特許第6367807号(P6367807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367807多関節機器、多関節機器を有するマイクロマニピュレータ装置、多関節機器の使用、及び多関節機器を利用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367807
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】多関節機器、多関節機器を有するマイクロマニピュレータ装置、多関節機器の使用、及び多関節機器を利用する方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 7/00 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   B25J7/00
【請求項の数】19
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-531490(P2015-531490)
(86)(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公表番号】特表2015-533659(P2015-533659A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】EP2013002791
(87)【国際公開番号】WO2014040753
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】12006527.1
(32)【優先日】2012年9月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/701,745
(32)【優先日】2012年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501186645
【氏名又は名称】エッペンドルフ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン フリューケ
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−229779(JP,A)
【文献】 特開2009−190156(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/129013(WO,A1)
【文献】 特開平8−281588(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/126726(WO,A2)
【文献】 米国特許第6159199(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0078525(US,A1)
【文献】 特表2007−508136(JP,A)
【文献】 特開昭59−198163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロマニピュレータ装置の作業位置である目標位置へのコンポーネントの相対運動を案内するための多関節機器(10:20)であって、ここで、作業位置において、被マニピュレート物体は、該多関節機器に取り付けられたマイクロマニピュレーション・ツールによってマニピュレートされ、
該多関節機器が、少なくとも1つの第1部分(11;21)と、少なくとも1つの第2部分(12;22)と、少なくとも1つの第3部分(13;23)とを有しており、
該第1部分(11;21)と該第2部分(12;22)とが、第1相対運動を行うために運動可能であるように互いに結合されており、
該第2部分(12;22)と該第3部分(13;23)とが、第2相対運動を行うために運動可能であるように互いに結合されており、
該多関節機器が、少なくとも1つの第1ストップ・デバイス(14;24)と少なくとも1つの第2ストップ・デバイス(15;25)とを有しており、
該第1ストップ・デバイス(14;24)を介して、該第1相対運動が第1ストップ位置でブロックされ、該第1ストップ位置では、該第1部分(11;21)と第2部分(12;22)とが第1方向で互いに衝突し、
該第2ストップ・デバイス(15;25)を介して、該第2相対運動が第2ストップ位置でブロックされ、該第2ストップ位置では、該第2部分(12;22)と第3部分(13;23)とが第2方向で互いに衝突し、
該多関節機器が、第1固定力をもたらす少なくとも1つの第1固定デバイス(16;26)と、第2固定力をもたらす少なくとも1つの第2固定デバイス(17;27)とを有しており、
該第1部分(11;21)と第2部分(12;22)とが、負の第1方向に向けられた第1解放力に抗して、前記第1解放力が該第1固定力を超えるまで、前記第1ストップ位置に該第1固定デバイス(16;26)を介して保持され、
該第2部分(12;22)と第3部分(13;23)とが、負の第2方向に向けられた第2解放力に抗して、前記第2解放力が該第2固定力を超えるまで、前記第2ストップ位置に該第2固定デバイス(17;27)を介して保持され、
そして、該第1ストップ位置と該第2ストップ位置とが両方とも存在する前記目標位置として、組み合わせストップ位置を設定することができ、
前記多関節機器が少なくとも1つの第1案内デバイス(18;28)と少なくとも1つの第2案内デバイス(19;29)とを有しており、該第1相対運動が該第1案内デバイスによって案内され、そして該第2相対運動が該第2案内デバイスによって案内され、該第1相対運動は第1運動経路に沿って正又は負の第1方向へ延び、そして該第2相対運動は第2運動経路に沿って正又は負の第2方向へ延び、特に該第1相対運動と該第2相対運動とは平行であり、かつ、
前記第1部分及び前記第3部分がそれぞれ更なるコンポーネントを締め付けるための締め付けデバイスを有している、
多関節機器。
【請求項2】
前記第1相対運動が第1回転軸線Aを中心とした回転であり、そして前記第1方向が、該第1回転軸線Aを中心とした正の方向の回転に相当し、また、前記第2相対運動が第2回転軸線Bを中心とした回転であり、そして前記第2方向が、該第2回転軸線Bを中心とした正の方向の回転に相当する、請求項1に記載の多関節機器。
【請求項3】
前記第1固定デバイス及び前記第2固定デバイスが、それぞれ少なくとも1つの磁気エレメントを有している、請求項1又は2に記載の多関節機器。
【請求項4】
前記多関節機器が、前記第1相対運動に抵抗によって抗することを目的として形成された第1保持デバイスを有しており、前記抵抗を克服するためには少なくとも1つの第1離脱力が必要であり、
前記多関節機器が、前記第2相対運動に抵抗によって抗することを目的として形成された第2保持デバイスを有しており、前記抵抗を克服するためには少なくとも1つの第2離脱力が必要である、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の多関節機器。
【請求項5】
前記第1保持デバイスが第1摩擦デバイスを有しており、該第1摩擦デバイスは第1相対運動中に第1滑り摩擦をもたらし、そして該第1部分及び第2部分の非運動相対位置では第1静摩擦をもたらし、前記第1滑り摩擦及び第1静摩擦を克服するために少なくとも前記第1離脱力が必要であり、そして
前記第2保持デバイスが第2摩擦デバイスを有しており、該第2摩擦デバイスは第2相対運動中に第2滑り摩擦をもたらし、そして該第2部分及び第3部分の非運動相対位置では第2静摩擦をもたらし、前記第2滑り摩擦及び第2静摩擦を克服するために少なくとも前記第2離脱力が必要である、
請求項4に記載の多関節機器。
【請求項6】
前記第1解放力及び前記第2解放力がそれぞれ、前記第1離脱力及び/又は第2離脱力よりも大きい、請求項4又は5に記載の多関節機器。
【請求項7】
前記第1摩擦デバイスが補助エレメントとして弾性変形可能なリングを有しており、該補助エレメントが第1回転軸線Aに対して同軸的に配置されていて、前記第1滑り摩擦及び第1静摩擦をもたらすために前記第1部分と前記第2部分との間にクランプされており、そして
前記第2摩擦デバイスが補助エレメントとして弾性変形可能なリングを有しており、該補助エレメントが第2回転軸線Bに対して同軸的に配置されていて、前記第2滑り摩擦及び第2静摩擦をもたらすために前記第2部分と前記第3部分との間にクランプされている、
請求項2を引用する請求項5に記載の多関節機器。
【請求項8】
更なるコンポーネントを締め付けるための前記締め付けデバイスは、溝/舌片ジョイントを含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の多関節機器。
【請求項9】
前記多関節機器が第4部分を有しており、前記第3部分と該第4部分とが特に第3案内デバイスを用いて、第3相対運動を行うために運動可能であるように互いに結合されており、前記多関節機器が第3ストップ・デバイスを有しており、該第3ストップ・デバイスを介して、該第3相対運動が第3ストップ位置でブロックされ、該第3ストップ位置では、該第3部分と第4部分とが第3方向で互いに衝突し、さらに前記多関節機器が第3固定デバイスを有しており、該第3固定デバイスを介して、該第3部分と第4部分とが、負の第3方向に向けられた第3解放力に抗して、前記第3解放力が第3固定力を超えるまで、該第3ストップ位置に保持され、そして該第2ストップ位置と該第3ストップ位置とが両方とも存在する第2目標位置として、第2組み合わせストップ位置を設定することができる、請求項1から8までのいずれか1項に記載の多関節機器。
【請求項10】
前記第1相対運動及び第2相対運動が、度で測定し得る回転であり、そして前記組み合わせストップ位置の設定精度qが≦±5×10-1度であ、請求項1から9までのいずれか1項に記載の多関節機器。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の多関節機器を有するマイクロマニピュレータ装置。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の多関節機器の使用であって、細胞生物学的又は微生物学的ワークステーションのマイクロマニピュレータ装置とともに用いる、該関節機器の使用。
【請求項13】
物体に、マイクロマニピュレータ装置を使用してマイクロマニピュレーションを施す方法において、請求項1から10までのいずれか1項に記載の多関節機器を利用する方法であって、下記ステップ、すなわち
(i) 多関節機器に結合されたマイクロマニピュレーション・ツール該物体に対して所望の距離を置いて位置する作業位置として、前記多関節機器の目標位置を設定するステップ;
(ii) 第1ストップ位置から出発して、記多関節機器の第1部分と第2部分との間で、該第1部分と該第2部分とが第1相対位置に配置されるまで、第1相対運動行うステップ;
(iii) 第2ストップ位置から出発して、記多関節機器の第3部分と第2部分との間で、該第3部分と該第2部分とが第2相対位置に配置されるまで、第2相対運動行うステップ;
(iv) ステップ(ii)に記載の該第1相対位置から出発して、又はステップ(iii)に記載の該第2相対位置から出発して、該第1部分及び/又は該第3部分の手動処理行うテップ;
(v) ステップ(ii)に記載の該第1相対位置から出発して、又はステップ(iii)に記載の該第2相対位置から出発して、前記物体に処理を施すステップ;
(vi) ステップ(ii)に記載の該第1相対位置から出発して、且つ/又はステップ(iii)に記載の該第2相対位置から出発して、該第1及び/又は第2相対位置から該多関節機器を手動で戻し旋回させることによって、該多関節機器を目標位置又は作業位置へ再位置決めするステップ
のうちの少なくとも1つのステップを有する方法。
【請求項14】
前記物体は、生きている細胞又は微生物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マイクロマニピュレーション・ツールは、毛細管又はマイクロ切開ツールである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1ストップ位置は目標位置であり、前記第2ストップ位置は目標位置である、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1相対運動は、前記多関節機器の第1部分と第2部分との間の回転方向ωの回転運動であり、前記第2相対運動は、前記多関節機器の第3部分と第2部分との間の逆の回転方向−ωへの回転運動である、請求項13から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(iv)に記載の第1部分及び/又は第3部分の前記手動処理は、該第1部分又は第3部分に結合されたマイクロマニピュレーション・ツールの除去及び/又は解放である、請求項13から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップ(v)に記載の物体への処理は、培地、緩衝液、又は溶液を除去又は添加し、前記物体を取り出し、且つ/又は更なる物体を添加することである、請求項13から18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にマイクロマニピュレータ装置のための、コンポーネントの目標位置への相対運動を案内するための多関節機器に関し、前記多関節機器を備えたマイクロマニピュレータ装置に関し、そして前記多関節機器又は前記マイクロマニピュレータ装置を利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロマニピュレータ装置の場合、このような多関節機器は、第1コンポーネント、例えばツールを備えたツール・ホルダを、第2コンポーネント、例えば電動式運動デバイスのスライドに運動可能、例えば旋回可能であるように連結することを目的として使用される。
【0003】
マイクロマニピュレータ装置は、これらのコンポーネントの運動中及び位置決め中に高い精度レベルを必要とする。マイクロマニピュレーションは、人工的な物体、例えばマイクロ系、ナノ系、及びこれらのコンポーネントのマニピュレーションを可能にする。マイクロマニピュレーションは特に、生物学的物体、例えば生きている細胞又は微生物のマニピュレーションにも関し得る。両利用分野は、マニピュレーションツール、例えば毛細管、プローブ又は電極の所望の作業位置における配置に対して高いレベルの信頼性及び精度を必要とする。このような作業位置では、しばしば顕微鏡的に小さな物体が、機械的にマニピュレートされる。
【0004】
このタイプの多関節機器は細胞生物学的及び分子生物学的ワークステーションとともに使用するのに特に有益である。このようなワークステーションにおいて使用者はマイクロマニピュレーションツール、例えば毛細管ホルダを目標位置に迅速且つ正確に配置しなければならず、或いは毛細管ホルダを前記目標位置から迅速に取り出さなければならない。このようなワークステーションでは、例えば卵細胞質内精子注入(ICSI)のような方法、及び胚幹細胞(ES細胞)の胚盤胞内への移動が行われる。ここでは、マイクロマニピュレータ装置内で使用されるコンポーネントの、極めて小さな空間内の位置及び運動を正確に制御することが必要である。
【0005】
前記文脈において、効率的且つ好都合に操作可能な多関節機器であって、この多関節機器を介して、被運動コンポーネント、例えばマイクロマニピュレータ装置のツール、特に毛細管又はアクチュエータ先端を目標位置へ、又は前記目標位置から正確且つ迅速に運ぶことができ、目標位置では、例えば毛細管先端又は別のツールは顕微鏡又はカメラのレンズ有効範囲内に配置される、多関節機器を提供することが特に望ましい。典型的な方法と関連して、部品は細胞マニピュレーションを行うときに、ツール、例えば毛細管ホルダ内の毛細管を、例えば他の目的で(例えば生物学的細胞のための成長培地を交換するため、物質の添加のため、など)これを解放するために、又はツールを交換するために、細胞処理中の短い間に目標位置から動かす。後で、ツールを目標位置へできる限り正確に戻さなければならない。
【0006】
マイクロマニピュレータ装置はしばしば手動位置決めのためのピボットジョイントを有して、細胞の方向にマニピュレータ・アームを旋回させることにより、細胞にツールが接触するマニピュレーション位置に既に比較的近い目標位置に到達するようになっている。このようなピボットジョイントの一例は、ドイツ国ハンブルク在Eppendorf AGからTransferMan(登録商標)NK 2(注文番号5 188 000.012)の商品名で2012年に市場に出たマイクロマニピュレータ装置のヒンジジョイントである。ヒンジジョイントの目的は、ヒンジジョイントが引き込まれている目標位置から、ヒンジジョイントが伸長されるツール交換に適した位置へツール・ホルダを移動することである。周知の全ての多関節機器に生じる問題点は、ひとたびツールが旋回されると、多関節機器の目標位置を所望の精度で再現することができないことである。周知の多関節機器の場合、細胞と一緒に毛細管先端をレンズ有効範囲内に再び位置決めするために、付加的な調節ステップの実施が絶対に必要である。特に毛細管先端を顕微鏡のレンズ有効範囲から旋回させることが、頻繁に繰り返される中間ステップである場合には、労働に費やされる時間及び費用は相応に大きくなる。
【0007】
顕微鏡の倍率設定ステップを再調節する必要がないように正確に目標位置が合うことが特に望ましい。目標位置は好ましくはツール先端を少なくとも顕微鏡のレンズ有効範囲内に動かすのに充分に正確であるべきである。その結果、多大な時間を費やす調節ステップを回避することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、目標位置を繰り返し正確に設定することができる多関節機器を提供し、また前記多関節機器を備えた好都合に操作可能なマイクロマニピュレータ装置、並びに前記多関節機器の利用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、請求項1に記載の多関節機器、及び請求項11に記載のマイクロマニピュレータ装置、並びに請求項13に記載の多関節機器の利用方法によって達成される。好ましい発展形が特にサブクレームの対象となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、特にマイクロマニピュレータ装置のための、コンポーネントの目標位置への相対運動を案内するための多関節機器、特にマイクロマニピュレータ装置のためのピボットジョイント機器であって、多関節機器が、少なくとも1つの第1部分と、少なくとも1つの第2部分と、少なくとも1つの第3部分とを有しており、第1部分と第2部分とが、第1相対運動を行うために運動可能であるように互いに結合されており、第2部分と第3部分とが、第2相対運動を行うために運動可能であるように互いに結合されており、多関節機器が、少なくとも1つの第1ストップ・デバイスと少なくとも1つの第2ストップ・デバイスとを有しており、第1ストップ・デバイスを介して、第1相対運動が第1ストップ位置でブロックされ、第1ストップ位置では、第1部分と第2部分とが第1方向で互いに衝突し、第2ストップ・デバイスを介して、第2相対運動が第2ストップ位置でブロックされ、第2ストップ位置では、第2部分と第3部分とが第2方向で互いに衝突し、多関節機器が、少なくとも1つの第1固定デバイスと、少なくとも1つの第2固定デバイスとを有しており、第1部分と第2部分とが、負の第1方向に向けられた解放力に抗して、前記解放力が第1固定力を超えるまで、第1ストップ位置に第1固定デバイスを介して保持され、第2部分と第3部分とが、負の第2方向に向けられた解放力に抗して、前記解放力が第2固定力を超えるまで、前記第2ストップ位置に第2固定デバイスを介して保持され、そして、第1ストップ位置と第2ストップ位置とが両方とも存在する前記目標位置として、組み合わせストップ位置を設定することができる、多関節機器に関する。
【0011】
目標位置の特徴は、第1ストップ位置と第2ストップ位置とが両方とも同時に存在するように多関節機器が構成されることである。目標位置は特に、多関節機器の使用者が第1部分と第2部分との衝突、及び第3部分と第2部分との衝突を手動でもたらすことによって設定される。目標位置は、具体的に言えば構造的に予め決められ、また具体的に言えば修正することができない。その結果として、第1及び/又は第2部分が第1及び/又は第2ストップ位置に配置されていないときに、使用者によって高い精度レベルで何度も目標位置に接近することができる。前記目標位置は特に作業位置として利用することができる。作業位置において、被マニピュレート物体が、多関節機器に取り付けられたマイクロマニピュレーション・ツールによって処理、すなわちマニピュレートされる。
【0012】
人工的又は生物学的な被マニピュレート物体、特に細胞/微生物は通常、顕微鏡又はカメラのレンズ有効範囲内で培養容器内又は小型カバーガラス上に位置している。マイクロマニピュレーション・ツールが装着された本発明による多関節機器は顕微鏡、又はカメラを備えた顕微鏡に取り付けられて、マイクロマニピュレーション装置が形成されるようになっていることが好ましい。前記マイクロマニピュレーション装置の場合、マイクロマニピュレーションのために設計されたマイクロマニピュレーション・ツールの範囲もまた、(ちょうど被マニピュレート物体のように)カメラの顕微鏡のレンズ有効範囲内に位置している。すなわち、2つのストップによって技術的に予め決められた目標位置において、マイクロマニピュレーション・ツールは作業位置に導かれる。
【0013】
本発明による多関節機器は、前記多関節機器に取り付けられたマイクロマニピュレーション・ツールの相対運動を可能にするので、取り付けられたマイクロマニピュレーション・ツールは種々異なる相対位置を成すことができる。このように、物体が、ツール交換に適した相対位置で多関節機器に取り付けられたマイクロマニピュレーション・ツールと対向して位置するようにマニピュレートされることが可能である。このことは、例えば使用者が、多関節機器に締め付けられたマイクロマニピュレーション・ツールを交換するのに有利である。それというのも、前記相対位置では、交換を行う使用者の手が被マニピュレート物体の近くには位置しておらず、前記物体が望まれない形で接触されることはなく、また結果として押し退けられることもないからである。さらに有利な相対位置では、マイクロマニピュレーション・ツールは物体の周囲域から出るように旋回されるので、使用者は通常の手動処理ステップのために物体に安全にアクセスすることができる(例えば培地交換、物体の調節、更なる細胞(特に卵細胞又は精子)の添加、及び/又はカバーガラスの堆積など)。この文脈における「安全に」とは、マイクロマニピュレーション・ツール(例えば先の尖ったガラス毛細管)の望まれない形での接触のリスクがないことである。マイクロマニピュレーション・ツールと望まれない形で接触したならば、使用者は化学的又は生物学的な物質で汚染されるようになるおそれがあり、或いは、通常使用される鋭利なエッジを有するガラス毛細管で痛みを伴う負傷を負うこともある。本発明による多関節機器はこのようなリスクを軽減する。
【0014】
周知のピボットジョイント機器の場合、コンベンショナルなラッチ・デバイスによって目標位置がしばしば定義される。旋回中、ばね式ラッチ・ピンが端部を介して例えば水平方向の旋回平面内で、丸い刻み目内に鉛直方向にスライドし、その場所で実質的に形状嵌合式にラッチングされる。コンベンショナルなラッチ・デバイスの事例では、旋回平面内でロックされるべきコンポーネントはラッチ係止された目標位置内でもまだ最小の水平方向可動性を有していることが本発明の枠組みの中で判っている。これは、ロック装置のフレキシビリティがあまりにも高いことに起因し、すなわち、コンベンショナルな形でロックされたコンポーネントは僅かな荷重下でも動いてしまう。前記最小の可動性は、例えば具体的に言えば細胞生物学的又は微生物学的ワークステーションと一緒に使用されるマイクロマニピュレータの事例においては最適とは言えない。ジョイントの近くにおける最小の可動性は、旋回アームの長さいかんでは、精度に対する要求を満たさない、より大きい位置誤差となる。
【0015】
本発明による多関節機器の場合、目標位置はコンベンショナルなラッチ装置によって定義されるのではなく、請求項1に記載の装置によって定義される。この装置は作業において目標位置でのラッチングに相当する。2つのストップ・デバイスが使用される。これらのストップ・デバイスは、組み合わせた状態で、コンベンショナルなラッチ・デバイスの「ラッチ係止(latching-in)」を模倣するが、しかしかなり高いレベルの精度をもたらす。運動方向における運動をストップによって正確にブロックすることにより、目標位置を正確に定義することができる。本発明は2つのストップ・デバイスを使用することによって、ラッチングの事例のように、「ラッチングされた(latched)」目標位置の2つの方向での離脱を模倣する。
【0016】
本発明の第1の好ましい実施態様において、多関節機器はピボットジョイント機器であり、第1及び第2の相対運動は、第1及び第2の回転軸線A又はBを中心とした回転である。これらの回転軸線は平行にオーバーラップすることができる。この場合、共通回転軸線Aを中心とした回転を、正の回転方向(positive rotational direction)ωで生じさせることができる。この方向は正回転方向(positive direction of rotation)とも呼ばれる。これに相応して、共通回転軸線Aを中心とした回転を、負の回転方向(negative rotational direction)−ωで生じさせることもできる。この方向は負回転方向(negative direction of rotation)とも呼ばれる。しかし、第1及び/又は第2相対運動が円形経路から逸脱した運動経路に沿って延びることも可能であり、また好ましい。本発明の第2の好ましい実施態様では、多関節機器は角柱ジョイント機器である。ここでは第1及び第2の相対運動は、第1及び第2の線形方向A又はBに沿った並進運動である。これらの線形方向は平行にオーバーラップすることができる。
【0017】
第1相対運動は好ましくは第1回転軸線Aを中心とする回転であり、前記第1方向は回転軸線Aを中心とした正回転方向での回転に相当し、そしてこれと同時に、又はこれとは独立して、第2相対運動は好ましくは第2回転軸線Bを中心とする回転であり、前記第2方向は回転軸線Bを中心とした正回転方向での回転に相当する。
【0018】
第1部分は好ましくは、結合部分を有するコンポーネントである。この結合部分を介して第1コンポーネントは、運動可能であるように、特に回転可能であるように、第2部分と結合することができる。加えて、第1部分は好ましくは締め付け部分を有している。この締め付け部分を用いて、外部コンポーネントを第1部分に締め付けることができる。第3部分は好ましくは、結合部分を有するコンポーネントである。この結合部分を介して第3コンポーネントは、運動可能であるように、特に回転可能であるように、第2部分と結合することができる。加えて、第3部分は好ましくは締め付け部分を有している。この締め付け部分を用いて、外部コンポーネントを第3部分に締め付けることができる。外部コンポーネントはマイクロマニピュレータ装置のコンポーネント、特に旋回アーム、モータ・モジュール、特に電動式又は手動式の運動デバイスの電動式及び/又は手動式の可動スライド、支持装置の支持コンポーネントであってよく、或いは更なる多関節機器、特に本発明による多関節機器の一部であってもよい。結合部分は、第1及び第2部分、及び/又は第3及び第2部分がそれぞれ互いに回転可能である、その中心となる回転軸線を画定する軸エレメントを受容するための受容部分であってよい。加えて、結合部分はこのような軸エレメントを有することもできる。
【0019】
軸エレメントが第2部分に固定的に結合されていることが好ましい。第2部分は好ましくは2つの軸エレメントを有する。第1部分及び/又は第3部分が軸エレメントを有することも可能であり、また好ましい。第2部分はこの場合好ましくは、軸エレメントを受容するための少なくとも1つ、特に2つの受容部分を有している。第1及び第2部分、及び/又は第3及び第2部分がそれぞれ互いに相対回転可能である、その中心となる回転軸線を画定することを目的として、軸エレメントが形成される。軸エレメントは円筒形コンポーネントを有することができ、或いは円筒形コンポーネントであってよい。軸エレメントは特に、ほぼ円筒形のピンエレメントであってよい。第2部分の軸エレメントは二軸エレメントであることが好ましい。前記二軸エレメントは2つの軸エレメントを有している。これらの軸エレメントは、特に共通回転軸線A上に平行に配列されていることが好ましい。2つの軸エレメントは結合部分によって結合されている。結合は圧力嵌め、形状嵌合、及び/又は積極的接合によってであってよい。2つの軸エレメントは一体的に結合することもできる。
【0020】
多関節機器は少なくとも1つの第1案内デバイスと少なくとも1つの第2案内デバイスとを有しており、第1相対運動は第1案内デバイスによって案内され、そして第2相対運動は第2案内デバイスによって案内され、特に、第1相対運動は第1運動経路に沿って正又は負の第1方向へ延び、そして特に、第2相対運動は2運動経路に沿って正又は負の第2方向へ延び、特に第1相対運動と第2相対運動とは平行である。
【0021】
第1案内デバイスは、好ましくは第2部分に結合された少なくとも1つの案内部分、及び/又は第1部分に結合された案内部分を有することが好ましい。第2案内デバイスは、好ましくは第2部分に結合された少なくとも1つの案内部分、及び/又は第3部分に結合された案内部分を有することが好ましい。案内部分は別個のコンポーネントであってよく、或いは、第2部分及び/又は第1部分及び/又は第3部分と一体的に形成することができる。案内部分は、回転軸線を画定する軸エレメントであってよい。
【0022】
第1及び/又は第2案内デバイス、及び特に軸エレメントは、第1部分と第2部分、及び/又は第3部分と第2部分との、旋回角度γを成す相対回転を可能にすることを目的として形成されるのが好ましい。旋回角度γは、第1部分と第2部分との相対回転の場合には、第1ストップ位置γ=0から測定され、また第3部分と第2部分との相対回転の事例では、第2ストップ位置γ=0から測定される。第1部分と第2部分との角度γを成す相対回転は好ましくは、0≦γ≦γ1の旋回範囲内で可能である。ここでγ1は、好ましくは正の旋回方向ωの、{60°〜90°;90°〜120°;120°〜180°;180°〜270°}から成るそれぞれの事例における好ましい角度範囲の群から採用される。第3部分と第2部分との角度γを成す相対回転は好ましくは、0≦γ≦γ2の角度範囲内で可能である。ここでγ2は、好ましくは負の旋回方向−ωの、{−60°〜−90°;−90°〜−120°;−120°〜−180°;−180°〜−270°}から成るそれぞれの事例における好ましい角度範囲の群から採用される。したがって、第1部分と第2部分との旋回角度と、第3部分と第2部分との旋回角度とは対向関係にある。γ1の値が負であり、γ2の値が正であることも可能である。
【0023】
第1及び第2部分の可能な旋回範囲と、第3及び第2部分の可能な旋回範囲とは同じであってよく、すなわちγ1とγ2とは同じ量であってよく、或いは異なっていてもよい。目標位置は第1部分及び第2部分の角度γ、並びに第3部分及び第2部分の角度γが両方ともゼロである結果として定義される。このような位置において例えばマイクロマニピュレータ装置の場合には、ツール交換を行うことができ(ツール交換位置とも呼ばれる)、或いは、物体又は試料を安全にハンドリングすることもできる(物体ハンドリング位置とも呼ばれる)。このような相対位置は好ましくは保持デバイス、特に、下述する摩擦デバイスによって保持される。
【0024】
最大旋回角度、例えばγ1、及び/又は最小旋回角度、例えばγ2は、第3ストップ位置及び/又は第4ストップ位置によって定義することができる。第3ストップ位置及び/又は第4ストップ位置は、第1及び第2部分の第3ストップ・デバイス、又は第3及び第2部分の第4ストップ・デバイスによって定義することができる。顕微鏡上でマイクロマニピュレータ装置内に本発明による多関節機器を使用するときには、最小及び/又は最大旋回角度を物理的境界によって制限することができる。
【0025】
案内デバイス、特に第1及び/又は第2案内デバイスはそれぞれ、ピボット軸受けデバイス、好ましくは滑り軸受けデバイス又は好ましくはころ軸受けデバイスを有することによって、2つの部分、特に第1及び第2部分、又は第2及び第3部分を、運動可能であるようにサイド・バイ・サイド状に取り付ける。ころ軸受けデバイスは好ましくは、第1及び第2ころ軸受けを備えたアングル型ころ軸受けデバイスを有している。第1及び第2ころ軸受けはばねデバイスによって互いに引っ張られる。前記アングル型ころ軸受けデバイスは、高いレベルの案内精度を達成する。それというのも、ころ軸受けのころエレメント、特にボールがほとんど遊びなしに取り付けられるからである。このことは、特に、高レベルの精度が重要であるようなマイクロマニピュレータ装置とともに多関節機器を使用する場合に有利であることが判っている。ばねデバイスはカップばねであるか、又はこのようなカップばねを有することが好ましい。本発明による多関節機器の場合、カップばねは、第1及び第2ころ軸受けの相対的な固定のために所望の引張力を提供する。その結果、案内のための精度レベルが達成される。加えて、カップばねは、多関節機器がコンパクトに設計されるのを可能にする。このことは、特に設置空間が制約されたマイクロマニピュレータ装置の場合に有利である。
【0026】
第1固定デバイス及び/又は第2固定デバイスはそれぞれ少なくとも1つの磁気エレメント、特に、特に強磁性によって磁気吸引力を形成するために相補性である磁気エレメントを有することが好ましい。1つの固定デバイスは、所望の固定力を発生させるいくつかの磁気エレメント、特に2,3,4,5,6つの磁気エレメント又は別の数のエレメントを有することができる。このような発展形では、ストップ位置を正確に設定すること、そして正確に定義された固定力でストップ位置を再び解放することが可能になる。
【0027】
磁気エレメントは第1及び/又は第2及び/又は第3部分の一体的なコンポーネントであってよい。磁気エレメントは好ましくは永久磁石であるか、又はこのような永久磁石を有している。磁石はカバーエレメントを有することによって、前記第1及び/又は第2ストップ位置において衝撃を負荷されたときに機械的損傷から磁石を保護することが好ましい。永久磁石はサマリウムコバルト合金から製造され、又は前記材料を有することが好ましい。前記材料は、ラボラトリー内で湿潤環境又は化学物質を負荷された環境において特に耐腐食性であることが判っている。しかし他の永久磁石を使用することも可能である。
【0028】
磁気エレメントは電磁石であってもよく、或いはこのような電磁石を有することもできる。
【0029】
多関節機器がピボットジョイント機器であり、或いは回転可能なエレメントを有する場合、第1固定力は第1固定トルクであってよく、第2固定力は第2固定トルクであってよい。
【0030】
第1固定デバイス及び/又は第2固定デバイスは加えて、第1ストップ位置において第1部分と第2部分とを圧力嵌め及び/又は形状嵌合するための結合デバイス、又は第2ストップ位置において第2部分と第3部分とを圧力嵌め及び/又は形状嵌合するための結合デバイスを有することによって、ストップ位置でこれらの部分を解放可能に固定することができる。結合デバイスは例えばばね式ラッチ結合手段を有することができる。
【0031】
多関節機器は好ましくは、前記第1相対運動に抵抗によって抗することを目的として形成された第1保持デバイスを有しており、前記抵抗を克服するためには少なくとも1つの第1離脱力が必要であり、そして多関節機器は好ましくは、前記第1相対運動に抵抗によって抗することを目的として形成された第2保持デバイスを有しており、前記抵抗を克服するためには少なくとも1つの第2離脱力が必要である。このような保持デバイスを使用して、2つの部分間、特に第1部分と第2部分との間、又は第2部分と第3部分との間に一時的に異なる相対位置を設定することができるので、小さな作用力及び振動に起因する不慮の調節が、設定された相対位置を変えることはない。結果として、多関節機器を用いた作業がより快適且つ安全になる。
【0032】
第1保持デバイスは第1摩擦デバイスを有しており、第1摩擦デバイスは第1相対運動中に第1滑り摩擦をもたらし、そして第1部分及び第2部分の非運動相対位置では第1静摩擦をもたらし、前記滑り摩擦及び静摩擦を克服するために少なくとも前記第1離脱力が必要であり、そして第2保持デバイスは第2摩擦デバイスを有しており、第2摩擦デバイスは第2相対運動中に第2滑り摩擦をもたらし、そして第1部分及び第2部分の非運動相対位置では第2静摩擦をもたらし、前記滑り摩擦及び静摩擦を克服するために少なくとも前記第2離脱力が必要である。摩擦デバイスは、摩擦をもたらす補助エレメントを有することができる。或いは摩擦デバイスは、その案内デバイスが圧力嵌め/中間嵌め、又は極めて僅かなクリアランスの隙間嵌めを有する状態で、2つの摩擦部分を相応に形成することによって補助エレメントなしで済ませることもでき、この場合案内デバイスが具体的に摩擦デバイスを形成する。
【0033】
多関節機器がピボットジョイント機器であるか又は回転可能なエレメントを有する場合、第1離脱力は第1離脱トルクであってよく、第2離脱力は第2離脱トルクであってよい。
【0034】
第1及び第2固定力はそれぞれ、前記第1及び/又は第2離脱力よりも大きい。結果として第1及び第2部分は第1保持デバイスによって保持された相対位置から解放することができ、この場合、第2固定デバイスによって保持された第2ストップ位置が解放されることはない。加えて結果として、第2及び第3部分は第2保持デバイスによって保持された相対位置から解放することができ、この場合、第1固定デバイスによって保持された第1ストップ位置が解放されることはない。第1固定力と第2固定力とは同じ大きさであってよく、或いは互いに異なっていてもよい。
【0035】
第1及び/又は第2摩擦デバイスは好ましくは補助エレメントを有することにより、摩擦を構成又は生成することができる。補助エレメントは、互いに向かって運動する部分の面の間に法線力をもたらすばねエレメントであってよく、或いはこのようなばねエレメントを有することもできる。これらの面の間には摩擦が生じ、これにより法線力が上昇することによって摩擦が高まる。補助エレメントは弾性変形可能であってよく、そして互いに相対運動する部分間、特に第1部分と第2部分との間、及び/又は第2部分と第3部分との間に配置することができる。補助エレメントは弾性変形可能な材料、例えばゴム又は別のエラストマーを有することができる。補助エレメントは好ましくは、流体潤滑剤、特にシリコーングリースから製造された潤滑膜を有することによって、摩擦に起因する補助エレメントの摩耗を低減し、そして摩擦力を調節する。
【0036】
第1摩擦デバイスは好ましくは補助エレメントとして弾性変形可能なリングを有しており、このリングは第1回転軸線Aに対して同軸的に配置されていて、第1滑り摩擦及び第1静摩擦をもたらすために第1部分と第2部分との間にクランプされており、そして第2摩擦デバイスは好ましくは補助エレメントとして弾性変形可能なリングを有しており、このリングは第2回転軸線Bに対して同軸的に配置されていて、第2滑り摩擦及び第2静摩擦をもたらすために第2部分と第3部分との間にクランプされている。回転中にはリングによって、特に均一な摩擦をもたらすことができる。リングは好ましくは案内デバイスの円筒軸エレメントの周りに同軸的に配置される。軸エレメントが第2部分のコンポーネント部分であることが可能である。リングは引張り応力下にあるように軸エレメントの周りに配置されることが好ましい。
【0037】
摩擦デバイスは潤滑剤、例えば鉱物油又はシリコーン油を有することができる。潤滑剤を使用することによって、所望の摩擦を達成し、摩耗を低減又は防止することができる。潤滑剤は補助エレメント、特にリングと、軸エレメントとの間に提供することができ、軸エレメントを第1、第2及び/又は第3部分に配置することが可能である。しかしながら潤滑剤はリングと第1及び/又は第3部分との間に提供することもできる。
【0038】
リングは、第1部分と第2部分との間に加圧下でクランプされ、こうして摩擦を提供するように円形凹部内に配置することができ、円形凹部は好ましくは第1部分と第2部分との間に設けられる。リングは、第2部分と第3部分との間に加圧下でクランプされ、こうして摩擦を提供するように円形凹部内に配置することができ、円形凹部は好ましくは第2部分と第3部分との間に設けられる。円形凹部は好ましくは、スライドするように形成された内面を有することが好ましい。このことの利点は、摩擦によってもたらされるリングの摩耗が低減され、リングの交換頻度が少なくなることである。
【0039】
第1部分及び第3部分は好ましくはそれぞれ、特に溝/舌片ジョイントを用いて更なるコンポーネントを締め付けるための締め付けデバイスを有している。これを目的として、締め付けデバイスは溝を提供することができる。溝は第1及び/又は第3部分に設けられ、且つ/又は一体的に形成される。或いは締め付けデバイスはばねを提供することができる。ばねは第1及び/又は第3部分に設けられ、且つ/又は一体的に形成される。溝は特にT字形であってよい。ばねは特にT字形スライド・ブロック・エレメントを有することができる。T字形スライド・ブロック・エレメントは特に運動可能であるように、第1及び/又は第3部分に設けることができる。
【0040】
多関節機器は好ましくは少なくとも1つの第4部分を有しており、第3部分と第4部分とは、特に第3案内デバイスを用いて、第3相対運動を行うために運動可能であるように互いに結合されている。多関節機器は第3ストップ・デバイスを有しており、第3ストップ・デバイスを介して、第3相対運動が第3ストップ位置でブロックされ、第3ストップ位置では、第3部分と第4部分とが第3方向で互いに衝突し、さらに多関節機器は第3固定デバイスを有しており、第3固定デバイスを介して、第3部分と第4部分とが、負の第3方向に向けられた解放力に抗して、前記解放力が第3固定力を超えるまで、第3ストップ位置に保持され、そして第2ストップ位置と第3ストップ位置とが両方とも存在する第2目標位置として、第2組み合わせストップ位置を設定することができる。2つ以上の目標位置をこのように多関節機器上に定義することもできる。
【0041】
第1相対運動及び第2相対運動は好ましくは、度で測定し得る回転である。組み合わせストップ位置の設定精度qは≦±5×10-1度であり、好ましくはq≦±10-2度であり、好ましくはq≦±5×10-3度であり、そして好ましくはq≦±10-4度である。この文脈における「精度」という用語は、第1部分と第3部分との組み合わせストップ位置、つまり「目標位置」Zにおける相対位置をZ±qの範囲内で繰り返し設定できることを意味する。同じことが、第1ストップ位置P1±q及び/又は第2ストップ位置P2±qの精度に当てはまることが好ましい。
【0042】
本発明の枠組みにおける第1ストップ位置の設定「精度」は、以下の測定方法によって割り出すことができる:次の2つの試験をN=10回行う。すなわち、第1試験では、第1部分及び第2部分をストップ位置から正の旋回方向ωに最大旋回角度γだけ偏向させる。前記相対位置から第1及び第2部分をストップ位置に戻す。第1ストップ位置の測定角度偏差ζ1に注目する。10の第1値ζ1をこうして割り出す。第2試験では、第1部分及び第2部分をストップ位置から負の旋回方向−ωに最大又は最小の(量的な)旋回角度−γだけ偏向させる。前記相対位置から第1及び第2部分をストップ位置に戻す。第1ストップ位置の測定角度偏差ζ2に注目する。10の第2値ζ2をこうして割り出す。精度q1は、こうして割り出された20の値ζ1,ζ2の(量的)最大値に相当する。第2ストップ位置の精度q2を同様に割り出す。組み合わせストップ位置、すなわち目標位置の精度としては、第1ストップ位置に対する精度q1と、第2ストップ位置に対する精度q2との2つの値の和を使用することができる。
【0043】
第1部分と第3部分とは構造的に同一のコンポーネントであることが好ましい。これらは第2部分の左側又は右側に配置することができる。結果として、一方では製造者にとって、多関節機器の製造が単純化され、他方では使用者にとって、多関節機器を所望の様式で組み立てることができるようになる。第1及び第2コンポーネントが鏡像対称的に形成されたコンポーネントであることも可能であり、また好ましい。
【0044】
多関節機器は少なくとも1つの第1締め付け手段、特に圧力嵌め及び/又は形状嵌合による結合、例えばねじ結合のための締め付けエレメント、例えば解放可能なねじ、又はロック・エレメントを有することにより、第1部分と第2部分とを解放可能に互いに締め付けることが好ましい。
【0045】
本発明はまた、本発明による多関節機器を有するマイクロマニピュレータ装置に関する。マイクロマニピュレータ装置は好ましくは第1コンポーネント、特に第1アーム・エレメントを有しており、第1アーム・エレメントは多関節機器の前記第1部分であるか、又は多関節機器の第1部分に結合されている。マイクロマニピュレータ装置は好ましくは第2コンポーネント、特に第2アーム・エレメントを有しており、第2アーム・エレメントは多関節機器の前記第3部分であるか、又は多関節機器の第3部分に結合されている。第1及び第2コンポーネントはそれぞれモータ・デバイスのスライドであってよく、或いはこのスライドに結合することもできる。このようなスライドはマイクロマニピュレータ装置の電動式運動デバイス、特に運動デバイスのリニアモータによって電動式に運動可能である。
【0046】
本発明によるマイクロマニピュレータ装置の場合、本発明による多関節機器が、第1コンポーネント、例えばツールを備えたツール・ホルダを、第2コンポーネント、例えば電動式運動デバイスのスライドに運動可能、例えば旋回可能であるように連結することを目的として使用される。前記マイクロマニピュレータ装置を有するマイクロマニピュレーションは、人工的な物体、例えばマイクロ系、ナノ系、及びこれらのコンポーネントのマニピュレーションを可能にする。マイクロマニピュレーションは特に、生物学的物体、例えば生きている細胞又は微生物のマニピュレーションにも関し得る。両利用分野は、マニピュレーションツール、例えば毛細管、プローブ又は電極を所望の作業位置に配置するときに高いレベルの信頼性及び精度を必要とする。このような作業位置では、しばしば顕微鏡的に小さな物体が、機械的にマニピュレートされる。本発明による多関節機器はこれに特に適している。
【0047】
ツールとも呼ばれるマニピュレーション・ツールは毛細管又はアクチュエータ先端、又はマイクロマニピュレーションに適した切削又は溝切りツール、又はマイクロ電極であってよい。ツールはツール・ホルダを指定することもできる。ツール・ホルダは、例えば毛細管又は切削又は溝切りツールを担持する。ツール・ホルダは特に電気的に作動可能なアクチュエータであってもよい。アクチュエータは例えば圧電式に駆動することができる。典型的な方法と関連して、部品は細胞マニピュレーションを行う場合、ツール、例えば毛細管ホルダ内の毛細管を、例えば他の目的で(例えば生物学的細胞のための成長培地を交換するため、物質の添加のため、など)これを解放するために、又はツールを交換するために、細胞処理中の短い間に目標位置から動かす。後で、ツールを目標位置へできる限り正確に戻さなければならない。本発明によるマイクロマニピュレータ装置の本発明による多関節機器は、このような目的に特に適した形で役立つ。
【0048】
第1及び/又は第2コンポーネントはそれぞれ特に、マイクロマニピュレータ装置のピボット・アーム、又はツールを有する又は有さないツール・ホルダ、電動式運動デバイスのスライド又はモータ駆動式エレメント、保持デバイスのコンポーネント、支持体のコンポーネント、顕微鏡のコンポーネントであってよい。
【0049】
加えて、本発明による多関節機器は、生物学的、医学的、細胞生物学的、又は微生物学的ワークステーションで、特に生きている細胞のマニピュレーションのために、特に微生物学的、細胞生物学的、又は医学的ラボラトリーにおいて使用することが本発明と見なされる。
【0050】
本発明にはまた特に、物体、特に人工的又は生物学的物体、特に生きている細胞又は微生物にマニピュレーションを施す方法の事例において、本発明による多関節機器を利用する方法も関連する。本発明による多関節機器を利用するために、この方法は好ましくは、下記ステップ(a)〜(i)のうちの少なくとも1つのステップを有する。
(a) 特に第1部分又は第3部分を外部コンポーネントeB1、特に本発明によるマイクロマニピュレータ装置の外部コンポーネントeB1に結合することにより、外部コンポーネントeB1に多関節機器を締め付けるステップ。外部構成部分eB1は特に前記多関節機器のための支持デバイスであり、且つ/又は可動エレメント、特に電動式支持デバイスのスライドである。
(b) 特に外部コンポーネントeB2を多関節機器の第1部分又は第3部分に結合することにより、外部コンポーネントeB2を多関節機器に締め付けるステップ。外部コンポーネントeB2を例えば少なくとも1つの結合エレメントによって間接的に、或いは直接的に多関節機器に結合することが可能であり、外部コンポーネントeB2は特に、特に毛細管又はマイクロ切開ツールであり得るマイクロマニピュレーション・ツールのためのツール・ホルダであることが可能である。
(c) 本発明による多関節機器に対して、特に本発明によるマイクロマニピュレータ装置機器に対して所定の距離を置いて物体を位置決めするステップ。
(d) 多関節機器に結合されたマイクロマニピュレーション・ツール、特に毛細管又はマイクロ切開ツールが該物体に対して所望の距離を置いて位置する作業位置として、前記多関節機器の目標位置を設定するステップ。
(e) 第1ストップ位置から出発して、特に目標位置から出発して、前記多関節機器の第1部分と第2部分との間で、該第1部分と該第2部分とが第1相対位置に配置されるまで、第1相対運動、特に回転方向ωの回転運動を行うステップ。
(f) 第2ストップ位置から出発して、特に目標位置から出発して、前記多関節機器の第3部分と第2部分との間で、該第3部分と該第2部分とが第2相対位置に配置されるまで、第2相対運動、特に逆の回転方向−ωへの回転運動を行うステップ。
(g) ステップ(e)に記載の第1相対位置から出発して、又はステップ(f)に記載の第2相対位置から出発して、第1部分及び/又は第3部分の手動処理、特に第1部分又は第3部分に結合されたマイクロマニピュレーション・ツールの除去及び/又は解放を行う(ツール交換)ステップ。前記相対位置はツール交換位置と呼ばれる。
(h) ステップ(e)に記載の第1相対位置から出発して、又はステップ(f)に記載の該第2相対位置から出発して、被マニピュレート物体に処理を施し、特に培地(培養培地、成長培地、又はIVF培地)、緩衝液、溶液、又は油を除去又は添加し、該物体を取り出し、且つ/又は更なる物体(例えば更なる細胞、例えば卵細胞が第1物体であり、次いで第2物体として精子を使用する。或いはその逆もあり)を添加するステップ(物体ハンドリング)。前記位置は物体ハンドリング位置と呼ばれる。
(i) ステップ(f)に記載の第1相対位置から出発して、又はステップ(f)に記載の第2相対位置から出発して、第1及び/又は第2相対位置から多関節機器を手動で戻し旋回させることによって、多関節機器を目標位置(作業位置)へ再位置決めするステップ。
【0051】
図面及び説明とともに、模範的実施態様に関する次の記述から、本発明による多関節機器の更なる好ましい発展形が生み出される。反対のことが記載されない限り、また文脈から反対のことが生じない限り、模範的実施態様の同一のコンポーネントは同一の符号によって実質的に特徴づけられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1aは、本発明の好ましい模範的実施態様による多関節機器を示す。 図1b〜図1eは、図1aの多関節機器の、運動方向A又はBに沿った可能な運動シーケンスを示す。 図1bは、図1aの多関節機器を、第1及び第2部分の第1ストップ位置と第2及び第3部分の第2ストップ位置とが存在する目標位置を形成する組み合わせストップ位置で示す。 図1cは、図1aの多関節機器を、第1及び第2部分の第1ストップ位置、並びに第2及び第3部分の所定の相対位置で示す。 図1dは、図1aの多関節機器を、もう一度目標位置を形成する組み合わせストップ位置にある状態で示す。 図1eは、図1aの多関節機器を、第2及び第3部分の第2ストップ位置、並びに第1及び第2部分の所定の相対位置で示す。
図2図2aは、本発明による好ましい実施態様のピボットジョイント機器を示す斜視正面図である。 図2bは、図2aのピボットジョイント機器を示す斜視背面図である。 図2cは、図2aのピボットジョイント機器を示す斜視分解図である。
図3図3a及びbは、図2aのピボットジョイント機器を、図1a,1dの多関節機器の目標位置と同様の目標位置で示す斜視側面図(図3a)及び底面図(図3b)である。 図3c及びdは、図2aのピボットジョイント機器を、図1eの多関節機器の位置と同様の位置で示す。 図3e及びfは、図2aの多関節機器を、図1cの多関節機器の位置と同様の位置で示す。
図4図4は、本発明による結合機器が好ましく使用されるワークステーションを示す。
図5図5は、本発明による多関節機器、特に図1a,1b,2a〜2c及び3a〜3fの模範的実施態様の多関節機器を有する本発明によるマイクロマニピュレータ装置の模範実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1aは、本発明の好ましい模範的実施態様による多関節機器10を示している。この多関節機器は、コンポーネントの目標位置への相対運動を案内するためにマイクロマニピュレータ装置と一緒に使用することができる。多関節機器10は第1部分11、第2部分12、及び第3部分13によって構成されている。第1部分11と第2部分12とは、第1相対運動Aを行うために運動可能であるように互いに結合されている。第2部分12と第3部分13とは、第2相対運動Bを行うために運動可能であるように互いに結合されている。多関節機器10は少なくとも1つの第1ストップ・デバイス14と第2ストップ・デバイス15とを有している。第1ストップ・デバイス14を介して、第1相対運動Aが第1ストップ位置P1でブロックされる。第1ストップ位置では、第1部分11と第2部分12とが第1方向で互いに衝突する。第2ストップ・デバイス15を介して、第2相対運動Bが第2ストップ位置P2でブロックされる。第2ストップ位置では、第2部分12と第3部分13とが第2方向Bで互いに衝突する。多関節機器は、少なくとも1つの第1固定デバイス16と、少なくとも1つの第2固定デバイス17とを有しており、第1部分11と第2部分12とは、負の第1方向に向けられた解放力に抗して、前記解放力が第1固定力を超えるまで、第1ストップ位置に第1固定デバイス16を介して保持される。第2部分12と第3部分13とは、負の第2方向に向けられた解放力に抗して、前記解放力が第2固定力を超えるまで、第2ストップ位置に第2固定デバイス17を介して保持される。そして、第1ストップ位置と第2ストップ位置とが両方とも存在する前記目標位置として、組み合わせストップ位置を設定することができる。
【0054】
第1ストップ・デバイス4はまたこの場合には、例えば永久磁石によって第1固定デバイス16を形成しており、そして第2ストップ・デバイス15はまた、この場合には第1固定デバイス17を形成している。第1案内デバイス18はここでは第1相対運動Aを案内するために役立ち、第1案内デバイス19はここでは第2相対運動Bを案内するために役立つ。Aは、第1部分に対する第2部分の第1運動方向を示し、Bは、第2部分に対する第3部分の第2運動方向を示す。これらの方向に対して反対の方向は負の符号を有している。運動方向A及びBは概略的ではあるが、図面に示されたものに相当すると理解するべきである。これらの運動方向は同じ直線運動方向A=Bに対して平行な直線運動であってよい。回転運動の場合、方向A及びBはそれぞれ正の回転方向、又は負の符号がついている場合には負の回転方向に相当することになる。
【0055】
図1b〜図1eは、図1aの多関節機器の、運動方向A又はBに沿った可能な運動シーケンスを示している。多関節機器の第1部分11は固定基準点と見なされ、この固定基準点を基準として、第2部分12の運動Aが生じる。
【0056】
図1bは、多関節機器10を組み合わせストップ位置で示す。組み合わせストップ位置は、第1及び第2部分の第1ストップ位置P1と第2及び第3部分の第2ストップ位置P2とが存在する目標位置を形成する。
【0057】
図1cは、図1aの多関節機器を、第1及び第2部分の第1ストップ位置で示す。第2固定力F2を克服することにより、第2部分12と第3部分13は互いに解放されており、所定の相対位置に転移されている。
【0058】
図1dは、図1aの多関節機器を、もう一度目標位置を形成する組み合わせストップ位置にある状態で示している。
【0059】
図1eは、図1aの多関節機器を、第2部分12及び第3部分13の第2ストップ位置、並びに第1及び第2部分の所定の相対位置で示す。この相対位置は、第1固定力F1を克服することによって第1部分11に対して第2部分12が運動すること(A)によって達成されている。手動で生じた力は、第3部分13を介した力伝達によって第2部分12へ、そして第2部分12から第1部分11へ伝達されている。
【0060】
図2aは、本発明による好ましい実施態様のピボットジョイント機器20を示す斜視正面図である。図2bはその斜視背面図である。ピボットジョイント機器は、第1部分21と、第2部分22と、第3部分23とを有している。これらの部分はそれぞれ、ストップ領域内で互いに衝突するまで回転軸線Aを中心として回転させることができる。
【0061】
図2cは、ピボットジョイント機器20の構成を示す分解図である。第1部分21と第3部分23とは同一に構成されている。このことは回転ジョイントの製造及びその組み立てを簡単に単純化する。第1部分21の構成に関する以下の説明はしたがって第3部分23にも同様に当てはまり、またその逆も同じである。
【0062】
組み立て中、第1部分21は第2部分22の軸エレメント22e上に配置され、第3部分は第2部分22の軸エレメント22d上に配置される。第2部分は好ましくは、この事例では鋼から製造されたディスク形の取り付け板22cを有している。前記板は2つの軸エレメント22d及び22eに固定的に結合されている。2つの軸エレメント22d及び22eは互いに平行であり、共通の回転軸線Aに対して同軸的である。前記取り付け板22cの一方の側では、ストップ・エレメント22bがねじによって固定的に取り付けられており、ベース板22cの他方の側では、ストップ・エレメント22aがねじによって固定的に取り付けられている。ストップ・エレメント22bはストップ領域24bを有しており、ストップ・エレメント22aはストップ領域25bを有している。ストップ領域の機能についてはこれから説明する。ストップ・エレメントは好ましくはアルミニウムから製造される。第2部分が一体的に製造されたコンポーネントであること、特に、ストップ・エレメントが互いに一体的に結合されていること、すなわち具体的に言えば別個の結合取り付け板又は同等の結合エレメントを用いないことも可能であり、また好ましい。一般に、ストップ領域は一体的に形成することができ、又は第2部分に結合された別個のストップ部分として提供することもできる。
【0063】
ストップ・エレメント22aはストップ・エレメント22bに対して鏡像対称的に構成されている。回転軸線Aに対して特に同軸的に配置された中空円筒エレメントの壁部分に相当するように、ストップ・エレメントが形成されていることが好ましい。前記壁部分は、この事例におけるように一部が回転軸線Aの周りに、好ましくは90°〜270°の角度範囲β内で、好ましくは125°〜290°の角度範囲β内で、好ましくは140°〜180°の角度範囲β内で延びることができる。ピボットジョイント機器20の場合、ストップ・エレメント22a,22bは回転軸線の周りに同軸的にほぼ155°の角度βで延びている。このことは図3dに示されている。回転軸Aを中心として周方向で対向するストップ・エレメント22bの端部に、前記ストップ・エレメントはストップ領域24b及び24cを有しており、又はストップ・エレメント22aはストップ領域25b及び25cを有している(図3d)。
【0064】
第1部分21は中空円筒状の受容部分21aを有している。この受容部分は、第2部分22の軸エレメント22eを受容するための円筒形凹部を有している。受容部分21aには締め付け部分21bが一体的に結合されている。締め付け部分21bには、この事例ではばねエレメント21dが、舌片−溝ジョイントのためにねじ21cによって取り付けられている。舌片−溝ジョイントによって、ピボットジョイント機器20にはコンポーネントを快適に取り付けることができる。特に、言うまでもなく、第1コンポーネント、例えばマイクロマニピュレータ・アームのための取り付け部材を第3部分23、又は第1部分21の舌片−溝ジョイントによって多関節機器20に結合することができ、そしてマイクロマニピュレータ装置のツール・ホルダは、第1部分21、又は第3部分23の舌片−溝ジョイントによって多関節機器20に結合することができる。
【0065】
ピボットジョイント機器20は第1ストップ・デバイス24を有している。第1ストップ・デバイス24を介して、第1相対運動が第1ストップ位置でブロックされる。第1ストップ位置では、第1部分21と第2部分22とは第1回転方向で互いに衝突する。
【0066】
ピボットジョイント機器20は第2ストップ・デバイス25を有している。第2ストップ・デバイス25を介して、第2相対運動が第2ストップ位置でブロックされる。第2ストップ位置では、第3部分23と第2部分22とは第2回転方向で互いに衝突する。
【0067】
第1ストップ・デバイス24は2つのストップ領域24a(図2cでは見られない)及び24bを有している。ストップ領域24aは、回転軸線Aに対して平行に形成された第1部分21のストップ面であり、そしてストップ領域24bは、やはり回転軸線Aに対して平行に形成された第2部分22のストップ面である。2つのストップ面24a及び24bは平らに互いに接触し、好ましくは平面状に形成される。
【0068】
第2ストップ・デバイス25も同様に構成される。すなわち第2ストップ・デバイス25も2つのストップ領域25a及び25bを有している。ストップ領域25aは、回転軸線Aに対して平行に形成された第3部分23のストップ面であり、そしてストップ領域25bは、やはり回転軸線Aに対して平行に形成された第2部分22のストップ面である。2つのストップ面25a及び25bは平らに互いに接触し、好ましくは平面状に形成される。
【0069】
第1部分21が第2部分22上で回転可能であるように配置されると、ストップ領域24aはストップ領域24bに向かって動かされ、第1ストップ位置においてこれに衝突する。この事例では、第2部分が固定的に保持されており(これはピボットジョイント機器が正しく使用されるときには当てはまらない)、そして回転方向ωは、第1部分がピボットジョイント機器20の上面図で見ると時計方向に動かされる方向、或いは図3b,3d及び3fの底面図で見ると反時計回りに動かされる方向であると想定しなければならない。同じことが、第3部分23が第2部分22上で回転可能であるように配置されるときにも当てはまり、ストップ領域25aはストップ領域25bに向かって動かされ、第2ストップ位置においてこれに衝突する。第1ストップ位置及び第2ストップ位置は、高い精度で設定される。結果として、組み合わせストップ位置は常に何度も正確に設定することができる。このことはマイクロマニピュレータ・デバイスの事例において、特に細胞生物学的及び/又は微生物学的ワークステーションの事例において極めて望ましい。
【0070】
図3dに示されているように、この事例では、更なるストップ領域24c,24d,25c,25dが存在している。これらのストップ領域を介して、第1、第2及び第3部分はそれぞれ負の回転方向、換言すれば反対の回転方向−ωにおける相対回転運動時に互いに衝突する。
【0071】
ピボットジョイント機器は第1固定デバイス26と、第2固定デバイス27とを有している。第1部分21と第2部分22とは、負の回転方向−ωに向けられた解放トルクに抗して、前記解放トルクが第1固定トルクを超えるまで、第1ストップ位置に第1固定デバイス26を介して保持される。第2部分22と第3部分23とは、負の回転方向−ωに向けられた解放トルクに抗して、前記解放トルクが第2固定トルクを超えるまで、第2ストップ位置に第2固定デバイス27を介して保持される。
【0072】
第1固定デバイス26は2つの永久磁石26aを有している。これらの永久磁石は第1部分21の第1ストップ面24a内に収容されている。第1固定デバイス26はまた、ストップ面24bの磁気領域26bを有している。これらの磁気領域は永久磁石26aとの吸引相互作用をもたらす。ストップ面24bはこの事例では、永久磁石26aに対する充分な磁気吸引作用を有するように形成されている。第2固定デバイス27は2つの永久磁石27aを有している。これらの永久磁石は第3部分23の第1ストップ面25a内に収容されている。第2固定デバイス27はまた、ストップ面25bの磁気領域27bを有している。これらの磁気領域は永久磁石27aとの吸引相互作用をもたらす。ストップ面25bはこの事例では、永久磁石27aに対する充分な磁気吸引作用を有するように形成されている。永久磁石26a,27aはコバルトサマリウム合金を有している。
【0073】
組み立て中、第1部分21は第2部分22の軸エレメント22e上に配置され、第3部分は第2部分22の軸エレメント22d上に配置される。第2部分22上での第1部分21の回転は、第1案内デバイス28によって案内される。第1案内デバイス28はこれと連携するように、第2部分22の軸エレメント22e、軸エレメント22eを受容するための第1部分21の円筒形凹部、及びころ軸受け28a及び28bを有している。第2部分22上での第3部分23の回転は、第2案内デバイス29によって案内されている。第2案内デバイス29はこれと連携するように、第2部分22の軸エレメント22d、軸エレメント22dを受容するための第3部分23の円筒形凹部、及びころ軸受け29a及び29bを有している。
【0074】
ころ軸受け28a,28b及び29a,29bはまた第1部分21又は第3部分23の受容部分内に受容されている。第1部分21又は第3部分23の受容部分はそれぞれカバーフラップ33によって外側に向かってカバーされている。
【0075】
ころ軸受けデバイス28a及び28b、そして同様にころ軸受けデバイス29a及び29bは、第1ころ軸受け28a及び第2ころ軸受け28bを備えたアングル型ころ軸受けデバイスを有している。第1ころ軸受け28a及び第2ころ軸受け28bはカップばね30、カップばねを保持するためのばねマンドレル・エレメント31、及びねじ32によって互いに引っ張られる。ばねマンドレル・エレメント31はストップ側を提供する。ストップ側にはカップばね30が支持されている。前記アングル型ころ軸受けデバイスは、高いレベルの案内精度を達成する。それというのも、ころ軸受けのころエレメント、特にボールがほとんど遊びなしに取り付けられるからである。このことは、特に、高レベルの精度が重要であるようなマイクロマニピュレータ装置とともに多関節機器を使用する場合に有利であることが判っている。
【0076】
ピボットジョイント機器は、第1部分21及び第2部分22の第1相対運動に抵抗によって抗することを目的として形成された第1保持デバイス41を有しており、前記抵抗を克服するためには少なくとも1つの第1離脱トルクが必要である。ピボットジョイント機器は、第3部分23及び第2部分22の第2相対運動に抵抗によって抗することを目的として形成された第2保持デバイス42を有しており、前記抵抗を克服するためには少なくとも1つの第2離脱トルクが必要である。
【0077】
第1保持デバイス41及び第2保持デバイス42はそれぞれ摩擦デバイスとして形成されている。第1摩擦デバイス41は第1回転運動中に第1滑り摩擦をもたらし、そして第1部分及び第2部分の非運動相対位置では第1静摩擦をもたらし、前記滑り摩擦及び静摩擦を克服するために少なくとも前記第1離脱トルクが必要である。第2摩擦デバイス42は第2回転運動中に第2滑り摩擦をもたらし、そして第3部分21及び第2部分22の非運動相対位置では第2静摩擦をもたらし、前記滑り摩擦及び静摩擦を克服するために少なくとも前記第2離脱トルクが必要である。
【0078】
第1及び第2固定トルクはそれぞれ前記第1及び/又は第2離脱トルクよりも大きい。第2離脱力を克服することによって、第3部分23のストップ面25aが例えば図3e及び3fの位置から出発して正の回転方向ωで第2部分22のストップ面25bに向かって動かされるときに、固定トルク及び離脱トルクを前記のように決定することにより、第1部分21と第2部分との固定が維持される。加えて、第1離脱力を克服することによって、固定された第1部分21に対して第3部分23及び第2部分22を回転させることにより、第2部分22のストップ面24aが例えば図3c及び3dの位置から出発して負の回転方向−ωで第1部分23のストップ面24aに向かって動かされるときに、固定トルク及び離脱トルクを前記のように決定することにより、第3部分23と第2部分22との固定が維持される。
【0079】
第1摩擦デバイスは補助エレメントとして弾性変形可能なリング34を有している。このリングは第1回転軸線Aに対して同軸的に配置されていて、第1滑り摩擦及び第1静摩擦をもたらすために第1部分21と第2部分22との間にクランプされている。リング34が軸エレメント22eの円筒部分22e_1の外壁と、図2cの破線によって示された円筒形凹部34aの内壁との間にクランプされることにより、応力が生成される。したがってその結果、回転軸Aに対してほぼ半径方向に圧縮力が生成される。同様に、第3部分23と第2部分22との間には更なる弾性リング34がクランプされ、この弾性リングはしたがって第2摩擦デバイスのコンポーネント部分である。
【0080】
リング34は、好ましくは軸エレメント22e,22dと第1部分21又は第3部分23との間、或いは第1又は第3部分の軸エレメントと第2部分との間にクランプされることによって、軸エレメントに対してほぼ半径方向に全ての側で圧縮応力を加えられることが好ましい。リングは好ましくは、第1部分又は第3部分の凹部の外径に固定される。すなわち具体的に言えばリングはそこで回転することができない。確かにそこには摩擦嵌めも存在するがしかし、リングの外面と凹部32aとの接合部は好ましくは潤滑されないので、保持力はリングの内面と軸エレメント22e,22dとの間の付着力よりも大きい。そしてリングの外径は内径よりも大きいので、表面圧力(ひいては法線力)はより小さい。
【0081】
図3a,b,c及びdは、図2aのピボットジョイント機器を、図1b,1c及び1eの多関節機器の位置と同様の目標位置で示している。図3a,3c及び3eは、第1部分21が固定された回転機器20の斜視側面図である。図3a,3c及び3eはこれに相応して、第1部分21が固定されたピボットジョイント機器20の斜視底面図である。
【0082】
図3a及び3bは、組み合わせストップ位置を示している。この組み合わせストップ位置では、第1部分21が第2部分22に衝突し、そして両者がサイド・バイ・サイド状に固定されており、また第3部分23が第2部分22に衝突し、そして両者がサイド・バイ・サイド状に固定されている。第1部分21は今や、図1b〜1eのように固定される。次いで第3部分23を使用者によって負の回転方向−ω又は正の回転方向ωに選択的に回転させることができる。図3a,3bに示された組み合わせストップ位置は、本発明によるピボットジョイント機器を使用して正確に何度でも繰り返し再現することができる。
【0083】
使用者が図3a,3bの組み合わせストップ位置から回転方向ωに第3部分23を回転させると、第1解放トルクが生成されて第1部分21のストップ面24aと第2部分の磁気ストップ面24bとの磁気固定が解放されるまで、第3部分23は第3部分23のストップ面25aによって第2部分22のストップ面25bに圧着される。使用者は、第1部分21と第2部分22との滑り摩擦を克服することによって、回転方向にさらに押圧し、そして図3c,3dに示された任意の相対位置でこれを終える。この相対位置では、第1部分21と第3部分23とは静摩擦によって互いに保持されるので、前記相対位置は静摩擦よりも小さな僅かな力によっては解放されない。結果として、前記多関節機器を使用してマイクロマニピュレータ装置を安全にハンドリングすることができる。
【0084】
使用者が図3a,3bの組み合わせストップ位置から回転方向ωとは反対方向、すなわち方向−ωに第3部分23を回転させると、第2解放トルクが生成されて第3部分23のストップ面25aと第2部分の磁気ストップ面25bとの磁気固定が解放されるまで、第1部分21は第1部分21のストップ面24aによって第2部分22のストップ面24bに圧着される。使用者は、第3部分23と第2部分22との滑り摩擦を克服することによって、負の回転方向にさらに押圧し、そして図3e,3fに示された任意の相対位置でこれを終える。この相対位置では、第1部分21と第3部分23とは静摩擦によって互いに保持される。
【0085】
図4は、種々の器具と保持機器1とを有する細胞生物学的ワークステーション100を示している。ワークステーションは、顕微鏡101と、電気制御装置111を備えた毛細管ホルダ106として形成された圧電マイクロアクチュエータ106と、マイクロ位置決めデバイス(10,31)とを含んでいる。マイクロ位置決めデバイス(10,31)は、ジョイスティックを備えた作業機器31と、作業機器にケーブル・デバイス121によって接続された運動デバイス10とを有している。運動デバイス31はマイクロマニピュレータ装置の一部である。その毛細管106は運動可能であるように取り付けられており、そして運動デバイスの駆動装置によって高レベルの精度で運動可能である。例えば図1a〜1eの模範的実施態様に記載されたような多関節機器は、快適且つ正確に手動でマイクロマニピュレータ装置の2つのコンポーネントを互いに相対的に配置し、そしてこれらを所望の目標位置に固定するために使用される。
【0086】
運動デバイス10の駆動装置は3つのステッピング・モータ(図示せず)を有している。これらのモータによって、保持機器1は、使用者によってもたらされた位置変化x,y,zに応じた作業機器31の出力信号によって制御されてデカルト座標系の3つの軸x’,y’,z’に沿って運動可能である。作業機器は、ジョイスティック軌跡によってx−y平面の方向の運動を制御する。ジョイスティック・レバーボタンの回転ホイールを用いてこれを特にz方向で制御することもできる。ワークステーションは更なる器具、例えば毛細管内に液体を圧送するためのマイクロポンプ器具、第2ジョイスティック・デバイスなどを有することができる。これらの器具は原則として実験台110上に配置される。テーブルの下には任意のペダル制御機器を配置することができる。
【0087】
前記ワークステーションの使用者は、典型的な用途実施中、例えばICSI実施中に、例えば細胞を有するペトリ皿を、この場合には反転した顕微鏡101の作業面102上に置き、次いで、スライド103によって手動で運動可能な運動デバイス20をペトリ皿の近くに動かし、次いで毛細管107を備えた毛細管ホルダ106を手動で比較的迅速にペトリ皿の方向に、特にペトリ皿に含まれる成長培地中に毛細管107が浸るまで動かす。この場合、特に片手だけを使用して、本発明による結合機器によって快適にマイクロマニピュレータ装置のコンポーネント部分をサイド・バイ・サイド状に配列又は整列させ、そして固定し得ることが極めて有利である。
【0088】
本発明によるピボットジョイント機器によって、毛細管107の毛細管先端は目標位置から、そして顕微鏡のレンズ有効範囲から単純且つ迅速に、そしてそれと同時に極めて正確に動かすことができ、再び目標位置及びレンズ有効範囲内へ戻すことができ、この場合、顕微鏡に対する更なる調節操作又はマイクロ位置決めデバイスによる更なる調節操作はこの目的には必要とならない。多関節機器によって、操作シーケンスは効率的になると同時に人間工学的である。
【0089】
マイクロ位置決めデバイスの助けなしに、充分な精度及び好適な分解能で手動位置決めを行うことができ、すなわち、顕微鏡上の好適な作業位置(又は形態)を得るためにマニピュレータ・アームのコンポーネントの位置を互いに調節することができる。顕微鏡のレンズ有効範囲内の光軸を毛細管でターゲットすることによって、試料を有する試料容器を顕微鏡の試料容器受容手段内に配置することなしに、僅か約1〜2mmの調節が行われる。溝内のスライド・ブロック・エレメントの正確な軸方向可動性の結果、互いに向かって変位されるべきコンポーネントの並進運動が溝長手方向軸線に沿って常に正確にもたらされる。
【0090】
ひとたび毛細管ホルダが手動で動かされたら、ジョイスティック及び運動デバイスによって、マイクロ位置決めデバイスがモータ制御式に正確に位置決めされる。使用者は合焦ホイール104によって片手で毛細管先端と細胞と間の光学的焦点を調節することにより、毛細管先端と細胞上の目標点との間の距離を観察する。ジョイスティックを僅かに偏向させることにより、この事例では50nm〜15μmの範囲内の正確な制御が細胞の近くにもたらされる。この用途の場合、ワークステーション及びその器具、特に多関節機器1’の操作は片手で直感的且つ快適に行われるので有利である。
【0091】
図5は、図4で示されるようなワークステーションで使用することができる、本発明による多関節機器214を有するマイクロマニピュレータ装置200を示す。
【0092】
マイクロマニピュレータ装置200は保持アーム201を有している。保持アームは溝部分202と溝部分202’とを有している。保持手段203’がアングル・コネクタとして形成されていて2つのスライド・ブロック204’を有している。第1保持手段203’と同様の第2保持手段203は見られない。それというのも第2保持手段はこれを保持する運動デバイス211,212,213によって隠されているからである。保持アーム201は顕微鏡の支持体に締め付けられている。装置、例えば2つの運動デバイスは、保持アーム201の中央凹部205の両側で、2つの保持手段203’,203に取り付けることができる。
【0093】
運動デバイスはツール、特に毛細管ホルダ206及び保持機器209を備えた毛細管207をマイクロ位置決めするために役立つ。運動デバイスは3つの主なコンポーネント、つまりz方向に運動するためのモータ・ユニット211と、y方向に運動するためのモータ・ユニット212と、x方向に運動するためのモータ・ユニット213とを有している。モータ・ユニット211,212,213はそれぞれ、溝部分211c,212c,213cを備えた第1板部分211a,212a,213aと、溝部分211c’,212c’,213c’を備えた被駆動側の第2板部分211b,212b,213bとを有している。第2板部分211b,212b,213bは、それぞれ板部分211a,212a,213aに対して直線運動可能であるように配置されている。第1板部分211a,212aと第2板部分211b,212bとの間の結合エレメントとして、アングル・コネクタ12がそれぞれ配置されている。
【0094】
第1板部分213aと第2板部分212bとの間には、旋回可能な結合エレメント214、つまり本発明による多関節機器が配置されている。多関節機器は、モータ・ユニット213がこれに締め付けられたコンポーネントとともにz軸線の周りを手動旋回するのを可能にし、そして毛細管207の目標位置における正確な配置を可能にする。多関節機器214は上記ピボットジョイント機器20であってよい。この事例では、ピボットジョイント機器20の第3部分23は、溝−舌片ジョイントによって、ばねエレメント23d及び板部分212cの溝212c’を介して板部分212cに結合されており、そして第1部分21は、溝−舌片ジョイントによって、ばねエレメント21d及び板部分213aの溝213cを介して板部分213aに結合されている。ピボットジョイント機器20の結果として、モジュール群213,209,206,207は旋回可能であるように板区分212cに結合されている。特に多関節機器を利用するための本発明による方法によってピボットアームが快適な正確な形式で配列、整列、及び固定されるのを可能にする本発明による多関節機器が、図5のマイクロマニピュレータ装置を用いてこのように利用される。
図1a
図1b-1e】
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4
図5