特許第6367866号(P6367866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367866
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20180723BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20180723BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   A01D41/12 H
   A01D67/00 G
   B60K13/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-133113(P2016-133113)
(22)【出願日】2016年7月5日
(62)【分割の表示】特願2012-251515(P2012-251515)の分割
【原出願日】2012年11月15日
(65)【公開番号】特開2016-189786(P2016-189786A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐嶋 圭介
(72)【発明者】
【氏名】北野 達也
(72)【発明者】
【氏名】池田 太
(72)【発明者】
【氏名】崎山 洋佑
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−206067(JP,A)
【文献】 特開2011−244782(JP,A)
【文献】 実開平05−055844(JP,U)
【文献】 実開平05−044652(JP,U)
【文献】 特開2000−209930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/12
A01D 67/00
F01N 3/02
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体における機体左右一方側に偏倚した箇所に設けられた運転操縦部と、
前記運転操縦部の下方に設けられたエンジンと、
前記エンジンの排気ガスを導入して前記排気ガスの浄化処理を行う排気処理装置と、が備えられ、
前記排気処理装置は、走行機体における機体左右中央側に偏倚した状態、且つ、前記排気処理装置の機体左右他方側の端部が前記運転操縦部の機体左右他方側の端部よりも機体左右他方側に位置する状態、且つ、前記排気処理装置の上部が上方に開放された状態で、前記エンジンに支持され、
前記排気処理装置の上方を覆うカバーが、前記運転操縦部の機体左右他方側の端部より機体左右他方側に突出する状態で備えられているコンバイン。
【請求項2】
前記排気処理装置が、前記エンジンのうち機体左右中央側の上部に支持されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記排気処理装置が、縦長の形状であり、
前記排気処理装置は、前記排気処理装置の長手方向が機体前後方向に沿った姿勢で配置されている請求項1または2に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気処理装置が備えられたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されるコンバインには、ディーゼルエンジン等のエンジンが原動部に搭載されている。近年、排出ガス規制が厳しくなる傾向にあり、コンバインにおいても、排気ガスに含まれる粒子状物質等の低減を図るために、エンジンの排気ガスを導入して排気ガスの浄化処理を行う排気処理装置を装着することが提案されている。
排気処理装置には、排気ガス中の粒子状物質を漉し取る微粒子捕集フィルターが備えられており、微粒子捕集フィルターによって、排気ガス中の粒子状物質が漉し取られ、機外へ排出される粒子状物質の量が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−213605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンから排出される排気ガスは、高温状態で排気処理装置に導入される。しかも、排気処理装置の微粒子捕集フィルターは、継続使用しているうちに、粒子状物質が目詰まりして機能が低下してくるので、排気処理装置には、微粒子捕集フィルターに捕集された粒子状物質をヒータ等により燃焼させるセルフクリーニング機能が備えられているものもある。このため、排気処理装置は、その表面温度が比較的高温となるのが通常である。
【0005】
しかしながら、このように高温となる排気処理装置を、稲や麦などの収穫を主として行うコンバインに単に取り付けるだけでは、コンバインの周囲に散逸している乾燥したワラ屑等の塵埃が排気処理装置に接触するおそれ等があり好ましくない。
【0006】
上記実情に鑑み、本発明は、排気処理装置の取り付け環境を改善したコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンバインの特徴は、
走行機体における機体左右一方側に偏倚した箇所に設けられた運転操縦部と、
前記運転操縦部の下方に設けられたエンジンと、
前記エンジンの排気ガスを導入して前記排気ガスの浄化処理を行う排気処理装置と、が備えられ、
前記排気処理装置は、走行機体における機体左右中央側に偏倚した状態、且つ、前記排気処理装置の機体左右他方側の端部が前記運転操縦部の機体左右他方側の端部よりも機体左右他方側に位置する状態、且つ、前記排気処理装置の上部が上方に開放された状態で、前記エンジンに支持され、
前記排気処理装置の上方を覆うカバーが、前記運転操縦部の機体左右他方側の端部より機体左右他方側に突出する状態で備えられている点にある。
【0008】
本発明においては、
前記排気処理装置が、前記エンジンのうち機体左右中央側の上部に支持されていると好適である。
【0009】
本発明においては、
前記排気処理装置が、縦長の形状であり、
前記排気処理装置は、前記排気処理装置の長手方向が機体前後方向に沿った姿勢で配置されていると好適である。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】コンバインの全体を示す右側面図である。
図2】コンバインの全体を示す左側面図である。
図3】コンバインの全体を示す平面図である。
図4】運転操縦部および原動部を示す右側面図である。
図5】運転操縦部および原動部を示す左側面図である。
図6】運転操縦部および原動部を示す平面図である。
図7】運転操縦部およびエンジンボンネットの正面縦断図である。
図8】運転操縦部およびエンジンボンネットの正面断面図である。
図9】原動部を示す左側面図である。
図10】刈取部の揺動開閉を説明する平面図である。
図11】連結排気管の左側面図である。
図12図11におけるXII−XII断面図である。
図13図11におけるXIII−XIII断面図である。
図14図11におけるXIV−XIV断面図である。
図15】第二エジェクト管の斜視図である。
図16】第三エジェクト管および第四エジェクト管の斜視図である。
図17】ディーゼルエンジンの平面図である。
図18】第二エンジンマウントの平面断面図である。
図19】第二エンジンマウントの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔コンバインの全体構成〕
図1ないし図3に示すように、コンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なうものであり、左右一対のクローラ走行装置11によって自走するように構成されている。コンバインには、キャビン12が装備された乗用型の運転操縦部13と、運転座席14の下方に位置するディーゼルエンジン15(「エンジン」に相当)が装備された原動部16とが機体フレーム17の前端部の機体横一側端に設けられた走行機体が備えられている。また、コンバインには、走行機体の機体フレーム17に運転操縦部13の機体横他側側方で連結された刈取部18と、運転操縦部13の機体横方向反対側である機体横他側かつ後方側に配置して設けられた脱穀装置19と、走行機体の機体フレーム17の後部側の脱穀装置19の機体横一側に配置して設けられた穀粒タンク20とが備えられている。
【0041】
〔刈取部〕
刈取部18には、機体フレーム17から前方向きに上下揺動自在に延出された刈取部フレーム18aが備えられている。刈取部18は、刈取部フレーム18aが昇降シリンダ21によって揺動操作されることにより、刈取部18の前端部に機体横方向に並設された分草具18bが地面近くに下降された下降作業状態と、分草具18bが地面から高く上昇された上昇非作業状態との間で昇降操作されるように構成されている。刈取部18を下降作業状態にして走行機体を走行させることにより、刈取部18は、分草具18bによって後方の引き起し装置18cに刈取対象の植立穀稈を導入して引き起こし処理を行い、引き起し処理が行われる植立穀稈をバリカン形の刈刃18dによって刈取処理して、刈取穀稈を供給装置18eにより後方に搬送して脱穀装置19の案内部材23により刈取穀稈を案内して脱穀フィードチェーン24に供給するように構成されている。
【0042】
〔脱穀装置〕
脱穀装置19は、供給装置18eによって供給された刈取穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン24によって機体後方側へ挟持搬送しながら、穂先側を扱室に供給して脱穀処理を行う。穀粒タンク20は、脱穀装置19から送り込まれる脱穀粒を貯留し、貯留した脱穀粒をスクリューコンベヤでなるオーガ25による搬出を行う。走行機体における脱穀装置19よりも前方側かつ運転操縦部13の機体横方向反対側である機体横他側の箇所には、脱穀フィードチェーン24の上方側を覆う保護部材26が備えられている。
【0043】
〔運転操縦部〕
図1ないし図8に示すように、運転操縦部13は、走行機体における前方側かつ機体横一側の箇所においてエンジンボンネット27の上方に備えられている。運転操縦部13に装備されたキャビン12の内部には、運転座席14と、運転座席14に対する前方に配置されたフロントパネル28と、運転座席14に対する機体横方向反対側である機体横他側側方に配置されたサイドパネル29と、が備えられている。サイドパネル29には、走行変速装置30を変速操作する変速レバー31(「操作具」に相当)と、刈取部18を駆動および停止操作する刈取クラッチレバー32(「操作具」に相当)等の複数の操作具が揺動操作自在に備えられている。
【0044】
図2図5図7に示すように、運転操縦部13のキャビン12の機体横他側に位置するサイドパネル29の側面には、窓部34が設けられている。窓部34は、サイドパネル29における機体前後方向に沿って配置された支持部材35により下方から支持されている。
【0045】
〔原動部〕
図1図2図5ないし図9に示すように、原動部16には、エンジンボンネット27に内装された状態でディーゼルエンジン15が備えられている。ディーゼルエンジン15には、排気処理装置33が支持されている。エンジンボンネット27には、ディーゼルエンジン15の前方側に位置される前壁部27aと、ディーゼルエンジン15の上方に位置する天板部39と、が備えられている(特に、図4参照)。
【0046】
図5図9図17に示すように、ディーゼルエンジン15は、出力軸15a方向が機体横方向となる搭載姿勢で機体フレーム17に支持されて搭載されている。図7図8に示すように、ディーゼルエンジン15とエンジンボンネット27の機体横一側外端部に備えられた吸気壁43との間には、ディーゼルエンジン15に冷却水循環パイプ44を介して接続されたエンジン冷却用のラジエータ45が機体フレーム17に支持されて備えられている。また、ラジエータ45とディーゼルエンジン15との間には、ディーゼルエンジン15に対して回転駆動自在に支持された冷却ファン46が備えられている。冷却ファン46の駆動によりディーゼルエンジン15の空冷が行われる。
【0047】
吸気壁43には、多数の吸気孔が形成されている。冷却ファン46がディーゼルエンジン15により回転駆動されると、エンジンボンネット27の外部の空気が、吸気壁43の吸気孔からエンジンボンネット27の内部に吸引されて、ディーゼルエンジン15を冷却するエンジン冷却風が発生される。エンジンボンネット27の内部において、このエンジン冷却風が、機体横外側から機体横内側へ向けて機体横方向に流動され、エンジン冷却風がラジエータ45に供給される。ラジエータ45にてエンジン冷却風と冷却水の熱交換が行われた後、そのエンジン冷却風がディーゼルエンジン15に供給される。
【0048】
図1図2図4図5に示すように、キャビン12の天井部50の後方近くには、天井部50における支持部51に支持されたプレエアクリーナ52が備えられている。運転座席14の後方に形成されたエアクリーナ室53には、エアクリーナ54が備えられている。図5図7ないし図9に示すように、エンジンボンネット27の内部におけるディーゼルエンジン15の上方の前方側付近には過給機55が備えられている。過給機55は、ディーゼルエンジン15が排出する排気ガスによって駆動される。
【0049】
エンジンボンネット27の外部の空気は、プレエアクリーナ52に吸引されて除塵され、除塵後の空気が、エアクリーナ54に吸引されて再度除塵される。この除塵後の空気が過給機55に吸引されて、圧縮空気が発生され、この圧縮空気が、インタークーラ56に送り込まれて冷却処理されたものが、燃焼用空気としてディーゼルエンジン15に供給される。
【0050】
〔排気処理装置〕
図1ないし図3図5ないし図10に示すように、エンジンボンネット27の内部には、ディーゼルエンジン15が排出する排気ガスを浄化処理してから機外に排出するように構成された排気処理装置33が備えられている。排気処理装置33は、ディーゼルエンジン15の上部に支持体95を介して連結されて機体前後方向を長手方向とする姿勢で支持されている。排気処理装置33は、運転座席14に対して機体横他側の刈取部18側に偏倚した位置に配置されている。排気処理装置33は、その一部が平面視で運転操縦部13におけるサイドパネル29の窓部34の下方空間に入り込んだ状態で配設されている。つまり、排気処理装置33は、他の一部が平面視で運転操縦部13のキャビン12におけるサイドパネル29から機体横他側にある保護部材26側に向けて突出されるように、エンジンボンネット27の機体横他側の側端部に位置された開口27cから刈取部18側に突出されて配置されている(特に、図8参照)。
【0051】
エンジンボンネット27の天板部39には、機体横一側に位置されたエアクリーナ下方部40と、エアクリーナ下方部40の機体横他側端部から上方に延設された縦板部41と、縦板部41から機体横他側へ延設された装置上方部42と、が備えられている(図4参照)。つまり、エアクリーナ下方部40よりも装置上方部42が上方に位置されており、これにより、天板部39における装置上方部42の下方に、排気処理装置33が入り込む空間が形成されている。
【0052】
図7ないし図9に示すように、排気処理装置33には、排気処理装置33における長手方向の両端側箇所に排ガス導入口57および排ガス排出口58がそれぞれ備えられている。排ガス導入口57は、排気処理装置33における機体前方側箇所の下面に位置されている。排ガス排出口58は、排気処理装置33における機体後方側箇所の機体横他側の側面に位置されている。排ガス導入口57には、過給機55におけるタービン部55aの排気口から延出されたディーゼルエンジン15側の排出管60が接続されている。排ガス排出口58には、連結排気管61が連通されている。
【0053】
図9に示すように、排気処理装置33の内部には、排気ガスの流動経路の上流側から順に、燃焼触媒62と、微粒子捕集フィルター63と、が備えられている。また、図3図6ないし図8図10に示すように、排気処理装置33のうち、運転操縦部13のサイドパネル29の下方空間に入り込んでいない部位、つまり、サイドパネル29よりも機体横他側には、排気処理装置33の状態を検知する温度センサ65(「検知手段」に相当)および差圧センサ66(「検知手段」に相当)が取り付けられている。
【0054】
差圧センサ66は、排気処理装置33の内部における微粒子捕集フィルター63の上流側箇所と下流側箇所との差圧を検出するセンサである。差圧センサ66により検知された差圧に基づいて予め設定されたマップデータを参照することにより、微粒子捕集フィルター63に捕集されている粒子状物質の堆積量が求められる。排気処理装置33側の外側位置のうち下側部位に上流側ポート66aが設けられ、排気処理装置33側の外側位置のうち上側部位に下流側ポート66bが設けられている。上流側ポート66aと下流側ポート66bには、それぞれ、排気処理装置33の機体横他側へ突出したハーネス70を介して差圧センサ66が接続されている。差圧センサ66は、排気処理装置33からの液体の逆流を防止するため、排気処理装置33の上端部よりも高い位置に設けられている。
【0055】
温度センサ65は、排気処理装置33の内部温度を測定するセンサである。温度センサ65としては、上流側温度センサ65aと、中間側温度センサ65bと、下流側温度センサ65cとが配置されている。上流側温度センサ65aは、燃焼触媒62の上流側箇所の温度を検知する。中間側温度センサ65bは、燃焼触媒62と微粒子捕集フィルター63との間の箇所の温度を検知する。下流側温度センサ65cは、微粒子捕集フィルター63の下流側箇所の温度を検知する。
【0056】
微粒子捕集フィルター63に燃焼に必要な所定量以上の粒子状物質が堆積している場合は、粒子状物質の燃焼のみで、排気処理装置33に導入される排気ガスを燃焼触媒62が活性化する温度まで昇温できる。しかしながら、微粒子捕集フィルター63に燃焼に必要な所定量未満しか粒子状物質が堆積していない場合は、粒子状物質の燃焼のみでは、排気処理装置33の内部温度が燃焼触媒62の活性化温度まで上昇せず、別途加熱が必要となる。差圧センサ66により検知された差圧により求められた微粒子捕集フィルター63に粒子状物質が燃焼に必要な所定量未満しか堆積していない場合や、温度センサ65により検知された内部温度が低下している場合には、排気処理装置33の上流側箇所において、可燃性ガスの燃焼が行われ、排気処理装置33に導入される排気ガスの昇温が行われる。この際、排気処理装置33の排ガス排出口58から排出される排出ガスの温度は600℃程度の高温となる。
【0057】
排気処理装置33には、微粒子捕集フィルター63が粒子状物質により目詰まりを起こして浄化機能が低下した場合、粒子状物質を燃焼させて、浄化機能を再生する不図示のセルフクリーニング機構が備えられている。そして、コンバインには、不図示のマイコンが備えられており、マイコンには、セルフクリーニング機構を動作させる制御手段が備えられている。制御手段は、差圧センサ66により検知された差圧に基づいて微粒子捕集フィルター63の目詰まり発生を感知すると、微粒子捕集フィルター63における粒子状物質の堆積量を推定し、セルフクリーニング機構が適宜動作される。
【0058】
図10に示すように、刈取部18は、縦軸心P周りに揺動開閉可能に構成されており、刈り取り作業を行う作業状態と、穀稈の詰まり解消などのメンテナンスが可能な開放状態とを切り換えできるように構成されている。刈取部18を、縦軸心P周りに揺動させて開放することにより、温度センサ65、差圧センサ66、上流側ポート66a、下流側ポート66b、ハーネス70が、サイドパネル29の下方空間に隠れることなく機体横他側からメンテナンスを行い易い位置に露出される。
【0059】
〔排気処理装置のカバー〕
図2図3図5ないし図8図10に示すように、排気処理装置33の上方には、排気処理装置33にワラ屑等の塵埃がかかることを防止するカバー36が備えられている。カバー36は、排気処理装置33のうち運転操縦部13の下方空間に入り込んでいない部分と平面視で重複するように配置されており、排気処理装置33のうちサイドパネル29から機体横他側へ突出した部分の上方を覆っている。また、カバー36は、差圧センサ66、温度センサ65、ハーネス70をも上方から覆うように構成されている。つまり、排気処理装置33の上方は、カバー36および運転操縦部13とによって覆われている。また、カバー36は、平面視で保護部材26と一部が重複するように配置されている。
【0060】
図5図7図8に示すように、カバー36は、平板を折り曲げて形成されており、運転操縦部13から離れるほど下方に位置するように傾斜する形状に形成されている。支持部材35には、機体横他側へ延出されたブラケット72が備えられている。カバー36は、ブラケット72を介してサイドパネル29の支持部材35に取り付けられている。ブラケット72には、締結具により支持部材35の機体横他側端部に取り付けられた縦向きの固定部と、固定部から上方に延出され、上方へいくほど支持部材35から離間する延出部と、延出部から支持部材35から離間する側へ延出された取付部と、が備えられている。カバー36のサイドパネル29側の端部は、ブラケット72に対して上方から重ね合わされた状態で、上下方向に締結具73を締結することによりブラケット72の取付部に連結されている。
【0061】
カバー36は、カバー36と排気処理装置33との間の空間のうち運転操縦部13とは反対側が開放されている。また、カバー36は、カバー36と排気処理装置33との間の空間のうち機体前後側が開放されている。これにより、機体横一側から機体横他側へ向かうエンジン冷却風が、排気処理装置33の上部に沿って流動され、カバー36の下面の傾斜によって導かれ、カバー36におけるカバー36における運転操縦部13とは反対側の開放部および機体前後方向の開放部から機外へと放散される。
【0062】
〔連結排気管〕
排気処理装置33から排出される排気ガスは、図1ないし図11に示す連結排気管61により機外へ排出される。連結排気管61は、左右のクローラ走行装置11の間に配置されており、排気処理装置33から後方へ延出され、その延出端部は、左右のクローラ走行装置11の後端部よりも前方側に位置している。連結排気管61には、排気管75と、第一エジェクト管76と、第二エジェクト管78と、第三エジェクト管79と、第四エジェクト管80と、導風板81とが備えられている。
【0063】
図7ないし図9に示すように、排気管75には、基端部75aと、屈曲先端部75bと、が備えられている。基端部75aは、排気処理装置33の排ガス排出口58から刈取部18の位置する機体横内側に向かって水平状に延出されている。屈曲先端部75bは、基端部75aの延出端から機体横外側向きかつ機体下方後方向きに屈曲されて延出されており、第一エジェクト管76の入口側に接続されている。基端部75aと屈曲先端部75bは、それぞれ斜めに切断され、略直交するようにして突合せ溶接されている。つまり、排気管75は、排気処理装置33から離間する方向に向けて横引きされ、基端部75aと屈曲先端部75bとの接合部において直角状に屈曲されている。これにより、排気管75について、曲率の大きな曲げ加工を必要とせずに、排気管75を横方向にコンパクトにでき、脱穀装置19の案内部材23との間に機体横方向のクリアランスtを空けた状態で排気管75を位置させることができ、排気管75が、脱穀装置19の案内部材23に接触することを防止できる。
【0064】
図5図6図9図11に示すように、第一エジェクト管76は、排気管75における屈曲先端部75bの延出端部に入口側が外嵌されて締結具により連結され、下方へ延出されて形成されている。排気管75と第一エジェクト管76との連結部において、第一エジェクト管76の断面積は、排気管75の断面積よりも大きくなるようにされている。
【0065】
図5図6図9図11図12に示すように、第二エジェクト管78は、第一エジェクト管76の延出端部に入口側が外嵌されて締結具により連結され、下方へ延出されてから、後方へいくほど下方に位置するように傾斜する形状に屈曲されて形成されている。第一エジェクト管76と第二エジェクト管78との連結部において、第二エジェクト管78の断面積は、第一エジェクト管76の断面積よりも大きくなるようにされている。図11図15に示すように、第二エジェクト管78は、機体フレーム17における第一横フレーム83に支持されている。具体的には、第二エジェクト管78は、第一コ字状部材84と、一対の第一アングル部材85と、第一コ字状ステー86を介して、第一横フレーム83に連結されている。第一コ字状部材84は、前方側が開放されており、前端部が第一横フレーム83の後端部の両側面に溶着されている。一対の第一アングル部材85は、前部が第一コ字状部材84の後端部にそれぞれ連結されている。第一コ字状ステー86は、後方が開放されており、一対の第一アングル部材85の間に位置され、一対の第一アングル部材85の後部に連結されている。
【0066】
図5図6図11図13に示すように、第三エジェクト管79は、上部を短辺とする台形状で下部が開放された第一上部分割体79aと、矩形状で上部が開放された第一下部分割体79bとが上下に接合されて構成されている。第三エジェクト管79は、第二エジェクト管78の延出端部に入口側が外嵌されて締結具により連結され、後方へいくほど下方に位置するように傾斜する形状に形成されている。第三エジェクト管79の断面積は、第二エジェクト管78の断面積よりも大きくなるようにされている。図11図16に示すように、第二エジェクト管78の第一下部分割体79bの底面には、取付板82aが設けられており、第二横フレーム88の上面には、被取付板82bが設けられている。第二エジェクト管78は、取付板82aを被取付板82bに締結具で固定することにより、第二横フレーム88に支持されている。
【0067】
図5図6図11図14図16に示すように、第四エジェクト管80には、上部を短辺とする台形状で下部が開放された第二上部分割体80aと、矩形状で上部が開放された第二下部分割体80bとが上下に接合されて構成されている。第四エジェクト管80は、第三エジェクト管79の延出端部に入口側が外嵌されて締結具により連結されて、後方へいくほど下方に位置するように傾斜する形状に形成されている。第四エジェクト管80は、機体フレーム17における第二横フレーム88に支持されている。具体的には、図11図16に示すように、第二エジェクト管78は、第二コ字状部材89と、一対の第二アングル部材90と、第二コ字状ステー91を介して、第二横フレーム88に連結されている。第二コ字状部材89は、前方側が開放されており、前端部が第二横フレーム88の後端部の両側面に溶着されている。一対の第二アングル部材90は、前部が第二コ字状部材89の後端部にそれぞれ連結されている。第二コ字状ステー91は、後方が開放されており、一対の第二アングル部材90の間に位置され、一対の第二アングル部材90の後部に連結されている。
【0068】
図11に示すように、導風板81は、第四エジェクト管80の第二上部分割体80aの後端部に連結されており、後方へいくほど下方に位置するように傾斜する形状とされている。導風板81により、連結排気管61から機外に排気ガスが排出される際に、排気ガスが下方に向けて排出され、連結排気管61の後端部の上方に備えられた燃料タンク92に排気ガスが吹き付けられることが防止される。
【0069】
このように連結排気管61を構成することにより、排気管75と第一エジェクト管76との隙間、第一エジェクト管76と第二エジェクト管77との隙間、第三エジェクト管79と第四エジェクト管80との隙間の4つの隙間から冷却空気が取り込まれる。これにより、排気処理装置33の排ガス排出口58に接続された排気管75の入口において約600℃前後の高温となった排気ガスは、4つの隙間から取り込まれる冷却空気により順次冷却され、最終的に所定の温度、例えば240℃以下の温度まで冷却されて第四エジェクト管80から導風板81を介して機外へ排出される。
【0070】
〔緩衝機構〕
図7図8図17図18に示すように、排気処理装置33を支持しているディーゼルエンジン15は機体フレーム17に支持されている。機体フレーム17とディーゼルエンジン15との間には、機体の振動を緩衝する前後一対の第一エンジンマウント96と、前後一対の第二エンジンマウント97(「緩衝機構」に相当)と、が備えられている。第二エンジンマウント97は、ディーゼルエンジン15の出力軸15a側の部位に配設されている。
【0071】
第二エンジンマウント97には、ディーゼルエンジン15側に備えられたピン部材98と、ピン部材98の周方向を覆い、機体フレーム17側に備えられたボス状部材99と、ピン部材98とボス状部材99との間の全周にわたって備えられた円筒形状のゴム部材100と、が備えられている。ピン部材98は、ディーゼルエンジン15側に固定された取付部材101に対して回動自在に支持されおり、その軸方向がディーゼルエンジン15の出力軸15a方向に沿うように配置されている。つまり、円筒形状のゴム部材110は、その軸方向が、ディーゼルエンジン15の出力軸15a方向に沿うような姿勢で配置されており、言い換えれば、円筒形状のゴム部材110は、その半径方向が、ディーゼルエンジン15の側面と略直交するような姿勢で配置されている。ボス状部材99は、ディーゼルエンジン15の側面に対して略直角に配置された台座部99aを有しており、台座部99aが機体フレーム17の上面に締結具により固定されている。
【0072】
図17に示すように、運転操縦部13の機体横方向反対側かつ後方側に備えられている脱穀装置19は、ディーゼルエンジン15の出力軸15aが、脱穀装置19の入力軸19aに伝動ベルト19bを介して連繋されている。また、ディーゼルエンジン15の出力軸15aは、運転操縦部13の機体横方向反対側かつ後方側に備えられ、刈取部18に連繋されている走行変速装置30の入力軸30aに伝動ベルト30bを介して連繋されている。
【0073】
〔排気処理装置の作動制限〕
コンバインが保管される納屋等の屋内では、高温の排気ガスが排出されると、排気ガスによる熱気が屋内に篭る等して好ましくない。コンバインが納屋等の屋内にあるときは、低速の移動走行をする程度であるため、ディーゼルエンジン15の回転数はあまり大きくならない。このため、ディーゼルエンジン15の回転数が、コンバインで収穫作業を行うために必要な所定回転数未満であるとき、コンバインが納屋等の屋内にあるとみなして、排気処理装置33の作動を制限して、微粒子捕集フィルター63を再生するための燃焼を行わないように構成されている。
【0074】
例えば、収穫作業中に脱穀装置19を作動させている際のディーゼルエンジン15の回転数が2650rpmであり、脱穀装置19を作動させるために最低限必要なディーゼルエンジン15の回転数が2000rpmであるとする。この場合、所定回転数は例えば2000rpmとされ、ディーゼルエンジン15の回転数が2000rpm未満のときは、コンバインが屋内にあるとみなして、排気処理装置33において微粒子捕集フィルター63の再生を行わない。これにより、排気ガスによる熱気が屋内に篭る等の不都合を防止できる。
【0075】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第二エンジンマウント97がディーゼルエンジン15の出力軸15a側の部位にのみ配設されているものを示したがこれに限られない。例えば、第二エンジンマウント97がディーゼルエンジン15の出力軸15a側の部位に配設されていることに加えて、第一エンジンマウント96に代えてディーゼルエンジン15の出力軸15a側とは反対側の部位にも第二エンジンマウント97が配設されていてもよい。
【0076】
(2)上記実施形態では、排気処理装置33およびカバー36が、機体前後方向が長手方向となるように配設されているものを示したがこれに限られない。例えば、排気処理装置33およびカバー36を、機体横方向が長手方向となるように配設されていてもよい。
【0077】
(3)上記実施形態では、排気処理装置33のうち運転操縦部13の下方空間に入り込んでいない部位に、排気処理装置33の状態を検知する温度センサ65、差圧センサ66が取り付けられているものを示したが、これに限られない。温度センサ65や差圧センサ66を、排気処理装置33のうち運転操縦部13の下方空間に入り込んでいる部位に取り付けてあるものでもよい。
【0078】
(4)上記実施形態では、排気処理装置33の上方を覆う大きさのカバー36を示したが、これに限られない。排気処理装置33および排気管75の上方を覆う大きさのカバー36であってもよい。
【0079】
(5)上記実施形態では、緩衝機構の一例として、ピン部材98がディーゼルエンジン15側に備えられ、ボス状部材99が機体フレーム17側に備えられた第二エンジンマウント97を示したが、これに限られない。ピン部材98が機体フレーム17側に備えられ、ボス状部材99がディーゼルエンジン15側に備えられたような緩衝機構であってもよい。
【0080】
(6)上記実施形態では、排気管75を、基端部75aと屈曲先端部75bとが突合せ溶接されることにより、直角状に屈曲した形状とされている例を示したが、これに限られない。排気管75は、横引きされてから下方へ曲げ加工されることにより、丸みを帯びて湾曲した形状とされたものであってもよい。
【0081】
(7)上記実施形態では、エンジンの一例として、ディーゼルエンジン15が備えられたものを示したがこれに限られない。ガソリンエンジン等の他のエンジンが備えられたものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
12 :キャビン
13 :運転操縦部
14 :運転座席
15 :ディーゼルエンジン(エンジン)
15a :出力軸
17 :機体フレーム
19 :脱穀装置
19a :入力軸
29 :サイドパネル
31 :変速レバー(操作具)
32 :刈取クラッチレバー(操作具)
33 :排気処理装置
34 :窓部
35 :支持部材
36 :カバー
65 :温度センサ(検知手段)
66 :差圧センサ(検知手段)
72 :ブラケット
97 :第二エンジンマウント(緩衝機構)
98 :ピン部材
99 :ボス状部材
100 :ゴム部材
図1
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