特許第6367796号(P6367796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367796
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20180723BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20180723BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20180723BHJP
   A61M 5/46 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   A61M5/32 510R
   A61M5/31 520
   A61M5/31 530
   A61M5/315 502
   A61M5/46
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-522089(P2015-522089)
(86)(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公表番号】特表2016-503308(P2016-503308A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2013065128
(87)【国際公開番号】WO2014012994
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2016年7月7日
(31)【優先権主張番号】12176674.5
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/714,984
(32)【優先日】2012年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ハルムス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレーナ・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ガレス・ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ワード
(72)【発明者】
【氏名】グラハム・ウィルソン
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表平07−503384(JP,A)
【文献】 特表平08−507239(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/000834(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/055839(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0092915(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/100213(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/31
A61M 5/315
A61M 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイス(1)であって:
第1の開口部を画成する第1の端部、第2の開口部を画成する第2の端部および中心の外側インジケータリング(2.2)を有する支持本体(2)と、ここで、外側インジケータリング(2.2)は支持本体(2)の外側に配置される、
軸方向に沿って摺動可能に中に配置されたストッパ(7)によって封止された、また一体型の針(6)を有するように、またはニードルアセンブリと連結されるように適合された、支持本体(2)の中に位置するシリンジバレル(5)と、
支持本体(2)の端部の一方に連結されるように適合され、その上に摺動可能に配置されたニードルシールド(4)と、
支持本体(2)の他方の端部に連結されるように適合され、その上に摺動可能に配置された外側本体(3)と
を備え、
ここで、外側インジケータリング(2.2)は、外側本体(3)ならびにニードルシールド(4)の動きを制限し、
さらにここで、支持本体(2)に連結された外側本体(3)およびニードルシールド(4)の端部は嵌合面を有し、外側インジケータリング(2.2)は、外側本体(3)およびニードルシールド(4)の嵌合面と嵌合する形状を有することを特徴とする
前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
外側インジケータリング(2.2)は湾曲している、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項3】
第1の戻り止め機構が、支持本体(2)に対して外側本体(3)が動くことを、第1の戻り止め力でこの動きに対抗することによって抑制するように配置される、請求項1または2に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項4】
第2の戻り止め機構が、支持本体(2)に対してニードルシールド(4)が動くことを、第2の戻り止め力でこの動きに対抗することによって抑制するように配置される、請求
項1〜3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項5】
第1の戻り止め力は、第2の戻り止め力と、支持本体(2)に対してニードルシールド(4)を付勢するように配置されたニードルシールドばね(9)の反作用力との合計よりも大きい、請求項4に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項6】
第2の戻り止め機構は、支持本体(2)の上に画成された少なくとも1つの案内トラック(2.3)と、案内トラック(2.3)によって偏向可能であるニードルシールド(4)上の少なくとも1つの保持クリップ(4.5)とを備え、ここで、案内トラック(2.3)は、保持クリップ(4.5)が、針伸長のためにニードルシールド(4)が押し下げられたときに第1の経路をたどるように、またその後にニードルシールド(4)が延ばされたときに別の第2の経路をたどるように構成され、保持クリップ(4.5)を引っ掛けるための戻り止め部(2.3.4)が第2の経路の端部に配置される、請求項4または5に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項7】
支持本体(2)は、外側本体(3)の動きを案内するための、径方向外側に突出する外側案内手段を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項8】
支持本体(2)は、ニードルシールド(4)の動きを案内するための、支持本体(2)の壁の中に配置された案内スロット(2.1)を備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項9】
ストッパ(7)に連結されたプランジャロッド(8)を備え、ここで、該プランジャロッド(8)の近位部は、外側本体(3)に連結されるように適合される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
ニードルシールド(4)は、少なくとも1つのボディ部(4.1)およびキャップ部材(4.2)を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
外側本体(3)は単一の部材として形成することができ、または、外側本体(3)は、少なくとも1つのベース部(3.1)およびキャップ部材(3.2)を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
支持本体(2)に連結された外側本体(3)の端部は、径方向外側に向けられたフランジ(3.6)を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
フランジの範囲内の外側本体(3)上に、外側本体(3)の表面のプロファイルド空洞またはプロファイルド凹面として設計された方向インジケータ(3.7)が配置される、請求項11に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
ニードルシールド(4)は方向インジケータ(4.6)を備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固有の針安全性を備えた、充填済みシリンジを含む薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
選択された投与量の薬剤が充填された充填済みシリンジは、薬剤を患者に投与するためのよく知られている注射デバイスである。充填済みシリンジの針を使用前および使用後に覆うためのニードルシールドを備える薬物送達デバイスもまたよく知られている。通常、ニードルシールドは、手動で動かすか、または弛緩ばねの作用によって動かして針を取り囲む。
【0003】
現況技術で知られている異なるタイプの薬物送達デバイスでは、針安全性を提供するという目的を、本体に対して可動であるが注射後には本体の中に後退する充填済みシリンジを配置することによって解決する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改善された薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の薬物送達デバイスによって達成される。
【0006】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に示されている。
【0007】
本明細書の文脈では、遠位および近位という語は、注射をする人の視点から定義される。したがって、遠位方向とは、注射を受ける患者の体の方に向かう方向を指し、遠位端とは、患者の体の方に向けられている要素の端部を定義するものである。また、要素の近位端または近位方向とは、注射を受ける患者の体から離れる方に向いており、遠位端または遠位方向と反対のものである。
【0008】
本発明によれば、薬物の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスは:
− 第1の開口部を画成する第1の端部、第2の開口部を画成する第2の端部および中心の外側インジケータリングを有する支持本体と、
− 軸方向に沿って摺動可能に中に配置されたストッパによって封止された、また一体型の針を有するように、またはニードルアセンブリと連結されるように適合された、支持本体の中に位置するシリンジバレルと、
− 支持本体の端部の一方に連結されるように適合され、その上に摺動可能に配置されたニードルシールドと、
− 支持本体の他方の端部に連結されるように適合され、その上に摺動可能に配置された外側本体と
を備え、
− 外側インジケータリングは、外側本体ならびにニードルシールドの動きを制限する。
【0009】
本発明による薬物送達デバイスは、特に短く、また部材点数が少ない。
【0010】
例示的な実施形態では、外側インジケータリングは円周リブとして設計される。あるいは、外側インジケータリングは、少なくとも1つの円周リブ部として設計することができる。
【0011】
例示的な実施形態では、外側インジケータリングは湾曲している。
【0012】
第1の戻り止め機構が、支持本体に対して外側本体が動くことを、第1の戻り止め力でこの動きに対抗することによって抑制するように配置されてよい。これにより、挿入深さに達する前の針挿入時に針の先端から薬物が漏れる、いわゆる濡れた注射が回避される。
【0013】
第2の戻り止め機構を、支持本体に対してニードルシールドが動くことを、この動きに第2の戻り止め力で対抗することによって抑制するように配置することができる。この機構により、薬物送達デバイスを注射部位に押し当てる前に振るか、または反転することによって針が不意に露出することが防止される。
【0014】
第1の戻り止め力は、第2の戻り止め力と、支持本体に対してニードルシールドを付勢するように配置されたニードルシールドばねの反作用力との合計よりも大きくすることができる。このことにより、薬物送達デバイスの段階的な動きが可能になる。注射部位に押し当てられたとき、ニードルシールドは最初に動いて、針が注射部位に挿入される。さらに押し下げると、外側本体が動いて薬物が送達される。
【0015】
第2の戻り止め機構は、支持本体の上に画成された少なくとも1つの案内トラックと、案内トラックによって偏向可能なニードルシールドの上の少なくとも1つの保持クリップとを備えることができ、案内トラックは、保持クリップが、針伸長のためにニードルシールドが押し下げられたときに第1の経路をたどるように、またその後にニードルシールドが延ばされたときに別の第2の経路をたどるように構成され、戻り止め部が、保持クリップを引っ掛けるために第2の経路の端部に配置される。こうして、使用済み針の再露出が防止される。
【0016】
第2の戻り止め機構は同様に、止め部および保持クリップと共に案内トラックとは別個とすることができる。
【0017】
支持本体は、外側本体の動きを案内するための、径方向外側に突出する外側案内手段を備えることができ、または、支持本体は、ニードルシールドの動きを案内するための、支持本体の壁の中に配置された案内スロットを備えることができる。したがって、支持本体と外側本体は留められ、別々に回転しないようになる。
【0018】
例示的な実施形態では、プランジャロッドがストッパと連結され、プランジャロッドの近位部は、外側本体に連結されるように適合される。
【0019】
ニードルシールドは1つの部材として配置することができ、あるいは少なくともボディ部およびキャップ部材を含むことができる。ニードルシールドのキャップ部材は、本体部に回転ロックされる。この回転ロックは、ボディ部内の対応する開口部に係合する、非円形(たとえば楕円形)断面を有するキャップ部材によって実現することができる。
【0020】
例示的な実施形態では、外側本体は単一の部材として形成することができ、あるいは外側本体は、少なくともベース部およびキャップ部材を含むことができる。
【0021】
プランジャロッドは、シリンジバレルのバレルカラーを係合するためのフランジを備えることができる。
【0022】
支持本体に連結された外側本体の端部は、径方向外側に向けられたフランジを備えることができ、それによって、薬物送達デバイスを利用するときの使い勝手が改善される。
【0023】
例示的な実施形態では、外側本体の表面にプロファイルド(profiled)空洞またはプロファイルド凹面として設計された方向インジケータをフランジの範囲内に配置することができる。
【0024】
ニードルシールドも同様に、方向インジケータを備えることができる。
【0025】
外側本体の端部、および支持本体に連結されたニードルシールドは嵌合面を有することができる。特にインジケータリングの形状とも嵌合する嵌合面は、薬物送達デバイスを適正に利用するために、嵌合部材が当接するようにそれぞれの部材が一緒に完全に押されることが意図されていることを使用者に視覚的および触覚的に表示する。
【0026】
支持本体は、バレルカラーを保持するための径方向内側に向けられたリブを備えることができ、それによってシリンジバレルは、支持本体に対する軸方向並進運動で安定させる。
【0027】
支持本体の長さは、外側本体とニードルシールドを合わせた長さとほぼ一致し得る。
【0028】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0029】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0030】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0031】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0032】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0033】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0034】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0035】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0036】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0037】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0038】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0039】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0040】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0041】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0042】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0043】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0044】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0045】
本発明のさらなる適用可能性の範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示すとはいえ、この詳細な説明から本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が当業者には明らかになるので、例示としてのみ提示されていることを理解されたい。
【0046】
本発明は、詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解されることになろう。図面は例示としてのみ与えられており、したがって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】支持本体、外側本体およびニードルシールドを備える薬物送達デバイスの斜視図である。
図2】第1の切断面での薬物送達デバイスの縦断面図である。
図3】第2の切断面での薬物送達デバイスの縦断面図である。
図4】外側本体の分解組立斜視図である
図5】支持本体の縦断面図である。
図6】ニードルシールドの分解組立斜視図である。
図7】注射の前の薬物送達デバイスの側面図である。
図8】針挿入時の薬物送達デバイスの側面図である。
図9】注射の終了時の薬物送達デバイスの側面図である。
図10】針後退後の薬物送達デバイスの側面図である。
図11】注射の前に保護ニードルブーツを除去するためのブーツリムーバが付いた薬物送達デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
すべての図で、対応する部材は同じ参照記号で標示されている。
【0049】
図1は、支持本体2、外側本体3およびニードルシールド4を備える薬物送達デバイス1の斜視図であり、これらのすべてが本質的に管形状を有する。図2は、第1の切断面での薬物送達デバイスの縦断面図である。図3は、図2の切断面から約90°オフセットされた第2の切断面での薬物送達デバイス1の別の縦断面図である。支持本体2の近位端は外側本体3の中に嵌め込み式にされ、支持本体2の遠位端はニードルシールド4の中に嵌め込み式にされている。シリンジバレル5は、支持本体2の中に摺動可能に配置され、薬物の用量のための内部空洞を画成する。中空注射針6は、シリンジバレル5の遠位端に配置される。ストッパ7は、シリンジバレル5の近位端を封止するために、また注射針6を通して薬物をシリンジバレル5から変位させるために、シリンジバレルの中に摺動可能に配置される。プランジャロッド8は、ストッパ7と係合するように外側本体2の中に配置される。プランジャロッド8は、ストッパ7に螺着する、またはカチッと止めることができる。ニードルシールドばね9は、ニードルシールド4を支持本体2に対して遠位方向Dに付勢するために配置される。
【0050】
図4は、外側本体3の分解組立斜視図である。外側本体3は、管状ベース部分3.1と、ベース部分3.1の近位端を塞ぐためのキャップ部材3.2とを備える。キャップ部材3.2は、スナップ嵌め3.3(図3参照)によってベース部分3.1に係合可能である。ベース部分3.1は、支持本体内の案内スロット2.1(図1参照)に沿ってそれぞれ摺動するための、ベース部分3.1の内面から内向きに両側で延びる2つのリブ3.4(図2参照)を備える。キャップ部材3.2は、薬物送達デバイス1が組み立てられたときにプランジャロッド8と係合するための中心ペグ3.5を有する。中心ペグ3.5は、プランジャロッド8に当接しても取り付けられてもよい。外側本体3は、支持本体2に対して遠位方向Dおよび近位方向Pに可動である。
【0051】
シリンジバレル5は、支持本体2の中に挿入される。シリンジバレル5上の、フィンガフランジとも呼ばれる近位バレルカラー5.1は、支持本体2内の内側リブ2.4に遠位で当接することによって、シリンジバレル5を支持本体2に取り付けるように機能し、その結果、シリンジバレル5は、その軸方向位置で支持本体2に対して遠位方向Dに向けて固定されるようになる。シリンジバレル5はまた、2つの弾性戻り止めクリップ2.5によって近位方向Pに向けて固定され、この戻り止めクリップは、シリンジバレル5を支持本体2の中に取り付けるときにバレルカラー5.1によって偏向され、バレルカラー5.1を通過した後に所定の場所にカチッと留まり、それによって組立てが容易になる。
【0052】
図5は、支持本体2の縦断面図である。支持本体2は、径方向外側に突き出ている本質的に円周リブの形のインジケータリング2.2を備える。インジケータリング2.2は、支持本体2の円周の一部または全部を覆うことができる。インジケータリング2.2は、支持本体2がニードルシールド4に対し遠位に動くことを制限するために、ニードルシールド4と相互に作用するように配置される。案内トラック2.3は、支持本体2がニードルシールド4に対して軸方向に動くことを制限するために、ニードルシールド4と相互に作用するように遠位端部で支持本体2の外側面に配置される。案内トラック2.3は、遠位傾斜部2.3.1、縦方向部2.3.2、近位傾斜部2.3.3、および戻り止め部2.3.4を備える。支持本体2の近位端近くに、外側本体3と相互に作用する2つの弾性スナップアーム2.6が配置される。弾性スナップアーム2.6は最初、外側本体3が支持本体2からデカップリングし、かつ支持本体2に対して遠位方向Dに動くことができるように弾性スナップアーム2.6を変形させる第1の戻り止め力が加えられない限り、外側本体3と支持本体2が軸方向に連結するようにして外側本体3に、その遠位端近くで係合する。
【0053】
図6は、ニードルシールド4の分解組立斜視図である。ニードルシールド4は、管状ボディ部4.1と、中心開口部4.3付きのキャップ部材4.2とを備える。キャップ部材4.2は、スナップ嵌め4.4(図3参照)によってボディ部4.1と係合され、それによって相対的軸方向運動を防止する。それぞれ内向き突起4.7付きの2つの弾性保持クリップ4.5が、キャップ部材2に配置される。内向き突起4.7は、支持本体2の案内トラック2.3と係合して、ニードルシールド4と支持本体2の間の相対的軸方向運動を制限する。注射の前および後に、保護ニードルブーツ(図示せず)をキャップ部材4.2の中心開口部4.3の中に、かつ/またはそれに通して配置することができる。キャップ部材4.2は、ボディ部4.1に回転ロックされる。この回転ロックは、ボディ部4.1内の対応する開口部に係合する、たとえば楕円形である非円形断面を有するキャップ部材4.2によって実現することができる。
【0054】
図7は、注射の前の薬物送達デバイス1の側面図である。外側本体3は、支持本体2から近位方向Pに完全に延ばされている。ニードルシールド4は、支持本体2から遠位方向Dに完全に延ばされている。注射針6は、ニードルシールド4の中の後退位置にある。ニードルシールドばね9は弛緩している。この状態では、内向き突起4.7は、案内トラック2.3の遠位傾斜部2.3.1から遠位に位置しており、そのため弾性保持クリップ4.5もまた弛緩している。
【0055】
使用者は、外側本体3を把持し、注射部位(たとえば、患者の皮膚)に対してニードルシールド6の近位端を押すことができる。使用者の手からの力は、外側本体3、弾性スナップアーム2.6、支持本体2、案内トラック2.3の傾斜部分2.3.1および保持クリップ4.5を経由してニードルシールド4に移される。案内トラック2.3の傾斜部2.3.1に係合する保持クリップ4.5は、ニードルシールド4を支持本体2に対して動かすために打ち勝たなければならない第2の戻り止め力を供給する。使用者が、第2の戻り止め力を超える十分に大きい力を加えると、ニードルシールド4は、支持本体2、および薬物送達デバイス1の他のすべての部材に対して近位方向Pに動き、それによってニードルシールドばね9もまた圧縮され、その結果、薬物送達デバイス1は図8に示された状態に達する。同時に、保持クリップ4.5は、傾斜部2.3.1によって第1の接線方向T1に偏向され、内向き突起4.7は、縦方向部2.3.2を上へ近位方向Pに移動する。内向き突起4.7が近位に縦方向部2.3.2を越えて移動した後は、保持クリップ4.5はもはや偏向されない。それゆえに、保持クリップは、近位傾斜部2.3.3より近位の位置に弛緩し、したがって、内向き突起4.7は、ニードルシールド4が引き続き伸長することによって同じ経路を元に戻ることが阻止される。第1の戻り止め力は、第2の戻り止め力と、ニードルシールド4を完全に押し下げたときのニードルシールドばね9の反作用力との和よりも大きく、その結果、患者の皮膚に薬物送達デバイス1を押し当てることにより、ニードルシールド4が常に支持本体2に対して外側本体3より先に動くようになる。この動きには、皮膚に貫入するときの注射針6の摩擦力が対抗する。挿入深さに達する前の針挿入時に針の先端から薬物が漏れる、いわゆる濡れた注射を回避するために、針6の摩擦力は、ストッパ7とシリンジ5の内壁との間の摩擦と、中空針6を通して変位予定の薬物の静水圧抵抗とによるストッパ7の反作用力よりも小さくなければならず、この静水圧抵抗は、針6の内径および薬物の粘性によって決まる。針挿入深さは、インジケータリング2.2に当接するニードルシールド4によって規定される。インジケータリング2.2とニードルシールド4の嵌合面は、薬物送達デバイス1を正しく利用するために、これらが一緒に完全に押されることが意図されていることを使用者に視覚的および触覚的に表示する。
【0056】
挿入深さに達した後、第1の戻り止め力を超えて外側本体3に力がさらに加わると、弾性スナップアーム2.6が変形することになり、その結果、外側本体3は支持本体2からデカップリングし、支持本体2に対して遠位方向Dに動き、それによって、シリンジバレル5内のストッパ7もまた、薬物が空洞から注射針6を通って変位するように動く。注射の終わり近くに、ストッパ7はシリンジバレル5内の最も低い位置になる。同時に、外側本体3はインジケータリング2.2に当接し、その結果、薬物送達デバイス1は図9に示された状態に達する。インジケータリング2.2と外側本体3の嵌合面は、薬物送達デバイス1を正しく利用するために、これらが一緒に完全に押されることが意図されていることを使用者に視覚的および触覚的に表示する。
【0057】
使用者が薬物送達デバイス1を注射部位から取り除いた場合、ニードルシールド4はもはや皮膚に押し当てられず、それゆえに、ニードルシールドばね9によって薬物送達デバイス1の他の部材に対して遠位方向Dに延ばされ、その結果、注射針6は、図10に示されるようにニードルシールド4の完全に内側に達することになる。この動きの間に、内向き突起4.7は近位傾斜部2.3.3と係合し、第1の接線方向T1とは反対の第2の接線方向T2に偏向される。内向き突起4.7が近位傾斜部2.3.3を超えて遠位に移動した後は、保持クリップ4.5はもはや偏向されない。したがって、保持クリップは止め部2.3.4の中に弛緩し、それによって、ニードルシールド4は支持本体2に対して適切な位置にロックされる。内向き突起4.7および保持クリップ4.5は、使用者がアクセス可能でもなければ、何か別の方法で止め部2.3.4から外に偏向することもできない。したがって、ニードルシールド4は、薬物送達デバイス1を壊さなければもう一度押し下げられないようになる。
【0058】
支持本体2に連結された外側本体3の端部は、径方向外側に向けられたフランジ3.6を備えることができ、それによって、薬物送達デバイス1を利用するときの使い勝手が改善される。
【0059】
例示的な実施形態では、外側本体3の表面にプロファイルド空洞またはプロファイルド凹面として設計された方向インジケータ3.7が、フランジ3.6の範囲内に配置される。
【0060】
ニードルシールド4も同様に、方向インジケータ4.6を備えることができる。
【0061】
送達予定の薬物および/または薬物の提供者に合わせて作られることがあるラベルを受けるために、外側本体3にラベル保持凹部3.8を配置することができる。
【0062】
図11は、注射の前に保護ニードルブーツを除去するためのブーツリムーバ10が付いた薬物送達デバイス1の概略図である。ブーツリムーバ10は、摩擦で、または返しによってニードルブーツと係合するように配置することができる。ブーツリムーバ10は、ブーツ除去を容易にするための、開口部4.3から延びる取っ手を備える。方向インジケータ10.1をブーツリムーバ10の上に設けて、保護ニードルブーツを取り除くために使用者がブーツリムーバ10を動かさなければならない方向を示すことができる。
【符号の説明】
【0063】
1 薬物送達デバイス
2 支持本体
2.1 案内スロット
2.2 インジケータリング
2.3 案内トラック
2.3.1 遠位傾斜部
2.3.2 縦断面
2.3.3 近位傾斜部
2.3.4 止め部
2.4 内部リブ
2.5 戻り止めクリップ
2.6 弾性スナップアーム
3 外側本体
3.1 ベース部
3.2 キャップ部
3.3 スナップ嵌め
3.4 リブ
3.5 ペグ
3.6 フランジ
3.7 方向インジケータ
3.8 ラベル保持凹部
4 ニードルシールド
4.1 ボディ部
4.2 キャップ部材
4.3 中心開口部
4.4 スナップ嵌め
4.5 保持クリップ
4.6 方向インジケータ
4.7 内向き突起
5 シリンジバレル
5.1 バレルカラー
6 針
7 ストッパ
8 プランジャロッド
9 ニードルシールドばね
10 ブーツリムーバ
10.1 方向インジケータ
D 遠位方向
P 近位方向
T1 第1の接線方向
T2 第2の接線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11