特許第6367835号(P6367835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367835
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】空気タービンを伴う歯科用準備器具
(51)【国際特許分類】
   A61C 1/05 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   A61C1/05 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-556527(P2015-556527)
(86)(22)【出願日】2014年2月11日
(65)【公表番号】特表2016-506806(P2016-506806A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2014052586
(87)【国際公開番号】WO2014122316
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2016年12月19日
(31)【優先権主張番号】102013202174.7
(32)【優先日】2013年2月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500058187
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エルトゥグルル,メティン
(72)【発明者】
【氏名】ゴイッサー,シエグフリエド
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−56958(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3005403(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツール(1.1)を駆動するための回転子(5)を伴う空気タービン(1)を有する歯科用準備器具であって、前記回転子(5)は、回転軸(4)の周りを回転するためにタービン室(18)の中に搭載され、圧縮空気ノズル(22)からの圧縮空気によって衝突され、前記タービン室(18)に流体接続している第一の環状ダクト(8)が、前記ツール(1.1)に面する前記タービン室(18)の側面に配列され、前記第一の環状ダクトは、前記タービン室(18)の周辺の角度範囲(α)にわたって延在し、出口ダクト(19)に面する第一の半径方向隔壁(23)を前記圧縮空気ノズル(18.2)の領域において有し、前記出口ダクト(19)から少し離れた前記角度範囲の端部に第2の半径方向隔壁(24)及び前記出口ダクト(19)の領域において中断された環状隔壁(7)を有し、第二の環状ダクト(9)が、前記中断された隔壁(7)の領域において前記出口ダクト(19)に対して開放している前記第一の環状ダクト(8)の半径方向内側に存在し、円盤形状隔壁(20)が、前記2つの半径方向隔壁(23、24)の間に存在し、残りの角度範囲(360°−α)にわたる周辺方向に延在し、前記円盤形状隔壁は、前記出口ダクト(19)から前記タービン室(18)を密閉し、前記第一の半径方向隔壁(23)は、前記環状空間(8)を前記出口ダクト(19)に接続する開口部(17)を有する、歯科用準備器具。
【請求項2】
遠心力の影響を受けて250,000rpmの回転速度において変形する、回転速度に応じて変形可能である調節手段(6)が提供され、前記調節手段(6)は、前記回転子の中のシート領域(5.4)の中に配列され、前記シート領域(5.4)は、隙間(13)を形成する間、制御リング(10)によって覆われ、前記制御リング(10)は、前記第の環状ダクト(9)への少なくとも1つの通路(14)を有し、付加的な隙間(12)が、前記制御リング(10)と前記軸方向隔壁(7)との間に存在することを特徴とする、請求項1に記載の歯科用準備器具。
【請求項3】
前記調節手段(6)は、それが250,000rpmの回転速度での弾性変形によって前記制御リング(10)と前記回転子(5)との間の前記隙間(13)を閉鎖するように変形可能であり、200,000rpm未満の回転速度による負荷の下では、前記制御リング(10)と前記回転子(5)との間の前記隙間(13)は、前記調節手段(6)によって流れが制限されることがないことを特徴とする、請求項2に記載の歯科用準備器具。
【請求項4】
前記第一の半径方向隔壁(23)における前記開口部(17)は、前記第一の環状ダクト(8)の断面の少なくとも20%、好ましくは断面の60%超を占めることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用準備器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールを駆動するための回転子を伴う空気タービンを有する歯科用準備器具に関し、回転子は、回転軸の周りを回転するためにタービン室の中に搭載されており、圧縮空気ノズルからの圧縮空気によって衝突され、速度を調整するための調節手段を有し、タービン室に流体接続している環状ダクトは、ツールに面するタービン室の側面に配列されており、環状ダクトは、タービン室の周辺の角度範囲にわたって延在し、圧縮空気ノズルの領域の出口ダクトに面する第一の半径方向部分を有し、角度範囲の端部に出口ダクトからある距離のところに第二の放射方向部分及び出口ダクトの領域において中断された環状部分を有し、付加的な環状ダクトが、中断された部分の領域において出口ダクトに開放している第一の環状ダクトの半径方向内側に存在し、円盤形状隔壁が2つの半径方向隔壁の間に存在し、残りの角度範囲の上に周辺方向に延在し、円盤形状隔壁はタービン室を出口ダクトから閉鎖する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第195 18 703 A1号は、回転させられることができるシャフトを有する歯科用駆動ユニットであって、供給される圧縮空気が、回転子に作用した後に、回転子室から環状空間の中へと通過する歯科駆動ユニットを記載している。環状空間から第一の室の中へと通過するために、排気空気は、回転子及び断面が円筒形である隔壁によって境界を定められた通路を通って流れなければならない。空転速度を制限するために、可変形状の弾性調節手段が回転子に一体化されており、この調節手段は、遠心力の結果としての最大速度における空転モードでの通路の断面積を低減及びおそらく完全に閉鎖する。最大の直径を有する回転子の領域は、空転モードにおいて出口開口部及び戻り空気ダクトに対して閉鎖されており、回転速度を低減させることの結果としてのみ再び開放するので、閉鎖後の圧力勾配は、空転モードにおいては回転子の外側縁と軸近傍の回転子の領域との間に、減速段階においては歯科用タービンによる望ましくない吸入効果を強め得る戻り空気ダクトまでに生じる。
【0003】
タービン室内で回転もする圧力媒体の流れと協同して、タービン室の中の出口開口部の前にカーテンを形成する流れ網を有するタービンハンドピースが、欧州特許第0 974 308 A1号から公知である。流れは、出口開口部から出ることが防止されてタービン室の中に残るように、流れ網によって、出口方向と反対側のタービン室の半径方向内側に十分に偏向させられる。このことは、吸入に望ましい流れが減速の間に形成することを困難にする。不利な点は、流れ網が出口開口部全体にわたって延在し、出力の損失及び出口開口部、特に出口断面の構成の制限が予想され得ることである。
【0004】
タービン室に接している室は、独国特許出願公開第103 20 903 A1号から公知である。空気は、遠心力によってこの室の中に圧入され、それによって局所的に制限された過圧力カーブを生成する。この室から、補助流れが、回転子の底面及び上面を過ぎてベアリングの開口部まで流れる。この室の中に生成される圧力クッションは、回転速度に従い、作動及び減速の両方の間に存在するが、それらの間に速度とともに減少する。吸入効果は、それによって、減速の間に同様に打ち消されることになる。
【0005】
回転子を制動又は停止するための制動手段は、独国特許第692 01 133 T2号から公知である。制動手段は、流体の制御流れによって起動され、摩擦によって回転子の回転を制動する適用手段及び逆の適用手段を有する弾性変形可能な機関を備えている。高速度に起因して、摩擦接触が大量の熱を生成し、全時間にわたって制動の効果が摩耗現象によって低減されるように摩滅が生じる。これに加えて、回転子の内部は、摩滅材料によって汚染される。望ましくもないこれらの小片は、また、患者の口に入り得る。
【0006】
ツールに面する回転子の側面に位置している流出室が、欧州特許第0 629 383 B1号から公知である。流出ダクトは、ツール横の回転子シャフトの軸の近傍に配列され、ツール横の回転子ベアリングに向かって走り、戻り空気ダクトへの開口部を有するこのツール横の流出室に隣接している。流出室、流出ダクト及び戻り空気出口のこの配列によって、最大の直径を有する回転子の領域は、戻り空気出口から分離している。減速の間、回転子によって半径方向外側に遠心力が掛けられた空気は、流出することができない。戻り空気出口の領域において、直径に顕著な差はないが、このことは、吸入効果を低減することに関しては極めて効果的であることがわかる。本発明の重要な不利点は、戻り空気ガイドウェイの必然的に好ましくない設計であり、その理由は、排気空気の全てが戻り空気ダクトに達するためには流出室を通って流れなければならないからである。一方において、これにより、排気空気が通って流れなければならない最小断面を大いに低減し、回転子室におけるバックアップを生じさせる。他方において、排気空気は、軸近傍に位置し、小さい直径を有する流出ダクトに向かう遠心力と反対側に最大の直径を有する回転子室から半径方向外側に流れなければならない。このことは、不利な出力損失と関係している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、減速の間、すなわち、駆動されていない間に回転子の吸入を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、この目的は、第一の半径方向隔壁が開口部を有し、その開口部によって環状空間が出口ダクトに流体接続しているという、請求項1に記載の特徴によって達成される。
【0009】
第一の環状空間の隔壁の開口部は、減速の間での吸入を防止し、摩耗を受ける部分がなく、評価される回転速度での出力における有意な犠牲なしに、非常に容易に製造可能であり、それゆえに経済的な解決策を提供する。減速の間、第二の環状ダクトから第一の環状ダクトの中へと誘導される流れが、遮断流れとして使用され、それによって減速の間にベアリングを通る吸入を防止する。
【0010】
有利なことに、高回転速度で遠心力の影響を受けて変形する速度に応じて変形可能である調節手段が提供されることができ、調節手段が回転子のシート領域に配列され、シート領域が、隙間を形成する間、制御リングによって覆われ、制御リングは、第二の環状ダクトへの少なくとも1つの通路を有し、付加的な隙間が制御リングと軸方向隔壁との間に存在する。
【0011】
流れを分割することによって、隙間が開放しているときの準備モードにおいて強い出力を提供すること、及び回転子と制御リングとの間の隙間を部分的に又は完全に閉鎖することによって空転モードの間、回転速度を制限することが可能である。むしろ、制御リングと軸方向隔壁との間の隙間は、調節手段が変形されているときでさえも確かに存在する最小の流れ断面を確保する。
【0012】
調節手段を介する、及び制御リングを介する空転回転速度についての制御機能は、第一の環状隙間の隔壁における開口部から完全に独立しており、それによって損なわれず、更に、制御機能が、第一の隔壁におけるこの開口部を伴わずに設計された準備器具において使用されることができることが特に留意される。
【0013】
有利なことに、調節手段は、それが高回転速度で、好ましくは250,000rpmの速度で始まる弾性変形によって、制御リングと回転子の間の隙間を閉鎖するように変形可能とすることができ、低回転速度、好ましくは200,000rpm未満の回転速度を伴う負荷の下では、制御リングと回転子との間の隙間は、調節手段によって流れが制限されることがない。
【0014】
これらの領域において、出力の十分な供給は、同時に過大な回転速度からの支圧応力を負担することを回避しつつ可能である。
【0015】
有利なことに、隔壁の中の開口部は、環状ダクトの断面の少なくとも20%、好ましくは断面の60%超を占めることができる。
【0016】
これにより、減速の間、吸入を低減するが、それにもかかわらず名目回転速度での出力の犠牲を最小にすることができる。隔壁の100%を開放することによって環状ダクトを完全に開放しさえすれば、実際に満足な結果が得られることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明に従う装置は、図面を参照して説明される。図面において、
図1】左右の側に分割された空気タービンを有する歯科用準備器具の縦方向断面を示す。
図2図1の線AAに沿った断面を示す。
図3図1の線BBに沿った断面を示す。
図4】名目速度での負荷モードにおける誘導流れを詳細に示す。
図5】空転モードにおける誘導流れを詳細に示す。
図6】全体描写として準備器具の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、頭部ハウジング2の中に搭載されたロータ3と、回転軸4の周りを回転可能である回転子5とを有するツール1.1、並びに回転子5を支持するシャフト5.1及び頭部ハウジング2中のシャフト5.1を支持するための回転子5の両側に配列されたベアリング5.2、5.3を駆動するための空気タービン1を有する歯科用準備器具を示す。
【0019】
回転子5は、その2つの前面のうちの1つの上に、この場合はツール(図示せず)に面する底面上に、調節手段6のための環状周辺シート領域5.4を有し、調節手段は、描写された実施形態において、回転速度の影響の下で弾性変形可能であるOリングとして設計されている。
【0020】
回転子を駆動するために用いられる圧縮空気は、回転子の上のブレード5.5によって進路変更されて、それらから離れるように流れる。
【0021】
調節手段6は、回転軸4に沿って分割された図1の左側において、変形されていない状態で示され、図1の右側において、調節手段6’は、回転速度の影響を受けて弾性変形させられている。
【0022】
回転子5は、圧縮空気ダクト18.1が終端する頭部ハウジング2の中のタービン室18の中に配列され、この圧縮空気ダクトは、同様に頭部ハウジング2を通して誘導される戻り空気ダクト19とともに、頭部ハウジング2を通して誘導されるが、戻り空気ダクトは、また、回転軸4に関して圧縮空気ダクト18.1からある軸方向距離にあり、戻り空気ダクト19の出口開口部15は、圧縮空気ダクト18.1の圧縮空気開口部18.2の下方に、すなわち、ツール(図示されていない)に面して存在している。圧縮空気ダクト18.1と戻り空気ダクト19とは、頭部2のハンドル21の中にあり、頭部はハンドルへと移行する。
【0023】
タービン室18は、ツール1.1に面して配列されたその底部領域に、出口開口部15に面してのみ中断され、相互に中へと移行し、周辺の一部を越えて延在する第一の外側環状ダクト8と円盤形状隔壁20との境界を定める、回転軸4と同軸の側面を有する第一の環状隔壁7を有する。隔壁20は、出口開口部15及び圧縮空気開口部18.2の領域の中に配列され、環状ダクト8は、少なくとも90°の角度で、好ましくは320°までの角度で(以下の図2及び図3を参照)圧縮空気開口部18.2から延在している。
【0024】
タービン室18の底部領域に配列された隔壁7に向かって半径方向内側に、頭部ハウジング2の中に支えられた、ベアリング5.3と半径方向に接している第2の環状ダクト9が存在している。図1の左側に示されているように、この環状ダクト9は、円盤形状隔壁20によって軸方向に境界が定められ、隔壁7の切抜きによって、及び出口開口部15によって出口ダクト19に流体接続している。
【0025】
頭部ハウジング2の中に配列されたタービン室18の底部領域2.2は、回転子5によって占められる領域2.1の全体高さの20%〜75%である高さを有する。
【0026】
回転子5と環状隔壁7との間に、回転子5から出口開口部15に向かってタービン室18まで供給される圧縮空気の流出に対する主要な断面積Aで示される隙間11が形成され、その主要な断面積は、回転子5を駆動するために使用される空気の全てが最初にこの隙間11を通過する必要があるので、タービンの最大の可能な空気流を制限する。
【0027】
底部ベアリング5.3と回転子5との間に制御リング10が配列され、これも、ベアリング5.3及び回転子5のように、シャフト5.1に支えられている。この制御リング10は、回転子5を保持する領域2.2の、環状ダクト8、9が配列されている領域2.1への移行部のタービン室18の中に配列されている。制御リング10の半径方向拡張部は、半径方向隔壁7まで進行し、そこには、制御断面積Aとして示され、主要断面積積Aよりも小さい断面積を有する隙間が存在している。
【0028】
回転子5から流れる圧縮空気は、また、戻り空気と呼ばれ、回転子5と環状隔壁7との間の軸方向隙間11を通過して、隔壁7と制御リング10との間の半径方向隙間12に至り、図1の右半分に示されるような動作状態に応じて出口開口部に通じる環状隙間9の中へと高速で完全に通過する。主要断面積の反対側に、断面の縮小部があり、主要断面積を横切る理論的に可能な高回転速度は、隙間12の制御断面積によって制限される。
【0029】
図1の左半分に示されるような低速での動作状態において、戻り空気は、環状隔壁7と制御リング10との間の隙間12を通って、及び制御リング10と回転速度依存調節手段6のために回転子5の中に配列されたシート領域5.4との間の隙間13を通って流れる。この隙間13は、大きい断面積を有することができ、それは主要断面積よりも大きくあり得、それにより、シート領域5.4の中に流入する戻り空気は、制御リング10に配列された通路14を経由して、又は周辺に分布して配列された複数の通路を通って、第2の環状空間9の中に出て行くことができる。隙間13は、それによって、単数又は複数の通路14の断面積のサイズがより大きいので、調整断面積Aを提供する。
【0030】
空転している間、すなわち、無負荷で高回転速度の間、隙間13が変形調節手段によって閉鎖されるので、実有効断面積Aeffは、制御断面積Aと一致する。負荷を受けて動作している間、すなわち、歯を治療するためのツールを把持しているとき、回転速度は、最初に減少し、隙間13は回転速度に応じて開放される。調整断面積は、それが制御断面積と共に完全に開放すると、少なくとも主要断面積が提供されるように寸法設定される。有効断面積は、制御断面積及び回転速度依存調節断面積の両方から構成される。
【0031】
第2の環状ダクト9から、戻り空気は、円盤形状隔壁20の下を半径方向に環状ダクト8を越えて流れ、出口開口部15の領域において環状ダクト8を分離するための半径方向隔壁23の中に、例えば減速の間に、戻り空気が第一の環状ダクト8の中へと流れて戻ることができる通路17が提供されている。
【0032】
図2は、隙間11の高さで頭部ハウジング2を通って走る、すなわち、切断面上にある切取図に示されている回転子5と切断面下にある制御リング10との間を走る断面を示している。制御リング10の中に、周辺にわたって分布するように配列された通路14が認識可能である。制御リング10は、シャフト5.1に取り付けられ、それと一緒に回転軸4の周りを回転する。環状隔壁7への隙間12は、制御リング10の外周に位置しており、環状隔壁は環状ダクト8の半径方向内側に境界を定める。環状ダクト8の半径方向外側の境界は、頭部ハウジング2によって形成されている。環状ダクト8は、圧縮空気の流れの方向の前面にある半径方向隔壁23を有し、それは、環状ダクト8を出口開口部15から分離し、通路17が隔壁23の中に配列されているが、それを通って戻り空気が流体開口部17の方を指す矢印によって示される環状ダクト8の中に流れ込むことができる。流れの方向に見て辿ると、環状ダクトは、第2の半径方向隔壁24によって境界が定められている。
【0033】
出口開口部15の領域において、環状ダクト8は、空気が環状空間8自体から戻り空気ダクト19の中へと通過できないように、半径方向隔壁23、24及び円盤形状隔壁20によって遮蔽され、むしろ、戻り空気は、隙間12を通って、おそらく制御リング10における通路14を通って、円盤形状隔壁20の下の半径方向隔壁23、24の間の領域の中へ、更にそこから出口開口部15を通って長い点線の矢印によって示される戻り空気ダクト19の中へと流れることに留意する必要がある。
【0034】
図面の平面の上方、したがって切断面の上方の、ハンドル21を通って頭部ハウジング2までの経路の駆動空気ダクト18.1は、圧縮空気ノズルで終端されることもできる圧縮空気開口部18.2の位置と同様に、点線によって示されている。圧縮空気は、圧縮空気開口部18.2を通ってタービン室の中に流れ込んで、回転子を駆動する。
【0035】
上記のように、回転子5の吸入側26及び圧力側27は、減速の間、対応する圧力信号が提供される。作動中、圧縮空気圧がオンにされると、信号は逆転される。
【0036】
図3は、図1及び図2の円盤形状隔壁20の下の、したがって図1及び図2には示されていない頭部ハウジング2の断面を示している。頭部ハウジング2から更に進むと、それはハンドル21へと移行し、環状空間8は、隔壁7によって軸4に向かって境界が定められた半径方向隔壁23、24と共に示されている。隔壁7は、更に内側に延在する環状空間9の境界を定め、戻り空気ダクト19に向かっては、出口開口部15’によって中断されている。すでに図1に示されているように、出口開口部15は、頭部ハウジング2から戻り空気ダクト19のためのハンドル21への移行部に配列されている。
【0037】
半径方向において、環状空間9は、シャフト5.1上に配列されたベアリング外側リング28を有するベアリング5.3によって、並びに半径方向隔壁7及び出口開口部15’によって境界が定められ、ベアリング5.3は、また、ベアリングの隙間30及びベアリング内側リング29を有する。軸方向には、環状空間9は、通路14及び隙間12を有する制御リング10によって上部において境界が定められ、ベアリング5.3及び環状ダクト床31(図1)によってツール側への底部において境界が定められている。
【0038】
矢印a、b及びcは、更に説明される減速の間の空気流のための流路を示す。矢印「a」は、環状空間9から出口開口部15’を通って流れる戻り空気を表している。矢印「b」は、環状空間9から隔壁23の中の通路17を通って環状空間8の中へと流れ込む戻り空気を示す。矢印「c」は、適用可能な場合、ベアリングの隙間30を通って戻り空気ダクト19の中へと引くことができ、遅延させられるか、又はその発生が抑制されさえする空気を示す。
【0039】
ブレードの吸入側において一貫して、回転子5のブレードのそばを通過するとき、環状ダクト8の半径方向隔壁の中の通路17は、戻り空気ダクト19又は第一の環状ダクト8の出口開口部15の領域からの吸入を引き起こす。通路17は、したがって、出口開口部15、15’によって第一の環状ダクト8の流れを戻り空気ダクト19に接続する。
【0040】
回転子5のブレードの吸入側において、空気粒が、図2の制御円盤10の下の出口ダクト19の領域の中に同伴される。このことは、第2の環状空間9から第一の環状空間8まで、戻り空気ダクト19に対して直角で回転子5の回転の方向に、矢印「b」に従う流れを引き起こす。矢印「b」に従う強制流れは、出口開口部15’を横断して広がり、戻り空気室19と回転成分が位置する環状空間9との間の障壁のように、ある範囲に対して作用する。
【0041】
この強制流れに起因して、戻り空気ダクト19は、出口開口部15の領域での流れに対して閉鎖され、減速中にベアリングの隙間30を通して吸引される得る空気の加速が防止される。
【0042】
図4及び図5は、2つの異なる流れ状態、すなわち、回転子5の低回転速度及び高回転速度における流れ状態を示す。すでに図1に関して説明されたように、調節手段6の回転速度依存変形は、流れ状態の差に基づいている。高回転速度において、制御リング10と回転子5との間の隙間13は、図5に表されているように、調節手段6の変形によって閉鎖され、一方、図4に表されているように、低速度においては、隙間13は開放している。図4に示されているように、隙間13が開放されているとき、環状隙間8から生じ、回転子5と環状隔壁7との間の主要断面として形成される隙間11を通って流れる戻り空気の流れは、分離し、隙間13及び制御リング10と隔壁7と間の隙間12を通って流れる。
【0043】
図5に示されているように、隙間13が閉鎖されているとき、隙間11よりも小さい断面積を有する隙間12だけが、隙間11に続く流路として利用可能である。このことは、負荷時において低回転速度でトルクを印加するために必要な空気の全量が流れ通ることができず、その代わりに、空転モードの間、回転子の回転速度に制限を生じさせるこの量の空気の一部分だけが流れ通ることができることを確実にする。
【0044】
一方において隙間12の変化しない第一の断面を通り、他方において回転速度に応じて調節される隙間13の第2の断面を通る2つの成分への排気空気の分離は、出力の最小損失だけを伴って空転回転速度の高効率の制限を可能にする。
【0045】
たとえ調節手段6が、空転モードにおいて、隔壁7及び20と共に、隙間13の上の軸近傍の回転子5の領域からタービン室18を部分的に切り離しても、回転速度が低下するので、この隙間13は、減速の間、完全に開放している。無制限の空気経路が、最大の直径を伴う、すなわち回転子についての外側縁にある回転子5の領域と、戻り空気ダクト19の出口開口部15との間に存在する。本発明に従う通路17がなければ、減速の間、底部ベアリングを通る吸入についての高い危険性が存在する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6