【実施例】
【0022】
以下、本発明を、添付図面を用いて説明する。
図1〜
図5は本発明のサイドエアバッグ装置の第1の例を説明する図である。
【0023】
11は、シートバックの、例えば、サイドドア側の側方内部に設置する、本発明のサイドエアバッグ装置である。
【0024】
このサイドエアバッグ装置11は、車両の前後方向よりも上下方向が長く形成され、車両の幅方向に厚みを有するエアバッグ12と、センサーからの出力信号を受信してエアバッグ12内にガスを噴出するインフレータ13を備えている。そして、特に側面衝突時に、運転席に着座した乗員とサイドドアの間に、車両の前方方向にエアバッグ12を展開させて乗員を保護する。
【0025】
前記エアバッグ12は、例えば2枚の基布12a,12bの全周囲を縫製して袋状に形成した構成であり、シートバックの側端部のフレームと重なる基端側の内部に前記インフレータ13を取付けている。
【0026】
前記インフレータ13は、例えば筒形状をなし、その外側面に設けた噴出孔から前記エアバッグ12の内部にガスを噴出する構成である。このインフレータ13の外側面には、固定用のスタッドボルト13aがその長手方向に適宜の間隔を存して例えば2本突き出しており、これらスタッドボルト13aを用いてシートバックの前記フレームに設置する。
【0027】
次に、本発明のサイドエアバッグ装置11を製造する際の、エアバッグ12の折り込み手順を、
図1及び
図2に基づいて説明する。なお、
図2はエアバッグ12の上端部の折り込みを本発明の構成とした例である。
【0028】
エアバッグ12を
図1に示した展開した状態とする。
次に、エアバッグ12の上端部12cを、車両の前方(
図1の紙面右側)から後方(
図1の紙面左側)に向けて略直線状に車両の上方向に向けて傾斜させた第1の折り線14に沿って、エアバッグ12内に押し込むようにして折り込む(
図2(a)参照)。
【0029】
次に、前記折り込んだ上部折り込み部12dの底部12eからエアバッグ12の外方向に向けて余り部12fを残すように折り込む(
図2(a)参照)。
【0030】
前記折り込み時、前記上部折り込み部12dの底部12eは、車両の前方側に位置する前方底部12eaと、この前方底部12eaの車両後方側端部から車両の後方側に位置する後方底部12ebを有するように折り返す(
図2(b)参照)。
【0031】
このうち、前方底部12eaは、車両の後方側に向けて、例えば車両の下方向に傾斜して延びるようにする。また後方底部12ebは、車両の上方向に向けて傾斜するようにする(
図2(b)参照)。
【0032】
次に、エアバッグ12の下端部12gを、車両の前方から後方に向けて略水平の第2の折り線15に沿って、エアバッグ12内に押し込むようにして折り込む(
図2(a)参照)。そして、この折り込んだ下部折り込み部12hの底部12iからエアバッグ12の外方向に向けて折り返す(
図2(a)参照)。その際、前記折り返した部分12jを下部折り込み部12hに収容できるように、第2の折り線15の位置を決定する。
【0033】
次に、前記余り部12fを、例えば、エアバッグ12の車両の前後方向中心線よりも車両の後方側となるよう、前記後方底部12ebの方向に寄せて折り畳み、前記上部折り込み部12dに収容する(
図2(b)参照)。
【0034】
この余り部12fの折り畳みは、
図2に示す例では、車両の上下方向の折り線16a,16bに沿って、エアバッグ12の厚み方向に、前記前方底部12eaの後端部を中心とした扇状に折り畳んで重ねたプリーツ構造としている。
【0035】
最後に、前記エアバッグ12を車両の前方側から巻き取ってインフレータ13の取り付けた基端側以外をロール状とする(
図2(d)参照)。この際、前記ロール状とした巻き取り部12kと基端側の間に折り返し部12mを形成する(
図2(e)参照)。
【0036】
前記本発明の場合、
図3(a)に示すように、エアバッグ12の外周端となる第1の折り線14部分が、車両の前方から後方に向けて略直線状に車両の上方向に向けて傾斜させている。
【0037】
従って、
図3(b)に示すような、前記第1の折り線14部分を、車両の前方から後方に向けて略水平状とした場合に比べ、エアバッグ12を車両の前方から巻いた際に、上部折り込み部12dの車両の前方側(ハッチングを付した部分)がロール状に巻かれる範囲が少なくなる。
【0038】
このような本発明では、エアバッグ12の展開時、
図4に示すように、ロール状に巻き取ったエアバッグ12が完全に展開しなくても上部折り込み部12dに収容された余り部12fが飛び出しやすくなる。
【0039】
ちなみに、
図3(a)に示した場合と、
図3(b)に示した場合とでは、展開したエアバッグ12がショルダーポイントに到達するまでの時間は、
図3(a)に示した本発明例の場合の方が1.0msec短かった。
【0040】
従って、本発明例の場合、ショルダーポイントよりも車両の前方へのエアバッグ12の展開が速く行われることになって、エアバッグ12が乗員とサイドドアの間にさらに入り込みやすくなるといえる。
【0041】
また、展開後、
図3(b)に示したエアバッグ12は、前端部が乗員寄りに展開して正面を向いていないが(
図5(b)参照)、
図3(a)に示したエアバッグ12は、前端部が車両の前方に展開して正面を向いている(
図5(a)参照)。このことから、本発明例では、エアバッグ12を所期の方向に展開できることが分かる。なお、
図5中の17はサイドドアの模擬品を、12nは基布12aと12bの外周縫製部を示す。
【0042】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0043】
すなわち、以上で述べたサイドエアバッグ装置は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。
【0044】
例えば、
図6に示すように、余り部12fを折り畳んで重ねたプリーツ構造を、インフレータ13と重なる位置に形成してもよい。また、前記プリーツ構造は、
図2,4,6に示したような一層ではなく、
図7に示すように、複数層重畳したものでも良い。
【0045】
また、
図8に示したように、上部折り込み部12dや下部折り込み部12hへのガス導入を促すインナーチューブ18をエアバッグ12の基端側に設けたものでも良い。
【0046】
また、最後に、エアバッグ12を車両の前方側から巻き取ってインフレータ13の取り付けた基端側以外をロール状とするのに代えて、蛇腹状としてもよい。
【0047】
以上説明した例は、何れもエアバッグ12の上端部12cの折り込みを本発明の構成としたものであるが、エアバッグ12の下端部12gの折り込みに本発明を適用してもよい。
【0048】
また、以上説明した例は、本発明のサイドエアバッグ装置をシートバックのサイドドア側の側方内部に設置するものについてのものであるが、シートバックの隣り合うシート側の側方内部に設置するものに本発明を適用してもよい。