【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、スキャナ装置又は光学スキャナが提供される。当該スキャナ装置は、(少なくとも)1つのミラーを有する。当該ミラーが、1つの回転軸又は旋回軸を中心にして旋回可能であるように、当該ミラーは配置されていて且つ軸支されている。さらに、当該スキャナ装置は、(以下で「アンカー部」又は「アンカー」とも記される)軟磁性材から成る(少なくとも)1つの要素を有する。当該要素は、当該回転軸に対して半径方向に離間して当該ミラーに固定されている。その結果、当該要素は、当該ミラーの回転又は旋回運動時に当該ミラーと一緒に回転し、1つの円形軌道部に沿って移動される。このようなアンカーは、例えば、直方体状に形成されていて、接触するようにミラーに直接に配置されているか、又はミラー用に設けられている中間要素によって間接にミラーに固定されている。
【0009】
前記スキャナ装置は、1つの空隙を有する(少なくとも)1つの鉄心をさらに備える。この場合、当該鉄心は、1つの部材又は複数の部材から形成され得る。当該鉄心は、例えば軟磁性材から成る、例えば軟鉄又は珪化鉄から成る。当該スキャナ装置は、(少なくとも)1つのコイルをさらに有する。当該コイルは、(以下で「コイルコア部」とも記される)当該鉄心の一部の周りに延在するように配置されている。当該コイルは、例えば絶縁された銅から成り得る。当該コイルは、例えばこのために設けられている制御装置によって通電可能である。この場合、(以下で「コイル磁界」とも記される)磁界が、当該電流の通電によって当該コイル、当該鉄心及び当該空隙に誘導される。この磁界の磁束が、その磁束密度を増大させながら当該鉄心によって閉じられて案内される。
【0010】
コイルの通電時に、磁界が、鉄心内と空隙内とに誘導される。この場合、この磁界の方向が、当該コイル中の電流の方向によって決まる。(例えば、第1極性の電圧をコイルに印加することによって)第1電流方向にコイルに通電する場合は、第1コイル磁界方向に配向されている磁界が、当該空隙内に誘導される。同様に、(例えば、当該第1極性に対して逆の第2極性の電圧をコイルに印加することによって)当該第1電流方向に対して逆方向に配向されている第2電流方向にコイルに通電する場合は、第2コイル磁界方向に配向されている磁界が、当該空隙内に誘導される。この場合、当該第2コイル磁界方向は、当該第1コイル磁界方向に対して逆方向に配向されている又は逆平行に延在する。以下では、当該コイルが、第1電流方向又は第2電流方向に通電されるときに、当該コイルによって当該空隙内に誘導される(例えば、当該鉄心内に誘導されない)磁界の方向は常に、第1又は第2コイル磁界方向と記される。
【0011】
前記光学スキャナは、1つの第1永久磁石又は磁石と1つの第2永久磁石又は磁石とを有する(少なくとも)1つの永久磁石対を備える。当該第1磁石は、第1磁化方向に延在する磁化を呈し、当該第2磁石は、第2磁化方向に延在する磁化を呈する。これらの磁石は、特に、高いエネルギー密度を有する材料から成る、例えばNdFeBから成る。
【0012】
前記第1磁石の磁化が、その第1コイル磁界方向の方向を指し示す成分を有し、前記第2磁石の磁化が、その第2コイル磁界方向の方向を指し示す成分を有するように、この第1磁石及びこの第2磁石は、前記鉄心の空隙内に配置されている。したがって、この第1磁石及びこの第2磁石の磁化は、前記コイルによって前記空隙内に誘導された磁界に対して平行に延在する成分(いわゆる平行成分)と、当該成分に対して直交する成分(いわゆる、直交成分)とにベクトル分解される。この第1磁石の磁化の平行成分が、その第1コイル磁界方向の方向を指し示すように、この第1磁石は配置されていて、この第2磁石の磁化の平行成分が、その第2コイル磁界方向の方向を指し示すように、この第2磁石は配置されている。
【0013】
例えば、前記第1磁石の磁化が、その第1コイル磁界方向を(ほぼ又は完全に)指し示すように、この第1磁石を配置すること、及び/又は、前記第2磁石の磁化が、その第2コイル磁界方向を(ほぼ又は完全に)指し示すように、この第2磁石を配置することが提唱され得る。さらに、前記第1磁石の磁化が、前記第2磁石の磁化と同じ絶対値を有し、及び/又は、前記第1磁石の磁化が、前記第2磁石の磁化に対して逆方向に配向されている(すなわち、当該第1磁化方向と当該第2磁化方向とが、互いに逆平行に延在する)ように、この第1磁石とこの第2磁石とを構成すること及び配置することが提唱され得る。
【0014】
前記アンカーは、前記回転軸に対して半径方向に離間して前記ミラーに固定されている。その結果、このアンカーは、このミラーの回転時に円形軌道部に沿って移動される。さらに、このアンカーによって占められるこの円形軌道部が、前記鉄心によって形成された前記空隙の内部に延在し、したがってこのアンカーが、このミラーの回転時にこの空隙の内部で移動されるように、この鉄心は形成されていて且つ配置されている。
【0015】
前記第1永久磁石が、前記回転軸に対する前記空隙内の第1回転角度位置に配置されていて、前記第2永久磁石が、前記回転軸に対する前記空隙内の第2回転角度位置に配置されているように、この第1磁石及びこの第2磁石は、この空隙の内部に配置されている。この場合、例えば、この第1磁石及び/又はこの第2磁石は、前記鉄心に接触して配置され得る。
【0016】
電流が、前記コイルに通電されると、このコイルによって誘導された磁界が、前記空隙内で前記永久磁石によって誘導された磁界と重畳する。特に、電流が、このコイルに第1電流方向に通電されると、この空隙において、当該第1磁石に存在する磁界は強められ、当該第2磁石に存在する磁界は弱められる。これにより、軟磁性の前記アンカーが、発生するリアクタンス力に起因して、前記ミラーを回転させながら、前記第1回転角度位置に配置された前記第1磁石に向かって移動される。同様に、電流が、このコイルに第2電流方向に通電されると、この空隙において、当該第1磁石に存在する磁界は弱められ、当該第2磁石に存在する磁界は強められる。これにより、当該アンカーが、前記ミラーを回転させながら、前記第2回転角度位置に配置された前記第2磁石に向かって移動される。したがって、当該ミラーが、当該コイル電流の値及び方向を調整することによって回転運動に移行され、位置変更され得る。
【0017】
本発明によれば、前記ミラーは、前記アンカーに対する上記の力の作用によって旋回駆動される。この場合、当該回転トルクの、ミラーへの伝達は、軸を介して実行されず、当該旋回駆動は、軸によらないで維持され得る。これにより、当該ミラーの位置決め精度が、回転トルクを伝達する軸の捩れによって低下しない。その結果、高い位置決め精度を有する当該ミラーの位置決めが、前記スキャナ装置によって可能である。さらに、本発明の旋回駆動部が、従来のリラクタンス駆動部で必要なロータの帯鋼なしに構成されている。この代わりに、ロータの磁束を案内する部分が、分割空隙によって分離されていて、前記鉄心の磁極片部に割り当てられている。
【0018】
さらに、前記ミラーと一緒に回転する前記旋回駆動部の一部、すなわちアンカーが、小さく維持され得るので、小さい質量で形成され得る。その結果、当該駆動部によって移動される系の慣性モーメントが、小さく維持され得る。これにより、速くて慣性の小さいミラーの位置変更が、前記スキャナ装置によって可能である。さらに、回転軸に沿って延在する軸が、回転トルクを伝達するために必要でないので、当該スキャナ装置は、その回転軸に沿った幅の狭い輪郭を成して構成され得る。使用された軟磁性材の高い透磁率に起因した磁束の集中と、寄生質量の減少と、当該ミラーに配置された力を捕らえる要素とによって、回転トルクと慣性モーメントとの間の良好な関係が達成可能である。
【0019】
これに対して、従来のスキャナの場合は、一緒に移動するか又は一緒に回転する駆動部(例えば、回転トルクを伝達する軸)の一部が、大きい質量を有する。何故なら、当該一部は、例えば永久磁石自体から成るからであり、及び/又は、ミラーを回転させるための回転トルクが、当該駆動部に属する、軸受又は第2アンカーによって支持されているレバーによって発生するからである。当該移動すべき質量の高い慣性が、駆動部とミラーとを機能的に且つ場所的に分離することによって発生する。
【0020】
前記空隙は、前記鉄心の第1端部と第2端部との間に形成されている。この場合、特に、上記の複数の磁石が、前記鉄心の第1端部に接触するように配置されていて、前記アンカーが、これらの磁石と前記鉄心の第2端部との間に配置されているように、これらの磁石及びこのアンカーを当該空隙の内部に配置することが提唱され得る。その結果、この空隙内には、前記第1磁石と前記アンカーとの間に配置された(第1「動作空隙」とも記される)部分空隙が形成されていて、前記第2磁石と前記アンカーとの間に配置された(第2「動作空隙」とも記される)部分空隙が形成されていて、前記アンカーとこのアンカー側の前記鉄心の第2端部との間に配置された(以下で、「分割空隙」とも記される)部分空隙が形成されている。この分割空隙は、例えば滑り軸受として形成され得る。
【0021】
前記鉄心のコイルコア部は、前記鉄心の、永久磁石側の前記第1端部とアンカー側の前記第2端部との間に配置されている。この場合、これらの3つの部分は、それぞれ別々の部材として形成されてもよいし、又は、これらの部分のうちの2つの部分若しくは全ての部分が、ただ1つの部材として一体的に形成されてもよい。当該アンカー側の鉄心の端部は、磁界線を案内するための磁極片として形成され得る。当該永久磁石側の鉄心の端部は、磁石ヨークとして使用される。
【0022】
より良好な力の作用を達成するため、前記アンカーの移動軌道に接して延在するこのアンカーの寸法が、この方向に沿った前記第1磁石と前記第2磁石との間の距離より大きい。さらに、前記鉄心の第2端部と前記アンカーとの間の距離が、前記ミラーの回転運動時に一定に保持されるように、当該アンカー側の鉄心の第2端部を、一定の半径を有する磁極片として形成することが提唱され得る。前記コイルによって誘導された磁界の磁束方向に沿った前記分割空隙によって、これらの磁石と当該コイルコアとの間の著しい磁気バイパスが、上記の複数の動作空隙に対して平行に発生しないような長さだけで、当該アンカーが有益に形成されている。
【0023】
電流が、コイルに通電していなく、アンカーが、例えば0度の旋回角度を成す(すなわち、上記の2つの磁石に対して中心に位置決めされている)ときに、このアンカーと、これらの磁石に接触した前記鉄心の第1端部とを通じて当該両磁石間に延在する(「励磁前磁気回路」とも記される)短い磁気回路が発生する。電流が、コイルに通電されると、このコイルによって誘導された磁界が、上記の両動作空隙内で永久磁石によって誘導された磁界と重畳し、当該アンカー側の鉄心の第2端部によって当該アンカーを通じて偏向される。当該両動作空隙内に存在する磁束密度の差が、当該発生する界面力によって当該アンカーに対する回転トルクを引き起こす。その電流方向が反転すると、当該回転トルクの作用の方向も反転する。
【0024】
上記のコイルの通電によって発生するアンカーに対する力の作用は、当該両動作空隙で発生する。これに対して、−特に、一定の半径を有する磁極片としての前記第2端部の構造における−分割空隙には、当該アンカーに対する回転トルクの作用は、発生しないか又はほんの僅かしか発生しない。しかしながら、この分割空隙の半径方向の位置が、回転トルクと慣性モーメントとの間の関係に影響を及ぼす。駆動系の可動な構成要素は、ミラーに固定されたアンカーに制限される。この場合、磁束を案内する部材の大部分が、固定されていて且つ連動されない。当該アンカーにおいて達成可能な高い磁束密度によって、高い駆動力が、駆動部によって発生する慣性を小さくして達成される。寄生する慣性モーメントが、アンカーをミラーに質量を削減して固定することによって小さく維持され得る。
【0025】
したがって、前記スキャナ装置は、主に、前記駆動系と1つのミラーとこのミラーを保持するためのホルダとこのミラーを軸支するための1つの軸受と1つの位置検出器とから構成される。この場合、当該駆動系は、1つのステータを構成する固定式の複数の構成要素(鉄心、コイル永久磁石)と、可動な複数の構成要素(アンカー)とを有する。(アンカーを伴う)ミラー及びミラーホルダが交換可能に構成されていることが提唱され得る。
【0026】
前記位置検出器は、例えば、光学原理、電磁誘導原理、静電容量原理又は磁気原理に基づいてもよく、前記コイル又は前記駆動系の適切な制御を通じて当該位置検出器に提供された位置信号を評価することによって前記ミラーを規定通りに調整するために使用され得る。当該位置検出器のミラー側の部材は、例えば前記ミラー又は前記ミラーホルダに固定され得る。非接触式に測定する位置検出器の場合は、当該位置検出器が、ミラー面と直接に相互作用する。
【0027】
前記スキャナ装置は、光ビーム(例えば、レーザビーム)を偏向させるために、特にレーザビームによる材料加工のために設けられている。前記ミラーが、前記駆動系の固定式の構成要素に対する軸受に保持することによって前記回転軸を中心にして軸支されている。
【0028】
前記第1コイル磁界方向及び前記第2コイル磁界方向は、(鉄心の適切な構造及び配置によって)例えば、前記回転軸に対して直交に、前記回転軸に対して平行に又は前記回転軸に対して任意の角度を成して延在するように配置され得る。これに応じて、前記第1磁石及び前記第2磁石の磁化は、(当該両磁石の適切な配置によって)前記回転軸に対して直交に、前記回転軸に対して平行に又は前記回転軸に対して或る角度を成して延在し得る。この場合、この第1磁石の磁化が、この第1コイル磁界方向の方向を指し示す成分を有し、この第2磁石の磁化が、この第2コイル磁界方向の方向を指し示す成分を有するように、これらの磁石及びこの鉄心は常に配置されている。
【0029】
1つの実施の形態によれば、前記第1磁石と前記第2磁石との磁化が、前記回転軸に対して直交に(例えば、ほぼ半径方向に)延在するように、この第1磁石とこの第2磁石とは配置されている。この場合、前記第1コイル磁界方向と前記第2コイル磁界方向とが、前記回転軸に対して直交に(例えば、ほぼ半径方向に)延在するように、前記鉄心が配置されていることがさらに提唱され得る。しかしながら、この構成によっても、前記第1コイル磁界方向と前記第2コイル磁界方向とが、(前記鉄心の適切な構造及び配置によって)前記回転軸に対して或る角度を成して延在することが提唱され得る。この構成によれば、−高さ方向としての前記回転軸に沿って見て−前記アンカーと前記鉄心との双方が、前記ミラーの上方及び/又は下方に配置され得る、すなわち入射光及び反射光の光路の外側に配置され得る。その結果、例えば、大きい入射角度と出射角度とを成す光の入射が可能である。
【0030】
別の実施の形態によれば、面取りされたミラー、すなわち傾斜された1つ又は複数の角又は縁部を有するミラーが形成されている。この場合、アンカー部が、当該ミラーの面取り部に配置されていて、例えば三角形の横断面を成して形成され得る。アンカーが、当該ミラーの面取り部に配置されていることによって、光ビーム又はレーザビームによって照射されない領域も、設置スペースとして有効に形成され得、回転軸の方向の邪魔な輪郭が小さく維持され得る。その結果、当該スキャナ装置の構造が、コンパクトな形によってさらに改良されている。
【0031】
別の構成によれば、前記スキャナ装置は、2つの(好ましくは同じ)アンカー部を有する。これらのアンカー部が、前記回転軸に対して対称に配置されているように、これらのアンカー部は、前記ミラーに固定されている。さらに、当該それぞれのアンカー部が、コイルの通電によって力の作用を前記磁石対の両磁石のうちの1つの磁石に対して及ぼすように、上述したように、当該それぞれの磁石対が、当該両アンカー部のそれぞれのアンカー部に割り当てられている。これらのアンカーが、当該ミラーに対称に設けられていることによって、対称な力の作用が実現され得る。これにより、例えば、半径方向の軸受負荷が低下され得、より良好な空間利用が可能になり得る。任意の数のアンカー部が、その回転軸に対して対称に配置されているように、当該任意の数のアンカー部を当該ミラーに固定することも提唱され得る。例えば、当該スキャナ装置が、複数のアンカー部対を有することが提唱され得る。この場合、それぞれの対は、2つの(好ましくは同じ)アンカー部を有する。この場合、それぞれの対の両アンカー部が、その回転軸に対して対称に配置されているように、当該それぞれの対の両アンカー部は、当該ミラーに固定されている。
【0032】
この代わりに又はこれに加えて、前記スキャナ装置は、2つの(好ましくは同じ)アンカー部が、前記回転軸に対して直交に延在する平面に対してミラー対称に配置されているように、当該ミラーに固定されている当該2つの(好ましくは同じ)アンカー部を有し得る。この場合、上述したように、当該それぞれのアンカー部が、コイルの通電によって力の作用を当該磁石対の両磁石の1つの磁石に対して及ぼすように、当該それぞれ1つの永久磁石対が、例えば、これらの両アンカー部のそれぞれのアンカー部に割り当てられている。これらのアンカーが、このようにして当該ミラーに対して対称に設けられていることによって、より薄い厚さを有するミラーが、その両側の力の印加に起因して形成され得る。また、これにより、より高い位置周波数が可能になっている。任意の数の駆動部が、その回転軸に対して直交に延在する平面に対して対称に配置されているように、当該任意の数のアンカー部を当該ミラーに固定することも提唱され得る。例えば、前記スキャナ装置が、複数のアンカー部対を有することが提唱され得る。この場合、それぞれの対が、2つの(好ましくは同じ)アンカー部を有する。この場合、それぞれの対の両アンカー部が、その回転軸に対して直交に延在する平面に対して対称に配置されているように、当該それぞれの対の両アンカー部は、当該ミラーに固定されている。
【0033】
特に、前記ミラーに固定された複数のアンカー部が、その回転軸に対して対称に配置されていて、且つその対称軸に対して直交に延在する平面に対してもミラー対称に配置されているように、当該複数のアンカー部が、当該ミラーに固定されていることが提唱され得る。この場合、上述したように、当該それぞれのアンカー部が、コイルの通電によって力の作用を前記磁石対の両磁石の1つの磁石に対して及ぼすように、当該1つの永久磁石対が、これらのアンカー部のそれぞれのアンカー部に割り当てられ得る。
【0034】
1つの実施の形態によれば、前記スキャナ装置は、前記回転軸に対して同心状に配置された1つのコイルを有する。回転トルクが、この回転軸に対して同心状に配置されたただ1つのコイルによって当該ミラーに対して対称に配置された2つ又は複数のアンカーに対称に伝達されるように、特に当該スキャナ装置の対称な構成が、このような構成によって可能になっている。
【0035】
前記スキャナ装置は、前記回転軸に対して偏心状に配置された1つ又は複数のコイルを有することも提唱され得る。1つの構成によれば、前記スキャナ装置は、前記回転軸に対して対称に配置された(少なくとも)2つのコイルを有する。この構成によれば、回転トルクが、例えば前記両コイルのそれぞれのコイルによってそれぞれ1つのアンカー部に伝達される。一般に、前記スキャナ装置は、当該ミラーに固定された任意の数のアンカーと、それぞれ1つの第1磁石及び1つの第2磁石を有する同数の永久磁石対とを有することが提唱され得る。この場合、上述したように、前記アンカー部が、コイルの通電によって力の作用を前記磁石対の両磁石の1つの磁石に対して及ぼすように、当該それぞれ1つの永久磁石対が、当該それぞれのアンカー部に割り当てられている。
【0036】
前記第1永久磁石及び/又は前記第2永久磁石は、前記アンカー又は前記ロータに面する当該永久磁石の側に1つの磁極片を有することが提唱され得る。ロータの効果的な半径、すなわち慣性モーメントと回転トルクとの関係が、この磁極片によって、同じコイル形状のときの駆動負荷に応じて適合され得る。
【0037】
前記コイルの通電時に前記アンカーによって前記ミラーに及ぼされる回転トルクが、当該ミラーの角度位置によって変化し得る、例えば、当該コイルの中立位置からのそのコイルの旋回に応じて非線形に変化し得る。この場合、当該回転トルクと当該旋回角度との依存性は、回転トルク−角度特性曲線を用いて表記可能である。当該回転トルク−角度特性曲線にしたがって発生する非線形性が、前記磁極片の形によって引き起こされる磁界の経時変化を用いて部分的に又は完全に補正されるように、前記磁石に設けられている当該磁極片は形成され得る。この代わりに、当該回転トルクの角度依存性が、当該磁極片の形によって引き起こされた磁界の変化を用いて少なくとも部分的に又は完全に補正されるように(したがって、発生する回転トルクは、例えば角度によってほぼ決まる)、当該磁極片を形成することが提唱され得る。
【0038】
このため、磁極片は、高い透磁率を有する材料(例えば、鉄)から成る部材である。当該材料は、例えば永久磁石の磁界線をその永久磁石の形にしたがって案内し、所定の形で発生させるために使用される。前記回転トルク−角度特性曲線の非線形性又は当該回転トルクの角度依存性が補正されることによって、当該ミラーの位置決めが著しく簡単にされ得る。
【0039】
前記ミラーが、前記回転軸を中心にして旋回可能であるように、当該ミラーは、軸受又は軸受部によって軸支されている。この場合、当該ミラーは、前記回転軸に対して片側又は両側に軸支され得る。1つの構成によれば、当該ミラーは、前記鉄心に軸支されている。当該鉄心が、駆動部として且つ当該ミラーを軸支するためのスラスト軸受として使用されることによって、前記スキャナ装置のコンパクトな構造が、さらに改良され得る。
【0040】
回転トルクが、前記アンカーを通じて前記ミラーに伝達されることによって、当該回転の伝達が、駆動部のロータ区間から軸を使用しない当該ミラーに取って替えられ、当該ミラーは、軸を使用しないで軸支され得る(すなわち、回転トルクを伝達する軸が、当該ミラーを軸支するために不要である)。例えば、当該ミラーをミラーホルダによって軸支することが提唱され得る。この場合、当該ホルダは、当該ミラーを保持するためのホルダ部と軸又は回転軸スタブとを有する。この場合、当該軸は、回転する又は一緒に回転する軸として形成されていて、前記鉄心に回転可能に軸支されている。この代わりに、軸を固定されていて一緒に回転しない軸として形成すること、及び当該鉄心を固定することが提唱され得る。この場合、当該ミラーが、直接に又はホルダによって当該軸に回転可能に軸支されている。しかしながら、当該軸は、純粋な支持機能又は軸受機能を有するものの、回転トルクを当該駆動部から当該ミラーに伝達するために使用されない。いわば、当該ミラーは、軸受自体に支持することによって、当該回転トルクを発生させるためのレバーとして使用され得る。
【0041】
1つの構成によれば、前記ミラーは、1つの
弾性の連結部によって前記回転軸を中心にして回転可能に軸支されている。この場合、この
弾性の連結部は、特に交差ばね連結部として構成されている。ころ軸受を有する従来のガルバノメータスキャナとは違って、
弾性の連結部は、明らかにより長い寿命と、当該ミラーの移動及び位置決め時のより高い精度とを有する。
弾性の連結部は、弾性湾曲によって2つの剛体領域間の相対運動を可能にする。その結果、当該ミラーがその中立位置又は零位置から旋回するときに逆らって作用する復元トルクが、この
弾性の連結部によって提供され得る。
【0042】
前記ミラーが、前記両磁石間の中心に配置されたアンカーの中立位置に存在するときに、当該ミラーの双安定な挙動が存在する。この場合、当該ミラーが、当該両磁石の1つの磁石の方向に旋回すると、当該ミラーは、この方向にさらに旋回する。前記コイルが通電されないときに、当該無通電状態にある双安定な挙動が、小さい傾斜角度に対して補正され、当該ミラーが、前記
弾性の連結部によって提供された復元トルクによってその所定の中立位置に移行されるように、当該
弾性の連結部は形成され得る。
【0043】
さらに、(コイルによってアンカーを介してミラーに及ぼされる回転トルクの変化を旋回角度に応じて表記する)前記回転トルク−角度特性曲線にしたがって発生する非線形性が、少なくとも部分的に(又は完全に)補正されるように、当該
弾性の連結部を形成することが提唱され得る。
【0044】
以下に、本発明を、図面を参照して実施の形態に基づいて説明する。この場合、同じ又は同様な特徴は、同じ符号で付記されている。