【実施例】
【0068】
実施例1:タンパク分解酵素の高生産菌株の選別
本発明者らは、タンパク分解酵素の生成能に優れた菌株を分離するために、多様な伝統的な発酵食品(キムチ、味噌類、伝統的な地酒、塩辛など)から約3000種の微生物を分離し、これらのうち同定を通じて確認された約1308種の飼料適合性(短尾飼料協会、プロバイオティクス)バチルス菌を中心にタンパク分解酵素の発現が高く、抗菌活性を有し、生育速度が速い多機能菌株を見出そうとした。
【0069】
具体的には、タンパク分解酵素の高生産菌株の選別は、2%(w/v)の脱脂乳(Difco、USA)が含有されたYM寒天培地(yeast extract 3.0g、malt extract 3.0g、peptone 10.0g、agar 20.0g)で基質が分解されて生じるクリアーゾーンの大きさを比較して選別した(
図1)。
【0070】
これから、選別されたタンパク分解酵素の高生産菌株をそれぞれTSB培地(enzymatic digest of casein 17.0g、enzymatic digest of soybean meal 3.0g NaCl 5.0g、dipotassium phosphate 2.5g、dextrose 2.5g、final pH 7.3±0.2 at 25℃)に接種した後、37℃、200rpmの条件で12時間培養し、培養液を脱脂乳含有YM寒天培地に1.0μlずつ点滴(spotting)した。前記寒天培地を37℃で16時間培養した後、培地上に形成されたクリアーゾーンの直径を測定した。
【0071】
この時、従来の固体発酵により発酵大豆粕を製造する方法で発酵菌株として用いられたバチルスサブチリスTP6(KFCC 11343P)を対照群として用いた(特許文献4)。
【0072】
【表1】
【0073】
前記表1に示されるように、14種の菌株をタンパク分解酵素の高生産菌株で選別したが、これらは、全てバチルスサブチリスTP6に比べて、より高いタンパク分解酵素活性を示すことが確認された。
【0074】
実施例2:病原菌の増殖抑制能を有する菌株の分離
家畜に対して食中毒を起こす代表的な病原菌である大腸菌及びサルモネラ菌の生育や増殖を抑制することができる菌株を分離し、発酵大豆粕の生産に適用してサルモネラ菌がない無毒性製品を開発するために、前記実施例1で分離した14種のタンパク分解酵素の高生産菌株を対象に、病原菌に対する抗菌活性を測定した。
【0075】
病原菌に対する抗菌活性は、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhymurium ATCC14028)と大腸菌(E. coli KCCM11835)を対象に、spot−on−the−lawn test方法を用いて測定した。
【0076】
具体的には、14種のタンパク分解酵素の高生産菌株のそれぞれをGYP培地(glucose 10.0g、yeast extract 8.0g、 polypeptone 2.0g、pH 7.0)に接種し、37℃で180 rpmで12時間液体培養した。前記タンパク分解酵素の高生産菌株の培養液1.5μlをサルモネラ・ティフィムリウムATCC14028と大腸菌ATCC11835のそれぞれが1×10
5 CFU/mlの個数で添加されたGYP寒天培地(glucose 10.0g、yeast extract 8.0g、polypeptone 2.0g、agar 15.0g、pH 7.0)に点滴した後、37℃で15時間、静置培養した。培地上に点滴したタンパク分解酵素の高生産菌株のコロニーの周囲に形成される生育阻害ゾーン(inhibition zone)のサイズを観察して活性力価を測定し、その結果を下記表2に示した。この時、バチルスサブチリスTP6を対照群として用いた。
【0077】
【表2】
【0078】
前記表2において、「−」または「+」は、生菌阻害ゾーンの直径サイズを基準に、活性力価を決定したものであり、「−」は、抗菌または抗菌活性がないことを、「+」は、 阻害ゾーンの直径サイズが10.05mm以下であることを、「++」は、 阻害ゾーンの直径サイズが10.05〜14.05mmであることを、「+++」は、 阻害ゾーンの直径サイズが14.05〜17.05mmであることを、「++++」は、 阻害ゾーンの直径サイズが17.05mm以上であることを意味する。
【0079】
家畜において最も頻繁に発生する消化器性疾病の原因菌であるサルモネラ菌と大腸菌を対象にして選別された14種のタンパク分解酵素の高生産菌株の抗菌スペクトルを調べた結果、CJ823が最も優れた抗菌力を示すことが確認された。選別されたCJ823は、対照群であるバチルスサブチリスTP6に比べて大腸菌(++++ vs. +)とサルモネラ菌(++++ vs. ++)の両方に対して非常に高い抗菌活性を示した。
【0080】
実施例3:サルモネラ増殖抑制大豆粕適用の実験
前記実施例2の結果によると、寒天培地上でCJ823はサルモネラ菌に対して優れた抗菌活性を示した。しかし、実際の大豆粕発酵過程の中でもサルモネラ菌に対する増殖抑制力を表すかどうかを確認するために下記実験を行った。
【0081】
具体的には、CJ823とサルモネラ・ティフィムリウムATCC14028を、100℃で30分間蒸煮した大豆粕(水分45%)に、それぞれ4.5×10
7 CFU/gと1.0×10
3 CFU/gの濃度で混合接種し、37℃で24時間恒湿が維持される条件で菌数の変化を観察した。この時、大豆粕にサルモネラ・ティフィムリウムを単独接種したものを対照群として、サルモネラ・ティフィムリウムとバチルスサブチリスTP6を混合接種したものを比較群として使用した。
【0082】
菌株を接種してから発酵の開始前と、12、16及び20時間の発酵経過後に一定量の大豆粕をとり、0.8%のNaCl滅菌溶液で希釈した後、XLD寒天培地(yeast extract 3g、lactose 7.5 g、sucrose 7.5 g、xylose 3.5 g、L-lysine 5 g、ferric ammonium citrate 0.8 g、Phenol Red 0.08 g NaCl 5 g、sodium deoxycholate 2.5 g、sodium thiosulfate 6.8 g、agar 13.5 g、final pH:7.4±0.2 at 25℃)に100μlを塗布してサルモネラ・ティフィムリウムのコロニーの数を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0083】
両菌株間の比率値は、主発酵菌株であるCJ823が蒸煮した大豆粕で増殖する間に、サルモネラ・ティフィムリウムが汚染されるという仮定の下で測定したものであり、実際の汚染率は、発酵大豆粕の製造環境により変わり得る。
【0084】
【表3】
【0085】
前記表3に示されるように、サルモネラ・ティフィムリウム単独で接種した対照群は、培養時間が増加するにつれて菌数が着実に増加して、発酵20時間経過後には3.1×10
7 CFU/gまで増加したのに対して、バチルスサブチリスTP6と混合接種した比較群では、サルモネラ・ティフィムリウムの菌数が2.2×10
4 CFU/gレベルに抑制され、本発明によるCJ823と混合接種した実験群では、サルモネラ・ティフィムリウムの菌数がこれより減少して3.5× 10
2 CFU/gレベルであった。
【0086】
前記結果から、本発明によるCJ823が、実際の発酵過程中でもサルモネラ菌の生育を効果的に抑制し、高品質の発酵大豆粕の製造に適していることが分かる。
【0087】
実施例4:変異株の選抜
前記実施例1〜3で選別されたCJ823は、タンパク分解酵素を高濃度で生産し、病原菌に対して優れた抗菌活性を示すが、発酵過程中に生産される酵素により原料大豆の糖質、大豆タンパク由来のレバン型のフルクタン(levan form fructan)とポリグルタミン酸(polyglutamate)の重合により粘着性粘液質が生成された。大規模な工業化の過程で、このような粘液質の過量生成は、撹拌を困難にして発酵物内の溶存酸素、温度などを制御するのに問題となり、移送を困難にするなどの問題が発生した。
【0088】
そこで、本発明者らは、CJ823の酵素的/生理的特性はそのまま維持するか、または向上しながら粘液質の生成能の低下した変異株を開発するために、以下のようにCJ823にUVを照射して突然変異を誘発した。変異株の選別過程は、
図3に示した通りである。
【0089】
まず、CJ823をTSB寒天培地(ezymatic digest of casein 17.0g、 enzymatic digest of soybean meal 3.0g、NaCl 5.0g、dipotassium phosphate 2.5 g、dextrose 2.5 g、final pH: 7.3±0.2 at 25℃)に塗抹して37℃で12時間培養して菌株を活性化した。
【0090】
本培養は、予め準備したTSB培地(ezymatic digest of casein 17.0g、enzymatic digest of soybean meal 3.0g、NaCl 5.0g、dipotassium phosphate 2.5 g、dextrose 2.5 g、final pH:7.3±0.2 at 25℃)に種菌懸濁液を1%接種した後、37℃、180rpmで振とう培養した。培養後、培養液を25℃、8000rpmの条件で10分間遠心分離して菌体と上清液を分離した後、菌体のみを取り、0.8%のNaCl殺菌溶液で洗浄した。洗浄後、回収された菌体をUVランプ(VIBER LOURMAT、115 V、60 Hzの)を用いて、254nmの波長の紫外線を照射して人工突然変異させた。
【0091】
選別培地である2%の脱脂乳含有TSA寒天培地(enzymatic digest of casein 15 g、enzymatic digest of soybean meal 5 g、NaCl 5 g、agar 15 g、final pH 7.3±0.2 at 25℃)に塗抹して37℃で20時間培養した。培養後、形成されたクリアーゾーンの大きさ(直径、mm)をキャリパー(Caliper、CD-20CPX、Mitutoyo、Kanagawa、Japan)で測定し、タンパク質分解活性の高い16種の変異株を1次選抜した。
【0092】
次に、選抜された16種の変異株を、それぞれ熱処理された大豆粕に接種し、20時間培養し、これから得られた培養液を、25℃で8000rpmの条件で10分間遠心分離して菌体と上清液を分離した。分離された上清液のγ−PGAの含量は、非特許文献3()に開示された方法に従って分離及び精製して凍結乾燥した後、回収されたγ−PGAの重量を測定した。
【0093】
タンパク分解酵素活性は、前記実施例1に記載された方法により測定し、γ−PGAの含量は、下記2種類の定性及び定量分析法を用いて測定した。
【0094】
まず、γ−PGA活性の定性分析のために、前記で分離された上清液40μlを5×染色緩衝液10μlと混合した後、5〜20%の濃度勾配SDS−ポリアミドゲルにローディングして濃度勾配SDS−PAGEを行った。電気泳動後、クマシー染色試薬で標準タンパク質を染色した後、脱色し、再度メチレンブルー(methylene blue)でポリ-γ-グルタミン酸を染色して定性評価した。
【0095】
その結果、
図4に示されるように、レーン4のCJ823(親菌株)の上清液では、高分子のポリ−γ−グルタミン酸が検出されたが、レーン5のU304変異株の上清液では、高分子物質の生成能が非常に低下された一方、高いタンパク分解酵素活性を示すことを確認した。
【0096】
一方、γ−PGAの含量の定量分析は、固体発酵の上澄液に同量の蒸留水で希釈した後、20,000×gで20分間遠心分離して得られた上澄液に6 MのHClでpH3.0に調節した後、4℃で一日静置した。その後、25,000×gで30分間再び遠心分離した後、沈殿体を回収した。沈殿体を100〜200倍の蒸留水に完全に溶解させた後、25,000×gで30分間遠心分離して不純物を除去し、4℃で一日透析(dialysis)して塩を除去した。これを凍結乾燥してγ−PGAを回収し、これから得られた結果を下記表4に示した。
【0097】
【表4】
【0098】
表4に示されるように、変異株の大部分は、CJ823に比べて低いγ−PGAの含量を示し、これらのうち、タンパク分解酵素活性は最も高く、かつ相対的に低いγ−PGAの含量を示すU304変異株を最終選抜した。特に、U304変異株は、対照群であるバチルスサブチリスTP6より低いγ−PGAの含量を示しながら、それより3倍以上高いタンパク分解酵素活性を示した。
【0099】
最終選抜されたU304変異株は、タンパク分解酵素を高濃度で生産して病原菌に対して優れた抗菌活性を示す親菌株の特性はそのまま維持しながら、ポリ−γ−グルタミン酸のような高分子物質の生成は顕著に低下し、低いγ−PGAの含量を示し、粘液質生成能の低下したことを特徴とする。
【0100】
実施例5:U304変異株(K2G)の16S rRNA遺伝子の塩基配列決定及び系統樹解析
粘液質生成能の低下したU304変異株の同定のために、新たなNA寒天培地に菌を接種し、37℃で16時間培養した。形成されたコロニーは、0.8%のNaCl滅菌溶液で希釈した後、63種の乾燥培地及び生化学反応物で構成されたBCL ID card(bioMNitek Inc.、Hazewood、USA)に注入し、その結果は15分間隔でVITEK 2 Compact software(bioMVitek)に統合的に保存、分析され、14時間後に同定が完了した。
【0101】
16SrRNA遺伝子の塩基配列による菌同定のために、汎用プライマー(universal primer)として配列番号2及び3の518F(5’- CCAGCAGCCGCGGTAATACG-3’)と800R(5'-TACCAGGGTATCTAATCC-3')を利用するが、16S rRNA遺伝子をPCRで増幅したお後、同定に重要な50〜900bp塩基配列を含む1,333bpを BigDye Terminator v3.1+BigDye Terminator Sequence Kid(Applied Biosystems Inc./USA)を用いて解読した。16S rRNA塩基配列分析の結果、U304変異株は、配列番号:1の16S rRNA塩基配列を有する。
【0102】
遺伝子塩基配列との類似性は、ブラスト類似性調査プログラム(Blast similarity search program:National Institute of Biotechnology Information)と、多重配列整列を行った後、系統樹における位置を判別した(
図5)。
【0103】
【表5】
【0104】
63種類の生化学的検査の結果をバイテック2コンパクトソフトウェア(Vitec 2 Compact Software)で分析した結果、98%の確率でバチルスサブチリス/バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus subtilis/amyloliquefacien)に分類された。また、
図5に示されるように、系統図の解析の結果、U304変異株は、標準菌株であるバチルス・アミロリケファシエンス亜種。プランタルム(Bacillus amyloliquefaciens subsp.plantarum)FZB42T(CP000560)と最も近い近縁関係を示し、16S rDNA遺伝子配列相同性が99.92%(1332 bp/1333 bp)で確認された。
【0105】
これに対し、前記生化学特性と系統分類学的類縁関係の分析結果を総合し、本発明によるU304変異株をバチルス・アミロリケファシエンスK2Gと命名し、ブダペスト条約下で2013年11月7日付で韓国微生物保存センター(Korean Culture of Microorganisms、KCCM)に寄託番号KCCM11471Pとして寄託した。
【0106】
実施例6:バチルス・アミロリケファシエンスK2Gを利用した大豆粕発酵時の発酵時間に応じた粗タンパク含量の変化
【0107】
本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gを利用した大豆粕発酵時の発酵時間に応じた粗タンパク含量の変化を調べるために、下記のような実験を行った。
【0108】
まず、大豆粕400gの水分含量を45%に合わせて100℃で30分間蒸煮し、40℃以下に冷却させた。次いで、前記バチルス・アミロリケファシエンスK2GをTSB寒天培地(ezymatic digest of casein 17.0g、enzymatic digest of soybean meal 3.0g、NaCl 5.0g、dipotassium phosphate 2.5 g、dextrose 2.5 g、agar 15.0g、final pH: 7.3±0.2 at 25℃)に塗抹し、37℃で12時間培養して菌株を活性化させた。活性化させた菌株を0.8%のNaCl滅菌溶液9mlに約2白金(A
660nmで0.2程度に希釈する)を懸濁し、この懸濁液を種菌として使用した。本培養は、予め準備した40mlのTSB培地(ezymatic digest of casein 17.0g、enzymatic digest of soybean meal 3.0g、NaCl 5.0g、dipotassium phosphate 2.5 g、dextrose 2.5 g、final pH:7.3±0.2 at 25℃)に種菌懸濁液を1%で接種した後、37℃で180rpmで振とう培養した。
【0109】
準備したバチルス・アミロリケファシエンスK2Gの培養液40ml(5.0×10
7 cfu/ml)の水分含量を45%に合わせて蒸煮した大豆粕に入れてよく混合した後、37℃で20時間恒湿が維持される条件で静置培養した。前記培養試料を、60℃の乾燥機で水分含量が10%以下になるまで乾燥した後、ケルダール装置(Kjeldahl system、Kjltec 2100)を用いて、各試料の粗タンパク含量を測定した。この時、発酵開始前と、発酵12、16及び20時間経過後に粗タンパク含量を測定し、対照群としてバチルスサブチリスTP6を使用した。それから測定された粗タンパク含量(%、水分10%の補正)を下記表6に示した。この時、対照群としてバチルスサブチリスTP6を使用した。
【0110】
【表6】
【0111】
表6に示されるように、24時間発酵を基準とした時、本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gで発酵された大豆粕は、従来大豆粕発酵菌株として知られているバチルスサブチリスTP6で発酵された大豆粕と同等以上のレベルの粗タンパク含量を示した。
【0112】
前記結果から、本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gは、高品質のタンパク質飼料として発酵大豆粕の製造に有用に用いられることを確認した。
【0113】
実施例7:バチルス・アミロリケファシエンスK2Gを利用した大豆粕発酵時の発酵時間によるTIの含量の変化
【0114】
本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gを利用した大豆粕発酵時の発酵時間に応じたトリプシン阻害因子(TI)の含量の変化を測定するために、下記のような実験を行った。
【0115】
具体的には、前記実施例6と同様に、大豆粕400gを水45%に合わせて、100℃で30分間蒸煮し、蒸煮された大豆粕にバチルス・アミロリケファシエンスK2Gを4.5×10
7 cfu/mlの濃度で接種した後、37℃で24時間恒湿が維持される条件で培養した。発酵開始前と、発酵16、20、及び24時間経過後にTIの含量をAACC−71−10(American association of cereal chemists、1995)により測定し、それから測定されたTIの含量(mg/g)を下記表7に示した。この時、対照群としてバチルスサブチリスTP6を用いた。
【0116】
【表7】
【0117】
表7に示されるように、発酵16時間経過後、本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gで発酵された大豆粕はTI含量0.39mg/gを示したが、これは、従来大豆粕発酵菌株として知られているバチルスサブチリスTP6で24時間発酵された大豆粕のTI含量に相当するものであり、16時間の発酵のみで同等レベルの抗栄養因子の低減効果を示した。
【0118】
このような発酵時間の短縮は、製麹機の回転率を高め、これは年間生産可能な配置数の増加につながり、消費者に、より安価で高品質の発酵大豆粕を供給することができるという点で、本発明の優位性を確認することができる。
【0119】
実施例8:バチルス・アミロリケファシエンスK2Gを利用した大豆粕発酵時大豆タンパク質の加水分解化の程度及びKOHの溶解度の測定
【0120】
大豆粕は、タンパク質の含量が高い植物性飼料原料であるが、抗栄養因子及び消化吸収率が低いタンパク質の含有により、特に仔家畜の成長に不十分であるという欠点もある。このような欠点を改善する方法の一つが、微生物を利用した発酵を通じて加水分解されたペプチドの形で作成するか、または消化が容易に行われるように低分子量のタンパク質に分解することである。本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gはタンパク分解酵素の高生産菌株であり、それを用いて製造された発酵大豆粕は、前記菌株から分泌されたタンパク分解酵素により大豆タンパク質が分解されると予想された。
【0121】
これを確認するために、まず、本発明による発酵大豆粕の加水分解の程度を測定した。前記実施例6と同様に大豆粕400gを水分45%に合わせて、100℃で30分間蒸煮し、蒸煮された大豆粕にバチルス・アミロリケファシエンスK2Gを4.5×10
7 cfu/mlの濃度で接種し、37℃で24時間恒湿が維持される条件で培養した。それから、得られた培養液を25℃で8000 rpmの条件で10分間遠心分離して菌体と上清液を分離した。分離された上清液40μlを5×染色緩衝液10μlと混合した後、SDS−PAGE(10%)を行い、分子量に応じたタンパク質の移動相を確認した。電気泳動後、ポリアミドゲルをクマシーブリリアント試薬(Coomassie Brilliant R250)で染色し、組成物質のタンパク質組成と分子量を確認し、その結果を
図6に示した。この時、対照群として生大豆粕とバチルスサブチリスTP6で製造された発酵大豆粕を用いた。
【0122】
図6に示されるように、本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gで製造された発酵大豆粕は、生大豆粕または他の菌株で製造された発酵大豆粕と比較してサイズが小さい分子の方にタンパク質の密度が偏っていることを確認することができる。SDS−ポリアミドゲル上で、上のバンドが分子量の大きいタンパク質であり、下のバンドが分子量の小さいタンパク質を示す。前記結果から、同一の分子量である場合、本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gを用いた発酵により大豆粕内の分子量の大きいタンパク質が分子量の小さいタンパク質に加水分解されたことを確認した。
【0123】
一方、従来のレポートによると、KOH(potassium hydroxide)溶解度が80%である大豆粕と、これより低い濃度(55%〜68%)の大豆粕を用いて、4回の肉鶏飼養試験を行った結果、KOH溶解度が低い大豆粕を給与した肉鶏の体重、飼料摂取量及び飼料効率がKOH溶解度が80%である大豆粕を給与した肉鶏に比べて有意に低かったり、低くなる傾向を示した(非特許文献4)。
【0124】
そこで、本発明による発酵大豆粕のKOH溶解度を文献(非特許文献5)に開示された方法に従って測定した。簡単に説明すると、前記のように準備された発酵大豆粕0.1gを0.2%のKOH溶液に添加し、20分間混合した後、ろ過してろ液に対する窒素含量をケルダール装置で測定して溶解度を換算し、その結果を表8に示した。
【0125】
【表8】
【0126】
前記表8に示されるように、蒸煮された大豆粕では、KOHの溶解度が80%から70%まで低下する傾向を示したが、本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gを用いた固体発酵が進むと共に、KOHの溶解度は再び85%まで上昇した。前記結果は、本発明によるバチルス・アミロリケファシエンスK2Gから分泌されたタンパク分解酵素により大豆タンパクが分解されながら、KOHが上昇したと判断される。