特許第6367790号(P6367790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367790
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】鋏
(51)【国際特許分類】
   B26B 13/00 20060101AFI20180723BHJP
   B26B 13/06 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   B26B13/00 B
   B26B13/06
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-500975(P2015-500975)
(86)(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公表番号】特表2015-513939(P2015-513939A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】GB2013050534
(87)【国際公開番号】WO2013140125
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】1204783.3
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1222905.0
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514232823
【氏名又は名称】シュミット,サラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,サラ
【審査官】 宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0047802(US,A1)
【文献】 米国特許第02010576(US,A)
【文献】 米国特許第00607839(US,A)
【文献】 登録実用新案第3149935(JP,U)
【文献】 実開昭63−015963(JP,U)
【文献】 特開平06−105968(JP,A)
【文献】 特開2004−305690(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0302788(US,A1)
【文献】 米国特許第04271593(US,A)
【文献】 米国特許第04761883(US,A)
【文献】 英国特許第00013866(GB,B)
【文献】 実開昭59−055965(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 13/00−13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋏であって、
第1の鋏刃と第2の鋏刃とを備え、前記第1の鋏刃と前記第2の鋏刃は、それら両鋏刃の手前端と先端との中間に配置されている旋回部周囲でそれら両鋏刃が角度的に分離され、切断対象の物体を受領する鋏口を形成する開鋏形態から、前記第1の鋏刃と前記第2の鋏刃が重なって前記鋏口を閉じる閉鋏形態に向けて旋回できるように設計され、
前記鋏は、前記鋏口の開きを制限するため、前記第1の鋏刃と前記第2の鋏刃とが前記開鋏形態に向かって旋回できる範囲を制限するよう設計された拘束部をさらに備え、前記拘束部は、前記第1の鋏刃と前記第2の鋏刃とが前記閉鋏形態に向けて旋回できる範囲を制限し、前記鋏口が完全には閉じていない最大に閉じた閉鋏形態を形成するようさらに設計されており、前記第1の鋏刃と前記第2の鋏刃とは、それぞれの鋏刃の先端側に配置された切断部と、それぞれの鋏刃の手前端側に配置されたグリップ部と、をそれぞれ備えており、それぞれの鋏刃の前記切断部の内側縁部は、物体を切断するように設計されている鋭切部と、前記物体と接触したときに前記物体を保持するように設計された鈍部と、を備え、前記鋭切部は前記切断部の手前端に配置され、前記鈍部は前記切断部の先端に配置されており、最大限に閉じた閉鋏形態にある前記鋏の前記鋏口は、前記両鋏刃の前記鈍部とのみ境界を接しており、前記両鋏刃の前記鋭切部とは境界を接しておらず、
前記拘束部は、前記第1の鋏刃上に配置された形成部と、前記第2の鋏刃に配置された相助的スロットと、を備え、前記相助的スロットは、前記旋回部の周囲で弓状であり、前記両鋏刃が前記開鋏形態から前記閉鋏形態に再形態化されるとき、前記形成部は前記スロット内をスライド式に移動するように設計されており、前記スロットはその弓状の長さの外側端及び内側端で閉じており、前記拘束部は、前記両鋏刃が前記開鋏形態及び前記閉鋏形態に向かって旋回できる範囲をそれぞれ制限するよう作用することを特徴とする鋏
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋏の拘束具に関する。
【背景技術】
【0002】
子供たち、および、身体機能に問題を抱える人々は、カードや紙などの物体を切る際の鋏の操作にしばしば困難を覚える。例えば子供たちには、2枚の鋏の刃(鋏刃)を互いに対して旋回させる際に、鋏を指リングで適正に把持することは困難である。子供たち、および老人や障害者等、身体機能問題を抱える人々は、物体を切る際に鋏刃を閉じる作用力を適切に発揮させることができず、鋏刃の先端を物体内で無理に閉じるとき物体を破損することがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は鋏のための拘束具を提供する。鋏は、第1の鋏刃と第2の鋏刃とを備えており、第1の鋏刃と第2の鋏刃は、両鋏刃の手前端と先端との中間に提供されている旋回部周囲でそれら鋏刃が角度的に分離され、かつ、切断対象の物体を受領する鋏口を形成する開鋏形態と、第1の鋏刃と第2の鋏刃が実質的にその鋏口を閉じる閉鋏形態との間で旋回できるように構成されている。拘束具は、開鋏形態と閉鋏形態との間で鋏刃の再配置を制限する手段を備えている。
【0004】
それらの鋏刃は切断部とグリップ部(操作部)とをそれぞれ備え、切断部は鋏刃の先方部分に配置され、グリップ部は鋏刃の手前部分に配置されている。グリップ部は指リングを備えることができる。
【0005】
有利には、拘束具は、両鋏刃の動作範囲を規制するために鋏刃の角分離程度を制限するように作用する。これで、子供たちは鋏の使用訓練を受けながら鋏刃を適切に操作し、物体を望むように切断する能力を得る。
【0006】
好適には、拘束具は、鋏口の開口度を制限するため、第1の鋏刃と第2の鋏刃が開鋏形態に向かって旋回する範囲を制限するように設計されている。
【0007】
好適には、拘束具は、鋏口が完全に閉じるのを防止するため、第1の鋏刃と第2の鋏刃が閉鋏形態に向かって旋回する範囲を制限するように設計されている。
【0008】
それぞれの鋏刃の切断部の内側縁部は、物体を切断する鋭切部と、物体が接触すると物体を挟持する鈍部とを備えている。好適には、鋭切部は、旋回部に対して手前側の切断部の端部に提供され、鈍部は、旋回部に対して遠方側の切断部の端部に提供されている。
【0009】
鋏の鋏口を形成する鋏刃の部分は鋏刃の形状によることは理解されよう。拘束具によって鋏口が完全に閉じるのが防止される実施形態では、鋏口が鋏刃の先端部によってのみ形成される最大限に閉じた鋏形態が提供される。好適には、鋏刃が最大限に閉じた鋏形態では、鋏口は鋏刃の鈍部によってのみ形成される。さらに好適には、鋏刃が最大に閉じた鋏形態では、鋏口の頂点は実質的に、それぞれの鋏刃の鋭切部と鈍部との間の移行点と一致する。この好適実施形態では、鋏は、拘束具によって鋏口がさらに閉じるのが防止される最大限の閉鋏形態に鋏刃が旋回するまで物体を切断するように設計されている。この時点で、鋏刃の鈍部は物体と接触し、物体をその場で保持する。この構造の利点は、ユーザは切断の最中に自分の鋏位置を失わず、円滑な切断を可能にすることである。
【0010】
好適には拘束具は、着脱可能に鋏刃に取り付けられ、第1の鋏刃と第2の鋏刃の少なくとも一部を受領するように設計された鞘体を備えている。鞘体は、好適には第1の鋏刃と第2の鋏刃との少なくとも一部に沿って延びており、好適には鞘部の長さの少なくとも一部に沿って分岐する側壁を備えている。
【0011】
好適には、鋏刃は、鞘体内にて旋回部の周囲で回転するように構成されており、鞘体の側壁は、鋏刃が開鋏形態に再形態化できる程度を制限するように設計されている。使用時に、鞘体は、鋏刃上に配置されるよう設計されており、側壁は、略隣接する旋回部から分岐している。
【0012】
好適には、鞘体の側壁は、鋏刃の手前端と先端に向かって鞘体の中央部から分岐するように設計されている。すなわち、鞘体の側壁は旋回部の両側の角度分離を制限し、鋏の鋏口の開口程度を制限するように設計されている。
【0013】
好適には、拘束具は、鋏刃の旋回部と手前端との間で、鋏刃間に提供された鞘体から延びる支台(abutment)を備えている。支台は、鋏刃の手前端で鋏刃と接触し、鋏刃が閉鋏形態に完全に再形態化することを防止し、鋏口が完全に閉じるのを防止する。あるいは、または、加えて、拘束具は、鋏刃の手前端で鋏刃に提供された支台をさらに備えている。この支台は鋏刃と頑丈に連結されるか、鋏刃と一体的に形成され、あるいは、鋏刃と着脱可能に連結されて、鋏刃が閉鋏形態に完全に再形態化されるのを防止し、鋏口が完全に閉じるのを防止する。
【0014】
別実施形態では、拘束具は第1の鋏刃に提供された形成部と、第2の鋏刃に提供された相互作用的スロット(空隙)とを備えている。第1の鋏刃と第2の鋏刃が開鋏形態と閉鋏形態との間で再形態化されたとき、このスロットは、旋回部の周囲で弓形であり、この形成部はスライド式にスロット内を移動するように設計されている。
【0015】
上述したように、鋏刃は切断部とグリップ部とを備えることができ、形成部とスロットは切断部に提供されるか、グリップ部に提供される。
【0016】
好適には、スロットはその外側端で閉じており、その外側端は鋏の鋏口との関係で提供される。スロットの外側端の位置は、好適には、鋏刃が開鋏形態に向かって旋回するときに鋏刃が一定の最大角度となるように開くと、形成部がスロットの外側端に当接し、鋏口の開き程度を規制するために第1の鋏刃と第2の鋏刃が開鋏形態に旋回できる範囲を制限するように設計されている。
【0017】
あるいは、または、加えて、好適にはスロットは、その内側端で閉じられている。好適には、スロットの内側端の位置は、鋏刃が閉鋏形態に向かって旋回したとき、鋏刃が一定の最少角度にまで閉じると、形成部がスロットの内側端に当接し、鋏口の完全閉鎖を防止するために第1の鋏刃と第2の鋏刃が開鋏形態にまで旋回できる範囲を制限するように設定されている。
【0018】
スロットは、形成部がスロット内で完全に規制されるように内側端と外側端の両方で閉じることもできる。外側端と内側端の位置(すなわちスロットが外側および内側に延びる限界)は、それぞれ閉鋏形態および開鋏形態に第1の鋏刃と第2の鋏刃が旋回できる範囲を制限する。
【0019】
本発明による第2の実施形態では、切断対象の物体を受領する鋏口を形成するため、第1の鋏刃と第2の鋏刃とが、それら鋏刃の手前端と先端の中間の旋回部の周囲で角度的に分離した開鋏形態と、鋏口を閉じるために第1の鋏刃と第2の鋏刃が実質的に重なって整合した閉鋏形態との間で旋回するように設計された第1の鋏刃と第2の鋏刃とを備えた鋏が提供される。鋏は、開鋏形態と閉鋏形態との間で鋏刃の再形態化を制限する拘束部をさらに備えている。
【0020】
第2の実施形態の鋏のさらなる特徴は、第1の実施形態の拘束具の1以上の好適な特徴を含むことができる。
【0021】
本発明の実施例は、あくまで例示として、添付の図面に関して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、完全閉鋏形態に配置された鋏刃を備えた鋏の斜視図である。
図2図2は、開鋏形態に配置された鋏刃を備えた鋏の斜視図である。
図3図3は、一体となった支台を備えた本発明の第1実施例の拘束具の斜視図である。
図4図4は、別体となった支台を備えた本発明の第2実施例の拘束具の斜視図である。
図5図5は、開鋏形態である本発明の実施例による鋏の斜視図である。
図6図6は、本発明の第3実施例による拘束具を備えた鋏の斜視図である。
図7図7は、図6に図示する鋏の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図2には、紙、カード、および布地(図示せず)のような様々な種類の物体を切断する従来型の鋏10が図示されている。鋏10は、第1の鋏刃11と第2の鋏刃12とを備える。これら鋏刃は、鋏刃の手前端と先端との間で鋏刃11と12を貫通する旋回ピン13で連結されており、鋏刃11と鋏刃12は、ピン13に対して回転することができる。鋏刃11と12はそれぞれ、ピン13の一方側に配置された切断部14と、ピン13の他方側に配置されたグリップ部15とを備えている。それぞれの鋏刃11と12のグリップ部15は、鋏刃11と12を適切に操作し、鋏刃11と12をピン13の周囲で回転させるために、使用者(図示せず)に鋏刃11と12をグリップさせるように鋏刃の手前端に配置された指リング16を備えている。よって、グリップ部15をピン13の周囲で相対的に回転させることで、鋏刃11と12の切断部14は、その内部に配置された物体(図示せず)を切断するように両者間に形成された鋏口を開いたり閉じたりできる。
【0024】
図3には、鋏刃11と12がピン13の周囲を相対的に回転するとき、図1図2で図示された鋏10のような、鋏10の鋏刃11と12の動作範囲を制限する本発明の第1実施例による拘束具100が図示されている。拘束具100は、鋏刃11と12が角度的に分離され、鋏口が切断対象の物体(図示せず)を受領する開鋏形態と、鋏刃11と12が実質的に重なり合って鋏口を閉じた閉鋏形態との間で、鋏刃11と12の切断部14が回転できる範囲を制限するように設計されている。
【0025】
固定具100は、鋏刃11と12の一部を受領するように形成された鞘腔部102を有した鞘体101を備えている。本発明の1実施例では、鞘体101は、第1の鞘カバー101aと第2の鞘カバーとを備えている(図3には第1の鞘カバーのみ図示)。これらはピン13に隣接する鋏刃11と12の両側に配置され、鋏刃と着脱可能に連結する。別実施例では、鞘体101は弾性的で可撓性の材料で形成でき、鞘体101は、鋏刃11と12が鞘腔部102に挿入され(閉鋏形態に配置されたとき)、ピンに近く配置されるように鋏刃に沿って鞘体をスライドさせることで鋏刃11と12に固定される。
【0026】
鞘腔部102は、鞘体101に沿って、その中央部103から鞘体101の縦方向の両端104に向かって分岐する側壁101bを備えている。従って、鞘腔部102の幅は、鞘体101の中央部103から両方の縦方向端に向かって増加するように設計されている。鋏刃11と12は、鞘体101内でピン13の周囲を相対的に回転するように設計されている。しかし、鞘体101の側壁101bは、鋏刃11と12の切断部14の角度分離を60°未満、好適には45°未満、さらに好適には35°未満に制限するように設計されている。
【0027】
第1実施例の鞘体101は、支台105をさらに備えている。これは鋏刃11と12の手前端で鞘カバー101a間を延びるように設計されており、グリップ部15の間で鋏刃11と12のグリップ部15が接触し、鋏刃11と12の鋏口が完全に閉じることを防止するように設計されている。支台105は、鞘カバー101aの一方または両方に着脱可能に連結でき、または、鞘カバー101aの一方または両方に頑丈に連結でき、例えば、鞘体101を鋏刃11と12上にスライドさせたとき旋回部13は支台105を通過することができる。グリップ部15の間に適正に配置されると、支台105は鋏刃の切断部14の最小の角度分離を約5°に規制するように設計されている。
【0028】
本発明の拘束具100の第2実施例では、図4で図示するように、支台105は、鋏刃11と12の一方または両方の手前部、例えば指リング16の位置から延び出ることができる。例えば、支台105は、指リング16にスナップ式に配置できるように設計されたクリップ106を使用して着脱可能に連結できる。あるいは、支台105は指リング16に頑丈に連結または一体的に形成できる。支台105は鋏刃11と12の回転面内で他方の指リング16に向かって延びることができ、支台105は同様に構成されて鋏刃11と12の切断部14の鋏口が閉じるのを防止するため、鋏刃11と12の手前端が接触するのを防止する。
【0029】
図5で図示するように、本発明の実施例の鋏200は上述の第2実施例の拘束具100を含む。鋏200は図1図2に関して説明したものと同じ特徴部を含み、同一特徴部は同じ番号に200を足して表示されている。
【0030】
図5で示す実施例では、支台105は、指リング16に着脱可能に連結できる、あるいは、そこに頑丈に連結できる。使用に際して、鞘体101は、切断部214で鋏刃211と212の角度分離を実質的に35°に制限し、使用者(図示せず)が鋏刃211と212を制御する能力を減少させるような位置にグリップ部215が分離することを防止する。同様に、指リング216に提供された支台105は、指リング216が図1のように接触することを防止し、鋏刃211と212の先方部が重なり合って鋏口を閉じるのを防止する。このように、拘束具100は物体(図示せず)を切断する際に鋏刃211と212をさらに良く制御させるように、回動ピン213の周囲の規制された範囲で鋏刃211と212の動作を提供し、物体の滑らかな切断を保証する。
【0031】
図6図7に図示する鋏300は、本発明の別実施例による拘束具320を含む。鋏300は図1図2で説明したものと同じ特徴部を含む。よって、同一特徴部には同一番号に300が足されたものが付されている。詳細には、鋏300は、第1の鋏刃311と第2の鋏刃312を貫通する旋回ピン313の周囲で手前端と先端の中間にて連結された第1の鋏刃311と第2の鋏刃312を備え、鋏刃311と312はピン313の周囲で互いに回転できる。鋏刃311と312は、ピン313の片側に提供された切断部314と、ピン313の別側に提供されたグリップ部315とをそれぞれ備えている。切断部314の内側縁部は、鋏刃311と312の切断部213の間で形成された鋏口に挿入された紙等を切断するのに適した鋭切部317を備えている。切断部314の内側縁部は、紙等が鋏刃311と312の切断部312の間に形成される鋏口の頂点に保持されたときに、紙等をグリップするのに適した鈍部318をさらに備えている。各鋏刃311と312のグリップ部315は、その先端に提供された指リング316を備えている。図示の実施例では、グリップ部315は熱可塑性エラストマー樹脂(TPE)のようなプラスチック材料で形成される。しかし、グリップ部315は金属等でも形成でき、切断部314と一体的に形成することもできる。グリップ部315は、使用者(図示せず)に鋏刃311と312をグリップさせ、鋏刃311と312を適正に操作させ、鋏刃311と312をピン313の周囲で回転させる。従って、グリップ部315をピン313の周囲で相対的に回転させることで、鋏刃311と312の切断部314は回転し、それらの中間に形成された鋏口を開閉させる。
【0032】
図6図7で図示する実施例では、拘束具320は、第1の鋏刃311に提供された円筒突起部の形態の形成部321を備えている。形成部321は第1の鋏刃311の切断部314と一体的に形成されている。
【0033】
拘束具はさらに第2の鋏刃312に提供された相助的スロット322を備えている。スロット322は、ピン313を中心するとする弧を形成する。これは、鋏刃311と312の旋回部を提供する。円の半径、すなわち弧の1点とピン313との間の垂直距離は、ピン313の位置の第1の鋏刃311の幅の半分未満であり、スロット322は、鋏刃311と312の動作の角度範囲全体で第1の鋏刃311の一部と接触状態に残る。スロットの幅は、形成部321がスロット322内で密着するが、その弓形状に沿ってスライド式に移動させるようになっている。
【0034】
スロット322は形成部321がスロット322内で拘束されるように内側端322aと外側端322bで境界を接する。スロット322の長さ、すなわち内側端322aと外側端322bとの間の弓形距離は、鋏刃311と322の動作の望む角度範囲に従って選択できる。
【0035】
鋏口を開閉するために鋏刃311と312が内側および外側に旋回できる範囲は、スロット322と形成部311との相互作用によって拘束される。例えば、鋏刃311と312が開くことができる範囲は、スロット322の外側端322bの位置によって制限される。形成部321がスロット322の外側端322bに当接すると、形成部321はこの点を越えて外側に移動できず、鋏刃311と312はさらなる開きが規制される。この最大に開いた形態は図6で図示されている。同様に、鋏刃311と312が閉じることができる範囲はスロット322の内側端322aの位置で制限される。形成部321がスロット322の内側端322aに当接すると、形成部321はさらに内側に移動することが防止され、鋏刃311と321はさらに閉じることが防止される。
【0036】
使用時に、ユーザが鋏刃を最大に開いた形態から閉じた形態に旋回させると、鋏刃311と312の鋭切部317は鋏口の頂点で物体を切断するように作用する。しかし、鋏刃311と312が最大に閉じた形態に到達すると、鋏口は鋏刃311と312の鈍部318によってのみ形成される。よって、鋏刃311と312が最大限に閉じた形態にあるとき、物体は鋏刃311と312の鈍部318の間に保持され、切断時にはユーザに容易に自身の位置を維持させ、怪我のリスクを軽減する。
【0037】
しかし、鋏300は、内側端322aの位置が、鋏刃311と312が閉じる範囲を制限しないように設計されていることは理解されよう。例えば、スロット322の内側端322aは、第2の鋏刃312の充分内側に配置でき、鋏刃311と312はグリップ部315の指リング316の支台によって完全に閉じるのが防止される。この実施例では、鋏刃311と312は完全に閉じることができ、拘束具320は鋏刃311と312の開き程度を制限するようにのみ作用する。同様に、鋏300は、外側端322bの位置が、鋏刃311と312が開き程度を制限しないように設計できる。この実施例では、拘束具320は鋏刃311と312の閉鎖を制限するようにのみ作用する。
【0038】
別実施例(図示せず)では、スロットは内側端322aまたは外側端322bのいずれかで開いており、形成部312は、鋏刃311と312が完全に閉じた形態のとき、および完全に開いた形態のときにそれぞれスロットから抜け出すことができる。従って、この実施例では、拘束具は鋏刃311と312を完全に閉じるか、あるいは完全に開くことは防止するが、鋏刃311と312が完全に開き、完全に閉じることは防止しないように設計されている。
【0039】
さらに、鋏刃311と312の鋭切部317や鈍部318のごとき特徴部は図6図7に図示する実施例に関して説明したが、そのような特徴部は本発明の他の実施例にも同様に適用できることは理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7