特許第6367938号(P6367938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367938
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】アクチュエータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20180723BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180723BHJP
   A61G 7/14 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   H02J7/34 B
   H02J7/00 302C
   H02J7/00 X
   A61G7/14
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-528360(P2016-528360)
(86)(22)【出願日】2014年7月21日
(65)【公表番号】特表2016-525865(P2016-525865A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】DK2014000039
(87)【国際公開番号】WO2015010702
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年6月15日
(31)【優先権主張番号】PA201300440
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】594167956
【氏名又は名称】リナック エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、ゾレン
(72)【発明者】
【氏名】フォグ、モーテン
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05697110(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0136367(US,A1)
【文献】 特開2012−157224(JP,A)
【文献】 特開平03−011937(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/054795(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
A61G 7/00 − 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの可調節部材(4)と、前記可調節部材(4)を調節するためのアクチュエータシステム(6〜10;16)と、を備える可調節家具製品であって、前記アクチュエータシステムは、
少なくとも1つの電動リニアアクチュエータ(6、26)と、任意の要素としての被駆動の走行輪と、
操作部(10)と有線または無線で接続される電動コントローラと、
主電源からの電力供給または第1タイプの充電式電池を用いる電池パック(9)からの電力供給を受ける電源部と、を備え、
前記電池パック(9)は、インターフェースとしてのフロントエンド部を備え、前記フロントエンド部は、前記電池パック(9)が前記第1タイプの充電式電池とは異なる第2タイプの充電式電池からの供給を受けることを可能にし、前記フロントエンド部を用いることにより、前記第2タイプの充電式電池を用いる電池パック(9)は、前記第1タイプの充電式電池を用いる電池パック(9)であるかのごとく挙動することを特徴とする可調節家具製品。
【請求項2】
前記第1タイプの充電式電池は鉛電池であり、前記第2タイプの充電式電池はリチウムイオン電池であることを特徴とする、請求項1に記載の可調節家具製品。
【請求項3】
前記フロントエンド部は、前記電池の充電に適した電圧を前記電池に供給するために、充電電圧を増減させて調節するように構成された充電回路を備えることを特徴とする、請求項1に記載の可調節家具製品。
【請求項4】
前記フロントエンド部は、前記電池の残容量に基づいて、一般的な鉛電池を例とする対照電池が同等の残容量を有する際に出力する電圧に出力電圧を調整することを特徴とする、請求項3に記載の可調節家具製品。
【請求項5】
前記フロントエンド部から流出する電流が所定の閾値を超える場合は、前記フロントエンド部は、前記電池の出力電圧の供給を前記コントローラが直接に受けるように出力電圧を制御することを特徴とする、請求項4に記載の可調節家具製品。
【請求項6】
前記フロントエンド部は、前記コントローラと充電器との間の通信のインターフェースとして機能する電磁誘導リンクを備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載の可調節家具製品。
【請求項7】
前記フロントエンド部は、接続された充電器が前記電池を充電するのに十分な電圧と電流を供給可能な場合は、前記充電回路を迂回するように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の可調節家具製品。
【請求項8】
前記電池は、複数の電池セル(17)を備え、前記フロントエンド部は、個々の前記電池セル(17)を保護するための安全回路(19)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の可調節家具製品。
【請求項9】
前記フロントエンド部は、前記電池に流入する電力と前記電池から流出する電力とを監視することよって前記電池の残容量を示すことが可能な回路(20)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の可調節家具製品。
【請求項10】
前記フロントエンド部は、充電状態を含むデータを前記電池パック(9)から前記コントローラに通信する手段を備えることを特徴とする、請求項3に記載の可調節家具製品。
【請求項11】
前記フロントエンド部は、充電器の能力を含むデータを前記コントローラから前記電池パックに通信する手段(22)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の可調節家具製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの可調節部材と、可調節部材を調整するアクチュエータシステムとを備える可調節家具製品に関する。アクチュエータシステムは、少なくとも1つの電動リニアアクチュエータを備え、加えて、走行輪と、充電式電池パックを有する電源部と、コントローラと、操作部と、をさらに備えうる。
【背景技術】
【0002】
本明細書における可調節家具製品との用語は最も広い意味に解釈するべきであり、座位/立位机、作業台、カウンターなどを含むテーブル、治療用椅子、歯科治療用椅子、理容室用椅子、美容室用椅子、車椅子などを包む椅子、家庭用可動式ベッド、介護ベッド、病院ベッド、治療台、ストレッチャー、患者リフターなどを含むベッドを包含する。
【0003】
便宜上、本発明を患者リフターに基づいて説明するが、上述したどの種類の家具でも選択可能である。患者リフターは、運動障害がある患者をベッドから別の家具製品に、あるいはその逆に移送するのに用いられる。患者リフターの多くは、可動性を高めるために電池パックを電源部として備えており、そのような患者リフターは主電源(mains)に接続しなくても使用可能である。患者リフターは、例えば、Asger Gramkowの国際公開WO2004/069125A1あるいはCampbellの米国特許US5,697,110Aを参照とする走行輪を備えてもよい。Campbellの第12カラム53行目以降には、電池とその充電についての記載がある。走行輪についてのより詳細な例は、Tente社の国際公開WO2007/093549A1に記載されている。同公報に記載の走行輪は病院ベッド用であるが、患者リフターにも適用可能である。
【0004】
アクチュエータシステムを備える可動式家具についての先行技術によれば、電池パックは、いわゆる鉛酸蓄電池(以降は、鉛電池とも記載)を備える。鉛酸蓄電池は、鉛電極と酸から成る電解質とを有する充電式電池である。この種の電池は低価格であり、魅力ある電池とされてきた。しかしながら、リチウムイオンタイプの充電式電池の導入および商品化がこの図式に変化をもたらし、今やこれらの電池が魅力的な代替品となっている。リチウムイオン電池は鉛電池に比較して、容量が同じであれば大きさが半分であり、容量が同じであれば重さが3分の1であり、完全放電に至るまで電圧レベルが一定であり、電池寿命が5倍長く、より環境に優しいという利点を有する。その一方で、リチウムイオン電池は充電時の電圧が過剰に高い場合に過敏となり、高電圧によって電池が恒久的に損傷したり、最悪の場合には破裂したりするおそれがある。
【0005】
リチウムイオン技術の電池パックを新規の患者リフターに導入、製造することはいたって簡単である。しかしながら、既存の患者リフターにおいて、旧式の鉛電池を新式のリチウムイオン電池に交換するとなると状況は全く異なる。鉛電池とリチウムイオン電池とでは、電圧レベルが異なるからである。このことは、例えば、鉛電池充電用の充電器でリチウムイオン電池を充電する場合に問題となる。加えて、旧式の患者リフターでは、鉛電池の充電状態が電圧降下に反映されることを利用して電池の充電状態を視覚的に表示している。リチウムイオン電池の出力電圧は、上述したように、電池が完全に放電する直前まで実質的に変化しない。言い換えると、鉛電池の場合とは異なり、単に電圧を測定することによって電池の充電状態を判定することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/069125号
【特許文献2】米国特許第5,697,110号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/093549号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
可調節家具製品用の交換電池の市場は大きく、よって、上述した課題の解決として、例えば、リチウムイオンなど異なる化学組成の電池を利用可能で、鉛電池を備える一般的な電池パックと直接に互換可能な代替電池パックの提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載したような可調節家具製品の構成により上記課題を解決する。アクチュエータシステムは、電池パックとアクチュエータシステムの他の部分との間のインターフェースとして機能するフロントエンド部を有する。フロントエンド部は、第1タイプとは異なるタイプの電池を電池パックに装着することを可能にしつつ、この電池パックがアクチュエータシステムでは第1タイプの電池を備える電池パックであるかのごとく挙動することを可能にする。
【0009】
これにより、例えばリチウムイオン電池を備える電池パックを、鉛電池を備える電池パックで交換することが可能になるので有用である。
【0010】
一実施形態では、フロントエンド部は、電池の充電に適した電圧を電池に供給するために、充電電圧を増減して調節するように構成された充電回路を備える。
【0011】
例えば、充電回路は、電源部から供給される電圧よりも高い電圧でリチウム電池を充電するように構成されたブースターを備える。鉛電池用の充電器では、リチウム電池の全容量を充電するのに必要な電圧を供給することができないので、ブースターは有用である。これにより、電圧を高くして電池を充電することが可能になるからである。ブースターは、スイッチモードコンバータとして実装可能である。同様に、充電回路はレギュレータを備えてもよい。レギュレータもスイッチモードのレギュレータであってもよく、電池を直接に充電するには供給電圧が高すぎる場合に、電圧を適切なレベルに制御する。
【0012】
リチウムイオン電池は、過電圧の影響を受けやすいので、フロントエンド部は、個々の電池セルを保護する安全回路を備える。この保護は、第一義的には過電圧保護である。リチウムイオン電池技術を用いる場合には、電圧変動が爆発を引き起こす可能性があるので安全回路は必須である。過電圧が生じた場合、安全回路は、電圧レベルが許容可能なレベルに戻るまで接続を遮断することにより電池セルを保護する。
【0013】
さらに別の実施形態では、フロントエンド部は、電池に流れ込む電力及び電池から流れ出す電力を監視する回路であって、電池の充電状態に基づいて、一般的な鉛電池が同等の電力状態の際に出力する電圧に相当する出力電圧を供給する回路をさらに備える。既存の患者リフターのコントローラは、電池の充電状態を監視し、図式的にその状態を示すように構成されている。鉛電池では、単純に電圧レベルを用いて充電状態を表すことができる。リチウムイオン電池では、電池が完全に放電する直前まで電圧は実質的に変化しない。よって、残電力を把握するには、電池に供給される電力(エネルギー)と電池から取り出される電力とを監視する必要がある。この目的を達成するために、クーロンカウンタを専用のチップとして備えるか、コントローラ又はフロントエンド部を機能拡張してこの目的を達成する。フロントエンド部は、電池の推定残電力に基づいて、無負荷時(idle period)の電池の出力電圧を、鉛電池を例とする対照電池が同等の推定残電力を有する場合に出力する電圧と同じになるように調整する。電圧の適合調整を行えるように、フロントエンド部は、電池パックにおける電池の所与の残電力に対応する出力電圧を近似的にあるいは電圧間隔で示すテーブルを備えていなければならない。
【0014】
好適には、フロントエンド部から流出する電流が所与の閾値を超える場合は、フロントエンド部は、電池の出力電圧の供給をコントローラが直接に受けるように出力電圧を制御する。これによりコントローラは、電池の残容量のエミュレーション(emulation)や表示に利用するための電圧降下を伴わない、電池のフル出力の恩恵を受けることができる。
【0015】
電池パックは、リチウムイオン電池を例とする新タイプの電池を備える電池パックに対応した新式の患者リフターにも直接に利用可能であることが求められるが、電池パックが、旧タイプである鉛電池を例とする対照電池に対応したパックであるとは限らない。よって、フロントエンド部は、充電状態を含むデータを電池パックからコントローラに通信する手段を備えている。したがって、電池パックは、電池パックの残容量についての情報をデジタルで通信可能であり、鉛電池の出力電圧のシミュレートする必要がない。
【0016】
フロントエンド部が、充電器の機能を含むデータをコントローラから電池パックへ通信する手段を備えているので、患者リフターが信号を発信して、患者リフターが電池パックのエミュレーションを必要としない新式のものであるのか、あるいは、電池パックは鉛電池を備えるが、患者リフターはこの電池パックを直接に利用可能であり、その方式に対応可能であるのか示すことができる。特に、コントローラは、充電器がリチウムイオン電池の全容量を充電するのに十分な高電圧を供給可能である旨を示すことができる。また、充電器がより高い充電電流を供給可能である旨をコントローラが示すことができるので、電池パックは充電回路を調整してこれをサポートすることが可能である。これら通信は、従来の有線接続を介して行うことができる。
【0017】
電池の充電中および電動リニアアクチュエータの動作中に電気ノイズが発生するので、フロントエンド部は、コントローラと充電器との間の通信のインターフェースとして機能する電磁誘導リンクを備えることが好ましい。よって、電磁誘導リンクは電気的に分離された結合として機能して、ノイズを防止する。電磁誘導リンクを介した通信は、周波数偏移変調(frequency shift keying)(FSK)の原理を利用したバースト信号を用いて行われる。より具体的には、第1中心周波数を有するバーストは論理0に相当する信号であり、第2中心周波数を有するバーストは、論理1に相当する信号である。これらの信号は、検証に際して、有効信号成分であると特定される持続時間をさらに有していなければならない。コントローラから電池パックへ、あるいはその逆に送信される信号は、相互に一意の伝達が行えるようプロトコルに従って記載しなければならない。
【0018】
電磁誘導リンクの代わりに例えば光カプラを用いて、通信リンクを介したデータ通信を光通信で行うこともできる。
【0019】
これにより通信が電源部から電気的に分離されるので、電気ノイズの影響を受けないという利点が得られる。
【0020】
電池パックが通信リンクを介して受け取った信号が、専用のリチウムイオン充電器が利用可能である旨を示す場合、あるいは、接続された充電器についてフロントエンド部が測定した電圧レベルが、電池の充電に十分な電圧に相当する所定の閾値電圧を超える電圧を当該充電器が供給可能である旨を示す場合、フロントエンド部は、充電回路を迂回するか、あるいは充電回路のブースターを迂回する。このことは、ブースターが、電池が受け入れ可能な大きな充電電流に専用の充電器が対応又は供給するように構成されてない場合には、利点となる。
【0021】
さらに別の実施形態では、フロントエンド部は電池パックから分離されており、別体の筐体に収納されている。既存の患者リフターにリチウムイオン電池パックを後付けしたい場合には、フロントエンドモジュールが両ユニットの間に好適に挿入されて、リチウムイオン電池パックを一般的な鉛電池パックであるかのごとく患者リフターのコントローラに認識させる。認識後、電池パックの利用が可能になり、患者リフターにリチウムイオン技術の優れた特性を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、添付図面を参照して、電動リニアアクチュエータについてより詳細に説明する。
【0023】
図1】第1実施形態におけるアクチュエータシステムを備える患者リフターの模式図である。
図2】相互に接続された制御ボックスと電池パックとを示す図である。
図3】患者リフターのアクチュエータシステムにおいて可能な組み合わせを示す概念図である。
図4】制御ボックス、充電器、電池パックの一般的な3つの配置構成を示す図である。
図5】電池パックの個々の部品を示す模式図である。
図6】フロントエンド回路を含む、電池パックの回路図である。
図7】鉛電池とリチウムイオン電池それぞれの放電カーブを示すグラフである。
図8】電動リニアアクチュエータを示す図である。
図9】電動リニアアクチュエータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、走行輪3を備えるフレーム2を有する患者リフター1を示す。フレーム2の一端に固定されたアーム4は、水平軸を中心にして傾斜可能である。アーム4の他端には、患者を持ち上げるためのリフトフック5が固定されている。アーム4は電動リニアアクチュエータ6により昇降可能であり、電動リニアアクチュエータは一端がフレーム2に、他端がアームに固定されている。患者リフター1は、フレームに固定された制御ボックス7を有する。制御ボックス7はコントローラと電池パック9とを有し、本実施形態では、電池は別体の電池ボックス8に収納されている。患者リフター1は操作部10をさらに備え、本実施形態では、操作部は制御ボックス7に有線接続されている。ただし、操作部は当然ながら無線であってもよい。操作部10を用いることにより、リニアアクチュエータ6を起動してアーム4を昇降させることができる。患者を持ち上げるためのリフトブーム12は、通常、リフトフック5に挿し込まれている。
【0025】
図2に、制御ボックス7と、電池パック9を備える電池ボックス8とをさらに示す。図示の通り、制御ボックス7は非常用スイッチ13を備え、患者が負傷する恐れが生じた場合にリニアアクチュエータの動作を中断させて、事故を防止あるいは少なくとも軽減することができる。制御ボックス7は、コントローラの監視用に各種の表示ランプ14も備える。例えば、あるランプは、主電源が接続されているか否かを示す。別のランプは、電池パック9が充電中であるか否かを示す。さらに、電池の推定残容量を示すパネル15を備える。鉛電池の電圧は放電割合を反映し、電池電圧は直線的なパターンで変化すると推定されるので、鉛電池用の患者リフターの場合は、電池電圧の測定値に基づいて表示が行われる。
【0026】
図3は、患者リフターのアクチュエータシステムの概念図である。同図は、コントローラ(制御ボックス7)を示すと共に、選択可能な複数種類の電動リニアアクチュエータ6と、それに接続することができる選択可能な複数種類の操作部10とを示している。電池パック9と組み合わせてコントローラ(制御ボックス7)を機能拡張することにより、主電源に接続された電源部に接続せずに、患者リフターを移動させて動作させることが可能になる。同図には、各種の充電器16がさらに示してあり、これらは、主電源からの供給を直接に受けて患者リフター1を動作させるのに利用可能である。加えて、充電器は、電池パックを直接に又はコントローラを介して充電することもできる。
【0027】
図4は、3つの主要部品である制御ボックス7と、電池パック9と、充電器16との一般的な接続形態を示している。同図の(a)は、電池ボックスに接続された制御ボックスを示す。同図の(b)は、制御ボックス7から切り離されて、充電器16に装填された電池パック9を示す。充電器は、実際には壁に吊るしてあってもよい。充電器16で予備の電池パック9を充電しておき、患者リフター1の使用により放電した電池パック9の交換用として利用できる。同図の(c)は別の実施形態を示しており、3つの主要部品が患者リフター1上で連結されている。患者リフターを使用しないときは、充電器16を主電源に接続して制御ボックス7への供給、及び/又は、電池パック9の充電を行ってもよい。
【0028】
図5の模式図にさらに示す電池パック9は、鉛電池を備えてもよく、リチウム電池を備えてもよく、あるいは、他の化学組成の電池を備えてもよい。電池パック9は所定数の電池セル17を備え、同図では8つの個別の電池セル17が示してある。電池パック9はプリント回路基板18をさらに備え、これに安全回路19が配置されている。安全回路は、電池セル17を過電圧から常時保護する。電池パックは、電池の残容量を監視するマイクロプロセッサ20をさらに備える。
【0029】
鉛電池の電池パックで作動するように構成された既存の患者リフター1に電池パック9を後付けして使用できるように、電池パック9はフロントエンド部を有する。フロントエンド部は、例えばASIC21のような、その機能専用のハードウェア部品として構成されてもよいし、マイクロプロセッサ20で実行可能な命令として構成されてもよい。フロントエンド部21を用いることにより電池パック9は、標準タイプとは異なるタイプの化学組成の電池セル17に適合して使用することができ、コントローラ8に対しては、電池パック9が標準タイプの電池パック9であるかのように模擬(emulate)できる。加えて、プリント回路基板18には、電池パックとの通信のインターフェースとして機能する回路22が取り付けられている。これは、有線接続としてもよいし、電気的に分離された接続、例えば、電磁誘導による接続あるいは光学的な接続としてもよい。
【0030】
電池パック9が備える電池の具体的例としては、従来の鉛電池が標準タイプであるとすると、電池パック9の電池セル17はリチウムイオンタイプのセルである。よって、患者リフター1が元々備える機能を損なうことなく、上述の優れた特徴を有するリチウムイオン技術にて患者リフター1をアップグレードすることができる。これは、公称電圧レベルがより高いにもかかわらずリチウムイオン電池パック9を満容量まで充電できることと、電池パック9の残容量を監視できることを特に意味する。
【0031】
図6に示すプリント回路基板18の回路図にあるように、安全回路19は電池セル17の充放電を制御するとともに、電池セル17を保護している。安全回路19は、さらに、シリアルのデータ接続を介してマイクロプロセッサ20と通信する。フロントエンド部が電圧ブースター手段(以降、ブースター回路と記載する)備え、これによりリチウムイオン電池セルを満容量まで充電することが可能になる。ブースター回路は、スイッチモードのブーストコンバータ(充電ブースト)21として実現してもよく、充電電圧を電池セル17の公称電圧まで高めるように構成されている。充電ブースト機能は、マイクロプロセッサ20により制御される。電池が放電されて、接続された充電器17の電圧レベルより低い電圧になると、充電器が直接に電池パック9に接続されているので、充電器の電力が効率的に利用される。充電は、FET充電トランジスタ23を介してマイクロプロセッサ20により制御される。このことは、FET_ON機能およびFET_OFF機能として回路図に示してある。直接に接続された充電器17によって最大限可能なだけ電池パック9が充電されると、ブースター回路21が起動されるので電池9を満容量まで充電できる。ブースター回路21が起動すると、FET充電トランジスタ23の接続が解除される。よって、ブースター回路21は、より少ない電流で電池9を充電するよう構成することができる。充電器17が十分な電流を供給可能な場合は、ブースターを迂回し、FET充電トランジスタ23を再度利用して充電時間を短縮することが可能になる。リチウムイオン技術の電池パック9を後付けした患者リフターでも、電池パック残容量を表示する機能を維持可能にするため、フロントエンド部は電池の残容量を測定し、同等の残容量を有する鉛電池パックの出力電圧に対応するように電池パック9の無負荷電圧(idle voltage)をシミュレートするように構成されている。リチウムイオン電池パックの残容量は単に電圧を測定することによっては判定できないので、フロントエンド部は、ハードウェアベースの専用クーロンカウンタを用いて入力電力と出力電力を測定できるように構成される。残容量に基づいて、フロントエンド部は、当該残容量に対応する鉛電池の電圧を示すテーブルを参照し、該当する残容量の比率を反映するように出力電圧を調整する。このテーブルは、マイクロプロセッサ20に接続されたメモリに保存しておいてもよい。これを説明するために、図7を参照する。同図は、リチウム電池と鉛電池それぞれの放電電圧の推移を比較して示す。図示のように、鉛電池の電圧レベルは、完全放電するまで徐々に減少する。これに対し、リチウム電池の電圧レベルは、完全放電の直前まで比較的一定レベルで安定している。マイクロプロセッサ20がリチウムイオン電池の残容量を算出するので、同等の残容量の鉛電池が出力する電圧のレベルをテーブルに基づいて割り出すことが可能である。よって、マイクロプロセッサ20は、無負荷期間(idle period)にブーストコンバータ24とエミュレータ25を制御して、電池9の残容量に対応させた出力電圧を供給することができる。これにより、後付けを行った患者リフター1でも、正しい残容量をパネル15に表示できる。
【0032】
所定の閾値よりも大きい電力が引き出された場合は、フロントエンド部は、最大レベルの電池電圧をコントローラ8に供給することを可能にする。これは、マイクロプロセッサ20がFET充電トランジスタ23を起動して、電池電圧を直接に出力端に接続させることにより可能になる。したがって、アクチュエータ6の動作中は常に最大レベルの電圧が供給されることになり、電池パック9の残容量にかかわらず調節動作の速度が可能な限り一定に保たれる。
【0033】
加えて、回路図には、電池パック9と制御ボックス7と間の通信インターフェースとして機能する回路22を表すブロックを示している。このインターフェースは、データの送信、受信の双方を行えるように構成されている。上述したように、この回路は、有線接続されていてもよいし、電磁接続あるいは光リンクを利用することによって電気的には分離されていてもよい。通信インターフェースは、電池パックとの通信を行う制御ボックスがマイクロプロセッサ20から直接に状況情報を受信することを可能にし、同様に、マイクロプロセッサ20への情報の送信を可能にする。よって、鉛電池を例とする対照電池を模擬して制御ボックスにより残容量を推定することが不要になる。このように、新規な電池パック9は、新規な制御ボックス7と共に機能するように構成されていると共に、既存の患者リフター1にも後付け可能であって、後付けした患者リフターに一般的な電池パック9であるかのごとく動作するように構成されており、特に改変を要することなく新規なリチウムイオン電池技術の利点を提供でき、リチウム電池の容量を犠牲することなく、患者リフター1の制御ボックス7による電池の残容量読取機能も損なうこともない。
【0034】
図8に示すリニアアクチュエータ26は、リニアアクチュエータ6と同型であり、内管27を備える。加えて、リニアアクチュエータは外管28とモータハウジング29を備える。リニアアクチュエータ26は、さらに、前方取り付け部30を内管27の外側端部に備え、後方取り付け部31をモータハウジング29に備える。
【0035】
図9は、図8のリニアアクチュエータ26からモータハウジング29及び外管28を部分的に取り除いた状態を示している。リニアアクチュエータ26の主要構成要素は、スピンドルナット33が設けられたスピンドル32によって構成されるスピンドルユニットを含む。スピンドルナット33は、回転しないように固定することができる。内管27はスピンドルナット33に固定されており、スピンドル32の回転方向に応じて外管28に対して出入動する。スピンドル32は、トランスミッションを介して可逆電気モータ34によって駆動される。トランスミッションは、電気モータのドライブシャフトの延長線上に配置されたウォーム(worm)、ならびに、スピンドル32に固定されたウォーム歯車35を含む。さらに、ベアリング36がスピンドル32に固定されている。ベアリング35は、例えば、ボールベアリング又はローラーベアリングとすることができる。
【0036】
電池ボックス、電池パック、及び、電池セルとの用語に関し、電池ボックスなる用語は電池パックのハウジングを包含する。実際の電池パックは、上記の説明および図5に示すように、電池と諸々の電子部品を含む。電池自体が、所定数の電池セルを含む。
【0037】
以上、本発明を患者リフターに関連付けて説明したが、本明細書の冒頭部分に記載したように、本発明は可調節家具製品の全般に適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9