特許第6367935号(P6367935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367935
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】太陽光防護グレージング
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/36 20060101AFI20180723BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20180723BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20180723BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20180723BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20180723BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20180723BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C03C17/36
   G02B5/08 A
   G02B5/22
   G02B5/28
   B60J1/00 H
   E06B9/24 Z
   B32B17/06
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-522522(P2016-522522)
(86)(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公表番号】特表2016-532621(P2016-532621A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】EP2014063634
(87)【国際公開番号】WO2014207171
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】BE2013/0453
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】マヒュー, スティン
(72)【発明者】
【氏名】ディ ステファノ, ガエタン
(72)【発明者】
【氏名】ハウプトマン, マルク
(72)【発明者】
【氏名】デュモン, ジャック
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−503812(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0262726(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 25/00−25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレージング基材の少なくとも1つの面の上に、幾何学的厚さが少なくとも3nmである太陽放射線吸収層と、前記太陽放射線吸収層に隣接する第1および第2の誘電体コーティングとを含む透明多層スタックを含む透明太陽光制御グレージングユニットにおいて、前記多層スタックがコーティングされた前記グレージング基材の基材側で測定した光反射率が、少なくとも20%であり、かつ前記多層スタックがコーティングされた前記グレージング基材のスタック側で測定した光反射率の少なくとも2倍であること、前記基材側での反射の色は、a色座標値が2未満であり、かつb色座標値が5未満であること、および前記太陽放射線吸収層が、380nm〜750nmで、1.2を超える平均吸光係数を有する材料から形成されることを特徴とする透明太陽光制御グレージングユニット。
【請求項2】
前記多層スタックがコーティングされた前記グレージング基材の前記基材側で測定した前記光反射率が、前記多層スタックがコーティングされた前記グレージング基材の前記スタック側で測定した前記光反射率の少なくとも2.5倍、好ましくは少なくとも3倍、有利には少なくとも3.5倍の大きさであることを特徴とする、請求項1に記載のグレージングユニット。
【請求項3】
前記基材側で測定した前記光反射率が、前記スタック側で測定した前記光反射率よりも少なくとも14%、好ましくは少なくとも20%、有利には少なくとも25%大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載のグレージングユニット。
【請求項4】
前記基材側で測定した前記光反射率が少なくとも27%、好ましくは少なくとも30%、有利には少なくとも35%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項5】
前記基材に対して前記太陽放射線吸収層を越えて配置される前記第2の誘電体コーティングは、全体の仮想的な厚さLが35〜85nm、好ましくは40〜70nm、有利には55〜65nmであり、Lは、前記誘電体コーティングを形成するそれぞれの誘電体材料のnmの単位での(物理的)幾何学的厚さと、それぞれの前記材料の550nmにおける屈折率nから周囲雰囲気の気体の屈折率を引いた値とを掛け合わせた値の合計として定義されること、および前記コーティングの平均屈折率nが1.5を超えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項6】
前記基材と前記太陽放射線吸収層との間に配置される前記第1の誘電体コーティングの仮想的な厚さLが、前記多層スタックの最後の誘電体コーティングの仮想的な厚さLよりも少なくとも1.5倍の大きさ、または1/1.5の小ささであることを特徴とする、請求項5に記載のグレージングユニット。
【請求項7】
前記基材と前記太陽放射線吸収層との間に配置される前記第1の誘電体コーティングの前記仮想的な厚さLが、前記多層スタックの前記最後の誘電体コーティングの前記仮想的な厚さLの少なくとも1/1.5、好ましくは1/2、有利には1/3の小ささであることを特徴とする、請求項6に記載のグレージングユニット。
【請求項8】
前記太陽放射線吸収層の上方に配置される誘電体材料でできた前記第2のコーティングが、2を超え、好ましくは2.1を超える高屈折率を有する材料を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項9】
前記太陽放射線吸収層の上方に配置される誘電体材料でできた前記第2のコーティングが、酸化チタンと酸化ニオブまたは酸化ジルコニウムとの混合物を含むことを特徴とする、請求項8に記載のグレージングユニット。
【請求項10】
前記太陽放射線吸収層が、380nm〜750nmで、1.4を超える平均吸光係数を有する材料から形成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項11】
前記太陽放射線吸収層が、NiCrおよびWを主成分とする合金、CrおよびZrを主成分とする合金、WおよびZrを主成分とする合金、またはWおよびTaを主成分とする合金を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項12】
前記太陽放射線吸収層の幾何学的厚さが3〜40nm、好ましくは5〜25nmであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項13】
前記太陽放射線吸収層の幾何学的厚さが10〜25nm、好ましくは12〜22nmであることを特徴とする、請求項12に記載のグレージングユニット。
【請求項14】
前記太陽放射線吸収層に隣接する前記2つの誘電体コーティングが窒化ケイ素または窒化アルミニウムを主成分とすることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項15】
前記グレージングユニットを少なくとも630℃、最高670℃の温度に7分間曝露するときに、透過における色の変化ΔEtrが8未満、好ましくは5未満、より好ましくは3未満である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項16】
前記グレージングユニットを少なくとも630℃、最高670℃の温度に7分間曝露するときに、前記基材に面する側の反射における色の変化ΔErgが8未満、好ましくは5未満、より好ましくは3未満である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項17】
自動車両のグレーズ要素として、建築用グレージング要素として、または家庭用品、たとえばオーブン扉などのグレーズ要素としての請求項1〜16のいずれか一項に記載の太陽光制御グレージングユニットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、多層スタックを有するグレージング基材からなる太陽光制御グレージングユニットであって、多層スタックの少なくとも1つの薄膜によって前記太陽光制御特性が得られる、太陽光制御グレージングユニットの分野である。この機能層とともに、関連の誘電体層であって、特に、スタックの反射特性、透過特性、および色特性を調節し、これらの性質を機械的または化学的劣化から保護する役割を果たす誘電体層が存在する。
【0002】
より正確には、本発明は、建造物、および自動車両への取り付けが意図されたグレージングユニットに関する。用途に依存して、要求される特定の性質は異なりうる。
【背景技術】
【0003】
太陽光制御グレージングユニットは、複数の機能を有する。これらの機能は特に、特に透明な屋根を透過する太陽放射線に関して、自動車両の乗員室の内部の加熱を防止するため、または太陽放射線が十分に強い場合に太陽放射線に曝露される建造物中の加熱を防止するために使用される。ある実施形態においては、好適な光透過率を維持しながら加熱を防止することができる。
【0004】
特に建築用グレージングユニット、および自動車用グレージングユニットの場合に、特に反射に関して色を実質的に変化させることなく、これらのグレージングユニットの熱処理が可能となることがますます要求されている。その目的は、明らかな色の差がなく、処理を行ったグレージングユニットと処理していない別のグレージングユニットとを並べて配置できることである。
【0005】
以下の説明において、光学的性質は、通常の厚さ4mmの透明フロートガラスでできた基材を有するグレージングユニットに対して定義される。明らかに、基材の選択が、これらの性質に影響を与える。CIE D65の規格による「昼光」光源下で2°の立体角の範囲内で測定して、通常の透明ガラスの場合、層がない場合の4mmのガラスの光透過率は約90%であり、反射率は8%である。それらの部品の場合、エネルギー測定は規格EN 410に準拠して行った。
【0006】
用語「ガラス」は、鉱物ガラスを意味するものと理解される。これは、少なくとも0.5ミリメートル以上の厚さ、最大20.0mm以下の厚さ、好ましくは少なくとも1.5mm以上の厚さ、最大10.0mm以下の厚さであり、ガラス質材料の必須成分の1つとしてケイ素を含むガラス片を意味する。ある用途においては、厚さは、たとえば1.5または1.6mm、または2または2.1mmであってよい。別の用途においては、厚さはたとえば約4または6mmとなる。透明、超透明、あるいは表面または全体が着色されたソーダ石灰シリカガラスが好ましい。
【0007】
多層スタックの存在によって、色相に関する問題が生じうる。ほとんどの場合、市場では、グレージングユニットが、できる限り無彩色の色相、したがって肉眼で灰色の色相を透過および反射の両方で有することが必要とされる。わずかに緑色または青みを帯びた色相も可能である。しかし、明らかにより顕著な色、たとえば青色または緑色も場合により、特定の美的基準に適合させるために必要となる。これらの色相を調節するために、多層スタック、および特に、機能層に隣接する誘電体層の性質、指数、および厚さが特に選択される。
【0008】
理論上は、自動車用グレージングユニットは、特に断熱特性を改善するために、複数のグレージングユニットであってよい。実際には、このような実施形態は例外的である。これらのグレージングユニットのほとんどは、モノリスであるか積層されるかのいずれかである単一のグレージングユニットである。多層スタックは、機械的応力または化学攻撃から保護されない面上に配置することができる。したがって対象のスタックは、発生しうるこれらの攻撃に対して非常に良好な抵抗性を有する必要がある。
【0009】
実際、劣化の危険性を制限するために、多層スタックは、乗員室に向かうグレージングユニットの面上に通常は配置される。しかし、このような位置でさえも、これらは非常に良好な機械的抵抗性を有する必要がある。
【0010】
本発明による層のシステムは、グレージングユニットの成形にも好適となる必要がある。乗り物に使用されるシステムは、成形中、特にガラス板を曲げる操作中、またはさらには機械的性質の改善が特に意図される焼き戻し作業中に、特に熱処理にさらされる。本発明により使用される層は、層の性質を低下させることなくこれらの処理に耐える必要がある。この種類の処理は、600℃を超える温度を約10分間必要とする。これらの温度に曝露して、層はそれらの品質および性質を維持する必要がある。
【0011】
商業的には、太陽光制御グレージングユニットの美的概観も非常に重要である。具体的には、グレージングユニットは、熱的な太陽光制御特性を有することのみが必要なのではなく、それが属する組立体の美的品質にも寄与する必要がある。これらの美的基準は、求められている最良の熱的性質の獲得とある程度相反する状況が生じる場合がある。
【0012】
従来技術には、太陽放射線吸収層を含み、この層に誘電体層が隣接する、太陽遮蔽性(anti−solar)グレージングユニットが開示されている。
【0013】
特許出願の欧州特許出願公開第779,255A1号明細書には、NiCrでできた太陽放射線吸収層でコーティングされたガラス製基材であって、この太陽放射線吸収層に、高温での熱処理に耐えることができるSi誘電体層が隣接する、ガラス製基材が記載されている。
【0014】
特許の米国特許第6,852,419B2号明細書には、NbCrNでできた太陽放射線吸収層から形成されるスタックであって、この層にSi誘電体コーティングが隣接スタックを含む太陽遮蔽性グレージングユニットが記載されている。このスタックは高温での熱処理に耐えることができる。
【0015】
特許出願の仏国特許出願公開第2,869,606A1号明細書には、Nbでできた太陽放射線吸収層から形成されるスタックであって、この層にSi誘電体コーティングが隣接するスタックを含む太陽遮蔽性グレージングユニットが記載されている。このスタックも高温での熱処理に耐えることができる。
【0016】
これらの従来の開示は、特に熱的な太陽光制御特性に関して、本発明によるグレージングユニットで想定される用途の要求の少なくとも一部に適合する。にもかかわらず、それらの美的性質は、ある種の商業的要求を満たすべき場合には、さらに改善される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は特に従来技術のこの欠点を克服することである。
【0018】
より正確には、本発明の目的の1つは、取り付けられる組立体に好適な美的外観を付与し、製造が単純で安価であり、特に層が最小限である、太陽遮蔽性特性を有する多層スタックが取り付けられたグレージングユニットを提供することである。
【0019】
本発明の目的の1つは、その実施形態の少なくとも1つにおいて、太陽遮蔽性および美的性質を有する多層スタックであって、焼き戻しおよび/または曲げ処理などの高温熱処理に耐えることができ、好ましくは基材側での反射において、その色の実質的な変化が生じず、それによって、それらの全体的な美的外観の実質的な差を観察者が感知できないように、熱処理されていないグレージングユニットを熱処理したグレージングユニットと並列することができる多層スタックが取り付けられたグレージングユニットを提供することでもある。
【0020】
本発明の別の目的の1つは、その実施形態の少なくとも1つにおいて、熱的、化学的、および機械的な観点から良好な安定性を有する多層スタックが取り付けられたグレージングユニットを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的の1つは、その実施形態の少なくとも1つにおいて、グレージングユニットであって、その多層スタックは、外部環境から前記スタックを保護するための別の基材を必ずしも使用する必要なしに外部に配置することができる、グレージングユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、グレージング基材の少なくとも1つの面の上に、幾何学的厚さが少なくとも3nmである太陽放射線吸収層と、前記太陽放射線吸収層に隣接する第1および第2の誘電体コーティングとを含む透明多層スタックを含む透明太陽光制御グレージングユニットにおいて、多層スタックでコーティングされたグレージング基材の基材側で測定した光反射率が、少なくとも20%であり、かつ多層スタックでコーティングされたグレージング基材のスタック側で測定した光反射率の少なくとも2倍であること、および基材側での反射における色は、(CIE L)のa色座標値が2未満であり、かつb色座標値が5未満であることを特徴とする透明太陽光制御グレージングユニットに関する。
【0023】
光反射率に関するこの新しい特徴は、光反射率が互いに大きく異ならないことによる一般的方法とは相反している。
【0024】
この複合的な特徴は、驚くべきことに、注目すべき快い美的効果が得られながら、同時に、グレージングユニットによって閉じられた空間の内部から外部への十分な視認性が維持され、同時に、内部から見た場合に不快な鏡面効果が回避されるという点で有利であることが発見された。
【発明を実施するための形態】
【0025】
太陽放射線吸収層、すなわちスタックの機能層の幾何学的厚さは少なくとも3nm、好ましくは少なくとも5nm、有利には少なくとも10nmである。この厚さは、グレージングユニットの光透過率および日射透過率において重要な役割を果たす。この厚さは、顕著な効果を得るために、十分大きく、少なくとも3nmである必要がある。次に厚さを調節することによって、所望の値に性質を調節することができる。
【0026】
「太陽放射線吸収層」という表現は、本発明において、金属、または金属合金、または金属窒化物、または金属窒化物合金から形成され、380nm〜750nmの平均吸光係数が、0.8を超え、好ましくは1.2を超え、有利には1.4を超える層を意味するものと理解される。
【0027】
太陽放射線吸収層に隣接する誘電体コーティングは、好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、混合アルミニウム/ケイ素窒化、酸窒化ケイ素、および酸窒化アルミニウムから選択される化合物を主成分とする誘電体材料でできた少なくとも1つの層を含む。
【0028】
誘電体材料でできたコーティングを形成する1つ以上の層は、少なくとも1種類の別の元素がドープされ、最大約10重量%のこの別の元素を含有する層であってもよく、前記ドープされた層は、前記誘電体材料からなる層の誘電特性とは実際には異ならない誘電特性を有する。したがって、たとえば層が窒化ケイ素でできている場合、前記層は10重量%のアルミニウムを含有することができる(一例は最大10重量%のアルミニウムを含有するケイ素ターゲットからの陰極スパッタリングによって堆積された層である)。さらに誘電体コーティングは、これらの同じ材料を含む、または本質的にこれらの同じ材料からなる複数の個別の層で構成されてよい。誘電体層は、周知技術のプラズマ支援化学蒸着(PECVD)によって堆積することもできる。
【0029】
機能層である太陽放射線吸収層には、誘電体コーティングが隣接する。これは、さまざまな理由で薄い中間膜が間に挿入されうるため、これらの誘電体コーティングが、必ずしも機能層と直接接触する必要があることを意味するものではないが、誘電体コーティングを機能層のすぐ近くに配置する必要がある。それぞれの誘電体コーティングは単層であってよいが、それぞれの誘電体コーティングは異なる材料の複数の層を含むこともできる。しかし、それぞれの前記誘電体コーティングは、好ましくは、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素または窒化ケイ素、ならびに酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、または窒化アルミニウムから選択される少なくとも10nmの1種類の誘電体材料を常に含有する。別の誘電体材料は、Zn、Sn、Ti、Zr、およびNbの酸化物を主成分とする材料、または当技術分野において周知の別の誘電体材料、特にスズ酸亜鉛であってよい。
【0030】
好ましくは、多層スタックでコーティングされたグレージング基材の基材側で測定した光反射率は、多層スタックでコーティングされたグレージング基材のスタック側で測定した光反射率の少なくとも2.5倍、有利には少なくとも3倍、好ましくは少なくとも3.5倍、またはさらには4倍の大きさである。好ましくは、基材側で測定した光反射率は、スタック側で測定した光反射率よりも少なくとも14%、少なくとも16%、好ましくは少なくとも20%、有利には少なくとも25%大きい。
【0031】
したがって、非常に高い外部光反射率を実現して、非常に顕著な美的効果を得ながら、グレージングユニットによって閉じられた空間の内部から観察した場合にグレージングユニットを通して良好な視認性を維持することができる。
【0032】
本発明の好ましい一実施形態によると、基材側で測定された光反射率は少なくとも27%、好ましくは少なくとも30%,有利には少なくとも35%である。
【0033】
基材側での高い光反射率と、コーティングされた基材の両側での反射率の大きな差とを実現するために、種々の実施形態が可能となる。本発明の主題である透明グレージングユニットに関連して有効な手段の1つは、層間の干渉効果に有利な影響を与えることである。この場合も、種々の実施形態を想定することができる。しかし、干渉は反射および透過で得られる色に大きな影響を与える。好ましくは、第1の誘電体コーティング(このコーティングは基材と太陽放射線吸収層との間に配置される)の仮想的な光学的厚さLの値は25nm以下、またはさらには20nm以下、有利には17nm以下、好ましくは15nm以下である。この特徴は、基材側で高い光反射率の実現に有利であり、同時に、必要な色を維持することが可能となる。好ましくは、第1の誘電体コーティングの仮想的な光学的厚さLは、5〜20nm、有利には10〜20nm、好ましくは12〜16nmである。これによって、2つの面の間の反射率の大きな差と、基材側での比較的無彩色と、熱処理に対する高い抵抗性との間で良好な妥協点を得ることができる。
【0034】
誘電体コーティングの仮想的な光学的厚さLは、本発明に関連して、誘電体コーティングを形成するそれぞれの誘電体材料のnmの単位での(物理的)幾何学的厚さと、それぞれの材料の550nmにおける屈折率nから周囲雰囲気の気体の屈折率を引いた値とを掛け合わせた値の合計として定義される。複数の異なる誘電体材料から形成されるコーティングの場合、値Lは、それぞれの材料のnmの単位での幾何学的厚さ(e)と、対応する材料の550nmにおける屈折率nから、一般には空気である大気の550nmにおける屈折率値、すなわち値1を引くことによって得られる値とを掛け合わせた結果を合計することによって得られる[L=e×(nD550−nair550)、式中、nD550=550nmにおける材料の屈折率]。
【0035】
好ましくは、基材に対して太陽放射線吸収層を越えて配置される第2の誘電体コーティングは、全体の仮想的な厚さLが35〜85nm、有利には40〜70nm、好ましくは45〜65nm、理想的には50〜60nmであり、このコーティングの平均屈折率nは1.5を超える。この特徴によって、高い外部反射率および低い内部反射率の両方を同時に得ることが容易になりながら、反射において許容でき美的に快い外部の色が維持される。
【0036】
有利には、第1の誘電体コーティングの仮想的な光学的厚さLは10〜20nmであり、第2の誘電体コーティングの全体の仮想的な厚さLは45〜65nm、好ましくは50〜60nmである。これによって、基材側での高い反射率、層側での低い反射率、および基材側での反射における比較的無彩色を実現するための最適条件が得られる。
【0037】
好ましくは、基材と太陽放射線吸収層との間に配置される第1の誘電体コーティングの仮想的な厚さLは、基材に対して赤外線吸収層の上に配置される多層スタックの最後の誘電体コーティングの仮想的な厚さLの少なくとも1.5倍の大きさ、または1/1.5の小ささである。この特徴によって、干渉効果の適合がより容易になる。好ましくは、基材と太陽放射線吸収層との間に配置される第1の誘電体コーティングの仮想的な厚さLは、基材に対して赤外線吸収層の上に配置される多層スタックの最後の誘電体コーティングの仮想的な厚さLの少なくとも1/1.5、有利には1/2分、好ましくは1/3分の小ささである。
【0038】
既に前述したように、前記誘電体コーティング、特に機能層の上に配置される第2のコーティングの形成に好ましい誘電体材料の1つは窒化ケイ素であり、その屈折率は1.9〜2.05である。しかし、これも前述の説明のように、誘電体コーティングは、窒化ケイ素以外の誘電体材料の層を含むことができる。好ましくは、太陽放射線吸収層の上に配置される誘電体材料でできたコーティングは、2を超え、好ましくは2.1を超える高屈折率の材料を含む。本発明に関連して、この高屈折率の誘電体は、好ましくは、構造を実質的に変化させずに熱処理に耐えることが可能な材料である。このような材料の具体例は、ドープまたは混合された酸化チタン、たとえばジルコニウムまたはニオブがドープまたは混合されたものであり、特にそれぞれの比率が40〜60%である酸化チタンおよび酸化ジルコニウムの混合物である。このような材料の別の一例は酸化ジルコニウムである。好ましくは、この高屈折率材料は、太陽放射線吸収層とスタックの最外誘電体層との間に配置される。
【0039】
太陽放射線吸収層は、TiN、CrN、WN、NbN、TaN、ZrN、またはNiCrN等の窒化物、あるいはこれらの窒化物の混合物であってよい。これらの窒化物は部分的に酸化されていてもよい。好ましくは、太陽放射線吸収層は、NiCr、W、Nb、Zr、Ta、ステンレス鋼、またはNiおよび/またはCrを主成分とする合金でできた層などの本質的に金属の層である。
【0040】
好ましくは、太陽放射線吸収層は、380nm〜750nmの範囲の可視スペクトル範囲内で2〜4.5の吸光係数kを有する金属を主成分とする金属層である。
【0041】
好ましくは、太陽放射線吸収層は、NiCrおよびWを主成分とする合金、あるいはCrおよびZrを主成分とする合金、WおよびZrまたはCrを主成分とする合金、またはWおよびTaを主成分とする合金の層である。これらの合金は、性質を大きく低下させることなく高温熱処理に容易に耐える太陽放射線吸収層の形成に非常に有利であることが分かった。これらの合金は、Ti、Nb、Ta、Ni、およびSnから選択されるさらなる金属を含むこともできる。
【0042】
本発明のある好ましい実施形態によると、太陽放射線吸収層は、NiCrW合金の層であり、幾何学的厚さが10〜20nmである窒化ケイ素から本質的に形成される第1の誘電体コーティングと、幾何学的厚さが50〜65nmである窒化ケイ素から本質的に形成される第2の誘電体コーティングとが隣接する。別の好ましい実施形態によると、太陽放射線吸収層はNiCr合金の層であり、幾何学的厚さが10〜20nmである窒化ケイ素から本質的に形成される第1の誘電体コーティングと、幾何学的厚さが55〜60nmである窒化ケイ素から本質的に形成される第2の誘電体コーティングとが隣接する。さらに別の好ましい実施形態によると、太陽放射線吸収層はCrZr合金の層であり、幾何学的厚さが10〜20nmである窒化ケイ素から本質的に形成される第1の誘電体コーティングと、幾何学的厚さが60〜66nmである窒化ケイ素から本質的に形成される第2の誘電体コーティングとが隣接する。
【0043】
好ましくは、太陽放射線吸収層は幾何学的厚さが3〜40nm、さらには3〜30nm、好ましくは5〜25nmである。好ましくは、太陽放射線吸収層は幾何学的厚さが好ましくは10〜25nmであり、有利には12〜22nmである。このような太陽放射線吸収層は、多層スタックの機能層、すなわち太陽光制御特性を得るために重要な層の形成に好適である。したがって、きわめて単純でおよび非常に耐久性の高い多層スタックを容易に得ることができる。
【0044】
好ましくは、太陽放射線吸収層に隣接する2つの誘電体コーティングは窒化ケイ素または窒化アルミニウムを主成分とする。これによって、高温熱処理中に金属太陽放射線吸収層が十分に保護される。
【0045】
基本の多層スタックに、たとえば酸化チタンおよび酸化ジルコニウムの混合物によって形成される機械的または化学的攻撃からのさらなる外部保護などのさらなる性質および/または保護を付与するため、または基材からのアルカリ金属に対する障壁を形成するため、または異なる光学的性質を付与するため、または金属層の電気的性質を改善するため、または堆積速度を増加させるため、または実際にあらゆる別の追加機能を付与するために、基材に直接、または外部保護層として、または多層スタックのスタック中のいずれかで、別の追加層を加えることができる。しかし選択される追加層は、好ましくは、多層スタックの高温熱処理が行われる能力が低下してはならない。特に、このような熱処理中に追加層によって多層スタックの光学的性質が変化するのを防止するために、熱処理が行われたときに、これらの追加層の実質的変化、特に構造的変化が起こらないように、有利には注意が払われる。
【0046】
熱処理、特に曲げ/焼き戻し型の熱処理によって、光学的性質、特に色のある程度顕著な変化も生じうる。好ましくは、熱処理の実施の有無とは無関係に、グレージングユニットの外観が事実上変わらないままとなるように、これらの変化を最小限にする必要がある。
【0047】
従来、変化はCIE Lab系座標を用いて測定される。変化はΔEで示される表現で表され、この表現は式:
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2
に対応し、
式中、ΔLは、熱処理前後のグレージングユニットのL色座標の間の差を表し;
Δaは、熱処理前後のグレージングユニットのa色座標の間の差を表し;
Δbは、熱処理前後のグレージングユニットのb色座標の間の差を表す。
【0048】
特に、好ましくは、本発明によるグレージングユニットは、前記グレージングユニットが少なくとも630℃、最高670℃の温度に7分間曝露される場合に、基材に面する側での反射における色の変化ΔErg
ΔErg=(ΔLrg+Δarg+Δbrg1/2
が8未満、好ましくは5未満、有利には3未満、さらに好ましくは2未満である。
【0049】
本発明は、高い焼き戻し温度および/または曲げ温度における熱処理中に、基材側での反射における色の非常に良好な安定性を得るために特に有用である。基材側での反射における色は、多くの用途では、グレージングユニットの使用条件下で観察者が注目するのはこの面であるため、観察者が最も気づきやすい色である。したがってわずかな色の差が容易に分かる。
【0050】
さらに、本発明によるグレージングユニットは、前記グレージングユニットが少なくとも630℃、最高670℃の温度に7分間曝露される場合に、好ましくは透過における色の変化ΔEtr
ΔEtr=(ΔLtr+Δatr+Δbtr1/2
も8未満、好ましくは5未満、より好ましくは3未満である。
【0051】
本発明によるグレージングユニットは、前述の2つの性質に加えて、またはそれらとは別に、前記グレージングユニットが少なくとも630℃、最高670℃の温度に7分間曝露される場合に、層に面する側の反射における色の変化ΔErc
ΔErc=(ΔLrc+Δarc+Δbrc1/2
がたとえば、8未満、好ましくは5未満である。
【0052】
特定の一実施形態によると、本発明によるグレージングユニットは、厚さ4mmの透明ガラスでできた基材の光透過率が少なくとも2%、最大75%となるように太陽放射線吸収層の厚さが選択されるようなグレージングユニットである。自動車両の屋根における使用の場合、光透過率は好ましくは2〜10%であり、有利には6〜8%である。建築用途の場合、光透過率は好ましくは10〜70%であり、有利には10%〜60%であり、好適には10〜50%であり、好ましくは20〜40%である。特に、太陽放射線吸収層は光およびエネルギーの透過を制御するため、この層が厚いほど、吸収が多くなる。
【0053】
本発明によるグレージングユニットは、層、特にそれらの厚さを調節することによって性質を適合可能であるため、種々の用途に使用することができる。
【0054】
本発明によるグレージングユニットは、二重グレージングユニットの一部を形成することができ、この場合、多層スタックは2枚のガラス板の間の空間に配置することができ、それによって劣化、特に機械的劣化の危険性が限定される。にもかかわらず、本発明によるグレージングユニットの多層スタックの重要な特徴の1つは、それらの機械的および化学的抵抗性である。この抵抗性は、別の保護を使用せずに多層スタックを露出させて使用できるような抵抗性である。このような場合、グレージングユニットは、1枚のガラス板だけで構成されてもよく、多層スタックはこのガラス板の一方の面に取り付けられる。2枚以上のガラス板を含む積層グレージングユニットを対象としてもよく、それらのガラス板は、従来、当技術分野における中間熱可塑性シートによって互いに維持される。
【0055】
1つのグレージングユニットに取り付ける場合、多層スタックは環境から保護されない。積層グレージングユニットの場合でさえも、これらの層は、表面の放射率を制御することによってエネルギー透過を制御する役割を果たすために、外面に配置することができる。
【0056】
したがって、本発明によるグレージングユニットは、自動車両:屋根、サイドウィンドウ、リアガラス(多層スタックは好ましくは乗員室に露出する面上に配置される)のグレーズ要素として、および建築用グレージング要素として使用することができる。
【0057】
本発明によるグレージングユニットは、家庭用品のグレーズ要素として、たとえばオーブン扉として使用することもでき、それによって所望の美的効果を得ることもできる。これは、この特定の種類の用途において生じる種々の化学的および/または機械的攻撃に対して十分に耐久性となる。
【0058】
すでに何回も記載したように、本発明によるグレージングユニットは、当然ながら建造物中のグレーズ要素として使用することもできる。この特定の用途において、グレージングユニットは、複数のグレージングユニットの内側の閉鎖閉空間に面して配置される多層スタックを有する二重または三重のグレージングユニットを形成することができる。グレージングユニットは積層グレージングユニットであってもよく、その多層スタックは、基材を互いに維持する接着性熱可塑性材料、一般にPVBと接触させることができる。しかし、本発明によるグレージングユニットは、1つのグレージングユニット、または積層グレージングユニット、またはさらには場合により複数のグレージングユニットのいずれが対象となるかは無関係に、多層スタックが外部環境に露出している場合に特に有用となる。
【0059】
当然ながらグレージング基材は、より多くの太陽放射線を吸収するため、または低光透過率を有する私的空間を形成し、それによって乗り物の乗員室、または建造物中のオフィスが外側から見えるのを防止するために、灰色、青色、または緑色に着色されたガラスなどの全体が着色されたガラスでできていてよい。
【実施例】
【0060】
本発明によるグレージングユニットの実施例および比較例(「R」)を以下の表Iに示している。光学的性質は、通常の厚さ4mmの透明フロートガラスでできた基材を有するグレージングユニットに対して得られる。層は、ガラスから出発して左から右の順序となっている。おおよその幾何学的厚さをnmの単位で示している。
【0061】
表I:本発明によるグレージングユニットの実施例および比較例によって、本発明によるグレージングユニットおよび従来技術のグレージングユニットの性能を比較することができ、コーティングは厚さ4mmの透明ガラスの上に堆積される。一部の例では、層側(Rc)およびガラス側(Rg)での光透過率(TL)および光反射率も(%の単位で)示されている。
【0062】
太陽放射線吸収層および誘電体層は、陰極スパッタリング技術を使用し、この種類の技術の従来条件下で塗布した。一変形形態では、誘電体層は周知のプラズマ支援化学蒸着(PECVD)技術を用いて塗布することができた。
【0063】
窒化ケイ素の誘電体層は、アルゴン(30〜70%)および窒素(70〜30%)の混合物からなる雰囲気中、4mtorr(0.53Pa)の全圧力で金属ターゲットから形成した。クロム/ジルコニウム層(CrZr合金中40重量%のCrおよび60%のジルコニウム)、ニッケル/クロム層(80/20のニッケル/クロム)、およびニッケル/クロム(80/20のニッケル/クロム)/タングステン(NiCrW合金中50重量%のNiCrおよび50%のW)層は、アルゴンのみの雰囲気中で金属陰極から堆積した。酸化ケイ素の誘電体層は、アルゴンおよび酸素を含有する雰囲気中、最初からケイ素を主成分とするターゲットから形成した。
【0064】
試料に対して、基材側での光透過率TLおよび光反射率をD65光源、2°において測定した。CIE L、a、bの色座標も、D65光源、10°において熱処理前後に測定した。測定を行った角度は8°であった。
【0065】
試料に対して、670℃で8分30秒間維持するステップを含む熱処理を行った。透過および反射における変化ΔEも表Iに示している。この表中、SiNという表記は、1つの化学式を意味せずに窒化ケイ素を示しており、得られる生成物が必ずしも厳密には化学量論ではなく、示される堆積条件下で得られる生成物であり、これらの生成物はほぼ化学量論であると理解されたい。SiNでできた層は、ターゲットに由来する最大約10重量%のアルミニウムを含有しうる。SiN層は550nmにおいて屈折率n=2.03である。さらに誘電体コーティングは、これらの同じ材料を含む、またはから本質的になる複数の個別の層からなることができる。
【0066】
括弧内の数値は、種々の層のナノメートルの単位での物理的厚さである。性質(光透過率および反射率の場合は%の単位)は、熱処理後のモノリスのグレージングユニットに対して得られる。頭字語「TZO」は、50%のTiOおよび50%のZrOを含む混合酸化物を表す。TZO層は550nmにおいて屈折率n=2.3を有する。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
基材側の反射および透過における比較例および本発明のある実施例の(CIE L)色座標を以下の表IIに示している。
【0070】
【表3】
【0071】
本発明による実施例は、基材側から見て高い外部反射率と、スタック側から見て低い内部反射率とを有し、それによって光沢および輝きが生じて特に顕著な美的効果が得られながら、低い内部反射率(鏡面効果が起こらず)および商業的要求に適合した反射における色が維持される。この美的効果は、第2の誘電体コーティングの厚さが好ましい範囲内である場合で、特に第1の誘電体コーティングが薄い場合に、より容易に得られることも留意されたい。さらに、実施例3は、厚い第1の誘電体コーティングが使用されながら、2つの誘電体コーティングの間で大きな比が維持される場合に、この美的効果は、b色座標の大きな負の値で示されるように、特に濃い青色で得られることを示している。
【0072】
本発明によるグレージングユニットの機械的および化学的抵抗性は、クラスBコーティングと呼ばれるものの規格EN 1096−2で定義される試験に首尾良く合格することを特徴とした。さらに、本発明によるグレージングユニットは、以下の試験:
・ 好ましくは少なくとも10日間の規格ISO 9227−2006に準拠した中性塩水噴霧(NSS)試験;
・ 好ましくは少なくとも10日間の規格EN 1036−2008に準拠した環境室試験;
・ 好ましくは少なくとも10日間の規格ISO 6270−1:1998に準拠したクリーブランド試験;
・ 規格EN 1096−2に準拠した(SO)耐酸試験;
・ 下記の自動ウェブ摩擦試験(AWRT):綿布で覆ったピストンを、評価する層と接触させて、その表面上で振動させ、直径17mmのフィンガーに33Nの力が加わるようにピストンに重りを取り付けた。コーティングされた表面上を綿で摩擦すると、あるサイクル数の後で層が損傷する(除去される)。この試験は、層の変色(層の部分的除去)および擦り傷が層中に見られるまでの限界を決定するために使用される。この試験は、試料上の種々の異なる位置で10、50、100、250、500および1000サイクルで行った。試料上に変色または擦り傷を見ることができるかどうかを決定するために、試料を人工天空下で観察した。AWRT結果は、変色がないまたは非常にわずかとなる(試料から80cmの距離で均一な人工天空下で肉眼では見えない)結果が得られるサイクル数を示している;および
・ 好ましくは少なくとも千サイクルの規格ASTM D2486−00(試験方法「A」)に準拠したドライブラシ試験(DBT)
の要求にも適合し、これらの試験は任意の熱処理の前および後の両方で行われた。
【0073】
当然ながら、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。