(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための実施例について、願書に添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る団子製造機の概略を示す側面図であり、
図1に示した団子製造機の正面図である。
【0015】
図1及び
図2に示す団子製造機100において、団子を製造するための団子生地は、生地ホッパー10に投入される。
【0016】
生地供給ロール20は、一対の生地供給ロール20a、生地供給ロール20bからなり、生地ホッパー10に投入された団子生地を板状に成形して、団子成形ロール30に供給する。
【0017】
団子成形ロール30は、それぞれ表面に図示しない団子成形型が形成された、一対の形成ロール30a、30bからなり、生地供給ロール20から供給された板状の団子生地を挟み込んで整列された複数の団子を成形する。
【0018】
なお、本発明に係る形成ロール30a、30bは、後に詳述する成形ロール継手310、320により、図示しない駆動部に工具レスで着脱自在に装着されている。
【0019】
串投入口40には、団子形成ロール30で整列成形された複数の団子に対する串刺しを行うための複数の串が投入される。
【0020】
串整列装置50は、串投入口40から投入された複数の串を一本ずつ後に詳述する串整列ロール52の串溝52aにいれ、串溝52aにより整列された串Sを串押出装置60に落下させることにより、串押出装置60への串の供給を行う。
【0021】
串押出装置60は、形成ロール30で整列成形された複数の団子に対する串刺しを行うもので、本発明に係る串押出装置60においては、串整列装置50から落下された串を吸引して串押出装置60内の串レールに強制収容する吸引手段が設けられている。この吸引手段の詳細については、後に
図3、
図4を参照して詳細に説明する。
【0022】
ブロアー70は、串整列装置50から落下された串を吸引して串押出装置60内の串レールに強制収容するために用いられる。
【0023】
仕上ロール80は、団子成形ロール30で成形され、串押出装置60で串刺しされた団子の仕上げ成形を行うもので、表面に図示しない団子の仕上げ成形を行うための成形型が形成されている。
【0024】
この仕上ロール80で仕上げ成形される団子は、ガイド81を通ってトレイ90に排出される。なお、上記実施例ではガイド81により導かれる団子をトレイ90に排出するように構成したが、ガイド81により導かれる団子を図示しないコンベアに排出するように構成してもよい。
【0025】
さて、上記構成において、上記団子製造機100の形成ロール30a、30bは、所定周期で間欠駆動するように構成されており、串整列装置50からの串押出装置60への串の供給及び串押出装置60による串刺し動作は、上記形成ロール30a、30bの間欠動作に同期して行われる。
【0026】
図3は、
図1に示した団子製造機100の串整列装置50から落下する串Sの串レール610への強制収納動作を説明する図であり、
図4は、
図1に示した団子製造機100の串押出装置60内に設けられる串レール610の上面図(
図4(A))及び正面図(
図4(B))である。
【0027】
図3及び
図4において、串レール610には、串整列装置50から落下した串Sが吸引手段により強制収納される溝612が設けられており、溝612の底面には複数の吸引孔613が形成されている。複数の吸引孔613は、串レール610の下部に設けられた共通吸引通路614を経由して排気口615に接続され、排気口615は、
図1及び
図2に示したブロアー70に接続されている。
【0028】
串整列装置50は、串投入口40から投入された複数の串Sを一本ずつピックアップするピックアップロール51と、ピックアップロール51でピックアップした串Sを外周面の複数の串溝52aに一本ずつ整列して収容し、串レール610の位置に達したとき図示しない掻落爪で掻き落とされてガイド部材616に沿って串レール610の溝612に落下させる串整列ロール52を有している。
【0029】
串整列ロール52から落下した串Sは、溝612の底面の複数の吸引孔613からの吸引により、串レール610の溝612内に収容される。ここで、串整列ロール52から落下する串Sが、油等による汚れ、形状のバラツキ等があったとしても、複数の吸引孔613からの吸引により強制的に串レール610の溝612内に収容されるので、串整列ロール52から落下した串Sの迅速かつ安定した串レール610の溝612への収容が可能になる。
【0030】
図5は、
図1に示した団子製造機100の串レール610内を往復動するプッシャー620の上面図(
図5(A))、側面図(
図5(B))及び端面図(
図5(C))であり、
図6は、
図5に示したプッシャー620及びロードセルを取り付ける取付板の上面図(
図6(A))及び側面図(
図6(B))である。
【0031】
図5及び
図6において、プッシャー620の先端には、串Sを押し出すための切欠き部621が形成され、後部には取付板630に取り付けるための螺子623を有する取付部622が形成されている。また、プッシャー620の取付部622の後端側には、ロードセルを取り付けるための切欠き部624が形成されている。
【0032】
取付板630には、螺子623によりプッシャー620を取り付けるための螺子孔631が設けられ、また、取付板630上にロードセル640を取り付けるための螺子孔632が設けられ、更に、この取付板630を後に説明する可動部650に取り付けるための長孔633が設けられている。
【0033】
図7は、
図6に示した取付板630を用いたロードセル640取り付け構造を説明する図で、
図7(A)は、その上面図、
図7(B)は、その左側面図、
図7(B)は、その右側面図ある。
【0034】
図7において、プッシャー620は、螺子623により取付板630に取り付けられる。また、プッシャー620の取付部622の後端側の切欠き部624に当接するようにロードセル640が取り付けられ、このロードセル640は、螺子孔632からねじ込まれた螺子642により取付部622上に固定される。
【0035】
また、取付板630には、往復動する可動部650が長孔633を介して螺子643により取り付けられる。
【0036】
このように取り付けられたロードセル640は、団子の串刺しに際してプッシャー620に加わる力を検知する。
【0037】
図8は、
図1に示した団子製造機100のプッシャー620による団子串刺し動作を説明する図である。
【0038】
この実施例の団子製造機100において、成形ロール30a、30bによる団子成形動作、串整列ロール52による串Sの落下動作に同期して、取付板630に取り付けられた可動部650の往復動作が制御され、これにより、成形ロール30a、30bにより成形された団子の位置、すなわち、成形ロール30a、30bの成形型32a、32bにより成形された串刺用孔32の位置が串押出装置60のプッシャー620の位置に達したとき、プッシャー620が可動部650により団子方向に押し出されて串Sによる団子の串刺しが行われる。
【0039】
ここで、この実施例の団子製造機100においては、プッシャー620により団子の串刺しが行われる際にプッシャー620に加わる力をロードセル640により検知する。
【0040】
そして、プッシャー620により団子の串刺しが行われる際にプッシャー620に加わる力が予め設定した力を超えると串刺し異常として検知する。
【0041】
すなわち、団子の串刺しに用いられる串Sは、例えば、竹串等から形成され、この串Sに一定以上の力か加わると、串Sは折れてしまい、最悪の場合はこの折れた串が成形された団子内に混入してしまい、製品不良が発生してしまう虞があるからである。
【0042】
図9は、
図1に示した団子製造機100の
図7に示したロードセル640の検知出力に基づく制御例を説明するフローチャートである。
【0043】
この制御が開始される前に、生地ホッパー10に団子生地が投入され、串等入口40から団子の串刺しに用いる串Sが投入される。
【0044】
さて、この制御が開始されると、まず、生地供給ロール20が起動され(ステップ901)。そして、串整列装置50が起動され(ステップ902)、串押出装置60が起動される(ステップ903)。
【0045】
続いて、ロードセル640によるプッシャー620に加わる力の監視が開始され(ステップ904)、団子の串刺しに際して、プッシャー620に加わる力が予め設定した力を超えたか、すなわち、ロードセル640の測定値が予め設定した設定値を超えたかが調べられる(ステップ905)。
【0046】
ここで、ロードセル640の測定値が予め設定した設定値を超えない場合は(ステップ905でNO)、ステップ905に戻るが、ロードセル640の測定値が予め設定した設定値を超えると(ステップ905でYES)、串刺し異常を報知する(ステップ906)。この串刺し異常の報知は、この団子製造機100に設けられた図示しないディスプレイによる表示、若しくは、この団子製造機100に設けられた図示しない警報灯、ブザー等により行うことができる。
【0047】
また、この団子製造機100においては、串刺し異常が生じたときに、団子製造機100を非常停止するか否かが設定できるように構成されている。その理由は、生産性を重視するか、不良製品の製造を確実に防止するかに応じてユーザにより設定することができるように構成されている。
【0048】
例えば、串刺し異常が生じた場合でも、団子製造機100を非常停止せずに、串刺し異常が生じた団子の取り除き、折れた串の取り除き等により対応することができる場合が多いので、生産性を重視するために、串刺し異常が生じても団子製造機100を非常停止しないように設定する。
【0049】
また、不良製品の製造を確実に防止する場合は、串刺し異常が生じると、団子製造機100を非常停止するように設定する。この場合は、団子製造機100の非常停止後に、不良団子の取り除き、折れた串の取り除き等を行って、団子製造機100を再起動する。
【0050】
ステップ906で串刺し異常が報知されると、串刺し異常時に団子製造機100を非常停止するように設定されているかを調べる(ステップ907)。ここで、串刺し異常時に非常停止するように設定されていないと(ステップ907でNO)、団子製造機100を非常停止せずに、ステップ905に戻り、ロードセル640によるプッシャー620に加わる力の監視を続ける。
【0051】
また、ステップ907で、串刺し異常時に団子製造機100を非常停止するように設定されていると判断されると(ステップ907でYES)、団子製造機100を非常停止し(ステップ908)、この制御を終了する。
【0052】
さて、この実施例の団子製造機100においては、形成ロール30a、30bの交換、清掃等を行うために、形成ロール30a、30bを工具レスで着脱できるように構成されており、このために、形成ロール30a、30bと図示しない形成ロール30a、30bの駆動部との間は、成形ロール継手310、320により着脱自在に接続されている。
【0053】
このように構成する場合、形成ロール30a、30bと成形ロール継手310、320との間には一定の公差を設ける必要がある。しかし、形成ロール30a、30bと成形ロール継手310、320との間の公差が、経年変化等により、必要以上に大きくなると、串刺しに際しての串刺用孔32の位置がずれて、これが団子の串刺しに際しての串折れ等の原因になる。
【0054】
そこで、この実施例の団子製造機100においては、成形ロール継手310、320から形成ロール30a、30bの継手軸に対して一定の負荷を掛けることにより必要以上の公差が発生した場合でも自動的に公差調整を行う手段であるボールプランジャを設ける。
【0055】
図10は、
図1に示した団子製造機で用いられる成形ロール継手の一例を示す上面図(
図10(A))及び側面図(
図10(B))であり、
図11は、
図10に示した成形ロール継手で用いられる成形ロール継手カバーの一例を示す上面図(
図11(A))及び側面図(
図11(B))であり、
図12は、
図10に示した成形ロール継手及び
図11に示した成形ロール継手カバーを用いた成形ロールの接合状態を説明する図である。
【0056】
なお、
図10乃至
図12においては、形成ロール30aに対応する成形ロール継手310を示しているが、形成ロール30bに対応する成形ロール継手320は、形成ロール30bが形成ロール30abと回転方向が逆になるので、ボールプランジャ340の配設位置が反対側になるだけで、その他の構成は同様であるのでその詳細説明は省略する。
【0057】
図10乃至
図12において、形成ロール30aに対応する成形ロール継手310は、図示しない形成ロール30aの駆動系に接続されるフランジ部311とこのフランジ部311から突出した突出部312とから構成され、突出部312は下部半円部を切欠いた段差部313を有する段差構造を有している。この突起部312の中心には、キー溝314が形成された円形の継手穴315が形成されている。
【0058】
一方、形成ロール30aの回転軸331には、成形ロール継手310の段差部313に対応する上部半円部を切欠いた段差部332を有する段差構造を有しており、その中心には、成形ロール継手310のキー溝314に嵌合する突起333が設けられた継手軸335が突出している。
【0059】
形成ロール30aをこの成形ロール継手310を用いて接続する場合は、形成ロール30aの継手軸335を成形ロール継手310の継手穴315に挿入する。この状態で、成形ロール継手310の段差部313の下面は、形成ロール30aの段差部332の上面に当接する。
【0060】
ところで、この実施例の成形ロール継手310は、工具レスで形成ロール30aを着脱できるように構成されているので、成形ロール継手310の段差部313の下面と形成ロール30aの段差部332の上面との間には公差が設けられている。また、形成ロール30aは、形成した団子に対する串刺しのために、間欠駆動される。
【0061】
このため、上記間欠駆動による形成ロール30a停止時に、成形ロール継手310の段差部313は、形成ロール30aの慣性力により、形成ロール30aの段差部332が離れる面と近づく面とが生じる。
【0062】
そこで、この実施例の成形ロール継手310においては、成形ロール継手310の突出部312の中心軸から偏奇した位置であって、上記形成ロール30aの慣性力により形成ロール30aの段差部332が近づく面側に螺子穴316を穿設し、この螺子穴316から先端が形成ロール30aの回転軸331の段差部332の上面に当接するボールプランジャ340をねじ込む。
【0063】
このボールプランジャ340の存在により、経年変化等により成形ロール継手310と形成ロール30aの継手軸との間の公差が大きくなっても、この公差が自動調整され、串刺用孔32の位置がずれ等による串折れ等を可及的に防止することができる。
【0064】
継手カバー311は、
図11に示すように円筒形からなり、ボールプランジャ340をねじ込む螺子穴316に対応する孔322、継手カバー321を成形ロール継手310に取り付けるための螺子323、324が設けられている。
【0065】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。