特許第6367851号(P6367851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367851配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367851
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/34 20110101AFI20180723BHJP
   E04F 17/08 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   F24F1/34
   E04F17/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-30454(P2016-30454)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2017-146081(P2017-146081A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】393024717
【氏名又は名称】オーケー器材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】伴地 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】関 勇介
【審査官】 関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−223296(JP,A)
【文献】 特開平11−037386(JP,A)
【文献】 特開平11−108413(JP,A)
【文献】 実開平04−078051(JP,U)
【文献】 特開2014−177972(JP,A)
【文献】 米国特許第06321554(US,B1)
【文献】 特開2001−016740(JP,A)
【文献】 特開平09−303669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/34
E04F 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側板(11)の上面に天板(12)を取り付けて配管をカバーするように構成された直線ダクト(2)と、前記直線ダクト(2)の末端開口部(7)を塞ぐエンドキャップ(8)とを備え、
前記側板(11)は、上下方向の中央部(13)に対し下端部を前記エンドキャップ(8)の板厚以上の段差(T)で内側方向に位置させる段差部(15)を有し、
前記エンドキャップ(8)は、前記末端開口部(7)を覆う平板状の蓋板部(21)と、前記蓋板部(21)の上端部を前記直線ダクト(2)の内側に向かって折り曲げた上縁折曲片(22)と、両側辺の端部を前記直線ダクト(2)の内側に向かって折り曲げた側縁折曲片(23)とを有し、
前記側縁折曲片(23)は、前記段差部(15)を前記直線ダクト(2)の長手方向にスライド的に挿入させるスリット(31)を有し、
前記上縁折曲片(22)、及び前記側縁折曲片(23)における前記スリット(31)より上方の部分は、前記段差部(15)が前記スリット(31)に挿入された状態において前記直線ダクト(2)内に挿入され、
前記側縁折曲片(23)における前記スリット(31)より下方の部分は、前記段差部(15)が前記スリット(31)に挿入された状態において、前記スリット(31)より下方の前記側板(11)の外面を覆うように構成されている
配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造。
【請求項2】
前記エンドキャップ(8)は、前記蓋板部(21)の下端部を前記直線ダクト(2)の内側に向かって折り曲げた下縁折曲片(24)を有し、
前記下縁折曲片(24)は、前記段差部(15)が前記スリット(31)に挿入された状態において、前記直線ダクト(2)の底面先端部と前記蓋板部(21)との間を覆うように構成されている
請求項1記載の配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造。
【請求項3】
前記スリット(31)は、前記直線ダクト(2)に対する前記エンドキャップ(8)の位置決めをするように位置及び長さが設定されている
請求項1又は請求項2記載の配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造。
【請求項4】
前記エンドキャップ(8)を前記末端開口部(7)に固定する固定具を有し、
前記固定具は、前記段差部(15)の先端が前記スリット(31)の終端に当接するように前記エンドキャップ(8)を前記直線ダクト(2)内へスライドさせることにより、前記側板(11)と前記側縁折曲片(23)とを上下2個所において係合する爪係合具(32)である
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造。
【請求項5】
前記固定具は、前記側板(11)に形成されたねじ挿通孔(33b)と、前記側縁折曲片(23)に形成されたねじ孔(33a)と、前記ねじ挿通孔(33b)から挿入して前記ねじ孔(33a)に螺合するねじ(33c)とを備えたねじ止め具(33)をさらに有し、
前記段差部(15)の先端が前記スリット(31)の終端に当接するように前記エンドキャップ(8)を前記直線ダクト(2)内へスライドさせることにより、前記ねじ挿通孔(33b)と前記ねじ孔(33a)とが位置合わせされるように構成されている
請求項4記載の配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルの屋上等に敷設される空調機用冷媒配管をカバーする配管用ダクトに関し、特に、配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル空調として近年多く用いられている空気調和設備は、室内ユニットが各空調室内に配置され、室外ユニットが建物の屋上に設置されている。また、このように設置された室内外ユニットは、冷媒配管によって接続されるため、室内外ユニット間を接続する冷媒配管がビルの屋上に敷設されていた。また、このような冷媒配管は、特許文献1〜3に記載されているように、冷媒配管および冷媒配管を覆う断熱材を保護するために配管用ダクト内に配置されていた。したがって、配管用ダクトは、ビル内から屋上へ配管を導出す個所に建てられる所謂ハト小屋から各室外ユニットに至る全経路に亘り冷媒配管をカバーするものとして敷設されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−132361号公報
【特許文献2】特開平7−243583号公報
【特許文献3】特公平4−5877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は配管用ユニットについても見栄えのするものが好まれるようになってきた。しかし、従来の配管用ダクトは、特許文献1〜3の記載を見ても分かるように、末端開口部の見栄えについてまでは関心が払われておらず、開放端とされていた。このため、従来の配管用ダクトにおける末端開口部の外観は良好とはいえない状況にあった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みなされたものであり、配管用ダクトの施工作業の工数アップを抑制しながら見栄えを向上させた、配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造は、一対の側板の上面に天板を取り付けて配管をカバーするように構成された直線ダクトと、前記直線ダクトの末端開口部を塞ぐエンドキャップとを備え、前記側板は、上下方向の中央部に対し下端部を前記エンドキャップの板厚以上の段差を付けて内側方向に位置させる段差部を有し、前記エンドキャップは、前記末端開口部を覆う平板状の蓋板部と、前記蓋板部の上端部を前記直線ダクトの内側に向かって折り曲げた上縁折曲片と、両側辺の端部を前記直線ダクトの内側に向かって折り曲げた側縁折曲片とを有し、前記側縁折曲片は、前記段差部を前記直線ダクトの長手方向にスライド的に挿入させるスリットを有し、前記上縁折曲片、及び前記側縁折曲片における前記スリットより上方の部分は、前記段差部が前記スリットに挿入された状態において前記直線ダクト内に挿入され、前記側縁折曲片における前記スリットより下方の部分は、前記段差部が前記スリットに挿入された状態において、前記スリットより下方の前記側板の外面を覆うように構成されている。
【0007】
このような構成によれば、直線ダクトの段差部がスリット内にスライドするようにエンドキャップを直線ダクト内に挿入させることにより、エンドキャップを所定位置近傍で仮止めすることができるので、取付が容易である。また、エンドキャップを取り付けることにより、直線ダクトの末端開口部が閉塞されると同時に直線ダクトの末端開口部の下端部がエンドキャップの側縁折曲片で覆われるので、直線ダクトの末端開口部付近の見栄えが良好になる。
【0008】
また、前記エンドキャップは、前記蓋板部の下端部を前記直線ダクトの内側に向かって折り曲げた下縁折曲片を有し、前記下縁折曲片は、前記段差部が前記スリットに挿入された状態において、前記直線ダクトの底面先端部と前記蓋板部との間を覆うように構成されていてもよい。
このように構成すれば、直線ダクトの末端開口部にエンドキャップを取り付けた状態において、直線ダクトの底面先端部とエンドキャップとの間に隙間が形成されないので、より一層見栄えが向上する。
【0009】
また、前記スリットは、前記直線ダクトに対する前記エンドキャップの位置決めをするように位置及び長さが設定されているようにしてもよい。
このように構成すれば、エンドキャップを直線ダクト内に挿入するだけで最終的に位置決めされるので、取付作業が容易になる。
【0010】
また、このような配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造において、前記エンドキャップを前記末端開口部に固定する固定具を有し、前記固定具は、前記段差部の先端が前記スリットの終端に当接するように前記エンドキャップを前記直線ダクト内へスライドさせることにより、前記側板と前記側縁折曲片とを上下2個所において係合する爪係合具であるようにしてもよい。
このように構成すれば、段差部をスリット内にスライドさせながらエンドキャップを直線ダクトの末端開口部に挿入するだけで、エンドキャップが爪係合具により所定位置に固定される。
【0011】
また、前記固定具は、前記側板に形成されたねじ挿通孔と、前記側縁折曲片に形成されたねじ孔と、前記ねじ挿通孔から挿入して前記ねじ孔に螺合するねじとを備えたねじ止め具をさらに有し、前記段差部の先端が前記スリットの終端に当接するように前記エンドキャップを前記直線ダクト内へスライドさせることにより、前記ねじ挿通孔と前記ねじ孔とが位置合わせされるように構成されているようにしてもよい。
このように構成すれば、段差部をスリット内にスライドさせながらエンドキャップを直線ダクトの末端開口部に挿入するだけで、爪係合具を係合させるとともに、ねじ止め具の孔の位置合わせが行われるので、ねじ止め具の締結作業が容易化される。
【発明の効果】
【0012】
上記発明によれば、直線ダクトの末端開口部にエンドキャップを簡易に取り付け可能とすることにより、配管用ダクトの施工作業の工数アップを抑制しながら見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る配管用ダクトの全体構成を示す斜視図。
図2】同配管用ダクトを構成する直線ダクトの末端開口部付近の外観斜視図。
図3】直線ダクトの末端開口部からエンドキャップを取り外した状態の分解斜視図。
図4】同直線ダクトの説明図であって、(a)は天板を取り外した状態の分解斜視図、(b)は天板を取り外した状態の末端開口部付近の拡大斜視図、(c)は図4(b)における直線ダクトの側板のA−A断面図。
図5】エンドキャップの内側を下方から見た外観斜視図。
図6】エンドキャップの下方の爪係合具周りの拡大斜視図であって、(a)はエンドキャップ取付前の状態図、(b)はエンドキャップ取付後の状態図。
図7】爪係合具の噛み合い工程を説明する爪係合具の断面図であって、(a)はエンドキャップ挿入の初期段階における爪部が係合孔に侵入する前の水平断面図、(b)はエンドキャップ挿入の中間段階において爪部が係合孔に侵入したときの水平断面図、(c)はエンドキャップ挿入の最終段階において爪部が係合孔に侵入し所定位置で噛み合っているときの水平断面図、(d)は図7(c)の状態における垂直断面図。
図8図2におけるB−B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造について説明する。なお、本発明は、以下に記載する例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0015】
(配管用ダクトの全体構成)
先ず本実施の形態に係る配管用ダクトの全体構成について説明する。
本実施の形態に係る配管用ダクトは、図1に示すように、簡単な構成例のものである。この例における配管用ダクトは、ビル内から屋上に導出される室内外ユニット間を接続する冷媒配管をカバーする。配管用ダクトは、各室外ユニット1からの冷媒配管を集合させながらカバーするように3個の直線ダクト2が配置され、立面エルボ45°セット3、及びウォールプレート4を介してハト小屋5に接続されている。直線ダクト2及び立面エルボ45°セット3は、適宜間隔で設置した橋脚状の架台6上に取り付けられている。そして、ハト小屋5から最も遠い直線ダクト2における末端開口部7が、エンドキャップ8により閉塞されている。
【0016】
(直線ダクトの構成)
次に、配管用ダクトに使用される直線ダクト2について説明する。
直線ダクト2は、図2図3図4に示すように、一対の側板11と、この側板11の上面に取り付けられる天板12とを備えている。
【0017】
次に、一対の側板11について説明する。なお一対の側板は対象的に形成されているので、以下の説明においては一方の構成についての説明とする。
図4(c)に示すように、側板11は、高さ方向の半分以上の寸法を占める中央部13が平板状に形成され、その上下にエンドキャップ8の板厚より少し大きい段差Tを有して側板11の上方部及び下方部を内側に位置させる段差部14、15が形成されている。段差部14,15は、側板11の強度を向上させるためのものである。上の段差部14の上方部における段差部14に近い部分は、中央部13と平行な平板状に形成されている。そして、図4(b)に示すように、この平板状の上端には、内方に折り曲げられた水平上縁部16が形成されている。また、下の段差部15の下方部における段差部15に近い部分は、中央部13と平行な平板状に形成されている。そして、この平板状の下端には、内方に折り曲げられた水平下縁部17が形成されている。また、側板11における中央部13の端部には、後述するエンドキャップ8に形成されたスライド突起部34を係合させるための係合孔35が上下に形成され、その中間高さ位置にねじ止め具33のねじ挿通孔33bが1個形成されている。なお、この係合孔35及びねじ挿通孔33bは、直線ダクト2同志を接続するときのジョイント部材に形成されたスライド突起部を係合する場合にも用いられるので、直線ダクト2における長手方向の両端部に同様に形成されている。
【0018】
このように形成された一対の側板11は、図4(a)に示すように、水平上縁部16間に架け渡されるダクト補助板18により連結されている。ダクト補助板18は、直線ダクトの長手方向に適宜のピッチで取り付けられている。
【0019】
また、図4(a)に示すように、一対の側板11は、水平下縁部17間に架け渡されるダクト子桁19により連結されている。ダクト子桁19は、直線ダクトの長手方向に適宜のピッチで取り付けられている。ダクト子桁19は、水平下縁部17に対しねじ止めされる。
【0020】
天板12は、図2図3図4(a)等に示すように、側板11に対し直角の方向、すなわち、幅方向の端部付近に天板12の強度を向上させるための段部が形成されている。そして、この段部の中間が上方に突出した平面形状部を成し、段部の外側の両端縁部が側板11の水平上縁部16に対する取付片を成している。また、天板12における段部から平面形状部にかけての突出空間部は、ダクト補助板18の略U字状の溝形部分を収めるように構成されている。このように構成された天板12は、図4(a)に示すようにねじ12bにより、側板11の水平上縁部16に適宜のピッチでねじ止めされている。そのために、天板12には複数のねじ挿通孔12aが形成され、側板11の水平上縁部16にはねじ孔16aが形成されている。
【0021】
(エンドキャップの構造)
次に、エンドキャップ8の構造について説明する。
エンドキャップ8は、図3及び図5に示すように、末端開口部7を覆う平板状の蓋板部21を有し、その縁部に形成した折曲片を直線ダクト2の末端開口部7から内部へ差し込んで固定される。また、エンドキャップ8は、直線ダクト2内に差し込まれた後、蓋板部21の外表面と天板12の先端位置とが一致する状態で固定されるように構成されている。
【0022】
このため、蓋板部21は、直線ダクト2の断面形状に一致する形状となっており、上端部におけるダクトの幅方向端部が斜め方向にカットされて一段低い段状を成すように形成されている。そして、エンドキャップ8は、蓋板部21の上端部を直線ダクト2の内側に向かって折り曲げた上縁折曲片22と、蓋板部21の両側辺の端部を直線ダクト2の内側に向かって折り曲げた側縁折曲片23とを有する。また、エンドキャップ8は、蓋板部21の下端部を直線ダクト2の底面の先端に向かって折り曲げた下縁折曲片24と、前記上方端部の斜め方向の縁部を直線ダクト2の内側に向かって折り曲げた傾斜折曲片25を有する。さらに、エンドキャップ8は、側縁折曲片23の上端を傾斜折曲片25側に折り曲げた補助上縁折曲片26と、側縁折曲片23の下端を下縁折曲片24側に折り曲げた補助下縁折曲片27とを有する。
【0023】
上記折曲片のうち、上縁折曲片22及び補助上縁折曲片26は、エンドキャップ8が安定的に挿入位置を保持できるようにするために、天板12の先端位置から所定の寸法挿入される折り曲げ長さに設定されている。側縁折曲片23は、側板11の内面に沿うように挿入された部位において、エンドキャップ8を直線ダク2トの末端開口部7に固定するための固定具が形成されている。側縁折曲片23は、そのために必要な大きさの折り曲げ長さに設定されている。下縁折曲片24及び補助上縁折曲片26は、直線ダクト2の底面の先端と蓋板部21との間に隙間が形成されるのを避けるためのものであって、直線ダクト2の底面の先端部に至る程度の小さな折り曲げ長さに設定されている。
【0024】
(エンドキャップの取付構造)
エンドキャップ8の取付構造として、その取付を容易にするためのスライド機構が形成されている。
ここに言うスライド機構は、図6(a)及び図6(b)に示すように、側縁折曲片23にスリット31を設け、エンドキャップ8を末端開口部7から挿入したときにスリット31に直線ダクト2の側板11の下方に形成された段差部15がスライド式に挿入される構成である。スリット31の幅は段差部15を挿入できる程度に設定され、スリット31の長さは段差部15がスリットの先端部に当たるまで挿入したときに、エンドキャップ8が所定の位置にくるように設定されている。
【0025】
また、このように挿入されたエンドキャップ8を固定する固定具として、図6(b)に示すように爪係合具32とねじ止め具33とが形成されている。
爪係合具32は、側縁折曲片23に形成されたスライド突起部34と側板11に形成された係合孔35とから構成されている。爪係合具32は、段差部15がスリット31内にスライド式に挿入されるときに、側縁折曲片23に形成されたスライド突起部34が側板11に形成された係合孔35に挿入されるように構成されたものである。
【0026】
図6(a)に示すように、スライド突起部34は、側縁折曲片23の一部分を外側に突出させたものであって、外表面が四角形の平面を成す平面突出部34aを有するものである。平面突出部34aは、その上下端部にてのみ立上げ片34bにより側縁折曲片23に連続している。したがって、平面突出部34aは、立上げ片34bにより所定高さに持ち上げられた形状を成し、その内側に側縁折曲片23に平行な通孔34cが形成されている。一方、図6(a)に示すように、係合孔35は、側板11に形成された透孔である。係合孔35は、平面突出部34aを貫通させる大きさの孔部35aと、突片35bを残すようにこの突片35bの上下に形成された二つの細幅孔部35cとから形成されている。この細幅孔部35cの高さ方向の寸法(幅寸法)は、立上げ片34bの板厚より僅かに大きく形成されている。
【0027】
ねじ止め具33は、図6(a)及び図6(b)に示すように、エンドキャップ8の側縁折曲片23に形成されたねじ孔33aと、側板11に形成されたねじ挿通孔33bと、ねじ挿通孔33bから挿入されてねじ孔33aにねじ止めされるねじ33cとから構成されている。
【0028】
(エンドキャップの取付方法)
エンドキャップ8の取付に際しては、図3及び図6(a)に示されるような位置関係に直線ダクトの末端開口部7の前にエンドキャップ8を配置する。次いで、直線ダクト2の天板12が側板11より若干突出しているので、エンドキャップ8の上縁折曲片22を天板12の内面に沿うように末端開口端部から直線ダクトの内部に挿入する。そしてさらに、スリット31の中に直線ダクト2における側板11の下方に形成された段差部15をスライド式に挿入させる。
【0029】
このように末端開口部7からエンドキャップ8を直線ダクト2内に挿入していくと、図7(a)〜図7(d)に示す段階を経て爪係合具32が係合される。すなわち、図7(a)に示すように、エンドキャップ8を直線ダクト2内に挿入する初期の段階においては、側縁折曲片23を強制的に内部に撓ませてスライド突起部34を側板11の内面に沿って内部に進むようにする。この場合において、側縁折曲片23は、図5に示すように、上端部においては傾斜折曲片25との間に隙間23aが形成されるとともに、下端部においては下縁折曲片24との間に隙間23bが形成されているので、側縁折曲片23を撓ませることが可能となっている。
【0030】
そしてさらにエンドキャップ8を直線ダクト2内に挿入していくと、図7(b)に示すように、平面突出部34aが孔部35aに嵌る。また、図6(b)に示すように、段差部15の先端がスリット31の最奥部(終端)に当接する位置までエンドキャップ8を直線ダクト2内へ挿入すると、エンドキャップが設定位置に到達し、図7(c)及び図7(d)に示すように、係合孔35に形成されている突片35bがスライド突起部34の通孔34cの中に差し込まれる。
【0031】
また、このとき一方のねじ止め具33に関しても、エンドキャップ8のねじ孔33aと側板11のねじ挿通孔33bとの孔位置が略一致する状態となる。したがって、この状態にあっては、直ちにねじ33cをねじ挿通孔33bから挿入し、ねじ孔33aに容易に螺合させることができる。
【0032】
このようにしてエンドキャップ8が取り付けられと、図8に示すように、エンドキャップ8の上縁折曲片22及び傾斜折曲片25は天板12の内面に沿うように挿入された状態となる。また、補助上縁折曲片26を含む側縁折曲片23におけるスリット31より上方の部分は、側板11の内側に挿入される。また、側縁折曲片23におけるスリット31より下方の部分は、側板11の外側を覆う状態となる。一方、蓋板部21は、図2に示すように、天板12の先端と面一になるように配置される。このとき、エンドキャップ8の下縁折曲片24及び補助下縁折曲片27は、蓋板部21と直線ダクト2の底面との間に位置するように形成され、エンドキャップ8の下方の体裁を整えている。
【0033】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態に係る配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造は、以上のように構成され組み立てられるので、次のような効果を奏することができる。
(1)直線ダクト2における下の段差部15がスリット31内にスライドするようにエンドキャップ8を直線ダクト2内に挿入させることにより、エンドキャップ8を所定位置近傍で仮止めすることができるので、取付が容易となる。
【0034】
(2)エンドキャップ8を取り付けることにより、直線ダクト2の末端開口部7が閉塞されると同時に直線ダクト2の末端開口部7の下端部が、エンドキャップ8の側縁折曲片23の下方部で覆われるので、直線ダクト2の末端開口部付近の見栄えが良好になる。
【0035】
(3)直線ダクト2の末端開口部7にエンドキャップ8を取り付けた状態において、直線ダクト2の底面先端部とエンドキャップ8との間に隙間が形成されないので、より一層見栄えが向上する。
【0036】
(4)スリット31は、直線ダクト2に対するエンドキャップ8の位置決めをするように位置及び長さが設定されているので、エンドキャップ8を直線ダクト2内に挿入するだけでエンドキャップ8が最終的に位置決めされるので、取付作業が容易になる。
【0037】
(5)本末端開口部7の閉塞構造は、エンドキャップ8を末端開口部7に固定する固定具を有する。そして、固定具として、下の段差部15の端部がスリット31の終端に当接するようにエンドキャップ8を直線ダクト2内へスライドさせることにより、その他の手作業を必要とせずに係合する爪係合具32を有する。したがって、爪係合具32の係合には手間がかからない。
【0038】
(6)また、前記固定具は、側板11に形成されたねじ挿通孔33bと、側縁折曲片23に形成されたねじ孔33aと、ねじ挿通孔33bから挿入してねじ孔33aに螺合するねじ33cとを備えたねじ止め具33をさらに有するものである。そして、段差部15の先端がスリット31の終端に当接するようにエンドキャップ8を直線ダクト2内へスライドさせることにより、その他の手作業を必要とせずにねじ挿通孔33bとねじ孔33aとが位置合わせされるように構成されている。したがって、ねじ止め具33における孔の位置合わせが不要となるので、ねじ止め具33の締結作業が容易化される。
【0039】
[変形例]
上記の各実施の形態に関する説明は、本発明に従う配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う配管用ダクトにおける末端開口部の閉塞構造は、例えば以下に示される上記の実施の形態の変形例、及び、相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例が組み合わされた形態を取り得る。
【0040】
・前記実施の形態においては、直線ダクト2もエンドキャップ8も板金で形成されるのが一般的である。特に、直線ダクト2は人が上に乗ることも想定されるので強度の点から板金製であることが好ましい。しかしながら、エンドキャップ8については、そこまでの強度は不要と考えられので、剛性のある樹脂製としてもよい。
【0041】
・エンドキャップ8は、末端開口部7へ確実に取り付けられることが必要であるが、見栄えの方を多少犠牲にするならば、蓋板部21の端部に形成される折曲片として傾斜折曲片25、下縁折曲片24、補助上縁折曲片26及び補助下縁折曲片27は省略することも可能である。
【0042】
・前記実施の形態においては、固定具として爪係合具32とねじ止め具33とを設けていたが、何れか一方を省略してもよい。
・また、爪係合具32及びねじ止め具33の個数を変更してもよい。例えば、爪係合具32とねじ止め具33との位置及び個数を入れ替えてもよい。また、ねじ止め具33を省略する場合に爪係合具32の個数を3個とするなどである。
【符号の説明】
【0043】
T 段差
2 直線ダクト
7 末端開口部
8 エンドキャップ
11 側板
12 天板
13 中央部
15 下の段差部
21 蓋板部
22 上縁折曲片
23 側縁折曲片
24 下縁折曲片
31 スリット
32 爪係合具
33 ねじ止め具
33a ねじ孔
33b ねじ挿通孔
33c ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8