(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地中壁に鋼材、緩衝層を添設し、前記緩衝層から離間して型枠を設置し、前記緩衝層と前記型枠との間にコンクリートを打設する際に、前記鋼材に固定され且つ前記緩衝層を貫通して前記型枠側に突出する地中壁側棒状体の突出側端部と、前記型枠に突設された型枠側棒状体の前記地中壁側棒状体側の端部とを離間して、前記緩衝層と前記型枠との間隔を保持する防振セパレーターであって、
前記緩衝層に当接される第1板状部と、前記第1板状部に対して前記型枠側に離間して配置される第2板状部と、前記第1板状部と前記第2板状部とを一体化する連結部材とを有する本体フレーム部と、
前記第2板状部に、前記型枠側棒状体の端部を固定する型枠側固定部材と、
前記第1板状部及び前記第2板状部の間に配置され、且つ、前記第1板状部に形成された孔部に係合する弾性変形可能な筒状弾性体と、
を有し、
前記地中壁側棒状体の前記突出側端部は、前記筒状弾性体の貫通孔を貫通して突出して、前記筒状弾性体の前記型枠側の端面に弾性体側固定部材で固定され、
前記筒状弾性体は、前記筒状弾性体の外形に追従して変形し、且つ、前記筒状弾性体の外周面に密着する保護キャップ部により覆われ、
前記保護キャップ部は、前記第1板状部に当接されていることを特徴とする防振セパレーター。
前記保護キャップ部は、開口部を介して前記大径円筒部を被覆する大径部と、前記大径部にテーパ状部で連設され、且つ、前記第2板状部側に突出する小径部とで、凸状形状に形成され、
前記大径部の内周面は前記弾性体の前記大径円筒部の外周面と密着し、前記小径部は、前記地中壁側棒状体の前記突出側端部の外径より大きい内径を有する、
請求項5記載の防振セパレーター。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<防振セパレーターを用いた型枠装置の概要>
図2は、本発明の一実施の形態に係る防振セパレーター100を用いた型枠装置20の構成を示す図である。
図3は、
図2のX部分の拡大図であり、
図4は、
図3に示す地中壁側ボルトの拡大図である。
【0017】
図2に示すように、本実施の形態に係る防振セパレーター100は、構造物の防振地下壁としてのコンクリート壁を、地山を掘削等して形成された地中壁30に沿って構築する型枠装置20に用いられる。
【0018】
地中壁30は、地山を掘削して形成された土留壁部であり、芯材となる地中鉄骨(鋼材)31が、所定間隔を空けて複数埋設されている。この地中鉄骨31を覆うように板状の緩衝層32が添設されている。ここでは、緩衝層32は、地山側から伝達する振動を緩和する防振材としての機能を有し、ここでは、発泡体、ゴム等からなる板状の緩衝材32a、32bを積層することより構成されている。例えば、緩衝層32として防振ゴムマットを用いても良い。
【0019】
地中鉄骨31は、H形鋼等で構成され、この地中鉄骨31には、
図3に示すように、地中壁側棒状体である地中壁側ボルト35が、緩衝層32を貫通して緩衝層32の壁面から突出するように固定されている。
【0020】
具体的には、
図4に示すように、地中壁側ボルト35が、地中鉄骨31に溶接、スタッド等の止着部材33により固定されている。地中壁側ボルト35は、緩衝層32を貫通して、防振セパレーター100の本体フレーム部110の1/3から中間程度まで突出した長さとする。なお、緩衝層32より突出した地中壁側ボルト35の端部35aから防振セパレーター100において振動吸収体として機能する弾性体(筒状弾性体)130が挿入されて固定される。
【0021】
この防振セパレーター100を介して、
図2に示すように、型枠40が、地中壁30(詳細には、緩衝層32)に対向して離間距離Rを空けて平行に配置されている。
【0022】
型枠40は、ベニヤ板等からなり、緩衝層32に対向して配置されている。型枠40は外側には、型枠40を支持する支保工45が添設されている。支保工45は、横端太材42、縦材43等を有する。
【0023】
型枠40と緩衝層32との離間距離Rは、構築するコンクリート壁50の厚み分の長さとなる。つまり、地中壁30に添う緩衝層32と、型枠40との間にコンクリートを打設し、硬化した後に型枠40を取り除くことで、コンクリート打設部分がコンクリート壁となる。なお、本実施の形態では、緩衝層32と型枠40との間に、図示しない鉄筋を配筋するので、この空間にコンクリートを打設することで鉄筋コンクリート壁が構築される。
【0024】
また、支保工45は、受け金具46、ナット47等を介して、型枠40から地中壁側に延在する型枠側ボルト(型枠側棒状体)48の一端部48aが固定されている。
【0025】
これら緩衝層32と型枠40との間には、地中壁側ボルト35の端部35a(
図4参照)と型枠側ボルト48の他端部48bとを連結して、且つ、地中壁30(緩衝層32)と型枠40とが一定の間隔を空けた状態を保持する防振セパレーター100が介設されている。
【0026】
<防振セパレーターの構成>
図5は、本発明の一実施の形態に係る防振セパレーターの側面図であり、
図6は、同防振セパレーターの正面図であり、
図7は、同防振セパレーターの背面図である。
【0027】
防振セパレーター100は、地中壁に鋼材(地中鉄骨31)、緩衝層32を添設し、緩衝層32から離間して型枠40を設置し、緩衝層32と型枠40との間にコンクリートを打設する際に、鋼材(地中鉄骨31)に固定され且つ緩衝層32を貫通して型枠40側に突出する地中壁側ボルト(地中壁側棒状体)35の端部(突出側端部)35aと、型枠40に突設された型枠側ボルト(型枠側棒状体)の地中壁側ボルト(地中壁側棒状体)側の他端部(端部)48bとを離間して、緩衝層32と型枠40との間隔を保持する。
【0028】
防振セパレーター100は、本体フレーム部110、弾性体130、保護キャップ部140、弾性体側固定部材150、を有する。
【0029】
本体フレーム部110は、緩衝層32に当接される第1板状部111と、第1板状部111に対して型枠40側に離間して配置される第2板状部112と、第1板状部111と第2板状部112とを離間した状態で一体化する支持側部(連結部材)116とを有する。第2板状部112は、型枠40に対向する面が平行になるよう配置される。
【0030】
ここでは、第1板状部111と第2板状部112は互いに対向し、それぞれに孔部111a、112aが形成されている。ここでは、それぞれの孔部111a、112aは、径は異なるが同一中心で配置され、第1板状部111と第2板状部112のそれぞれの中央部に形成されている。
【0031】
本体フレーム部110は、例えば、金属製の板材を折り曲げることで、互いに対向する第1板状部111と第2板状部112と、これら第1板状部111及び第2板状部112の双方に直交するように連設され、互いに対向する一対の板状の支持側部116、116とを有する矩形枠状に形成されている。支持側部116は、第1板状部111と第2板状部112とを一体化している。また、支持側部116は、第1板状部111と第2板状部112の双方に直交するように連設され、互いに対向する一対の板状部材(連結部材)で構成されている。これにより、支持側部116は、第1板状部111及び第2板状部112を強固に連結させることができる。
【0032】
本体フレーム部110の少なくとも一対の側面は開口し、第2板状部112と第1板状部111との間の内部空間と外部とは連通する。ここでは、本体フレーム部110は、第2板状部112、第1板状部111、支持側部116、116とで囲まれた縁部で開口する。
【0033】
第2板状部112は、第1板状部111に対して型枠40側に離間して配置される。第2板状部112には、孔部112aに型枠側ボルト48の他端部48bがナット61を介して固定されている。このナット61が型枠側固定部材に相当する。第2板状部112の孔部112aの大きさは、例えば、型枠側ボルト48の外径より1mm程度大きい孔径とし、第2板状部112の型枠40と対向する面(第2板状部112の外面)から型枠側ボルト48が挿入されて、逆側の面(第2板状部112の内面)側に突出する。この突出した部分(型枠側ボルト48の他端部48b)にナット61を螺合することにより本体フレーム部110は型枠側ボルト48に固定されている。
【0034】
第1板状部111の孔部111aには、地中壁側ボルト35の端部35aが貫通孔135を貫通して突出した弾性体130の小径円筒部132が係止している。つまり、第1板状部111の孔部111aには、小径円筒部132とともに、緩衝層(
図1参照)32より突出した地中壁側ボルト35が挿通されている。また、第1板状部111の孔部111aは、弾性体130の小径円筒部132の外径よりも若干(1mm程度)大きく形成されており、本体フレーム部110内の大径円筒部134が通過しない形状となっている。
【0035】
なお、第1板状部111から本体フレーム部110外に突出した小径円筒部132の一部は、
図3に示すように地中壁30に添う緩衝層32の凹部36に収納してもよい。なお、この凹部36は、緩衝層得36が発泡体であるときは、小径円筒部132を緩衝層32に押し込むことで形成されるものであり、予め緩衝層36に形成されるものではないが、緩衝層32を防振ゴムマット等で形成する際には予め形成してもよい。
【0036】
弾性体130は、弾性変形可能であり、弾性変形することにより、振動の伝達防止や緩衝機能を有し、ここでは、弾性体130として、防振ゴムが適用されている。
【0037】
弾性体130は、小径円筒部132と大径円筒部134とを軸方向で連接した断面T字状の筒状をなしており、大径円筒部134は、第2板状部112と第1板状部111間、つまり本体フレーム部110内に配置されている。小径円筒部132は孔部111aに嵌合し、突出しているので、弾性体130は、本体フレーム部110内で、小径円筒部132と大径円筒部134との段差部分で、第1板状部111の内面111b及び孔部111aに係合する。このように弾性体130は、第1板状部111及び第2板状部112の間に配置され、且つ、第1板状部111に形成された孔部111aに係合する。
【0038】
フレーム部110内では、大径円筒部134における小径円筒部132側の面(第1板状部111との接触面)134aと、第1板状部111の内面111bとが面接触することで係合する。
【0039】
弾性体130は、中央部に小径円筒部132及び大径円筒部134を貫通する貫通孔135を有し、この貫通孔135に地中壁側ボルト35が挿入されている。地中壁側ボルト35の端部35aは、型枠40側である大径円筒部134側で突出し、この突出した部分で弾性体側固定部材150を介して固定されている。すなわち、地中壁側ボルト35(地中壁側棒状体)の端部(突出側端部)35aは、弾性体130の貫通孔135を貫通して突出して、弾性体130の型枠40側の端面に弾性体側固定部材150で固定される。
【0040】
ここでは、弾性体側固定部材150は、地中壁側ボルト35の端部35aに形成された雄ねじ部に螺合するナット152と、大ワッシャー154と、小ワッシャー156とを有する。詳細には、地中壁側ボルト35の端部35aに、大ワッシャー154と小ワッシャー156を介してナット152を螺合する。
【0041】
弾性体130は、低周波数域(30Hz〜40Hz)から振動遮断効果が得られるよう設計されるものとする。振動遮断効果を得るためには、弾性体130の硬度、つまり、弾性体130としての防振ゴムの硬度は、柔らかいほど好適であるが、硬度が柔らかすぎるとゴム変形量が大きくなる。防振セパレーター100の弾性体130としては、800kgfの圧縮力が負荷されても、弾性体130の大径円筒部134がつぶれないことが求められる。また、軽量化、コスト低減の観点から防振セパレーターの小型化が求められており、弾性体(防振ゴム)130も小型化が望まれる。
【0042】
保護キャップ部140は、弾性体130を固定する弾性体側固定部材(ナット及び大小ワッシャー)150と、弾性体130とを被覆する。保護キャップ部140は、弾性体130の変位に追従できるよう弾性体130より柔らかい材質にて形成し、弾性体130の大径円筒部134の外周面1341に密着して弾性体130及び弾性体側固定部材150を覆う。保護キャップ部140は、弾性体130及び弾性体側固定部材150を被覆した状態で、第1板状部111に当接されている。これにより、保護キャップ部140と第1板状部111間の水密性の向上が図られている。
【0043】
保護キャップ部140の形状は特にこだわらないが、弾性体130の外形に対応して形成することが好ましい。本実施の形態では、
図5に示すように、保護キャップ部140は、小径部142と大径部144をテーパー状部146で連接して構成し、且つ、大径部144側に開口部を設けた凸状形状としている。また、保護キャップ部140では、大径部144の内周面が弾性体130の大径円筒部134の外周面1341と密着し、該小径部142は地中壁側ボルト35の端部35aの外径より大きい内径としている。このとき、大径部144の高さは、弾性体130の大径円筒部134の高さ(厚さであり軸方向の長さ)よりも大きくする。また、保護キャップ部140を構成する材質は、弾性体130より柔らかいものであれば、どのようなものでもよいが、軟質のポリ塩化ビニルが好適である。保護キャップ部140を軟質のポリ塩化ビニル製とすることで、耐水性に優れ、保護キャップ部140内のナット152やワッシャー154,156の錆びも防ぐことができる。
【0044】
ここでは、保護キャップ部140の開口部の内径は、弾性体130の大径円筒部134の外径と同径〜0.5mm程度小さくすることが望ましい。また、保護キャップ部140の厚さは1mm〜2mm程度が好適である。厚さが2mm超となると、保護キャップ部140の剛性によって弾性体130の変形が抑制されて、弾性体130における所望の振動遮断性能が得られない虞がある。また、厚さが1mm未満となると、防振セパレーター100の設置の際、特に、保護キャップ部140を弾性体130に被せる際に、保護キャップ部140の伸びや破れが生じる懸念があるからである。
【0045】
保護キャップ部140は、現地にて地中壁側の地中鉄骨31(
図2〜
図4参照)から立設した地中壁側ボルト35に、本体フレーム部110内で弾性体130をナット152や大小ワッシャー154、156にて固定した後で、本体フレーム部110内で被覆させることになる。しかしながら、本体フレーム部110内では、防振セパレーター100自体の小型化に伴い、スペースが狭い。よって、保護キャップ部140に小径部142を設けることで、保護キャップ部140の小径部142を摘まみつつ、本体フレーム部110内で、保護キャップ部140を弾性体130やナット152、大小ワッシャー154、156に被せることができ、狭いスペースでも被覆作業が容易となる。なお、ナット152より飛び出た地中壁側ボルト35は、保護キャップ部140の小径部142の内径に収納される。
【0046】
保護キャップ部140と、本体フレーム部110の支持側部116との間には、クリアランスC(
図5参照)が設けられている。
【0047】
例えば、本実施の形態の防振セパレーター100では、弾性について、大径円筒部134の外径をφ40mm、高さ(厚さ)10mm、ゴム硬度HA(JIS K 6253 デュロメータタイプA)85で構成し、保護キャップ部140を厚さ2mmの軟質ポリ塩化ビニル製で構成する。また、例えば、保護キャップ部140の大径部144の外周と、本体フレーム部110の側面部を構成する支持側部116との間には6mmのクリアランスCが設けられている。
【0048】
<本体側面部と保護キャップ部140(弾性体130)のクリアランス>
弾性体130(防振ゴム)は、低周波数域(30〜40Hz)から振動遮断効果が得られるよう設計される。設計された弾性体130のコンクリート打設(800kgf)による変形量に応じて支持側部と接しないよう、所定のクリアランスC(
図5参照)を設けられている。このクリアランスCは、例えば、以下の実験1〜3に基づいて設定される。
【0049】
・実験1
実験1は、無負荷時の弾性体130(防振ゴム)の大径円筒部(800kgfの圧縮力を受ける部分)134の外径をφ50mm、厚さを10mmとし、ゴム硬度をHA75〜HA95まで変化させて800kgfの圧縮力を負荷した際の大径円筒部134の外径を測定した。具体的には、ゴム硬度HAを、HA75、HA80、HA85、HA90、HA95として測定した。この測定結果を表1に示す。表1に示すように、800kgf圧縮負荷時の外径増加量は、ゴム硬度HA75で+6mm、ゴム硬度HA95では+2mmであった。
【0051】
・実験2
実験2は、防振セパレーター自体の小型化を考慮して、無負荷時の弾性体130(防振ゴム)の大径円筒部(800kgfの圧縮力を受ける部分)134の外径をφ40mmとし、他条件は実験1と同じとして、800kgfの圧縮力を負荷した際の大径円筒部134の外径を測定した。この測定結果を表2に示す。
【0053】
表2に示すように、弾性体(防振ゴム)130の大径円筒部134の外径(面積)を小さくすることで、弾性体130のばね定数は下がり、800kgf圧縮負荷時の外径増加量は、実験1と比べて大きくなる。しかしながら、ゴム硬度をHA80〜HA95、好ましくは、HA85〜HA95とすれば、800kgf圧縮負荷時の外径をφ50mm以下とすることができ、大径円筒部134をφ50mm×厚み10mmとした弾性体130を適用する構成よりも小型化を図ることができる。
【0054】
よって、無負荷時における本体フレーム部110と弾性体(防振ゴム)130の大径円筒部134とで必要なクリアランスCは、保護キャップ部140の厚みを2mmとして、ゴム硬度HA80で8mm程度、ゴム硬度HA90で5mm程度となる。なお、弾性体130の大径円筒部134の外径をφ30mmまで小さくすると、弾性体130のばね定数が下がり過ぎ、800kgf圧縮負荷に耐えられなく、弾性体130の大径円筒部134がつぶれてしまう懸念が生じる。
【0055】
・実験3
実験3は、無負荷時の弾性体(防振ゴム)130の大径円筒部(800kgfの圧縮力を受ける部分)134の高さ(厚み)を20mmとし、他条件は、実験2と同じとして、800kgfの圧縮力を負荷した際の大径円筒部134の外径を測定した。この測定結果を表3に示す。
【0057】
表3に示すように、弾性体(防振ゴム)130の大径円筒部134の高さ(厚さ)を大きくすることで、弾性体130のばね定数は下がり、800kgf圧縮負荷時の外径増加量は実験2の同一ゴム硬度のデータと比べて大きくなることが判った。
【0058】
以上のことから、防振セパレーター100の小型化の観点からは、ゴム硬度をHA80〜HA95、好ましくは、HA85〜HA95とし、弾性体130の大径円筒部134の外径をφ40mm程度(φ37〜φ43)、大径円筒部134の高さ(厚さ)を10mm程度(7〜13mm)とするのが好適である。
【0059】
<設置方法>
本実施の形態の防振セパレーター100を型枠装置として設置する方法を説明する。
【0060】
まず、地中壁30に、地中鉄骨31を、所定間隔で埋設し、地中壁側ボルト35を所定箇所で立設させる。そして、緩衝層32を全面に設ける。なお、緩衝層32が防振ゴムマットなどのゴムで構成されていれば、地中壁側ボルト35を貫通させる部位に、凹部36を形成してもよい。ここでは、緩衝層32として発泡体を用いるため予め凹部36を形成しない。そして、本体フレーム部110の第1板状部111の孔部111aに、弾性体130の小径円筒部132を、本体フレーム内側において、第2板状部112側から、第1板状部111に向かって挿入する。この状態では、弾性体130の大径円筒部134が第1板状部111の内面111bに係合し、小径円筒部132の一部132c(
図5参照)が第1板状部111の外方に突出する。
【0061】
次いで、第1板状部111から外方に突出した小径円筒部132(小径円筒部132の一部132c)側から、弾性体130の貫通孔に地中壁側ボルト35を挿通して、本体フレーム部110を、地中壁30側の緩衝層32の表面に設置する。このとき、弾性体130の小径円筒部132の一部132cを、緩衝層32内に押し込む。これにより小径円筒部132は、緩衝層32の凹部36内に収容された状態となる。なお、凹部36が緩衝層32に予め形成されている構成の場合、防振セパレーター100を取り付ける際の位置決めとして機能する。
【0062】
次いで、本体フレーム部110の第2板状部112の孔部112aに、型枠40側から延設された型枠側ボルト48を挿通し、本体フレーム部110内に突出する地中壁側ボルト35の端部35aに、弾性体側固定部材150(大ワッシャー154、小ワッシャー156、ナット152)を取り付けて、螺合する。これにより、弾性体130及び本体フレーム部110を地中壁30側(具体的には緩衝層32)の表面に固定する。
【0063】
次いで、型枠側ボルト48に枠体側固定部であるナット61を取り付け、型枠側ボルト48と第2板状部112とを固定する。次いで、弾性体130及び弾性体側固定部材(大ワッシャー154、小ワッシャー156、ナット152)150に保護キャップ部140を、小径部142をつまんで取り付ける。
【0064】
次いで、本体フレーム部110の開口部分を養生部材としての養生テープ(ここでは、粘着テープ)で養生して塞ぐ。すなわち、本体フレーム部110の外周には養生テープが設けられる。これにより、本体フレーム部110内空間、つまり、第2板状部112と第1板状部111の間の空間は、閉塞された状態となる。
【0065】
次いで、緩衝層32と、型枠40の間(
図2の離間距離Rで示す領域)にコンクリートを打設する。このとき、型枠側ボルト48、防振セパレーター100はコンクリート内に埋設される。
【0066】
このようなコンクリート打設時では、型枠40を押し広げようとする力が働き、防振セパレーターの本体フレーム部110に対して、型枠40側に引張り力(800kgf)が働く。一方、地中壁側ボルト35は、地中壁30に埋設された地中鉄骨31に固定されているため、弾性体130の大径円筒部134には圧縮力が働くことになる。この圧縮力を受けると、弾性体130の大径円筒部134は、本体フレーム部110内で、圧縮方向(地中壁側ボルト35の軸方向)に直交した外周面側に膨らむ。このとき、保護キャップ部140により被覆された弾性体130と支持側部116との間には、接触しないようクリアランスCが設けてあるため、大径円筒部134が支持側部116に接触することなく、効果的に変形する。
【0067】
コンクリート内の防振セパレーター100では、保護キャップ部140の大径部144の内周面が弾性体130の大径円筒部134の外周面1341と密着している。
そして、コンクリートが硬化した後、支保工、型枠40を取り外し、コンクリート面から突出しているボルト棒があれば、切断除去する。これにより地中に、地中壁に沿って所定厚のコンクリート壁が構築できる。
【0068】
<効果>
本実施の形態の防振セパレーター100を用いてコンクリート壁を構築する方法では、地中壁30に添う緩衝層32と型枠40との間に介設される防振セパレーター100に対して、本体フレーム部110の開口部分は粘着テープ等の養生テープで養生して塞いだ後に、コンクリートが打設される。これにより、通常であれば養生テープによる閉塞部分に隙間が生じることはない。しかしながら、施工中の予期せぬ荷重や地震等による過大な力によって養生した閉塞部分に隙間が生じた場合、本体フレーム部110内に、ペースト状のセメントが流入する虞がある。従来構成のように、流入したセメントが、弾性体130、本体フレーム部110に亘って付着した場合、コンクリート硬化後には剛体となるため、地中壁から地中壁側ボルト35に伝達された振動が、硬化した弾性体130、本体フレーム部110、型枠側ボルト48を伝導し、打設したコンクリートに伝わることで振動音が発生する。
【0069】
これに対し、本実施の形態では、弾性体130は、弾性体130の大径円筒部134の外周面1341に密着するように保護キャップ部140で覆われているので、保護キャップ部140と大径円筒部134との間に流入せず、弾性体側固定部材(ナット152、大小ワッシャー154、156)150にも本体フレーム部110内に流入したペースト状のセメントは付着しない。
【0070】
これにより、地中壁側ボルト35と本体フレーム部110(詳細には、型枠側ボルト48)との隔離状態を維持することができ、上述した振動の伝達は発生しない。
【0071】
また、保護キャップ部140を、弾性体130より柔らかい材質で構成することにより、弾性体130の変形に追従して保護キャップ部140が変形する。これにより、弾性体130の動きを抑制することがなく、弾性体130の防振機能が低下することはない。
【0072】
このように本実施の形態によれば、防振セパレーター100では、地中壁側ボルト35に固定される弾性体130と、型枠側ボルト48に固定される本体フレーム部110とが分離しているため、地中壁30側から、コンクリートを打設して構築したコンクリート壁への振動伝達を確実に遮断する。すなわち、土留壁等の地中壁側から型枠側への振動の伝達を防止したコンクリート壁を好適に施工できる。
【0073】
また、弾性体130(詳細には、保護キャップ部140)の外周面と支持側部116との間にクリアランスCを有するので、コンクリート打設時に発生する圧縮力により、弾性体130が放射方向に膨らんでも本体フレーム部110には接触しない。これにより、防振セパレーター100に圧縮力が付与されても、弾性体130の動きは拘束されずに安定した振動遮断性能が得ることができる。
【0074】
また、保護キャップ部140の形状が、小径部142と大径部144をテーパー状部146に連接して形成され、且つ、大径部144側に開口部を設けた凸状形状としている。これにより、スペースの少ない本体フレーム部110内において、保護キャップ部140の小径部をつまみながら防振ゴムやナット、ワッシャーに被せることができ、作業が容易となる。
【0075】
(変形例1)
図8は、本発明の実施の形態に係る防振セパレーターの変形例1の説明に供する図である。なお、
図8に示す防振セパレーター100Aは
図1〜7に示す一実施の形態に対応する防振セパレーター100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図8に示す防振セパレーター100Aは、一実施の形態に係る防振セパレーター100の本体フレーム部110に換えて、本体フレーム部110Aを有する構成である。本体フレーム部110Aは、第1板状部111Aと、第2板状部112Aと、高ナット173及びボルト172、172を有する連結部材170と、を備える。
【0077】
第1板状部111Aにおいて孔部111aを中心にした周縁部には、ボルト貫通孔が複数設けられている(例えば、対称位置に4箇所)。
第2板状部112Aにおいて孔部112a周縁部にも、第1板状部111Aのボルト貫通孔に対応する位置にボルト貫通孔が複数設けられている。高ナット173は、第1板状部111Aと第2板状部112Aが互いに対向するように、第1板状部111Aと第2板状部112Aとの間の各ボルト貫通孔に対応する位置に複数設けられる(
図8は一箇所のみを図示)。高ナット173の一方は、第1板状部111Aのボルト貫通孔を介してボルト172により螺合され、他方は、第2板状部112Aのボルト貫通孔を介してボルト172により螺合される。このボルト172により第1板状部111Aと第2板状部112Aが互いに対向するように固定される。
【0078】
これにより、連結部材170を介して第1板状部111Aと第2板状部112Aが離間して固定され、本体フレーム部110Aが形成される。本体フレーム部110Aの第1板状部111Aと第2板状部112Aと連結部材170とで囲まれる面は開口し、第1板状部111Aと第2板状部112Aとの間の内部空間と外部とは連通する。ここでは、本体フレーム部110Aの外周は、高ナット173を設けていない部分で開口する。
【0079】
地中壁側ボルト(地中壁側棒状体)35と第1板状部111Aとの固定、型枠側ボルト(型枠側棒状体)48と第2板状部112Aとの固定は、それぞれ地中壁側ボルト(地中壁側棒状体)35と第1板状部111との固定、型枠側ボルト(型枠側棒状体)48と第2板状部112との固定と同様の為、説明を省略する。
【0080】
この防振セパレーター100Aを使用する際には、防振セパレーター100Aを、
図2に示す地中壁30に添う緩衝層32及び型枠40間に介設して設置し、2枚の平板(第2、第1板状部)112A、111Aの外周を囲むように養生テープで養生して、2枚の平板112A、111A間を閉塞する。これにより、防振セパレーター100Aは、上述した一実施の形態に係る防振セパレーター100と同様に、地中壁30側から型枠40側への振動の伝達を防ぎつつ、地中にコンクリート壁に容易に形成することができる。
【0081】
また、
図2〜7に示す本実施の形態の防振セパレーターにおいて、弾性体130の構成を、弾性体130の端面の少なくとも一方の面に突起部を設けた構成としてもよい。この例を
図9に示す。
【0082】
図9は弾性体130の変形例の説明に供する図である。
【0083】
図9に示す弾性体130A、130Bは、防振セパレーター100の構成において、弾性体130と同様に構成された凸状体における大径円筒部134の端面の少なくとも一方の端面に突起部180を設けることで形成されている。
図9Aは大径円筒部134の小径円筒部側の面(第1板状部111との接触面)134aに突起部180を設けたものであり、
図9Bは、大径円筒部134の両面に突起部180を設けることで形成されている。
【0084】
また、
図9A、
図9Bに示すように、弾性体130の大径円筒部134に突起部180を設けることにより、ナット152を介して、地中壁側ボルト35に弾性体130を締め込み固定する際、最初に突起部180が押されてある程度の締め込みトルクを発生させ、続いて突起部180が設けられた端面が、押されることでより大きな締め込みトルクを発生させることができる。このように、突起部180から、突起部180が設けられた端面に締め込みが移行した際のトルク量の変化点を、弾性体130の締め込み量とすることで、締め込みによる弾性体130の変形量を一定にでき、弾性体130の振動遮断性能の安定化が図れる。
【0085】
これにより、ナットの締め込みにより弾性体130が圧縮変形しても、締め込み加減が分からないことがない。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。