(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源制御部は、車両に設置された車両制御部に接続されるとともに、前記車両制御部から、再始動が示された第1信号、あるいは前記ハイブリッド電源による再始動でないことが示された第2信号を入力可能であり、
前記電源制御部は、第1信号を入力した場合、前記電源間スイッチをオフさせ、前記電源内スイッチをオンさせ、
前記電源制御部は、第2信号を入力した場合、前記電源間スイッチをオンさせ、前記電源内スイッチをオフさせることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源システム。
前記電源制御部は、車両に設置された車両制御部に接続されるとともに、前記車両制御部から、再始動が示された第1信号、あるいは前記ハイブリッド電源による再始動でないことが示された第2信号を入力可能であり、
前記電源制御部は、第1信号を入力した場合、前記電源間スイッチと前記バイパススイッチとをオフさせ、前記電源内スイッチをオンさせ、
前記電源制御部は、第2信号を入力した場合、前記バイパススイッチをオンさせ、前記電源間スイッチと前記電源内スイッチをオフさせることを特徴とする請求項7に記載の車両用電源システム。
前記キャパシタが、前記電源内スイッチを介してスタータに接続される場合において、一端が前記二次電池に接続し、他端がスタータと前記電源間スイッチと前記電源内スイッチに接続する二次電池接続スイッチをさらに備え、
前記電源制御部は、第2信号を入力した場合、前記二次電池接続スイッチをオフにさせることを特徴とする請求項8に記載の車両用電源システム。
前記二次電池が、前記電源内スイッチを介してスタータに接続される場合において、一端が前記キャパシタに接続し、他端がスタータと前記電源内スイッチと前記バイパススイッチに接続するキャパシタ接続スイッチをさらに備え、
前記電源制御部は、第2信号を入力した場合、前記キャパシタ接続スイッチをオフにさせることを特徴とする請求項8に記載の車両用電源システム。
前記電源制御部は、車両のイグニッションスイッチがオンされることによってエンジンが始動する場合に、前記バイパススイッチをオンさせるとともに、前記電源間スイッチと前記電源内スイッチをオフさせることを特徴とする請求項8に記載の車両用電源システム。
前記電源制御部は、前記二次電池の蓄電電圧と前記キャパシタの蓄電電圧に応じて、電流制限モードあるいは大電流モードを選択することによって、前記二次電池の蓄電エネルギーを前記キャパシタに蓄電させることを特徴とする請求項12に記載の車両用電源システム。
前記ハイブリッド電源は、車両の機械的運動エネルギーにより発電するオルタネータに、前記電源間スイッチを介して接続され前記電源制御部は、前記電源間スイッチをオンさせ、前記電源内スイッチをオフすることによって、前記オルタネータによって発電された電力を前記二次電池に蓄電させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用電源システム。
前記電源制御部は、エンジンが再始動する際に、前記ハイブリッド電源による再始動でない場合、前記鉛蓄電池から優先的にスタータへ電力を供給させ、再始動させることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施例1)
本発明の実施例を具体的に説明する前に、概要を述べる。実施例1は、アイドリングストップ機能およびエネルギー回生機能を有する車両に搭載される車両用電源システムに関する。アイドリングストップ機能は、車両停止時に自動的にエンジンを停止させ、発進時に自動的にエンジンを再始動させる機能である。エネルギー回生機能は、主に減速する際の車両の運動エネルギーによりオルタネータを作動させ、オルタネータが発電したエネルギーにより車両用電源システム等に電力を供給する機能である。アイドリングストップ機能によって、車両停止時にオルタネータ稼動も停止されるので、燃費が改善される。
【0010】
車両用電源システムには鉛電池が多く使用されている。放電により鉛電池が放電下限電圧に到達した場合、オルタネータを稼動させ、鉛電池を充電する。これにより鉛電池の放電深度が深くなることを抑制し、鉛電池の劣化を抑制している。しかしながら、このような制御によりアイドリングストップ時間が短くなり、燃費改善効果が小さくなる。また、オルタネータ稼動による燃料消費をさらに抑えるために、車両停止時に限らず、走行中においても、エンジンストップを実行する検討がなされている。この場合、道路状況や危険回避のため、再加速が必要となった場合に、確実なエンジン再始動が要求される。鉛電池では、劣化に伴い活物質が脱落し、場合によっては内部短絡に至る事象が突発的に発生するおそれがある。この発生の事前検出は困難であるので、鉛電池でのエンジン再始動の性確保が困難になる。
【0011】
これらの状況を考慮して、本実施例に係る車両用電源システムでは、鉛電池とハイブリッド電源とが並列接続される。さらに、ハイブリッド電源では、二次電池とキャパシタとが並列接続される。ここで、二次電池として、ニッケル水素電池あるいはリチウムイオン電池が使用される。鉛電池とハイブリッド電源との間には、切り離し機構が設けられることによって、鉛電池とハイブリッド電源とは切り離し可能に構成される。エンジンが動作している通常の状態において、鉛電池とハイブリッド電源とが接続されることによって、鉛電池の負荷が低減し、劣化が抑制される。一方、エンジン再始動において、鉛電池とハイブリッド電源とが切り離し機構により切り離され、鉛電池は、スタータを除く電装品へ電力を供給し、ハイブリッド電源は、スタータに電力を供給する。その結果、エンジン再始動に対する、信頼性が向上される。
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係る車両用電源システム100の構成を示す。車両用電源システム100は、鉛蓄電池110、ハイブリッド電源112、電源制御部114、接続切替回路134、放電用抵抗132、第1スイッチL1、第4スイッチL4、第5スイッチL5、第7スイッチL7、第1ヒューズF1を含む。ハイブリッド電源112は、二次電池126、EDLC(Electric double−layer capacitor)128を含み、接続切替回路134は、プリチャージ回路136、第2スイッチL2を含み、プリチャージ回路136は、第3スイッチL3、電流制限抵抗130を含む。車両用電源システム100には、スタータ116、オルタネータ120、電装品122、ECU124が接続される。ここで、第1スイッチL1は電源間スイッチといえ、第2スイッチL2は電源内スイッチといえ、第3スイッチL3はプリチャージスイッチといえ、第4スイッチL4は二次電池接続スイッチといえ、第5スイッチL5はキャパシタ接続スイッチといえ、第7スイッチL7は放電スイッチといえる。
【0013】
オルタネータ120は、図示しないエンジンにより交流電力を発電し、さらにエネルギー回生機能の車両においては減速時の運動エネルギーによっても発電する。ここでは主に減速中の発電について述べる。オルタネータ120が動作すべきタイミングは、後述のECU124によって指示される。オルタネータ120が発電した交流は、図示しないレギュレータ、整流器等の回路により直流に変換され、オルタネータ120の電力が電装品122、車両用電源システム100に供給される。
【0014】
スタータ116は、エンジン始動用モータである。スタータ116は、車両用電源システム100の出力系統に接続される。運転者の操作により図示しないイグニッションスイッチがオンされる場合、あるいはアイドリングストップの状態から復帰する場合、ECU124からの指示によって、スタータ116のスタータスイッチ(図示せず)がオンとなり車両用電源システム100からスタータ116に電力が供給され、スタータ116が始動する。スタータ116によりエンジンが始動すると、スタータスイッチがオフされる。
【0015】
電装品122は、ヘッドライト、エアコン、デフォッガ、オーディオ、メータ、ストップランプ、フォグランプ、ウィンカ、パワーステアリング、パワーウインドウ、エンジン電装品などの車両内に搭載される各種電気負荷を示す総称である。ここでは、説明の便宜上、オルタネータ120、スタータ116、ECU124は電装品122とは別に扱っている。また、電装品122は、車両用電源システム100から供給される電力により駆動されている。
【0016】
ECU124は、車両内に搭載される各種の補機、センサ、スイッチに接続され、エンジンおよび各種補機を電子制御する。アイドリングストップ機能を実行する場合、ECU124は、ブレーキ、車速センサ等から入力される信号をもとに車両の停止または設定以下への減速を検出すると、エンジンを停止させる。また、ECU124は、ブレーキの解除を検出したことでもって、車両が走行を開始したと判定する。ECU124は、アイドリングストップ機能を実行してエンジンが停止した後に、車両の走行開始を検出するとエンジンを再始動させる。その際、車両用電源システム100の電源制御部114は車両用電源システム100からスタータ116に電力が供給されるよう制御し、スタータ116を作動させる。なお、ここでは、ブレーキの解除を検出したことでもって、車両の走行開始を判定しているが、必ずしもこの構成に限定する必要はない。例えば、車速センサや、アクセルの状態をもとに車両の走行開始を判定するように構成することもできる。
【0017】
さらに、ECU124は、車両の走行中であっても、所定の条件を満たす場合に、エンジンを停止させてもよい。所定の条件は、例えば、一定期間にわたって減速が続くこと、あるいは一定期間にわたって速度が変化しないことのように設定される。このような条件によってエンジンを停止した後に、アクセルの踏み込みによる加速の必要性を検出した場合に、前述のようにエンジンを再始動させる。しかしながら、ECU124は通常走行時、原則的にオルタネータ120を停止させる。エネルギー回生機能を実行する際には、ECU124は、ブレーキ、車速センサ等から入力される信号をもとに車両の減速を検出するとオルタネータ120を作動させる。なお、車両用電源システム100の蓄電エネルギーが設定下限値より低い場合は、ECU124は通常走行時でもオルタネータ120を作動させる。
【0018】
車両用電源システム100のうちの鉛蓄電池110は、オルタネータ120により発電された電力を蓄え、主として電装品122に給電するためのメインバッテリである。鉛蓄電池110には、比較的安価、比較的広い温度範囲で動作可能、高出力などの長所があり、車両用の蓄電池として広く普及している。ただし充放電エネルギー効率が低い、過放電に弱い、サイクル寿命が短いなどの短所がある。鉛蓄電池110は、電装品122に接続されるとともに、第1ヒューズF1、第1スイッチL1、第2スイッチL2を介してスタータ116に接続される。なお、以下では、説明を明瞭にするために、第1ヒューズF1を説明から省略する。また、鉛蓄電池110は、後述の二次電池126より容量が大きい。
【0019】
二次電池126は、オルタネータ120により発電された電力を蓄え、スタータ116および電装品122に給電するためのサブバッテリである。二次電池126は、第4スイッチL4、第2スイッチL2、第5スイッチL5を介して、後述のEDLC128と並列接続されることによって、ハイブリッド電源112を形成する。さらに、ハイブリッド電源112と鉛蓄電池110は、第1スイッチL1を介して並列接続される。二次電池126は、鉛蓄電池110よりも充電受入性に優れ、その一例は、ニッケル水素電池である。
【0020】
ニッケル水素電池には、充放電エネルギー効率が比較的高い、過充電および過放電に強い、使用温度範囲が広い、使用SOC(State Of Charge)範囲が広い、サイクル寿命が比較的長いなどの長所がある。また、ニッケル水素電池は、低劣化で放電深度の深い領域まで利用できる推奨放電深度(DOD:Depth of Discharge)が広い電池である。ただし、自己放電が大きい、メモリ効果があるなどの短所がある。二次電池126は、第4スイッチL4、第2スイッチL2を介してスタータ116に接続されるとともに、第4スイッチL4、第1スイッチL1を介して電装品122に接続される。なお、第4スイッチL4は、一端を二次電池126に接続し、他端をスタータ116と第1スイッチL1と第2スイッチL2に接続する。
【0021】
EDLC128は、キャパシタであり、EDLC128には、体積当りの蓄電効率が高い電気二重層コンデンサが好ましい。車載用電源として一般的な12V系のシステムを構築する場合、例えば、1.2Vのニッケル水素電池を複数個直列に接続した二次電池1、定格電圧2.0Vの電気二重層コンデンサを複数個直列に接続したEDLC128が使用される。ここで、EDLC128は、第5スイッチL5を介して、スタータ116に接続されるとともに、第2スイッチL2、第1スイッチL1を介して電装品122に接続される。なお、第5スイッチL5は、一端をEDLC128に接続し、他端をスタータ116と第2スイッチL2に接続する。また、ハイブリッド電源112は、車両の機械的運動エネルギーにより発電するオルタネータ120に、第1スイッチL1を介して接続される。
【0022】
アイドリングストップ機能を採用する場合、スタータ116の使用回数が増えるため、蓄電池の容量を増大させる必要がある。その際、単純に鉛電池の容量を増大させるのではなく、性質が異なる複数種類の蓄電池を組み合わせて使用することにより、それぞれの蓄電池の短所を補いつつ蓄電池全体の容量を増大させる。ここでは、鉛蓄電池110とハイブリッド電源112を組み合わせて使用する。これまで、ハイブリッド電源112として、EDLC128だけが使用されていた。EDLC128では、劣化抑制のために、車両を使用しないときは、劣化抑制できる所定の電圧以下に放電することが望ましい。また、鉛蓄電池110とEDLC128を組み合わせる場合は、鉛蓄電池110によってEDLC128を充電してから、EDLC128が使用される。そのため、鉛蓄電池110の充放電回数の減少は小さい。
【0023】
これに対応するために、ハイブリッド電源112には、EDLC128に加えて二次電池126が組み合わされる。EDLC128の充電には、二次電池126が使用されるので、鉛蓄電池110の使用回数が大幅に減少する。さらに、鉛蓄電池110への依存度が減少するので、信頼性が向上する。なお、二次電池126としてニッケル水素電池が使用されるが、リチウムイオン電池が使用されてもよい。リチウムイオン電池は、エネルギー密度および充放電エネルギー効率が高く、高性能な蓄電池であるが、厳格な電圧・温度管理が必要である。
【0024】
一般的に蓄電池はエンジンルームに設置される。エンジンルームに鉛電池と一体的に設置するには、ニッケル水素電池の方がリチウムイオン電池より適している。エンジンルームはエンジン作動時に温度が上昇するが、ニッケル水素電池の方がリチウムイオン電池より熱安定性がよい。なお、鉛蓄電池110と並列接続されるリチウムイオン電池をエンジンルームから離れた位置に設置することも考えられるが、その場合、配線抵抗による損失が大きくなる。
【0025】
第1スイッチL1は、車両用電源システム100中においてハイブリッド電源112と鉛蓄電池110とを並列接続するための経路に配置される。第1スイッチL1がオンされている場合に、鉛蓄電池110とハイブリッド電源112とが並列に接続される。一方、第1スイッチL1がオフされている場合に、鉛蓄電池110とハイブリッド電源112とが電気的に切り離される。第1スイッチL1のオン/オフは、後述の電源制御部114によって制御される。
【0026】
鉛蓄電池110とハイブリッド電源112は、第1スイッチL1がオンにされている場合、車両内の複数の負荷に給電可能であり、第1スイッチL1がオフにされている場合、複数の負荷のうち、互いに異なった負荷に独立して給電可能である。具体的に説明すると、鉛蓄電池110は、第1スイッチL1がオフにされている場合、電装品122への給電が可能である。ハイブリッド電源112は、第1スイッチL1がオフにされている場合、スタータ116への給電が可能である。
【0027】
電源制御部114は、ハイブリッド電源112と鉛蓄電池110との電力供給を制御するとともに、第1スイッチL1から第5スイッチL5、第7スイッチL7のオン/オフ御する。例えば、電源制御部114は、二次電池126、EDLC128の電圧値、電流値、温度値を取得し、二次電池126の残容量および異常発生の有無、EDLC128の蓄電電圧および異常発生の有無を監視する。電源制御部114とECU124間は、例えば、CAN(Controller Area Network)により接続され、両者の間で通信される。電源制御部114は、二次電池126およびEDLC128の状態をECU124に通知する。例えば、正常/異常、残容量(SOC:State Of Charge)、蓄電電圧が通知される。また、電源制御部114は、二次電池126の残容量やEDLC128の電圧が設定下限値を下回ると、車両用電源システム100を充電するためにオルタネータ120の稼動指示をECU124に通知する。電源制御部114は、ECU124から車両情報を受け取る。例えば、オルタネータ120の稼動状況を受け取る。
【0028】
接続切替回路134のうち、第2スイッチL2、第3スイッチL3には、リレーあるいは半導体スイッチが使用される。第2スイッチL2は、二次電池126の入出力端子とEDLC128の入出力端子を結ぶ電源線の間に挿入される。第2スイッチL2がオンされる場合に、二次電池126とEDLC128とが並列接続される。電流制限抵抗130および第3スイッチL3は、直列接続されることによってプリチャージ回路136を構成するとともに、第2スイッチL2とは並列に接続されている。第3スイッチL3がオンされる場合にも、二次電池126とEDLC128とが並列接続される。
【0029】
第7スイッチL7は、一端において第5スイッチL5を介して、EDLC128に並列接続される。一方、第7スイッチL7は、他端において放電用抵抗132に接続される。放電用抵抗132は、例えば、ヒータ抵抗である。このような放電用抵抗132は、EDLC128を放電させるためだけの抵抗ともいえる。そのため、第7スイッチL7がオンされる場合に、EDLC128が放電される。第2スイッチL2、第3スイッチL3、第7スイッチL7も、電源制御部114により制御される。
【0030】
以下では、電源制御部114による車両用電源システム100の制御を説明する。
図2は、車両用電源システム100での状態遷移を示す。「停止(イグニッションオフ)」は、イグニッションスイッチがオフされることによってエンジンが停止している状態である。「始動」は、イグニッションスイッチがオフされることによってエンジンが停止している状態から、イグニッションスイッチがオンされることによってエンジンを始動させる状態である。「通常時(二次電池充電)」は、オルタネータ120から二次電池126へ充電させる状態である。「通常時(EDLC充電)」は、二次電池からEDLCへ充電させる状態である。なお、「通常時(二次電池充電)」、「通常時(EDLC充電)」は、二次電池126、EDLC128の蓄電量によってはスキップされる。「通常(オルタネータオン)」は、エンジンが動作している状態に相当する。「停止(イグニッションオン)」は、エンジンが停止している状態である。これは、アイドリングストップ、走行中のエンジンストップを含む。「再始動」は、アイドリングストップあるいは走行中のエンジンストップから、エンジンを再始動させる状態である。「再始動失敗後の再始動」は、再始動時において、ハイブリッド電源112による再始動が失敗した場合に再度、再始動する状態であるか、あるいは二次電池126、EDLC128の電圧値がしきい値よりも低い等のハイブリッド電源112に異常がある場合に、再始動する状態に相当する。
【0031】
車両の状態は、ECU124において検出され、ECU124は、検出した状態が示された信号を電源制御部114へ出力する。ECU124における車両の状態の検出には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。電源制御部114は、ECU124からの信号をもとに、状態を認識する。
【0032】
各状態に対するスイッチの制御を説明する。
図3は、電源制御部114に記憶されたブルのデータ構造を示す。図示のごとく、状態欄200、L1欄202、L2欄204、L3欄206、L7欄214が含まれる。状態欄200に示された状態は前述の通りである。L1欄202からL3欄206、L7欄214は、状態に応じて選択されるべき第1スイッチL1から第3スイッチL3、第7スイッチL7の接続状態を示す。電源制御部114は、認識した状態に応じて、テーブルを参照することによって、第1スイッチL1から第3スイッチL3、第7スイッチL7の接続状態を特定する。
【0033】
図4は、車両用電源システム100における停止時(イグニッションオフ)の接続状態を示す。
図4では、
図1に追加して、シャント抵抗140、電圧・電流・温度検知部142、電圧・温度検知部144、第2ヒューズF2が含まれる。これらの構成として公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明する。電圧・電流・温度検知部142、電圧・温度検知部144は、検知結果を電源制御部114あるいはECU124へ出力する。また、図を明瞭にするために、電源制御部114から各スイッチへの信号線が省略される。
【0034】
停止時(イグニッションオフ)には、エンジンが停止されているので、EDLC128の劣化防止のために、EDLC128を強制放電してEDLC128の電圧をゼロ程度にしておくことが好ましい。具体的に説明すると、電源制御部114は、イグニッションオフによって車両のエンジンが停止される場合に、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第3スイッチL3をオフさせ、かつ第5スイッチL5、第7スイッチL7をオンさせることによって、EDLC128を強制放電させる。このように停止時(イグニッションオフ)ではEDLC128が蓄電されていないので、電源制御部114には、始動する際に、EDLC128を満充電にすることが要求される。これに対応し、電源制御部114は、二次電池126とEDLC128との間の並列電流を制限するための電流制限モードと、電流制限モードより大きい並列電流を流すための大電流モードを規定する。
【0035】
電源制御部114は、接続切替回路134を制御し、電流制御モード、大電流モードのいずれかを選択する。ここでは、始動時の前に、電源制御部114が、接続切替回路134を電流制御モードに切りかえる。具体的には、電源制御部114は、第2スイッチL2をオフさせるとともに、第3スイッチL3をオンさせる。このようにプリチャージ回路136をオンさせることによって、二次電池126とEDLC128は、電流制限抵抗130を介して並列に接続され、二次電池126によりEDLC128は充電される。さらにEDLC128の電圧が満充電に近い電圧になると、電流制御モードを大電流モードに切り換える。電源制御部114は、大電流モードにおいて、第2スイッチL2をオンさせるとともに、第3スイッチL3をオフまたはオンさせる。プリチャージ回路136をオフまたはオンさせる。そしてEDLC128は満充電にされる。このように、電源制御部114は、二次電池126の蓄電電圧とEDLC128の蓄電電圧に応じて、電流制限モードあるいは大電流モードを選択することによって、二次電池126の蓄電エネルギーをEDLC128に蓄電させる。具体的には、蓄電電圧がしきい値よりも大きい場合に大電流モードが選択され、蓄電電圧がしきい値以下の場合に電流制限モードが選択される。EDLC128が満充電のとき、EDLC128の電圧は二次電池126の電圧と同等になる。プリチャージ回路136は、二次電池126からEDLC128への充電電流を制限する手段である。このように充電電流を制御する手段を介して、電圧が低下したEDLC128を二次電池126により充電することにより、二次電池126に大電流が流れて二次電池126の両端の電位差がなくなり充電電流が供給できなくなってしまうことが防止される。
【0036】
電源制御部114は、始動時にエンジンが始動すると、二次電池126の蓄電電圧とEDLC128の蓄電電圧に応じて、電流制限モードあるいは大電流モードを選択することによって、二次電池126の蓄電エネルギーをEDLC128に蓄電させる
【0037】
図5は、車両用電源システム100における始動時・再始動時失敗後の再始動時の接続状態を示す。
図5は、
図4と同様に示される。
図3に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第4スイッチL4、第5スイッチL5がオンされる。さらに、第7スイッチL7がオフされる。その結果、鉛蓄電池110、二次電池126から第2スイッチL2を介してスタータ116へ電力が供給されるとともに、EDLC128からもスタータ116へ電力が供給される。なお、二次電池126からの電力供給を停止させる場合には第4スイッチL4がオフされ、EDLC128からの電力供給を停止させる場合には第5スイッチL5がオフされる。
【0038】
これまでの説明において、第4スイッチL4と第5スイッチL5はオンにされ続けている。しかしながら、始動時・再始動時失敗後の再始動時において、第4スイッチL4および/または第5スイッチL5をオフにする場合が発生する。ここでは、第4スイッチL4の制御を説明する。ハイブリッド電源にてエンジン再始動ができない故障要因として、二次電池126の内部ショートが想定される。内部ショートした二次電池126の電圧は、鉛蓄電池110の電圧よりも低くなるため、この状態で、鉛蓄電池110と二次電池126とを接続すると、鉛蓄電池110から二次電池126へ電流が流れることによって、スタータ116への電力供給が不十分になるおそれがある。また、低温環境で、二次電池126からスタータ116へ電力供給する場合、電圧低下が大きくなり、転極が発生したり、不可逆な副反応により電池が劣化したりするおそれがある。
【0039】
これに対応するため、電源制御部114は、始動時・再始動時失敗後の再始動時において、二次電池126と鉛蓄電池110の電圧差が一定値以上大きい場合や、環境温度が一定値より低い場合に、第4スイッチL4をオフにする。それ以外の場合に、電源制御部114は、第4スイッチL4をオンにする。同様にEDLC128の蓄電が不十分の場合、第5スイッチL5をオフする。以上のように、電源制御部114は、エンジンが再始動する際に、ハイブリッド電源112による再始動でない場、あるいはイグニッションオンによってエンジンを始動する場合、鉛蓄電池110から優先的にスタータ116へ電力を供給させる。
【0040】
図6は、車両用電源システム100における通常時(オルタネータオン)・停止時(イグニッションオン)の接続状態を示す。
図6も、
図4と同様に示される。
図3に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第4スイッチL4、第5スイッチL5がオンされる。さらに、第7スイッチL7がオフされる。その結果、鉛蓄電池110から電装品122へ電力が供給される。第4スイッチL4、第1スイッチL1を介して二次電池126から電装品122へ電力が供給されるとともに、第5スイッチL5、第2スイッチL2、第1スイッチL1を介してEDLC128からも電装品122へ電力が供給される。なお、電源制御部114は、第1スイッチL1をオンすることによって、オルタネータ120によって発電された電力を二次電池126に蓄電させる。
【0041】
図7は、車両用電源システム100における再始動時の接続状態を示す。
図7も、
図4と同様に示される。
図3に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1がオフされ、第2スイッチL2、第4スイッチL4、第5スイッチL5がオンされる。さらに、第7スイッチL7がオフされる。その結果、第4スイッチL4、第2スイッチL2を介して二次電池126からスタータ116へ電力が供給されるとともに、第5スイッチL5を介してEDLC128からもスタータ116へ電力が供給される。
【0042】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したて、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0043】
本発明の実施例によれば、電源間スイッチの作動状態に応じて、鉛蓄電池とハイブリッド電源とを使い分けることができる。また、ハイブリッド電源からスタータに電力を供給するので、信頼性の高い車両用電源システムを提供できる。また、一般負荷に対してスタータの方が消費電流が大きく、状況に応じて鉛蓄電池をスタータの始動に使用すべきか否かを選択できる。また、状況に応じて鉛蓄電池をスタータの始動に使用すべきか否かが選択されるので、鉛蓄電池からの電流量を抑制できる。また、EDLC128を再充電する場合、二次電池を使用するので、鉛蓄電池の消費電力を抑制できる。
【0044】
また、スタータから切り離された状態で、鉛蓄電池が一般負荷に接続されるので、安定した電圧の電力を一般負荷に供給できる。また、再始動の際は、スタータの始動に鉛蓄電池を使用しないので、鉛蓄電池の寿命低下を抑制できる。また、再始動がハイブリッド電源からの電力供給だけで可能か否かは、温度に依存し、温度が低すぎれば、始動できない場合も想定される。そのため、鉛蓄電池からもスタータへ電力供給可能なように構成することによって、冗長性を持たせることができる。特に、ハイブリッド電源からスタータを始動させることができなかった場合、鉛蓄電池でスタータを始動できる。
【0045】
また、EDLCがスタータと直結されるので、エネルギー損失を低減できる。エネルギー損失が低減されるので、再始動時のエンジン始動を高効率化できる。また、ハイブリッド電源のEDLCと二次電池の間に切り離し機構を設けるので、EDLCを使用しない場合、放電状態で放置し、その劣化を抑制できる。また、電流制限モードにおいて、電源内スイッチをオフさせるとともに、プリチャージスイッチをオンするので、EDLCをプリチャージできる。また、二次電池の蓄電電圧とキャパシタの蓄電電圧に応じて、電流制限モードあるいは大電流モードを選択するので、状況に応じて電流量を調節できる。また、車両を使用しない場合にEDLCを強制的に放電するので、EDLCの劣化を抑制できる。また、充電電流は、鉛蓄電池とハイブリッド電源で回収するので、オルタネータが発電した電力を効率よく回収できる。
【0046】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、鉛蓄電池、二次電池、EDLCが並列に接続された車両用電源システムに関する。実施例1における車両用電源システムでは、第2スイッチを介して二次電池がスタータに接続されているが、実施例2における車両用電源システムでは、第2スイッチを介さず二次電池がスタータに接続される。第2スイッチを介さないので、二次電池からスタータへ電力を供給する際の損失が小さくなる。以下では、実施例1との差異を中心に説明する。
【0047】
図8は、本発明の実施例2に係る車両用電源システム100の構成を示す。車両用電源システム100に含まれる構成要素では、
図1から第5スイッチL5が除外されている。第2スイッチL2は、実施例1と同様に、二次電池126とEDLC128とを並列接続する。二次電池126は、第4スイッチL4を介して、かつ第2スイッチL2を介さずに、スタータ116に接続される。EDLC128は、第2スイッチL2を介してスタータ116に接続される。なお、実施例2において、第4スイッチL4が省略されてもよい。
【0048】
電源制御部114は、前述のごとく、ECU124から、車両用電源システム100の状態が示された信号を受けつける。ここでは、再始動が示された信号を第1信号といい、ハイブリッド電源112による再始動でないことが示された信号を第2信号という。電源制御部114は、受けつけた信号、つまり認識した状態に応じて、テーブルを参照することによって、第1スイッチL1から第4スイッチL4、第7スイッチL7の接続状態をする。
図9は、電源制御部114に記憶されたテーブルのデータ構造を示す。テーブルは、実施例1と同様に示される。
【0049】
図10は、車両用電源システム100における停止時(イグニッションオフ)の接続状態を示す。実施例1と同様に、第7スイッチL7だけがオンされることによって、放電用抵抗132によって、EDLC128の放電がなされる。
【0050】
図11は、車両用電源システム100における始動時・再始動時失敗後の再始動時の接続状態を示す。電源制御部114が第2信号を入力した場合、例えば車両のイグニッションスイッチがオンされることによってエンジンが始動する場合、
図9に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1がオンされ、第2スイッチL2がオフされ、第4スイッチL4がオフされる。さらに、第7スイッチL7がオフされる。その結果、鉛蓄電池110から第1スイッチL1を介してスタータ116へ電力が供給される。
【0051】
図12は、車両用電源システム100における通常時(オルタネータオン)・停止時(イグニッションオン)の接続状態を示す。
図9に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第4スイッチL4がオンされる。さらに、第7スイッチL7がオフされる。その結果、鉛蓄電池110から電装品122へ電力が供給される。第4スイッチL4、第1スイッチL1を介して二次電池126から電装品122へ電力が供給されるとともに、第2スイッチL2、第1スイッチL1を介してEDLC128からも電装品122へ電力が供給される。
【0052】
図13は、車両用電源システム100における再始動時の接続状態を示す。電源制御部114が第1信号を入力した場合、
図9に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1がオフされ、第2スイッチL2がオンされ、第4スイッチL4がオンされる。さらに、第7スイッチL7がオフされる。その結果、二次電池126から第4スイッチL4を介してスタータ116へ電力が供給されるとともに、EDLC128からも第2スイッチL2を介してスタータ116へ電力が供給される。
【0053】
本発明の実施例によれば、EDLCが電源内スイッチを介してスタータに接続されるので、電源間スイッチを介して鉛蓄電池とスタータを接続する場合、EDLCを電流経路から切り離すことができる。EDLCが接続された状態では、鉛蓄電池からスタータを始動させようとした場合、EDLCを予備充電する、あるいは、電荷がたまっていない状態のEDLCと接続されることになる。このような状態では、鉛蓄電池とスタータを接続したからといって、スタータを始動できるかどうかはわからない。ここでは、EDLCを切り離すことができるので、鉛蓄電池で確実にスタータを始動させることができる。また、低温時もスタータを始動させることができる。また、二次電池とスタータとの間に第2スイッチL2が配置されていないので、エネルギー損失を低減できる。
【0054】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、鉛蓄電池、二次電池、EDLCが並列に接続された車両用電源システムに関する。これまでは、始動時・再始動時失敗後の再始動時、通常時のいずれにおいても、第1スイッチL1がオンにされる。つまり、鉛蓄電池からスタータ、電装品へ至る経路は一種類である。一方、実施例3では、始動時・再始動時失敗後の再始動時に鉛蓄電池からスタータへ電力を供給するためのバイパス経路が別途設けられる。このバイパス経路は、通常時に使用されない。
【0055】
図14は、本発明の実施例3に係る車両用電源システム100の構成を示す。車両用電源システム100に含まれる構成要素は、
図8に示された構成要素に対して、第6スイッチL6が追加される。第6スイッチL6は、バイパススイッチともいえる。第6スイッ6は、第1スイッチL1と第2スイッチL2を回避しながら、鉛蓄電池110とスタータ116とを並列接続する。第6スイッチL6が含まれた経路が、前述のバイパス経路に相当する。鉛蓄電池110は、第6スイッチL6を介してスタータ116に接続される。二次電池126は、第4スイッチL4を介して、かつ第2スイッチL2を介さずに、スタータ116に接続される。EDLC128は、第2スイッチL2を介してスタータ116に接続される。
【0056】
電源制御部114は、受けつけた信号、つまり認識した状態に応じて、テーブルを参照することによって、第1スイッチL1から第4スイッチL4、第6スイッチL6、第7スイッチL7の接続状態を特定する。
図15は、電源制御部114に記憶されたテーブルのデータ構造を示す。L6欄210には、第6スイッチL6に対するオン/オフの制御が示される。
【0057】
図16は、車両用電源システム100における停止時(イグニッションオフ)の接続状態を示す。実施例1と同様に、第7スイッチL7だけがオンされることによって、放電用抵抗132によって、EDLC128の放電がなされる。
【0058】
図17は、車両用電源システム100における始動時・再始動時失敗後の再始動時の接続状態を示す。電源制御部114が第2信号を入力した場合、例えば車両のイグニッションスイッチがオンされることによってエンジンが始動する場合、
図15に示されたテーブルにしたがって、第4スイッチL4がオフされ、第6スイッチL6だけがオンされる。その結果、第6スイッチL6を介して鉛蓄電池110からスタータ116へ電力が供給される。
【0059】
図18は、車両用電源システム100における通常時(オルタネータオン)・停止時(イグニッションオン)の接続状態を示す。
図15に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第4スイッチL4がオンされ、第6スイッチL6がオフされる。さらに、第7スイッチL7がオフされる。その結果、鉛蓄電池110から電装品122へ電力が供給される。第4スイッチL4、第1スイッチL1を介して二次電池126から電装品122へ電力が供給されるとともに、第2スイッチL2、第1スイッチL1を介してEDLC128から電装品122へ電力が供給される。
【0060】
図19は、車両用電源システム100における再始動時の接続状態を示す。電源制御部114が第1信号を入力した場合、
図15に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1がオフされ、第2スイッチL2がオンされ、第4スイッチL4がオンされ、第6スイッチL6がオフされる。さらに、第7スイッチL7がオフされる。その結果、第4スイッチL4を介して二次電池126からスタータ116へ電力が供給されるとともに、第2スイッチL2を介してEDLC128からもスタータ116へ電力が供給される。
【0061】
本発明の実施例によれば、鉛蓄電池とスタータを直結するバイパス経路を設けるので、ハイブリッド電源の異常によりエンジン再始動できない場合、鉛蓄電池からスタータに電力供給できる。また、鉛蓄電池からスタータに電力供給されるので、信頼性をさらに向上できる。また、電源間スイッチが配置された経路とは別にバイパス経路を設けるので、電源間スイッチが故障しても、鉛蓄電池からスタータへ電力を供給できる。また、車両のイグニッションスイッチがオンされることによってエンジンが始動する場合に、バイパススイッチをオンさせるとともに、電源間スイッチをオフさせるので、低温でもスタータへ電力を供給できる。
【0062】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4を説明する。実施例4は、これまでと同様に、鉛蓄電池、二池、EDLCが並列に接続された車両用電源システムに関する。また、実施例4は、実施例3と同様に、バイパス経路を備える。実施例3では、二次電池が第2スイッチを介さずにスタータに接続されているのに対して、実施例4では、EDLCが第2スイッチを介さずにスタータに接続されている。これは、実施例1にバイパス経路を追加することに相当する。
【0063】
図20は、本発明の実施例4に係る車両用電源システム100の構成を示す。車両用電源システム100に含まれる構成要素は、
図1に示された構成要素に対して、第6スイッチL6が追加されているが、プリチャージ回路136、第4スイッチL4、第7スイッチL7、放電用抵抗132が除外されている。なお、これらの構成要素が追加されてもよい。鉛蓄電池110は、第6スイッチL6を介してスタータ116に接続される。二次電池126は、第2スイッチL2を介して、スタータ116に接続される。EDLC128は、第5スイッチL5を介してスタータ116に接続される。
【0064】
電源制御部114は、受けつけた信号、つまり認識した状態に応じて、テーブルを参照することによって、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第5スイッチL5、第6スイッチL6の接続状態を特定する。
図21は、電源制御部114に記憶されたテーブルのデータ構造を示す。テーブルはこれまでと同様に示される。
【0065】
図22は、車両用電源システム100における停止時(イグニッションオフ)の接続状態を示す。図示のごとく、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第5スイッチL5、第6スイッチL6がオフされる。
【0066】
図23は、車両用電源システム100における始動時・再始動時失敗後の再始動時の接続状態を示す。電源制御部114が第2信号を入力した場合、
図21に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第5スイッチL5がオフされ、第6スイッチL6だけがオンされる。その結果、第6スイッチL6を介して鉛蓄電池110からスタータ116へ電力が供給される。
【0067】
図24は、車両用電源システム100における通常時(オルタネータオン)・停止時(イグニッションオン)の接続状態を示す。
図21に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1、第2スイッチL2、第5スイッチL5がオンされ、第6スイッチL6がオフされる。その結果、鉛蓄電池110から電装品122へ電力が供給される。第1スイッチL1を介して二次電池126から電装品122へ電力が供給されるとともに、第5スイッチL5、第2スイッチL2、第1スイッチL1を介してEDLC128から電装品122へ電力が供給される。
【0068】
図25は、車両用電源システム100における再始動時の接続状態を示す。電源制御部114が第1信号を入力した場合、
図21に示されたテーブルにしたがって、第1スイッチL1がオフされ、第2スイッチL2、第5スイッチL5がオンされ、第6スイッチL6がオフされる。その結果、第2スイッチL2を介して二次電池126からスタータ116へ電力が供給されるとともに、第5スイッチL5を介してEDLC128からもスタータ116へ電力が供給される。
【0069】
本発明の実施例によれば、鉛蓄電池とスタータを直結するバイパス経路を設けるので、ハイブリッド電源の異常によりエンジン再始動できない場合、鉛蓄電池からスタータに電力供給できる。また、鉛蓄電池からスタータに電力供給されるので、信頼性をさらに向上できる。また、電源間スイッチが配置された経路とは別にバイパス経路を設けるので、電源間スイッチが故障しても、鉛蓄電池からスタータへ電力を供給できる。また、車両のイグニッションスイッチがオンされることによってエンジンが始動する場合に、バイパスッチをオンさせるとともに、電源間スイッチをオフさせるので、低温でもスタータへ電力を供給できる。
【0070】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0071】
本発明の実施例1乃至3において、二次電池126には第4スイッチL4が接続されている。しかしながらこれに限らず例えば、第4スイッチL4が省略されてもよい。本変形例によれば、車両用電源システム100の構成を簡易にできる。
【0072】
本発明の実施例1乃至3において、第1ヒューズF1および第2ヒューズF2が接続されている。しかしながらこれに限らず例えば、第1ヒューズF1および第2ヒューズF2の少なくとも一方が省略されてもよい。本変形例によれば、車両用電源システム100の構成を簡易にできる。