【実施例】
【0040】
例1 N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとしての活性化PEGの調製
mPEG
20K−OHの活性化反応
活性化なしの20kDaの分子量の50gのmPEG(mPEG
20K−OH)を3時間、450mLのトルエン中で、共沸乾燥した。この時間の後、200mLの溶媒を除去し、溶液を室温に冷却した。続いて、60mLの乾燥ジクロロメタン(DCM)を共溶媒として添加した。ジスクシンイミジルカーボナート(4.9g)を秤量し、40mLのジメチルホルムアミドに溶解した。上記溶液をmPEF
20K−OHを含むフラスコに加えた。ジメチルアミノピリジン(2.5g)を秤量し、20mLのDCMに溶解した。上記溶液をmPEF
20K−OHを含むフラスコに加え、撹拌を開始した。それを一晩、室温で反応させた。
【0041】
反応混合物をガラス繊維膜を使用して、ろ過して固体生成物を除去した。ろ液を1.5Lの乾燥ジエチルエーテルで沈殿させ、真空下でろ過した。沈殿物を真空により回収し、4時間、高真空下で乾燥させ、−20℃で保存した。mPEG
20K−OHの初期質量の96%を96.0±0.8%の活性化の程度を有するPEGスクシンイミジルカーボナート(mPEG
20K−SC)として回収した。
【0042】
mPEG
12K−OHの活性化反応
mPEG
20K−OHの活性化反応のために使用されたのと同じ手順に従ったが、この場合には、分子量12kDaの非活性化mPEG(mPEG
12K−OH)が出発原料として使用された。
【0043】
PEG
20K−SCおよびPEG
12K−SCとL−リジンの反応
L−リジン(9.1g)を秤量し、30mLの0.1Mホウ酸;pH8.0に溶解させた。20gのPEG
20K−SCをホウ酸中の15mLのL−リジン溶液に添加した。その溶液を12時間、撹拌し続けた。
【0044】
続いて、反応混合物を300mLの蒸留水で希釈し、塩酸溶液の混合物でpH3.5に調整した。その混合物を分液漏斗に移し、100mLのDCMを加えた。それを手動で撹拌し、下相(有機相)を除去した。合計5回の抽出を実施した。20gの硫酸ナトリウムを有機相を含む瓶に添加し、相が完全に透明になるまで、手動で撹拌した。それをガラス繊維膜を使用して、真空ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーター上で最大限まで濃縮した。次いで、500mLのジエチルエーテルを加え、手動で撹拌し、生成物を沈殿させた。それを真空ろ過し、生成物(20KのモノPEG化L−リジン)をロータリーエバポレーター中で真空下で1時間乾燥した。
【0045】
第2の反応ステップにおいて、9gのPEG
12K−SCを15gの20KのモノPEG化L−リジンに加えた。反応物を215mLのDCMに溶解し、0.14mLのトリエチルアミンを添加した。反応混合物をガラス繊維膜を使用して真空ろ過した。ろ液をロータリーエバポオレーター上で最大に濃縮した。次に300mLのジエチルエーテルを加え、2分間手動で撹拌して生成物を沈殿させた。それを真空下でろ過し、得られた生成物(2つの非対称分枝を有するPEG、1つは12kDaおよびもう1つは20kDa(PEG
2,32K−COOH))をロータリーエバポレーター中で、真空下で1時間、乾燥した。プロセスの全収率は、70%より高かった。
【0046】
PEG
2,32K−COOHの精製
PEG
2,32K−COOHの精製を40mL/分の体積流量を使用して、80cmの高さのDEAE−セファロース(DEAE−Sepharose)カラムで実施した。ゲルを0.2M水酸化ナトリウムの4.5Lの溶液で予め消毒した。カラムを50mMホウ酸の溶液、pH9.0で平衡化した。続いて、カラムを5Lの蒸留水で洗浄した。水に溶解したPEG
2,32K−COOHサンプルは、水の伝導率よりも40mS/cm大きい伝導率に適用(apply)された。サンプルを適用した後、カラムを3Lの精製水で洗浄した。サンプルの溶出を10mM塩化ナトリウムの5Lの溶液を用いて実施した。500mLの画分を収集した。続いて、カラムを1M塩化ナトリウムの3Lの溶液を用いて再生した。プロセスから回収された全収率は、90%より高く、95%より高い純度であった。
【0047】
N−ヒドロキシスクシンインミドのエステルとしての分枝活性化PEG(PEG
2,32K−NHS)の調製
1gのPEG
2,32K−COOHをDCMに溶解した;0.01gのN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)と0.02gのジシクロヘキシルカルボジイミドを添加した。その反応混合物を12時間、撹拌した。続いて、それを5mLのDCMで希釈し、ガラス繊維膜を通してろ過した。ろ液をロータリーエバポレーター上で濃縮し、400mLのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。その混合物を真空ろ過し、固形生成物(PEG
2,32K−NHS)を収集し、ロータリーエバポレーター中で真空下、1時間乾燥した。95%より高い活性化度および90%を超える最初のポリマー塊の回収が達成された。
【0048】
例2 PEG
2,32K−NHSと結合されるEPOの調製
結合反応(Conjugation reaction)
6gのPEG
2,32K−NHSを50mMホウ酸溶液、pH8.0において、5mg/mLの初期濃度で、1gのrhEPOを含む溶液に添加した。反応をゆっくり撹拌しながら4℃で2時間保持した。反応を50mMホウ酸、pH8.0を用いて0.9mg/mLの最終タンパク質濃度に希釈することによって停止させた。
図1に示すように、反応収率をSDS―PAGEゲルの濃度測定によって決定した。総回収率は、40%より大きく、ポリPEG化生成物は3%未満であった。
【0049】
モノPEG化EPOの精製
PEGとrhEPOの結合反応の生成物、すなわち、遊離EPOおよび二PEG化EPOからのモノPEG化EPOを分離するために、陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製プランがデザインされた。分離プロセスを12cmの高さのQ−セファロースを用いて充填されたカラムを使用して実施した。ゲルを0.2M水酸化ナトリウムの22mLであらかじめ消毒した。次に、33mLの精製水を通し、その後、33mLの50mMホウ酸、pH8.0の平衡溶液を通した。0.9mg/mLの濃度にまで平衡溶液で希釈された結合反応液からのサンプルを適用した。PEG
2,32K−NHSとのEPO複合体(PEG
2,32K−EPO)を含むサンプルの溶出を、0.175M〜0.5Mの塩化ナトリウムの濃度を増加させながら同じ平衡緩衝液を使用して、順次実施する。体積流量は1.2mL/分であり、装入量は0.58mgタンパク質/1mLゲルであった。プロセスの回収率は40%であり、純度は97%であった。
【0050】
例3 N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとしての分枝活性化PEG(PEG
2,40K−NHS)の調製
PEG
2,40K−NHSを得るために、例1で記載される手順に従ったが、リジンとの反応の第二ステップにおいて、PEG
20K−SCを使用した。90%より高い活性を伴って50%より大きい全収率が達成された。
【0051】
例4 PEG
2,40K−NHSと結合されるEPOの調製
結合反応
6gのPEG
2,40K−NHSを50mMホウ酸緩衝液、pH8.0中で5mg/mLの初期濃度で、1gのrhEPOを含む溶液に添加した。反応をゆっくり撹拌しながら4℃で2時間、保持した。反応を50mMホウ酸、pH8.0を用いて、0.9mg/mLの最終タンパク質濃度に希釈することによって停止させた。
図2に示すように、反応収率をSDS−PAGEゲルの濃度測定によって決定した。総回収率は40%より高く、PEG化生成物は1%未満であった。
【0052】
モノPEG化EPOの精製
PEGとEPOの結合反応の生成物、すなわち、遊離EPOおよび二PEG化EPOからのモノPEG化EPOを分離するために、陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製プランがデザインされた。分離プロセスを12cmの高さのQ−セファロースを用いて充填されたカラムを使用して実施した。ゲルを22mLの0.2M水酸化ナトリウムであらかじめ消毒した;次に、33mLの蒸留水を通し、その後、33mLの50mMホウ酸、pH8.0の平衡溶液を通した。0.9mg/mLの濃度に平衡溶液で希釈された結合反応からのサンプルを適用した。PEG
2,40K−NHSと結合されるEPO(PEG
2,40K−EPO)を含むサンプルの溶出を、0.175M〜0.5Mの塩化ナトリウムの濃度を増加させながら同じ平衡緩衝液を使用して、順次実施した。体積流量は1.2mL/分であり、装入量は0.58mgタンパク質/1mLゲルであった。プロセスの回収率は40%であり、純度は97%であった。
【0053】
例5 PEG化EPOの物理化学的特性評価
複合体濃度の決定
複合体濃度を、分光光度計で280nmでの吸光度を測定することによって決定した。タンパク質濃度の計算を、EPOについて0.743のモル吸光係数を用いて実施した。
【0054】
ゲルろ過クロマトグラフィーによる特性評価
クロマトグラフィー分離を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプおよび226nmのフィルターを有するUV検出器を用いて実施した。適用質量は、100μgのタンパク質であった。クロマトグラフィーをスーパーデックス−200(Superdex−200)マトリックスを用いて実施した。PEG化EPO(PEG
2,32K-EPOおよびPEG
2,40K−EPO)の2つの変異体および未修飾EPOを分析した。
【0055】
図3は、各変異体に対する推定分子量と得られる保持時間の対応関係を示す。それはより大きな分子サイズを有しているので、より短い保持時間で、PEG
2,40K−EPO複合体を溶出し、次にPEG
2,32K−EPO複合体を溶出し、最終的に未修飾EPOを溶出した。
【0056】
例6 PEG
2,32K−EPO複合体の生物学的特性評価
PEG化EPOの効力(potency)の決定が正球性マウスの方法によってされた。B6D2F1系(16〜18g)、メス、処女のマウスが、グループごとに3匹の動物の割合で、PEG
2,40K−EPO、PEG
2,32K−EPO、基準物質(陽性対照として)および陰性対照(希釈剤のみ)のサンプルの0.2mLの異なる希釈(300、450および600IU/mL、3、4.5および6μg/マウスに相当)を皮下接種された。2匹の動物をさらに使用し、50mMホウ酸緩衝液、pH8.0の溶液を接種し、その毒性を評価した。接種の72時間後、血液サンプルを各動物から眼窩穿刺により採取し、4μLのヘパリンナトリウム(5000IU)を含むバイアルに堆積させた。末梢血から、40μLを回収し、0.3mMメチレンブルー溶液、1.29mMクエン酸ナトリウム、5mLの生理食塩水、および10mLの蒸留水によって形成される120μLの溶液で混合した。それらを、37℃の水浴中で1時間、インキュベートした。その後、選択的溶血を0.08mMのEDTAテトラナトリウム;0.15mM塩化アンモニウム;および9.98mMの重炭酸ナトリウムからなる溶解液を用いて処理することによって、6分間実施した。赤血球溶解は、生理食塩水で過剰希釈することにより停止され、網状赤血球は、ノイバウアーチャンバー(Neubauer chamber)の中で視覚的にカウントされた。データ処理および効力の計算は、α=0.05の有意なレベルで直線性および平行性の有効性を検出するために、平行線および未知のパターンのランダムなデザインを使用して行った。得られた値は、欧州薬局方の規定に適合している必要があり、それには、パーセンテージで表して、仮定に基づいて計算された効力(potency)の比の値が80%以上125%以下であるべきであり、計算された効力の信頼限界は、64%と156%の間の範囲にあるものとすると記述されている。
【0057】
図4において、グラフは、EPOの量の増加が適用され、効力のIUで測定される網状赤血球カウント実験から直接得られたデータを観察することができる。手段の比較のための統計的チューキー・クレーマー検定が、インビボでの活性値を分析する目的で、適用された。データの統計分析は、P<0.05についての諸値の間に有意差を示さなかった。PEG化EPOと陽性対照として使用される未修飾EPOとの間の生物学的活性の差異は、アッセイ(±50%)の変動範囲内であった。
【0058】
重要であることには、アッセイを行うために使用される用量は、効力の300、450および600IUを有していたことが強調される。これらは、天然型EPOの生物学的活性を検出するために設定された用量である一方で、分子量30kDaの直線ポリマー構造と結合するEPO(PEG
1,30K-EPO)であるAmgen CompanyのMircera(登録商標)の製品を使用して実施されるアッセイは、効力の6000IUの最小用量を必要とする。しかしながら、本発明に従って実施された試験において、20倍低い用量で、PEG化EPOのインビボ生物学的活性が検出された。
【0059】
例7 プロテアーゼ分解に対する抵抗性
異なるPEG−EPO分子のプロテアーゼによる分解に対する抵抗性を証明するために、インビボの実験が実施され、PEG化EPOと天然タンパク質(対照として)がトリプシンで消化された。両方のPEG化EPO変異体は、天然EPOよりもプロテアーゼ分解に対してより高い抵抗性を示した。
図5において、対照として使用されるEPOの分解速度の結果が示され、また、2つのPEG化変異体PEG
2,32K−EPOおよびPEG
2,40K−EPOについても示されている。2つのPEG化EPO変異体は、天然EPOよりもプロテアーゼによる分解に対してより高い耐性を示すことがわかる。
【0060】
例8 PEG
2,32K−EPO複合体の薬物動態
薬物動態の研究を未修飾EPO、PEG
2,32K−EPO複合体、PEG
2,40K−EPO複合体およびPEG
1,30K−EPO複合体を比較することによって行った。2kgの質量を有するニュージーランド種のウサギを使用した。半減期(t
1/2)、曲線下面積(略してAUC)および平均保持時間(略してMRT)の結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
全てのPEG化EPOは、未修飾EPOよりも長い半減期を有することが観察できる。PEG
2,32K−EPO複合体の半減期は、PEG
1,30K−EPOについて得られたそれよりも非常に長かった(2.4倍)。この結果は、両方の複合体が非常に類似する分子サイズを示すことを考慮すると、予想外である。更に、この非対称分枝分子は、より高い分子量を有する分枝されたPEG
2,40K−EPO複合体よりも長い半減期を示すが、このこともまた予測されなかった。
【0063】
例9 異なるEPO複合体の薬物動態結果の比較
この薬物動態学的研究は、分子量12kDaの分枝と20kDaの別の分枝を有するPEG
2,32K−EPO複合体;分子量5kDaの分枝と7kDaの別の分枝を有する非対称PEG構造に結合されるEPO(PEG
2,12K−EPO);それぞれ7kDaの2つの分枝の対称構造を有するEPO複合体;および12kDaの分子量の直鎖状PEGに結合するEPO(PEG
1,12K−EPO)を比較して行った。この研究のために、PEG
2,12K−EPO複合体をPEG
2.32K−EPO複合体と同様の方法で得たが、低分子量のmPEGを使用した。PEG
2,14K−EPO複合体をPEG
2,40K−EPO複合体と同様に得たが、低分子量のmPEGを使用した。PEG
1,12K−EPO複合体は、例1の開始時に記載されるような12kDaの分子量のmPEGを活性化することによって得られ、rhEPOとの結合は、例2で記載されるように、後で行われた。2kgの質量を有するニュージーランド種のウサギが比較のために使用された。その結果を表2に示す。本発明の複合体(PEG
2,32K−EPO)は、分析された複合体の他のものよりも長い半減期を示した。
【0064】
【表2】
【0065】
例10 種々のEPO複合体群の生物学的活性の比較
複合体群の生物学的活性が、例6に記載のそれと同様の方法で測定された。複合体:(1)PEG
2,32K−EPO;(2)PEG
2,12K−EPO;(3)PEG
2,14K−EPO;および(4)PEG
1,12K−EPOについて得られた結果が比較された。未修飾rhEPOは、対照として使用された。
図6において、本発明の複合体(PEG
2,32K−EPO)は、未修飾タンパク質の生物学的活性を維持したが、それと異なり、分析された複合体群の残りのものについての生物学的活性は、PEG化の際に減少することがわかる。
【0066】
例11 PEG
2,32K−EPO複合体の2つの非対称分枝を形成するmPEGの分子量の極限限界を使用する薬物動態試験
PEGは多分散であり、非対称PEGの構造を形成するために使用される出発原料であるPEG
2,32Kは、分子量の12kDaおよび20kDaの理論値からの変動を有し得るため、29kDaの分子量を有するPEG非対称構造を有するEPO複合体(PEG
2,29K−EPO)と35kDaの分子量を有するPEG非対称構造を有するEPO複合体(PEG
2,35K−EPO)の薬物動態研究が実施された。これらは、本発明のEPO複合体のPEG形成部分の総分子量の限界である。PEG
2,29K−EPOおよびPEG
2,35K−EPO複合体が、PEG
2,32K−EPO複合体と同様の方法で得られた。2kgの質量を有するニュージーランド株のウサギが使用された。その結果を表3に示す。観察されるとおり、研究された複合変異体の薬物動態パラメータに差異はない。
【0067】
【表3】