(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リスペリドンおよび/またはパリペリドンまたはその任意の薬学的に受容可能な塩の任意の組み合わせである薬物と、乳酸対グリコール酸のモノマー比が45:55〜55:45の範囲内にある乳酸およびグリコール酸に基づいた生体適合性コポリマーと、溶媒としてのDMSOとを含む組成物において、前記組成物による前記薬物の放出が、即時の作用発現に伴って、少なくとも4週間は継続するとともに、前記組成物のIn vivo薬物動態プロファイルが、4週間毎またはより長い周期毎に前記製剤を投与するのに適している体内においてのinsitu固体インプラントの形成に適した注射可能な筋肉内デポー組成物を製造する方法であって、初期ポリマー分子量が50〜63kDaの生体適合性コポリマーを提供した後、-40℃〜+15℃の温度で10〜30kGyの線量範囲でガンマまたはベータ放射線を照射することにより、その分子量を30〜46kDaに、およびその固有粘度を0.25〜0.31dl/gの範囲に調節するステップを含む、方法。
前記生体適合性ポリマーの初期分子量が56kDaである場合、前記生体適合性ポリマーを25KGyの放射線量で照射して、その分子量を30〜46kDaまで低減する、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
前記生体適合性ポリマーの初期分子量が50kDaである場合、前記生体適合性ポリマーを25kGyの放射線量で照射して、その分子量を30〜40kDaまで低減させる、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
前記生体適合性ポリマーの初期分子量が63kDaである場合、前記生体適合性ポリマーを30kGyの放射線量で照射して、その分子量を30〜46kDaまで低減させる、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の開示
よって、背景技術において述べたような組成物の場合、精神障害に対するリスペリドンおよび/またはパリペリドン組成物、キットおよび治療における既存の必要性に対応していないので、併用療法またはリスペリドンおよび/またはパリペリドンの初期投与量を必要とすること無く、少なくとも4週間にわたって長期間制御された、一定の薬物放出を可能とする組成物およびデバイスが未だ必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような必要性の解決手段として、リスペリドンおよび/またはパリペリドン、またはその薬学的に受容可能な誘導体および/またはその塩の任意の組み合わせである薬物と、乳酸対グリコール酸のモノマー比が45:55〜55:45、好ましくは約50:50である乳酸およびグリコール酸に基づいた生体適合性コポリマーと、DMSO溶媒とからなる組成物において、組成物による薬物の放出が、即時な作用発現に伴って少なくとも4週間は継続するとともに、組成物が、薬物のバースト放出を実質的に示さないIn vivo薬物動態プロファイルを有す組成物であって、生体適合性コポリマーの分子量が、30〜46kDaであり、好適には30〜36kDaであり、固有粘度が0.26〜0.31および好適には0.26〜0.29dl/g±10%であることを特徴とする、体内においてのin situ固体インプラントの形成に適した注射可能な筋肉内デポー組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、少なくともポリマーまたはポリマーマトリクス、溶媒および薬物を含む。
【0015】
ポリマーまたはポリマーマトリクスは好適には、生体適合性および生分解性のポリマーマトリクスである。投与後、身体に重大な損傷を与えないように、好適なポリマーは、人体に対して生体適合性かつ非毒性であり、非発がん性であり、有意な組織炎症を発生させないものである。ポリマーは好適には、容易に処分可能で、体内に蓄積しないように、生体の過程による自然分解を可能とする生分解性を有すものである。本発明の実施における好適なポリマーマトリクスは、45:55〜55:45の範囲、好適には約50:50の比で混合された、末端カルボキシルにエンドキャップされたポリラクチドとポリグリコール酸のコポリマーの中から選択され、平均分子量は30〜45KDaであり、好適には30〜36KDaであり、より好適には31〜40kDaであり、固有粘度は0.25〜0.31であり、より好適には0.26〜0.29dl/g±10%である。
【0016】
必要とする分子量を有す市販のポリマーを用いることは、確かに可能であるが、その分子量の必須範囲が30〜46kDaであり、好適には30〜45kDaであることを本発明者らは確定した。さらに社内カスタム設計において、8℃より低い温度で15〜30kGy±10%の放射線量を照射することによりポリマーの分子量の変更が可能であることを本発明者らは確定した。これは、従来の技術において、当業者に自明ではなかった(
図11を参照)。例えば、市販のポリマーの特定の時期における分子量は、平均値として50kDaであり得る。本発明者らは、事前計算された特定線量の放射を用いてポリマーを照射することによりこの分子量を変更する方法を確立した。制御された条件下において行われた場合、照射線量増加によりポリマー分子量を低下させることが可能であることを示す数学モデルを得ることが可能である。ポリマー分子量を調節した場合、その固有粘度も対応して変化するため、特定の規定された放射線量でポリマーを照射することにより、その分子量およびその固有粘度双方の調節を達成できる。
【0017】
従って、例えば:
− 分子量が30〜46kDaであり、固有粘度値が0.25〜0.31dl/
gであるPLGAポリマーの使用を必要とし、出発ポリマーとして平均分子
量が56kDaであるポリマーを所有している場合、その分子量を上記30
〜46kDaの範囲まで低減させるためには、投与量25kGyの放射線量
が必要であることを確定した。
− 分子量が30〜40kDa、好適には30〜36kDaであり、固有粘度値
が0.25〜0.31dl/g、好適には0.26〜0.29dl/gであ
るPLGAポリマーの使用を必要とし、出発ポリマーとして平均分子量が5
0kDaのポリマーを所有している場合、その分子量を上記30〜40kD
aの範囲、好適には36〜40kDaの範囲まで低減させるためには、投与
量25kGyの放射線量が必要であることを確定した。
− 分子量が30〜40kDaであり、固有粘度値が0.25〜0.31dl/
gであるPLGAポリマーの使用を必要とし、出発ポリマーとして平均分子
量が38kDaのポリマーを所有している場合、放射線量は全く不要である
ことを確定した。
− 分子量が30〜36kDaであり、固有粘度値が0.25〜0.31dl/
g、好適には0.26〜0.29dl/gであるPLGAポリマーの使用を
必要とし、出発ポリマーとして平均分子量が38kDaのポリマーを所有し
ている場合、その分子量を上記30〜36kDaの範囲まで低減させるため
には、16kGyの放射線量が必要であることを確定した。
− 分子量が30〜36kDaであり、固有粘度値が0.25〜0.31dl/
g、好適には0.26〜0.29dl/gであるPLGAポリマーの使用を
必要とし、出発ポリマーとして平均分子量が31kDaのポリマーを所有し
ている場合、放射線量は全く不要であることを確定した。
− 分子量が30〜46kDaであり、固有粘度値が0.25〜0.31dl/
g、好適には0.26〜0.29dl/gであるPLGAポリマーの使用を
必要とし、出発ポリマーとして平均分子量が63kDaのポリマーを所有し
ている場合、その分子量を上記30〜46kDaの範囲、好適には30〜3
6kDaまで低減させるためには、30kGyの放射線量が必要であること
を確定した。
【0018】
これらの実験試験において、照射時におけるポリマーの温度条件は約8℃であったが、例えば、35℃未満または25℃未満などの、他の温度も利用可能である。ただし、これらの場合、放射線量と得られる分子量との関係は変動し得る。
【0019】
上記の手順は、特に、本発明に記載の組成物の製造に適している。さらに、固体ポリマーを注射器に充填することは、注射可能な製剤の製造において実に困難である。非無菌製品として製造されたポリマーは、人体へ注入可能な製剤を達成するために、殺菌処理を経る必要がある。この技術的問題を解消する方法として、ポリマーにガンマ線またはベータ線の照射による殺菌を施す方法が最良であろう。生分解性ポリマーを用いる場合、照射によって鎖がより小型の断片に分解され得るので、照射は困難な問題を抱くものである。ポリマー分子量の制御は、またしても、殺菌処理後の生成物の最終特性の制御において重要なパラメータとなるようである。
【0020】
上記したように、分子量が所望よりも高い原料として用いられるポリマーの最終分子量を予測するために、照射による鎖長の低減を数学的にモデル化または制御することができる。よって、容器に充填されるべきポリマーの充填重量(例えば、注射器へのポリマーの充填重量)および原料としてのポリマー中に存在する汚染微生物数を決定した後、ポリマーを無菌にするために必要な(ISO11137に規定のような)照射線量を、必要な充填重量に合わせて選択する。その後、特定のポリマーの照射線量に対する分子量損失を記述する数学的モデルにより、照射処理後に製剤のための所望の最終分子量を有するポリマーを得るために必要な原料として用るべきポリマーの初期分子量を特定することができる。特定の分子量を有するポリマーの入手可能性が、ある程度制限されている場合もあるので、特定された照射線量に従って必要とされる分子量よりも分子量が高い入手可能なポリマーを代わりに選択し、その後、照射線量をより高い値に調節して、必要な分子量の無菌のポリマーを得ることもできる。
【0021】
本発明の組成物中の(組成全重量に対するポリマー重量の百分率として表される)ポリマー成分濃度は好適には、24〜50%の範囲内であり、より好適には25〜27%である。
【0022】
本発明の目的上、本明細書全体において、ポリマーの特有または固有粘度(η
inh)という項は、ポリマーの質量濃度cに対する相対粘度ηrの自然対数の比として定義され、以下のように表される。
η
inh=(lnη
r)/c
【0023】
相対粘度(η
r)は、溶媒の粘度η
sに対する溶液の粘度ηの比であり、以下のように表される。
η
r=η/η
s
【0024】
他に明記無き限り、本明細書全体において、固有粘度および分子量の値は、実施例1に記載の方法によって測定されるものとして理解される。当該分野において一般的に受容されているように、固有粘度の値は、本明細書において、ポリマー分子量を間接的に示すものとしてみなされる。これにより、特定の溶媒中の、同モノマー組成、同末端基を有すポリマーの所与濃度で測定する固有粘度の低下は、ポリマー分子量が低下したことを示すことになる(IUPAC.Basic definitions of termsrelating to polymers1974.PureAppl.Chem.40,477−491(1974)。
【0025】
好適な溶媒は非毒性かつ生体適合性であり、注射剤に適しているものである。毒性を発生し易い溶媒は、如何なる生体中への如何なる材料の注射にも用いるべきではない。より好適には、注射部位において重度の組織刺激または壊死を一切引き起こさないよう、選択される溶媒を生体適合性とするとよい。よって、溶媒は好適には、ICHガイドラインに従ってクラスIIまたはIIIに分類されるもの、より好適にはクラスIIIに分類されるものである。insituインプラントの形成のために、溶媒は好適には、生理液に晒されるとポリマー溶液から周囲組織へ迅速に拡散するものであるとよい。したがって、溶媒は好適にはDMSOである。
【0026】
薬物は好適には、リスペリドンパリペリドンおよび/または全ての薬学的に許容される塩およびそれらの組み合わせである。この薬物は好適には、溶媒中に少なくとも部分的に懸濁される。溶媒中の薬物の溶解度は好適には90mg/mlよりも低く、より好適には65mg/mlよりも低く、最も好適には10mg/mlよりも低い。このような低溶解度を用いた場合の利点として、外部水媒液への溶媒の拡散時における薬物の初期突発を大幅に低減できる点がある。加えて、本発明の最終組成物において、薬物は、組成物全重量に対する薬物の百分率として表される4〜16wt%の範囲の好適な濃度で提供される。より好適には、薬物の含量は組成物全重量の7〜15%であり、最も好適には約13%である。
【0027】
本記載において用いられる「約50:50」という表現は、乳酸およびグリコール酸に基づいた生体適合性コポリマーの乳酸対グリコール酸のモノマー比を指し、本発明の文脈においては±10%の標準技術誤差でモノマー比の測定に適用する。
【0028】
本発明の組成物の初期放出の制御に貢献する要素の1つとして、ポリマー溶液の粘度がある。「ポリマー溶液」とは、ポリマーマトリクスおよびそれが中に溶解される溶媒の組み合わせとして定義され、好適な粘度は1.5〜2.1Pa.s、より好適には1.6〜1.9Pa.sさらにより好適には1.7〜1.8Pa.s±10%の範囲にある。
【0029】
本発明の組成物の初期放出の制御に貢献する第2の要素として、生体適合性コポリマーの分子量がある。生体適合性コポリマーの分子量は、30〜476Da、好適には30〜45kDaであることを必要とする。この組成物における溶媒中の薬物溶解度とインプラント中のポリマーの分子量との間の適切なバランスにより(ポリマー沈殿過程およびインプラントの最終的な構造特性が制御され)、製剤は、筋肉注射後に溶媒の拡散の段階で放出され得るリスペリドンの量を制限することができる。一旦製剤が筋肉内組織中へ注射されると、DMSOは、周囲の水性環境内で迅速に溶解する。DMSO中のポリマー濃度が溶媒中のポリマー溶解度に対して増加すると、ポリマー沈殿物が形成され、溶媒中に溶解しなかったリスペリドンを捕獲する。ポリマーの分子量は、この重要なステップにおいて大きな影響を及ぼす。なぜならば、鎖重量が軽すぎる場合、重量が適切な範囲の鎖と比較して、沈殿時間が遅延するからである。このように沈殿が遅延すると、薬物が放出される方向にある周囲の流体と薬物との接触を増加させることが可能になる。
【0030】
従って、低分子量鎖では、注射後にリスペリドンの過剰放出を導き、潜在的には注射後の1日目に毒性血漿中濃度を得ることになる。ポリマーの分子量は、溶媒の拡散およびポリマーの沈殿後の、筋肉内注射したインプラントからの薬物の放出にも影響し得る。指定範囲を超える分子量では、拡散によるリスペリドンの放出を適切な速度に維持することができない。
【0031】
さらに、筋肉内組織において、分子量が高めの鎖では、ポリマーマトリクス中に捕獲された薬物を放出することが可能な可溶性画分を提供するためには、より長い加水分解時間が必要となる。放出すべき残留薬物の含量がより高いものだと、活性部分の血漿値が望ましくないほど高くなること、あるいは、製剤は、4週間毎または30日毎にヒト体内に数回注射されるものであるため、注射してから30日後の血漿値が、何らかの理由でその後の投与量と干渉し得ることに繋がる可能性もある。
【0032】
本発明の重要な1態様として、リスペリドンおよび/またはパリペリドンまたはその任意の薬学的に受容可能な塩の任意の組み合わせと、乳酸対グリコール酸のモノマー比が45:55〜55:45であり好適には約50:50である乳酸およびグリコール酸に基づいた生体適合性コポリマーと、DMSO溶媒とを含む体内のinsitu固体インプラントの形成に適した注射可能な筋肉内デポー組成物において、組成物による薬物の放出が、即時な作用発現に伴って少なくとも4週間にわたって放出を継続するとともに、組成物のIn vivo薬物動態プロファイルが、各4週間またはさらにより長期間に投与するのに適している組成物であって、生体適合性コポリマーの分子量は、30〜46kDa、好適には30〜36kDaであり、固有粘度は0.25〜0.31であり、好適には0.26〜0.29dl/g±10%である点において特徴付けられる、体内のinsitu固体インプラントの形成に適した注射可能な筋肉内デポー組成物がある。
【0033】
本発明の好適な実施形態において、生体適合性コポリマーは、15〜30KGyの投与量範囲において、−40℃よりも高くかつ35℃よりも低く、より好適には25℃よりも低く、さらにより好適には15℃よりも低く、最も好適には約8℃である温度においてガンマ線またはベータ線によって照射されて、その分子量および粘度範囲が調節される。
【0034】
本発明の好適な実施形態において、この組成物は、以下の薬物の好適な粒径分布を有する。
− 粒子の10%未満が10ミクロンよりも小さく、
− 粒子の10%未満が225ミクロンよりも大きく、
− d0.5値が40〜130ミクロンの範囲である。
【0035】
他に明記無き限り、粒径分布は、レーザ回折器をウェットモードで用いる光散乱法によって決定されるものである。粒径分布結果が、高濃度界面活性剤および/または強力な力エネルギー(ボルテックス、超音波処理など)の使用のような材料処理によって変更可能であることが公知である。他に明記無き限り、薬物は処理されておらず、穏やかな撹拌(2000〜3500rpm)下のタンクに直接添加することにより、サンプルは調製される。力エネルギーをサンプルに付加しておよび/または高濃度界面活性剤を使用してサンプルを調整することにより、製剤の手動復元過程において模擬することが不可能な高度の粉末分離を達成する他の方法よりも、本発明において薬物粒径分布を決定する際に適用する方法が、本明細書に記載の注射可能な製剤に対する薬物粉末の挙動をより忠実に模倣するものである。
【0036】
薬物/ポリマー+薬物の質量比は約33%であり、薬物含量は製剤全体の約13%w/wであり、ポリマーとDMSOとの間に形成される溶液の粘度は、1.5〜2.1の範囲、好適には1.7〜1.8P.a.s±10%の範囲である。
【0037】
他の実施形態によれば、本発明の生体適合性コポリマーは、好適には10〜30KGy、より好適には15〜30KGy、最も好適には16〜25KGy±10%の範囲においてガンマ線またはベータ線によって照射される。
【0038】
他の実施形態によれば、この組成物は、無菌の組成物であり、人体における統合失調症または双極性障害の治療に適している。
【0039】
さらに他の実施形態において、本発明は、生分解性インプラントの体内におけるinsitu形成に適した薬剤キットを提供する。この薬剤キットは、請求の範囲の組成物を含むものであり、薬物および生体適合性ポリマーが、第1の容器に入っており、溶媒が、別個の第2の容器に入っている。好適には、第1の容器および第2の容器のうち少なくとも1方は、使い捨て型または非使い捨て型の注射器、バイアル、デバイスまたはカートリッジであり、より好適には、第1の容器および第2の容器の両方が使い捨て型注射器である。本発明のこの態様は、第1の容器および第2の容器を含むキットに関する。第1の容器は好適には、注射器、バイアル、デバイスまたはカートリッジであり、これらは全て、使い捨て型または非使い捨て型であり、PLGAなどの固体形態のポリマーおよび適切な量の薬物を含むものである。第2の容器も、同様に、好適には注射器、バイアル、デバイスまたはカートリッジであり、これらは全て、使い捨て型または非使い捨て型であり、水混和性溶媒を含むものである。必要な時に、例えばコネクタを通じてまたは雄型/雌型注射器によって双方の容器の内容を組み合わせ、例えば注射器のプランジャーを前後に移動させることにより、相互に混合して、本発明による組成物を復元させる。例示的な好適な実施形態を、
図9(コネクタデバイスを通じて接続される注射器)および
図10(直接ねじ山を介して接続される注射器)に示す。
【0040】
他の態様によれば、本発明は、請求項に記載の組成物の製造方法を提供する。この方法は筋肉内デポー組成物に必要なポリマー重量よりも高いポリマー重量を有する生体適合性コポリマーを提供した後、ガンマ線またはベータ線放射を15〜30kGyの線量範囲で照射することにより、その分子量を30〜46kDaに調節するステップを含む。
【0041】
この方法の好適な実施形態において、生体適合性ポリマーの初期分子量が約56kDaである場合、このポリマーを約25KGyの放射線量で照射して、その分子量を30〜46kDa±10%まで低減させる。
【0042】
この方法の好適な実施形態において、生体適合性ポリマーの初期分子量が約50kDaである場合、このポリマーを約25KGyの放射線量で照射して、その分子量を30〜40kDa±10%、好適には30〜36kDa±10%まで低減させる。
【0043】
他の実施形態において、生体適合性ポリマーの初期分子量が約38kDaである場合、このポリマーを約16KGyの放射線量で照射して、その分子量を30〜36kDaまで低減させる。
【0044】
さらに他の実施形態において、生体適合性ポリマーの初期分子量が約63kDaである場合、このポリマーを約30KGyの放射線量で照射して、その分子量を30〜46kDa±10%、好適には30〜36kDa±10%まで低減させる。
【0045】
他の態様によれば、本発明は、本発明による注射可能な筋肉内デポー組成物を精神疾患治療を必要とする患者へ投与するための投与計画方法を提供する。この方法は、
a)第1の投与量として37mg〜150mgの量の注射可能なデポー組成物を患者
へ筋肉内投与することと、
b)後続投与量として注射可能なデポー組成物を37mg〜150mgの量だけ前回
の投与日から数えて24日目〜35日の時点に投与することと、
c)必要なときにステップb)を繰り返すことと、を含む。
【0046】
好適には、第1の投与量は約50mg〜約100mgであり、これは、他の後続投与量に同等である。
【0047】
好適な実施形態において、注射可能なデポー組成物は、無菌の完成品である。他の好適な実施形態において、生体適合性ポリマーは、好適には15〜30KGyにおける照射または濾過などの他の処理によって、その無菌充填プロセスの前に殺菌される。
【0048】
本発明の文脈内において、実施例に関連し、それに限定せず、全ての技術的パラメータの技術測定誤差は±10%であるとみなされる。
【0049】
本発明の意味において、実施例に関連し、それに限定せず、4週間毎の投与計画の開始前に所望の血漿中濃度を得ることを加速するために開始投与計画を用いることが必要になり得ることを説明することは重要である。この開始投与計画は、以下に記載のようなものであり得るが、これらに限定されない。
・ 第1の筋肉内投与量の製剤を0日目において投与量25〜250mgだけ投与した後、第2の投与量を5〜10日目において投与量25〜200mgだけ投与し、次いで、第3の投与量を第1投与後28〜35日目において投与量25〜200mgだけ投与し、次いで、後続の4週間毎の投与量の製剤を投与する。
・ 第1の筋肉内投与量の製剤を0日目において投与量75〜200mgだけ投与した後、第2の投与量を28〜35日目において投与量25〜200mgだけ投与し、次いで、後続の4週間毎の投与量の製剤を投与する。
・ 4週間毎の投与を開始するのに必要な血漿中濃度を得るために必要な強度および間隔の他の任意の組み合わせを行う。
【実施例】
【0061】
以下の実施例において本発明を例示するが、これらの実施例は限定的なものとしてみなされるべきではない。
【0062】
本発明の意味において、In vivoの実施例に関連し、それに限定せず、「初期突発」または初期放出とは、注射の瞬間から投与後3日目までのリスペリドンの血漿中濃度と9−OH−リスペリドンの血漿中濃度との和を意味する。この和を、本明細書全体において「活性部分」と呼ぶ場合もある。同様に、ビーグル犬中の「適切な血漿中濃度プロファイル」とは、注射の瞬間から7日目までに発生する活性部分(リスペリドン+9−OHリスペリドンの血漿濃度)のAUCのを超えず、7日目〜21日目に発生する活性部分のAUCの35%〜45%であり、21日目後に発生する活性部分のAUCの45%を超えないものとしてみなされる。
【0063】
上記の百分率は、リスペリドンがインプラントから放出される異なる期間毎の間で適切なバランスがとれていることを示す。このバランスは、4週間毎または30日毎に注射し、注射1日目からヒトにおいて活性部分の治療的血漿中濃度を得ることができ、注射毎の間の期間において所望の平均活性部分血漿濃度を得ることができ、毒性または有効性の欠如の原因となり得る頂部や谷部を活性部分の血漿値において低減させることができる製剤を得るためのものである。また、本発明の意味において、実施例に関連し、それに限定せず、初期突発相時において受容可能な活性部分の血漿中濃度は、投与量が2.5mg/kgのリスペリドンである場合、ビーグル犬中において75ng/mlを下回る。
【0064】
実施例1:無照射のResomer(登録商標)503を用いたデポー製剤
本実施例において、以下の製剤を調製した。:
【表1】
【0065】
リスペリドン粒径を光散乱によって特徴付たところ、以下の粒径分布が得られた:d(0、1)=27.49μm、d(0,5)=79.90μmおよびd(0,9)=176.66μm。
【0066】
ポリマーは、以下の手法により、その分子量について特徴付けた:
装置
トリプル検出器(レーザ回折、粘度測定、屈折率)を備えたGPCクロマトグラフ
・ Viscotek(登録商標)GPCmaxVE2001GPC溶媒/サンプ
ルモジュール
・ Viscotek(登録商標)TDA305トリプル検出器アレイ
【0067】
試薬:
・ ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)250ppmによって安定化されたテ トラヒドロフラン(THF)、GPCグレード
・ ポリスチレン狭標準(好適には、分子量約90または99KDaのもの)
【0068】
サンプル調製:
・ 1−2mg/ml標準サンプル
・ 10mg/ml試験サンプル:各試験対象ポリマーについて3つのサンプル
【0069】
前条件づけ:
作動流速1ml/minに到達するまでカラムおよび検出器を移動相(THF)により調整および安定化させ、粘度計および屈折率検出器をパージし、終了時において、全信号が安定かつ適切であることを確認する。
【0070】
クロマトグラフ条件:
・ カラム:カラムi−MBMMW−3078(CLM1012、Viscotek)を2本連結
・ 遅延カラム:中間遅延(CLM9002、Viscotek)
・ カラム温度30℃
・ 流動速度1ml/min
・ 注入量:100μl
・ 実行時間:35分
・ 溶離液:安定化THF(30℃まで事前加熱および100rpm攪拌下)
【0071】
システム検証
・ 100μlの溶離液を注入し、分子量決定に関連する信号に反応が無いことを 確認する。
・ 100μlの狭標準ポリスチレンを注入し、測定の適切性を確認する。少なく とも2回繰り返す。
合否基準:製造業者の標準証明書に記載の標準分子量の±5%および固有粘度の
±3%。
【0072】
較正
システム検証が適合しかつ前回のクロマトグラフ条件から変更が無い場合、必ずしも必要ではない。
較正が必要な場合は、以下に従うこと。
・ 100μlの標準ポリスチレンを少なくとも2回注射する。
・ マルチ検出器−ホモポリマー用のメソードを新たに作成し、第1のサンプル
のデータを3つの較正に用いる。
・ MW、IV、dn/dc、dA/dcおよび溶媒の屈折率の標準値など、内
部較正に必要な全データをメソードに入力する。
・ 装置の指定通りにシステムを較正し、この新規メソードを保存する。
・ 新規メソードで、標準ポリスチレンの第2の注射について測定の適切性を確
認する。
【0073】
手順
100μlの試験サンプルを3重に注射する。
記載の手法に従って測定されたポリマー分子量は、結果として32KDaであった。同様の手法によれば、ポリマーの固有粘度値は、結果として0.27dl/gであった。固有粘度値が、記載の手法によって得られたものに相当していることは、特に温度条件および使用溶離液に関連して重要である。測定条件の変化は何れも、それらに直接依存して異なった値が獲得されることを示す。
【0074】
リスペリドンの移植可能な製剤は、雄型の注射器と雌型の注射器を接続し、プランジャーを前後に移動させることにより、ポリマーを完全に溶解させ、ポリマー溶解液においてリスペリドンの均一な懸濁液が形成した時点に調製された。
【0075】
ビーグル犬への筋肉内投与後のIn vivo血漿中濃度
平均体重が10kgのビーグル犬に対し、本実施例のリスペリドン組成物を筋肉内注射した。注射量は、投与量として25mgのリスペリドンに相当し、この組成物を20G針の注射器を用いて左後肢中に筋肉内配置した。犬の合計数は、3頭であった。注射後、血漿中濃度の取得を0、4h、1d、2d、3d、5d、7d、10d、15d、17d、21d、24d、28d、30d、35d、37dおよび42dに行った。
【0076】
リスペリドン活性部に対応する血漿中濃度の動態を、血漿サンプル中のリスペリドンおよびその活性代謝産物である9−OH−リスペリドンの双方の測定により評価した。リスペリドン活性部分の血漿中濃度プロファイルおよび計算したAUC値を
図1に示す。9−OH−リスペリドンの治療活性はリスペリドンの治療活性に実質的に相当するため、これらの結果を、リスペリドン+9−OH−リスペリドン濃度(ng/ml)の時間の関数として表した。
【0077】
この図から分かるように、25mgのリスペリドンに相当する量の組成物をビーグル犬に注射した結果、初期バースト放出が極めて高精度に制御され、その後、ゆっくりと持続的に低下し、1日目以降では連続的な血漿中濃度になっていた。
【0078】
上記したように、活性部分の血漿中濃度のプロファイルは、注射直後の毒性血漿中濃度の危険性が極めて低く、適しているものとみなすことができる。この組成物における溶媒中の薬物溶解度とインプラント中のポリマーの分子量との間の適切なバランスにより(ポリマー沈殿過程およびインプラントの最終的な構造特性が制御され)、製剤は、筋肉注射後に溶媒の拡散の段階で放出され得るリスペリドンの量を制限することができる。
【0079】
一旦製剤が筋肉内組織中へ注射されると、DMSOは、周囲の水性環境内で迅速に溶解する。DMSO中のポリマー濃度が溶媒中のポリマー溶解度に対して増加すると、ポリマー沈殿物が形成され、溶媒中に溶解しなかったリスペリドンを捕獲する。ポリマーの分子量は、この重要なステップにおいて大きな影響を及ぼす。なぜならば、鎖重量が軽すぎる場合、重量が適切な範囲の鎖と比較して、沈殿時間が遅延するからである。このように沈殿が遅延すると、薬物が放出される方向にある周囲の流体と薬物との接触を増加させることが可能になる。従って、低分子量鎖では、注射後にリスペリドンの過剰放出を導き、潜在的には注射後の1日目に毒性血漿中濃度を得ることになる。ポリマーの分子量は、溶媒の拡散およびポリマーの沈殿後の、筋肉内注射したインプラントからの薬物の放出にも影響し得る。
【0080】
指定範囲を超える分子量では、拡散によるリスペリドンの放出を適切な速度に維持することができない。さらに、分子量が高めの鎖が一旦筋肉内組織へ注射されると、ポリマーマトリクス中に捕獲された薬物を放出することが可能な可溶性画分を提供するためには、より長い加水分解時間が必要となる。放出すべき残留薬物の含量がより高いものだと、活性部分の血漿値が望ましくないほど高くなる可能性が出てくる。あるいは、本製剤は、4週間毎または30日毎に、ヒトに数回注射されることが意図されているため、30日後の血漿値が、何らかの理由で、その後の投与量と干渉する可能性がでてくる。
【0081】
図1は、30〜36KDa領域(32KDa)中のポリマーが、いかに所望のin vivo血漿中濃度プロファイルを提供することができるかを示す。
【表2】
【0082】
実施例2:16Kgyまで照射されたResomer(登録商標)504を用いたデポー製剤
【0083】
本実施例は、所望のin vivo放出特性を有する無菌製剤を得るためにポリマー分子量を制御する方法を示す。
【0084】
固体ポリマーを注射器に充填することは、注射可能な製剤の製造において実に困難である。非無菌製品として製造されたポリマーは、人体へ注入可能な製剤を達成するために、殺菌処理を経る必要がある。この技術的問題を解消する方法として、ポリマーにガンマ線またはベータ線の照射による殺菌を施す方法が最良であろう。生分解性ポリマーを用いる場合、照射によって鎖がより小型の断片に分解され得るので、照射は困難な問題を抱くものである。ポリマー分子量の制御は、またしても、殺菌処理後の生成物の最終特性の制御において重要なパラメータとなるようである。
【0085】
しかし、分子量が所望よりも高い原料として用いられるポリマーの最終分子量を予測するために、照射による鎖長の低減を数学的にモデル化または制御することができる。よって、容器に充填されるべきポリマーの充填重量(例えば、注射器へのポリマーの充填重量)および原料としてのポリマー中に存在する汚染微生物数を決定した後、ポリマーを無菌にするために必要な(ISO11137に規定のような)照射線量を、必要な充填重量に合わせて選択することができる。
【0086】
その後、特定のポリマーの分子量損失を照射線量に対して記述した数学的モデルにより、製剤のための所望の最終分子量を有すポリマーを照射処理後に得るために必要な原料として用いられるべきポリマーの初期分子量を特定することができる。
【0087】
特定の分子量のポリマーの入手可能性が、ある程度制限されている場合もあるため、特定された照射線量に従って必要とされる分子量よりも分子量が高い入手可能なポリマーを代わりに選択し、その後、照射線量をより高い値に調節して、必要な分子量の無菌のポリマーを得ることもできる。本実施例において、制御された温度および湿度の条件下、16kGyのベータ線照射により、2つの有機酸モノマーをそれぞれ50%の含量で含み、分子量が38kDaの乳酸−co−グリコール酸コポリマーを殺菌した。その結果得られたポリマーを、実施例1に記載の方法に従って、その分子量について特徴付けた。照射処理後の分子量は31KDaであった。
【表3】
【0088】
リスペリドン粒径を光散乱によって特徴付けたところ、以下の粒径分布が得られた:d(0,1)=27.49μm、d(0,5)=79.90μmおよびd(0,9)=176.66μm。
【0089】
照射したポリマーの固有粘度を実施例1に記載の手法によって計算したところ、0.27dl/gとなった。
【0090】
リスペリドンの移植可能な製剤は、雄型の注射器と雌型の注射器を接続し、プランジャーを前後に移動させることにより、ポリマーを完全に溶解させ、ポリマー溶解液においてリスペリドンの均一な懸濁液が形成した時点に調製された。
【0091】
ビーグル犬への筋肉内投与後のIn vivo血漿中濃度
本実施例のリスペリドン組成物を、平均体重が10kgであるビーグル犬へ筋肉内注射した。2つの群について、2つの異なる投与量(すなわち、2.5mg/kgおよび5.0mg/kg)について調査した。組成物を20G針の注射器を用いて左後肢中に筋肉内配置した。犬の合計数は、各群当り6頭であった。注射後、血漿中濃度の取得を0、4h、1d、2d、3d、5d、7d、10d、14d、17d、21d、24d、28d、30d、32d、35d、38d、42d、45d、49d、52dにおいて行った。
【0092】
血漿サンプル中のリスペリドンおよびその活性代謝産物である9−OH−リスペリドンの双方を測定することにより、リスペリドン活性部分に相当する血漿中濃度の動態を評価した。リスペリドン活性部分の血漿中濃度プロファイルおよび計算したAUC値を
図2に示す。9−OH−リスペリドンの治療活性は、リスペリドンの治療活性に実質的に同等である。よって、これらの結果を、リスペリドン+9−OH−リスペリドン濃度(ng/ml)の時間の関数として表した。この図から分かるように、2.5mg/kgおよび5.0mg/kgのリスペリドンに相当する量の組成物をビーグル犬に注射したところ、再び初期バースト放出が極めて高精度に制御され、その後、ゆっくりと持続的に低下し、1日目以降では連続的な血漿中濃度になっていた。
【0093】
図2は、ポリマー鎖の末端基の微小変動が照射後に発生し得るものの、より高い分子量のポリマーを所望の分子量に調整することによって、元々の分子量が30〜36KDaである非照射ポリマーによって得られた放出特性を維持できる様子を示す。ここでも、活性部分の血漿中濃度プロファイルは、上記したように、注射直後の毒性血漿中濃度の危険性が極めて低いものの提供に適したものとみなすことができる。
【表4】
【0094】
実施例3:25Kgyまで照射されたResomer(登録商標)504を用いたデポー製剤
ここでは、所望のin vivo放出特性を備える無菌製剤が得られるようにポリマー分子量を制御する方法を示す別の例を説明する。
【0095】
制御された温度および湿度の条件下、25kGyのベータ線照射により、2つの有機酸モノマーをそれぞれ50%の含量で含み、分子量が50kDaの乳酸−co−グリコール酸コポリマーを殺菌した。その結果得られたポリマーを、実施例1に記載の方法に従って、その分子量について特徴付けた。照射処理後の分子量は35KDaであった。
【表5】
【0096】
リスペリドン粒径を光散乱によって特徴付けたところ、以下の粒径分布が得られた:d(0,1)=27.49μm、d(0,5)=79.90μmおよびd(0,9)=176.66μm。
【0097】
照射したポリマーの固有粘度を実施例1に記載の手法によって計算したところ、0.28dl/gとなった。
【0098】
リスペリドンの移植可能な製剤は、雄型の注射器と雌型の注射器を接続し、プランジャーを前後に移動させることにより、ポリマーを完全に溶解させ、ポリマー溶解液においてリスペリドンの均一な懸濁液が形成した時点に調製された。
【0099】
ビーグル犬への筋肉内投与後のIn vivo血漿中濃度
本実施例のリスペリドン組成物を、平均体重が10kgのビーグル犬へ筋肉内注射した。2、5mg/kgのリスペリドンの投与量に相当する量の製剤を20G針の注射器を用いて左後肢内に筋肉内配置した。犬の合計数は3頭であった。注射後、血漿中濃度の取得を0、4h、1d、2d、3d、5d、7d、10d、14d、17d、21d、24d、28d、30d、32d、35d、38d、42d、45d、49d、52dにおいて行った。
【0100】
血漿サンプル中のリスペリドンおよびその活性代謝産物である9−OH−リスペリドンの双方を測定することにより、リスペリドン活性部分に相当する血漿中濃度の動態を評価した。リスペリドン活性部分の血漿中濃度プロファイルおよび計算したAUC値を
図3に示す。9−OH−リスペリドンの治療活性は、リスペリドンの治療活性に実質的に同等である。よって、結果を、リスペリドン+9−OH−リスペリドン濃度(ng/ml)の時間の関数として表した。この
図3から分かるように、2.5mg/kgのリスペリドンに相当する量の組成物をビーグル犬に注射したところ、再び初期バースト放出が極めて高精度に制御され、その後、ゆっくりと持続的に低下し、1日目以降では連続的な血漿中濃度になっていた。ここでも、活性部分の血漿中濃度プロファイルは、上記したように、注射直後の毒性血漿中濃度の危険性が極めて低いものを提供するために適したものとみなすことができる。
【表6】
【0101】
実施例4:25KGyまで照射されたLakeshore生体材料(登録商標)5050DLG5Eを用いたデポー製剤
ここでは、所望のin vivo放出特性を備える無菌製剤が得られるようにポリマー分子量を制御する方法を示す別の例を説明する。
【0102】
制御された温度および湿度の条件下、25kGyのベータ線照射により、2つの有機酸モノマーをそれぞれ50%の含量で含み、分子量が56kDaの乳酸−co−グリコール酸コポリマーを殺菌した。その結果得られたポリマーを、実施例1に記載の方法に従って、その分子量について特徴付けた。照射処理後の分子量は45KDaであった。
【表7】
【0103】
リスペリドン粒径を光散乱によって特徴付けたところ、以下の粒径分布が得られた:d(0,1)=27.49μm、d(0,5)=79.90μmおよびd(0,9)=176.66μm。
【0104】
照射したポリマーの固有粘度を実施例1に記載の手法によって計算したところ、0.28dl/gとなった。
【0105】
リスペリドンの移植可能な製剤は、雄型の注射器と雌型の注射器を接続し、プランジャーを前後に移動させることにより、ポリマーを完全に溶解させ、ポリマー溶解液においてリスペリドンの均一な懸濁液が形成した時点に調製された。
【0106】
ニュージーランドホワイトウサギへの筋肉内投与後のIn vivo血漿中濃度
本実施例のリスペリドン組成物を、平均体重が3kgのニュージーランドホワイトウサギへ筋肉内注射した。5mg/kgのリスペリドンの投与量に相当する量の製剤を20G針の注射器を用いて左後肢内に筋肉内配置した。ウサギの合計数は3匹であった。注射後、血漿中濃度の取得を0、4h、1d、3d、5d、7d、10d、14d、17d、21d、24d、28d、31dにおいて行った。
【0107】
血漿サンプル中のリスペリドンおよびその活性代謝産物である9−OH−リスペリドンの双方を測定することにより、リスペリドン活性部分に相当する血漿中濃度の動態を評価した。リスペリドン活性部分の血漿中濃度プロファイルおよび計算したAUC値を
図4に示す。9−OH−リスペリドンの治療活性は、リスペリドンの治療活性に実質的に同等である。よって、結果を、リスペリドン+9−OH−リスペリドン濃度(ng/ml)の時間の関数として表した。この
図4から分かるように、5mg/kgのリスペリドンに相当する量の組成物をニュージーランドホワイトウサギに注射したところ、再び初期バースト放出が高精度に制御され、、その後、ゆっくりと持続的に低下し、1日目以降では連続的な血漿中濃度になっていた。ここでも、活性部分の血漿中濃度プロファイルは、上記したように、注射直後の毒性血漿中濃度の危険性が極めて低いものを提供するために適したものとみなすことができる。
【0108】
本実施例は、犬の代わりにウサギを実験モデルとして用いたものであり、ビーグル犬における「適切な血漿中濃度プロファイル」と同様にの考えをここで適用することはできない。ウサギは、ビーグル犬の体温である約37〜38℃よりも体温が約40℃と高温である。ウサギモデルの場合、高い体温によって高速なポリマー分解が促進されるため、イヌやヒトと比較して高速化されたインプラント分解、従ってリスペリドン放出が高速化されたプロファイルを示す。このようにポリマー分解が高速化された場合も、インプラントが今だ分解していない薬物放出プロファイルの第1の段階において影響は出なかったが、拡散および分解によって薬物が放出される第2の段階がより高速化される結果となり、従って持続期間も短くなった。そのため、ニュージーランドホワイトウサギの場合、「適切な血漿中濃度プロファイル」とは、注射の瞬間から7日目において発生する活性部分(リスペリドン+9−OHリスペリドンの血漿濃度)のAUCの35%を超えず、7日目〜17日目に発生する活性部分のAUCの35%〜55%以内、そして17日目後に発生する活性部分のAUCの35%を超えないないものとしてみなされる。
【表8】
【0109】
実施例5:25KGyまで照射されたResomer(登録商標)504を用いたデポー製剤
本実施例において、制御された温度および湿度の条件下、25kGyのベータ線照射により、2つの有機酸モノマーをそれぞれ50%の含量で含み、分子量が38kDaの乳酸−co−グリコール酸コポリマーを殺菌した。その結果得られたポリマーを、実施例1に記載の方法に従って、その分子量について特徴付けた。照射処理後の分子量は28KDaであった。
【表9】
【0110】
リスペリドン粒径を光散乱によって特徴付けたところ、以下の粒径分布が得られた:d(0,1)=27.49μm、d(0,5)=79.90μmおよびd(0,9)=176.66μm。
【0111】
照射したポリマーの固有粘度を実施例1に記載の手法によって計算したところ、0.25dl/gとなった。
【0112】
リスペリドンの移植可能な製剤は、雄型の注射器と雌型の注射器を接続し、プランジャーを前後に移動させることにより、ポリマーを完全に溶解させ、ポリマー溶解液においてリスペリドンの均一な懸濁液が形成した時点に調製された。
【0113】
ビーグル犬への筋肉内投与後のIn vivo血漿中濃度
本実施例のリスペリドン組成物を、平均体重が10kgのビーグル犬へ筋肉内注射した。2,5mg/kgのリスペリドンの投与量に相当する量の製剤を20G針の注射器を用いて左後肢内に筋肉内配置した。犬の合計数は、各群あたり3頭であった。注射後、血漿中濃度の取得を0、4h、1d、2d、3d、5d、7d、10d、14d、17d、21d、24d、および28dにおいて行った。
【0114】
血漿サンプル中のリスペリドンおよびその活性代謝産物である9−OH−リスペリドンの双方を測定することにより、リスペリドン活性部分に相当する血漿中濃度の動態を評価した。リスペリドン活性部分の血漿中濃度プロファイルおよび計算したAUC値を
図5に示す。9−OH−リスペリドンの治療活性は、リスペリドンの治療活性に実質的に同等である。よって、結果を、リスペリドン+9−OH−リスペリドン濃度(ng/ml)の時間の関数として表した。この
図5から分かるように、2.5mg/kgのリスペリドンに相当する量の組成物をビーグル犬に注射したところ、前記試験製剤と異なる血漿値プロファイルが得られた。当該図は、この製剤により高い活性部分血漿値が得られる様子を示し、これは、一旦製剤を注射すると、薬剤放出に対するポリマーによる制御が低下したことに起因する可能性がある。分子量が低下した場合も、水の取り込みが経時的に増加することにつながり得、その結果、拡散によるリスペリドン放出が増加し、ポリマーが加水分解してより小型の可溶性断片になる時間も短縮し得る。実施例2と比較して分子量がわずか3KDa低いポリマーによってこの異なるポリマー挙動を得ることができる点は、特筆に値する。
【表10】
【0115】
実施例6:15KGyまで照射されたResomer(登録商標)503を用いたデポー製剤
本実施例において、制御された温度および湿度の条件下、15kGyのるベータ線照射により、2つの有機酸モノマーをそれぞれ50%の含量で含み、分子量が32kDaの乳酸−co−グリコール酸コポリマーを殺菌した。その結果得られたポリマーを、実施例1に記載の方法に従って、その分子量について特徴付けた。照射処理後の分子量は28.3KDaであった。
【表11】
【0116】
リスペリドン粒径を光散乱によって特徴付けたところ、以下の粒径分布が得られた:d(0、1)=27.49μm、d(0、5)=79.90μmおよびd(0、9)=176.66μm。
【0117】
照射したポリマーの固有粘度を実施例1に記載の手法によって計算したところ、0.25dl/gとなった。
【0118】
リスペリドンの移植可能な製剤は、雄型の注射器と雌型の注射器を接続し、プランジャーを前後に移動させることにより、ポリマーを完全に溶解させ、ポリマー溶解液においてリスペリドンの均一な懸濁液が形成した時点に調製された。
【0119】
ビーグル犬への筋肉内投与後のIn vivo血漿中濃度
本実施例のリスペリドン組成物を、平均体重が12.5kgのビーグル犬へ筋肉内注射した。25mg/kgのリスペリドンの投与量に相当する量の製剤を20G針の注射器を用いて左後肢内に筋肉内配置した。犬の合計数は、各群あたり3頭であった。注射後、血漿中濃度の取得を0、4h、1d、2d、3d、5d、7d、10d、14d、17d、21d、24d、および28dにおいて行った。
【0120】
血漿サンプル中のリスペリドンおよびその活性代謝産物である9−OH−リスペリドンの双方を測定することにより、リスペリドン活性部分に相当する血漿中濃度の動態を評価した。リスペリドン活性部分の血漿中濃度プロファイルおよびAUC値を
図6に示す。9−OH−リスペリドンの治療活性は、リスペリドンの治療活性に実質的に同等である。よって、結果を、リスペリドン+9−OH−リスペリドン濃度(ng/ml)の時間の関数として表した。当該図から分かるように、この結果は、実施例5の結果と同様であった。この場合、分子量の当初からの低減量はわずか3.7KDaであり、実施例2、3および4で観られたものよりも少なかった。実施例5において得られた、より不規則な血漿中濃度プロファイルが、主にポリマー分子量の大幅な低減によるものであり、その結果、異なるサイズの鎖の分布において不均一度が増加した可能性があると考えられ得るため、この点に注目することは重要である。本実施例は、特定の分子量分布に合わせて分子を個別調整し、類似の血漿中濃度プロファイルを得る方法を示している。
【表12】
【0121】
実施例7:無照射のResomer(登録商標)504を用いたデポー製剤
【表13】
【0122】
リスペリドン粒径を光散乱によって特徴付けたところ、以下の粒径分布が得られた:d(0、1)=27.49μm、d(0、5)=79.90μmおよびd(0、9)=176.66μm。
【0123】
照射したポリマーの固有粘度を実施例1に記載の手法によって計算したところ、0.33dl/gとなった。
【0124】
リスペリドンの移植可能な製剤は、雄型の注射器と雌型の注射器を接続し、プランジャーを前後に移動させることにより、ポリマーを完全に溶解させ、ポリマー溶解液においてリスペリドンの均一な懸濁液が形成した時点に調製された。
【0125】
ビーグル犬への筋肉内投与後のIn vivo血漿中濃度
本実施例のリスペリドン組成物を、平均体重が12.5kgのビーグル犬へ筋肉内注射した。25mg/kgのリスペリドンの投与量に相当する量の製剤を20G針の注射器を用いて左後肢内に筋肉内配置した。犬の合計数は、各群あたり3頭であった。注射後、血漿中濃度の取得を0、4h、1d、2d、3d、5d、7d、10d、14d、17d、21d、24d、および28dにおいて行った。
【0126】
血漿サンプル中のリスペリドンおよびその活性代謝産物である9−OH−リスペリドンの双方を測定することにより、リスペリドン活性部分に相当する血漿中濃度の動態を評価した。リスペリドン活性部分の血漿中濃度プロファイルおよび計算したAUC値を
図7に示す。9−OH−リスペリドンの治療活性は、リスペリドンの治療活性に実質的に同等である。よって、結果を、リスペリドン+9−OH−リスペリドン濃度(ng/ml)の時間の関数として表した。当該図は、この製剤において有効な範囲よりも分子量が高いポリマーを用いた場合の影響を示す。初期血漿値が有意には変化していないのは、リスペリドンのDMSO中溶解度およびDMSOの周囲液体への拡散が、インプラントからのリスペリドン放出を制御する主要要素であるからである。すると、拡散による放出が低下すると、活性部分の血漿中濃度も低下することが分かる。ポリマーの分子量鎖が高くなると、分子量が低い可溶性ポリマー分子が加水分解によって形成されることにより、リスペリドンを放出するために必要な時間も長くなる。これは、活性部分血漿中濃度プロファイルが遅延ピークとして現れていることから検出されている。
【表14】
【0127】
実施例8:25KGyまで照射されたResomer(登録商標)504を用いたデポー製剤
本実施例は、4週間に1回の投与に適した筋肉内に注射可能なパリペリドン製剤を達成する際にも、本コンセプトが有効であることを示す。
【0128】
制御された温度および湿度の条件下、25kGyのベータ線照射により、2つの有機酸モノマーをそれぞれ50%の含量で含み、分子量が50kDaの乳酸−co−グリコール酸コポリマーを殺菌した。その結果得られたポリマーを、実施例1に記載の方法に従って、その分子量について特徴付けた。照射処理後の分子量は35KDaであった。
【表15】
【0129】
パリペリドン粒径を光散乱によって特徴付けたところ、以下の粒径分布が得られた:d(0、1)=17.41μm、d(0、5)=51.61μmおよびd(0、9)=175.32μm。
【0130】
照射したポリマーの固有粘度を実施例1に記載の手法によって計算したところ、0.28dl/gとなった。
【0131】
リスペリドンの移植可能な製剤は、雄型の注射器と雌型の注射器を接続し、プランジャーを前後に移動させることにより、ポリマーを完全に溶解させ、ポリマー溶解液においてリスペリドンの均一な懸濁液が形成した時点に調製された。
【0132】
ビーグル犬への筋肉内投与後のIn vivo血漿中濃度
本実施例のパリペリドン組成物を、平均体重が10kgのビーグル犬へ筋肉内注射した。1.5mg/kgのリスペリドンの投与量に相当する量の製剤を20G針の注射器を用いて左後肢内に筋肉内配置した。犬の合計数は、各群あたり3頭であった。注射後、血漿中濃度の取得を0、4h、1d、2d、3d、5d、7d、10d、14d、17d、21d、24d、28d、31d、35d、38d、42d、45d、49d、52d、56d、59d、63d、70d、77dにおいて行った。
【0133】
パリペリドンに対応する血漿中濃度の動態を評価し、計算したAUC値を
図8に示す。結果については、パリペリドン濃度(ng/ml)を時間の関数として表した。この図から分かるように1.5mg/kgに相当する量の組成物をビーグル犬に注射したところ、やはり初期バースト放出を極めて高精度に制御することができ、パリペリドン血漿中濃度プロファイルも59日間継続した。同じリスペリドン製剤と比較して放出特性に差があるのは、双方の薬物のpKa値が異なるため、ポリマーのin vivo生分解特性に影響が発生し得、薬物放出がより長期間になるためと考えられる。試験された製剤は、パリペリドンの長期間放出をまる1か月間可能にしかつ各4週間毎またはより長期間毎に投与することが可能なパリペリドン製剤を得るための組成物の実行可能性を実証した。
【表16】