特許第6367960号(P6367960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367960粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367960
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/28 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   C08G69/28
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-556235(P2016-556235)
(86)(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公表番号】特表2016-538416(P2016-538416A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】KR2014011617
(87)【国際公開番号】WO2015083998
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年5月31日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0148407
(32)【優先日】2013年12月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513132586
【氏名又は名称】ジーエス カルテックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ドン−フン
(72)【発明者】
【氏名】イ ス−ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒ−ジョン
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−006041(JP,A)
【文献】 米国特許第04247685(US,A)
【文献】 特開昭53−067798(JP,A)
【文献】 特開2009−159840(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0015154(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2‐ピロリドンを含む単量体を連続反応器で1次重合するステップと、
前記1次重合の後、押出反応器で2次重合するステップと、を含む、粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法であって、
前記2次重合は、20℃〜140℃で1時間〜22時間、5rpm〜50rpmの攪拌速度で減圧または常圧下で行われる粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項2】
前記2‐ピロリドンを含む単量体を触媒と予め反応させるステップをさらに含む、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項3】
前記2‐ピロリドンを含む単量体は、バイオマスから得られるものである、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項4】
前記2‐ピロリドンを含む単量体は、2‐ピロリドン単量体の単独形態、または2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体との混合形態である、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項5】
前記1次重合は、20℃〜140℃で1時間〜2時間、減圧または常圧下で行われる、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項6】
前記連続反応器は、連続攪拌式反応器(CSTR)または連続管型反応器(CTR)である、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項7】
前記1次重合時または前記2次重合時に、CO開始剤およびイソシアネート系化合物を添加することを特徴とする、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項8】
前記触媒反応は、50℃〜100℃で30分〜2時間、減圧下で行われる、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項9】
前記触媒反応時に、アルカリ性触媒を添加することを特徴とする、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項10】
前記ポリアミド樹脂は、2‐ピロリドン単量体が重合された樹脂、または2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体が重合された樹脂である、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項11】
前記ポリアミド樹脂の粒子サイズが0.1mm〜3mmである、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【請求項12】
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が50kg/mol〜300kg/molである、請求項に記載の粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、COの発生による地球温暖化現象が社会的問題となっている。このようなCOの発生量を低減するためには、バイオマスから製造されたバイオプラスチックを使用しなければならない。バイオプラスチックは、使用後における分解処理過程で発生するCOをバイオマスの成長に戻すため、環境に発散するCOが全くないと知られている。
【0003】
したがって、バイオプラスチックは、環境に非常にやさしく、再生不可能であっていつかは枯渇する化石燃料である石油に代替可能な高分子素材であって、これを用いてナイロンなどのポリアミド樹脂を製造する研究が活発に行われている。
【0004】
2‐ピロリドンを含む単量体を原料としてポリアミド樹脂を製造時に、2‐ピロリドンは5員環ラクタムであって熱的に非常に安定しているため、溶融温度以上における高温で開環重合することが困難であって、溶融温度以下でアニオン重合により製造していた。そのため、製造されたポリアミド樹脂が固状形態(cake type)を有するため、連続製造が困難であった。
【0005】
従来は、不活性溶媒(inert solvent)および不活性塩(inert salt)などを追加したり、ボールミル反応器(ball mill reactor)または不活性構造物などを用いたりして、ポリアミドの凝集を防止しながら粒子状のポリアミドを製造するための努力が行われてきたが、粒子サイズを効果的に制御するには限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、2‐ピロリドンを含む単量体を1次重合するための連続反応器と、前記1次重合体を2次重合するための押出反応器と、を含む粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置などを提供することを目的とする。
【0007】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は上述の課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2‐ピロリドンを含む単量体を1次重合するための連続反応器と、前記1次重合体を2次重合するための押出反応器と、を含む粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置を提供する。
【0009】
前記粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置は、前記2‐ピロリドンを含む単量体を触媒と予め反応させるための反応器をさらに含むことができる。
【0010】
前記1次重合は、20℃〜140℃で1時間〜2時間、減圧または常圧下で行われることができる。
【0011】
前記連続反応器は、連続攪拌式反応器(CSTR)または連続管型反応器(CTR)であることができる。
【0012】
前記2次重合は、20℃〜140℃で1時間〜22時間、減圧または常圧下で行われることができる。
【0013】
前記触媒反応は、50℃〜100℃で30分〜2時間、減圧下で行われることができる。
【0014】
本発明の一具現例として、2‐ピロリドンを含む単量体を連続反応器で1次重合するステップと、前記1次重合の後、押出反応器で2次重合するステップと、を含む、粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法を提供する。
【0015】
前記粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法は、前記2‐ピロリドンを含む単量体を触媒と予め反応させるステップをさらに含むことができる。
【0016】
前記2‐ピロリドンを含む単量体は、バイオマスから得られるものであることができる。
【0017】
前記2‐ピロリドンを含む単量体は、2‐ピロリドン単量体の単独形態、または2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体との混合形態であることができる。
【0018】
前記1次重合は、20℃〜140℃で1時間〜2時間、減圧または常圧下で行われることができる。
【0019】
前記連続反応器は、連続攪拌式反応器(CSTR)または連続管型反応器(CTR)であることができる。
【0020】
前記2次重合は、20℃〜140℃で1時間〜22時間、減圧または常圧下で行われることができる。
【0021】
前記1次重合時または前記2次重合時に、CO開始剤およびイソシアネート系化合物を添加することができる。
【0022】
前記触媒反応は、50℃〜100℃で30分〜2時間、減圧下で行われることができる。
【0023】
前記触媒反応時に、アルカリ性触媒を添加することができる。
【0024】
前記ポリアミド樹脂は、2‐ピロリドン単量体が重合された樹脂、または2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体が重合された樹脂であることができる。
【0025】
前記ポリアミド樹脂の粒子サイズが0.1mm〜3mmであることができる。
【0026】
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が50kg/mol〜300kg/molであることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、2‐ピロリドンを含む単量体を1次重合するための連続反応器と、前記1次重合体を2次重合するための押出反応器と、を含む粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置および方法に関するものであって、連続反応器により1次重合することで、初期重合反応を速く進行することができ、且つ滞留時間分布(residence time distribution)を制御することができるとともに、押出反応器により2次重合することで、製造されるポリアミド樹脂の粒子サイズを制御することができるため、粒子状ポリアミド樹脂を高収率で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施例による連続攪拌式反応器(CSTR)を含む、粒子状ナイロン4,6樹脂の連続製造装置を簡略に示すものである。
図2】本発明の第2実施例による連続管型反応器(CTR)を含む、粒子状ナイロン4,6樹脂の連続製造装置を簡略に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明者らは、2‐ピロリドンを含む単量体をアニオン重合してポリアミド樹脂を製造する際に、多段重合すると、粒子状ポリアミド樹脂を高収率で製造することができることを見出し、本発明を成すに至った。
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】
本発明は、2‐ピロリドンを含む単量体を1次重合するための連続反応器と、前記1次重合体を2次重合するための押出反応器と、を含む粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置を提供する。
【0032】
前記粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置は、前記2‐ピロリドンを含む単量体を触媒と予め反応させるための反応器をさらに含むことができる。
【0033】
前記1次重合は連続反応器により行われる。連続反応器により1次重合することにより、初期重合反応を速く進行することができ、連続反応器の形態(CSTRまたはCTR)に応じて滞留時間分布(residence time distribution)を制御することができる。
【0034】
前記1次重合は、20℃〜140℃で1時間〜2時間、減圧または常圧下で行われることができる。この際、1次重合温度が20℃未満である場合には、重合反応速度が著しく遅いだけでなく、2‐ピロリドンを含む単量体の溶融温度より低いため、反応溶媒を用いないと重合反応を行うことが困難であるという問題がある。また、1次重合温度が140℃を超える場合には、重合反応速度が速すぎて反応を効果的に制御することが困難であって、1次重合体の物性分布が大きくなるという問題がある。
【0035】
また、1次重合時間が1時間未満である場合には、1次重合体が十分に高粘度化されずに押出反応器で2次重合されることになるが、押出反応器は、高粘度の反応物で性能が効率的に発揮されるため、高粘度化されなかった1次重合体を2次重合する時に収率が低下するという問題がある。また、1次重合時間が2時間を超える場合には、1次重合体が過度に高粘度化されて、ポンプにより2次重合器に安定して移送することが困難となる。
【0036】
前記連続反応器は、連続攪拌式反応器(CSTR)または連続管型反応器(CTR)であることができる。前記連続反応器として公知の連続攪拌式反応器(CSTR)または連続管型反応器(CTR)を用いて、2‐ピロリドンを含む単量体を連続的に1次重合させることができる。
【0037】
前記連続反応器として連続攪拌式反応器(CSTR)を用いる場合、装置が簡単である利点があり、前記連続反応器として連続管型反応器(CTR)を用いる場合、反応器内の滞留時間分布が狭くて、製造される1次重合体の物性が均一であり、且つ熱および物質伝達に優れる利点がある。
【0038】
前記連続反応器として連続攪拌式反応器(CSTR)を用いる場合、1次重合体の物性を均一にするために、2個以上の連続攪拌式反応器(CSTR)を連結して交互に用いることができる。
【0039】
前記2次重合は押出反応器により行われるが、押出反応器の温度、時間、圧力、攪拌速度などの条件を調節して2次重合することで、製造されるポリアミド樹脂の粒子サイズを制御することができる。
【0040】
前記2次重合は、20℃〜140℃で1時間〜22時間、5rpm〜50rpmの攪拌速度で減圧または常圧下で行われることができる。この際、2次重合温度が20℃未満である場合には、重合反応速度が著しく遅いという問題があり、2次重合温度が140℃を超える場合には、重合反応の速度が速すぎて反応を効果的に制御することが困難であって、2次重合体の物性分布が大きくなるという問題がある。また、2次重合時の攪拌速度が5rpm未満である場合には、1次重合物の重合反応接触面積が小さくて、重合反応が効率的に進行されないという問題があり、50rpmを超える場合には、重合反応が急激に進行されて局所的に熱が発生し、これにより物性が低下するという問題がある。また、2次重合時間は、所望の分子量および生産性(収率)を確保する点で、1〜22時間が好ましい。
【0041】
前記押出反応器として公知の混練押出反応器(extrusion reactor)を用いることができ、互いに向い合うように設けられた2個のZ形刃状の羽を回転させて1次重合体を混合して練ることで2次重合させることができる。
【0042】
前記触媒反応は、50℃〜100℃で30分〜2時間、減圧下で行われることができる。この際、触媒反応の温度が50℃未満である場合には、触媒反応後に生成された水を効果的に除去できないという問題があり、触媒反応の温度が100℃を超える場合には、触媒反応後に、水だけでなく2‐ピロリドンを含む単量体まで除去され得るという問題がある。また、触媒反応の時間が30分未満である場合には、触媒反応後に生成された水を効果的に除去できないという問題があり、触媒反応の時間が2時間を超える場合には、開始剤による重合反応が進行される前に触媒だけで重合が進行されるため、所望の物性を有する重合物を得るための反応制御が困難となるという問題がある。
【0043】
前記触媒反応では、2個以上の反応器を連結して交互に用いることで、触媒反応後に生成された水を効果的に除去することができる。
【0044】
図1は、本発明の第1実施例による連続攪拌式反応器(CSTR)を含む、粒子状ナイロン4,6樹脂の連続製造装置を簡略に示すものであり、図2は、本発明の第2実施例による連続管型反応器(CTR)を含む、粒子状ナイロン4,6樹脂の連続製造装置を簡略に示すものである。
【0045】
図1に示すように、本発明の第1実施例による粒子状ナイロン4,6樹脂の連続製造装置は、2‐ピロリドンを含む単量体を混合するための反応器40と、前記混合された単量体を触媒と予め反応させるための反応器10と、前記活性化された反応物を1次重合するための連続攪拌式反応器(CSTR)20と、前記1次重合体を2次重合するための押出反応器30と、を含んでなる。この際、触媒反応後に生成された水は、凝縮器15により除去されることができる。
【0046】
ナイロン4樹脂の連続製造装置において、2‐ピロリドン単量体を含む単量体を混合するための反応器40は省略され得る。
【0047】
図2に示すように、本発明の第2実施例による粒子状ナイロン4,6樹脂の連続製造装置は、2‐ピロリドンを含む単量体を混合するための反応器40と、前記混合された単量体を触媒と予め反応させるための反応器10と、前記活性化された反応物を1次重合するための連続管型反応器(CTR)20と、前記1次重合体を2次重合するための押出反応器30と、を含んでなる。この際、触媒反応後に生成された水は、凝縮器15により除去され得る。また、1次重合時に添加されるCO開始剤は、気泡発生装置(bubbler)25を通過したものであることができる。
【0048】
ナイロン4樹脂の連続製造装置において、2‐ピロリドンを含む単量体を混合するための反応器40は省略され得る。
【0049】
本発明の一具現例として、2‐ピロリドンを含む単量体を連続反応器で1次重合するステップと、前記1次重合の後、押出反応器で2次重合するステップと、を含む、粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法を提供する。
【0050】
前記粒子状ポリアミド樹脂の連続製造方法は、前記2‐ピロリドンを含む単量体を触媒と予め反応させるステップをさらに含むことができる。
【0051】
前記2‐ピロリドンを含む単量体は、バイオマスから得られるものであることができる。
【0052】
前記2‐ピロリドンを含む単量体は、2‐ピロリドン単量体の単独形態、または2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体との混合形態であることが好ましいが、これに限定されない。前記炭素数5〜7のラクタム単量体としては、ピロリドン(pyrrolidone)、ピペリドン(piperidone)、カプロラクタム(caprolactam)、エナントラクタム(enantholactam)などが挙げられる。2‐ピロリドンを含む単量体として2‐ピロリドン単量体の単独形態を用いる場合、2‐ピロリドン単量体が重合された樹脂(ナイロン4樹脂)を製造することができ、2‐ピロリドンを含む単量体として2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体との混合形態を用いる場合、2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体が重合された樹脂(例えば、2‐ピロリドン単量体とε‐カプロラクタムが重合されたナイロン4,6樹脂)を製造することができる。
【0053】
具体的に、前記2‐ピロリドンは、微生物醗酵により生産されたグルタミン酸またはグルタミン酸ナトリウムを出発物質とし、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を触媒として用いて4‐アミノブチル酸を製造した後、これから触媒または脱水剤を用いて2‐ピロリドンを得ることができる。
【0054】
前記1次重合は連続反応器により行われる。連続反応器により1次重合することにより、初期重合反応を速く進行することができ、連続反応器の形態(CSTRまたはCTR)に応じて滞留時間分布(residence time distribution)を制御することができる。
【0055】
前記1次重合は、20℃〜140℃で1時間〜2時間、減圧または常圧下で行われることができる。この際、1次重合温度が20℃未満である場合には、重合反応速度が著しく遅いだけでなく、2‐ピロリドンを含む単量体の溶融温度より低いため、反応溶媒を用いないと重合反応を行うことが困難であるという問題がある。また、1次重合温度が140℃を超える場合には、重合反応速度が速すぎて反応を効果的に制御することが困難であって、1次重合体の物性分布が大きくなるという問題がある。
【0056】
また、1次重合時間が1時間未満である場合には、1次重合体が十分に高粘度化されずに押出反応器で2次重合されることになるが、押出反応器は、高粘度の反応物で性能が効率的に発揮されるため、高粘度化されなかった1次重合体を2次重合する時に収率が低下するという問題がある。また、1次重合時間が2時間を超える場合には、1次重合体が過度に高粘度化されて、ポンプにより2次重合器に安定して移送することが困難となる。
【0057】
前記連続反応器は、連続攪拌式反応器(CSTR)または連続管型反応器(CTR)であることができる。前記連続反応器として公知の連続攪拌式反応器(CSTR)または連続管型反応器(CTR)を用いて、2‐ピロリドンを含む単量体を連続的に1次重合させることができる。
【0058】
前記連続反応器として連続攪拌式反応器(CSTR)を用いる場合、装置が簡単である利点があり、前記連続反応器として連続管型反応器(CTR)を用いる場合、反応器内の滞留時間分布が狭くて、製造される1次重合体の物性が均一であり、且つ熱および物質伝達に優れるという利点がある。前記連続反応器として連続攪拌式反応器(CSTR)を用いる場合、1次重合体の物性を均一にするために、2個以上の連続攪拌式反応器(CSTR)を連結して交互に用いることができる。
【0059】
前記2次重合は押出反応器により行われるが、押出反応器の温度、時間、圧力、攪拌速度などの条件を調節して2次重合することで、製造されるポリアミド樹脂の粒子サイズを制御することができる。
【0060】
前記2次重合は、20℃〜140℃で1時間〜22時間、減圧または常圧下で行われることができる。この際、2次重合温度が20℃未満である場合には、重合反応速度が著しく遅いという問題があり、2次重合温度が140℃を超える場合には、重合反応の速度が速すぎて反応を効果的に制御することが困難であって、2次重合体の物性分布が大きくなるという問題がある。
【0061】
前記押出反応器として公知の混練押出反応器(extrusion reactor)を用いることができ、互いに向い合うように設けられた2個のZ形刃状の羽を回転させて1次重合体を混合して練ることで2次重合させることができる。
【0062】
前記1次重合時または前記2次重合時に、CO開始剤およびイソシアネート系化合物の何れか1つ以上を添加することが好ましいが、これに限定されない。高収率、高分子量の点で、CO開始剤およびイソシアネート系化合物をともに使用することが好ましい。この際、イソシアネート系化合物としては、ベンジルイソシアネート(benzyl isocyanate)、4,4‐メチレンビス(フェニルイソシアネート)(4,4‐methylenebis(phenyl isocyanate))、トルエン‐2,4‐ジイソシアネート(toluene‐2,4‐diisocyanate)、p‐フェニレンジイソシアネート(p‐phenylene diisocyanate)、1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6‐hexamethylene diisocyanate)またはイソホロンジイソシアネート(isophoron diisocyanate)、4,4‐ベンジリデンビス(6‐メチル‐m‐フェニレン)テトライソシアネート[4,4‐benzylidenebis(6‐methyl‐m‐phenylene)tetraisocyanate]、シリコンテトライソシアネート(silicon tetraisocyanate)、およびメチリジントリ‐p‐フェニレントリイソシアネート(methylidynetri‐p‐phenylene triisocyanate)などが使用できる。
【0063】
前記触媒反応は、50℃〜100℃で30分〜2時間、減圧下で行われることができる。
【0064】
前記触媒反応では、2個以上の反応器を連結して交互に用いることで、触媒反応後に生成された水を効果的に除去することができる。
【0065】
前記触媒反応時にはアルカリ性触媒を添加することが好ましいが、これに限定されない。この際、アルカリ性触媒としては、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(KCO)、水酸化ナトリウム(NaOH)などが使用できる。
【0066】
前記ポリアミド樹脂は、2‐ピロリドン単量体が重合された樹脂、または2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体が重合された樹脂であることができる。
【0067】
前記2‐ピロリドン単量体が重合された樹脂は、ナイロン4樹脂ともいう。また、前記2‐ピロリドン単量体と炭素数5〜7のラクタム単量体としてε‐カプロラクタムが重合された樹脂は、ナイロン4,6樹脂ともいい、これは、ナイロン4(2‐ピロリドン単量体が単独重合された樹脂)とナイロン6(炭素数6のε‐カプロラクタムが単独重合された樹脂)の物性を互いに補完して製造したものである。
【0068】
前記ポリアミド樹脂の粒子サイズは、約0.1mm〜約3mmであることができる。前記ポリアミド樹脂の粒子サイズは、押出反応器で2次重合することにより制御されることができ、この際、ポリアミド樹脂の粒子サイズが約0.1mm〜約3mmを外れる場合、ポリアミド樹脂中の未反応単量体および触媒を水で精製する際に、効率が低下するという問題がある。
【0069】
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、約50kg/mol〜約300kg/molであることができる。この際、ポリアミド樹脂の重量平均分子量が約50kg/mol未満である場合には、機械的物性が低下するという問題があり、ポリアミド樹脂の重量平均分子量が約300kg/molを超える場合には、加工し難くなるという問題がある。
【0070】
本発明は、2‐ピロリドンを含む単量体を1次重合するための連続反応器と、前記1次重合体を2次重合するための押出反応器と、を含む粒子状ポリアミド樹脂の連続製造装置および方法に関するものであって、連続反応器により1次重合することで、初期重合反応を速く進行することができ、且つ滞留時間分布(residence time distribution)を制御することができるとともに、押出反応器により2次重合することで、製造されるポリアミド樹脂の粒子サイズを制御することができるため、粒子状ポリアミド樹脂を高収率で製造することができる。
【0071】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明のより容易な理解のために提供されるものにすぎず、下記実施例により本発明の内容が限定されるものではない。
【0072】
実施例1
【0073】
単量体として2‐ピロリドン4250g、アルカリ性触媒として水酸化カリウム(KOH)420gを入れ、85℃で1時間30分間、減圧下で触媒と予め反応させながら水を除去した。その後、活性化された反応物を連続攪拌式反応器(CSTR)に移し、CO開始剤88gおよびイソシアネート系化合物として1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6‐hexamethylene diisocyanate)15.8gを添加して、100℃で1時間減圧下で1次重合した。1次重合の後、1次重合体を混練押出反応器に移し、100℃で5時間減圧下で2次重合することで、ナイロン4樹脂を製造した。
【0074】
実施例2
【0075】
単量体として2‐ピロリドン1275gおよびε‐カプロラクタム3955gを使用してナイロン4,6樹脂を製造したことを除き、実施例1と同様にした。
【0076】
実施例3
【0077】
連続管型反応器(CTR)で1次重合したことを除き、実施例1と同様にした。この際、1次重合時に添加されるCO開始剤は、気泡発生装置(bubbler)を通過したものを使用した。
【0078】
実施例4
【0079】
連続管型反応器(CTR)で1次重合したことを除き、実施例2と同様にした。
【0080】
実施例1〜4による粒子状ナイロン4樹脂またはナイロン4,6樹脂の連続製造方法は、連続攪拌式反応器(CSTR)または連続管型反応器(CTR)により1次重合することで、滞留時間分布(residence time distribution)を制御することができ、混練押出反応器により2次重合することで、製造されるナイロン4樹脂またはナイロン4,6樹脂の粒子サイズを制御することにより、粒子状ナイロン4樹脂またはナイロン4,6樹脂を高収率で製造できることを確認することができた。
【0081】
上述の本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということが理解できるであろう。したがって、上述の実施例は全ての点で例示的なものであり、限定的ではないと理解するべきである。
図1
図2