させて回転力を発生させる。ここで発生された回転力は、第2歯車55a及び55b、並びに第1歯車54a及び54bを介して溝カム53a及び53bに伝達される。溝カム53a及び53bが回転すると、アーム52a及び52bが上昇し、これによってゴムパッド51a及び51bが上昇しながら互いに近づき、カード収納部2に形成された開口部22からカード3を挟みながら押し上げるよう動作する。
【0059】
<S210>
S180の処理において、カード押上部が下がっている(DOWN位置にある)場合には(S180でN)、枚数カウンタを+1して、タイマーを初期化する(S210)。そして、カード供給装置1はカードピック処理(カードの搬出処理)を行う(S220)。
【0060】
<S220>
S190〜S210の処理の後、カード供給装置1ではカードピック処理(カードの搬出処理)が行われる(S220)。ここでは、制御部200は、カード位置センサ350により、カード収納部2の最下部にある搬出されるべきカードの位置を確認しながら、プーリ駆動源8のカード搬送用モーター420を駆動して、カード搬出部6により最下部のカードの搬出を行う。
【0061】
ここで、カードピック処理(カードの搬出処理)について説明する。カードピック処理では、プーリ駆動源8はカード搬送用モーター420を動作させて、駆動プーリ64を順方向に回転駆動する(
図15及び
図16参照)。駆動プーリ64が順方向に回転することによって、駆動プーリ64と従動プーリ65との間に張られたベルト63が動作し、これによってベルト63に固定されて設けられた繰出し部62が移動する(
図16の矢印方向)。これによって、カード収納部2の最下部にあるカード3cが、繰出し部62に設けられたツメ61によって水平方向に押し出される(
図16参照)。
【0062】
次に、枚数カウンタについて説明する。枚数カウンタは、メモリ220に記憶されており、S110及びS200の処理によって初期化され、S210の処理によって加算され、S130における判定に利用される。このように、枚数カウンタは、カードが押し上げられたままの状態で連続的に搬出されたカードの枚数をカウンタしている。そして、カードが押し上げられたままの状態で連続的に搬出されたカードの枚数が予め決められた指定枚数に達すると、押し上げられないカード(
図13及び
図16の3a参照)の枚数が減り、最下部のカードに十分な重量負荷がかからなくなる。その結果、カード搬出部6により最下部のカードを搬出する動作が適切に機能しなくなる場合がある。そのため、本実施形態のカード供給装置1では、このように枚数カウンタを利用した処理を行っている。
【0063】
次に、タイマーについて説明する。タイマーは、S200及びS210の処理によって初期化され、S140の判定に利用されており、カードが押し上げられたままの状態で経過した時間を計測している。そして、カードが押し上げられたままの状態で予め定められた指定時間を経過すると、カードが連続的に搬出されていないとの判定に基づき、カード押上部をDOWN位置に変更する処理を行っている(S140でY判定後、S160)。これによって、カードが連続的に搬出されているときにはカード押上部を下げることなく、カードを押し上げたままの状態を保持するような処理を行うことが可能となる。
【0064】
<カード押し上げ及び搬出動作例(2)>
次に、カード供給装置1におけるカードの押し上げ及び搬出動作の、他の具体例(動作例2)について説明する。この動作例は、前述の動作例と比較して、連続的にカードが搬出されるか否かに関わらずカード押上部がカードを押し上げるよう動作する点で主に相違する。これによって、本動作例により動作するカード供給装置1は、前述の動作例により動作するカード供給装置1と比較して、カードを連続的に搬出しない場合であっても、カード搬出時の処理時間を短縮することが可能である。以下、本動作例について具体的に説明するが、上記の動作例と同様の部分についてはその説明を省略する。
【0065】
<S100〜120>
図22のフローチャートに示されるように、カード供給装置1の制御部200での処理が開始すると(S100)、まず、制御部200は、カード押上部をDOWN位置(カード3を押し上げない状態)にする(S120)。このとき、制御部200は、押上部位置センサ340によりカード押上部の位置を検出し、既にDOWN位置であればそのままの状態とし、UP位置であればDOWN位置に変更するよう、駆動源4の押上部用モーター410を駆動する。
【0066】
<S130>
次に、制御部200は、枚数カウンタの値が指定枚数より多いか否かを確認する(S130)。以下で説明するように、枚数カウンタは、カードを押し上げたままの状態で搬出されたカードの枚数をカウントしており、ここではカードが押し上げられたままで指定枚数のカードの搬出が行われたか否かを判定している。これは、カードが押し上げられたままで指定枚数のカードの搬出が行われた場合には、カード押上部をDOWN位置に変更するためである。
【0067】
<S150>
次に、制御部200は、カード収納部2のカバー(外装カバー91)が開放状態(OPEN状態)であるか否かを確認する(S150)。これは、外装カバー91が開放状態になったときには、カードカセットの交換のためなどにカード収納部2が取り出されることが想定されるため、カード押上部をDOWN位置にするためである。
【0068】
<S151>
S150の処理においてカード収納部2のカバー(外装カバー91)が開放状態(OPEN状態)でなく閉状態(CLOSE状態)であると判定された場合(S150でN)、制御部200は、押上部位置センサ340によりカード押上部の位置を確認し、カード押上部が下がっている(DOWN位置にある)か否かを確認する(S151)。これは、カード押上部が既に上がっていた場合(UP位置にある場合)には、カード押上部を上げる処理を省略するためである。カード押上部が上がっている(UP位置にある)と判定された場合(S151でN)、S170の処理に移行する。
【0069】
<S152>
S151の処理において、カード押上部が下がっている(DOWN位置にある)と判定された場合(S151でY)、制御部200は、カードニアエンドセンサ320により、カードの量が減って、カードがニアエンドにあるか否かを確認する(S152)。これは、カードがニアエンドにある場合には、最下部にあるカードに対する重量負荷が小さく、カードを押し上げずにカードを搬出したとしても擦り傷が発生する可能性が低いため、カードの押し上げが必要か否かを判定するものである。カードがニアエンドにあると判定された場合(S152でY)、S170の処理に移行する。
【0070】
<S153>
S152の処理において、カードがニアエンドにないと判定された場合(S152でN)、制御部200は、カード押上部をUP位置に変更するよう、駆動源4の押上部用モーター410を駆動する(S153)。また、制御部200は、枚数カウンタを初期化する。
【0071】
<S160>
上記のように、枚数カウンタの値が指定枚数より多い場合(S130でY)、またはカード収納部2のカバー(外装カバー91)が開放状態(OPEN状態)である場合(S150でY)、制御部200は駆動源4の押上部用モーター410を駆動し、カード押上部をDOWN位置にする(S160)。なお、制御部200は、押上部位置センサ340によりカード押上部の位置を検出し、既にDOWN位置であればそのままの状態とし、UP位置であればDOWN位置に変更するよう、駆動源4の押上部用モーター410を駆動する。その後、S170の処理に移行する。
【0072】
<S170>
次に、カード供給装置1は、PC100からのピック指示(カード搬出指示)を受信したか否かを確認する(S170)。ピック指示を受信していなければ、S130の処理に移行する。
【0073】
<S180>
制御部200がPC100からのピック指示(カード搬出指示)を受信していた場合、制御部200は、押上部位置センサ340によりカード押上部の位置を確認し、カード押上部が下がっている(DOWN位置にある)か否かを確認する(S180)。これは、カード押上部が上がっている(UP位置にある)場合には、そのままカードの搬出処理を実施可能であるが、カード押上部が下がっている(DOWN位置にある)場合には、カードの搬出処理の前にカード押上部を上げる(UP位置にする)必要があるためである。
【0074】
<S190>
カード押上部が下がっていた場合(S180でY)、制御部200は、カードニアエンドセンサ320により、カードの量が減って、カードがニアエンドにあるか否かを確認する(S190)。これは、カードがニアエンドにある場合には、最下部にあるカードに対する重量負荷が小さく、カードを押し上げずにカードを搬出したとしても擦り傷が発生する可能性が低いため、カードの押し上げが必要か否かを判定するものである。カードがニアエンドにあった場合には(S190でY)、カード供給装置1はカードピック処理(カードの搬出処理)を行う(S220)。
【0075】
<S201>
カードがニアエンドになければ(S190でN)、制御部200は、カード押上部をUP位置に変更するよう、駆動源4の押上部用モーター410を駆動する(S201)。また、制御部200は、枚数カウンタを初期化する(S201)。そして、カード供給装置1はカードピック処理(カードの搬出処理)を行う(S220)。
【0076】
<S211>
S180の処理において、カード押上部が下がっている(DOWN位置にある)場合には(S180でN)、枚数カウンタを+1する(S211)。そして、カード供給装置1はカードピック処理(カードの搬出処理)を行う(S220)。
【0077】
<S220>
S190〜S211の処理の後、カード供給装置1ではカードピック処理(カードの搬出処理)が行われる(S220)。ここでは、制御部200は、カード位置センサ350により、カード収納部2の最下部にある搬出されるべきカードの位置を確認しながら、プーリ駆動源8のカード搬送用モーター420を駆動して、カード搬出部6により最下部のカードの搬出を行う。
【0078】
<オペレータによるゴムパッド交換の際の動作>
次に、オペレータによりゴムパッドが交換されるときの動作について、
図5〜
図7を参照しながら説明する。
【0079】
アーム52a及び52bが下げられた状態(
図5の状態)において、オペレータがマニュアルノブ41を手動で回転させると、駆動源4に含まれるモーター(押上部用モーター410)が回転し、これによって変速ウォームギア部81が動作する。この変速ウォームギア部81の回転動作は、前述のように溝カム53a及び53bに伝達されて、アーム52a及び52bを上昇させる動きに変換される。これによって、アーム52a及び52bが上昇する。
【0080】
このようにしてオペレータによってアーム52a及び52bが上昇させられた状態(
図6の状態)になると、オペレータはゴムパッド51a及び51bをアーム52a及び52bにそれぞれ固定するツマミ付きネジ511a及び511bに容易にアクセスできるようになる。この状態で、オペレータはツマミ付きネジ511a及び511bを手動で取り外し、これによってゴムパッド51a及び51bがアーム52a及び52bから取り外された状態(
図7の状態)となる。ここで、オペレータは摩耗したゴム部512a及び512bを新しいゴム部に交換して、ツマミ付きネジ511a及び511bによってゴムパッド51a及び51bをアーム52a及び52bに接続する。
【0081】
このようにすることで、長期間の使用により摩耗するなどしたゴム部512a及び512bの交換を、オペレータが容易に行うことが可能となる。
【0082】
<2.カード供給装置の特徴>
以上のような構成のカード供給装置1によれば、カード搬出部6からカードが連続的に排出されるときには、カードを押し上げた状態のまま保持する構成としているため、カード搬出時に都度媒体を押し上げる必要がなくなる。その結果、カード供給装置1からカードが供給されるときの動作時間を短縮することができる。
【0083】
また、上記構成のカード供給装置1によれば、一のカードが搬出されてから次のカードが搬出されることなく所定の時間が経過したときに、カードの押し上げを解除する動作が可能であるため、カードが連続的に搬出されているかを適切に判断しながらカードを搬出させることができる。
【0084】
また、上記構成のカード供給装置1によれば、枚数カウンタを利用した処理を行っているため、押し上げられていないカードの量が減少したときに、一旦、カードの押し上げを解除することが可能となる。
【0085】
また、上記構成のカード供給装置1によれば、カードがニアエンドか否かの判定処理に基づくカードの押し上げが可能であるため、カード収納部2に収納されたカードの量が多いときにのみ、カードを押し上げる処理が可能となる。
【0086】
また、上記構成のカード供給装置1によれば、外装カバー91が開状態のときにはカードの押し上げが行われないよう処理することができるため、カードの交換を容易にすることができる。
【0087】
また、上記構成のカード供給装置1によれば、外装カバー91が閉状態であり(S150でN)、カード押上部がDOWN状態であり(S151でY)、かつカードがニアエンドでないときに(S152でN)、カードの押し上げを実行するよう処理することができる。このように、媒体の搬出が行われない場合でも予め媒体を押し上げておくことで、カード供給装置1から媒体の搬出が行われる際の動作時間を短縮することが可能となる。
【0088】
<3.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0089】
上記実施形態において、カード供給装置1の動作例として2例を説明したが、これら以外の動作についても、当業者が理解可能な範囲で適用可能である。
【0090】
上記実施形態のカード供給装置1は、カードの供給のみではなく、冊子などの他の媒体の供給にも適用することができる。
【0091】
上記実施形態においてカード供給装置1のカード押上部に含まれるゴムパッド51a及び51bでは、ゴムを、ゴム以外の弾性体に置き換えた構成としてもよい。ただし、ゴムを利用することはコスト及び信頼性の面で好ましい。
【0092】
また、上記実施形態のカード供給装置1における、駆動源4からアーム52a及び52bに対して動力を伝達するための構成は、実施形態に開示された以外の構成としてもよい。ただし、溝カム53a及び53bを含む構成は、回転動作を垂直動作に変換する構成として好ましい。
【0093】
また、上記実施形態では、駆動源4及びプーリ駆動源8は、それぞれ電力によって動作するモーターを備える構成として説明したが、これ以外の駆動源に置き換えることも可能である。
【0094】
また、上記実施形態ではツマミ付きネジ511a及び511bによって、ゴムパッド51a及び51bの交換を容易にしていたが、必ずしもこのような構成である必要はなく、通常のネジによってゴムパッド51a及び51bがアーム52a及び52bに固定されていてもよい。この場合、オペレータはネジを取り外す際にドライバーなどの工具を利用することとなる。
【0095】
また、上記実施形態では、カード押上部はカード3を両側から挟みながら押し上げる構成としているが、カード3を四方から挟みながら押し上げる構成にすることもできる。