特許第6367952号(P6367952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367952エリスロポエチンおよび分枝ポリマー構造を含む複合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367952
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】エリスロポエチンおよび分枝ポリマー構造を含む複合体
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/505 20060101AFI20180723BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20180723BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20180723BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20180723BHJP
   C08G 65/325 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C07K14/505
   A61K38/22
   A61K47/60
   A61P7/06
   C08G65/325
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-545283(P2016-545283)
(86)(22)【出願日】2015年1月8日
(65)【公表番号】特表2017-506619(P2017-506619A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】CU2015000001
(87)【国際公開番号】WO2015104008
(87)【国際公開日】20150716
【審査請求日】2016年8月16日
(31)【優先権主張番号】CU-2014-0003
(32)【優先日】2014年1月8日
(33)【優先権主張国】CU
(73)【特許権者】
【識別番号】304012895
【氏名又は名称】セントロ デ インジエニエリア ジエネテイカ イ バイオテクノロジア
(73)【特許権者】
【識別番号】500185689
【氏名又は名称】セントロ ド インムノロジア モレキュラー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パエス メイレレス、ロランド
(72)【発明者】
【氏名】アマロ ゴンザレス、ダニエル エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】カストロ オディオ、フィデル、ラウル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス ヴァルデス、エニセル
(72)【発明者】
【氏名】ルイス エストラーダ、グラディス、アマリア
【審査官】 田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01479711(EP,A1)
【文献】 特開2013−079258(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/061853(WO,A1)
【文献】 米国特許第05932462(US,A)
【文献】 J. Controlled Release, 2010年,Vol.145,p.306-313
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
A61K 38/00−38/58
A61K 47/60
A61P 7/06
C08G 65/325
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリスロポエチン(EPO)およびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)の2つの分枝を含む非対称分枝ポリマー構造を含む複合体であって、mPEGの分枝の1つの分子量が1kDaであり、他方のmPEGの分枝の分子量が20kDaでって、該分枝ポリマー非対称構造が以下のように示される、上記複合体。
【化1】
【請求項2】
mPEG1の分子量が12kDaであり、mPEG2の分子量が20kDaであり、またはmPEG1の分子量が20kDaであり、mPEG2の分子量が12kDaである、請求項に記載の複合体。
【請求項3】
EPOが組換えヒトEPO(rhEPO)である、請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか一項の複合体および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項5】
PEG化エリスロポエチン(EPO)を得るための方法であって、
前記タンパク質が2つの分枝を含む非対称分枝ポリマー構造に結合され、mPEGの分枝の1つの分子量が1kDaであり、他方のmPEGの分枝の分子量が20kDaでって
非対称分枝ポリマー構造が以下のように示される、上記方法。
【化2】
【請求項6】
mPEG1の分子量が12kDaであり、mPEG2の分子量が20kDaであり、またはmPEG1の分子量が20kDaであり、mPEG2の分子量が12kDaである、請求項に記載の方法。
【請求項7】
EPOが組換えヒトEPO(rhEPO)である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジー、ライフサイエンスおよび製薬産業の分野に関し、特に、その薬物動態を改善し、血中のその半減期およびその生物学的活性を増加させる、分子修飾に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒトにおける治療のための生体分子の使用は、近年、増加しており、主に(1)新しいタンパク質およびペプチド分子の発見、(2)インビボでの作用機序のより良い理解、(3)タンパク質およびペプチド合成の発現系での改善、および(4)薬力学的もしくは薬物動態学的特性を高める製剤、または分子修飾技術における改善による。
【0003】
修飾される薬物送達の分野における技術開発は、治療薬の薬力学的および薬物動態学的特性を改善する目的で、注射可能な薬剤の放出を変化させる多数のシステムの導入を可能にしてきた。新たな薬物送達システムは、製剤(例えば、連続的な製品放出またはリポソーム)での変化によって、またはポリエチレングリコール(PEG)の1つ以上の分子に薬剤が共有結合のみするPEG化(pegylation)のような、薬物分子への添加によって、生成することができる。
【0004】
放出の新しい形態は、半減期を増加させ、有害作用を低減させ、薬効を増加させ、患者の生活の質を向上させることになる。連続放出システムは、制御された所定の方法で薬剤を放出し、血漿濃度での大きな変動を回避することが重要である薬剤に特に適している。
【0005】
生物分解性ミクロスフェアを用いる分子の全身性放出は、分解されやすい、および放出の延長や変化を受けやすいタンパク質の保護によって広く研究されている(Sinha,V.RおよびTrehan,A.(2003年)、Biodegradable microspheres as protein delivery(タンパク質送達としての生物分解可能なミクロスフェア)、J.Controlled Release,90(3):261−280)。
【0006】
PEG化は、生体分子の薬理学的制限の多くを最小化する治療用タンパク質の修飾方法を提供する。例えば、血中での半減期は、次のものを含むいくつかの理由で増加する:ポリマー残基は、プロテアーゼアタックおよび免疫系による薬物の認識を避けることがあり、また、複合体の天然タンパク質に対して有意に高い流体力学的容積は、腎臓によるろ過を有意に減少させる。多くの場合、タンパク質のインビトロでの生物学的活性は、PEG化によって影響を受けるが、血液寿命の大幅な増加は、その治療作用をより効果的にする(Harris J.M.およびChess R.B.(2003年)Effect of pegylation on pharmaceuticals(医薬品に対するPEG化の影響)Nat Rev Drug Discov 2:214−221)。
【0007】
疎水性相互作用によって誘導される分解経路を立体的にブロックし、タンパク質の熱的不安定に関与する分子間相互作用を減少させる非特異的な立体障害を発生させるので、PEG化の別の利益は、増加する物理的安定性によって与えられる。増加する物理的安定性は、より安定な製剤を可能にする(Harris J.M.およびChess R.B.(2003年)Effect of pegylation on pharmaceuticals(医薬品に対するPEG化の影響)Nat Rev Drug Discov 2:214−221)。
【0008】
活性化PEGの第二世代の出現により、より選択的なPEG化を可能にする基(例えば:タンパク質のN末端に優先的に結合するアルデヒド基)および分枝構造(Roberts M.J.,Bentley M.D.,Harris J.M.(2002年)Chemistry for peptide and protein PEGylation(ペプチドおよびタンパク質のPEG化のための化学)Adv Drug Deliv Reviews.54:459−476)が利用可能になる。開発される分枝PEGは、2つの分枝の単官能性(米国特許第5932462号)、4つの分枝の四官能性、および8つの分枝の八官能性を含む。治療用タンパク質の結合については、単官能性活性化PEGは、タンパク質とPEGポリマーの間の架橋を避けるので、それらはより有用である。分枝PEGはまた、タンパク質表面のより良好な保護を可能にする傘型効果(umbrella type effect)を有する。
【0009】
2つの分枝単官能性PEGは、天然タンパク質より良い臨床結果を示す共役アルファ−2a−インターフェロンを得ることを可能にした(Rajender Reddy K.,Modi M.W.,Pedder S.(2002年).Use of peginterferon alfa−2a(40KD)(Pegasys) for the treatment of hepatitis C.(C型肝炎治療のためのPEGインターフェロンアルファ−2a(40KD)(Pegasys)の使用)Adv Drug Deliv Reviews.54:571−586)。
【0010】
組換えヒトエリスロポエチン(EPO)(rhEPO)を含む、異なる修飾放出技術が適用されているタンパク質の多数の報告がある。EPOは、165個のアミノ酸を有する糖タンパク質である。ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(略して、SDS−PAGE)を用いて、その推定分子量は、グリコシル化のその程度に応じて、27と39kDaの間である(Mikaye,T.ら、(1977年).Purification of Human erythropoietin(ヒトエリスロポエチンの精製)J Biol Chem 252:5558−5564)。
【0011】
実験において、低酸素刺激を除去することによって;EPOのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)が血液中で急速に減少し、3時間で検出不能となり得ることが実証されているが、これはその半減期が短いことを示す(Lacombe,C.ら(1988年)Peritubular cells are the site of erythropoietin synthesis in the murine hypoxic kidney(管周辺細胞は、マウス低酸素腎臓におけるエリスロポエチン合成の部位である)J.Clin Invest 81:620−623;Koury,S.Tら(1989年)Quantitation of erythropoietin producing cells in kidneys of mice by in situ hybridation:Correlation with hematocrit, renal erythropoietin mRNA and serum erythropoietin concentration.(in situハイブリダイゼーションによるマウスの腎臓におけるエリスロポエチン生成細胞の定量:ヘマトクリット、腎エリスロポエチンのmRNAおよび血清エリスロポエチン濃度との相関)Blood 74:645−651)。血漿中のEPOの半減期は、4と13時間の間の範囲であることが推定された;治療上使用される他の分子と比較する場合、この時間は、非常に短い。これは、定期的にホルモンの使用を必要とする患者が、頻繁に、正常に近い赤血球レベルを維持するために注入されなければならない原因になる(Spivak,J.L.1992年 The mechanism of action of erythropoietin:Erythroid cell response.(エリスロポエチンの作用機序:赤血球細胞応答)J.W.Fisher(Ed.)におけるBiochemical Pharmacology of Blood and Blood−Forming Organs(血液の生化学的薬理学および血液形成器官)Springer−Verlag Berlin,Handbook of Experimental Pharmacology 101:49−114;Jelkmann,W.(1986年)Renal Erythropoietin:Properties and Production(腎エリスロポエチン:特性と生産)Rev Physiol Biochem Pharmacol 104:139−205)。
【0012】
rhEPOの半減期を増加させる目的で、変異が分子上で行われ、N−グリコシル化の部位を増加させ(Burke,Paul(2003年)Device for the sustained release of aggregation−stabilized,biologically active agent.(凝集安定化された生物学的活性化剤の持続放出のための装置)、米国特許出願第20030133979号)、それは、マイクロスフェア中でカプセル化され(Morlock Mら(1998年)Erythropoietin loaded microspheres prepared from biodegradable LPLG−PEO−LPLG triblock copolymers: protein stabilization and in−vitro release properties.(生物分解性LPLG−PEO−LPLGトリブロックコポリマーから調製されるエリスロポエチン充填ミクロスフェア:タンパク質の安定化およびインビトロ放出特性)J Control Release,56(1−3):105−115)また、リポソーム中でカプセル化されており(Moriya Hら(1997年)、Pharmacokinetic and pharmacological profiles of free and liposomal recombinant human erythropoietin after intravenous and subcutaneous administrations in rats.(ラットにおける静脈内および皮下投与後の遊離およびリポソーム組換えヒトエリスロポエチンの薬物動態学的および薬理学的プロファイル)Pharm Res 14(11):1621−1628)、得られるrhEPO二量体は、その生物学的活性を増大させることが報告されている(Bruno D.ら(2001年).Dimeric erythropoietin fusion protein with enhanced erythropoietic activity in vitro and in vivo.(インビトロおよびインビボでの増強される赤血球生成活性を有する二量体エリスロポエチン融合タンパク質)Blood,Vol.97,No.12,3776−3782)。
【0013】
診療所の中で最も多くの結果を有する修飾の1つは、ポリマーとのrhEPOの化学的結合である(Jolling K.ら(2005年)、Mixed−Effects Modelling of the Interspecies Pharmacokinetic Scaling of Pegylated Human Erythropoietin.(PEG化ヒトエリスロポエチンの種間の薬物動態学的スケーリングの混合効果モデリング)Eur J Pharm Sci;24:465−475)。このrhPEG化EPOの開発で見られる難しさは、モノPEG化および二PEG化種の形成による、結合プロセスの低収率であり、後者は、プロセスの汚染(コンタミネーション)物質を構成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の全てについて、未修飾分子を超える治療上の利点を提供する、EPOおよびポリマーの新たな複合体を得ることは依然として関心事である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の説明
本発明は、EPOと、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)の2つの分枝を含む非対称分枝ポリマー構造とを含む複合体であって、これらのmPEGの分枝の1つの分子量が10kDaと14kDaの間であり、mPEGの他の分枝の分子量が17kDaと23kDaの間である、上記複合体を提供することにより、上記の問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】PEG2,32KとEPOの結合反応の生成物についてのSDS−PAGEの二重染色(クマシーブリリアントブルーおよびヨウ素)の結果。サンプル1は、EPO陽性対照に相当し、サンプル2は、PEG2,32KとEPOの結合反応の生成物に相当する。
【0017】
図2】PEG2,40KとEPOの結合反応の生成物についてのSDS−PAGEの二重染色(クマシーブリリアントブルーおよびヨウ素)の結果。サンプル1は、EPO陽性対照に相当し、サンプル2は、PEG2,40KとEPOの結合反応の生成物に相当する。
【0018】
図3】異なるPEG−EPO複合体を評価するためのゲルろ過クロマトグラフィーにより得られたクロマトグラム。
【0019】
図4】正球性マウスの方法によって決定される天然型EPOおよびモノPEG化EPOのインビボでの生物学的活性。
【0020】
図5】PEG2,32K −EPO、PEG2,40K−EPOおよび未修飾EPOの複合体のトリプシン分解(degradatiioon)アッセイにより得られた結果。SDS−PAGEに従う分解速度が表される。
【0021】
図6】正球性マウスの方法によって決定される異なるPEG−EPO複合体および未修飾EPOの生物学的活性。
【発明を実施するための形態】
【0022】
このように、本発明は、Papadimitriou(米国特許第7202208号)により使用されるものと類似する分子サイズを有する単官能性分枝PEG構造を含む複合体を提供するが、それは、異なる分子量の2つのPEGストランド(らせん)の構造を採用する。この代替手段は、予期せず、薬物に新たな利点を与える。本発明の複合体において、2つの分枝PEGポリマー構造の総分子量は、27と37kDaの間である。本発明の1つの態様において、mPEG1の分子量は12kDaであり、mPEG2の分子量は20kDaである。
【0023】
直鎖のPEG鎖の替わりに、所定の分子量を有する非対称分枝PEG鎖を使用することにより、二PEG化された汚染物質の形成を低減することが可能になり、その分子の半減期およびその物理化学的安定性が予想外に有意に増加した。
【0024】
別の予想外の結果は、非対称分枝単官能性PEGを有するPEG化分子の生物学的活性が失われていないままであることである。PEG化により引き起こされる生体分子の生物学的活性の損失は、文献で広く報告されている(Harris JMおよびChess RB (2003年) Effect of pegylation on pharmaceuticals(医薬品に対するPEG化の影響)Nat Rev Drug Discov 2:214−221)。
【0025】
2つの非対称分枝を有する単官能性PEGは、異なる分子サイズを有する2つの直鎖状のPEG鎖をコアに結合させることによって得られる。同様のプロセスが、良好な結果を示す他の著者によって使用されてきた(米国特許第5932462号)。コアに2つの直鎖状のPEG鎖を結合するために、それらが活性基を有することが必要とされた。この基は、当該分野で公知の様々な基から選択されることができる。例えば、この活性基は、とりわけ、スクシンイミジルスクシナート、スクシンイミジルカルボナート、p−ニトロフェニルカルボナート、スクシンイミジルプロパノアート、スクシンイミジルブタノアートであることができる。本発明の好ましい直鎖状PEGは、スクシンイミジルカーボナートで活性化される。これは、次の2つの主な理由による:a)それとそのアミノ基の間の反応の良好な収率、およびb)この官能化PEGを得るためのプロセスの容易さ。この官能化PEGを得るためのプロセスは、この技術分野に携わる人々に知られている(Miron T,Wilchek M.(1993年).A Simplified Method for the Preparation of Succinimidyl Carbonate Polyethylene Glycol for Coupling to Proteins.(タンパク質に結合するためのスクシンイミジルカルボナートポリエチレングリコールの調製のための簡便法)Bioconjugate Chem.4:568−569)。直鎖状PEGが活性化されると、続いてそれは、選択されたコア分子と反応することができる。
【0026】
本発明の好ましい態様において、コアは、後に活性化されるように使用することができる2つの遊離アミノ基とカルボキシル基を有する生体適合性分子であるので、それは、L−リジンである。したがって、本発明の1つの態様において、EPOは、以下のように表される非対称分枝ポリマー構造に結合される:
【化1】
【0027】
特定の態様において、複合体の部分を形成する前記ポリマー構造において、mPEG1の分子量が12kDaであり、mPEG2の分子量が20kDaであり、またはmPEG1の分子量が20kDaであり、mPEG2の分子量が12kDaである。
【0028】
2つの非対称分枝の誘導体は、クロマトグラフィー法を用いて精製されてよく、続いて生体分子に結合するための異なる反応基を用いて活性化されてよい。他のPEG構造の活性化のために使用される官能基のいずれかは、本発明で記載される非対称分枝PEGのために使用されてよい。これらの官能基の例は、次の通りである:N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、スクシンイミジルカーボナート、様々なタイプのアルデヒド、とりわけマレイミド。タンパク質にこの構造を結合することを可能にする官能基の別のタイプは、ニトリロトリアセタートのようなキレート基であり、それは、遷移金属を用いて、ペプチド骨格中に存在するヒスチジンに結合されてよい。使用される反応基の選択は、PEGが結合されるタンパク質の残基に依存する。
【0029】
Huangによって出願された特許出願(EP1479711A1)の諸例において、PEG分枝構造は、分枝のそれぞれにおいて異なる分子量で示される;しかし、分枝の分子サイズは、本発明のそれよりも小さい。特許出願第EP1479711A1において、発明者らは、複合体の生物学的活性が、未修飾の薬剤の生物学的活性に関して減少することを示唆する。しかしながら、本発明において、予想外に、総分子量が27と37kDaの間の2つの非対称分枝を有するモノ官能性PEGに結合されるEPOの生物学的活性は、未修飾のEPOのそれと同様であった。一方、本発明において、より低い分子量を有する、2つの分枝を有するPEG構造の半減期は、Huangによって出願された特許出願に従えば、本発明の、それぞれ、12kDaと20kDaの2つの分枝のPEGを有するEPO複合体の半減期よりも短いことが示された。
【0030】
本発明で得られたこの結果は、予想外であった。非対称のポリマー構造を含む複合体(PEG2,32K)で、生物学的活性を制限せず、ポリPEG化生成物の形成を減少させる結合反応を改善し、薬物動態パラメータを有意に改善する分子の空間分布が達成される。これは、それを必要とする人々のための治療用量の低減を可能にする。
【0031】
本発明において、非対称の2つの分枝PEG構造を得るための基本的な原料は、12kDaのmPEG(12K PEG)と20kDaのmPEG(20K PEG)である。PEGは多分散ポリマーであるので、これらのmPEGの分子量は、製造業者によって確立される範囲を有する。例えば、製造業者の1つによって特定されているように、多分散性は、1.1%より低いはずである。その場合、12K PEGについて製造業者により報告される分子量の範囲は、12.0±1.2kDaであろう;PEG 20Kは、20.0±2.0kDaであろう。
【0032】
PEGの初期材料の各バッチ間の分子量のこの違いが薬物動態の結果に影響を与えるかどうかを決定するために、仕様の極端な値に相当する分子量を有するPEGのバッチを用いる実験(例11)が実施された。11kDaの分子量を有する12K PEGと18kDaの分子量を有する20K PEGは、29kDaの総分子量の2つの分枝PEG構造を有するEPO複合体(PEG2,29K−EPO)を形成するために使用された。13kDaの分子量を有する12K PEGおよび22kDaの分子量を有する20K PEGはまた、35kDaの総分子量の2つの分枝PEG構造を有するEPO複合体(PEG2,35K−EPO)を形成するために使用された。結果は、12K PEGと20K PEGの異なる最初のバッチが使用される場合、薬物動態パラメータは類似することを示した。したがって、PEG2,29K−EPOおよびPEG2,35K−EPO構造によって形成される複合体は、製造業者によって示される理論重量を有する構造によって形成されるものと本質的に同じと考えられ、これは、EPOおよび2つの分枝PEG、1つは12kDa、もう1つは20kDaの複合体(PEG2,32K−EPO)である。
【0033】
活性化PEGを有するタンパク質の結合(conjugation)は、適切な緩衝液内で行われる。緩衝液の特性は、他の要因群の中で、ポリマーの官能基および結合の対象に依存する。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルのような官能化PEGとの遊離アミノ基による結合が望まれる場合、結合部位は、結合反応のpHに依存して、ある程度まで予測することができる。8.0と9.0の間のpHは、リジンのε−アミノ基による結合を促進する。
【0034】
複合体を得た後、それは様々な技術を使用して特徴付けられる。複合体の化学的、物理的および生物学的特性は、精製される複合体の可能な限りの特徴付けを達成するために分析される。例えば、PEG残基は、実際にタンパク質のモル吸光係数に影響を与えないので、複合体の濃度は、通常、紫外線分光法(280nmの吸光度)により決定され得る。ゲルろ過クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィー法によっては、対象の複合体および汚染物質に相当する信号を識別することが難しいので、精製される生成物の純度は、好ましくは、SDS−PAGEによって決定される。他の物理化学的特性は、当業者に公知の通常の方法により調査することができる。
【0035】
本発明に関して、用語エリスロポエチン(EPO)は、その生物学的活性を維持するEPO分子の任意の変異体、例えば、切断された分子を意味する。EPOは、この技術分野の当業者によって公知の発現および精製系を使用して、組換えデオキシリボ核酸(DNA)技術によって得ることができる。したがって、本発明の態様において、複合体は、rhEPOを含む。本発明の複合体はまた、アミノ酸置換のような先行技術の任意の方法によって修飾された後、上記の方法により得られるEPOの任意の変異体を含む。
【0036】
本明細書中に開示されるPEG−EPO複合体のいずれかを含む医薬組成物および薬学的に許容可能な賦形剤はまた、本発明の対象である。
【0037】
本発明の別の側面は、PEG化EPOを得る方法であり、この方法で、前記タンパク質は、2つのmPEG分枝を含む非対称分枝ポリマー構造に結合され、mPEG分枝の1つの分子量は、10kDaと14kDaの間であり、mPEGの他方の分枝の分子量は、17kDaと23kDaの間である。本発明の方法により、タンパク質が投与される哺乳動物の血液中のEPOの半減期が、未結合EPOの半減期と比較して増加する。したがって、本発明は、それを必要とする対象に投与される用量を減らす目的で、タンパク質の薬物動態を改善する方法を提供する。本発明に関して、EPOの薬物動態パラメータの改善は、前記タンパク質の半減期および/または平均滞留時間の上昇として理解されるべきである。したがって、本発明は、EPO分子の半減期の上昇のために、該EPO分子の化学修飾の方法を開示し、前記タンパク質が、2つのmPEG分枝を含む非対称分枝ポリマー構造に結合され、これらのmPEG分枝の1つの分子量は、10kDaと14kDaの間であり、他方のmPEG分枝の分子量は、17kDaと23kDaの間である。
【0038】
本発明の1つの態様において、非対称分枝ポリマー構造のmPEG分枝の1つの分子量は、12kDaであり、他のmPEG分枝の分子量は、20kDaである。本発明の1つの態様において、EPOと結合される非対称分枝ポリマー構造は、本発明の方法において、以下のように表される。
【化2】
【0039】
本発明の方法の好ましい態様において、EPOに結合される非対称分枝ポリマー構造において、mPEG1の分子量は、12kDaであり、mPEG2の分子量は、20kDaであり、またはmPEG1の分子量は、20kDaであり、mPEG2の分子量は、12kDaである。より好ましい態様において、本発明の方法において、EPOは、rhEPOである。
【実施例】
【0040】
例1 N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとしての活性化PEGの調製
mPEG20K−OHの活性化反応
活性化なしの20kDaの分子量の50gのmPEG(mPEG20K−OH)を3時間、450mLのトルエン中で、共沸乾燥した。この時間の後、200mLの溶媒を除去し、溶液を室温に冷却した。続いて、60mLの乾燥ジクロロメタン(DCM)を共溶媒として添加した。ジスクシンイミジルカーボナート(4.9g)を秤量し、40mLのジメチルホルムアミドに溶解した。上記溶液をmPEF20K−OHを含むフラスコに加えた。ジメチルアミノピリジン(2.5g)を秤量し、20mLのDCMに溶解した。上記溶液をmPEF20K−OHを含むフラスコに加え、撹拌を開始した。それを一晩、室温で反応させた。
【0041】
反応混合物をガラス繊維膜を使用して、ろ過して固体生成物を除去した。ろ液を1.5Lの乾燥ジエチルエーテルで沈殿させ、真空下でろ過した。沈殿物を真空により回収し、4時間、高真空下で乾燥させ、−20℃で保存した。mPEG20K−OHの初期質量の96%を96.0±0.8%の活性化の程度を有するPEGスクシンイミジルカーボナート(mPEG20K−SC)として回収した。
【0042】
mPEG12K−OHの活性化反応
mPEG20K−OHの活性化反応のために使用されたのと同じ手順に従ったが、この場合には、分子量12kDaの非活性化mPEG(mPEG12K−OH)が出発原料として使用された。
【0043】
PEG20K−SCおよびPEG12K−SCとL−リジンの反応
L−リジン(9.1g)を秤量し、30mLの0.1Mホウ酸;pH8.0に溶解させた。20gのPEG20K−SCをホウ酸中の15mLのL−リジン溶液に添加した。その溶液を12時間、撹拌し続けた。
【0044】
続いて、反応混合物を300mLの蒸留水で希釈し、塩酸溶液の混合物でpH3.5に調整した。その混合物を分液漏斗に移し、100mLのDCMを加えた。それを手動で撹拌し、下相(有機相)を除去した。合計5回の抽出を実施した。20gの硫酸ナトリウムを有機相を含む瓶に添加し、相が完全に透明になるまで、手動で撹拌した。それをガラス繊維膜を使用して、真空ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーター上で最大限まで濃縮した。次いで、500mLのジエチルエーテルを加え、手動で撹拌し、生成物を沈殿させた。それを真空ろ過し、生成物(20KのモノPEG化L−リジン)をロータリーエバポレーター中で真空下で1時間乾燥した。
【0045】
第2の反応ステップにおいて、9gのPEG12K−SCを15gの20KのモノPEG化L−リジンに加えた。反応物を215mLのDCMに溶解し、0.14mLのトリエチルアミンを添加した。反応混合物をガラス繊維膜を使用して真空ろ過した。ろ液をロータリーエバポオレーター上で最大に濃縮した。次に300mLのジエチルエーテルを加え、2分間手動で撹拌して生成物を沈殿させた。それを真空下でろ過し、得られた生成物(2つの非対称分枝を有するPEG、1つは12kDaおよびもう1つは20kDa(PEG2,32K−COOH))をロータリーエバポレーター中で、真空下で1時間、乾燥した。プロセスの全収率は、70%より高かった。
【0046】
PEG2,32K−COOHの精製
PEG2,32K−COOHの精製を40mL/分の体積流量を使用して、80cmの高さのDEAE−セファロース(DEAE−Sepharose)カラムで実施した。ゲルを0.2M水酸化ナトリウムの4.5Lの溶液で予め消毒した。カラムを50mMホウ酸の溶液、pH9.0で平衡化した。続いて、カラムを5Lの蒸留水で洗浄した。水に溶解したPEG2,32K−COOHサンプルは、水の伝導率よりも40mS/cm大きい伝導率に適用(apply)された。サンプルを適用した後、カラムを3Lの精製水で洗浄した。サンプルの溶出を10mM塩化ナトリウムの5Lの溶液を用いて実施した。500mLの画分を収集した。続いて、カラムを1M塩化ナトリウムの3Lの溶液を用いて再生した。プロセスから回収された全収率は、90%より高く、95%より高い純度であった。
【0047】
N−ヒドロキシスクシンインミドのエステルとしての分枝活性化PEG(PEG2,32K−NHS)の調製
1gのPEG2,32K−COOHをDCMに溶解した;0.01gのN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)と0.02gのジシクロヘキシルカルボジイミドを添加した。その反応混合物を12時間、撹拌した。続いて、それを5mLのDCMで希釈し、ガラス繊維膜を通してろ過した。ろ液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、400mLのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。その混合物を真空ろ過し、固形生成物(PEG2,32K−NHS)を収集し、ロータリーエバポレーター中で真空下、1時間乾燥した。95%より高い活性化度および90%を超える最初のポリマー塊の回収が達成された。
【0048】
例2 PEG2,32K−NHSと結合されるEPOの調製
結合反応(Conjugation reaction)
6gのPEG2,32K−NHSを50mMホウ酸溶液、pH8.0において、5mg/mLの初期濃度で、1gのrhEPOを含む溶液に添加した。反応をゆっくり撹拌しながら4℃で2時間保持した。反応を50mMホウ酸、pH8.0を用いて0.9mg/mLの最終タンパク質濃度に希釈することによって停止させた。図1に示すように、反応収率をSDS―PAGEゲルの濃度測定によって決定した。総回収率は、40%より大きく、ポリPEG化生成物は3%未満であった。
【0049】
モノPEG化EPOの精製
PEGとrhEPOの結合反応の生成物、すなわち、遊離EPOおよび二PEG化EPOからのモノPEG化EPOを分離するために、陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製プランがデザインされた。分離プロセスを12cmの高さのQ−セファロースを用いて充填されたカラムを使用して実施した。ゲルを0.2M水酸化ナトリウムの22mLであらかじめ消毒した。次に、33mLの精製水を通し、その後、33mLの50mMホウ酸、pH8.0の平衡溶液を通した。0.9mg/mLの濃度にまで平衡溶液で希釈された結合反応液からのサンプルを適用した。PEG2,32K−NHSとのEPO複合体(PEG2,32K−EPO)を含むサンプルの溶出を、0.175M〜0.5Mの塩化ナトリウムの濃度を増加させながら同じ平衡緩衝液を使用して、順次実施する。体積流量は1.2mL/分であり、装入量は0.58mgタンパク質/1mLゲルであった。プロセスの回収率は40%であり、純度は97%であった。
【0050】
例3 N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとしての分枝活性化PEG(PEG2,40K−NHS)の調製
PEG2,40K−NHSを得るために、例1で記載される手順に従ったが、リジンとの反応の第二ステップにおいて、PEG20K−SCを使用した。90%より高い活性を伴って50%より大きい全収率が達成された。
【0051】
例4 PEG2,40K−NHSと結合されるEPOの調製
結合反応
6gのPEG2,40K−NHSを50mMホウ酸緩衝液、pH8.0中で5mg/mLの初期濃度で、1gのrhEPOを含む溶液に添加した。反応をゆっくり撹拌しながら4℃で2時間、保持した。反応を50mMホウ酸、pH8.0を用いて、0.9mg/mLの最終タンパク質濃度に希釈することによって停止させた。図2に示すように、反応収率をSDS−PAGEゲルの濃度測定によって決定した。総回収率は40%より高く、PEG化生成物は1%未満であった。
【0052】
モノPEG化EPOの精製
PEGとEPOの結合反応の生成物、すなわち、遊離EPOおよび二PEG化EPOからのモノPEG化EPOを分離するために、陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製プランがデザインされた。分離プロセスを12cmの高さのQ−セファロースを用いて充填されたカラムを使用して実施した。ゲルを22mLの0.2M水酸化ナトリウムであらかじめ消毒した;次に、33mLの蒸留水を通し、その後、33mLの50mMホウ酸、pH8.0の平衡溶液を通した。0.9mg/mLの濃度に平衡溶液で希釈された結合反応からのサンプルを適用した。PEG2,40K−NHSと結合されるEPO(PEG2,40K−EPO)を含むサンプルの溶出を、0.175M〜0.5Mの塩化ナトリウムの濃度を増加させながら同じ平衡緩衝液を使用して、順次実施した。体積流量は1.2mL/分であり、装入量は0.58mgタンパク質/1mLゲルであった。プロセスの回収率は40%であり、純度は97%であった。
【0053】
例5 PEG化EPOの物理化学的特性評価
複合体濃度の決定
複合体濃度を、分光光度計で280nmでの吸光度を測定することによって決定した。タンパク質濃度の計算を、EPOについて0.743のモル吸光係数を用いて実施した。
【0054】
ゲルろ過クロマトグラフィーによる特性評価
クロマトグラフィー分離を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプおよび226nmのフィルターを有するUV検出器を用いて実施した。適用質量は、100μgのタンパク質であった。クロマトグラフィーをスーパーデックス−200(Superdex−200)マトリックスを用いて実施した。PEG化EPO(PEG2,32K-EPOおよびPEG2,40K−EPO)の2つの変異体および未修飾EPOを分析した。
【0055】
図3は、各変異体に対する推定分子量と得られる保持時間の対応関係を示す。それはより大きな分子サイズを有しているので、より短い保持時間で、PEG2,40K−EPO複合体を溶出し、次にPEG2,32K−EPO複合体を溶出し、最終的に未修飾EPOを溶出した。
【0056】
例6 PEG2,32K−EPO複合体の生物学的特性評価
PEG化EPOの効力(potency)の決定が正球性マウスの方法によってされた。B6D2F1系(16〜18g)、メス、処女のマウスが、グループごとに3匹の動物の割合で、PEG2,40K−EPO、PEG2,32K−EPO、基準物質(陽性対照として)および陰性対照(希釈剤のみ)のサンプルの0.2mLの異なる希釈(300、450および600IU/mL、3、4.5および6μg/マウスに相当)を皮下接種された。2匹の動物をさらに使用し、50mMホウ酸緩衝液、pH8.0の溶液を接種し、その毒性を評価した。接種の72時間後、血液サンプルを各動物から眼窩穿刺により採取し、4μLのヘパリンナトリウム(5000IU)を含むバイアルに堆積させた。末梢血から、40μLを回収し、0.3mMメチレンブルー溶液、1.29mMクエン酸ナトリウム、5mLの生理食塩水、および10mLの蒸留水によって形成される120μLの溶液で混合した。それらを、37℃の水浴中で1時間、インキュベートした。その後、選択的溶血を0.08mMのEDTAテトラナトリウム;0.15mM塩化アンモニウム;および9.98mMの重炭酸ナトリウムからなる溶解液を用いて処理することによって、6分間実施した。赤血球溶解は、生理食塩水で過剰希釈することにより停止され、網状赤血球は、ノイバウアーチャンバー(Neubauer chamber)の中で視覚的にカウントされた。データ処理および効力の計算は、α=0.05の有意なレベルで直線性および平行性の有効性を検出するために、平行線および未知のパターンのランダムなデザインを使用して行った。得られた値は、欧州薬局方の規定に適合している必要があり、それには、パーセンテージで表して、仮定に基づいて計算された効力(potency)の比の値が80%以上125%以下であるべきであり、計算された効力の信頼限界は、64%と156%の間の範囲にあるものとすると記述されている。
【0057】
図4において、グラフは、EPOの量の増加が適用され、効力のIUで測定される網状赤血球カウント実験から直接得られたデータを観察することができる。手段の比較のための統計的チューキー・クレーマー検定が、インビボでの活性値を分析する目的で、適用された。データの統計分析は、P<0.05についての諸値の間に有意差を示さなかった。PEG化EPOと陽性対照として使用される未修飾EPOとの間の生物学的活性の差異は、アッセイ(±50%)の変動範囲内であった。
【0058】
重要であることには、アッセイを行うために使用される用量は、効力の300、450および600IUを有していたことが強調される。これらは、天然型EPOの生物学的活性を検出するために設定された用量である一方で、分子量30kDaの直線ポリマー構造と結合するEPO(PEG1,30K-EPO)であるAmgen CompanyのMircera(登録商標)の製品を使用して実施されるアッセイは、効力の6000IUの最小用量を必要とする。しかしながら、本発明に従って実施された試験において、20倍低い用量で、PEG化EPOのインビボ生物学的活性が検出された。
【0059】
例7 プロテアーゼ分解に対する抵抗性
異なるPEG−EPO分子のプロテアーゼによる分解に対する抵抗性を証明するために、インビボの実験が実施され、PEG化EPOと天然タンパク質(対照として)がトリプシンで消化された。両方のPEG化EPO変異体は、天然EPOよりもプロテアーゼ分解に対してより高い抵抗性を示した。図5において、対照として使用されるEPOの分解速度の結果が示され、また、2つのPEG化変異体PEG2,32K−EPOおよびPEG2,40K−EPOについても示されている。2つのPEG化EPO変異体は、天然EPOよりもプロテアーゼによる分解に対してより高い耐性を示すことがわかる。
【0060】
例8 PEG2,32K−EPO複合体の薬物動態
薬物動態の研究を未修飾EPO、PEG2,32K−EPO複合体、PEG2,40K−EPO複合体およびPEG1,30K−EPO複合体を比較することによって行った。2kgの質量を有するニュージーランド種のウサギを使用した。半減期(t1/2)、曲線下面積(略してAUC)および平均保持時間(略してMRT)の結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
全てのPEG化EPOは、未修飾EPOよりも長い半減期を有することが観察できる。PEG2,32K−EPO複合体の半減期は、PEG1,30K−EPOについて得られたそれよりも非常に長かった(2.4倍)。この結果は、両方の複合体が非常に類似する分子サイズを示すことを考慮すると、予想外である。更に、この非対称分枝分子は、より高い分子量を有する分枝されたPEG2,40K−EPO複合体よりも長い半減期を示すが、このこともまた予測されなかった。
【0063】
例9 異なるEPO複合体の薬物動態結果の比較
この薬物動態学的研究は、分子量12kDaの分枝と20kDaの別の分枝を有するPEG2,32K−EPO複合体;分子量5kDaの分枝と7kDaの別の分枝を有する非対称PEG構造に結合されるEPO(PEG2,12K−EPO);それぞれ7kDaの2つの分枝の対称構造を有するEPO複合体;および12kDaの分子量の直鎖状PEGに結合するEPO(PEG1,12K−EPO)を比較して行った。この研究のために、PEG2,12K−EPO複合体をPEG2.32K−EPO複合体と同様の方法で得たが、低分子量のmPEGを使用した。PEG2,14K−EPO複合体をPEG2,40K−EPO複合体と同様に得たが、低分子量のmPEGを使用した。PEG1,12K−EPO複合体は、例1の開始時に記載されるような12kDaの分子量のmPEGを活性化することによって得られ、rhEPOとの結合は、例2で記載されるように、後で行われた。2kgの質量を有するニュージーランド種のウサギが比較のために使用された。その結果を表2に示す。本発明の複合体(PEG2,32K−EPO)は、分析された複合体の他のものよりも長い半減期を示した。
【0064】
【表2】
【0065】
例10 種々のEPO複合体群の生物学的活性の比較
複合体群の生物学的活性が、例6に記載のそれと同様の方法で測定された。複合体:(1)PEG2,32K−EPO;(2)PEG2,12K−EPO;(3)PEG2,14K−EPO;および(4)PEG1,12K−EPOについて得られた結果が比較された。未修飾rhEPOは、対照として使用された。図6において、本発明の複合体(PEG2,32K−EPO)は、未修飾タンパク質の生物学的活性を維持したが、それと異なり、分析された複合体群の残りのものについての生物学的活性は、PEG化の際に減少することがわかる。
【0066】
例11 PEG2,32K−EPO複合体の2つの非対称分枝を形成するmPEGの分子量の極限限界を使用する薬物動態試験
PEGは多分散であり、非対称PEGの構造を形成するために使用される出発原料であるPEG2,32Kは、分子量の12kDaおよび20kDaの理論値からの変動を有し得るため、29kDaの分子量を有するPEG非対称構造を有するEPO複合体(PEG2,29K−EPO)と35kDaの分子量を有するPEG非対称構造を有するEPO複合体(PEG2,35K−EPO)の薬物動態研究が実施された。これらは、本発明のEPO複合体のPEG形成部分の総分子量の限界である。PEG2,29K−EPOおよびPEG2,35K−EPO複合体が、PEG2,32K−EPO複合体と同様の方法で得られた。2kgの質量を有するニュージーランド株のウサギが使用された。その結果を表3に示す。観察されるとおり、研究された複合変異体の薬物動態パラメータに差異はない。
【0067】
【表3】

図1
図2
図3
図4
図5
図6