(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、情報処理装置の一例としての電子レシートサーバを含んで構成された電子レシートシステムの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は電子レシートシステム100の全体構成を示すブロック図である。
電子レシートシステム100は、複数の店舗システム10、ユーザ端末装置20およびレシートサーバ30を含む。店舗システム10、ユーザ端末装置20およびレシートサーバ30は、ネットワーク200を介してデータを授受することが可能である。ネットワーク200は、例えばインターネットおよび移動通信網を含む。ネットワーク200は、LAN(local area network)を含んでも良い。
【0012】
店舗システム10は、レシートサーバ30により提供される電子レシートサービスに加盟する複数の企業により運営される店舗にそれぞれ設置される。店舗システム10は、少なくとも1つ、典型的には複数の会計装置11を含む。会計装置11は、店舗システム10に含まれるLAN(local area network)12および通信装置13を介して、ネットワーク200に接続可能である。
【0013】
会計装置11は、店舗での商取引に関する代金を会計するためのデータ処理である会計処理を行う。なお、会計とは、上記の代金の算出および決済を含む。また商取引とは、物品の売買および役務の提供などを含む。このため、以降の説明における「商品」は、物品および役務などを含む。会計装置11は、会計の結果を表す電子レシートデータを生成する。会計装置11は電子レシートデータを、LAN12、通信装置13およびネットワーク200を介してレシートサーバ30へと通知する。会計装置11としては、POS(point-of-sale)端末装置または電子キャッシュレジスタなどが利用できる。
【0014】
ユーザ端末装置20は、電子レシートシステム100を利用するユーザによる操作に基づいて、当該ユーザにレシートを閲覧させるための画像の表示などを行う。
図1においては、1つのユーザ端末装置20のみを図示しているが、典型的には複数のユーザによってそれぞれに所持される複数のユーザ端末装置20が含まれ得る。
【0015】
レシートサーバ30は、会計装置11から通知された電子レシートデータを蓄積記憶する。レシートサーバ30は、電子レシートデータの内容を表したレシート画面データを生成し、このレシート画面データを、ネットワーク200を介してユーザ端末装置20へと送信する。
【0016】
図2はレシートサーバ30の要部構成を示すブロック図である。
レシートサーバ30は、プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、タッチパネル34、通信インタフェース35およびシステム伝送路36等を備える。プロセッサ31と、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、タッチパネル34および通信インタフェース35とは、システム伝送路36によって接続される。システム伝送路36は、アドレスバス、データバスおよび制御信号線等を含む。
【0017】
レシートサーバ30においては、プロセッサ31、メインメモリ32および補助記憶デバイス33と、これらを接続するシステム伝送路36とによってコンピュータを構成する。
【0018】
プロセッサ31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、レシートサーバ30としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0019】
メインメモリ32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ32は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ32は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。またメインメモリ32は、プロセッサ31が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性または揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ32は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ31によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0020】
補助記憶デバイス33は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス33は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス33は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ31での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス33は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。補助記憶デバイス33が記憶するアプリケーションプログラムの1つは、レシートサーバ30としての動作のための情報処理プログラム(以下、レシートサーバアプリと称する)P31である。
【0021】
タッチパネル34は、入力デバイスおよび表示デバイスとして機能する。
【0022】
通信インタフェース35は、ネットワーク200を介したデータ通信のインタフェースである。通信インタフェース35としては、例えばインターネットを介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
【0023】
レシートサーバ30は、例えば汎用のサーバ装置やコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることができる。一例としてレシートサーバ30は、補助記憶デバイス33にレシートサーバアプリP31が記憶された状態で、利用者へと譲渡される。しかしながらレシートサーバ30は、レシートサーバアプリP31が補助記憶デバイス33に記憶されない状態のサーバ装置またはコンピュータ装置とレシートサーバアプリP31とが個別にレシートサーバ30の利用者に譲渡されても良い。このとき、レシートサーバアプリP31の譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介したダウンロードにより実現できる。そしてこの場合は、レシートサーバ30の利用者またはレシートサーバ30の設置作業者などによる操作に応じて、レシートサーバアプリP31が補助記憶デバイス33に書き込まれる。
【0024】
プロセッサ31は、レシートサーバアプリP31に基づく処理を実行するために、補助記憶デバイス33の記憶領域の一部を電子レシート領域W31、商品マスタ領域W32、企業マスタ領域W33、分類名称マスタ領域W34およびメンテナンスファイル領域W35にそれぞれ割り当てる。電子レシート領域W31は、電子レシートデータを蓄積記憶する。商品マスタ領域W32は、商品マスタを記憶する。企業マスタ領域W33は、企業マスタを記憶する。分類名称マスタ領域W34は、分類マスタを記憶する。メンテナンスファイル領域W35は、メンテナンスファイルを記憶する。なお、電子レシートデータ、商品マスタ、企業マスタ、分類マスタおよびメンテナンスファイルの詳細については後述する。
【0025】
次に以上のように構成された電子レシートシステム100におけるレシートサーバ30の動作について説明する。
【0026】
会計装置11は、一取引分の商取引の決済を終えると、当該商取引に関する電子レシートデータを生成し、レシートサーバ30へと通知する。レシートサーバ30では、電子レシートデータがネットワーク200を介して到来すると、これを通信インタフェース35が受信し、プロセッサ31の制御の下に電子レシート領域W31に蓄積記憶させる。そしてプロセッサ31は、ユーザ端末装置20からの要求に応じて、電子レシート領域W31に記憶されている電子レシートデータの内容を表したレシート画面データを生成し、このレシート画面データを、要求元のユーザ端末装置20へと送信する。なお、これらの動作は、既存の電子レシートシステムで行われているものと同様であってよく、その詳細な説明はここでは省略する。
【0027】
ところでレシートサーバ30は、商取引に関する分析のために、蓄積記憶する電子レシートデータに示された商品のそれぞれが複数のカテゴリのいずれに属するかを判定する分類機能を有する。そしてプロセッサ31は、このような機能を実現するために、上記のような動作を実現するための制御処理とは別に、レシートサーバアプリP31に従って
図3に示す分類処理を実行する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図3は分類処理におけるプロセッサ31の処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
Act1においてプロセッサ31は、通信インタフェース35で新たな電子レシートデータが受信されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、電子レシートデータが受信されていないためにNoと判定したならば、Act1を繰り返す。かくしてAct1においてプロセッサ31は、電子レシートデータが新たに受信されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ31は、電子レシートデータが受信されたためにYesと判定したならば、Act2へと進む。なおプロセッサ31は、上記のように新たに受信された電子レシートデータを対象としてAct2以降の処理を行う。
【0029】
図4は電子レシートデータのデータ構造を模式的に示す図である。
電子レシートデータは、電子レシートコード301、ユーザコード302、企業コード303、決済データ304および明細データ305を含む。
電子レシートコード301は、電子レシートデータの個々を識別する一意のコードである。
ユーザコード302は、電子レシートシステム100のユーザを識別する一意のコードである。
企業コード303は、当該電子レシートデータを生成した会計装置11を利用している企業を識別する一意のコードである。
【0030】
決済データ304は、決済の結果を表すデータである。決済データ304にどのような項目のデータを含むかは任意であるが、例えば、決済が行われた日時、決済金額、決済方法、あるいは決済を行った店舗の店舗コードなどを含むことが想定される。店舗コードは、同一企業が運営する複数の店舗に分散して複数の会計装置11が配置される場合に、それら複数の店舗のそれぞれを識別する一意のコードである。
【0031】
明細データ305は、少なくとも1つの商品データを含む。一商取引の対象が複数の商品である場合には、明細データ305は複数の商品データを含む。商品データは、商品コード、商品名および部門コードを少なくとも含む。商品コードは、商品の個々を識別するコードである。商品コードは、それぞれ異なる商品に同じコードが付される場合がある。商品名は、商品に付された名称である。部門コードは、企業および店舗内で各商品を扱う部門を識別するためのコードである。部門コードは、異なる企業および店舗において同一のコードが使用される場合がある。また部門コードとしては、部門を識別するために有効な値が記述されていない場合もある。
【0032】
Act2においてプロセッサ31は、分類の対象となる商品(以下、対象商品と称する)を決定する。プロセッサ31は具体的には、今回受信された電子レシートデータの明細データ305中に記述された商品コードのうちの1つを対象商品の商品コードとして選択する。
【0033】
Act3においてプロセッサ31は、対象商品の商品コードをキーとして、商品マスタ領域W32に記憶された商品マスタを検索する。
【0034】
図5は商品マスタのデータレコードの1つの構造を模式的に示す図である。
商品マスタは、
図5に示す構造をそれぞれ持った多数のデータレコードの集合である。
【0035】
商品マスタのデータレコードは、フィールド401,402,403を含む。フィールド401には、商品コードが記述される。フィールド402には、フィールド401に記述された商品コードで識別される商品についての商品名が記述される。フィールド403には、フィールド401に記述された商品コードで識別される商品が属するカテゴリの分類コードが記述される。分類コードは、例えば「食品」または「衣料品」などのような、商品を分類するための複数のカテゴリのそれぞれを識別する一意のコードである。
【0036】
商品マスタとしては、JAN(Japanese article number)コードなどのような、複数の企業で共通に利用される商品コードを含んだデータレコードの集合として任意の作成者により作成される。そして商品マスタは、プロセッサ31が
図3に示す分類処理を開始するのよりも前に商品マスタ領域W32に書き込まれる。
【0037】
Act4においてプロセッサ31は、Act3における検索がヒットしたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、ヒットしていないためにNoと判定したならば、Act5へと進む。対象商品の商品コードが特定の店舗で独自に使用されているものである場合などにおいて、Act3における検索がヒットしない場合が生じる。
【0038】
Act5においてプロセッサ31は、電子レシートデータに含まれた企業コード303と対象商品の部門コードとの組み合わせをキーとして、企業マスタ領域W33に記憶された企業マスタを検索する。
【0039】
図6は企業マスタのデータレコードの1つの構造を模式的に示す図である。
企業マスタは、
図6に示す構造をそれぞれ持った複数のデータレコードの集合である。
【0040】
企業マスタのデータレコードは、フィールド501,502,503を含む。フィールド501には、企業コードが記述される。フィールド502には、フィールド501に記述された企業コードで識別される企業に存在する部門の部門コードが記述される。フィールド503には、フィールド501に記述された企業コードで識別される企業において、フィールド502に記述された部門コードで識別される部門において取り扱われる商品が属するカテゴリの分類コードが記述される。かくして企業マスタには、フィールド501に同じ企業コードが記述された複数のデータレコードが含まれ得る。またフィールド502には、特定の部門を示さない共通部門コードが記述される場合がある。共通部門コードをどのようなコードとするかは任意であるが、例えば、既定桁数の全てがゼロであるコードとすることが想定される。なお企業マスタには、電子レシートシステム100を利用する全ての企業に関して、その企業の企業コードと共通部門コードとを含んだデータレコードを含むことを原則とする。そしてこのようなデータレコードのフィールド503には、各企業のデフォルトの分野を識別する分野コードを記述する。かくして企業マスタは、電子レシートデータに含まれ得るデータに関連付けてカテゴリを記述したデータテーブルである。
【0041】
企業マスタは、電子レシートシステム100を利用する企業における部門の設定状況に応じて任意の作成者により作成される。そして企業マスタは、プロセッサ31が
図3に示す分類処理を開始するのよりも前に企業マスタ領域W33に書き込まれる。
【0042】
Act6においてプロセッサ31は、Act5における検索がヒットしたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、ヒットしていないためにNoと判定したならば、Act7へと進む。
【0043】
Act7においてプロセッサ31は、電子レシートデータに含まれた企業コード303と共通部門コードとともに企業マスタのレコードに含まれた分類コードを、対象商品のカテゴリを表すものとして判定する。かくしてレシートサーバアプリP31に基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータは、電子レシートデータに示された商品が属するカテゴリを判定する判定手段として機能する。
【0044】
Act8においてプロセッサ31は、メンテナンスファイル領域W35に記憶されたメンテナンスファイルを更新する。メンテナンスファイルは、企業マスタ領域
W33に記憶されている企業マスタのメンテナンス作業のために参照されるデータである。
【0045】
図7はメンテナンスファイルのデータレコードの1つの構造を模式的に示す図である。
メンテナンスファイルは、
図7に示す構造をそれぞれ持った複数のデータレコードの集合である。ただしメンテナンスファイルは、当該データレコードを1つも含まない状態も取り得る。
【0046】
メンテナンスファイルのデータレコードは、フィールド601,602,603を含む。フィールド601には、企業コードが記述される。フィールド602には、部門コードが記述される。フィールド603には、商品名が記述される。
【0047】
プロセッサ31はAct8においては、メンテナンスファイルの新たなデータレコードを生成する。プロセッサ31は、この新たなデータレコードのフィールド601,602には、Act5での検索のキーとして使用した企業コードおよび部門コードをそれぞれ記述する。またプロセッサ31は、新たなデータレコードのフィールド603には、対象商品について電子レシートデータに含まれた商品名を記述する。そしてプロセッサ31は、当該生成した新たなデータレコードを含むように、メンテナンスファイル領域W35に記憶されたメンテナンスファイルを更新する。つまりプロセッサ31は、キーとして利用したデータと商品名とを関連付けて蓄積記憶するように補助記憶デバイス33を制御する。かくしてレシートサーバアプリP31に基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータは、制御手段として機能する。
【0048】
プロセッサ31は、メンテナンスファイルを更新し終えたならば、Act9へと進む。プロセッサ31は、Act3での検索でヒットしたために、あるいはAct5での検索でヒットしたために、Act4またはAct6にてYesと判定した場合にも、Act9へと進む。なお、Act3またはAct5の検索でヒットした場合には、そのヒットしたデータレコードに含まれた分類コードを、対象商品のカテゴリを表すものとして判定する。
【0049】
Act9においてプロセッサ31は、対象商品のカテゴリを表すものとして判定している分類コードとともに分類名称マスタのデータレコードに記述された分類名称を取得する。
【0050】
図8は分類名称マスタのデータレコードの1つの構造を模式的に示す図である。
分類名称マスタは、
図8に示す構造をそれぞれ持った複数のデータレコードの集合である。
【0051】
分類名称マスタのデータレコードは、フィールド701,702を含む。フィールド701には、分類コードが記述される。フィールド502には、フィールド701に記述された分類コードで識別されるカテゴリに対して付された分類名称が記述される。
【0052】
分類名称マスタは、電子レシートシステム100での分類に用いるものとして電子レシートシステム100の運営者などにより定められた複数のカテゴリのそれぞれを識別する分類コードの全てを含むように、任意の作成者により作成される。そして分類名称マスタは、プロセッサ31が
図3に示す分類処理を開始するのよりも前に分類名称マスタ領域W34に書き込まれる。
【0053】
Act10においてプロセッサ31は、電子レシートデータの対象商品に関する商品データに、対象商品のカテゴリを表すものとして判定している分類コードとAct9で取得した分類名称とを付加して、電子レシートデータを更新する。
【0054】
Act11においてプロセッサ31は、電子レシートデータの明細データ305中に記述された商品コードで識別される商品のうちに対象商品として未選択の商品があるか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、該当する商品があるならば、Act2以降の処理を前述と同様にして実行する。なおこの場合にプロセッサ31はAct2においては、対象商品としてこれまでに選択していない商品を対象商品として決定する。
【0055】
これにより、電子レシートデータの明細データ中に複数の商品コードが記述されるならば、それらの商品コードで識別される商品が順次に対象商品とされて、分類処理が行われる。そしてプロセッサ31は、電子レシートデータの明細データ305中に記述された商品コードで識別される全ての商品を対象商品として分類をし終えたためにAct11にてNoと判定したならば、Act1の待ち受け状態に戻る。
【0056】
以上のようにレシートサーバ30においては、会計装置11から送信された電子レシートデータを受信する毎に、その電子レシートデータに示された商品のそれぞれが分類され、分類コードおよび分類名称が電子レシートデータに追加される。そしてレシートサーバ30では、このように分類コードおよび分類名称が追加された電子レシートデータが蓄積保存される。
【0057】
レシートサーバ30は、ユーザ端末装置20からの要求に応じて、蓄積保存している電子レシートデータのうちの任意の電子レシートデータの内容を、ユーザ端末装置20において閲覧可能とする。この際のユーザ端末装置20およびレシートサーバ30の動作は既存の電子レシートシステムにおける動作と同様であって良いので、ここではその説明は省略する。
【0058】
ただし電子レシートシステム100では、電子レシートデータに含まれた分類コードおよび分類名称を、既存の電子レシートシステムにおいて閲覧可能としていた情報に加えて、適宜に閲覧可能とすることができる。
【0059】
さて、上記の分類処理においては、Act3およびAct5の検索のいずれでもヒットしなかった場合には、実際の商品が何であるかに拘わらずに企業のデフォルトのカテゴリに分類される。つまりこの場合には、商品を正しく分類できていない恐れがある。
【0060】
そこで、商品マスタまたは企業マスタをメンテナンスすることにより、Act3またはAct5での検索でヒットする確率を向上することが望ましい。レシートサーバ30は、このようなメンテナンスの作業を支援する支援機能を備える。ただし、本実施例においては、商品マスタはメンテナンスの対象外であることとし、上記の支援機能は、企業マスタのメンテナンスの作業を支援するものであるとする。
【0061】
レシートサーバ30の支援機能による動作の開始が、例えばタッチパネル34での操作により指示されると、プロセッサ31はレシートサーバアプリP31に従って支援処理を実行する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0062】
図9は支援処理におけるプロセッサ31の処理手順を示すフローチャートである。
Act21においてプロセッサ31は、タッチパネル34における表示画面をトップ画面とする。
【0063】
図10はトップ画面800の一例を示す図である。
トップ画面800は、ボタン801,802を含む。
ボタン801は、推奨モードの設定変更を操作者が指示するためのボタンである。ボタン802は、企業マスタのメンテナンスを開始することを操作者が指示するためのボタンである。
【0064】
ここで推奨モードとは、分類名称を自動推奨するモードである。トップ画面800は、推奨モードがONとされているときのものである。図示は省略するが、トップ画面800は、推奨モードがOFFとされているときには、例えば
図10に示される「現在の推奨モード:ON」なる文字列が「現在の推奨モード:OFF」なる文字列に置き換えられる。
【0065】
Act22においてプロセッサ31は、企業マスタのメンテナンスの開始が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、当該指示がなされていないためにNoと判定したならば、Act23へと進む。
【0066】
Act23においてプロセッサ31は、推奨モードの設定の変更が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、当該指示がなされていないためにNoと判定したならば、Act22へと戻る。
【0067】
かくしてAct22,Act23においてプロセッサ31は、開始が指示されるか、あるいは設定変更が指示されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ31は、この待ち受け状態において、ボタン801へのタッチ操作がタッチパネル34で検出されたならばAct23にてYesと判定し、Act24へと進む。
【0068】
Act24においてプロセッサ31は、推奨モードの設定のON/OFFを反転する。なおプロセッサ31は、例えばメインメモリ32または補助記憶デバイス33内に記憶されたフラグの状態によって推奨モードの設定を管理する。そしてプロセッサ31はこののち、Act22,Act23の待ち受け状態に戻る。
【0069】
操作者は、ボタン801へのタッチ操作によって推奨モードを好みの設定とした上で、企業マスタのメンテナンスを開始するならば、ボタン802へのタッチ操作を行う。
プロセッサ31は、Act22,Act23の待ち受け状態において、ボタン802へのタッチ操作がタッチパネル34で検出されたならばAct22にてYesと判定し、Act25へと進む。
【0070】
Act25においてプロセッサ31は、メンテナンスファイル領域W35に記憶されたメンテナンスファイルに含まれるデータレコードの中から、1つまたは複数の対象レコードを抽出する。具体的にはプロセッサ31は、メンテナンスファイル領域W35に記憶されたメンテナンスファイルに含まれる企業コードと部門コードとの組み合わせを1つ選択する。そしてプロセッサ31は、メンテナンスファイル領域W35に記憶されたメンテナンスファイルに含まれるデータレコードの中から、上記の選択した企業コードと部門コードとの組み合わせを含んだ全てのデータレコードを、対象レコードとして抽出する。
【0071】
Act26においてプロセッサ31は、推奨モードがONであるか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、推奨モードがOFFであるためにNoと判定したならば、Act27へと進む。
Act27においてプロセッサ31は、タッチパネル34における表示画面を第1の指定画面とする。
【0072】
図11は第1の指定画面810の一例を示す図である。
第1の指定画面810は、表示領域811、選択欄812およびボタン813を含む。
【0073】
表示領域811は、対象レコードに含まれた企業コードで識別される企業の名称と、対象レコードに含まれた商品名の一覧とを表す。
図11に示す第1の指定画面810は、商品名として「おつまみチャーシュー」「カニ風味サラダ」および「ふんわり卵の親子丼」がそれぞれ記述された3つの対象レコードが抽出されている場合である。選択欄812は、分類名称を選択するための欄である。ボタン813は、企業マスタの更新を操作者が指示するためのボタンである。このように、第1の指定画面810は、メンテナンスファイルにキーとして利用したデータとして記述された企業名と、この企業名にメンテナンスファイルにて関連付けられた商品名とを、それらが関連することを人間が認識可能な形態で出力している。かくしてレシートサーバアプリP31に基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータはタッチパネル34との協働によって出力手段としての機能を実現する。
【0074】
操作者は、表示領域811における表示を参照して、現在選択されている企業および部門において取り扱われている商品のカテゴリを判定する。プロセッサ31は、選択欄812の右端の三角形のマークへのタッチ操作がタッチパネル34で検出された場合に、分類名称の一覧を、タッチパネル34に追加表示させる。そしてプロセッサ31は、一覧の中の分類名称の1つを指定するタッチ操作がタッチパネル34で検出されたことに応じて、指定された分類名称を候補として設定し、選択欄812の中に表示する。そこで操作者は、上記のようなタッチ操作を行って、上記の判定したカテゴリに対応する分類名称を選択する。操作者は、候補として設定されている分類名称を企業マスタに登録したいのであれば、ボタン813に対するタッチ操作を行う。かくしてレシートサーバアプリP31に基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータはタッチパネル34との協働によって入力手段としての機能を実現する。
【0075】
Act28においてプロセッサ31は、更新のために使用する分類名称が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、当該指定がなされていないためにNoと判定したならば、Act28を繰り返す。かくしてAct28においてプロセッサ31は、更新のために使用する分類名称が指定されるのを待ち受ける。
【0076】
プロセッサ31は、選択欄812において分類名称の候補が設定されている状態においてボタン813に対するタッチ操作がタッチパネル34により検出されたならば、Act32でYesと判定し、Act33へと進む。
【0077】
一方でプロセッサ31は、推奨モードがONとなっているためにAct26にてYesと判定したならば、Act29へと進む。
Act29においてプロセッサ31は、対象レコードに含まれた商品名に基づいて、現在選択されている企業および部門において取り扱われている商品のカテゴリを類推する。この類推は、任意の方法で行われてよく、例えば周知の技術を利用できる。かくしてレシートサーバアプリP31に基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータは類推手段としての機能を実現する。
【0078】
Act30においてプロセッサ31は、タッチパネル34における表示画面を第2の指定画面とする。
【0079】
図12は第2の指定画面820の一例を示す図である。
第2の指定画面820は、表示領域811、選択欄812、ボタン813、表示欄821およびボタン822を含む。つまり第2の指定画面820は、第1の指定画面810に対して表示欄821およびボタン822を追加した画面である。
【0080】
表示欄821は、Act29で類推されたカテゴリに対応する分類名称を表す。ボタン822は、表示欄821に示された分類名称を用いての企業マスタの更新を操作者が指示するためのボタンである。
【0081】
操作者は、表示欄821に示された分類名称を確認し、表示領域811に示された商品名の商品のカテゴリに対応したものであるか否かを検討する。そして、操作者は、表示欄821に示された分類名称を用いて企業マスタを更新することを決定したならば、ボタン822に対するタッチ操作を行う。また操作者は、表示欄821に示された分類名称が適切ではないならば、第1の指定画面810の時と同様にして分類名称を選択し、ボタン813に対するタッチ操作を行う。
【0082】
Act31においてプロセッサ31は、Act29で類推されたカテゴリに対応する分類名称を用いての更新の指示がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、当該指示がなされていないためにNoと判定したならば、Act32へと進む。
【0083】
Act32においてプロセッサ31は、更新のために使用する分類名称が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、当該指定がなされていないためにNoと判定したならば、Act31に戻る。かくしてプロセッサ31はAct31,Act32においては、更新の指示がなされるか、または更新のために使用する分類名称が指定されるのを待ち受ける。
【0084】
プロセッサ31は、選択欄812において分類名称の候補が設定されている状態においてボタン813に対するタッチ操作がタッチパネル34により検出されたならば、Act32でYesと判定し、Act33へと進む。
【0085】
Act33においてプロセッサ31は、企業マスタ領域W33に記憶された企業マスタを更新する。ここではプロセッサ31は、フィールド501〜503に、対象レコードに含まれる企業コードおよび部門コードと、選択欄812において候補として設定されている分類名称に応じた分類コードとをそれぞれ記述したデータレコードを生成する。そしてプロセッサ31は、当該データレコードを含むように、企業マスタ領域W33に記憶された企業マスタを更新する。かくしてレシートサーバアプリP31に基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータは更新手段としての機能を実現する。
【0086】
一方でプロセッサ31は、第2の指定画面820におけるボタン822へのタッチ操作がタッチパネル34で検出されたためにAct31にてYesと判定したならば、Act34へと進む。
【0087】
Act34においてプロセッサ31は、企業マスタ領域W33に記憶された企業マスタを更新する。ここではプロセッサ31は、フィールド501〜503に、対象レコードに含まれる企業コードおよび部門コードと、選択欄812において候補として設定されている分類名称に応じた分類コードとをそれぞれ記述したデータレコードを生成する。そしてプロセッサ31は、当該データレコードを含むように、企業マスタ領域W33に記憶された企業マスタを更新する。
【0088】
つまりプロセッサ31は、類推されたカテゴリを利用しての更新の実施を操作者によるボタン822へのタッチ操作に応じて決定し、これに応じて、類推されたカテゴリをキーとして利用した企業コードと関連付けて記述するように企業マスタを更新する。かくしてレシートサーバアプリP31に基づく情報処理をプロセッサ31が実行することによって、プロセッサ31を中枢部分とするコンピュータは決定手段および更新手段として機能する。
【0089】
プロセッサ31は、Act33またはAct34で企業マスタを更新し終えたならば、Act35へと進む。
Act35においてプロセッサ31は、メンテナンスファイル領域W35に記憶されたメンテナンスファイルに含まれたデータレコードの中に今回の支援処理において対象レコードとして未選択のデータレコードがあるか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、該当するデータレコードがあるためにYesと判定したならば、Act25に戻り、それ以降の処理を前述と同様にして実行する。ただしAct25においては、未選択のデータレコードのうちから対象レコードを抽出する。
このようにして、メンテナンスファイルに含まれた企業コードと部門コードとの組み合わせをそれぞれに含むデータレコードが企業マスタに追加されてゆく。
【0090】
プロセッサ31は、メンテナンスファイルに含まれたデータレコードの全てを対象レコードとして選択し終えているためにAct35にてNoと判定したならば、Act36へと進む。
Act36においてプロセッサ31は、メンテナンスファイル領域W35に記憶されたメンテナンスファイルをクリアする。そしてプロセッサ31は、支援処理を終了する。
【0091】
以上のようにレシートサーバ30によれば、メンテナンスファイルに基づいた企業マスタのメンテナンスのための操作者による操作を効率良く行えるように支援できる。
【0092】
しかもレシートサーバ30は、推奨モードがONであるときには、自動類推したカテゴリの分類名称を操作者に対して提示し、この分類名称に応じた分類コードを用いての企業マスタの更新をボタン822へのタッチ操作のみで行う。従って自動類推されたカテゴリが適切で有る場合には、操作者の手間をさら軽減できる。
【0093】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
商品マスタをメンテナンスの対象としても良い。この場合にプロセッサ31は、Act3における検索でヒットしなかった場合に、当該検索でキーとして使用した商品コードと、当該商品コードとともに商品データに示された商品名とを含んだデータレコードの集合としてメンテナンスファイルを生成すれば良い。
【0094】
プロセッサ31は、Act3における商品マスタの検索およびAct5における企業マスタの検索のいずれか一方のみを行うようにしても良い。
【0095】
プロセッサ31は、商品マスタおよび企業マスタとは別に用意されたマスタを対象とした検索を行ってもよい。当該検索のキーとしては、電子レシートデータに含まれた様々なデータを利用できる。そしてこの場合にプロセッサ31は、この検索に用いるマスタのためのメンテナンスファイルを、前記実施形態と同様な処理により生成しても良い。
【0096】
レシートサーバ30の機能は、複数のサーバ装置による分散処理によって実現しても良い。そしてこの場合には、会計装置11から送信された電子レシートデータを受信する機能を備えたサーバ装置のプロセッサにより分類処理を行う。支援処理は、記憶デバイスに蓄積記憶された電子レシートデータの管理を行う機能を備えたサーバ装置のプロセッサにより行う。
【0097】
分類処理は、電子レシートデータの受信時とは異なる任意のタイミングで実行されても良い。例えば、電子レシート領域W31に蓄積記憶された電子レシートデータを対象として、例えば1日毎などのように予め定められたタイミング毎、あるいは操作者により実施が指示されたタイミングなどにおいて分類処理を実行することが考えられる。
【0098】
メンテナンスファイルの出力の形態は、表示には限らず、例えば印刷や、他のコンピュータ装置または携帯情報端末への送信などのように任意であって良い。
【0099】
支援処理における操作者に対するユーザインタフェースとしては、レシートサーバ30と通信可能な他のコンピュータ装置または携帯情報端末を利用しても良い。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1] 商品に関して電子レシートデータに含まれたキーデータを、前記電子レシートデータに含まれ得るデータに関連付けてカテゴリを記述したデータテーブルと照合することによって、前記商品が属するカテゴリを判定する判定手段と、
前記カテゴリを判定できなかった場合に前記判定手段が前記照合に用いた前記キーデータを、前記商品に関して前記キーデータとは別に前記電子レシートデータに含まれた商品名と関連付けて蓄積記憶するように記憶デバイスを制御する制御手段と、
を具備したことを特徴とする情報処理装置。
[付記2] 前記記憶デバイスにより記憶されたキーデータを、それに関連付けられた商品名とともに、それらが関連することを人間が認識可能な形態で出力する出力手段、
をさらに備えることを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
[付記3] 前記出力手段により出力された商品名の商品が属するカテゴリを操作者による操作に応じて入力する入力手段と、
前記入力手段により入力されたカテゴリを前記出力手段により出力された前記キーデータと関連付けて記述するように前記データテーブルを更新する更新手段と、
をさらに具備することを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
[付記4] 前記出力手段により出力される商品名の商品が属するカテゴリを類推する類推手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記類推手段により類推されたカテゴリを前記商品名とともに出力する、
ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
[付記5] 前記類推手段により類推されたカテゴリを利用しての更新の実施を操作者による操作に応じて決定する決定手段と、
前記決定手段による決定に応じて、前記類推手段により類推されたカテゴリを前記出力手段により出力された前記キーデータと関連付けて記述するように前記データテーブルを更新する更新手段と、
をさらに具備することを特徴とする付記4に記載の情報処理装置。
[付記6] 情報処理装置に備えられるコンピュータを、
商品に関して電子レシートデータに含まれたキーデータを、前記電子レシートデータに含まれ得るデータに関連付けてカテゴリを記述したデータテーブルと照合することによって、前記商品が属するカテゴリを判定する判定手段と、
前記カテゴリを判定できなかった場合に前記判定手段が前記照合に用いた前記キーデータを、前記商品に関して前記キーデータとは別に前記電子レシートデータに含まれた商品名と関連付けて蓄積記憶するように記憶デバイスを制御する制御手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。