(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記五員環環状カーボネート化合物が、原材料の1つに二酸化炭素を用いて合成されたものであり、且つ、該五員環環状カーボネート化合物をモノマー単位として得た前記ポリヒドロキシウレタン樹脂の質量のうちの1〜30質量%を、該二酸化炭素由来の−O−CO−結合が占める請求項1又は2に記載のポリヒドロキシウレタン樹脂。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記に挙げた従来の技術には、下記に述べるように、それぞれ課題がある。まず、水素添加ポリブタジエンを利用する技術では、水素添加ポリブタジエンは、一般には官能基数が大きいため、ポリウレタン系樹脂の製造に当たって、高分子化するとゲル化が起こり、目的とするバインダーそのものが得られにくい。このため分子量を小さくせざるを得ず、耐久性の面で満足な結果が得られておらず製造が困難であるのが現状である。
【0007】
また、上記した2液型のドライラミネート用接着剤の場合は、各成分の配合条件がシビアである上に、接着強度が満足のいく強度でないという問題がある。また、ジメチロールアルカン酸を既存接着剤に配合する方法は、ジメチロールアルカン酸が接着剤組成中の種々の官能基と反応し得ることから適用範囲が限られ、種々の材質の基材に適用できるものではないといった問題がある。
【0008】
本発明は、従来技術を解決すべくなされたものであり、その課題とするところは、例えば、ポリオレフィン類や金属等の種々の材質からなる基材に対して良好な接着性・密着性を示すとともに、溶剤に対して良好な溶解性を示すため簡便に製造することが可能な、接着剤(塗料)材料として有用なポリヒドロキシウレタン樹脂、これを利用したポリヒドロキシウレタン樹脂組成物を提供することにある。更に、本発明の目的は、地球環境保護に有用な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の本発明によって解決される。すなわち、本発明は、五員環環状カーボネート化合物と、ダイマージアミンを全アミン成分中に10モル%以上含有するアミン化合物との重付加反応により誘導されたものであることを特徴とするポリヒドロキシウレタン樹脂を提供する。
【0010】
また、本発明は、1分子中に少なくとも2つの五員環環状カーボネート構造を有する化合物と、全アミン成分中に、1分子中に少なくとも2つのアミノ基を有するダイマージアミンを10モル%以上含む、アミン化合物との重付加反応により誘導されたポリマー鎖を有し、該ポリマー鎖の繰り返し単位の化学構造が、下記一般式(1)〜(4)の群から選ばれる1種又は2種以上が混在したものであり、且つ、前記ポリマー鎖の繰り返し単位中に、前記一般式(1)〜(4)中のYが、前記ダイマージアミン由来の化学構造である下記一般式(5)〜(12)で示されるいずれかの化学構造である繰り返し単位を有することを特徴とするポリヒドロキシウレタン樹脂を提供する。
(上記一般式(1)〜(4)中のX、Yは、モノマー単位由来の、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素又は芳香族炭化水素を含んでなる化学構造を示し、該構造中には、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子を含んでもよく、且つ、Yは、ダイマージアミン由来の下記一般式(5)〜(12)から選ばれる化学構造である場合を有する。)
【0011】
本発明の好ましい形態としては下記のものが挙げられる。その重量平均分子量が10000〜100000であり、且つ、水酸基価が50〜350mgKOH/gの範囲であること;前記五員環環状カーボネート化合物が、原材料の1つに二酸化炭素を用いて合成されたものであり、且つ、該五員環環状カーボネート化合物をモノマー単位として得た前記ポリヒドロキシウレタン樹脂の質量のうちの1〜30質量%を、該二酸化炭素由来の−O−CO−結合が占めること;前記一般式(1)〜(4)中のXが、芳香族環を含んでなる化学構造を示すこと;前記芳香族環を含んでなる化学構造が、以下で示される化学構造からなる群から選択されるいずれかであることが挙げられる。
【0012】
【0013】
本発明は、別の実施形態として、前記いずれかのポリヒドロキシウレタン樹脂に、更にポリイソシアネートを含有してなることを特徴とするポリヒドロキシウレタン樹脂組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、別の実施形態として、前記いずれかのポリヒドロキシウレタン樹脂又は前記のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物を含んでなることを特徴とする接着剤を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ポリプロピレンやポリエチレンといったポリオレフィン樹脂類や、アルミニウムやステンレスといった金属等の種々の材質からなる基材に対して良好な接着性を示し、溶剤に対して良好な溶解性を示すため、接着層やバインダー層を容易に形成することができるポリヒドロキシウレタン樹脂、及び該樹脂を含むポリヒドロキシウレタン樹脂組成物、接着剤が提供される。更に、本発明によって提供されるポリヒドロキシウレタン樹脂は、原料として二酸化炭素を利用することができることから、省資源、環境保護に資する技術の提供が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、発明を実施するための好ましい形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、五員環環状カーボネート化合物と、アミン化合物とをモノマー単位とし、これらの重付加反応によって得られるが、アミン化合物として、全アミン成分中にダイマージアミンが10モル%以上含まれる配合で形成されていることを特徴とする。
【0017】
より好ましくは、本発明で規定する、1分子中に少なくとも2つの五員環環状カーボネート構造を有する化合物と、全アミン成分中にダイマージアミンを10モル%以上含む、1分子中に少なくとも2つのアミノ基を有するアミン化合物との重付加反応により誘導されたポリマー鎖を有し、該ポリマー鎖の繰り返し単位の化学構造が、前記一般式(1)〜(4)の群から選ばれる1種又は2種以上が混在したものであり、且つ、前記ポリマー鎖の繰り返し単位中に、前記一般式(1)〜(4)中のYが、前記ダイマージアミン由来の化学構造である前記一般式(5)〜(12)で示される化学構造である繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂を提供する。以下、これらの点について説明する。
【0018】
まず、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、五員環環状カーボネート化合物と、ダイマージアミンを含むアミン化合物とをモノマー単位とし、これらの重付加反応によって誘導されたものである。上記重付加反応において、五員環環状カーボネートの開裂が2種類あることから、下記に示したように、得られる樹脂は、下記式(1)〜(4)の4種類の化学構造が生じ、これらはランダムに存在すると考えられる。
【0021】
本発明を構成する五員環環状カーボネート化合物(以下、単に環状カーボネート化合物と呼ぶ場合もある)は、エポキシ化合物と二酸化炭素との反応によって得られたものであることが好ましい。すなわち、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、下記の反応によって得られる環状カーボネート化合物を原料として用いて誘導されたものであることが好ましい。具体的には、本発明で使用する環状カーボネート化合物は、例えば、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下、0℃〜160℃の温度にて、大気圧〜1MPa程度に加圧した二酸化炭素雰囲気下で、4〜24時間反応させることで、下記の反応によって得ることができる。この結果、二酸化炭素をエステル部位に固定化した環状カーボネート化合物が得られる。
【0023】
上記のようにして二酸化炭素を原料として合成された環状カーボネート化合物を使用することによって、得られたポリヒドロキシウレタン樹脂は、その構造中に二酸化炭素が固定化された−O−CO−結合を有したものとなる。二酸化炭素由来の−O−CO−結合(二酸化炭素の固定化量)のポリヒドロキシウレタン樹脂中における含有量は、二酸化炭素の有効利用の立場からはできるだけ高くなる方がよい。上記のようにして得ることで、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中に1〜30質量%の範囲で、二酸化炭素を含有させることができる。
【0024】
エポキシ化合物と二酸化炭素との反応に使用される触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン化塩類や、4級アンモニウム塩が好ましいものとして挙げられる。その使用量は、原料のエポキシ化合物100質量部当たり、1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部である。また、これら触媒となる塩類の溶解性を向上させるために、トリフェニルホスフィンなどを同時に使用してもよい。
【0025】
エポキシ化合物と二酸化炭素との反応は、有機溶剤の存在下で行うこともできる。この際に用いる有機溶剤としては、前述の触媒を溶解するものであれば使用可能である。具体的には、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤が、好ましい有機溶剤として挙げられる。
【0026】
本発明に使用される5員環環状カーボネート化合物の構造は特に制限がなく、1分子中に1個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物であれば使用可能である。本発明においては、1分子中に少なくとも2つの五員環環状カーボネート構造を有する化合物であることが好ましい。また、例えば、ベンゼン骨格、芳香族多環骨格、縮合多環芳香族骨格を持つもの、脂肪族、脂環族骨格を持つもののいずれも使用可能である。以下に、本発明で好ましく使用できる化合物を例示する。
【0027】
ベンゼン骨格、芳香族多環骨格、縮合多環芳香族骨格を持つものとしては、以下の化合物が例示される。以下の式中にあるRは、H又はCH
3を表す。
【0029】
脂肪族、脂環族骨格を持つものとしては、以下の化合物が例示される。
【0030】
これら環状カーボネート化合物は、単独でも2種類以上を併用してもよいが、形成される被膜の強度を一定以上にするためには、ベンゼン骨格、芳香族多環骨格又は縮合多環芳香族骨格を持つものを使用することが好ましい。
【0031】
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、上記に挙げたような環状カーボネート化合物と、1分子中に少なくとも2つ以上のアミノ基を有するダイマージアミンを、全アミン成分中に10モル%以上含有するアミン化合物との重付加反応により得られる。本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、特に、アミン成分にダイマージアミンを必須成分として使用するため、これによって、前記した一般式(1)〜(4)の化学構造中のY部が、ダイマージアミン由来の構造として、下記式(5)〜(12)で示されるいずれかの化学構造を有するものとなる。
【0033】
本発明で使用するダイマージアミンは、ダイマー酸を経由して製造される。ダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸を二量化して得られるジカルボン酸である。このダイマー酸のカルボキシ基をアミノ基に変換して得られるジアミンが、ダイマージアミンであるが、本発明では、先に示したように、その分子中に不飽和結合を有するものでも、有さなくてもよい。すなわち、本発明では、ダイマー酸のカルボキシ基をアミノ基に変換した後、水添化して不飽和結合をなくしたものも使用できる。また、使用する不飽和脂肪酸の炭素数は特に限定されないが、好ましい不飽和脂肪酸は、炭素数18のオレイン酸又はリノール酸であり、これらは植物由来の脂肪酸として得ることができるので、この点でも、地球環境保護の観点からより好ましい。
【0034】
上記したダイマージアミンの製造工程では、不飽和脂肪酸が三量化したトリカルボン酸であるトリマー酸が副生し、これがアミノ基に変換されたトリマートリアミンが副生成物として存在する。このため、市販のダイマージアミンは、通常、ダイマージアミンとトリマートリアミンを含む混合物であり、本発明では、そのような混合物を使用することも可能である。しかし、トリマートリアミンの量が多いと、重付加反応においてポリヒドロキシウレタンが不溶化してしまうことから、二量体であるダイマージアミンの純度の高い混合物を使用することが好ましい。上記のことから、本発明で規定するダイマージアミンには、本発明の効果を低下させない範囲でトリマートリアミンを含むダイマージアミンも含まれる。
【0035】
本発明者らの検討によれば、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、前記したダイマージアミン由来の構造の存在により、一般に、ウレタン系接着剤では接着困難とされるポリオレフィン樹脂類に対しても良好な接着性及び密着性を示す。また、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、極性の高いウレタン結合だけでなく、水酸基を有する特徴的な化学構造を有し、特に、その構造中に有する水酸基の効果により、金属等の無機物に対しても良好な接着性及び密着性を示す。更に、ダイマージアミン成分は、その嵩高い化学構造により、これを特定量導入したポリヒドロキシウレタン樹脂を柔軟化させることができる。このため、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、基材の変形や熱膨張等に追従しうる柔軟性を示す良好な接着層やバインダー層を形成することができる有用なものになる。
【0036】
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、上記の効果を発現できるダイマージアミンを必須のアミン成分とするが、全アミン成分中にダイマージアミンを10モル%以上含むことを要する。本発明者らの検討によれば、ダイマージアミンの量が10モル%未満と少ないと、誘導されたポリヒドロキシウレタン樹脂によっては、オレフィン樹脂に対する十分な接着性の実現ができなくなるからである。本発明者らの検討によれば、全アミン成分中にダイマージアミンを30モル%以上含むことがより好ましい。
【0037】
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂を誘導するアミン成分には、必須とするダイマージアミンに加えて、他のアミン成分を併用することも可能であり、併用するアミンとしては、従来公知のいずれのものも使用できる。好ましい具体例としては、例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1.3−ジアミノプロパン、N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン化合物;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン化合物;シクロペンチルジアミン、シクロヘキシルジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン化合物;ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン及びその誘導体等を挙げることができる。
【0038】
上記のようにして得られる本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、その重量平均分子量が、10000〜100000であり、且つ、水酸基価が50〜350mgKOH/gの範囲であることが好ましい。すなわち、本発明者らの検討によれば、該樹脂の重量平均分子量が上記範囲よりも小さい場合は、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂を、例えば、ポリオレフィン樹脂製基材と金属製基材との複合化などに用いた場合に、十分な剥離強度が得られない場合があるので好ましくない。一方、該樹脂の重量平均分子量が上記範囲よりも大きい場合は、接着剤とした場合における塗工性に劣る傾向があるので好ましくない。また、水酸基価が上記範囲よりも小さい場合は、先に述べたように、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中の水酸基が金属製基材に対する接着性の向上に寄与していることから、金属面への接着力向上効果が低下するので好ましくない。本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基価は、原材料となる環状カーボネート及びアミン化合物の分子量によって決定されるので、先に挙げた使用可能な化合物の中から適切な組み合わせを選定することによって調整できる。
【0039】
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記のような方法によって得ることができる。すなわち、溶剤の存在下或いは溶剤の非存在下で、前記したような五員環環状カーボネート化合物と、ダイマージアミンを必須とするアミン成分とを混合し、40〜200℃の温度で、4〜24時間反応させて重付加することで得ることができる。
【0040】
上記製造に使用可能な溶剤としては、使用する原料及び得られたポリヒドロキシウレタン樹脂に対して不活性な有機溶剤であれば、いずれも使用可能である。好ましいものを例示すると、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、トリクロルエチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0041】
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂を接着剤(塗料)として使用する場合、上記に挙げたような溶剤の中から用途に適した溶剤を選定して反応溶剤とし、反応溶剤をそのまま塗料化に用いることもできるが、反応後に、反応溶剤を除去し、用途にあった溶剤へ樹脂を再溶解して塗料化して接着剤溶液とすることもできる。本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、従来のポリウレタン樹脂やポリヒドロキシウレタン樹脂と比べて溶媒に対する溶解性が向上したものとなるので、この点で、塗料化し易いといった利点もある。
【0042】
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の製造は、上記したように特に触媒を使用せずに行うことができるが、反応を促進させるために、下記に挙げるような触媒の存在下で行うことも可能である。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジン等の塩基性触媒、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウリレート等のルイス酸触媒等が使用できる。これらの触媒の好ましい使用量は、使用するカーボネート化合物とアミン化合物の総量(100質量部)に対して、0.01〜10質量部である。
【0043】
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂は、塗料化し易く、被膜形成材料として好適に使用できるが、形成された被膜は、後述するように、ポリオレフィン樹脂及び金属に対して十分な接着性及び密着性を示すものとなる。先に述べたように、ポリオレフィンは、非極性であり、接着性、密着性が乏しいため、従来は、例えば、ポリオレフィン製基材と金属製基材の複合化は容易ではないとされていた。これに対し、これらの基材に対して十分な接着性を有する本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂を使用することで、例えば、オレフィン製基材と金属製基材との複合化が容易になされる。
【0044】
本発明者らの検討によれば、樹脂被膜の形成時に、必要に応じて、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中に有する水酸基の一部を利用して、種々の架橋剤によって架橋構造を形成させることができる。架橋剤としては、水酸基と反応するものであればいずれも使用できる。例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート、酸無水物等が好ましいものとして例示される。中でも、例えば、オレフィン製基材と金属製基材とを複合化させる際の接着層として使用する場合における特に好ましい架橋剤は、ポリイソシアネートである。本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中の水酸基を、ポリイソシアネートで架橋して架橋構造を形成することで、該樹脂によって形成される接着層と、オレフィン製基材との密着性の向上に寄与する。
【0045】
上記で使用するポリイソシアネートの構造は特に限定されないが、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型のいずれの構造体も、芳香族系、脂肪族系の種類によらず使用可能である。
【0046】
上記したように、ポリイソシアネートを使用して、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中の水酸基の一部を架橋させることは好ましい態様である。この水酸基は、金属等の無機物への接着にも関与する官能基であることから、ポリイソシアネートの使用量は、水酸基とイソシアネート基のモル比が100:10〜100:50の範囲であることが好ましい。本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂溶液に、例えば、上記のような配合となるようにポリイソシアネートを配合することで得ることができる。
【0047】
本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等)、光安定剤(ヒンダードアミン系等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等)、ガス変色安定剤(ヒドラジン系等)、加水分解防止剤(カルボジイミド等)、金属不活性剤等が挙げられる。そして、これらを、必要に応じて、1種或いは2種類以上併用することができる。
【実施例】
【0048】
次に、具体的な製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
【0049】
<製造例1>[環状カーボネート含有化合物(I)の合成]
エポキシ当量187のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「エポトートYD−128」、新日鐵住金化学社製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬社製)20部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。その後、反応液に300部の水を加え、生成物を析出させ、ろ別した。得られた白色粉末をトルエンにて再結晶を行い、白色の粉末52部(収率42%)を得た。
【0050】
得られた白色の粉末をIR(商品名「FT/IR−350」、日本分光社製の装置を使用、他の例でも同様。)にて分析したところ、910cm
-1付近の原材料エポキシ由来のピークは消失しており、1800cm
-1付近に原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル由来のピークが確認された。また、HPLC(商品名「LC−2000」、日本分光社製の装置を使用)による分析(カラム:FinePakSIL C18−T5、移動相:アセトニトリル+水)の結果、原材料のピークは消失し、高極性側に新たなピークが出現し、その純度は98%であった。また、示差走査熱量測定(DSC測定と略記)の結果、融点は178℃であり、融点の範囲は±5℃であった。以上のことから、この粉末は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により環状カーボネート基が導入された、下記式で表される構造の化合物と確認された。これを化合物(I)と略称した。この化合物(I)の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、20.5%であった(計算値)。
【0051】
【0052】
<製造例2>[環状カーボネート含有化合物(II)の合成]
エポキシ当量115のハイドロキノン型エポキシ樹脂(商品名「デナコールEX−203」、ナガセケムテックス社製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬社製)33部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。その後、反応液に300部の水を加え、生成物を析出させ、ろ別した。得られた白色粉末をトルエンにて再結晶を行い、白色の粉末61部(収率44%)を得た。
【0053】
得られた白色の粉末をIRにて分析したところ、910cm
-1付近の原材料エポキシ由来のピークは消失しており、1800cm
-1付近に原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル由来のピークが確認された。また、製造例1と同様のHPLCによる分析の結果、原材料のピークは消失し、高極性側に新たなピークが出現し、その純度は97%であった。また、DSC測定の結果、融点は141℃であり、融点の範囲は±5℃であった。以上のことから、この粉末は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により環状カーボネート基が導入された、下記式で表される構造の化合物と確認された。これを化合物(II)と略称した。この化合物(II)の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、27.7%であった(計算値)。
【0054】
【0055】
<二酸化炭素含有量の算出>
二酸化炭素含有量は、使用したポリヒドロキシウレタン樹脂の化学構造中における、原料の二酸化炭素由来のセグメントの質量%を算出して求めた。具体的には、ポリヒドロキシウレタン樹脂の合成反応に使用した化合物を合成する際に使用した、モノマーに対して含まれる二酸化炭素の理論量から算出した計算値で示した。
【0056】
[実施例1]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た化合物(I)を70部、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)を8.8部、ダイマージアミン(商品名「プリアミン1074」、クローダジャパン社製)を41.3部、加えた。更に、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド120.1部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。
【0057】
得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定(商品名「GPC−8220」、東ソー社製の装置を使用、他の例でも同様。)による重量平均分子量は、35000(ポリスチレン換算)であり、また、固形分換算の水酸基価は145mgKOH/gであった。上記GPCによる重量平均分子量の測定は、カラム:SuperAW2500+AW3000+AW4000+AW5000で行ったが、その他の例における重量平均分子量も同様の方法で測定した値である。この接着性樹脂溶液をアルミニウム板にバーコーターNo.8にて塗布し、110℃で30秒乾燥させ厚さ6μmの接着層(塗工層)を形成した。形成した接着層の表面に、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」、フタムラ化学社製)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせたものを作製し、評価用試料とした。
【0058】
[実施例2]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た化合物(I)を70部、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)を16.3部、ダイマージアミン(商品名「プリアミン1074」)を8.3部、加えた。更に、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド94.6部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は、34000(ポリスチレン換算)であり、固形分換算の水酸基価は185mgKOH/gであった。この接着性樹脂溶液をアルミニウム板にバーコーターNo.8にて塗布し、110℃で30秒乾燥させ、厚さ6μmの接着層(塗工層)を形成した。形成した接着層の表面に、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせたものを作製し、評価用試料とした。
【0059】
[実施例3]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た化合物(I)を70部、ダイマージアミン(商品名「プリアミン1074」)を82.7部、加えた。更に、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド152.7部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂のN,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は、41000(ポリスチレン換算)であり、また、固形分換算の水酸基価は114mgKOH/gであった。この接着性樹脂溶液をアルミニウム板にバーコーターNo.8にて塗布し、110℃で30秒乾燥させ厚さ6μmの接着層(塗工層)を形成した。形成した接着層の表面に、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせたものを作製し、評価用試料とした。
【0060】
[実施例4]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例2で得た化合物(II)を70部、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)を12.8部、ダイマージアミン(商品名「プリアミン1074」)を59.8部、加えた。更に、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド142.6部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は、35000(ポリスチレン換算)であり、また、固形分換算の水酸基価は145mgKOH/gであった。この接着性樹脂溶液をアルミニウム板にバーコーターNo.8にて塗布し、110℃で30秒乾燥させ厚さ6μmの接着層(塗工層)を形成した。形成した接着層の表面に厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせたものを作製し、評価用試料とした。
【0061】
[実施例5]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た化合物(I)を70部、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)を8.8部、ダイマージアミン(商品名「プリアミン1074」)を41.3部、加えた。更に、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド94.6部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は、35000(ポリスチレン換算)であり、また、固形分換算の水酸基価は145mgKOH/gであった。このポリヒドロキシウレタン溶液を1.0部と、ポリイソシアネート(デュラネート24A−100(商品名)、旭化成社製)を0.092部含む溶液を作製し、よく撹拌することにより、ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物である接着剤溶液を得た。そして、該接着剤をアルミニウム板にバーコーターNo.8にて塗布し、110℃30秒乾燥させ、厚さ6μmの接着層(塗工層)を形成した。形成した接着層の表面に、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせた。その後、架橋反応を完結させるために、70℃で1日エージング(熟成)を行って、これを評価用試料とした。
【0062】
[実施例6]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た化合物(I)を70部、ダイマージアミン(商品名「プリアミン1074」)を82.8部、加えた。更に、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド94.6部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は、41000(ポリスチレン換算)であり、また、固形分換算の水酸基価は114mgKOH/gであった。このポリヒドロキシウレタン溶液を1.0部と、ポリイソシアネート(商品名「デュラネート24A−100」)を0.073部含む溶液を作製し、よく撹拌することにより、ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物である接着剤溶液を得た。そして、該接着剤を、SUS板に、バーコーターNo.8にて塗布し110℃で30秒乾燥させ厚さ6μmの接着層(塗工層)を形成した。形成した接着層の表面に厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせた。その後、架橋反応を完結させるために、70℃で1日エージングを行って、これを評価用試料とした。
【0063】
[比較例1]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た化合物(I)を70部、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)を17.6部、加えた。更に、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド94.6部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は、41000(ポリスチレン換算)であり、また、固形分換算の水酸基価は199mgKOH/gであった。そして、この接着性樹脂溶液をアルミニウム板にバーコーターNo.8にて塗布し、110℃で30秒乾燥させ、厚さ6μmの塗工層(接着層)を形成した。形成した接着層の表面に、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせたものを作製し、評価用試料とした。
【0064】
[比較例2]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た化合物(I)を70部、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)を17.6部、加えた。更に、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド94.6部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は、41000(ポリスチレン換算)であり、また、固形分換算の水酸基価は199mgKOH/gであった。このポリヒドロキシウレタン溶液を1.0部と、ポリイソシアネート(商品名「デュラネート24A−100」)を0.13部含む溶液を作製し、よく撹拌することにより、ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物である接着剤溶液を得た。そして、この接着剤をアルミニウム板にバーコーターNo.8にて塗布し、110℃で30秒乾燥させ、厚さ6μmの接着層(塗工層)を形成した。形成した接着層の表面に、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせた。その後、架橋反応を完結させるために、70℃で1日エージングを行って、これを評価用試料とした。
【0065】
[比較例3]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、ダイマージオール(商品名「プリポール2033」、クローダジャパン社製)を100部、メチルエチルケトンを73.1部、トルエンを73.1部加え、80℃の温度で撹拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート31.0部を添加し、12時間反応を行い、固形分50%のポリウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂の、N,N−ジメチルホルムアミドを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は、40000(ポリスチレン換算)であった。このポリヒドロキシウレタン溶液を1.0部と、ポリイソシアネート(商品名「デュラネート24A−100」)を0.13部含む溶液を作製し、よく撹拌することにより、ポリウレタン樹脂組成物である接着剤溶液を得た。そして、この溶液をアルミニウム板にバーコーターNo.8にて塗布し、110℃で30秒乾燥させ、厚さ6μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面に厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「FOR」)を配置し、3kg荷重で、110℃20秒の熱圧着によって貼り合わせた。その後、架橋反応を完結させるために、70℃で1日エージングを行って、これを評価用試料とした。
【0066】
[評価]
実施例及び比較例で得られた各接着体の評価試料の剥離強度を、下記の方法で測定し、結果を表2にまとめて示した。具体的には、剥離強度の測定値と、剥離面を目視で観察した結果をA〜Dの符号で示した。
【0067】
(剥離強度)
引張試験装置(型名「オートグラフ AGS−100A」、島津製作所社製)」を使用し、25℃の温度条件下、引張速度100mm/minで、試料片のアルミニウム板(実施例ではSUS板)と延伸ポリプロピレンフィルムを180度剥離して、その際の剥離強度(N/mm)を測定した。同時に、剥離した面について、どの位置で剥離が生じているかを目視で観察して、その状態を記号で示した。
【0068】
<剥離面の状態>
A:アルミニウムと接着剤の界面での剥離
B:接着剤の凝集破壊
C:ポリプロピレンフィルムと接着剤の界面での剥離
D:ポリプロピレンフィルムの材料破壊
【0069】
【0070】
【0071】
表2から明らかなように、本発明による、ダイマージアミン共重合体であるポリヒドロキシウレタン樹脂は、ベースとなるダイマージアミンを含まない比較例1、2に示した従来のポリヒドロキシウレタンと比較して高い剥離強度を示し、ポリオレフィン及び金属のいずれに対しても優れた接着性を有することが確認された。また、比較例3に示されているように、ジオールとポリイソシアネートから誘導された、その構造中に水酸基を有さない従来のポリウレタン樹脂を用いた比較例3の場合は、金属面と接着層との界面で生じており、その構造中に水酸基を有するポリヒドロキシウレタン樹脂の場合と異なり、金属面に対する接着性に劣ることが確認された。更に、本発明のポリヒドロキシウレタン樹脂組成物中の必須成分であるカーボネート化合物は、化学構造の一部として二酸化炭素を高濃度で固定化していることから、得られたポリヒドロキシウレタン樹脂組成物も二酸化炭素を固定化したものであり、環境問題に対応する接着剤として工業的に有用である。