特許第6367784号(P6367784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367784
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】エアジェット織機の緯糸検知装置
(51)【国際特許分類】
   D03D 47/30 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   D03D47/30
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-236005(P2015-236005)
(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公開番号】特開2016-186144(P2016-186144A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年5月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-66994(P2015-66994)
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】牧野 洋一
(72)【発明者】
【氏名】高木 信次
(72)【発明者】
【氏名】荒井 隆二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 藤雄
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 和正
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−068333(JP,A)
【文献】 特開平02−033355(JP,A)
【文献】 特開平03−241043(JP,A)
【文献】 特開2011−032592(JP,A)
【文献】 特開平06−116836(JP,A)
【文献】 特開2012−241294(JP,A)
【文献】 特開平05−171544(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102383245(CN,A)
【文献】 特開2001−164443(JP,A)
【文献】 特開平10−212642(JP,A)
【文献】 特開2015−094059(JP,A)
【文献】 特開平04−241135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 29/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緯入れ用のメインノズルと、緯入れ用のサブノズルと、ガイド凹部を有する筬羽が緯入れ方向に複数列設された筬とを備え、前記メインノズル及び前記サブノズルからのエア噴射により、複数の前記ガイド凹部によって形成された筬内通路を経て緯糸が緯入れされるエアジェット織機の緯糸検知装置であって、
前記筬内通路の前記メインノズル側における経糸開口内で前記緯糸を検知するセンサと、
緯糸先端到達時期を検知する緯糸検出器と、
前記緯糸先端到達時期前における前記センサの出力信号を入力し、前記出力信号のうち0.5〜20kHzの範囲のうちの周波数の出力信号の通過を許容する信号処理部と、
前記信号処理部からの出力信号値に基づき前記緯糸の伸びきりタイミングを推定する推定部とを備えていることを特徴とするエアジェット織機の緯糸検知装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、2〜5kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容する請求項1に記載のエアジェット織機の緯糸検知装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記サブノズルの噴射圧毎に、毎回の緯入れから得られる前記センサによる出力電圧を積分して得られた積分電圧を、複数回の緯入れ分平均して、平均(積分)電圧を算出し、前記サブノズルの圧力と前記平均電圧との関係を求め、ストロボスコープによる目視観察で求められた前記サブノズルの圧力と緯糸の伸びきり角との関係と、前記サブノズルの圧力と前記平均電圧との関係とから直線近似式を導出し、前記積分により求めた前記平均電圧と前記直線近似式とから前記伸びきりタイミングを推定する請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機の緯糸検知装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記信号処理部からの出力信号値が予め設定された閾値まで低下したタイミングを前記伸びきりタイミングとして推定する請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機の緯糸検知装置。
【請求項5】
前記閾値は、前記緯糸の見かけ直径に基づいて設定される請求項4に記載のエアジェット織機の緯糸検知装置。
【請求項6】
前記信号処理部と前記推定部との間に、全波整流回路及び平均化回路を備えている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のエアジェット織機の緯糸検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアジェット織機の緯糸検知装置に係り、詳しくは、メインノズル及びサブノズルからのエア噴射により、筬内通路を経て緯入れされる緯糸の状態を検知するエアジェット織機の緯糸検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエアジェット織機においては、緯糸の緯入れ状態が圧力エアの圧力設定に大きく左右される。従来、緯入れ後半に関係する緯糸緩み、緯入れミスを解消しつつ噴射流体消費効率も向上し得るジェットルームにおける緯入れ用圧力制御装置が特許文献1に提案されている。特許文献1では、緯糸測長貯留装置における緯糸解舒終了時期と、緯糸先端到達時期とを検出し、緯糸先端到達時期に基づいてメインノズルにおける噴射圧を制御する。また、緯糸先端到達時期と緯糸解舒終了時期との差に基づいてメインノズルにおける噴射圧と、補助ノズル(サブノズル)における噴射圧とを制御する。具体的には、検出された緯糸先端到達時期と検出された緯糸解舒終了時期との差が目標値より大きい場合には補助ノズルにおける噴射圧を高め、前記時期差が目標値よりも小さい場合には補助ノズルにおける噴射圧を下げるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−241135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緯糸測長貯留装置に貯留された緯糸がメインノズル及びサブノズルからのエア噴射により筬内通路を飛走する状態で緯入れされる際、図17(a)に示すように、緯糸Yの先端が緯入れ完了の所定位置に到達する途中の状態では、その後端寄りの部分が波打つ状態で飛走する。そして、緯入れ完了近くの時点で図17(b)に示すように、波打つ状態がなくなって伸びきり状態で緯入れされる。
【0005】
緯糸先端が緯入れ範囲の終端に到達する時期である緯糸先端到達時期TWを一定とした状態で、サブノズルの噴射圧(サブ圧)と、緯糸先端到達時期TWと緯糸測長貯留装置における緯糸解舒終了時期TBWとの差(TW−TBW)、及び伸びきり時期との関係を示すと、図18のようになる。なお、図18において緯糸先端到達時期TW及び緯糸解舒終了時期TBWの角度は織機の回転角度を意味する。図18から伸びきり時における織機回転角度は、サブ圧が高いほど小さくなることが分かる。即ち、サブ圧が高ければ伸びきり時期も早くなる。
【0006】
緯糸の緯入れ時におけるサブノズルの最適噴射圧を決定する場合、緯糸先端が緯入れ範囲の終端に到達する時期である緯糸先端到達時期TWと、緯糸測長貯留装置における緯糸解舒終了時期TBWとの差(TW−TBW)の変化点がひとつの目安となる。しかし、その場合は、直接経糸開口内の緯糸の状態を監視したものではなく、代替的な指標であり、TW−TBWの値から、伸びきり時を適切な時期とするためのサブ圧にどの程度の余裕があるかの確認はできない。そのため、機台調整時には、ストロボを使用して緯糸の状態を目視で観察して、サブ圧の設定を行っている。しかし、例えば、繻子織り等のように上経糸が連続するような織物組織によっては、経糸開口内の緯糸の状態をストロボで確認することが困難な場合がある。
【0007】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、筬内通路を飛走する緯糸の状態を監視して、緯糸が緯糸先端到達時期前に伸びきるタイミングを検知することができるエアジェット織機の緯糸検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する緯糸検知装置は、緯入れ用のメインノズルと、緯入れ用のサブノズルと、ガイド凹部を有する筬羽が緯入れ方向に複数列設された筬とを備え、前記メインノズル及び前記サブノズルからのエア噴射により、複数の前記ガイド凹部によって形成された筬内通路を経て緯糸が緯入れされるエアジェット織機の緯糸検知装置である。そして、前記筬内通路の前記メインノズル側における経糸開口内で前記緯糸を検知するセンサと、緯糸先端到達時期を検知する緯糸検出器と、前記緯糸先端到達時期前における前記センサの出力信号を入力し、前記出力信号のうち0.5〜20kHzの範囲のうちの周波数の出力信号の通過を許容する信号処理部と、前記信号処理部からの出力信号値に基づき前記緯糸の伸びきりタイミングを推定する推定部とを備えている。ここで、伸びきりタイミングとは、緯糸が緩み状態から真っ直ぐに伸びるタイミングを意味する。
【0009】
センサは、緯糸が波打つ状態で飛走する状態を検知している場合と、緯糸が伸びきり状態で飛走する状態を検知している場合とで、出力電圧が異なる。この発明は、筬内通路のメインノズル側における経糸開口内で緯糸を検知するセンサの出力信号のうち、0.5〜20kHzの範囲の周波数の出力信号値に基づき、推定部が緯糸の伸びきりタイミングを推定する。したがって、筬内通路を飛走する緯糸の状態を監視して、緯糸が緯糸先端到達時期前に伸びきるタイミングを検知することができる。
【0010】
前記信号処理部は、2〜5kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容することが好ましい。この構成によれば、信号処理部の出力信号のうちの不要な周波数の信号処理の手間が少なくなり、処理が容易になる。
【0011】
前記推定部は、前記サブノズルの噴射圧毎に、毎回の緯入れから得られる前記センサによる出力電圧を積分して得られた積分電圧を、複数回の緯入れ分平均して、平均(積分)電圧を算出し、前記サブノズルの圧力と前記平均電圧との関係を求め、ストロボスコープによる目視観察で求められた前記サブノズルの圧力と緯糸の伸びきり角との関係と、前記サブノズルの圧力と前記平均電圧との関係とから直線近似式を導出し、前記積分により求めた前記平均電圧と前記直線近似式とから前記伸びきりタイミングを推定することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、使用される筬として標準筬に代えて、サブノズルを筬内通路の奥壁に接近させて配置することができ、サブノズルから噴射する圧縮エアの噴射流量を大幅に減少して緯入れを行うことができる筬羽を備えた特殊筬を使用した場合にも、伸びきりタイミングを良好に推定することができる。
【0013】
前記推定部は、前記信号処理部からの出力信号値が予め設定された閾値まで低下したタイミングを前記伸びきりタイミングとして推定してもよい。この構成によっても筬内通路を飛走する緯糸の状態を監視して、緯糸が緯糸先端到達時期前に伸びきるタイミングを検知することができる。しかし、この構成の場合、糸種によって信号の変化が分かり難い場合がある。また、特殊筬を使用した場合は、伸びきりタイミングの推定が難しい場合がある。
【0014】
前記閾値は、前記緯糸の見かけ直径に基づいて設定されることが好ましい。緯糸の見かけ直径と閾値はほぼ比例関係にあるため、見かけ直径の異なる複数の緯糸について、閾値を得た後は、他の緯糸については実際に試験をしなくても、見かけ直径から閾値を容易に設定することができる。
【0015】
前記信号処理部と前記推定部との間に、全波整流回路及び平均化回路を備えていることが好ましい。この構成によれば、全波整流回路及び平均化回路を設けずに、A/D変換器が信号処理部の出力信号を処理する際に比べて、サンプリング周波数を数分の1程度に低くでき、推定部のメモリ容量を大幅に低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筬内通路を飛走する緯糸の状態を監視して、緯糸が緯糸先端到達時期前にのびきるタイミングを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態の緯入れ装置の模式図。
図2】メインノズル、サブノズル、筬及びセンサの位置関係を示す概略斜視図。
図3】筬羽とセンサとの位置関係を示す一部破断概略側面図。
図4】筬内通路と投受光部の位置関係を示す模式図。
図5】センサの出力電圧と緯糸供給速度及びクランク角度との関係を示す模式図。
図6】(a)は糸緩みの有無によるFFT解析の差を示す模式図、(b)は実効値比と周波数との関係を示す模式図。
図7】フィルタ出力の絶対値とクランク角度との関係を示す模式図。
図8】平均化回路の出力電圧とクランク角度との関係を示す模式図。
図9】第2の実施形態の緯入れ装置の模式図。
図10】フィルタ出力とクランク角度等との関係を示す模式図。
図11】緯糸にポリエステル・綿混紡糸45番手を使用した場合のサブ圧Psと積分による平均電圧Ehとの関係を示すグラフ。
図12】同じくサブ圧Psと緯糸の伸びきり角Tnとの関係を示すグラフ。
図13】積分による平均電圧Ehと緯糸の伸びきり角Tnとの関係を示すグラフ。
図14】特殊筬の側面図。
図15】緯糸に綿コーマ糸80番手を使用した場合のサブ圧Psと出力電圧の積分値との関係を示すグラフ。
図16】緯糸にポリエステル・綿混紡糸45番手を使用した場合のサブ圧Psと出力電圧の積分値との関係を示すグラフ。
図17】(a)は伸びきり前の緯糸の状態を示す模式図、(b)は伸びきり後の緯糸の状態を示す模式図。
図18】サブ圧と伸びきり状態等との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1図8にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、エアジェット織機は、緯入れ用のメインノズル11と、緯入れ用のサブノズル12と、筬13(図2に図示)と、緯糸測長貯留装置14(図1に図示)とを備えている。図2に示すように、メインノズル11、サブノズル12、筬13は、スレイ15上に固定されている。筬13は、ガイド凹部16aを有する筬羽16が緯入れ方向に複数列設されて構成されている。複数の筬羽16のガイド凹部16aにより筬内通路17が形成されている。
【0019】
図1に示すように、メインノズル11は、元圧タンク18に接続されたメインノズル用タンク19に管路を介して接続されている。メインノズル11とメインノズル用タンク19との間には電磁開閉弁20が設けられ、メインノズル11における緯入れ用の圧力エア噴射は、電磁開閉弁20の開閉により制御される。元圧タンク18とメインノズル用タンク19との間には電気式の圧力制御弁21が設けられ、メインノズル用タンク19の圧力は、圧力制御弁21により調整される。
【0020】
サブノズル12は、元圧タンク18に接続されたサブノズル用タンク22に管路を介して接続されている。サブノズル12とサブノズル用タンク22との間には電磁開閉弁23,24,25,26が設けられ、サブノズル用タンク22における緯入れ用の圧力エア噴射は、電磁開閉弁23,24,25,26の開閉により制御される。各電磁開閉弁23〜26は、それぞれ複数のサブノズル12への圧縮エアの供給を制御するとともに、順次開閉制御されることで複数のサブノズル12群により所謂リレー噴射が行われるようになっている。元圧タンク18とサブノズル用タンク22との間には電気式の圧力制御弁27が設けられ、サブノズル用タンク22の圧力は、圧力制御弁27により調整される。
【0021】
緯糸測長貯留装置14は糸巻付面14aを有し、糸巻付面14a上への緯糸Yの巻付け及び糸巻付面14aからの緯糸Yの引き出し解舒が、電磁ソレノイド28の係止ピン28aの出没動作によって制御される。電磁ソレノイド28の励消磁は、制御装置Cの指令制御によって行われ、制御装置Cは、緯糸解舒検出器29からの緯糸解舒検出情報に基づいて電磁ソレノイド28の消磁を制御する。緯糸解舒検出器29は、糸巻付面14a上の巻き糸の解舒を検出する。
【0022】
電磁開閉弁20及び電磁開閉弁23〜26の開閉制御は、制御装置Cからの指令により行われる。制御装置Cは、織機回転角度検出用のロータリーエンコーダ31から得られる織機回転角度検出信号に基づいて電磁開閉弁20,23〜26の開閉及び電磁ソレノイド28の励磁を制御する。
【0023】
メインノズル用タンク19には圧力検出器32が接続されており、サブノズル用タンク22には圧力検出器33が接続されている。圧力検出器32,33によって得られる圧力検出情報は、制御装置Cに入力される。制御装置Cは、圧力検出器32,33からの圧力情報に基づいて圧力制御弁21,27をフィードバック制御する。制御装置Cには表示装置34が接続されている。
【0024】
図2に示すように、サブノズル12は、支持ブロック35を介してスレイ15上に固定されている。サブノズル12は、スレイ15の揺動に伴って経糸Tの列の間から経糸Tの開口内に対して出入り可能となっている。
【0025】
スレイ15上には、緯入れされた緯糸Yの先端が緯入れ範囲の終端に到達したことを検出する緯糸検出器37が、支持ブロック38を介して位置調整可能に固定されている。図1に示すように、緯糸検出器37は制御装置Cに電気的に接続されている。
【0026】
図2及び図3に示すように、スレイ15上には、筬内通路17のメインノズル11側における緯糸Yを検知するセンサとしての筬内センサ40が、支持ブロック38を介して位置調整可能に固定されている。筬内センサ40は、メインノズル11の噴射圧の影響を受けない範囲において緯糸Yの状態を検知可能な位置に固定されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、筬内センサ40は、支持体41の先端部が筬内通路17と対向し、かつ図3に鎖線で示すように、筬打ち時には支持体41の先端部が織布W及び織前W1の下方を移動して織布Wと干渉しないようにスレイ15に固定されている。支持体41は収容空間42を備えており、収容空間42には投光用光ファイバー43及び受光用光ファイバー44が収容されている。投光用光ファイバー43及び受光用光ファイバー44は、筬羽16に形成されたガイド凹部16aを指向する状態で先端面43a,44aが縦に並ぶように設けられている。即ち、投光用光ファイバー43及び受光用光ファイバー44は、端面が緯糸Yの飛走通路に対向して配置されている。この実施形態では投光用光ファイバー43が上側に、受光用光ファイバー44が下側になるように設けられている。
【0028】
図2に示すように、スレイ15の揺動に拘わらず不動配置されるブレストビーム45には、フィラーアンプ46及び信号処理部としてのバンドパスフィルタ47が取り付けられている。フィラーアンプ46は、発光部及び受光部を備えている。発光部としてLED(発光ダイオード)が使用され、受光部としてフォトダイオードが使用されている。フィラーアンプ46は、受光用光ファイバー44の受光信号を電気信号に変換して増幅した後、バンドパスフィルタ47へ出力する。バンドパスフィルタ47は、筬内センサ40の(正確にはフィラーアンプ46の)出力信号のうち2〜5kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容する。
【0029】
図1に示すように、バンドパスフィルタ47は、A/D変換器48を介して制御装置Cに接続され、バンドパスフィルタ47の出力信号はA/D変換器48を介して制御装置Cに入力される。制御装置Cは、バンドパスフィルタ47からの出力信号値が予め設定された閾値まで低下したタイミングを伸びきりタイミングとして推定(判断)する推定部を構成する。詳述すると制御装置Cは、推定部としてのCPU49及びメモリ50を備えている。CPU49は、バンドパスフィルタ47で処理されたアナログ信号を、数十kHzのサンプリングでA/D変換器48を介して入力し、後記する絶対値算出、緯入れ100回の平均値算出、移動平均算出、伸びきりタイミング算出、推定(判断)の処理を行う。メモリ50には、伸びきりタイミングを推定するための閾値が、緯糸の見かけ直径との関係式あるいはグラフとしてのデータで記憶されている。閾値は、平均出力電圧の値で設定されている。
【0030】
伸びきりタイミングを推定するための閾値は、例えば、次のようにして求められる。
受光用光ファイバー44に入力される光の強さは、緯糸Yが波打つ状態で飛走している状態と、緯糸が伸びきり状態で飛走している状態とで異なるため、フィラーアンプ46から出力される出力電圧も緯糸Yの状態によって異なる。
【0031】
図5に、ポリエステル/綿混紡の45番手の糸を回転数806rpmの条件で緯入れした場合の筬内センサ40の出力電圧、糸供給速度、クランク角度、時間の関係を示す。図5において、糸先端通過角度(108°)、時間0の時点から20msまでの領域が糸緩み領域となり、20ms以後(例えば、40msまで)の領域が糸の伸び領域となる。
【0032】
両領域の信号を、FFTアナライザを用いて周波数解析を行った。図6(a)に、糸の緩みが有る場合と、緩みが無い場合の緯入れ1000回のFFT解析結果を示す。図6(a)において、周波数700Hz〜5kHzの領域において、緩みの有る場合が、緩みが無い場合に比べ、出力電圧の実効値が高く現れている。図6(b)に、緩み有りにおける実効値と緩み無しにおける実効値の比を示す。図6(b)から、周波数2kHz付近において最も実効値の比が大きく、この近傍で両者の差が顕著に現れ易いと言える。
【0033】
上記知見を基に、フィラーアンプ46の出力信号を2〜5kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容するバンドパスフィルタ47及びA/D変換器48を介して制御装置Cに入力し、CPU49で伸びきりタイミングを決定する。
【0034】
CPU49は、まず、平均化処理を行う。平均化処理は、バンドパスフィルタ47の出力信号を、サンプリング周波数50kHz、緯入れ1回当たりの計測時間60msの条件で取り込み、得られた測定電圧の絶対値を算出する。その結果は図7のようになる。図7に示すように、フィルタ出力の絶対値は、糸緩み状態においては伸び状態に比べて大きくなる。
【0035】
次に、緯入れ100回について、クランク角度0°を基準にし、サンプリング時間毎の平均値を算出する。その結果を基に、2ms(100点)間の移動平均を算出し、時系列データの平均化を図る。その結果は、図8に示すようになる。
【0036】
次に、ストロボによる目視観察結果との合わせ込みを行い、緯糸の伸びきりタイミングの閾値を決定し、その時のクランク角度を伸びきりタイミングとする。
同様な方法でコーマ綿糸80番手の糸を回転数908rpmの条件で、サブ圧(サブノズルの噴射圧)を260〜340kPaの間で20kPa間隔で変更して緯入れした場合の閾値を求め、ポリエステル/綿混紡の45番手の糸を回転数908rpmの条件で、サブ圧を240〜320kPaの間で20kPa間隔で変更して緯入れした場合の閾値を求めた。また、綿20番手の糸を回転数908rpmの条件で、サブ圧を260〜340kPaの間で20kPa間隔で変更して緯入れした場合の閾値を求めた。その結果、閾値と緯糸の見かけ直径との関係は、ほぼ比例関係にあった。
【0037】
次に前記のように構成されたエアジェット織機の緯糸検知装置の作用を説明する。
エアジェット織機の駆動時、緯糸検知装置は、筬内センサ40の投光用光ファイバー43から筬内通路17に向けて光を出射し、筬羽16のガイド凹部16a及び緯糸Yで反射した光を受光用光ファイバー44で受光する。受光用光ファイバー44で受光された光は、フィラーアンプ46に入力される。フィラーアンプ46は、入力された光を受光部としてのフォトダイオードで受光して電気信号に変換し、変換された電気信号を増幅した後、バンドパスフィルタ47へ出力する。
【0038】
バンドパスフィルタ47は、フィラーアンプ46の出力信号のうち2〜5kHzの範囲の周波数の出力信号を、A/D変換器48を介して制御装置Cに出力する。制御装置CのCPU49は、バンドパスフィルタ47で処理されたアナログ信号を、数十kHzのサンプリングでA/D変換器48を介して入力し、上述した絶対値算出、緯入れ100回の平均値算出、移動平均算出を行う。そして、算出された移動平均のグラフ(図8に対応するグラフ)の平均出力電圧が、メモリ50に記憶されている閾値と同じときのクランク角度が伸びきりタイミングとなる。CPU49は、必要に応じて伸びきりタイミングを表示装置34で表示する。
【0039】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)緯糸検知装置は、緯入れ用のメインノズル11と、緯入れ用のサブノズル12と、ガイド凹部16aを有する筬羽16が緯入れ方向に複数列設された筬13とを備え、メインノズル11及びサブノズル12からのエア噴射により、複数のガイド凹部16aによって形成された筬内通路17を経て緯糸Yが緯入れされるエアジェット織機の緯糸検知装置である。そして、筬内通路17のメインノズル11側における経糸開口内で緯糸Yを検知するセンサ(筬内センサ40)と、筬内センサ40の出力信号を入力し、前記出力信号のうち0.5〜20kHzの範囲のうちの周波数の出力信号の通過を許容する信号処理部(バンドパスフィルタ47)と、バンドパスフィルタ47からの出力信号値に基づき緯糸Yの伸びきりタイミングを推定する推定部(CPU49)とを備えている。したがって、筬内通路17を飛走する緯糸Yの状態を監視して、緯糸Yが緯糸先端到達時期前に伸びきるタイミングを検知することができる。
【0040】
(2)バンドパスフィルタ47は、2〜5kHzの範囲の周波数の筬内センサ40の出力信号の通過を許容する。バンドパスフィルタ47は、筬内センサ40の出力信号のうち0.5〜20kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容してもよい。しかし、2〜5kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容した場合は、0.5〜20kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容した場合に比べて、推定部(CPU49)での、バンドパスフィルタ47の出力信号のうちの不要な周波数の信号処理の手間が少なくなり、処理が容易になる。
【0041】
(3)筬内センサ40の検知域は、筬内通路17内の下側部分である。この場合、筬内センサ40が筬内通路17内を飛走する緯糸Yの状態を検知し易い。
(4)推定部(CPU49)は、信号処理部(バンドパスフィルタ47)からの出力信号値が予め設定された閾値まで低下したタイミングを伸びきりタイミングとして推定する。したがって、筬内通路17を飛走する緯糸Yの状態を監視して、緯糸Yが緯糸先端到達時期前に伸びきるタイミングを検知することができる。
【0042】
(5)閾値は、緯糸Yの見かけ直径に基づいて設定される。緯糸Yの見かけ直径と閾値はほぼ比例関係にあるため、見かけ直径の異なる複数の緯糸Yについて、閾値を得た後は、他の緯糸Yについては実際に試験をしなくても、見かけ直径から閾値を容易に設定することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図9図16にしたがって説明する。なお、この実施形態においては、推定部(CPU49)は、信号処理部(バンドパスフィルタ47)からの出力信号値が予め設定された閾値まで低下したタイミングを伸びきりタイミングとして推定するのではなく、積分法により推定する点が異なる。第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0044】
図9に示すように、ハードウエアの構成として、バンドパスフィルタ47とA/D変換器48との間に、全波整流回路51、平均化回路52及び積分回路53が、バンドパスフィルタ47側から全波整流回路51、平均化回路52及び積分回路53の順に設けられている。
【0045】
図10に、エアジェット織機の運転時のクランク角0°信号、バンドパスフィルタ47の出力信号、積分期間、積分値ホールド信号、筬内センサ40の出力信号(全波整流後)及び積分信号の一例を示す。
【0046】
CPU49は、以下の手順で積分法による伸びきり角(伸びきりタイミング)の推定を行う。
1.毎回の緯入れ毎に、バンドパスフィルタ47、全波整流回路51、平均化回路52通過後の信号を積分回路53にてリアルタイムで積分し、積分期間である緯糸通過開始から緯入れ終了までの間の積分値(ホールド電圧)を記憶する。
【0047】
2.サブノズル12の噴射圧(以下、単にサブ圧Psと称す場合もある。)毎に、複数回(例えば100回)の緯入れから得られた平均積分値Ehを求める。
3.サブ圧Psと平均電圧、即ち積分値Ehとの関係を求める。サブ圧Psと積分値(平均電圧)Ehとの関係は、例えば図11のようになる。
【0048】
4.予めストロボスコープによる目視観察より、サブ圧Psと緯糸Yの伸びきり角Tnとの関係を求め、これを教師データとする(図12)。
5.各サブ圧Psにおける、積分法により求めた積分値(平均電圧)Ehと、目視観察より求めた伸びきり角Tnとの関係を求め、直線近似式を導出する(図13)。図13において破線で示す直線が直線近似式に対応する直線となる。
【0049】
6.積分によって求めた積分値(平均電圧)Ehを上記直線近似式に代入して伸びきり角Tnを推定し、これを積分法によって求めた伸びきり角Tnとする。
図14に示すように、筬13には、上顎16bに比べて下顎16cの突出量の小さい筬羽16を備えた特殊筬がある。特殊筬の場合は、上顎及び下顎の突出量がほぼ同じ筬羽16を使用した標準筬に比較して、サブノズル12を筬内通路17の奥壁に接近させて配置することができ、サブノズル12から噴射する圧縮エアの噴射流量を大幅に減少して緯入れを行うことができ、エアジェット織機の省エネに大きく寄与する。
【0050】
第1の実施形態のように、信号処理部(バンドパスフィルタ47)からの出力信号値が予め設定された閾値まで低下したタイミングを伸びきりタイミングとして推定する場合は、糸種によって筬内センサ40の検出信号の変化が分かり難い場合や、振れの少ない緯糸Y(例えば、太い緯糸Y)の場合、伸びきり角Tnの検知が困難な場合がある。しかし、この実施形態のような積分法によって伸びきり角Tnを推定する場合は、閾値を用いて伸びきり角Tnを推定する場合と異なり、糸種や糸の太さによって伸びきり角Tnの検知が困難になることはなかった。
【0051】
例えば、サブ圧Psと伸びきり角Tnとの関係を調べたところ、積分法を用いて求めた伸びきり角Tnとサブ圧Psとの関係は、ストロボスコープによる目視観察で求められた伸びきり角Tnとサブ圧Psとの関係とほぼ一致した。しかし、閾値を用いて求めた場合のサブ圧Psと伸びきり角Tnとの関係は、サブ圧Psによっては、ストロボスコープによる目視観察で求められた伸びきり角Tnとサブ圧Psとの関係と一致しない場合があった。そして、太い糸(例えば、綿6番手)の場合は、ストロボスコープによる目視観察で求められた伸びきり角Tnとの差が大きかった。
【0052】
緯入れ時の最適サブ圧Psは、バイアス角(TW−TBW)と、サブ圧Psとの関係から求めることが可能であるが、積分法により求めた積分値と、サブ圧Psとの関係を用いても求められることが確認された。図15にコーマ綿糸80番手の糸を緯糸Yとした場合、図16にポリエステル/綿混紡の45番手の糸を緯糸Yとした場合の積分値と、サブ圧Psとの関係を示す。いずれの場合も、サブ圧Psに対する積分値の変化量が大きく変化する変化点が存在し、この変化点におけるサブ圧Psは、バイアス角と、サブ圧Psとの関係から求めたサブ圧Psと概ね一致していた。この変化点から求めたサブ圧Psが緯入れ時の最適サブ圧Psとなる。なお、綿20番手の糸や綿6番手の糸についても同様に、サブ圧Psに対する積分値の変化量が大きく変化する変化点が存在し、同様にして緯入れ時の最適サブ圧Psを求めることができる。
【0053】
したがって、この実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(3)と同様な効果に加えて次の効果を得ることができる。
(6)推定部(CPU49)は、サブノズル12の圧力(噴射圧)毎に、毎回の緯入れから得られるセンサ(筬内センサ40)による出力電圧を積分して得られた積分値(ホールド電圧)を求め、これを複数回の緯入れ分平均して平均積分電圧(積分値Eh)を算出し、サブノズル12の圧力と平均積分電圧(積分値Eh)との関係を求める。また、CPU49は、ストロボスコープによる目視観察で求められたサブノズル12の圧力と緯糸Yの伸びきり角との関係と、サブノズル12の圧力と平均電圧(積分値Eh)との関係とから直線近似式を導出し、積分により求めた平均電圧(積分値Eh)と前記直線近似式とから伸びきりタイミングを推定する。したがって、第1の実施形態のように閾値を用いて伸びきりタイミングを推定する場合と異なり、糸種や糸の太さによって伸びきり角Tnの検知が困難になることはなく、緯糸Yの振動が少ない場合でも確実に伸びきり状態を検知することができる。また、特殊筬を使用した場合にも、伸びきりタイミングを良好に推定することができる。
【0054】
(7)第1の実施形態のように閾値を用いて伸びきりタイミングを推定する場合と異なり、糸種毎に閾値を決める必要がない。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0055】
○ バンドパスフィルタ47は、2〜5kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容するものに限らず、0.5〜20kHzの範囲のうちの周波数の出力信号の通過を許容する構成であればよい。例えば、1〜5kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容する構成であってもよい。また、バンドパスフィルタ47は、0.5〜20kHzの範囲の周波数の全ての出力信号の通過を許容する構成であってもよいが、全ての出力信号の通過を許容する構成の場合、推定部(CPU49)での処理の手間が多くなる。
【0056】
○ CPU49は、バンドパスフィルタ47の出力信号の平均化処理を行う際に、サンプリング周波数50kHz、緯入れ1回当たりの計測時間60msに限らず、他のサンプリング周波数で、緯入れ1回当たり計測時間も60msでなくてもよい。また、緯入れ回数も100回に限らず、例えば、数十回としたり、100回より多い回数としたりしてもよい。
【0057】
○ 受光部は、光電変換機能を有する素子であればよく、フォトダイオードに限らず、例えば、フォトトランジスタであってもよい。
○ 第1の実施形態において、バンドパスフィルタ47とA/D変換器48との間に、全波整流回路及び平均化ローパスフィルタを設けてもよい。例えば、図2に2点鎖線で示すように、ブレストビーム45のバンドパスフィルタ47の近傍に、全波整流回路51及び平均化回路52を設けてもよい。そして、平均化回路52の出力をA/D変換器48へ出力する。この場合、上述した絶対値算出を全波整流回路51が行い、移動平均算出を平均化回路52が行うため、A/D変換器48によるサンプリング周波数を10kHz程度まで低くできるので、メモリ容量を大幅に低減可能となる。
【0058】
○ 第2の実施形態において、平均化回路52を省略してもよい。
○ 筬内センサ40の投光用光ファイバー43への投光部及び受光用光ファイバー44の光を受光する受光部が増幅器と一体化されたフィラーアンプ46に代えて、投光部としての発光ダイオード及び受光部としてのフォトダイオードと、アンプ(増幅器)とを別体に設けてもよい。
【0059】
○ 信号処理部はバンドパスフィルタ47に限らず、例えば、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタで構成し、必要に応じて増幅器を加えてもよい。
○ 閾値は、種類の異なる緯糸Yのグループ毎に設定してもよく、例えば、双糸の閾値と単糸の閾値とを別に設定してもよい。
【0060】
○ 制御装置Cは、伸びきりタイミングが予め設定された織機の運転状態における許容範囲からずれたことを確認した場合、警告を行うようにしてもよい。例えば、警告の方法としては警告ランプを点灯させたり、警告音を発生させたりする。
【0061】
○ 制御装置Cは、伸びきりタイミングが予め設定された織機の運転状態における許容範囲からずれた状態が、予め設定された所定時間あるいは所定緯入れ回数継続した場合、サブノズル12の噴射圧を制御するようにしてもよい。また、サブノズル12の噴射圧を制御するとともに、警告を行うようにしてもよい。
【0062】
○ 織機の運転中、常に緯糸検知装置が駆動して、緯糸Yの伸びきりタイミングを検知する構成に限らず、例えば、作業者が緯糸検知装置を駆動状態にしたときにのみ、緯糸検知装置が駆動して、緯糸Yの伸びきりタイミングを検知する構成としてもよい。この場合、機台調整時あるいは作業者が必要としたときにのみ緯糸検知装置が駆動されるため、エネルギー消費が削減される。
【0063】
○ 筬内センサ40は、投光用光ファイバー43及び受光用光ファイバー44の先端面43a,44aが筬羽16のガイド凹部16aと対向する状態で設けられ、投光部及び受光部がそれぞれ投光用光ファイバー43及び受光用光ファイバー44の基端側に設けられた構成に限らない。例えば、投光部及び受光部をガイド凹部16aと対向する状態で支持体41に設け、投光部がリード線を介して投光用電源に電気的に接続され、受光部がリード線を介して信号処理部(アンプ及びバンドパスフィルタ47)に接続された構成としてもよい。
【0064】
○ 筬内センサ40として、投光用光ファイバー43及び受光用光ファイバー44を、それぞれ1本の場合より細い複数本の光ファイバーを用いた構成としてもよい。この場合、支持体41内に複数本の投光用光ファイバー43及び受光用光ファイバー44の先端部を、筬内通路17内の緯糸Yの振動方向に沿って配置することが容易になる。
【0065】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1に記載の発明において、前記推定部は、前記信号処理部からの出力信号を、緯入れ1回当たりのサンプリング周波数を数十kHz、緯入れ1回当たりの計測時間を数十msでA/D変換器を介して取り込み、数十回〜200回についての緯入れの平均値を算出し、その結果を基に、時系列データの平均化を行う。
【符号の説明】
【0066】
Y…緯糸、11…メインノズル、12…サブノズル、13…筬、16…筬羽、16a…ガイド凹部、17…筬内通路、40…センサとしての筬内センサ、47…信号処理部としてのバンドパスフィルタ、49…推定部としてのCPU、51…全波整流回路、52…平均化回路、53…積分回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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