(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の出入口を形成する開口部の左右に立設した支持柱と、左右支持柱に近接して設置され増水時に建物内への進水防止を図る着脱自在の止水板と、を有する着脱式止水装置であって、
前記止水板は、前記建物内に進水する水を止水する止水面を正面に有する正面視矩形状に形成し、下底面には止水時に床面と水密に当接する弾性体からなる床面止水部を配設すると共に、前記止水面の裏面の左右側には止水時に前記左右支持柱と水密に当接する弾性体からなる左右支持柱止水部をフランジを介して配設し、
更に、前記止水板の左右側には、前記開口部と直交する進水方向と同方向に形成された止水板係止面を備え、
前記左右支持柱には、前記進水方向と同方向に形成された支持柱係止面を備え、
前記止水板係止面を前記左右支持柱止水部よりも内側に形成し、前記左右支持柱の内側面を前記支持柱係止面とし、
前記止水板係止面は、板状に形成した基部の一方に突設した止水板係止片を略直角に屈曲した断面視L字状の前記フランジにおいて、前記止水面の裏面と各前記左右支持柱止水部との間に前記基部を重設すると共に、前記止水面の裏面側から突設した前記止水板係止片の外側面を前記止水板係止面とし、
しかも、前記止水板係止面と前記支持柱係止面には、前記止水板と前記支持柱とを一体に係止可能な受け部材と操作部材とを対とするパチン錠を係合部として形成し、
前記係合部は、前記進水方向に反して上方に拡開した傾斜角度で前記止水板係止面と前記支持柱係止面に形成することで、係合時に前記止水板を前記床面と前記支持柱に向けて付勢させることを特徴とする着脱式止水装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る着脱式止水装置の要旨は、建物の出入口を形成する開口部の左右に立設した支持柱と、左右支持柱に近接して設置され増水時に建物内への進水防止を図る着脱自在の止水板と、を有する着脱式止水装置であって、前記止水板は、前記建物内に進水する水を止水する止水面を正面に有する正面視矩形状に形成し、下底面には止水時に床面と水密に当接する弾性体からなる床面止水部を配設すると共に、前記止水面の裏面の左右側には止水時に前記左右支持柱と水密に当接する弾性体からなる左右支持柱止水部を配設し、更に、前記止水板の左右側には、前記開口部と直交する進水方向と同方向に形成された止水板係止面を備え、前記左右支持柱には、前記進水方向と同方向に形成された支持柱係止面を備え、しかも、前記止水板係止面と前記支持柱係止面には、前記止水板と前記支持柱とを一体に係止可能な対の係合部を形成したことを特徴とする。すなわち、水害の際に建物の出入口を容易に止水可能とし、しかも、止水板が水圧を受けても止水性能を確実に維持することができる着脱式止水装置の提供を図ろうとするものである。
【0025】
ここで、左右支持柱は、建物の出入口を形成する開口部の左右に立設したものであり、開口部には、自動ドアや観音開きドア、シャッター等の開閉装置を有していたり、単なる開口のみであっても、建物内外を人や車両等が出入り可能な開口部は全て本発明に係る着脱式止水装置の対象となる。
【0026】
また、左右支持柱を介して設置される止水板は、建物内部が浸水しない限り左右支持柱の近傍において建物内外の何れに設置してもよい。
【0027】
以下、本発明に係る着脱式止水装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
【0028】
なお、本発明においては開閉装置の有無を問わないため、説明の便宜上、
図1(a)〜(d)、
図10(c)、
図11(b)以外の図は開口部に開閉装置を示していない。
【0029】
[共通基本実施形態]
本発明の実施形態に係る着脱式止水装置1A,1B,1Cは、
図1(c)、(d)、
図4(a)、
図6(a)、
図9(a)に示すように、建物Tの出入口Dを形成する開口部Kの左右に立設した支持柱50と、左右支持柱50に近接して設置され増水時に建物内T1への進水防止を図る着脱自在の止水板2a,2b,2cと、を有する着脱式止水装置1A,1B,1Cであって、止水板2a,2b,2cは、建物内T1に進水する水を止水する止水面4を正面5に有する正面視矩形状に形成し、下底面8には止水時に床面Fと水密に当接する弾性体からなる床面止水部11を配設すると共に、止水面4の裏面6の左右側には止水時に左右支持柱50と水密に当接する弾性体からなる左右支持柱止水部12を配設し、更に、止水板2a,2b,2cの左右側には、開口部Kと直交する進水方向Sと同方向に形成された止水板係止面13を備え、左右支持柱50には、進水方向Sと同方向に形成された支持柱係止面53を備え、しかも、止水板係止面13と支持柱係止面53には、止水板2a,2b,2cと支持柱50とを一体に係止可能な対の係合部20aを形成している。
【0030】
ここで、
図1(a)は建物Tの出入口Dに開閉装置として左右に往復動する自動ドアJを備え、
図1(b)は開閉装置とし観音開きドアHを備えている。また、床面Fから上方に伸延する支持柱50は開口部Kの左右で自動ドアJや観音開きドアHを案内支持すると共に、複数の横桟Yと共に壁面Gを支持固定している。
【0031】
なお、本実施形態では壁面Gをガラスとしているが、これに限定されるものではなく、コンクリートやセラミック、木材等、建物Tの壁面を形成するものであればよく、更には、支持柱50を介して左右に隣接した別途の出入口Dを設けてもよい。
【0032】
また、
図1(c)は
図1(a)に後述する第1実施形態に係る止水板2aを設置した図を示し、
図1(d)は
図1(b)に後述する第1実施形態に係る止水板2aを設置した図を示している。
【0033】
なお、支持柱50は、上下に伸延する角柱状を基本形状とするが、これに限定されるものではなく、建物Tの出入口Dを形成する開口部Kに立設し、開口部Kと直交する進水方向Sと同方向に形成された支持柱係止面53を備えていれば如何なる形状であっても本発明の要旨の範囲内である。
【0034】
係合部20aは、
図3(b)、(c)に示すように、受け部材21と操作部材22からなるパチン錠20aにより構成しており、フック27を形成した受け部材21に対して操作部材22の台座23に連設したジョイント25を係止し、操作レバー24をフック27と逆方向に回動させることでジョイント25も同方向に変位して所定の付勢力を維持することができる。
【0035】
なお、受け部材21はフック27が操作部材22と逆方向に屈曲した向きで配設され、ジョイント25の先端に形成された環状体26がフック27を挿通囲繞して係合させるが、係合部20aが形成される止水板係止面13と支持柱係止面53には、止水板係止面13や支持柱係止面53の面積や操作レバー24の作業性に応じて、受け部材21と操作部材22の何れを配設してもよい。
【0036】
また、係合部20aは、ジョイント25を軸芯方向に回転させることで進退自在となり係合時の付勢力を調整可能とすることもできる。更に、係合部20aには係合後に容易に解除できないように錠前を設置できる構造を用いてもよい。
【0037】
なお、本実施形態に係る係合部20aはパチン錠であるが、進水方向Sと同方向に形成された止水板係止面13と支持柱係止面53に設置できるものであれば本実施形態に限定されず如何なる構造の係合部を用いてもよい。
【0038】
水害時においては、進水方向Sの水圧を止水面4で受けると共に、支持柱50の前面55と密着当接した支持柱止水部12は、水圧に応じて圧縮しながら止水板2a,2b,2cと支持柱50の距離を微妙に変位させて水密状態を維持する。
【0039】
また、進水方向Sと同方向の面に形成した止水板係止面13と支持柱係止面53に係合部20aを配設しているため、床面止水部11と支持柱止水部12による止水性能が水圧の変化に対して低下することはない。
【0040】
また、本実施形態のように係合部20aにパチン錠を採用した場合は、パチン錠20aの付勢力を超えた水圧を受けてもパチン錠20aの構造上の特徴により受け部材21と操作部材22の位置が近接する方向に働き、上述のように支持柱止水部12が圧縮した際でも係合部20aが止水性能を阻害することはない。
【0041】
なお、係合部20aに例えば、ボルト・ナットによる螺合構造を用いた場合は、水圧を受けた際に止水板2a,2b,2cが支持柱50側に変位することはなく支持柱止水部12の圧縮も生じないため、同様に止水性能が低下することはない。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る着脱式止水装置1A,1B,1Cは止水板2a,2b,2cの左右側に、開口部Kと直交する進水方向Sと同方向に形成された止水板係止面13を備え、左右支持柱50には、進水方向Sと同方向に形成された支持柱係止面53を備え、しかも、止水板係止面13と支持柱係止面53には、止水板2a,2b,2cと支持柱50とを一体に係止可能な対の係合部20aを形成したことより、止水時の水圧を止水板2a,2b,2cが受けたとしても係合部20a周縁には水の侵入を許すような箇所が生じないため、止水時に止水性能を確実に維持することができる。
【0043】
また、係合部20aは、
図4(b)、
図6(b)、
図9(b)に示すように、進水方向Sに反して上方に拡開した傾斜角度θで止水板係止面13と支持柱係止面53に形成することで、係合時に止水板2a,2b,2cを床面Fと支持柱50に向けて付勢させるように構成している。
【0044】
係合部20aの傾斜角度θは、止水板2a,2b,2cを鉛直下方の床面Fと水平方向の支持柱50に付勢させるために、略15度〜略75度の範囲に設定することが望ましいが、床面Fと支持柱50の両方に対して効率よく付勢させるには傾斜角度θを略30度〜略60度の範囲に設定することが更に望ましい。
【0045】
なお、係合部20aの傾斜角度θは、床面Fや支持柱50の表面粗さや床面Fの傾斜度合、床面止水部11や支持柱止水部12の止水能力等に応じて床面Fと支持柱50への付勢力のバランスを考慮して適宜設定することができる。本実施形態においては傾斜角度θを略45度として説明しているが、本角度θは床面Fと支持柱50の両方に対して均等に付勢させるには最も優れた傾斜角度θとなる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る着脱式止水装置1A,1B,1Cの係合部20aは、進水方向Sに反して上方に拡開した傾斜角度θで止水板係止面13と支持柱係止面53に形成することより、止水板2a,2b,2cと支持柱50との係合時に止水板2a,2b,2cを床面Fと支持柱50に向けて自動的に付勢させることができるため、支持柱50に止水板2a,2b,2cを設置するだけで床面Fと支持柱50との間を可及的に水密状態とすることができる。
【0047】
以下、本実施形態に係る着脱式止水装置1A,1B,1Cの構成について、上述した構成を共通の基本構成とする複数の実施形態を具体的に詳述する。
【0048】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る着脱式止水装置1Aは上述した共通基本実施形態の構成において、
図2(a)〜(c)、
図3(a)に示すように、止水板2aの左右側端面9を止水板係止面13とし、左右支持柱50の外側面52を支持柱係止面53として構成している。
【0049】
止水板2aは、正面5を止水面4とした所定厚みを有する長方形状の第一矩形ブロック体3xで形成しており、下底面8に床面止水部11を、裏面6の左右側に支持柱止水部12を配設している。
【0050】
また、止水板2aの止水板係止面13には係合部20aの一方をなす操作部材22を形成し、支持柱50の支持柱係止面53には係合部20aの他方をなす受け部材21を形成している。
【0051】
また、止水板2aの上端面7には、コ字状の端部を下方とした把持部14を所定間隔で2個配設している。
【0052】
具体的には、止水板2aの外観をなす第一矩形ブロック体3xは、アルミ板を折曲して箱状に形成し、内部に中空のアルミ製角柱をロ字状の枠体として形成している。すなわち、止水板2aの上端面7、下底面8、左右側端面9はアルミ板で形成している。
【0053】
なお、第一矩形ブロック体3xの構成は本実施形態に限定されるものではなく、枠体の内部に横桟や縦桟を配設して強度向上を図ったり、中空のアルミ製角柱をロ字状の枠体として形成し、正面5及び裏面6にアルミ板を接合して形成したり、アルミ以外の材質で形成したり等、本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。
【0054】
また、床面止水部11は、弾性体である発泡ウレタンからなり、第一矩形ブロック体3xの下底面8全体を被覆するよう帯状に形成しているが、床面止水部11は発泡ウレタンに限定されるものではなく弾性を有し床面Fと密着当接して止水可能な材料であればよい。
【0055】
また、支持柱止水部12は、弾性体である発泡ウレタンからなり、第一矩形ブロック体3xの裏面6の左右側縁部10を垂直方向に所定幅だけ被覆するように帯状に形成しているが、支持柱止水部12は発泡ウレタンに限定されるものではなく弾性を有し支持柱50と密着当接して止水可能な材料であればよい。
【0056】
なお、帯状の支持柱止水部12の下端は、状況に応じて第一矩形ブロック体3xを超えて床面止水部11まで延在させてもよい。
【0057】
また、係合部20aは、上述した共通基本実施形態の通り
図3(b)、(c)に示す受け部材21と操作部材22からなるパチン錠20aを用い、進水方向Sに反して上方に拡開した傾斜角度θである45度として止水板係止面13と支持柱係止面53に形成している。
【0058】
このように構成された着脱式止水装置1Aは、水害時において、
図3(a)、
図4(a)に示すように、出入口Dの開口部Kに立設する支持柱50に対し止水面4を建物外T2に向けて止水板2aを近接させ、止水板係止面13と支持柱係止面53が略面一となるように配置し、これらの面13,53に配設された係合部20aにより固定され出入口Dに設置される。
【0059】
このように支持柱50に止水板2aを設置することで、
図4(c)に示すように、進水方向Sに対して止水時の水圧を止水板2aが受けたとしても係合部20a周縁には水の侵入を許すような箇所が生じないため、止水時に止水性能を確実に維持することができる。
【0060】
また、
図4(b)に示すように、係合部20aを進水方向Sに反して上方に拡開した傾斜角度θで止水板係止面13と支持柱係止面53に形成することより、止水板2aと支持柱50との係合時に止水板2aを床面Fと支持柱50に向けて自動的に付勢させることができるため、支持柱50に止水板2aを設置するだけで床面Fと支持柱50との間を可及的に水密状態とすることができる。
【0061】
また、止水板2aの左右側端面9を止水板係止面13とし、左右支持柱50の外側面52を支持柱係止面53としたことより、支持柱50に対する止水板2aの設置方法が直感的に理解できるので特別な訓練を要することなく何人も容易に設置することができる。
【0062】
また、建物Tの出入口Dを形成する支持柱50の外側面52はシャッター等の開閉装置と干渉しないため、該面52を支持柱係止面53として係合部20aを設置することが容易であり、既存の建物Tへの止水板2aの設置を非常に簡易に行うことができる。
【0063】
次に、第2実施形態に係る着脱式止水装置1Bについて具体的に詳述する。
【0064】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る着脱式止水装置1Bは上述した共通基本実施形態の構成において、
図5(a)〜(c)、
図6(a)〜(c)に示すように、止水板係止面13を左右支持柱止水部12よりも内側に形成し、左右支持柱50の内側面54を支持柱係止面53として構成している。
【0065】
また、止水板係止面13は、止水面4の裏面6側から突設した止水板係止片33に形成している。
【0066】
止水板2bは、第1実施形態に係る第一矩形ブロック体3xにおいて、支持柱止水部12を止水板係止片33を有するフランジ31の基部32を介して第一矩形ブロック体3xに連接したものであり、床面止水部11と把持部14の構成は第1実施形態に係る止水板2aと同様に形成している。
【0067】
また、止水板2bの止水板係止面13には係合部20aの一方をなす受け部材21を形成し、支持柱50の支持柱係止面53には係合部20aの他方をなす操作部材22を形成している。
【0068】
具体的には、フランジ31は、
図5(b)に示すように長方形状で板状に形成した基部32の長手方向の一方に所定間隔で突設した矩形状の2つの止水板係止片33を略直角に屈曲した断面視L字状に形成し、屈曲した止水板係止片33の外側面34を止水板係止面13としている。
【0069】
また、フランジ31の基部32の長さは第一矩形ブロック体3xの高さと同等に形成している。
【0070】
また、
図5(c)に示すように、支持柱50に止水板2bを設置した際、左右支持柱50の内側面54に左右止水板係止片33の内側面35が重置するように形成しており、係合部20aにより止水板2bを支持柱50に固定することができる。
【0071】
また、係合部20aは、上述した共通基本実施形態の通り
図3(b)、(c)に示す受け部材21と操作部材22からなるパチン錠20aを用い、進水方向Sに反して上方に拡開した傾斜角度θである45度として止水板係止面13と支持柱係止面53に形成している。
【0072】
このように構成された着脱式止水装置1Bは、水害時において、
図6(a)に示すように、出入口Dの開口部Kに立設する支持柱50に対し止水面4を建物外T2に向けて止水板2bを近接させ、支持柱係止面53の一部に
止水板係止片33を重置し、係合部20aにより固定され出入口Dに設置される。
【0073】
このように支持柱50に止水板2bを設置することで、
図6(c)に示すように、進水方向Sに対して止水時の水圧を止水板2bが受けたとしても係合部20a周縁には水の侵入を許すような箇所が生じないため、止水時に止水性能を確実に維持することができる。
【0074】
また、
図6(b)に示すように、係合部20aを進水方向Sに反して上方に拡開した傾斜角度θで止水板係止面13と支持柱係止面53に形成することより、止水板2bと支持柱50との係合時に止水板2bを床面Fと支持柱50に向けて自動的に付勢させることができるため、支持柱50に止水板2bを設置するだけで床面Fと支持柱50との間を可及的に水密状態とすることができる。
【0075】
更に、止水板係止面13を左右支持柱止水部12よりも内側に形成し、左右支持柱50の内側面54を支持柱係止面53としたことより、止水板2bと支持柱50との係合作業を建物内から容易に行うことができる。
【0076】
しかも、止水板係止面13は、止水面4の裏面6側から突設した止水板係止片33に形成したことより、支持柱50に止水板2bを設置する際、止水板係止片33を支持柱50の内側面54を案内として取付けることができるので支持柱50に対する止水板2bの位置決めを容易に行うことができる。
【0077】
なお、本実施形態ではフランジ31を用いているが、例えば、フランジ31を中空のアルミ製角柱として形成し第一矩形ブロック体3xに接続し、表面に支持柱止水部12を設け内側に向いた側面を止水板係止面13として係合部20aを配設してもよい。
【0078】
の場合、支持柱50の支持柱係止面53と止水板の止水板係止面13は、フランジ31の場合と異なり止水板係止面13が支持柱係止面53に重置することなく略面一となって設置される。
【0079】
次に、第3実施形態に係る着脱式止水装置1Cについて具体的に詳述する。
【0080】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る着脱式止水装置1Cは上述した共通基本実施形態の構成において、
図7(a)〜(c)、
図8、
図9(a)〜(c)に示すように、止水板係止面13を左右支持柱止水部12よりも内側に形成し、左右支持柱50の内側面54を支持柱係止面53としとして構成している。
【0081】
更に、止水板2cは、止水面4の裏面端縁部にロ字状の枠体42を重設し、枠体42の一部を構成する左右縦杆43の内側面44を止水板係止面13として構成している。
【0082】
また、止水板2cは、正面5を止水面4とした所定厚みを有する長方形状の第二矩形ブロック体3yで形成しており、下底面8に床面止水部11を、裏面6の左右縦杆43に支持柱止水部12を配設している。すなわち、第二矩形ブロック体3yは上述した第一矩形ブロック体3xの裏面6を被覆するアルミ板を有さず、裏面側から露出した縦杆43の内側面44に止水板係止面13を形成したものであり、支持柱止水部12と床面止水部11と把持部14の構成は第1実施形態に係る止水板2aと同様に形成している。
【0083】
また、止水板2cの止水板係止面13には係合部20aの一方をなす受け部材21を形成し、支持柱50の支持柱係止面53には係合部20aの他方をなす操作部材22を形成している。
【0084】
具体的には、止水板2cの外観をなす第二矩形ブロック体3yは、中空のアルミ製角柱をロ字状の枠体42として形成し、正面5にアルミ板を接合して形成したものであり、枠体42の内側において横桟45と縦桟46を設けることで止水板2cの強度向上を図っている。
【0085】
なお、第二矩形ブロック体3yの構成は本実施形態に限定されるものではなく、アルミ板を折曲して無底箱状に形成し、内部に中空のアルミ製角柱をロ字状の枠体として形成したり、枠体の内部に横桟や縦桟を配設して強度向上を図ったり、アルミ以外の材質で形成したり等、本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。
【0086】
係合部20aは、上述した共通基本実施形態の通り
図3(b)、(c)に示す受け部材21と操作部材22からなるパチン錠20aを用い、進水方向Sに反して上方に拡開した傾斜角度θである45度として止水板係止面13と支持柱係止面53に形成している。
【0087】
このように構成された着脱式止水装置1Cは、水害時において、
図8、
図9(a)に示すように、出入口Dの開口部Kに立設する支持柱50に対し止水面4を建物外T2に向けて止水板2cを近接させ、止水板係止面13と支持柱係止面53が略面一となるように配置し、これらの面13,53に配設された係合部20aにより固定され出入口Dに設置される。
【0088】
このように支持柱50に止水板2cを設置することで、
図9(c)に示すように、進水方向Sに対して止水時の水圧を止水板2cが受けたとしても係合部20a周縁には水の侵入を許すような箇所が生じないため、止水時に止水性能を確実に維持することができる。
【0089】
また、
図9(b)に示すように、係合部20aを進水方向Sに反して上方に拡開した傾斜角度θで止水板係止面13と支持柱係止面53に形成することより、止水板2cと支持柱50との係合時に止水板2cを床面Fと支持柱50に向けて自動的に付勢させることができるため、支持柱50に止水板2cを設置するだけで床面Fと支持柱50との間を可及的に水密状態とすることができる。
【0090】
更に、止水板係止面13を左右支持柱止水部12よりも内側に形成し、左右支持柱50の内側面54を支持柱係止面53としたことより、止水板2cと支持柱50との係合作業を建物内から容易に行うことができる。
【0091】
しかも、止水板2cは、止水面4の裏面端縁部にロ字状の枠体42を重設し、枠体42の一部を構成する左右縦杆43の内側面44を止水板係止面13としたことより、係合部20aが止水板2cの内部に収まることで不使用時の止水板2cを嵩張ることなく保管することができる。
【0092】
次に、上述した実施形態に適用可能な変形例について具体的に詳述する。
【0093】
[変形例1]
まず、第2・第3実施形態に係る着脱式止水装置1B,1Cに適用可能な支持柱50の変形例として、例えば、
図10(a)〜(c)、
図11(a)、(b)に示すように、止水板2b,2cと略同高さの部分だけ開口部Kの中央部に向けて平面視L字状に屈曲した部位50aを設けた形状としたり、
図12(a)、(b)に示すように、角柱状の支持柱50の内側面(54)に止水板2b,2cと略同高さで開口部Kの中央部に向けて平面視L字状に屈曲した部位50bを連接した形状であってもよい。
【0094】
すなわち、支持柱50は進水方向Sと同方向に形成された支持柱係止面53を有していれば本発明の要旨の範囲内であり、本変形例に係る支持柱50(50a,50b)であれば、
図11(b)に示すように建物内T1において自動ドアJや観音開きドアH、シャッター等の開閉装置の内側に止水板2b,2cを設置することができる。
【0095】
従って、水害時に開閉装置で出入口Dを閉じた後に余裕を持って止水板2b,2cを設置でき、しかも、開閉作業が頻繁に行われない倉庫等の場合には、開閉装置であるシャッター等の内側に止水板2b,2cを長期間常設しておくことも可能なので,水害が発生しやすい時期に予め止水板2b,2cを支持柱50(50a,50b)に設置しておくこともできる。
【0096】
このように、支持柱50の形状は本変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能であり、第1実施形態に係る着脱式止水装置1Aの支持柱50であっても本達明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能であることは言うまでもない。
【0097】
また、上述した変形例に係る支持柱50(50a,50b)は、出入口Dの開口部Kに対して若干だけ建物内T1に入り込んだ位置に配設したものとして説明しているが、あくまでも例示であって、このような構造の支持柱50(50a,50b)や種々の変形・変更を伴う支持柱50を開口部Kの前方である建物外T2に配設することも可能であることは言うまでもない。
【0098】
[変形例2]
次に、全ての着脱式止水装置1A,1B,1Cに適用可能な係合部20aの配置に関する変形例として、例えば、止水板係止面13と支持柱係止面53に傾斜させた状態で設置している係合部20aに対して、
図13(a)、(b)に示すように略水平な状態とした係合部20bを混在させて設置することもできる。
【0099】
特に、支持柱50の下方側と床面Fとが交差する箇所においては、水密状態を安定的に保つことができない場合もあり、このような場合には、傾斜した係合部20aを上方に配設し、略水平の係合部20bを下方に配設すればよい。
【0100】
なお、略水平の係合部20bを、傾斜した係合部20aの何れの箇所に幾つ付加しても本発明の要旨の範囲内であることは言うまでもない。
【0101】
[変形例3]
次に、第1実施形態に係る着脱式止水装置1Aに適用可能な係合部20aの設置方法に関する変形例として、例えば、係合部20aは、止水板2aや支持柱50に直に設置しなくても、
図14(a)に示すように、金属製で長方形状の止水板側の第一係合部支持板28と,同じく金属製で長方形状の支持柱側の第二係合部支持板29に予め係合部20aを接続した状態で止水板2aや支持柱50に設置してもよい。
【0102】
このように第一・第二係合部支持板28,29を用いることで、止水板2aや支持柱50に設置する複数の係合部20aの各々の高さや角度の調整を予め容易に行うことができるようになる。
【0103】
また、止水板2aを支持柱50に設置する際、止水板2aを支持柱50と床面Fに押し付けながら設置することになるため止水板2aは若干だけ下方へ移動する。この下方への移動量tを考慮して移動前の位置で第一・第二係合部支持板28,29が正しい位置に配設されているのか確認できるよう、
図14(b)に示すように第一・第二係合部支持板28,29の中途部にマーカー81,82を記入または刻印等することもできる。
【0104】
例えば、第一係合部支持板28が設置された完成体の止水板2aを係合部20aが設置されていない支持柱50に当接することで、第一係合部支持板28のマーカー81に合わせて第二係合部支持板29のマーカー82を合わせながら支持柱50に第二係合部支持板29を容易に設置することが可能となる。
【0105】
[変形例4]
次に、全ての着脱式止水装置1A,1B,1Cに適用可能な補強用の止水板固定具60について、第3実施形態に係る着脱式止水装置1Cを例として説明する。
【0106】
図15(a)に示すように、止水板固定具60は止水板2cの背面に設置され、水圧に対する止水板2cの変形や浮き上がりを防止する。
【0107】
図15(c)に示すように、止水板固定具60は、フック部61と連結部65と固定部68とで構成しており、フック部61は、上部において止水板2c側に突設した矩形板状部材を略直角に折曲して水平片62と垂直片63とで側面視L字状に形成し、水平片62の下底面に発泡ウレタン等の第一弾性部材64を形成している。
【0108】
また、連結部65は、上部においてフック部61の基部と連接し鉛直方向に立設する矩形板状部材からなる受部66と、受部66の背面中央部において連接し上下に立設した側面視三角形状部材からなるリブ67とで形成している。
【0109】
また、固定部68は、連結部65の基部と上面で連接するよう表裏面を上下とした矩形板状部材からなり、受部66に対してフック部61とは逆方向に突設している。更に、固定部68にはリブ67の左右に位置するボルト挿通孔69を穿設すると共に、下底面にボルト挿通孔69との連通孔を穿設した発泡ウレタン等からなる第二弾性部材70を形成している。
【0110】
このような止水板固定具60を床面Fに固定するために、
図15(b)に示すように、上方からボルト挿通孔69を介して挿入されるボルト71と螺合する雌ネジ孔72を床面Fに設けている。
【0111】
止水板固定具60は、止水板2cを支持柱50(50a)に設置した後、止水板2cの後方から止水板2cの所定の上端部にフック部61を係合しつつ止水板2cの背面に受部66を近接させボルト71を用いて床面Fに固定する。
【0112】
このように、止水板固定具60は、該固定具60を床面Fに固定する際、第一・第二弾性部材64、70が緩衝材となり止水板2cを適度な力で鉛直下方へ押圧することができるので、長手方向に長尺な止水板2cに対して水圧による変形や浮き上がりを防止でき、安定した止水性能を維持することが可能となる。
【0113】
以上、本発明の好ましい実施形態と変形例について説明したが、本発明は係る特定の実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。