(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【0003】
ところで、部品実装機等の対基板処理機に対して作業者が行うべき作業としては、例えば吸着ノズルの交換や不良基板の除去等の特別な作業ユニットを必要としない作業と、例えば間もなく部品切れとなる部品テープの終端に新たな部品テープの始端を繋ぎ合せるスプライシング作業をオートスプライシングユニット(ASU)を用いて行ったり間もなく部品切れとなるフィーダを新たなフィーダに交換する等の特別な作業ユニットを用いて行う作業とがある。後者の作業は、作業者が作業ユニット(ASUや新たなフィーダ)を取りに行き、当該作業ユニットを作業対象まで運ぶ必要があるため、上述した管理装置のように、単に警告の発生位置(作業対象の対基板処理機の位置)に応じて優先順位(作業順序)を決定するだけでは、作業効率を十分に高めることはできない。
【0004】
本発明は、回路基板に対して所定の処理を行う複数の対基板処理機に対して作業者が作業ユニットを用いて行う作業について、作業効率をより高めることを主目的とする。
【0005】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の第1の管理装置は、
回路基板に対して所定の処理を行う複数の対基板処理機に対して所定の作業ユニットを用いて作業者が行うべき所定の作業を管理する管理装置であって、
少なくとも、前記複数の対基板処理機のうちの作業対象と、該作業対象に対して前記所定の作業が必要とされる作業時期とを作業情報として取得する作業情報取得手段と、
前記作業ユニットの現在位置を取得する位置取得手段と、
前記作業情報取得手段により作業情報が複数取得された場合、該取得された複数の前記作業情報に係る複数の前記作業対象に対してそれぞれ対応する前記作業時期が経過するまでに前記所定の作業を実行可能な範囲で、前記位置取得手段により取得された作業ユニットの現在位置に基づいて前記複数の作業対象に対する作業順序を決定する作業順序決定手段と、
前記決定した作業順序に基づいて作業者に前記所定の作業の実行を指示する作業指示手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の第1の管理装置では、少なくとも、複数の対基板処理機のうちの作業対象と、作業対象に対して所定の作業が必要とされる作業時期とを作業情報として取得し、作業ユニットの現在位置を取得し、作業情報が複数取得された場合、取得された複数の作業情報に係る複数の作業対象に対してそれぞれ対応する作業時期が経過するまでに所定の作業を実行可能な範囲で、取得された作業ユニットの現在位置に基づいて複数の作業対象に対する作業順序を決定し、決定した作業順序に基づいて作業者に所定の作業の実行を指示する。これにより、作業者が作業ユニットを取りに行って作業対象へ運ぶまでの手間を考慮して作業順序が決定されることとなるから、全体の作業効率を向上させることができる。
【0008】
こうした本発明の第1の管理装置において、前記作業順序決定手段は、前記複数の作業対象のうち、前記取得された作業ユニットの現在位置から前記作業対象の位置までの距離が短いものほど優先して前記所定の作業が実行されるよう作業順序を決定するものとすることもできる。この態様の本発明の第1の管理装置において、前記複数の対基板処理機に対する作業履歴を記憶する記憶手段を備え、前記位置取得手段は、前記記憶された作業履歴から直前に前記所定の作業が行われた前記対基板処理機に関する情報を取得して前記作業ユニットの現在位置を推定するものとすることもできる。こうすれば、作業ユニットの現在位置の取得のために、専用の位置検出手段を設ける必要がない。
【0009】
また、本発明の第1の管理装置において、前記位置取得手段は、作業者の現在位置を取得し、前記作業順序決定手段は、前記複数の作業対象のうち、前記取得された作業者の現在位置から前記取得された作業ユニットの現在位置までの距離と、該作業ユニットの現在位置から前記作業対象の位置までの距離との和が短いものほど優先して前記所定の作業が実行されるよう作業順序を決定するものとすることもできる。こうすれば、作業ユニットの現在位置を考慮して作業者の動線を短くする作業順序を決定することができ、作業効率をより向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の第1の管理装置において、前記作業ユニットは、複数設けられており、前記位置取得手段は、前記複数の作業ユニットのそれぞれの現在位置を取得し、前記作業順序決定手段は、前記複数の作業ユニットのうち、前記作業対象までの距離が最も短い作業ユニットの現在位置に基づいて作業順序を決定するものとすることもできる。こうすれば、作業ユニットが複数設けられた場合でも、作業効率を向上させることができる。
【0011】
本発明の第2の管理装置は、
回路基板に対して所定の処理を行う複数の対基板処理機に対して所定の収容位置に収容されている作業ユニットを用いて作業者が行うべき作業を管理する管理装置であって、
少なくとも、前記複数の対基板処理機のうちの作業対象と、該作業対象に対して前記所定の作業が必要とされる作業時期とを作業情報として取得する作業情報取得手段と、
複数の作業者のそれぞれの現在位置を取得する位置取得手段と、
前記作業情報取得手段により作業情報が取得された場合、前記複数の作業者のうち、前記取得された作業情報に係る前記作業対象に対して対応する前記作業時期が経過するまでに前記所定の作業を実行可能な作業者であって、前記位置取得手段により取得された現在位置から前記収容位置までの距離が最も短い作業者を、前記所定の作業を行う作業者として決定する作業者決定手段と、
前記決定した作業者に対して前記所定の作業の実行を指示する作業指示手段と、
を備えることを要旨とする。
【0012】
この本発明の第2の管理装置では、少なくとも、複数の対基板処理機のうちの作業対象と、作業対象に対して所定の作業が必要とされる作業時期とを作業情報として取得し、複数の作業者のそれぞれの現在位置を取得し、作業情報が取得された場合、複数の作業者のうち取得された作業情報に係る作業対象に対して対応する作業時期が経過するまでに所定の作業を実行可能な作業者であって、取得した現在位置から作業ユニットを収容する収容位置までの距離が最も短い作業者を、所定の作業を行う作業者として決定し、決定した作業者に対して所定の作業の実行を指示する。これにより、作業者が作業ユニットを取りに行って作業対象へ運ぶまでの手間を考慮して作業に適した作業者が決定されることとなるから、作業効率を向上させることができる。
【0013】
こうした本発明の第2の管理装置において、前記複数の作業者のそれぞれの作業履歴を記憶する記憶手段を備え、前記位置取得手段は、前記記憶された作業履歴から複数の作業者のそれぞれが直前に前記所定の作業を行った前記対基板処理機に関する情報を取得して複数の作業者のそれぞれの現在位置を推定するものとすることもできる。こうすれば、作業者の現在位置の取得のために、専用の位置検出手段を設ける必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
図1は、部品実装システム1の構成の概略を示す構成図であり、
図2は、部品実装システム1を構成する一の部品実装機10の構成の概略を示す構成図であり、
図3は、オートスプライシングユニット(ASU)90の外観を示す外観図であり、
図4は、一の部品実装機10の制御装置70と管理装置80との電気的な接続関係を示す説明図である。なお、本実施形態において、
図2の左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
【0017】
部品実装システム1は、
図1に示すように、スキージによりスクリーン上のはんだをローリングさせながらスクリーンに形成されたパターン孔に押し込むことでそのパターン孔を介して下方の回路基板S(以下、単に「基板」と呼ぶ)に配線パターンを印刷するスクリーン印刷機2と、部品供給装置16により供給される図示しない電子部品P(以下、単に「部品」と呼ぶ)をピックアップして基板Sの配線パターンに実装する複数台(例えば10台)の部品実装機10と、部品実装システム全体を管理する管理装置80とを備える。
【0018】
複数台の部品実装機10は、多数の吸着ノズルを装着可能なヘッド(多ノズルヘッド)を有し比較的小型の部品Pを高速で実装するものと、少数の吸着ノズルを装着可能なヘッド(多機能ヘッド)を有し比較的大型の部品Pや異形の部品Pを実装するものとが配置されており、それぞれ分担作業によって基板Sに部品Pを実装する。部品実装機10は、
図2に示すように、部品Pを供給する部品供給装置16と、基板Sを搬送する基板搬送装置20と、基板搬送装置20により搬送された基板Sを裏面側からバックアップするバックアップ装置30と、吸着ノズル51によって部品Pをピックアップして基板S上へ実装するためのヘッド50と、ヘッド50をXY方向へ移動させるXYロボット40と、基板Sに付された位置決め基準マーク等を撮像可能なマークカメラ46と、吸着ノズル51に吸着された部品Pを撮像可能なパーツカメラ48と、複数の吸着ノズル51をストックしておくためのノズルステーション49と、部品実装機全体の制御を司る制御装置70(
図4参照)とを備える。基板搬送装置20とバックアップ装置30とヘッド50とXYロボット40とは、基台11上に設置された本体枠12内に収容されている。
【0019】
部品供給装置16は、本体枠12の前面部に形成されたフィーダ台(図示せず)に、左右方向(X軸方向)に並ぶように整列配置されたフィーダ18を備える。フィーダ18は、部品Pが所定ピッチで収容されたキャリアテープを吸着ノズル51がピックアップ可能な部品供給位置まで送り出すテープフィーダである。なお、キャリアテープは、図示しないが、所定ピッチでキャビティー(凹部)が形成されたボトムテープと、各キャビティーに部品Pが収容された状態でボトムテープを覆うトップフィルムとにより構成されている。フィーダ18は、リールに巻回されたキャリアテープを引き出して部品供給位置へ送り出し、部品供給位置の手前でボトムテープからトップフィルムを剥がすことにより、部品供給位置にて部品Pを露出状態、即ちピックアップ可能な状態とする。
【0020】
基板搬送装置20は、
図2に示すように、2つの基板搬送路が設けられたデュアルレーン方式の搬送装置として構成されており、本体枠12の中段部に設けられた支持台13上に配置されている。各基板搬送路には、ベルトコンベア装置22を備えており、ベルトコンベア装置22の駆動により基板Sを
図2の左から右(基板搬送方向)へと搬送する。
【0021】
バックアップ装置30は、図示しない昇降装置により昇降可能に設置されたバックアッププレート32と、バックアッププレート32に立設された複数のバックアップピン34とを備える。このバックアップ装置30は、基板搬送装置20によりバックアッププレート32の上方に基板Sが搬送された状態でバックアッププレート32を上昇させることで基板Sを裏面側からバックアップする。
【0022】
XYロボット40は、
図2に示すように、本体枠12の上段部にY軸方向に沿って設けられたY軸ガイドレール43と、Y軸ガイドレール43に沿って移動が可能なY軸スライダ44と、Y軸スライダ44の下面にX軸方向に沿って設けられたX軸ガイドレール41と、X軸ガイドレール41に沿って移動が可能なX軸スライダ42とを備える。X軸スライダ42の下面には、前述したマークカメラ46が取り付けられている。マークカメラ46は、XYロボット40を駆動制御することにより、バックアップ装置30によりバックアップされた基板S表面の任意の位置を撮像可能となっている。
【0023】
制御装置70は、CPU71を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU71の他に、ROM72と、HDD73と、RAM74と、入出力インターフェース75とを備え、これらはバス76を介して電気的に接続されている。制御装置70には、X軸スライダ42の位置を検知するX軸位置センサ42aからの位置信号やY軸スライダ44の位置を検知するY軸位置センサ44aからの位置信号、マークカメラ46からの画像信号、パーツカメラ48からの画像信号、カードリーダ60からの読み取り情報などが入出力インターフェース75を介して入力されている。作業者は、作業者証としてICカードを所有しており、スクリーン印刷機2や各部品実装機10で作業を開始する際には、これから行う作業の内容を選択し、ICカードをカードリーダ60にかざすものとしている。制御装置70は、カードリーダ60からカード情報を読み取ることで、作業者を識別する作業者IDを登録し、作業の開始時刻や作業に費やした時間などを把握する。一方、制御装置70からは、部品供給装置16への制御信号や基板搬送装置20への制御信号、バックアップ装置30への制御信号、X軸スライダ42を移動させるX軸アクチュエータ42bへの駆動信号、Y軸スライダ44を移動させるY軸アクチュエータ44bへの駆動信号、吸着ノズル51をZ軸方向へ移動させるZ軸アクチュエータ52への駆動信号、吸着ノズル51を回転させるθ軸アクチュエータ54への駆動信号などが入出力インターフェース75を介して出力されている。また、制御装置70は、管理装置80と双方向通信可能に接続されており、互いにデータや制御信号のやり取りを行っている。
【0024】
管理装置80は、例えば、汎用のコンピュータであり、CPU81とROM82とHDD83とRAM84と入出力インターフェース85などを備え、これらはバス86を介して電気的に接続されている。この管理装置80には、マウスやキーボード等の入力デバイス87から入力信号などが入出力インターフェース85を介して入力され、管理装置80からは、ディスプレイ89への画像信号が入出力インターフェース85を介して出力されている。HDD83は、基板Sの生産計画を記憶している。ここで、基板Sの生産計画とは、スクリーン印刷機2においてどの基板Sに配線パターンを印刷するか、各部品実装機10においてどの部品Pをどの順番で基板Sへ実装するか、また、そのように部品Pを実装した基板Sを何枚作製するかなどを定めた計画をいう。生産計画は、使用するヘッド50に関するヘッド情報や使用する吸着ノズル51に関するノズル情報、実装する部品Pに関する部品情報、使用するフィーダ18に関するフィーダ情報などを含む。この生産計画は、作業者が入力デバイス87を操作することにより管理装置80に入力される。管理装置80は、生産計画にしたがって基板Sに対して配線パターンが印刷されるようスクリーン印刷機2へ指令信号を出力すると共に、基板Sの配線パターン上に部品Pが実装されるよう各部品実装機10へ指令信号を出力する。また、各部品実装機10は、フィーダ台に装着されているフィーダ18から供給可能な部品Pの種類や供給可能な部品Pの最大数、実際に供給した部品Pの数などの部品情報をフィーダID(識別情報)と共に取得して管理装置80へ送信する。管理装置80は、受信した部品情報をフィーダIDに関連付けて部品実装機10毎に記憶(管理)し、各フィーダ18において部品切れが生じる時刻を部品実装機10毎に予想する。
【0025】
また、管理装置80は、カードリーダ88からの読み取り情報が入出力インターフェース85を介して入力されている。作業者は、担当ラインでの作業開始時と作業終了時に、所有するICカード(作業者証)をカードリーダ88にかざすものとしている。管理装置80は、カードリーダ88からカード情報を読み取ることで、随時、作業者IDと担当ラインとを登録したり、登録を解除したりする。即ち、管理装置80は、途中で作業者が担当ラインを外れたり、途中から別の作業者がラインを担当するようになった場合であっても、その都度、作業者が所有するICカードからカード情報を読み取ることにより、現在ラインを担当している作業者を管理している。また、管理装置80は、スクリーン印刷機2の図示しない制御装置や各部品実装機10の制御装置70と通信しており、各ラインにおいて作業を行った作業者の識別情報(作業者ID)や作業対象(スクリーン印刷機2および複数台の部品実装機10のうちどれに対して作業を行ったか)、作業内容、作業完了時刻などの作業履歴を制御装置70から取得して管理している。
【0026】
オートスプライシングユニット(ASU)90は、フィーダ18に装着されているリールに巻回されたキャリアテープの終端を、新たなリールに巻回されたキャリアテープの始端に自動的に繋ぎ合わせる装置である。ASU90の左右部には、それぞれ中央部に向かってキャリアテープを送り込む送り溝92,94が形成されている。また、ASU90の中央部には、送り溝92,94に沿って送り込まれた2つのキャリアテープにスプライシングテープを貼り付けて両者を接合する図示しない接合装置が設けられている。また、送り溝92,94のそれぞれには、送り溝92,94に送り込まれたキャリアテープを切断する図示しない切断装置も設けられている。ASU90は、作業者によって繋ぎ合わせるべき2つのキャリアテープがそれぞれ送り溝92,94に送り込まれると、2つのキャリアテープの不要部分を切断装置によって切断し、互いの切断面を突き合わせて両キャリアテープを接合装置によって接合する。なお、ASU90を用いて作業者がスプライス作業を行う場合の標準作業時間は30秒程度である。このASU90は、図示しない台車に載置されており、実装ラインにおける各部品実装機10間を移動可能となっている。
【0027】
図5は、生産ラインの一例を示す説明図である。生産ラインは、
図5に示すように、複数(6つ)のライン1〜6が整列しており、各ラインはスクリーン印刷機と10台の部品実装機10(マウンタ1〜10ともいう)とにより構成されている。各ライン1〜6には、それぞれ作業者A〜Fが担当として割り当てられている。各作業者A〜Fは、スクリーン印刷機2において、はんだの補充作業やスクリーンの交換作業などを行い、各マウンタ1〜10において、フィーダ18の交換作業やASU90を使ったスプライス作業、ヘッド50の交換作業、ノズルステーション49に収容する吸着ノズル51の交換作業、部品の供給に伴いフィーダ18から排出される廃テープの回収作業などを行う。
【0028】
次に、こうして構成された管理装置80において、作業者にスプライス作業を指示する際の管理処理について説明する。
図6は、管理装置80のCPU81により実行される第1作業指示出力処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、生産ラインを複数ライン(ライン1〜6)設けるものとしているから、第1作業指示出力処理は、各ライン毎に実行される。
【0029】
第1作業指示出力処理が実行されると、管理装置80のCPU81は、まず、所定時間以内(例えば、10分以内)に部品切れが予想されるフィーダ18があるか否かを判定する(ステップS100)。CPU81は、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18がないと判定すると、スプライス作業の指示を行うことなく、第1作業指示出力処理を終了する。一方、CPU81は、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18があると判定すると、そのようなフィーダ18を搭載したマウンタが複数あるか否かを判定する(ステップS102)。CPU81は、部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタが1つだけであると判定すると、そのフィーダ18を搭載したマウンタを作業対象マウンタとしてスプライス作業を実行するよう作業者に指示して(ステップS104)、第1作業指示出力処理を終了する。なお、スプライス作業の指示は、作業を行うべき作業者や作業位置(マウンタ番号)、作業内容(スプライス作業)などをディスプレイ89上に通知したり、作業者が所有する携帯情報端末に通知させたりすることにより行うことができる。一方、CPU81は、部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタが複数あると判定すると、ASU90の現在位置を取得し(ステップS106)、部品切れが予想されるフィーダ18を搭載した複数のマウンタを作業対象マウンタとして、取得したASU90の現在位置に基づいてASU90から作業対象マウンタまでの距離を作業対象マウンタ毎に算出する(ステップS108)。ここで、ステップS108の処理は、GPSなどの周知の測位システムをASU90に設けてその現在位置を取得するものとしてもよいし、スプライス作業が行われる度に各部品実装機10(マウンタ1〜10)から作業履歴を取得してHDD83に記憶しておき、直前のスプライス作業でASU90が使われたマウンタに関する情報(マウンタ番号)を元にASU90の現在位置を推定するものとしてもよい。
【0030】
CPU81は、こうしてASU90から作業対象マウンタまでの距離を各作業対象マウンタ毎に算出すると、複数の作業対象マウンタのうちASU90との距離が短い作業対象マウンタほど優先してスプライス作業が行われるよう優先順位を仮決定すると共に(ステップS110)、複数の作業対象マウンタのそれぞれに対する作業所要時間を導出する(ステップS112)。ここで、作業所要時間は、作業者がASU90を取りに行き作業対象マウンタまで運ぶ(移動する)ための移動時間と、ASU90を使って作業対象マウンタにてスプライス作業を行うのに必要な標準作業時間(例えば30秒)との和により算出することができる。移動時間は、作業者がASU90を取りに行くまでの時間と、ASU90を作業対象マウンタまで運ぶ時間との和により算出することができる。前者の移動時間は、予め定められた所定時間とすることができ、後者の移動時間は、ステップS108で算出したASU90から作業対象マウンタまでの距離を予め定められたASU90の標準移動速度で割ることにより算出することができる。なお、前者の移動時間は、作業者の現在位置を取得して作業者からASU90までの距離を算出しておくことで、作業者からASU90までの距離を予め定められた作業者の標準移動速度(標準歩行速度)で割ることにより算出するものとしてもよい。
【0031】
そして、CPU81は、ステップS110で仮決定した優先順位にしたがってスプライス作業を行うと仮定した場合に、全てのスプライス作業に対してそれぞれの部品切れ予想時刻までにスプライス作業を完了できるか否かを判定する(ステップS114)。この処理は、現在時刻から部品切れ予想時刻までの残存時間がステップS112で導出した作業所要時間以上のスプライス作業についてはスプライス作業を完了できると判定し、現在時刻から部品切れ予想時刻までの残存時間が作業所要時間未満のスプライス作業についてはスプライス作業を完了できないと判定することにより行うことができる。また、ステップS114の処理は、優先順位1番目のスプライス作業について、現在時刻から部品切れ予想時刻までの残存時間がステップS112で導出した作業所要時間以上であれば、優先順位1番目のスプライス作業が完了できると判定し、次に、優先順位2番目のスプライス作業について、現在時刻に優先順位1番目のスプライス作業の前記作業所要時間を加えた時刻から、部品切れ予想時刻までの残存時間が、優先順位1番目の作業対象マウンタの位置をASUの位置として導出された作業所要時間以上であれば、優先順位2番目のスプライス作業が完了できると判定するというように、優先順位が上位であるスプライス作業の結果を考慮して、判定してもよい。
【0032】
CPU81は、全てのスプライス作業に対してそれぞれの部品切れ予想時刻までにスプライス作業を完了できると判定すると、ステップS110で仮決定した優先順位を本決定し(ステップS116)、決定した優先順位でスプライス作業を行うよう作業者に指示して(ステップS120)、作業指示出力処理を終了する。ステップS120の処理は、例えば、作業優先順位や作業位置(マウンタ番号)、作業内容(スプライス作業)をディスプレイ89上に通知したり、作業者が所有する携帯情報端末に通知させたりすることにより行うことができる。作業優先順位は、どの作業者が作業すべきか及びASU90は現在どこにあるのかも含む。一方、CPU81は、複数のスプライス作業のいずれかに対して部品切れ予想時刻までにスプライス作業を完了できないと判定すると、部品切れ予想時刻が早く到来するスプライス作業ほど優先してスプライス作業が行われるように優先順位を決定し直し(ステップS118)、決定した優先順位でスプライス作業を行うよう作業者に指示して(ステップS120)、第1作業指示出力処理を終了する。
【0033】
図7は、第1作業指示出力処理によってスプライス作業を指示するまでの流れを説明する説明図である。
図7に示すように、時刻14:00:00に作業者Aがマウンタ10でASU90を使ったスプライス作業を完了させ(
図7(a)参照)、時刻14:02:00に「マウンタ03でスプライス作業(部品切れ予想時刻14:12:00)」,「マウンタ09でスプライス作業(部品切れ予想時刻14:12:00)」とする部品切れ予想が発生(
図7(b)参照)した場合を考える。この場合、管理装置80のCPU81は、「ASU90の現在位置(直前にASU90が使われたマウンタ10)→作業位置(マウンタ03)」の距離と、「ASU90の現在位置(直前にASU90が使われたマウンタ10)→作業位置(マウンタ09)」の距離とを比較し、距離が短い順、即ち、まず、マウンタ09でスプライス作業とし、その後、マウンタ03でスプライス作業を行うという優先順位を仮決定する(
図7(c)参照)。そして、CPU81は、マウンタ03のスプライス作業とマウンタ09のスプライス作業の各々について、作業所要時間を導出し、それぞれの部品切れ予想時刻までにスプライス作業を完了できるか否かを判定する。この説明においては、仮決定の優先順位で作業を行ったとしても、部品切れ予想時刻までに両スプライス作業が完了できると判定されたものとする。したがって、仮決定の優先順位が本決定される。そして、時刻14:08:00に優先順位にしたがって作業者がマウンタ09のスプライス作業を行った後(
図7(d)参照)、時刻14:08:10に「マウンタ05でスプライス作業(部品切れ予想時刻14:13:10)」とする部品切れ予想が発生すると(
図7(e)参照)、CPU81は、未だスプライス作業が完了していないマウンタ03についての「ASU90の現在位置(直前にASU90が使われたマウンタ09)→作業位置(マウンタ03)」の距離と、新たに部品切れ予想が発生したマウンタ05についての「ASU90の現在位置(直前にASU90が使われたマウンタ09)→作業位置(マウンタ05)」の距離とを比較し、距離が短い順、即ち、まず、マウンタ05でスプライス作業とし、その後、マウンタ03でスプライス作業を行うという優先順位を決定する(
図7(f)参照)。このように、部品切れ予想が発生する度に、未だスプライス作業が完了していない複数の作業対象マウンタのうちASU90との距離が短いものほど先にスプライス作業が行われるように優先順位を決定するのである。これにより、全ての作業対象マウンタに対してスプライス作業を行う際のASU90の移動を最小限とすることができるため、スプライス作業を短時間で効率よく行うことができる。
【0034】
次に、一の生産ラインに複数の作業者を担当させて作業を行わせる場合における作業指示出力処理(第2作業指示出力処理)について説明する。
図8は、管理装置80のCPU81により実行される第2作業指示出力処理の一例を示すフローチャートである。第2作業指示出力処理は、各ライン毎に実行される。管理装置80は、前述したように、各ライン毎に作業者IDと担当ラインとを登録しており、各ラインを担当する作業者と作業者毎の作業スケジュールを管理している。なお、作業者の作業スケジュールは、どの作業者が何時までにどの作業を担当するかを予め生産計画にしたがって仮に決められたリストであり、例えば、
図9に示すように、作業者や作業対象、作業内容、標準作業時間、部材切れ予想時刻などの情報が関連付けられたものとすることができる。
【0035】
第2作業指示出力処理が実行されると、管理装置80のCPU81は、まず、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがあるか否かを判定し(ステップS200)、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがないと判定すると、スプライス作業の指示を行うことなく、作業指示出力処理を終了する。一方、CPU81は、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがあると判定すると、現在ラインに割り当てられている登録作業者に関する情報(作業者ID)を取得し(ステップS202)、登録作業者が複数人いるか否かを判定する(ステップS204)。CPU81は、登録作業者が1人と判定すると、作業スケジュールで指定されている登録作業者に対してスプライス作業を指示して(ステップS206)、第2作業指示出力処理を終了する。なお、この場合、所定時間以内に作業を完了すべき作業対象マウンタが複数存在するときには、
図6の第1作業指示出力処理のステップS106〜S120の処理により優先順位を決定して作業を指示するものとしてもよい。一方、CPU81は、登録作業者が複数人と判定すると、各作業者毎の作業スケジュールを取得し(ステップS208)、各作業者毎の現在位置を取得すると共に(ステップS210)、ASU90の現在位置を取得する(ステップS212)。ここで、ステップS210の処理は、作業者が所有する携帯情報端末にGPSなど測位システムを設けてその現在位置を取得するものとしてもよいし、印刷機やマウンタ1〜10での作業が行われる度に担当した作業者の作業履歴を各装置から取得してHDD83に記憶しておき、直前に作業が行われた装置に関する情報を元に作業者の現在位置を推定するものとしてもよい。なお、ステップS212の処理は、前述したステップS106の処理と同様に行うことができる。
【0036】
こうして各作業者毎の現在位置とASU90の現在位置とを取得すると、CPU81は、取得した各作業者毎の現在位置とASU90の現在位置と作業対象マウンタの位置とに基づいて、作業者がASU90を取りに行くまでの移動距離とASU90を作業対象マウンタまで運ぶまでの移動距離とを、各作業者毎に算出すると共に(ステップS214)、作業対象マウンタに対する各作業者毎の作業所要時間を導出する(ステップS216)。ここで、各作業者毎の作業所要時間は、前述したように、作業者がASU90を取りに行き作業対象マウンタまで運ぶための移動時間と、ASU90を使って作業対象マウンタにてスプライス作業を行うのに必要な標準作業時間(例えば30秒)との和により算出することができる。移動時間は、作業者がASU90を取りに行くまでの時間と、ASU90を作業対象マウンタまで運ぶ時間との和により算出することができる。前者の移動時間は、ステップS210で算出した作業者の現在位置とステップS212で取得したASU90の現在位置とに基づいて作業者からASU90を取りに行くまでの移動距離を作業者毎に算出し、作業者毎の移動距離を作業者の標準移動速度(標準歩行速度)で割ることにより作業者毎に算出することができる。後者の移動時間は、ステップS214で算出したASU90と予め定められた作業対象マウンタの位置とに基づいてASU90から作業対象マウンタまでの移動距離を算出し、算出した移動距離を予め定められたASU90の標準移動速度で割ることにより算出することができる。
【0037】
そして、CPU81は、登録されている複数の作業者のうち、ステップS208で取得した作業者毎の作業スケジュールの空き時間を使って部品切れ予想時刻までに作業を完了できない作業者がいるか否かを判定し(ステップS218)、作業を完了できない作業者がいると判定すると、作業スケジュールで指定されている作業者に対して作業を指示して(ステップS206)、第2作業指示出力処理を終了する。一方、CPU81は、作業を完了できない作業者がいないと判定すると、登録されている複数の作業者のうち、ステップS214で算出した作業者の現在位置→ASU90の現在位置→作業対象マウンタの移動距離が短い作業者ほど優先して作業を行うよう優先順位を決定し(ステップS220)、決定した優先順位にしたがって作業者に作業を指示すると共に(ステップS222)、作業スケジュールを更新して(ステップS224)、第2作業指示出力処理を終了する。ステップS220の処理は、例えば、作業優先順位や作業位置(マウンタ番号)、作業内容(スプライス作業)をディスプレイ89上に通知したり、作業者が所有する携帯情報端末に通知させたりすることにより行うことができる。作業優先順位は、どの作業者が作業すべきか及びASU90は現在どこにあるのかも含む。ステップS224の処理は、指示に係る作業について作業スケジュールで指定されている作業者をステップS220で決定した優先順位の最も高い作業者に置き換える処理である。
【0038】
図10は、第2作業指示出力処理によってスプライス作業を指示するまでの流れを説明する説明図である。
図10に示すように、生産ラインを担当する作業者として作業者Aと作業者Bとが登録されており、時刻14:00:00に作業者Aが印刷機(スクリーン印刷機2)ではんだの補充作業を完了させ作業者Bがマウンタ09でスプライス作業を完了させ(
図10(a)参照)、時刻14:02:00に「マウンタ02でスプライス作業(部品切れ予想時刻14:07:00)」とする部品切れ予想が発生(
図10(b)参照)した場合を考える。作業者Aが印刷機に、作業者Bがマウンタ02にそれぞれいる場合、管理装置80のCPU81は、「作業者Aの現在位置(印刷機)→ASU90の現在位置(マウンタ09)→作業対象マウンタ(マウンタ02)」の距離と、「作業者Bの現在位置(マウンタ09)→ASU90の現在位置(マウンタ09)→作業対象マウンタ(マウンタ02)」の距離とを比較し、作業者毎の作業所要時間を導出する。次に、マウンタ02の部品切れ予想時刻までに作業を完了できない作業者がいるか否かを判定する。この説明においては、両作業者とも、マウンタ02の部品切れ予想時刻までに作業を完了できると判定されたものとする。したがって、CPU81は、距離が短い方、即ち作業者Bがマウンタ02でスプライス作業を行うよう決定し、指示する(
図10(c)参照)。CPU81は、新たに決定した内容に基づいて作業スケジュールを更新する。このように、部品切れ予想が発生すると、登録されている複数の作業者のうち作業者→ASU90→作業対象マウンタの移動距離が短い作業者を優先して作業を指示するのである。これにより、作業者がASU90を取りに行くまでの移動を最小限とすることができ、スプライス作業を効率よく行うことができる。
【0039】
次に、一の生産ラインに複数台のASU90が割り当てられている場合における作業指示出力処理(第3作業指示出力処理)について説明する。
図11は、管理装置80のCPU81により実行される第3作業指示出力処理の一例を示すフローチャートである。第3作業指示出力処理は、各ライン毎に実行される。管理装置80は、前述したように、各ライン毎に作業者IDと担当ラインとを登録しており、各ラインを担当する作業者と作業者毎の作業スケジュールを管理している。また、管理装置80は、各ライン毎にASUID(ASU90の識別情報)と担当ラインとを登録しており、各ラインを担当するASU90とASU90毎の作業スケジュールも管理している。なお、ASU90の識別情報(ASUID)は、各ASU90に固有の情報であってもよいが、不可欠ではない。同じライン内で使用される複数台のASU90が、同じライン内で区別可能な情報(番号、名前など)であればよい。また、ASU90の作業スケジュールは、どのASU90を何時までにどこのマウンタの作業を担当するかが予め決められたリストである。
【0040】
第3作業指示出力処理が実行されると、管理装置80のCPU81は、まず、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがあるか否かを判定し(ステップS300)、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがないと判定すると、スプライス作業の指示を行うことなく、作業指示出力処理を終了する。一方、CPU81は、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがあると判定すると、ASU90毎の作業スケジュールを取得し(ステップS302)、第2作業指示出力処理のステップS210と同様に作業者の現在位置を取得すると共に(ステップS304)、ステップS212と同様に各ASU90毎に現在位置を取得する(ステップS306)。
【0041】
こうして各作業者毎の現在位置とASU90の現在位置とを取得すると、CPU81は、取得した作業者の現在位置と各ASU90毎の現在位置と作業対象マウンタの位置とに基づいて、作業者がASU90を取りに行くまでの移動距離とASU90を作業対象マウンタまで運ぶまでの移動距離とを、各ASU90毎に算出すると共に(ステップS308)、作業対象マウンタに対する各ASU90毎の作業所要時間を導出する(ステップS310)。ここで、ステップS308,S310の処理は、前述した第2作業指示出力処理のステップ214,216と同様に行うことができる。
【0042】
そして、CPU81は、処理対象のラインを担当する複数のASU90のうち、ステップS302で取得したASU90毎の作業スケジュールの空き時間を使って部品切れ予想時刻までに作業を完了できないASU90があるか否かを判定し(ステップS312)、作業を完了できないASU90があると判定すると、作業スケジュールで指定されているASU90を使った作業を作業者に指示して(ステップS314)、第3作業指示出力処理を終了する。一方、CPU81は、作業を完了できないASU90がないと判定すると、担当の複数のASU90のうち、ステップS308で算出した作業者→ASU90→作業対象マウンタの移動距離が短いASU90ほど優先して使用されるよう優先順位を決定し(ステップS316)、決定した優先順位にしたがってASU90を使った作業を作業者に指示すると共に(ステップS318)、ASU90の作業スケジュールを更新して(ステップS320)、第3作業指示出力処理を終了する。ステップS318の処理は、例えば、作業優先順位や作業位置(マウンタ番号)、作業内容(スプライス作業)をディスプレイ89上に通知したり、作業者が所有する携帯情報端末に通知させたりすることにより行うことができる。作業優先順位は、どのASU90を使って作業すべきか及びそのASU90は現在どこにあるのかも含む。なお、各ASU90には、IDマークが付されたり、ASU1など番号が付されたりするなど、作業者がどのASU90であるかを視覚的に判別可能な表示を有することが望ましい。ステップS320の処理は、指示に係る作業について作業スケジュールで指定されているASU90をステップS316で決定した優先順位の最も高いASU90に置き換える処理である。なお、第3作業指示出力処理では、処理対象のラインを担当する作業者が複数人存在する場合、CPU81は、ステップS308〜S312の処理を作業者毎に実行し、ステップS316,S318にて作業者→ASU90→作業対象マウンタの移動距離が短い作業者とASU90の組み合わせほど優先される優先順位を決定して当該作業者にスプライス作業を指示することとなる。
【0043】
図12は、第3作業指示出力処理によってスプライス作業を指示するまでの流れを説明する説明図である。生産ラインを担当する作業者として作業者Aと作業者Bとが登録されると共に生産ラインを担当するASU90としてASU1とASU2とが登録されており、時刻14:00:00に作業者AがASU1を使ってマウンタ01のスプライス作業を完了させ作業者BがASU2を使ってマウンタ10のスプライス作業を完了させ(
図12(a)参照)、時刻14:02:00に「マウンタ02でスプライス作業(部品切れ予想時刻14:07:00)」とする部品切れ予想が発生(
図12(b)参照)した場合を考える。この場合、管理装置80のCPU81は、「作業者Aの現在位置(マウンタ01)→ASU1の現在位置(マウンタ01)→作業対象マウンタ(マウンタ02)」の距離と、「作業者Bの現在位置(マウンタ10)→ASU2の現在位置(マウンタ10)→作業対象マウンタ(マウンタ02)」の距離とを比較し、各ASU90の作業所要時間を導出する。次に、マウンタ02の部品切れ予想時刻までに作業を完了できないASU90があるか否かを判定する。この説明においては、両ASU90とも、マウンタ02の部品切れ予想時刻までに作業を完了できると判定されたものとする。したがって、CPU81は、距離が短い方、即ちASU1を使ったスプライス作業を決定し、作業者Aに指示する(
図12(c)参照)。CPU81は、新たに決定した内容に基づいて作業スケジュールを更新する。このように、部品切れ予想が発生すると、登録されている複数のASU90のうち作業者→ASU90→作業対象マウンタの移動距離が短いASU90を優先して作業を指示するのである。これにより、ASU90の移動距離を考慮して、スプライス作業を効率よく行うことができる。
【0044】
以上説明した本実施形態の管理装置80によれば、第1作業指示出力処理にて、部品切れ予想が発生する度に、未だスプライス作業が完了していない複数の作業対象マウンタのうちASU90との距離が短いものほど先にスプライス作業が行われるように優先順位を決定するから、全ての作業対象マウンタに対してスプライス作業を行う際のASU90の移動を最小限とすることができ、スプライス作業を短時間で効率よく行うことができる。
【0045】
また、本実施形態の管理装置80によれば、第2作業指示出力処理にて、1の生産ラインにおいて担当する作業者が複数登録されている場合、部品切れ予想が発生すると、登録されている複数の作業者のうち作業者→ASU90→作業対象マウンタの移動距離が短い作業者を優先して作業を指示するから、作業者がASU90を取りに行くまでの移動を最小限とすることができ、スプライス作業を効率よく行うことができる。
【0046】
さらに、本実施形態の管理装置80によれば、第3作業指示出力処理にて、1の生産ラインにおいて割り当てられているASU90が複数ある場合、部品切れ予想が発生すると、登録されている複数のASU90のうち作業者→ASU90→作業対象マウンタの移動距離が短いASU90を優先して作業を指示するから、ASU90の移動距離を最小限とすることができ、スプライス作業を効率よく行うことができる。
【0047】
本実施形態の部品実装システム1では、1つのラインに対して1つまたは複数のASU90を割り当てるものとしたが、これに限定されるものではなく、複数のラインに対して1つまたは複数のASU90を共用するものとしてもよい。例えば、
図13に示すように、複数の生産ラインのうち隣り合う2つのラインの各マウンタを、部品供給装置16側(ハッチング部分)が互いに向かい合わせとなるように設置し、2つのラインで1つのASU90を共用するものとしてもよい。この場合、ASU90の移動距離は、ラインの短手方向(
図13の上下方向)の距離については考慮せずに、ラインの長手方向(
図13の左右方向)の距離のみを考慮するものとしてもよい。例えば、ライン1のマウンタ10付近にいる作業者Aがライン2のマウンタ05にあるASU90を取りに行き、作業対象マウンタであるライン1のマウンタ01までASU90を運んで作業対象マウンタにてスプライス作業を行う場合、ラインの長手方向に沿ったライン1のマウンタ10→ライン2のマウンタ05→ライン1のマウンタ01の移動距離を算出するものとすればよい。
【0048】
上述した実施形態では、本発明をASU90を使ったスプライス作業に適用して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、
図14に示すように、生産ラインに予備のフィーダ18を置くためのフィーダ置き場100をラインの所定箇所(例えば中央位置)に設けるものとし、作業者がフィーダ置き場100にフィーダ18を取りに行き作業対象マウンタへ運んで作業対象マウンタに対してフィーダ18の交換作業を行う場合に適用するものとしてもよい。
図15は、管理装置80のCPU81により実行される第4作業指示出力処理の一例を示すフローチャートである。第4作業指示出力処理は、各ライン毎に実行される。管理装置80は、前述したように、各ライン毎に作業者IDと担当ラインとを登録しており、各ラインを担当する作業者と作業者毎の作業スケジュールを管理している。
【0049】
第4作業指示出力処理が実行されると、管理装置80のCPU81は、まず、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがあるか否かを判定し(ステップS400)、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがないと判定すると、フィーダ交換の指示を行うことなく、作業指示出力処理を終了する。一方、CPU81は、所定時間以内に部品切れが予想されるフィーダ18を搭載したマウンタがあると判定すると、現在ラインに割り当てられている登録作業者に関する情報(作業者ID)を取得し(ステップS402)、登録作業者が複数人いるか否かを判定する(ステップS404)。CPU81は、登録作業者が1人と判定すると、作業スケジュールで指定されている登録作業者に対してフィーダ交換を指示して(ステップS406)、第4作業指示出力処理を終了する。一方、CPU81は、登録作業者が複数人と判定すると、各作業者毎の作業スケジュールを取得し(ステップS408)、各作業者毎の現在位置を取得する(ステップS410)。なお、ステップS410の処理は、ステップS210と同様の処理により行うことができる。
【0050】
こうして各作業者毎の現在位置を取得すると、CPU81は、取得した各作業者毎の現在位置とフィーダ置き場100の位置と作業対象マウンタの位置とに基づいて、作業者がフィーダ置き場100に収容されている予備のフィーダ18を取りに行くまでの移動距離とフィーダ置き場100のフィーダ18を作業対象マウンタまで運ぶまでの移動距離とを、各作業者毎に算出すると共に(ステップS412)、作業対象マウンタに対する各作業者毎の作業所要時間を導出する(ステップS414)。ここで、各作業者毎の作業所要時間は、作業者がフィーダ置き場100までフィーダ18を取りに行き作業対象マウンタまで運ぶための移動時間と、作業対象マウンタにてフィーダ18の交換作業を行うのに必要な標準作業時間(例えば30秒)との和により算出することができる。移動時間は、作業者がフィーダ置き場100までフィーダ18を取りに行くまでの時間と、フィーダ18をフィーダ置き場100から作業対象マウンタまで運ぶ時間との和により算出することができる。前者の移動時間は、ステップS410で算出した作業者の現在位置と予め決められたフィーダ置き場100の位置(ラインの中央位置)とに基づいて作業者がフィーダ置き場100までフィーダ18を取りに行くまでの移動距離を作業者毎に算出し、算出した移動距離を作業者の標準移動速度(標準歩行速度)で割ることにより作業者毎に算出することができる。後者の移動時間は、ステップS412で算出したフィーダ置き場100から作業対象マウンタまでの移動距離をフィーダ18を運ぶ際の作業者の標準移動速度で割ることにより算出することができる。
【0051】
そして、CPU81は、登録されている複数の作業者のうち、ステップS408で取得した作業者毎の作業スケジュールの空き時間を使って部品切れ予想時刻までに作業を完了できない作業者がいるか否かを判定し(ステップS416)、作業を完了できない作業者がいると判定すると、作業スケジュールで指定されている作業者に対して作業を指示して(ステップS406)、第4作業指示出力処理を終了する。一方、CPU81は、作業を完了できない作業者がいないと判定すると、登録されている複数の作業者のうち、ステップS412で算出した作業者→フィーダ置き場100→作業対象マウンタの移動距離が最も短い作業者ほど優先して作業を行うよう優先順位を決定し(ステップS418)、決定した優先順位にしたがって作業者に作業を指示すると共に(ステップS420)、作業スケジュールを更新して(ステップS422)、第4作業指示出力処理を終了する。ステップS420の処理は、例えば、作業優先順位や作業位置(マウンタ番号)、作業内容(フィーダ交換)をディスプレイ89上に通知したり、作業者が所有する携帯情報端末に通知させたりすることにより行うことができる。作業優先順位は、どの作業者が作業すべきか及びフィーダ18は現在どこにあるのかも含む。ステップS422の処理は、指示に係る作業について作業スケジュールで指定されている作業者をステップS418で決定した優先順位の最も高い作業者に置き換える処理である。
【0052】
図16は、第4作業指示出力処理によってフィーダ交換を指示するまでの流れを説明する説明図である。
図16に示すように、生産ラインを担当する作業者として作業者Aと作業者Bとが登録されており、時刻14:00:00に作業者Aがマウンタ05でフィーダ交換を完了させ作業者Bがマウンタ10でフィーダ交換を完了させ(
図16(a)参照)、時刻14:02:00に「マウンタ02でフィーダ交換(部品切れ予想時刻14:07:00)」とする部品切れ予想が発生(
図16(b)参照)した場合を考える。この場合、管理装置80のCPU81は、「作業者Aの現在位置(マウンタ05)→フィーダ置き場100の位置(ライン中央位置,マウンタ05付近)→作業対象マウンタ(マウンタ02)」の距離と、「作業者Bの現在位置(マウンタ10)→フィーダ置き場100の位置(ライン中央位置,マウンタ05付近)→作業対象マウンタ(マウンタ02)」の距離とを比較し、各作業者の作業所要時間を導出する。次に、マウンタ02の部品切れ予想時刻までに作業を完了できない作業者がいるか否かを判定する。この説明においては、両作業者とも、マウンタ02の部品切れ予想時刻までに作業を完了できると判定されたものとする。したがって、CPU81は、距離が短い方、即ち作業者Aがマウンタ02でスプライス作業を行うよう決定し、指示する(
図16(c)参照)。CPU81は、新たに決定した内容に基づいて作業スケジュールを更新する。このように、部品切れ予想が発生すると、登録されている複数の作業者のうち作業者→フィーダ置き場100→作業対象マウンタの移動距離が短い作業者を優先して作業を指示するのである。これにより、フィーダ置き場100からフィーダ18を取りに行く際の移動距離を考慮して、フィーダ交換を効率よく行うことができる。
【0053】
上述した実施形態では、作業対象の位置として、作業対象となるマウンタの位置を考慮したが、作業対象となるマウンタに搭載されたフィーダの搭載位置を、作業対象の位置としてもよい。例えば、部品供給装置がライン長手方向に長い1台のマウンタにおいて、部品切れが予想されるフィーダが複数発生した場合、作業対象フィーダの搭載位置に基づいて、効率よい作業順序を決定することができる。
【0054】
上述した実施形態では、第1作業指示出力処理において、仮決定された優先順位にしたがってスプライス作業を行うと仮定した場合に、複数のスプライス作業のいずれかに対して部品切れ予想時刻までに作業を完了できないと判定すると、部品切れ予想時刻が早く到来するスプライス作業ほど優先して作業が行われるように優先順位を決定したが、部品切れ予想時刻までに作業が完了できないスプライス作業については、優先して作業が行われるようにし、部品切れ予想時刻までに作業が完了できるスプライス作業に対してのみ、仮決定の優先順位を適用した優先順位を決定してもよい。
【0055】
上述した実施形態では、第2作業指示出力処理または第4作業指示出力処理において、スケジュールの空き時間を使って部品切れ予想時刻までに作業を完了できない作業者がいると判定すると、作業スケジュールで指定されている作業者に対して作業を指示したが、スケジュールの空き時間を使って部品切れ予想時刻までに作業を完了できる作業者のみに対して、作業者→ASU90→作業対象マウンタの移動距離、または作業者→フィーダ置き場100→作業対象マウンタの移動距離に基づいて、作業者の優先順位を決定し、決定された作業者に作業を指示してもよい。
【0056】
上述した実施形態では、第3作業指示出力処理において、ASU90毎の作業スケジュールの空き時間を使って部品切れ予想時刻までに作業を完了できないASU90があると判定すると、作業スケジュールで指定されているASU90を使った作業を作業者に指示したが、作業スケジュールの空き時間を使って部品切れ予想時刻までに作業を完了できるASU90のみに対して、作業者→ASU90→作業対象マウンタの移動距離に基づいてASU90の優先順位を決定し、決定されたASU90を使った作業を作業者に指示してもよい。
【0057】
ここで、本実施形態の主要な要素と発明の概要の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、スクリーン印刷機2および部品実装機10が「対基板処理機」に相当し、
図6の第1作業指示出力処理のステップS100の処理や
図8の第2作業指示出力処理のステップS200の処理、
図11の第3作業指示出力処理のステップS300の処理を実行する管理装置80のCPU81が「作業情報取得手段」に相当し、第1作業指示出力処理のステップS106の処理や第2作業指示出力処理のステップS210,S212の処理、第3作業指示出力処理のステップS304,S306の処理を実行する管理装置80のCPU81が「位置取得手段」に相当し、第1作業指示出力処理のステップS108〜S118の処理や第2作業指示出力処理のステップS214〜S220の処理、第3作業指示出力処理のステップS308〜S316の処理を実行する管理装置80のCPU81が「作業順序決定手段」に相当し、第1作業指示出力処理のステップS120の処理や第2作業指示出力処理のステップS222の処理、第3作業指示出力処理のステップS318の処理を実行する管理装置80のCPU81が「作業指示手段」に相当する。また、管理装置80のRAM84が「記憶手段」に相当する。また、
図15の第4作業指示出力処理のステップS400の処理を実行する管理装置80のCPU81が「作業情報取得手段」に相当し、第4作業指示出力処理のステップS410の処理を実行する管理装置80のCPU81が「位置取得手段」に相当し、第4作業指示出力処理のステップS412〜S418の処理を実行する管理装置80のCPU81が「作業者決定手段」に相当し、第4作業指示出力処理のステップS420の処理を実行する管理装置80のCPU81が「作業指示手段」に相当する。
【0058】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。