(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて、同一の構成要素には、同じ参照符号を付している。
【0032】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る撮影ユニット100は、ユーザが対象物を撮影すると、その対象物の画像を示すデータを出力するユニットであって、対象物の画像を像面Pに結像するための撮影レンズ101を備える。
【0033】
撮影ユニット100は、
図1に示すように、光軸Lに沿って撮影レンズ101の後方にさらに、赤外線カットフィルタ、ローパスフィルタなどの(パワーをほとんど生じない)平行平板としての光学フィルタ102と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子103とを備える。撮影ユニット100は、撮影レンズ101、光学フィルタ102、撮像素子103などの部品を固定するための枠体(図示せず)をさらに備え、車載カメラ、監視カメラ等の光学機器に搭載される。像面Pは、撮像素子103の物体側の面に形成される。
【0034】
なお、光学フィルタ102、撮像素子103などの部品を枠体に固定するための方法には、接着剤による接着、熱かしめ、公知の抑え環、Cリングの挿入などが採用されるとよい。また、光学フィルタは、適宜設けられてよい。
【0035】
このような撮影ユニット100によれば、対象物の画像が、撮影レンズ101を通じて像面Pに形成され、対象物の画像を示す画像データが撮像素子103により生成され出力される。
【0036】
撮影レンズ101では、詳細には、
図1に示すように、正のパワーを有する第1のレンズ群G1、正のパワーを有する第2のレンズ群G2、予め定められた口径の開口を有する開口絞りSD、負のパワーを有する第3のレンズ群G3、正のパワーを有する第4のレンズ群G4、及び、正のパワーを有する第5のレンズ5群G5が光軸Lに沿って物体側から像面側へ(後方へ)向けて順に配列されている。本実施の形態に係る第1〜第5のレンズ群G1〜G5のそれぞれは、第1〜第5のレンズ104〜108により構成されている。
【0037】
以下では、第1のレンズ104、第2のレンズ105、開口絞りSD、第3のレンズ106、第4のレンズ107、第5のレンズ108、光学フィルタ102及び像面Pが、光軸Lに沿って物体側から像面側に向けて順に配設される構成において、
図1に示すように、それぞれの面をSi(i=1〜13)、それぞれの面Siの曲率半径をRi(i=1〜13)、d線に対する屈折率をNi(i=1〜6)及びアッベ数をνi(i=1〜6)、第1のレンズ104〜像面Pまでのそれぞれの光軸L上における間隔(レンズの厚さ又は空気間隔)をDi(i=1〜13)、第5のレンズ108の像面側の面S11から像面Pまでのバックフォーカス(空気換算距離)をBF、撮影レンズ系の全長(第1のレンズ104の物体側の面S1から像面Pまでの光軸L上における距離)をTLで表す。
【0038】
また、撮影レンズ全系の焦点距離をf、レンズ群G1〜G5の各々を構成するレンズ104〜108の各々の焦点距離をfi(i=1〜5)、レンズ群G1〜G5の各々に含まれるレンズ104〜108のうちプラスチック(樹脂)を素材とするレンズ(プラスチックレンズ)の焦点距離をfpi(本実施の形態では、i=1〜4であって、fp1=f1,fp2=f2,fp3=f3,fp4=f5)、レンズ群G1〜G5の各々を構成するレンズ104〜108の各々の線膨張係数(−40℃〜+85℃の線膨張係数)をKi(i=1〜5)で表す。第1のレンズ群G1と第5のレンズ群G5とのそれぞれの最大通過光線径をH1max,H5maxで表す。
【0039】
第1のレンズ104は、プラスチックレンズである。第1のレンズ104は、正のパワーを有するように、物体側の面S1が凹面をなし、かつ、像面側の面S2が凸面をなす凹メニスカスレンズである。面S1及び面S2は、いずれも、非球面として形成されている。
【0040】
第2のレンズ105は、プラスチックレンズである。第2のレンズ105は、正のパワーを有するように、物体側の面S3が凸面をなし、かつ、像面側の面S4が凸面をなす両凸レンズである。ここで、面S3及び面S4は、非球面として形成されている。第2のレンズ105のd線のアッベ数ν2は、50以上である。
【0041】
ここで、d線のアッベ数(νd)は、「νd=(nd−1)/(nF−nC)」で定義される。ここで、ndは、フラウンホーファーのd線(587.56nm)に対する屈折率である。nFは、フラウンホーファーのF線(486.1nm)に対する屈折率である。nCは、フラウンホーファーのC線(656.3nm)に対する屈折率である。
【0042】
開口絞りSDは、
図1に示すように、第2のレンズ群G2と第3のレンズ群G3との間であって、第2のレンズ群G2寄りに配設されており、予め定められた口径の開口を有するととともに面S5及び曲率半径R5(∞)として示されている。ここで、第2のレンズ群G2と第3のレンズ群G3との間であって、第2のレンズ群G2寄りとは、第2のレンズ群G2にて最も像面側に位置する面(
図1に示す面S4)と開口絞りSDとの間隔が、第3のレンズ群G3にて最も物体側に位置する面(
図1に示す面S6との間隔よりも短いことを意味する。
【0043】
開口絞りSDの前方(像面側から物体側へ向かう方向)に正のパワーを有する第2のレンズ群G2(第2のレンズ105)を配置することによって画角が50〜60度となるように、開口絞りSDが有する開口の口径は、設計されている。
【0044】
第3のレンズ106は、プラスチックレンズである。第3のレンズ106は、負のパワーを有するように、物体側の面S6が凹面をなし、かつ、像面側の面S7が凸面をなす凹メニスカスレンズである。面S6及び面S7は、いずれも、非球面として形成されている。第3のレンズ106のd線のアッベ数ν3は、30以下である。
【0045】
第4のレンズ107は、ガラスを素材とするレンズ(ガラスレンズ)である。第4のレンズ107は、正のパワーを有するように、物体側の面S8が凸面をなし、かつ、像面側の面S9が凸面をなす両凸レンズである。面S8及び面S9は、いずれも、球面として形成されている。第4のレンズ107は、正のパワーを有するレンズ群G1,G2,G4,G5の中で最大のパワーを有する。このような第4レンズ107のパワーは、適宜選択されるが、好ましくは0.1以上かつ0.25以下(0.1≦1/F4≦0.25)、より好ましくは0.15以上かつ0.25以下(0.15≦1/F4≦0.25)、である。このF4は、第4のレンズ群の焦点距離である。第4のレンズ107のd線のアッベ数ν4は、45以上である。
【0046】
第5のレンズ108は、プラスチックレンズである。第5のレンズ108は、正のパワーを有するように、物体側の面S10が凸面をなし、かつ、像面側の面S11が凹面をなす凸メニスカスレンズである。面S10及び面S11は、いずれも、非球面として形成されている。第5のレンズ108のd線のアッベ数ν5は、50以上である。
【0047】
ここで、ガラスレンズの素材としては、詳細には、クラウンガラス、フリントガラス等を挙げることができる。プラスチックレンズの素材としては、詳細には、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂材料を挙げることができる。本実施の形態に係る撮影ユニット100が、幅広い環境温度の下で使用される可能性を考えると、ガラスレンズ及びプラスチックレンズの線膨張係数は小さい方が望ましい。そのため、例えば、ガラスレンズの素材には、−40℃〜+85℃の線膨張係数が、1〜10(×10
−6/℃)の範囲であるもの、プラスチックレンズの素材には、−40℃〜+85℃の線膨張係数が、60〜70(×10
−6/℃)の範囲であるものが好適に採用される。
【0048】
本実施の形態に係る撮影レンズ101では、次の式(1)〜(4)を満たすように構成される。
(1)−0.6<Σ[(1/fi)×Ki]
/f<0(ただし、iは、1〜5の整数。)
(2)|Σ(1/fpi)|<0.1(ただし、式(2)に含まれるiは、1〜4の整数。)
(3)0.7<H1max/H5max<1.4
(4)1.5<TL/f<2.5
【0049】
本実施の形態によれば、第1,第2,第4及び第5のレンズ群G1,G2,G4,G5が正のパワーを有し、第3のレンズ群G3が負のパワーを有し、かつ、式(1)を満たす。
【0050】
一般的に、レンズは、環境温度が変化すると焦点距離、屈折率などが変化するところ、環境温度が単位温度変化した場合の焦点距離、屈折率などの変化量は、プラスチックレンズの方がガラスレンズよりも大きい。これは、プラスチックレンズの線膨張係数がガラスレンズの線膨張係数よりも大きいことが関係していると考えられる。そして、本願の発明者は、環境温度に応じた焦点結像位置が式(1)に示されるようにレンズ装置を構成するレンズのパワー(焦点距離の逆数)と線膨張係数との積の総和により概ね規定され、このような性質を環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制するための条件に採用できることを見出した。これは、正のパワーを有するレンズと負のパワーを有するレンズとで、環境温度に応じて焦点結像位置を変化させる方向が異なっており、環境温度の変化に伴って焦点結像位置が変化することへの影響を互いに打ち消し合うためと考えられる。
【0051】
そのため、第1,第2,第4及び第5のレンズ群G1,G2,G4,G5が正のパワーを有し、第3のレンズ群G3が負のパワーを有し、かつ、式(1)を満たす構成によれば、正のパワーを有する第1,第2,第4及び第5のレンズ群G1,G2,G4,G5と、負のパワーを有する第3のレンズ群G3とで、環境温度の変化に伴って焦点結像位置が変化することへの影響を互いに打ち消し合うことができる。この場合、レンズ群G1〜G5の少なくとも一部の素材がガラスでなくてもよく、また同種の材質の負パワーのレンズと正パワーのレンズとが1対1で対応付けて設けられていなくてもよい。従って、安価かつ簡素な構成であっても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することが可能になる。
【0052】
ここで、環境温度とは、撮影レンズ101が使用される環境の温度(気温)である。焦点結像位置とは、撮影レンズ101が備えるレンズ全系の焦点の位置である。バックフォーカスBFとは、最も撮像素子側に設けられるレンズの撮像素子側の面から焦点結像位置までの距離をいう。
図1において、最も撮像素子側に設けられるレンズは、G5である。
【0053】
本実施の形態では、第1,第2,第3及び第5のレンズ群G1,G2,G3,G5が、それぞれ、1つのプラスチックレンズ(第1,第2,第3及び第5のレンズ104,105,106,108)により構成され、第1,第2,第3及び第5のレンズ104,105,106,108の各々は、上述の式(2)を満たすように構成される。
【0054】
一般的に、上述のように、環境温度が単位温度変化した場合の焦点距離、屈折率などの変化量は、プラスチックレンズの方がガラスレンズよりも大きい。そのため、レンズ装置を構成するプラスチックレンズのパワーの総和が正又は負のいずれか一方に偏った場合、すなわち、レンズ装置を構成するプラスチックレンズのパワーの総和の絶対値が大きい場合、環境温度に応じた焦点結像位置の変化が大きくなると考えられる。その一方で、レンズ装置を構成するプラスチックレンズのパワーの総和の絶対値が小さい場合、プラスチックレンズを備えても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することができる。
【0055】
この構成によれば、第1〜第5のレンズ群G1〜G5を構成するレンズ104〜108にプラスチックレンズを採用した場合であっても、環境温度に応じた焦点結像位置の変化をより確実に抑制することができる。従って、安価かつ簡素な構成であっても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することが可能になる。
【0056】
本実施の形態では、第1,第2,第3及び第5のレンズ群G1,G2,G3,G5が、1つのプラスチックレンズ(第1,第2,第3及び第5のレンズ104,105,106,108)により構成される。
【0057】
一般的に、プラスチックレンズはガラスレンズよりも軽量かつ安価である。また、プラスチックの種類を適宜選択することで、色収差等の諸収差を、良好に補正することができる。そのため、この構成によれば、正のパワーを有する第1,第2及び第5のレンズ104,105,108にプラスチックレンズを採用することによって、軽量化、低コスト化及び色収差等の諸収差の良好な補正を図ることができる。
【0058】
また、一般的に、環境温度の変化に伴って焦点結像位置が変化することへの影響は、プラスチックレンズの方が、ガラスレンズよりも大きいため、プラスチックレンズを採用すると、環境温度に応じて焦点結像位置が大きく変化する可能性がある。そのため、正のパワーを有する第1,第2及び第5のレンズ104,105,108にプラスチックレンズを採用することにより、環境温度に応じて焦点結像位置が大きく変化する可能性がある。
【0059】
そこで、この構成では、負のパワーを有する第3のレンズ106にもプラスチックレンズを採用する。これにより、正のパワーを有するプラスチックレンズ(第1,第2及び第5のレンズ104,105,108)と負のパワーを有するプラスチックレンズ(第3のレンズ106)とで、環境温度の変化に伴って焦点結像位置が変化することへの影響を互いに打ち消し合うことができる。そのため、正のパワーのプラスチックレンズを備えている場合であっても、また正のパワーのレンズに1対1で対応付けた負のパワーのレンズを備えていなくても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することができる。また、負のパワーのレンズをプラスチックレンズとすることによって、ガラスレンズが採用される場合よりも低コスト化、軽量化などを図ることができる。
【0060】
従って、安価かつ簡素な構成であっても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することが可能になる。
【0061】
本実施の形態では、第4のレンズ群G4を構成する第4のレンズ107が、正のパワーを有する第1,第2,第4及び第5のレンズ104〜108の中で最大のパワーを有する。
【0062】
一般的に、レンズのパワーが大きいほど、環境温度に応じた焦点結像位置の変化に大きく影響する。また、環境温度が単位温度変化した場合の焦点距離、屈折率などの変化量は、ガラスレンズの方がプラスチックレンズよりも小さい。
【0063】
そのため、この構成によれば、正のパワーを有する第1,第2,第4及び第5のレンズ群の中で最大の正のパワーを有する第4のレンズ107が、環境温度に応じた焦点結像位置の変化に対して及ぼす影響を小さくすることができる。従って、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することが可能になる。
【0064】
また、正のパワーを有する第1,第2,第4及び第5のレンズ群の中で最大のパワーを有する第4のレンズ群をガラスレンズにより構成することによって、光学性能の向上を図ることができる。
【0065】
なお、第4レンズ群が有する物体側の面に、凸面、凹面、平面のいずれを選択するかは、製造コスト等を考慮して、任意に選択可能である。例えば、製造コストを考慮した場合、物体側の面が凹面である方が凸面であるよりも、レンズの製造コストを低減できるので、第4レンズ群が有する物体側の面は、凹面であることが好ましい。
【0066】
本実施の形態では、第1,第2及び第5のレンズ群G1,G2,G5を構成する第1,第2及び第5のレンズ104,105,108の少なくとも1面は、非球面形状を有する。
【0067】
一般的に、コマ収差などの諸収差を良好に補正しつつ所望の解像力を得るために接合レンズを採用されることが多い。しかし、接合レンズでは、レンズの接合に接着剤が使用されることが多く、高温の環境下、経年劣化により接着剤の接着力が低下し、その結果、接合レンズにおけるレンズの接合が解かれる可能性がある。特に、車載レンズ、屋外に設置される監視カメラなどに、撮影ユニット100又は撮影レンズ101が搭載される場合、高温の環境下で使用されたり、数年以上の長い期間にわたって使用されたりすることがあるため、接着剤の接着力が低下して、接合レンズにおけるレンズの接合が解かれる可能性が比較的高くなる。
【0068】
この構成によれば、接合レンズを採用しなくても、コマ収差などの諸収差を良好に補正しつつ所望の解像力を得ることができる。従って、高温の環境下で使用された場合、使用年数が経過した場合などであっても、高い光学性能の維持することが可能になる。
【0069】
また、一般的に、非点収差、歪曲収差などの軸外収差は、開口絞りから離れた位置にあるレンズにおいて発生し易い。それらの諸収差を球面レンズで補正する場合、レンズの枚数が増加して、構成が複雑になったり、コストが高くなったりしてしまう。そこで、全レンズ系のうち、像画側に近いレンズ群である第5のレンズ群G5が、少なくとも1面以上の非球面を有することによって、非点収差や歪曲収差などの軸外収差を良好に補正して、光学性能の向上を図ることが可能になる。
【0070】
このような第5のレンズ群G5を構成するレンズ(第5のレンズ108)にプラスチックレンズを採用することによって、複雑な面形状の加工も容易にでき、軽量化、低コスト化などを図ることができる。
【0071】
本実施の形態では、上述のように、第2のレンズ105のd線のアッベ数は、50以上であり、第3のレンズ106のd線のアッベ数は、30以下であり、第4のレンズ107のd線のアッベ数は、45以上であり、第5のレンズ108のd線のアッベ数は、50以上である。
【0072】
この構成によれば、軸上色収差及び倍率色収差を良好に補正することが可能になる。
【0073】
本実施の形態では、開口絞りSDが、上述のように、第2のレンズ群G2と第3のレンズ群G3との間に設けられている。また、上述の式(3)を満たすように構成される。
【0074】
この構成によれば、レンズの径を小さくしつつ、F値が1.7未満の明るい撮影レンズを実現することができる。従って、コンパクトで明るい撮影レンズを提供することが可能になる。
【0075】
本実施の形態では、撮影レンズ101が、上述の式(4)を満たすように構成される。
【0076】
式(4)は、撮影レンズの画角に関する条件である。一般的に、TL/fが1.5以下である場合、画角が大きくなり、その結果、諸収差を良好に補正することが困難になる。また、TL/fが2.5以上である場合、画角が小さくなり、物体深度が浅くなる。そのため、環境温度に応じて焦点結像位置が変化すると、明るい撮影レンズでは特に、撮影される画像の画質が大きく低下する可能性がある。
【0077】
この構成によれば、50度〜60度の画角の撮影レンズにおいて、撮影レンズ系の全長TLを短くしつつ光学性能の向上を図ることが可能になる。
【0078】
本実施の形態では、第3のレンズ106は、第3のレンズ群G3の焦点距離は、−5mm以上、かつ、−3mm以下である。このように、第3のレンズ106の焦点距離を小さくすることにより、撮影レンズ全体でのペッツバール和を小さくして、像面湾曲を補正することができる。
【0079】
なお、各レンズ104〜108の面S1〜S4,S6〜S11の各々は、適宜、球面、平面又は非球面で形成されるとよい。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができる。また、レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面にプラスチックを非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面であってもよい。また、必要に応じて、レンズ面は回折面などとして形成されてもよく、レンズには屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)などが採用されてもよい。
【0080】
なお、レンズ全系において最も外側(最も前方、最も後方)に位置するレンズ104,108には、使用時等に外部に晒される可能性もあることから、必要に応じて、様々な加工が施されてもよい。この加工の例として、レンズ体の曇り防止、水滴形成防止のために表面部を光触媒などにより親水化することを挙げることができる。
【0081】
(実施例1)
実施の形態1に係る撮影レンズ101及び光学フィルタ102の具体的な数値例を、実施例1として以下に示す。第1〜第5のレンズ104〜108、光学フィルタ102の主な仕様諸元、種々の数値データ(設定値)、条件式(1)〜(4)の数値データは以下の通りである。
【0082】
<仕様諸元>
物体距離(mm)→1000mm
撮影レンズ全系の焦点距離(mm)→f=5.328
第1〜第5のレンズ104〜108の焦点距離(mm)f1=16.997(=fp1)、f2=11.963(=fp2)、f3=−3.10(=fp3)、f4=5.09、f5=9.13(=fp4)
第1〜第5のレンズ104〜108の線膨張係数(×10−6/℃)→K1=66、K2=70、K3=66、K4=5.9、K5=70
F値=1.63
水平画角(2ω)=55°、最大画角(2ω)=58°
開口絞りSDが有する開口の口径(直径;mm)=3.11
射出瞳位置(mm:∞)→−14.02
バックフォーカス(mm:空気換算)→BF=3.18
第1のレンズ群G1の最大通過光線径(mm)→H1max=5.28
第5のレンズ群G5の最大通過光線径(mm)→H5max=5.71
撮影レンズ系の全長→TL=12.1
【0083】
<曲率半径:mm>
R1=−6.404(非球面)、R2=−4.264(非球面)、R3=11.284(非球面)、R4=−13.691(非球面)、R5(開口絞りSD)=∞、R6=−1.791(非球面)、R7=−21.483(非球面)、R8=76.832、R9=−3.927、R10=3.499(非球面)、R11=10.084(非球面)、R12=∞、R13=∞
<光軸上の間隔:mm>
D1=1.000、D2=0.1、D3=1.183、D4=0.1、D5=1.331、D6=0.450、D7=0.1、D8=2.184、D9=0.1、D10=2.230、D11=2.8726、D12=0.4、D13=0.05
なお、撮影レンズ全系のレンズの厚み(=D1+D3+D6+D8+D10)=7.047
<屈折率(Nd)>
N1=1.64、N2=1.53、N3=1.64、N4=1.74、N5=1.53、N6=1.52
<アッベ数(νd)>
ν1=24.0、ν2=56.3、ν3=24.0、ν4=49.3、ν5=56.3、ν6=64.2
【0084】
<非球面係数の数値データ>
<S1面>
ε=1.0000000、D=−1.165×10
−4、E=−8.843×10
−5、F=2.9523×10
−6
<S2面>
ε=−0.520、D=3.1586×10
−3、E=−2.703×10
−4、F=1.6370×10
−5
<S3面>
ε=1.0000000、D=−1.546×10
−3、E=6.1196×10
−4、F=1.1654×10
−5
<S4面>
ε=1.0000000、D=−0.0113、E=1.9014×10
−3、F=−1.093×10
−4
<S6面>
ε=0.3355、D=0.0236、E=−2.809×10
−3、F=3.5027×10
−4、G=−7.601×10
−5
<S7面>
ε=1.0000000、D=7.7718×10
−3、E=−1.010×10
−3、F=5.4491×10
−5、G=−3.437×10
−7
<S10面>
ε=0.3593、D=−5.451×10
−3、E=8.8008×10
−5、F=−2.816×10
−5
<S11面>
ε=1.0000000、D=1.7863×10
−3、E=−6.700×10
−4、F=2.1375×10
−5
【0085】
ここで、非球面を表す式は、次式で規定される。
Z=Cy
2/[1+(1−εC
2y
2)
1/2]+Dy
4+Ey
6+Fy
8+Gy
10
ただし、Zは、非球面の頂点における接平面から、光軸Lからの高さがyの非球面上の点までの距離を表す。yは、光軸からの高さを表す。Cは、非球面の頂点における曲率(1/R)を表す。εは、円錐定数を表す。D,E,F,Gは、非球面係数を表す。
【0086】
<条件式の値>
(1)Σ[(1/fi)×Ki]/f=−0.
51(−0.6<−0.
51<0)
(2)|Σ(1/fpi)|=0.07(0.07<0.1)
(3)H1max/H5max=0.9
2(0.7<0.9
2<1.4)
(4)TL/f=2.3(1.5<2.3<2.5)
【0087】
このように、実施例1に係る撮影レンズ101は、式(1)〜(4)で表される条件のすべてを満たす。
【0088】
実施例1における球面収差、非点収差、歪曲収差(ディストーション)に関する収差図は、
図2に示す結果となる。なお、
図2において、gはg線、FはF線、eはe線、dはd線、CはC線、Sはサジタル平面での収差、Mはメリジオナル平面での収差を示す。
【0089】
実施例1でのレンズ仕様によれば、バックフォーカスBFが3.18mm、最大画角(2ω)が58°で、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することができ、諸収差が良好に補正された、高性能かつ小型で安価な撮影レンズ101を得ることができる。
【0090】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る撮影ユニット200の構成を
図3に示す。同図に示すように、撮影ユニット200は、実施の形態1に係る撮影レンズ101に代えて、撮影レンズ201を備える。撮影レンズ201では、第1及び第3のレンズ群G1,G3のそれぞれが、実施の形態1に係る第1及び第3のレンズ104,106に代えて、第1及び第3のレンズ204,206により構成される。これらを除いて、撮影ユニット200は、実施の形態1に係る撮影ユニット100と概ね同様に構成される。
【0091】
第1のレンズ204は、正のパワーを有するように、物体側の面S1が凸面をなし、かつ、像面側の面S2が凸面をなす両凸レンズである。この点を除いて、第1のレンズ204は、実施の形態1に係る第1のレンズ104と概ね同様に構成される。
【0092】
第3のレンズ206は、負のパワーを有するように、物体側の面S6が凹面をなし、かつ、像面側の面S7が凹面をなす両凹レンズである。この点を除いて、第3のレンズ206は、実施の形態1に係る第1のレンズ106と概ね同様に構成される。
【0093】
(実施例2)
実施の形態2に係る撮影レンズ201及び光学フィルタ102の具体的な数値例を、実施例2として以下に示す。第1〜第5のレンズ204,105,206,107,108、光学フィルタ102の主な仕様諸元、種々の数値データ(設定値)、条件式(1)〜(4)の数値データは以下の通りである。
【0094】
<仕様諸元>
物体距離(mm)→1000mm
撮影レンズ全系の焦点距離(mm)→f=5.719
第1〜第5のレンズ204,105,206,107,108の焦点距離(mm)f1=38.986(=fp1)、f2=10.294(=fp2)、f3=−4.13(=fp3)、f4=5.19、f5=18.194(=fp4)
第1〜第5のレンズ204,105,206,107,108の線膨張係数(×10
−6/℃)→K1=66、K2=70、K3=66、K4=5.9、K5=70
F値=1.61
水平画角(2ω)=49.7°、最大画角(2ω)=52.2°
開口絞りSDが有する開口の口径(直径;mm)=3.33
射出瞳位置(mm:∞)→−9.921
バックフォーカス(mm:空気換算)→BF=2.96
第1のレンズ群G1の最大通過光線径(mm)→H1max=5.38
第5のレンズ群G5の最大通過光線径(mm)→H5max=5.91
撮影レンズ系の全長→TL=12.1
【0095】
<曲率半径:mm>
R1=91.266(非球面)、R2=−33.887(非球面)、R3=13.553(非球面)、R4=−8.740(非球面)、R5(開口絞りSD)=∞、R6=−2.795(非球面)、R7=46.333(非球面)、R8=34.7206、R9=−4.205、R10=3.108(非球面)、R11=3.513(非球面)、R12=∞、R13=∞
<光軸上の間隔:mm>
D1=0.800、D2=0.267、D3=1.10、D4=0.1、D5=1.276、D6=0.600、D7=0.1、D8=2.513、D9=0.1、D10=2.144、D11=2.650、D12=0.4、D13=0.05
なお、撮影レンズ全系のレンズの厚み(=D1+D3+D6+D8+D10)=7.157
<屈折率(Nd)>
N1=1.64、N2=1.53、N3=1.64、N4=1.74、N5=1.53、N6=1.52
<アッベ数(νd)>
ν1=24.0、ν2=56.3、ν3=24.0、ν4=49.3、ν5=56.3、ν6=64.2
【0096】
<非球面係数の数値データ>
<S1面>
ε=1.0000000、D=2.0737×10
−3、E=−1.610×10
−4
<S2面>
ε=1.0000000、D=1.4974×10
−3、E=2.2591×10
−5
<S3面>
ε=1.0000000、D=−5.060×10
−3、E=4.0920×10
−4、F=1.2981×10
−5
<S4面>
ε=3.8759、D=−1.944×10
−3、E=4.2385×10
−4、F=−1.446×10
−5
<S6面>
ε=0.0917、D=0.01070、E=−1.869×10
−3、F=7.0138×10
−5、G=−1.3601×10
−5
<S7面>
ε=1.0000000、D=2.3969×10
−3、E=−3.930×10
−4、F=2.0981×10
−5
<S10面>
ε=0.1103、D=−2.5650×10
−3、E=−1.3099×10
−3、F=−2.6120×10
−5
<S11面>
ε=1.0000000、D=8.4118×10
−4、E=−3.371×10
−4、F=−1.543×10
−5
【0097】
<条件式の値>
(1)Σ[(1/fi)×Ki]/f=−0.4
4(−0.6<−0.4
4<0)
(2)|Σ(1/fpi)|=0.06(0.06<0.1)
(3)H1max/H5max=0.91(0.7<0.91<1.4)
(4)TL/f=2.1(1.5<2.1<2.5)
【0098】
このように、実施例2に係る撮影レンズ201は、式(1)〜(4)で表される条件のすべてを満たす。
【0099】
実施例2における球面収差、非点収差、歪曲収差(ディストーション)に関する収差図は、
図4に示す結果となる。なお、
図4において、gはg線、FはF線、eはe線、dはd線、CはC線、Sはサジタル平面での収差、Mはメリジオナル平面での収差を示す。
【0100】
実施例2でのレンズ仕様によれば、バックフォーカスBFが2.96mm、最大画角(2ω)が52.2°で、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することができ、諸収差が良好に補正された、高性能かつ小型で安価な撮影レンズ201を得ることができる。
【0101】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る撮影ユニット300の構成を
図5に示す。同図に示すように、撮影ユニット300は、実施の形態1に係る撮影レンズ101に代えて、撮影レンズ301を備える。撮影レンズ301では、第4のレンズ群G4が、実施の形態1に係る第4のレンズ107に代えて、第4のレンズ307により構成される。これを除いて、撮影ユニット300は、実施の形態1に係る撮影ユニット100と概ね同様に構成される。
【0102】
第4のレンズ307は、正のパワーを有するように、物体側の面S8が凹面をなし、かつ、像面側の面S9が凸面をなす凸メニスカスレンズである。この点を除いて、第4のレンズ307は、実施の形態1に係る第1のレンズ107と概ね同様に構成される。
【0103】
(実施例3)
実施の形態3に係る撮影レンズ301及び光学フィルタ102の具体的な数値例を、実施例3として以下に示す。第1〜第5のレンズ104〜106,307,108、光学フィルタ102の主な仕様諸元、種々の数値データ(設定値)、条件式(1)〜(4)の数値データは以下の通りである。
【0104】
<仕様諸元>
物体距離(mm)→1000mm
撮影レンズ全系の焦点距離(mm)→f=5.773
第1〜第5のレンズ104〜106,307,108の焦点距離(mm)f1=46.519(=fp1)、f2=9.355(=fp2)、f3=−4.95(=fp3)、f4=5.54、f5=24.052(=fp4)
第1〜第5のレンズ104〜106,307,108の線膨張係数(×10
−6/℃)→K1=70、K2=70、K3=66、K4=5.9、K5=70
F値=1.68
水平画角(2ω)=52.5°、最大画角(2ω)=56.5°
開口絞りSDが有する開口の口径(直径;mm)=3.43
射出瞳位置(mm:∞)→−13.406
バックフォーカス(mm:空気換算)→BF=3.23
第1のレンズ群G1の最大通過光線径(mm)→H1max=5.40
第5のレンズ群G5の最大通過光線径(mm)→H5max=6.33
撮影レンズ系の全長→TL=12.214
【0105】
<曲率半径:mm>
R1=−6.331(非球面)、R2=−5.397(非球面)、R3=5.999(非球面)、R4=−25.414(非球面)、R5(開口絞りSD)=∞、R6=−1.861(非球面)、R7=−5.315(非球面)、R8=−150.112、R9=−3.957、R10=3.218(非球面)、R11=3.708(非球面)、R12=∞、R13=∞
<光軸上の間隔:mm>
D1=1.35、D2=0.10、D3=1.09、D4=0.1、D5=1.927、D6=0.790、D7=0.1、D8=1.95、D9=0.1、D10=1.32、D11=2.937、D12=0.4、D13=0.05
なお、撮影レンズ全系のレンズの厚み(=D1+D3+D6+D8+D10)=6.53
<屈折率(Nd)>
N1=1.53、N2=1.53、N3=1.64、N4=1.74、N5=1.53、N6=1.52
<アッベ数(νd)>
ν1=56.3、ν2=56.3、ν3=24.0、ν4=54.7、ν5=56.3、ν6=64.2
【0106】
<非球面係数の数値データ>
<S1面>
ε=1.0000000、D=−7.372×10
−4、E=−4.824×10
−4、F=1.0950×10
−4、G=−4.505×10
−6
<S2面>
ε=1.0000000、D=−2.756×10
−3、E=8.5901×10
−4、F=−5.991×10
−5、G=8.0640×10
−6
<S3面>
ε=1.0000000、D=−5.438×10
−3、E=4.1718×10
−4
<S4面>
ε=1.0000000、D=−5.751×10
−3、E=−5.907×10
−4、F=8.3963×10
−5
<S6面>
ε=0.6777、D=0.0308、E=−4.999×10
−3、F=1.4757×10
−3、G=−1.007×10
−4
<S7面>
ε=−24.3808、D=−1.701×10
−3、E=6.3166×10
−4、F=5.4669×10
−5、G=−1.177×10
−5
<S10面>
ε=−0.1792、D=2.9781×10
−3、E=−1.734×10
−3、F=1.2293×10
−4、G=−8.716×10
−6
<S11面>
ε=1.0000000、D=4.9381×10
−3、E=−3.038×10
−3、F=1.6434×10
−4、G=−4.632×10
−6
【0107】
<条件式の値>
(1)Σ[(1/fi)×Ki]/f=−0.06
4(−0.6<−0.06
4<0)
(2)|Σ(1/fpi)|=0.03(0.03<0.1)
(3)H1max/H5max=0.8
5(0.7<0.8
5<1.4)
(4)TL/f=2.1(1.5<2.1<2.5)
【0108】
このように、実施例3に係る撮影レンズ301は、式(1)〜(4)で表される条件のすべてを満たす。
【0109】
実施例3における球面収差、非点収差、歪曲収差(ディストーション)に関する収差図は、
図6に示す結果となる。なお、
図6において、gはg線、FはF線、eはe線、dはd線、CはC線、Sはサジタル平面での収差、Mはメリジオナル平面での収差を示す。
【0110】
実施例3でのレンズ仕様によれば、バックフォーカスBFが3.23mm、最大画角(2ω)が56.5°で、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することができ、諸収差が良好に補正された、高性能かつ小型で安価な撮影レンズ301を得ることができる。
【0111】
図7は、実施例1〜3に係る撮影レンズ101〜103の各々についての環境温度(−40℃〜+85℃)と焦点結像位置の変化量との関係を示す図である。
図7において、横軸は、温度(環境温度)を表し、縦軸は、焦点結像位置の変化量を表す。焦点結像位置の変化量では、温度25℃における焦点結像位置を基準(すなわち、ゼロ)とされている。
図7では、実施例1〜3に係る撮影レンズ101〜103と比較するための比較例(比較例1と2)や参考例に係る撮影レンズの各々についての環境温度と焦点結像位置の変化量との関係をも示している。
【0112】
図7において、実線409、一点鎖線410、二点鎖線411、破線412、点線(点と点との間の間隔が広い点線)413、点線(点と点との間の間隔が狭い点線)414は、それぞれ、実施例1に係る撮影レンズ101、実施例2に係る撮影レンズ102、実施例3に係る撮影レンズ103、参考例に係る撮影レンズ、比較例1に係る撮影レンズ、比較例2に係る撮影レンズでの環境温度と焦点結像位置の変化量との関係を示す。
【0113】
参考例に係る撮影レンズは、実施例1に係る撮影レンズ101において各レンズ101〜105の素材をすべてガラスにしたものである。参考例は、詳細には、以下の仕様諸元等である。
なお、参考例において、撮影レンズは、上述の実施例と同様に、最も物体側に設けられるレンズを第1レンズとし、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、第5レンズの順に並べたものである。第5レンズが最も撮像素子側に設けられるレンズである。その他の定義(R1等)も、上述の実施例と同様である。
【0114】
<仕様諸元>
物体距離(mm)→1000mm
撮影レンズ全系の焦点距離(mm)→f=6.505
第1〜第5のレンズの焦点距離(mm)f1=13.144(=fp1)、f2=14.597(=fp2)、f3=−3.911(=fp3)、f4=7.495、f5=7.992(=fp4)
第1〜第5のレンズの線膨張係数(×10
−6/℃)→K1=5.8、K2=5.8、K3=11.5、K4=5.9、K5=5.8
F値=1.69
水平画角(2ω)=44.3° 、最大画角(2ω)=46.9°
開口絞りSDが有する開口の口径(直径;mm)=3.60
射出瞳位置(mm:∞)→−19.83
バックフォーカス(mm:空気換算)→BF=2.999
第1のレンズ群G1の最大通過光線径(mm)→H1max=4.86
第5のレンズ群G5の最大通過光線径(mm)→H5max=5.37
撮影レンズ系の全長(mm:空気換算)→TL=12.119
【0115】
<曲率半径:mm>
R1=8.908(非球面)、R2=−27.029(非球面)、R3=5.008(非球面)、R4=14.072(非球面)、R5(開口絞りSD)=∞、R6=−1.174(非球面)、R7=−2.722(非球面)、R8=68.120、R9=−5.894、R10=4.571(非球面)、R11=−34.869(非球面)、R12=∞ 、R13=∞ 、
<光軸上の間隔:mm>
D1=1.35、D2=0.1 、D3=0.840 、D4=0.1 、D5=1.78 、D6=0.89、D7=0.1、D8=1.315 、D9=0.1 、D10=2.411 、D11=2.6835、D12=0.4、D13=0.05
なお、撮影レンズ全系のレンズの厚み(=D1+D3+D6+D8+D10)=6.806
<屈折率(Nd)>
N1=1.52、N2=1.52、N3=1.69、N4=1.73、N5=1.52、N6=1.52
<アッベ数(νd)>
ν1=64.1、ν2=64.1、ν3=31.2、ν4=54.7、ν5=64.1、ν6=64.2
【0116】
<非球面係数の数値データ>
<S1面>
ε=1.0000000、D=−1.4355326×10
−3、E=−5.7800271×10
−4 、F=−3.9125297×10
−5 、G=−8.4826874×10
−6
<S2面>
ε=1.0000000、D=−3.3819762×10
−3、E=−1.5549685×10
−3 、F=1.1927917×10
−4、G=−4.4647126×10
−6
<S3面>
ε=1.0000000、D=−1.9897836×10
−3、E=−1.6112785×10
−4
<S4面>
ε=1.0000000、D=−4.8809998×10
−3、E=9.7448739×10
−4 、F=−2.7759346×10
−4
<S6面>
ε=0.2425764、D=7.6014935×10
−2、E=−1.2094188×10
−2 、F=2.2832757×10
−3、G=−1.4234122×10
−4
<S7面>
ε=−1.367596、D=2.6896612×10
−2、E=−5.0832978×10
−3、F=5.4200539×10
−4、G=−2.7616028×10
−5
<S10面>
ε=−3.290565、D=5.2617064×10
−3、E=−1.1607248×10
−3、F=1.1814674×10
−4、G=−9.7515954×10
−6
<S11面>
ε=1.0000000、D=3.0346994×10
−3、E=3.1138634×10
−5 、F=−9.8356845×10
−5 、G=4.3773395×10
−6
【0117】
<条件式の値>
(1)Σ[(1/fi)×Ki]/f=−0.091(−0.6<
−0.091<0)
(3)H1max/H5max=0.91(0.7<0.91<1.4)
(4)TL/f=1.86(1.5<1.86<2.5)
【0118】
比較例1に係る撮影レンズは、
図8に示す構成を備えたものであって、詳細には、特開2010−8562号公報に実施例1として開示された撮像レンズに相当する。
図8に示すレンズL1〜L5のそれぞれは、例えば本発明の実施の形態1に係る第1〜第5のレンズ群G1〜G5を構成するレンズ(第1〜第5のレンズ104〜108)に相当する位置に配置されたレンズと考えることができる。比較例2に係る撮影レンズは、
図9に示す構成を備えたものであって、詳細には、特開2011−85733号公報に第1実施例として開示された撮像レンズに相当する。
図9に示すレンズ1〜5のそれぞれは、例えば本発明の実施の形態1に係る第1〜第5のレンズ群G1〜G5を構成するレンズ(第1〜第5のレンズ104〜108)に相当する位置に配置されたレンズと考えることができる。
【0119】
ただし、比較例において、プラスチックレンズの−40℃〜+85℃での線膨張係数が、60〜70(×10
−6/℃)であり、ガラスレンズの−40℃〜+85℃での線膨張係数が、1〜10(×10
−6/℃)であるとしている。
【0120】
図7を参照すると分かるように、実施例1〜3に係る撮影レンズ101〜103では、40℃〜85℃での焦点結像位置の変化量は、±0.01mm以内であり、比較例1や比較例2と比べて、環境温度の変化に伴う焦点結像位置の変化量が極めて小さい。なお、比較例1や比較例2と比べて、参考例における環境温度の変化に伴う焦点結像位置の変化量が小さいのは、上述の条件式(1)や(3)や(4)の所望の条件を満たすことからだと考えられる。
【0121】
このように、実施例1〜3に係る撮影レンズ101〜103では、プラスチックレンズを多用しているにもかかわらず、また5つのレンズ群G1〜G5のうち負のパワーを有するレンズ群は、第4のレンズ群G4の1つのみであるにもかかわらず、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することができる。従って、安価かつ簡素な構成であっても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することが可能になる。
【0122】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形されてもよい。
【0123】
例えば、各実施の形態では、レンズ群G1〜G5のそれぞれが、1つのレンズ(例えば、実施の形態1ではレンズ104〜108)により構成される例により説明した。しかし、レンズ群G1〜G5のいずれか1つ又は複数が、複数のレンズにより構成されてもよい。
【0124】
すなわち、撮影レンズは、第1から第5のレンズ群の少なくとも1つが、1つ又は複数のプラスチックレンズにより構成され、1つのプラスチックレンズ又は複数のプラスチックレンズの各々の焦点距離をfpiとするとき、式(2)を満たすとよい。この構成によれば、第1〜第5のレンズ群を構成するレンズにプラスチックレンズを採用した場合であっても、環境温度に応じた焦点結像位置の変化をより確実に抑制することができる。従って、安価かつ簡素な構成であっても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することが可能になる。
【0125】
すなわち、撮影レンズは、第1、第2、第4及び第5のレンズ群の少なくとも1つが、1つ又は複数のプラスチックレンズにより構成され、第3のレンズ群が、1つ又は複数のプラスチックレンズにより構成されるとよい。
【0126】
正のパワーを有するレンズ群を構成するレンズにプラスチックレンズを採用することによって、軽量化、低コスト化及び色収差等の諸収差の良好な補正を図ることができる。また、負のパワーのレンズをプラスチックレンズとすることによって、正のパワーのレンズに1対1で対応付けた負のパワーのレンズを備えていなくても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することができる。また、負のパワーのレンズをプラスチックレンズとすることによって、ガラスレンズが採用される場合よりも低コスト化、軽量化などを図ることができる。
【0127】
従って、安価かつ簡素な構成であっても、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することが可能になる。
【0128】
すなわち、撮影レンズは、これは、第4のレンズ群が、正のパワーを有するレンズ群の中で最大のパワーを有し、1つ又は複数のガラスレンズにより構成されるとよい。この構成によれば、正のパワーを有する第1,第2,第4及び第5のレンズ群の中で最大の正のパワーを有する第4のレンズ群G4が、環境温度に応じた焦点結像位置の変化に対して及ぼす影響を小さくすることができる。従って、環境温度に応じて焦点結像位置が変化することを抑制することが可能になる。正のパワーを有するレンズ群の中で最大のパワーを有する第4レンズ群のパワーは、適宜選択されるが、好ましくは0.1以上かつ0.25以下(0.1≦1/F4≦0.25)、より好ましくは0.15以上かつ0.25以下(0.15≦1/F4≦0.25)、である。F4は、第4のレンズ群の焦点距離である。
【0129】
すなわち、撮影レンズは、第1、第2、第4及び第5のレンズ群を構成するレンズの少なくとも1面が非球面形状を有するとよい。この構成によれば、接合レンズを採用しなくても、コマ収差などの諸収差を良好に補正しつつ所望の解像力を得ることができる。従って、高温の環境下で使用された場合、使用年数が経過した場合などであっても、高い光学性能の維持することが可能になる。
【0130】
すなわち、第2のレンズ群G2のd線のアッベ数が、50以上であり、第3のレンズ群G3のd線のアッベ数が、30以下であり、第4のレンズ群G4のd線のアッベ数が、45以上であり、第5のレンズ群G5のd線のアッベ数が、50以上であればよい。この構成によれば、軸上色収差及び倍率色収差を良好に補正することが可能になる。