(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367980
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】一体型のダイヤモンドヒートスプレッダを有する電子デバイス構成要素
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20180723BHJP
C30B 29/04 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
H01L23/36 C
C30B29/04
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-573998(P2016-573998)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公表番号】特表2017-520921(P2017-520921A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015062948
(87)【国際公開番号】WO2015193153
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】1410843.5
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1418060.8
(32)【優先日】2014年10月13日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514233369
【氏名又は名称】エレメント シックス テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】エリス ジュリアン
【審査官】
小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06489634(US,B1)
【文献】
特開2013−077746(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/015073(WO,A1)
【文献】
特開平09−260539(JP,A)
【文献】
特開2008−288379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H01L 23/12
H01L 23/02
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームであって、頂面、底面、および支持フレームの前記頂面と前記底面との間に延びる開口を備える支持フレームと、
頂面および底面を有する人工ダイヤモンド材料のウェーハを備えるダイヤモンドヒートスプレッダであって、前記ダイヤモンドヒートスプレッダが前記支持フレーム内の前記開口にわたって延びるように前記支持フレームに結合されるダイヤモンドヒートスプレッダと、
前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に取り付けられて結合された1つまたは複数の半導体構成要素とを備え、
前記支持フレームが、電気絶縁セラミック材料から形成され、前記電気絶縁セラミック材料に前記ダイヤモンドヒートスプレッダが結合され、
前記電気絶縁セラミック支持フレーム上に1つまたは複数の電気的接続が直接取り付けられ、前記1つまたは複数の半導体構成要素に電気的に接続するように構成され、
前記1つまたは複数の電気的接続が、前記支持フレームの前記頂面および前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に直接配置された金属化層から形成され、前記金属化層が、前記支持フレームおよび前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に1つまたは複数の導電トラックを形成するようにパターニングされ、
前記支持フレームの前記頂面上に1つまたは複数の半導体構成要素が取り付けられて結合され、
前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面が、500μmの範囲内で、前記支持フレームの前記頂面と共平面である、
電子デバイス構成要素。
【請求項2】
前記支持フレームおよび/または前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記底面上に金属化層をさらに備える、
請求項1に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項3】
前記支持フレームが2つ以上の開口を備え、前記支持フレーム内の各開口にわたってダイヤモンドヒートスプレッダが延び、
各ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に1つまたは複数の半導体構成要素が取り付けられて結合される、
請求項1または2に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項4】
前記ダイヤモンドヒートスプレッダの少なくとも2つが、異なる幾何形状を有し、かつ/または異なる熱伝導率を有する異なる等級のダイヤモンド材料から構成される、
請求項3に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項5】
前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記底面が、500μmの範囲内で、リードフレームの前記底面と共平面である、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項6】
前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面が、400μmの範囲内で、リードフレームの前記頂面と共平面である、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項7】
前記人工ダイヤモンド材料のウェーハが、多結晶CVDダイヤモンド材料または単結晶ダイヤモンド材料から形成される、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項8】
前記電気絶縁セラミック支持フレームが、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、または炭化ケイ素の1つまたは複数から形成される、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項9】
前記電気絶縁セラミック支持フレームが、少なくとも50μmの厚さを有する、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項10】
前記支持フレームの前記頂面と前記底面との間に延びる前記開口が、くさび状または階段状の側壁を備え、前記側壁に前記ダイヤモンドヒートスプレッダが取り付けられる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項11】
前記ダイヤモンドヒートスプレッダが、
少なくとも50μmの厚さ、
少なくとも600Wm-1K-1の熱伝導率、
nを1.0として、前記多結晶CVDダイヤモンドウェーハの核形成面で、50〜500μmの厚さの場合は760MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合は700MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合は650MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合は600MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合は550MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合は500MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合は450MPa×n以上、または2000μm以上の厚さの場合は400MPa×n以上の引張破断強度、
nを1.0として、前記多結晶CVDダイヤモンドウェーハの成長面で、50〜500μmの厚さの場合は330MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合は300MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合は275MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合は250MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合は225MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合は200MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合は175MPa×n以上、または2000μm以上の厚さの場合は150MPa×n以上の引張破断強度、
750MPa以上の破壊応力を有する単結晶ダイヤモンドプレート、
20μm以下の表面平坦性、
2μmを超過する頂面粒径、
0.5μmを超過する底面粒径、
3.0cm-1以下の光吸収係数、
1×1010Ωcm以上の電気抵抗率、という特徴の1つまたは複数をさらに備える、請求項1から10までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項12】
前記ダイヤモンドヒートスプレッダが前記支持フレームに直接結合される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
【請求項13】
熱拡散基板を製作する方法であって、
ダイヤモンドヒートスプレッダを未焼結セラミック体内に取り付けるステップと、
前記未焼結セラミック体を焼成し、それによって前記セラミック体が前記ダイヤモンドヒートスプレッダの周りで収縮して硬化し、したがって前記ダイヤモンドヒートスプレッダを前記セラミック体に直接結合し、前記ダイヤモンドヒートスプレッダの周りにセラミック支持フレームを形成するステップと、
前記ダイヤモンドヒートスプレッダおよび前記セラミック支持フレームの頂面を金属化するステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型のダイヤモンドヒートスプレッダを有する電子デバイス構成要素に関する。本発明の実施形態は、様々な電子デバイスのタイプ、構成、および適用分野においてその融通性および有用性を最大にするために、サイズが小さく、良好な熱拡散および/または放熱特性を提供し、様々な異なる電子デバイス構成内へ取り付けるのに特に適している電子デバイス構成要素を提供するという問題に対処する。さらに、本発明の実施形態は、半導体ダイ構成要素および半導体ダイモジュールのサイズの低減を可能にする。これは、半導体ダイ構成要素に密接に熱接触して取り付けられた高品質の多結晶CVD人工ダイヤモンド材料、または単結晶人工ダイヤモンド材料、たとえば単結晶CVD人工ダイヤモンド材料を使用して、半導体ダイ構成要素の裏側全体で生成される熱を局部的なヒートスポットからより効果的に拡散し、それに続いて特定の適用分野に合わせて最適化されるように選択することができる放熱を行うことによって可能になる。別法として、本発明の実施形態は、所望の動作温度を超過することなく、半導体ダイ構成要素および半導体ダイモジュールをより高い電力で動作させることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスにおいてよく知られている問題は、熱放散の問題である。高温になると、そのようなデバイスの性能および/または寿命が制限されることが多い。これは、マイクロ波増幅器、電力スイッチ、および光電子デバイスなど、高い電力および/または高い周波数で動作する半導体デバイスに特定の問題である。したがって、温度を低減させ、したがってデバイス性能を改善し、寿命を増大させ、かつ/または電力密度を増大させるために、構成要素デバイスによって生成されるあらゆる熱を拡散することが可能であることが望ましい。したがって、高い熱伝導率を有する熱拡散基板材料を利用して、電子デバイス構成要素によって生成される熱を拡散し、電力密度を下げ、放熱器を介して放散を容易にし、したがってデバイス性能を改善し、寿命を増大させ、かつ/または電力密度の増大を可能にすることが望ましい。
【0003】
ダイヤモンドは、熱拡散材料として特有の特性を有しており、あらゆる材料で最も高い室温熱伝導率と、真性のドープされていない形で高い電気抵抗率および低い誘電体損失とを併せもっている。したがって、ダイヤモンドは、複数の高い電力密度の適用分野で半導体構成要素に対する熱拡散基板として利用することができる。さらに、多結晶ダイヤモンドをドープすることによって、ヒートスプレッダに導電性を与えることもでき、したがってそのように所望される場合、ヒートスプレッダを電気的接続にすることも可能である。化学気相成長(CVD)技法によってもたらされた大面積多結晶ダイヤモンドの出現により、面積の増大およびコストの低減を介してダイヤモンドヒートスプレッダに対する適用分野が拡大してきた。さらに、利用可能な単結晶人工ダイヤモンドプレートのサイズが着実に増大していることで、極めて高い熱性能を必要とする熱拡散の適用分野でそのような材料を使用することも可能になりつつある。
【0004】
一体化されたダイヤモンドヒートスプレッダを含む電子デバイスパッケージは、当技術分野では知られている。たとえば、米国特許出願公開第2012/003794号は、キャリアパッドと上にある半導体ダイとの間にダイヤモンドの熱ヒートスプレッダが配置される電子デバイスパッケージ構成を開示している。次いでこの複合的なキャリアパッド/ダイヤモンドヒートスプレッダ/半導体ダイの構造が、リードフレームの開口内に取り付けられる。半導体ダイとリードフレームとの間にワイアボンドが形成され、この構造全体が型材料内にカプセル化される。
米国特許出願公開第2010/0149756号は、ダイヤモンドヒートスプレッダを電子デバイスパッケージ内へ一体化するための代替の配置を開示している。同文献の提案によれば、ダイヤモンドヒートスプレッダが金属フレームに取り付けられ、この複合的なダイヤモンドヒートスプレッダ/金属フレームの構造がセラミックキャリア基板の上に結合され、セラミックキャリア基板上には半導体ダイが取り付けられ、ダイヤモンドヒートスプレッダの表面が半導体ダイの表面に接触するが付着しないようになっている。次いで、この複合的なダイヤモンドヒートスプレッダ/金属フレームの構造の上に放熱器が取り付けられ、放熱器の表面がダイヤモンドヒートスプレッダの表面に接触するが付着しないようになっている。
【0005】
前述の構成は、ダイヤモンドヒートスプレッダを電子デバイスパッケージ内へ一体化するという問題に対して場合によっては実行可能な解決策を提供するが、本発明の特定の実施形態の目的は、サイズをより小さくすることができ、良好な熱拡散および/または放熱特性を提供することができ、様々な異なる電子デバイスおよび/または放熱器構成内へ取り付けるのにより適している新しい構成を提供し、それによってより広い範囲の電子デバイスのタイプ、構成、および適用分野において使用することができる商品を提供することである。
【0006】
たとえば、本発明者らは、米国特許出願公開第2012/003794号に記載されている構成が本質的な特徴としてキャリアパッドの存在を必要とすることに注目した。記載されている実施形態では、キャリアパッドはリードフレームの開口内に取り付けられ、キャリアパッド上にはダイヤモンドヒートスプレッダおよび半導体ダイが取り付けられる。したがってキャリアパッドは、ヒートスプレッダおよび半導体ダイに対する支持基板として作用する。キャリアパッドは、記載されている電子デバイスパッケージの一体部分であるため、特定の電子デバイスの適用分野または構成に応じてキャリアパッドの材料または構造を容易に変更することは可能でない。さらに、キャリアパッドの存在により、電子デバイスパッケージの深さが増大し、したがって非常に薄い電子デバイスパッケージを必要とする特定の電子デバイス構成では使用できない可能性がある。
【0007】
類似の問題は、米国特許出願公開第2010/0149756号に記載されている構成にも当てはまる可能性がある。同文献に記載されている構成では、半導体ダイは、ダイヤモンドヒートスプレッダに直接取り付けられているのではなく、金属接続が配置された別個のセラミック基板に取り付けられる。セラミック支持基板/半導体ダイ/ヒートスプレッダ−金属ホルダの複合体/放熱器を含む積層構造が形成される。セラミック支持基板に基づくこの積層構造により、電子デバイスパッケージの深さが増大し、したがって非常に薄い電子デバイスパッケージを必要とする特定の電子デバイス構成で使用できない可能性がある。さらに、ダイヤモンド放熱器/金属フレームの複合構造内の上部凹部に対して相補型の形状を有する放熱器が、この放熱器をダイヤモンドヒートスプレッダに接触させて取り付けるために必要とされると考えられる。したがって、ダイヤモンドヒートスプレッダに対する取付け構成は、実質上平面の取付け表面を有する一般的な放熱器に容易に適用することはできないと考えられる。
【0008】
図1〜3は、本発明の状況を定めるのに役立ついくつかの可能な電子デバイスパッケージ構成を示す。
図1〜3に示す構成の比較に役立つように、同様の部分には同じ参照番号を使用した。
図1は、標準的なRFデバイス構成を示す概略図を示す。この構成は、結合材料6を介して金属ヒートスプレッダ4上に取り付けられた半導体構成要素2を備える。金属ヒートスプレッダ4上に、電気絶縁セラミックフレーム8が設けられる。電気絶縁セラミックフレーム8上には電気的接続10が取り付けられ、ワイア接続12を介して1つまたは複数の半導体構成要素に電気的に接続するように構成される。このパッケージは、カプセル化キャップ14によってカプセル化され、結合材料18を介して金属放熱器16上に取り付けられる。放熱器16上には、電気的接続10を放熱器から電気的に絶縁するために、絶縁層20が設けられる。
【0009】
図2は、
図1に示すものに類似しているがダイヤモンドヒートスプレッダを組み込むRFデバイス構成を示す概略図を示す。
この構成は、結合材料5を介してダイヤモンドヒートスプレッダ3上に取り付けられた半導体構成要素2を備える。ダイヤモンドヒートスプレッダ3は、結合材料6を介して金属ヒートスプレッダ4上に取り付けられる。金属ヒートスプレッダ4上に、電気絶縁セラミックフレーム8が設けられる。電気絶縁セラミックフレーム8上には電気的接続10が取り付けられ、ワイア接続12を介して1つまたは複数の半導体構成要素に電気的に接続するように構成される。このパッケージは、カプセル化キャップ14によってカプセル化され、結合材料18を介して金属放熱器16上に取り付けられる。放熱器16上には、電気的接続10を放熱器から電気的に絶縁するために、絶縁層20が設けられる。
【0010】
したがって、
図2に示す構成は、
図1に示すものに類似しているが、半導体構成要素2と金属ヒートスプレッダ4との間にはダイヤモンドヒートスプレッダ3が挿入される。ダイヤモンドヒートスプレッダ3は、半導体構成要素2の真下で熱拡散を改善するのに役立つ。しかし、金属ヒートスプレッダ4上にダイヤモンドヒートスプレッダ3を設けると、半導体構成要素2と放熱器16との間の距離が増大される。さらに、半導体構成要素2と放熱器16との間のインターフェースの数が増大される。これらの要因はどちらも、半導体構成要素2から放熱器16内への熱の流れに対する抵抗を増大させ、ダイヤモンドヒートスプレッダ3の有益な効果をやや打ち消す方向に働く。
【0011】
図3は、
図2に示すものに類似しているがダイヤモンドヒートスプレッダ3を金属ヒートスプレッダ4内の窓内へ組み込むRFデバイス構成を示す概略図を示す。
この構成は、結合材料5を介してダイヤモンドヒートスプレッダ3上に取り付けられた半導体構成要素2を備える。ダイヤモンドヒートスプレッダ3は、結合材料6を介して金属ヒートスプレッダ4内の窓内へ取り付けられる。金属ヒートスプレッダ4上に、電気絶縁セラミックフレーム8が設けられる。電気絶縁セラミックフレーム8上には電気的接続10が取り付けられ、ワイア接続12を介して1つまたは複数の半導体構成要素に電気的に接続するように構成される。このパッケージは、カプセル化キャップ14によってカプセル化され、結合材料18を介して金属放熱器16上に取り付けられる。放熱器16上には、電気的接続10を放熱器から電気的に絶縁するために、絶縁層20が設けられる。
【0012】
したがって、
図3に示す構成は、
図2に示すものに類似しているが、ダイヤモンドヒートスプレッダ3は、金属ヒートスプレッダ4の頂面上ではなく、金属ヒートスプレッダ4内の窓内に取り付けられる。ダイヤモンドヒートスプレッダ3は、半導体構成要素2の真下で熱拡散を改善するのに役立つ。さらに、ダイヤモンドヒートスプレッダ3を金属ヒートスプレッダ4内の窓内に設けることによって、半導体構成要素2と放熱器16との間の距離が、
図2に示す配置に比べて低減される。さらに、半導体構成要素2と放熱器16との間のインターフェースの数が、
図2に示す配置に比べて低減される。これらの要因はどちらも、半導体構成要素2から放熱器16内への熱の流れに対する抵抗を低減させ、ダイヤモンドヒートスプレッダ3の有益な効果を増大させるのに役立つ。
図3に示すものに類似している電子デバイスパッケージ構成は、欧州特許第0932199号に記載および例示されている。同文献は、ダイヤモンドヒートスプレッダ上に取り付けられた電子デバイス内のパッケージ構成について記載しており、ダイヤモンドヒートスプレッダ自体は、銅クラッドモリブデンのヒートスプレッダまたはフランジの窓内に取り付けられる。銅クラッドモリブデンのフランジ上には、アルミナフレームが設けられる。アルミナフレーム上には銅リードの形の電気的接続が取り付けられ、ワイア接続を介して電子デバイスに電気的に接続するように構成される。このパッケージは、カプセル化キャップによってカプセル化され、結合材料18を介して金属放熱器16上に取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の特定の実施形態の目的は、前述の構成と比較すると改善された電子デバイスパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、電子デバイス構成要素が提供され、電子デバイス構成要素は、
支持フレームであって、頂面、底面、および支持フレームの頂面と底面との間に延びる開口を備える支持フレームと、
頂面および底面を有する人工ダイヤモンド材料のウェーハを備えるダイヤモンドヒートスプレッダであって、ダイヤモンドヒートスプレッダが支持フレーム内の開口にわたって延びるように支持フレームに結合されるダイヤモンドヒートスプレッダと、
ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面上に取り付けられて結合された1つまたは複数の半導体構成要素とを備え、
支持フレームは、電気絶縁セラミック材料から形成され、電気絶縁セラミック材料にダイヤモンドヒートスプレッダが結合され、
電気絶縁セラミック支持フレーム上に1つまたは複数の電気的接続が取り付けられ、1つまたは複数の半導体構成要素に電気的に接続するように構成される。
【0015】
上記の電子デバイス構成要素は、欧州特許第0932199号に記載されている
図3に示すものにいくつかの点で類似している。しかし、本発明者らは、ダイヤモンドヒートスプレッダが電気絶縁セラミック支持プレートに直接結合されるようにダイヤモンドヒートスプレッダを使用するとき、金属ヒートスプレッダまたはフランジを完全に不要にすることができることを実現した。この修正には、欧州特許第0932199号に記載されている
図3に示す構成と比較するといくつかの利点がある。
(i)金属の熱拡散フレームを不要にすることによって、構成はより小型で簡単な構造になる。支持フレームを電気的接続から電気的に絶縁する別個の構成要素を有するという要件はなくなる。
(ii)ダイヤモンドヒートスプレッダと支持フレームとの間の熱インターフェースがより良好になる。金属材料は主に電子の流れを介して熱を伝導するのに対して、ダイヤモンドおよび電気絶縁セラミックでは、熱はフォノンを介して伝導される。電気絶縁セラミック支持フレームに直接熱接触してダイヤモンドヒートスプレッダを設けることによって、ダイヤモンドヒートスプレッダ内とセラミック支持フレーム内の両方で熱はフォノンを介して流れ、それにより、ダイヤモンドヒートスプレッダと電気絶縁セラミック支持フレームとの間の障壁での熱伝達に役立つことができる。対照的に、ダイヤモンドヒートスプレッダが金属の支持フレームに結合されるとき、ダイヤモンド材料内のフォノンによる熱流機構と金属材料内の電子による熱流機構との間の遷移が、熱伝達に対する抵抗障壁をもたらす可能性がある。
(iii)電気絶縁セラミック支持フレームおよび電気絶縁セラミック支持フレーム内に結合されたダイヤモンドヒートスプレッダ上に直接、電気トラックを形成することができ、それにより個々のワイア接続に対する要件なく、ダイヤモンドヒートスプレッダ上に取り付けられた構成要素に電気的接続を提供するというさらなる融通性が与えられる。
(iv)セラミック支持フレーム上には、極端な熱管理を必要としない他の電気構成要素を取り付けることができ、これにより、項目(iii)に記載の金属化されたトラックと組み合わせて、ダイヤモンド/セラミックヒートスプレッダ構成要素上に複雑な回路を提供するというさらなる融通性が与えられる。
【0016】
1つの構成では、1つまたは複数の電気的接続は、支持フレームの頂面上およびダイヤモンドヒートスプレッダの頂面上に配置された金属化層から形成され、金属化層は、支持フレームおよびダイヤモンドヒートスプレッダの頂面上に1つまたは複数の導電トラックを形成するようにパターニングされる。支持フレームの頂面には、1つまたは複数の半導体構成要素が取り付けられて結合される。さらに、ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面は、リードフレームの頂面と共平面である(たとえば、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、50μm、30μm、または20μmの範囲内)。この構成では、セラミック支持とダイヤモンドヒートスプレッダの両方にわたって平面の金属化された表面を提供し、それにより、単一の金属化層を介してダイヤモンドヒートスプレッダとセラミック支持フレームの両方に1つまたは複数の半導体構成要素を容易に取り付けて、電気的に接続することができる。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、上記の電子デバイス構成要素内で使用するための熱拡散基板が提供され、熱拡散基板は、
支持フレームであって、頂面、底面、および支持フレームの頂面と底面との間に延びる開口を備える支持フレームと、
頂面および底面を有する人工ダイヤモンド材料のウェーハを備えるダイヤモンドヒートスプレッダであって、ダイヤモンドヒートスプレッダが支持フレーム内の開口にわたって延びるように支持フレームに結合されるダイヤモンドヒートスプレッダとを備え、
支持フレームは、電気絶縁セラミック材料から形成される。
そのような熱拡散基板は、セラミック支持フレームの頂面および/もしくは底面ならびに/またはダイヤモンドヒートスプレッダの頂面および/もしくは底面上に配置された金属化層をさらに備えることができる。そのようなパッケージ構成は、所望の回路設計に応じて金属化層をパターニングし、ダイヤモンドヒートスプレッダおよび任意選択でセラミック支持フレーム上へ半導体構成要素を取り付け、次いで電子デバイス構成要素をカプセル化することができる電子デバイス製造者に販売することができる。この場合も、熱拡散基板に対する1つの構成は、ダイヤモンドヒートスプレッダの面および支持フレームの頂面に対して共平面の配置を提供し、支持フレームの頂面およびダイヤモンドヒートスプレッダの頂面上に配置された金属化層を提供することである。
【0018】
また、熱拡散基板を製作する方法が提供され、この方法は、
ダイヤモンドヒートスプレッダを未焼結セラミック体内に取り付けるステップと、
未焼結セラミック体を焼成し、それによってセラミック体がダイヤモンドヒートスプレッダの周りで収縮して硬化し、したがってダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック体に直接結合し、ダイヤモンドヒートスプレッダの周りにセラミック支持フレームを形成するステップと、
ダイヤモンドヒートスプレッダおよびセラミック支持フレームの頂面を金属化するステップとを含む。
【0019】
この方法は、ダイヤモンドヒートスプレッダおよびセラミック支持フレームの直接結合を可能にし、金属化層がこの結合を横切る。はんだおよび金属ろうなどの結合剤の使用を回避することによって、結合剤を介する短絡の可能性が回避される。
電子デバイス構成要素は、放熱器に取り付けることができ、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面が放熱器とのインターフェースを形成する。
本明細書に記載する電子デバイス構成要素は、半導体構成要素をダイヤモンドヒートスプレッダの頂面上に直接取り付けることを可能にしながら、それでもなおダイヤモンドヒートスプレッダの底面は露出されたままにし、その結果、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面は、放熱器との直接熱インターフェースを形成することができる。放熱器は、金属とすることができ、支持フレームは絶縁セラミックであるため、放熱器と、ダイヤモンドヒートスプレッダが中に取り付けられたセラミック支持フレームの頂面上に設けられる電気回路との間の短絡に伴う問題は生じない。
【0020】
本発明をより良く理解し、本発明をどのように実行に移すことができるかを示すために、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して、例としてのみ次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】金属ヒートスプレッダを備える電子デバイス構成の横断面図である(本発明によるものではない)。
【
図2】金属ヒートスプレッダを備え、金属ヒートスプレッダの頂面上にダイヤモンドヒートスプレッダが取り付けられた電子デバイス構成の横断面図である(本発明によるものではない)。
【
図3】金属ヒートスプレッダを備え、金属ヒートスプレッダ内に形成された窓内にダイヤモンドヒートスプレッダが取り付けられた電子デバイス構成の横断面図である(本発明によるものではない)。
【
図4】セラミック支持フレームを備え、セラミック支持フレーム内に形成された窓内にダイヤモンドヒートスプレッダが取り付けられた電子デバイス構成の横断面図である。
【
図5】見やすいようにカプセル化キャップが除去された、放熱器上に取り付ける前の
図4の電子デバイス構成要素の横断面図である。
【
図6】セラミック支持フレーム内のダイヤモンドヒートスプレッダ上に取り付けられた半導体構成要素と、セラミック支持フレーム上に取り付けられた極端な熱管理を必要としないさらなる半導体構成要素とを備え、金属化が半導体構成要素を接続するためのトラックを形成する別の電子デバイス構成要素の横断面および平面図である。
【
図7】セラミック支持フレーム内のダイヤモンドヒートスプレッダ上に取り付けられた半導体構成要素と、セラミック支持フレーム上に取り付けられた極端な熱管理を必要としないさらなる半導体構成要素とを備え、金属化が半導体構成要素を接続するためのトラックを形成する別の電子デバイス構成要素の横断面および平面図である。
【
図8】複数のダイヤモンドヒートスプレッダが取り付けられたセラミック支持フレームを備える別の電子デバイス構成要素の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜3は、本明細書の背景部分で論じた本発明の状況を定めるのに役立ついくつかの可能な電子デバイス構成を示す。
本発明による電子デバイス構成の一例を
図4に示す。
図4に示す構成は、結合材料5を介してダイヤモンドヒートスプレッダ3上に取り付けられた半導体構成要素2を備える。ダイヤモンドヒートスプレッダ3は、結合材料42を介して電気絶縁セラミック支持フレーム40内の窓内へ取り付けられる。電気絶縁セラミックフレーム42上には電気的接続44が取り付けられ、1つまたは複数の半導体構成要素に電気的に接続するように構成される。このパッケージは、カプセル化キャップ4
5によってカプセル化され、結合材料48を介して金属放熱器46上に取り付けられる。放熱器46上には、電気的接続44を放熱器46から電気的に絶縁するために、絶縁層50が設けられる。通常、絶縁層50上には回路が取り付けられ、すなわちプリント回路基板とすることができる。
図4に示す構成は、
図3に示す構成に類似しているが、
図3の金属ヒートスプレッダ4および電気絶縁セラミックフレーム8は単一の電気絶縁セラミック支持フレームに置き換えられ、この電気絶縁セラミック支持フレームにダイヤモンドヒートスプレッダが結合される。
図4の構成では、ダイヤモンドヒートスプレッダが結合される支持フレームは電気絶縁性を有するため、電気絶縁セラミック支持フレーム上に直接、1つまたは複数の電気的接続を取り付けて、1つまたは複数の半導体構成要素に電気的に接続するように構成することができる。
【0023】
発明の概要の部分で記載したように、本発明者らは、ダイヤモンドヒートスプレッダが電気絶縁セラミック支持プレートに直接結合されるようにダイヤモンドヒートスプレッダを使用するとき、従来技術の配置で提供される金属ヒートスプレッダまたはフランジを完全に不要にすることができることを実現した。この修正には、欧州特許第0932199号に記載されている
図3に示す構成と比較するといくつかの利点がある。
(i)金属の熱拡散フレームを不要にすることによって、構成はより小型で簡単な構造になる。支持フレームを電気的接続から電気的に絶縁する別個の構成要素を有するという要件はなくなる。
(ii)ダイヤモンドヒートスプレッダと支持フレームとの間の熱インターフェースがより良好になる。金属材料は主に電子の流れを介して熱を伝導するのに対して、ダイヤモンドおよび電気絶縁セラミックでは、熱はフォノンを介して伝導される。電気絶縁セラミック支持フレームに直接熱接触してダイヤモンドヒートスプレッダを設けることによって、ダイヤモンドヒートスプレッダ内とセラミック支持フレーム内の両方で熱はフォノンを介して流れ、それにより、ダイヤモンドヒートスプレッダと電気絶縁セラミック支持フレームとの間の障壁での熱伝達に役立つことができる。対照的に、ダイヤモンドヒートスプレッダが金属の支持フレームに結合されるとき、ダイヤモンド材料内のフォノンによる熱流機構と金属材料内の電子による熱流機構との間の遷移が、熱伝達に対する抵抗障壁をもたらす可能性がある。
(iii)電気絶縁セラミック支持フレームおよび電気絶縁セラミック支持フレーム内に結合されたダイヤモンドヒートスプレッダ上に直接、電気トラックを形成することができ、それにより個々のワイア接続に対する要件なく、ダイヤモンドヒートスプレッダ上に取り付けられた構成要素に電気的接続を提供するというさらなる融通性が与えられる。
(iv)セラミック支持フレーム上には、極端な熱管理を必要としない他の電気構成要素を取り付けることができ、これにより、項目(iii)に記載の金属化されたトラックと組み合わせて、ダイヤモンド/セラミックヒートスプレッダ構成要素上に複雑な回路を提供するというさらなる融通性が与えられる。
【0024】
セラミック支持フレームは、電子構成要素がその上に取り付けられた状態でダイヤモンドヒートスプレッダを支持するのに十分な機械安定性を提供するように選択された電気絶縁セラミック材料から製作されるべきである。セラミック支持フレームは、少なくとも50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、500μm、または600μmの厚さを有することができる。また、使用の際に膨張係数の不一致がセラミック支持フレームからのダイヤモンドヒートスプレッダの剥離を招かないことを確実にするために、様々な動作温度にわたってダイヤモンドヒートスプレッダの熱膨張係数にかなりよく一致する熱膨張係数を有するセラミック材料を選択することが好ましい。加えて、ダイヤモンドヒートスプレッダ上の半導体構成要素および任意選択でセラミック支持フレーム上に取り付けられた他の半導体構成要素によって生成される熱をさらに拡散するために、かなり高い熱伝導率を有するセラミック材料を選択することが好ましい。電気絶縁セラミック支持フレームに適した材料の例には、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、または炭化ケイ素の1つまたは複数が含まれる。
【0025】
図4に示すセラミック支持フレーム40は実質上平面であるが、セラミック支持フレームの頂面の中心領域が周辺領域に対して凹んでいる凹面のセラミック支持フレームを提供することも可能である。この点に関して、
図3に示す複合的な金属フランジ4および電気絶縁セラミックフレーム8の構成に類似の幾何形状を有する単体のセラミック構成要素を設けることができる。周辺領域を高くしたそのような幾何形状は、特定の適用分野に適したワイアボンド構成を提供するのに有用になる可能性がある。
【0026】
図5は、見やすいようにカプセル化キャップが除去された、放熱器上に取り付ける前の
図4の電子デバイス構成要素の横断面図を示す。電子デバイス構成要素は、結合材料42を使用してダイヤモンドヒートスプレッダ3をセラミックフレーム40内の窓内へ結合することによって構築することができる。ダイヤモンド/セラミックの熱拡散構成要素は、平坦化することができ、任意選択で金属化することができる。発明の概要の部分で記載したように、そのような熱拡散基板は、所望の回路設計に応じて金属化層をパターニングし、適した結合材料5を使用してダイヤモンドヒートスプレッダ3上へ1つまたは複数の半導体構成要素2を取り付け、次いでパッケージをカプセル化し、後にパッケージを放熱器上へ取り付けることができる電子デバイス製造者に販売することができる。
【0027】
図6および
図7は、セラミック支持フレーム64内のダイヤモンドヒートスプレッダ62上に取り付けられた半導体構成要素60と、セラミック支持フレーム64上に取り付けられた極端な熱管理を必要としないさらなる半導体構成要素66と、半導体構成要素60、66を接続するトラックを形成するための金属化68とを備える別の電子デバイス構成要素の横断面および平面図を示す。
【0028】
単一のダイヤモンドヒートスプレッダがセラミック支持フレーム内に取り付けられ、単一のダイヤモンドヒートスプレッダ上またはセラミック支持フレーム上に半導体構成要素が取り付けられる
図6および
図7に示す配置に対する代替手段として、2つ以上のダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレーム内に取り付けることもできる。すなわち、電子デバイス構成要素は、少なくとも2つの開口を有する絶縁セラミック支持フレームを備えることができ、各開口にわたってダイヤモンドヒートスプレッダが延びる。次いで、各ダイヤモンドヒートスプレッダ上に1つまたは複数の半導体構成要素を取り付けることができる。セラミック支持フレーム上には、そのような極端な熱管理を必要としないさらなる半導体構成要素を取り付けることができる。任意選択で、ダイヤモンドヒートスプレッダおよび/またはセラミック支持フレーム上に取り付けられた半導体構成要素を結び付ける電気トラックを、基板上に設けることができる。特定の構成では、その上に取り付けられた異なる半導体構成要素に必要とされる異なる熱拡散特性を提供するために、セラミック支持フレーム内に取り付けられた異なるダイヤモンドヒートスプレッダ間で、幾何形状(たとえば、厚さ)および/またはダイヤモンド材料の等級(たとえば、熱伝導率)を変更することができる。すなわち、異なる電力定格および/または動作温度を有する半導体デバイスに合わせて最適化された複数の異なるダイヤモンドヒートスプレッダを設けることができる。
【0029】
図8は、1つのそのような構成の概略横断面図を示す。2つの開口を備えるセラミック支持フレーム80が設けられ、これらの開口内に、ダイヤモンドヒートスプレッダ82、84が取り付けられる。ダイヤモンドヒートスプレッダ82、84上には、半導体構成要素86、88が取り付けられる。図示の配置では、ダイヤモンドヒートスプレッダ82は、ダイヤモンドヒートスプレッダ84より厚い。図示の配置では、セラミック支持フレーム80の頂面上にさらなる半導体構成要素90が取り付けられる。セラミック支持フレーム80の上には、半導体構成要素86、88、90を接続するために、導電トラック92が設けられる。
【0030】
追加の支持基板またはキャリアパッドを必要とすることなく、1つまたは複数の半導体ダイを支持することが可能になるような強度および厚さを有するダイヤモンドヒートスプレッダを設けるべきであり、したがって全体的な電子デバイスパッケージの高さの低減を可能にする。さらに、ダイヤモンドヒートスプレッダは、半導体ダイから熱を効率的に除去して、ホットスポットの温度を低減させ、ダイヤモンドヒートスプレッダと上にある半導体ダイとの間の熱膨張係数の不一致によって引き起こされる応力を最小にするように、各半導体ダイの所与の動作電力密度にとって十分に高い熱伝導率を有する。この特徴は、複数の半導体ダイをダイヤモンドヒートスプレッダの頂面に直接結合するのに適した熱伝導結合材料の選択とともに、熱により生成された応力のために使用できなくなることのない半導体ダイ構成要素の確実な結合を可能にする。セラミック支持フレームにわたって、かつデバイスパッケージの外へ、半導体ダイを電気的に接続するように、電気的接続が構成される。好ましくは、半導体ダイ構成要素および電気的接続をカプセル材の中に入れて、頑丈な安定した製品を形成する。標準的なカプセル材料を利用することができ、または別法として低温CVDダイヤモンドカプセル材を設けることができる。しかしまた、電子デバイス構成要素がカプセル化されていない状態で製造および販売される可能性もあることが想定される。
【0031】
ダイヤモンドヒートスプレッダは、セラミック支持フレームの開口内に取り付けることができ、それにより、ダイヤモンドヒートスプレッダの少なくとも大部分の体積が、セラミック支持フレームの開口内に位置するようになっている。
図4に示す構成の1つの有用な特徴は、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面が、セラミック支持フレームの底面と実質上共平面になるように位置決めされることである。これにより、露出したダイヤモンドヒートスプレッダと実質上平面の下面を有する電子デバイスパッケージが提供される。そのような構成は、使用の際に電子デバイス構成要素を放熱器に容易に取り付けることを可能にする。たとえば、セラミック支持フレームは、1つまたは複数のねじ孔を備えることができ、それにより単に電子デバイス構成要素を放熱器の頂面上へねじ留めすることによって、電子デバイス構成要素を放熱器上へ機械的に取り付けて、ダイヤモンドヒートスプレッダとの熱接触を提供することができる。
【0032】
本発明者らは、高品質の多結晶CVD人工ダイヤモンドウェーハまたは単結晶人工ダイヤモンドプレートから形成されたものなどの人工ダイヤモンドヒートスプレッダが、選択された結合技法とともに、そのようなウェーハを組み込む電子デバイス構成要素の新しい設計を可能にする特徴を有することを実現した。電子デバイス構成要素構造の新しい設計は、以前の設計より小型であり、様々な放熱器の材料および構成を利用する広い範囲の電子デバイスパッケージの幾何形状タイプ、構成、および適用分野に容易に組み込まれる。たとえば、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)規格の一連のパッケージ幾何形状が挙げられる。
【0033】
高品質の多結晶CVD人工ダイヤモンドウェーハまたは単結晶人工ダイヤモンドプレートは、少なくとも50μmの厚さを有することができ、任意選択で、多結晶CVDダイヤモンドウェーハの核形成面で少なくとも300MPaの引張破断強度、多結晶CVDダイヤモンドウェーハの成長面で少なくとも200MPaの引張破断強度、および少なくとも600Wm
-1K
-1の熱伝導率を有することができる。そのようなウェーハは、複数の半導体ダイをそのようなウェーハ上に取り付けるだけでなく、それらのウェーハをセラミックリードフレーム内に取り付けることも可能になるように十分に頑丈であり、それにより、ダイヤモンド材料は、熱拡散機能を提供することに加えて、米国特許出願公開第2012/0003794号に記載されているようにダイヤモンドヒートスプレッダおよび半導体ダイを支持するのに構造内に一体化されたキャリアパッドを必要とすることなく、半導体ダイに対する支持基板として機能する。
【0034】
頑丈な取付け構成を提供するために、ダイヤモンドヒートスプレッダは、結合材料によってセラミック支持フレームの開口内に取り付けることができ、それにより、ダイヤモンドヒートスプレッダの少なくとも大部分の体積が、セラミック支持フレームの開口内に位置するようになっている。さらに、電子デバイス内の様々な一般的な通常は平面の放熱器に電子デバイス構成要素を取り付けることができることを確実にするために、ダイヤモンドヒートスプレッダは、セラミック支持フレームの開口内に取り付けられ、それにより、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面が、セラミックリードフレームの底面と共平面になり、またはセラミックリードフレームの底面から外方に位置するようになっている。
加えて、半導体ダイとダイヤモンドヒートスプレッダとの間の良好な熱接触を提供しながら、半導体ダイとダイヤモンドヒートスプレッダとの間の熱膨張の不一致を補償するのに十分な融通性を有するために、ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面上に複数の半導体ダイを取り付けて結合することができるように、熱伝導結合材料を選択することができることが分かった。したがって、米国特許出願公開第2010/0149756号に記載されているように半導体ダイが別個の支持基板に取り付けられるより複雑な取付け配置を回避することができる。
【0035】
セラミック支持フレームは、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面が放熱器とのインターフェースを形成する状態で、電子デバイス構成要素を放熱器に取り付けるために、1つまたは複数の機械コネクタを備えることができる。前述の実施形態では、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面は、セラミックリードフレームの底面と実質上共平面になるように位置決めされる。しかし、代替の配置では、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面がセラミック支持フレームの底面から外方に位置することができることが想定される。たとえば、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面は、セラミック支持フレームの底面によって画定される平面から500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、50μm、30μm、または20μm以下のところに位置する平面を画定することができる。同様に、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面は、セラミック支持フレームの底面によって画定される平面から5μm、20μm、35μm、50μm、75μm、100μm、150μm、200μm、または300μm以下のところに位置する平面を画定することができる。
【0036】
別法または追加として、機械コネクタは、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面が放熱器とのインターフェースを形成する状態で、セラミック支持フレームの底面に取り付けられた放熱器からセラミック支持フレームの底面を隔置するために、1つまたは複数のスペーサ要素をセラミック支持フレームの底面上に備えることができる。
【0037】
前述のように、ダイヤモンドヒートスプレッダの厚さ、引張強度、および熱伝導率は、頑丈な取付けおよび支持と、使用の際にホットスポットを低減させる効率的な熱拡散機能との両方を確実にし、熱的に安定して頑丈であるダイヤモンドヒートスプレッダ上に半導体ダイを直接結合する構成を可能にするように選択されるべきである。したがって、ダイヤモンドヒートスプレッダを形成するダイヤモンド材料は、
少なくとも50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、500μm、または600μmの厚さ、
少なくとも600Wm
-1K
-1、800Wm
-1K
-1、1000Wm
-1K
-1、1200Wm
-1K
-1、または1400Wm
-1K
-1の熱伝導率(たとえば、レーザフラッシュによって平面を通って測定される)、
倍率nを1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、または2として、多結晶CVDダイヤモンドウェーハの核形成面で、100〜500μmの厚さの場合は760MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合は700MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合は650MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合は600MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合は550MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合は500MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合は450MPa×n以上、または2000μm以上の厚さの場合は400MPa×n以上の引張破断強度、
倍率nを1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、または2として、多結晶CVDダイヤモンドウェーハの成長面で、100〜500μmの厚さの場合は330MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合は300MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合は275MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合は250MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合は225MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合は200MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合は175MPa×n以上、または2000μm以上の厚さの場合は150MPa×n以上の引張破断強度、
750MPa以上の破壊応力を有する単結晶ダイヤモンドプレート、および
20μm以下、10μm以下、または5μm以下の表面平坦性という特徴の1つまたは複数を含むことができる。
【0038】
高い熱伝導率を有するダイヤモンド材料をダイヤモンドヒートスプレッダに使用することが有利である。これは、場合によっては直接測定することができるが、小さいサンプルまたは薄い層上で行うには困難な可能性がある。とは言っても、体系的な測定は、熱伝導率と光学吸収との間の関係を示す。具体的には、熱伝導率(たとえば、レーザフラッシュによって測定される)は、CH
xの欠陥に関連する吸収特徴に相関することが示されている(Twitchen, Pickles, Coe, Sussmann, Hall, Diamond & Related Materials 10 (2001) 731-735)。したがって、周波数2760cm
-1〜3030cm
-1の積分吸収(cm
-1単位)を測定することができ、熱伝導率を推論することができる。したがって、ダイヤモンド材料は、3.0cm
-1、2.5cm
-1、2.0cm
-1、1.5cm
-1、1.2cm
-1、1.0cm
-1、0.8cm
-1、または0.6cm
-1以下の光吸収を呈することができる。
【0039】
ダイヤモンドヒートスプレッダがデバイス構成要素を電気的に分離するようにも機能する特定の適用分野の場合、ダイヤモンドの別の主要な特性は、電気絶縁性である。たとえば、ヒートスプレッダのダイヤモンド材料は、1×10
10Ωcm、3×10
10Ωcm、1×10
11Ωcm、3×10
11Ωcm、または1×10
12Ωcm以上の電気抵抗率を有することができる。
また、より厚いダイヤモンドヒートスプレッダは、使用の際に半導体ダイの下でホットスポットからの横方向の熱拡散を増大させ、それにより、半導体ダイの熱管理を改善するとともに、半導体ダイとダイヤモンドヒートスプレッダとの間の結合が熱誘起機械応力による障害を受けにくいことを確実にすることができることに留意されたい。しかし、特定の適用分野の場合、人工ダイヤモンド材料の比較的薄いウェーハを利用することができ、熱伝導は主に垂直方向に生じ、それにより熱が下にある放熱器内へ直接輸送される。そのような配置は、半導体ダイ内で生成される温度がそれほど極端ではない適用分野、または電子デバイスパッケージが極めて効率的な放熱器に取り付けられる適用分野で使用することができる。
【0040】
薄いダイヤモンド層内では、熱伝導率は、極端に小さい粒径、したがって不十分な熱伝導率を有する核形成層による影響を受けており、当技術分野では知られているラッピングおよび研磨技法を使用してこれを除去した方がよい。処理後でも、多結晶CVDダイヤモンドウェーハのうち成長表面に最も近かった側を半導体ダイに対して配置し、核形成側に最も近かった側を電子デバイスパッケージ、最終的には放熱器の外部の方へ配置した方がよい。好ましくは、半導体ダイが結合されるダイヤモンドヒートスプレッダの頂面の粒径は、2μm、3μm、5μm、7μm、10μm、13μm、15μmを超過するべきである。好ましくは、放熱器とのインターフェースを形成するためのダイヤモンドヒートスプレッダの底面の粒径は、0.5μm、1μm、2μm、3μm、5μm、7μm、10μmを超過するべきである。好ましくは、ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面の粒径は、ヒートスプレッダの底面の粒径を超過するべきである。好ましくは、核形成層の少なくとも5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μmは、取付け前にダイヤモンドヒートスプレッダから除去されるべきである。
【0041】
放熱器の方へ露出されたダイヤモンドヒートスプレッダの底面の横方向寸法は、半導体ダイの高温領域の横方向寸法を、少なくともダイヤモンドヒートスプレッダの厚さだけ、好ましくは少なくとも100μm、300μm、500μm、750μm、1mm、1.3mm、1.7mm、2mmだけ超過するべきである。より大きい横方向寸法は、効率的な放熱のために、使用の際、電子デバイス構成要素が取り付けられた放熱器への熱拡散および熱伝達に役立つ。
【0042】
前述の材料の特徴について、主に高品質の多結晶CVD人工ダイヤモンドウェーハに関連して説明してきたが、本発明者らは、単結晶人工ダイヤモンドプレートを利用することによって、類似のまたはより良好な特徴を提供することもできることにも注目した。ただし、特定の適用分野では、そのような材料の使用はコストおよびサイズによって制限される可能性がある。
【0043】
ダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレームの開口内に取り付ける結合材料は、これらの構成要素間の結合を維持しながら、使用の際に熱膨張係数の不一致による構成要素の相対的な変位を吸収するのに十分な弾性を有する任意の材料によって提供することができる。例には、ポリマー接着剤、セラミックセメント、エポキシ、金属はんだ、および金属ろうが含まれる。特定の実施形態では、ダイヤモンドヒートスプレッダとセラミック支持フレームとの間の結合は、デバイス構造の上にあるカプセル材料によって提供することができる。さらに別法として、セラミック支持フレームは、たとえばダイヤモンドヒートスプレッダがセラミック支持フレーム内に取り付けられた状態でセラミックを焼成することによって、ダイヤモンドヒートスプレッダに直接結合することができる。
【0044】
ダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレームに結合するために金属ろうが使用される場合、ろう自体が導電性を有する。次いで頂面がろう接合部を横切って金属化される場合、ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面と底面との間にろう接合部を介して導電経路が生じることとなる。ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面と底面との間に電気的分離が必要とされない場合、ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面および底面は完全に金属化することができる(ろう接合部を横切る箇所を含む)。しかし、ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面と底面との間に電気的分離が必要とされる場合、金属化およびろう接合部は、ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面と底面との間にろう接合部を介して導電経路が存在しないように構成されなければならない。たとえば、ダイヤモンドヒートスプレッダの頂面と底面との間にろう接合部を介して導電経路が生じるのを回避するために、ダイヤモンドヒートスプレッダ/セラミック支持フレームのアセンブリの表面金属化部において、ろう接合部に間隙を設けることができる。ダイヤモンドヒートスプレッダとセラミック支持フレームとの間の結合に軟質または硬質金属はんだを使用するときも、類似の記述が当てはまる。
上記の金属の導電結合材料に対する代替手段として、ダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレームに結合するために、電気絶縁結合材料を使用することもできる。そのような材料の一例は、セラミックセメントである。そのような電気絶縁結合は、ダイヤモンドヒートスプレッダ−結合−セラミック支持プレートのアセンブリにわたって表面金属化を可能にしながら、アセンブリの頂面および底面が電気的に分離されることを確実にする。
【0045】
ダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレームに結合するさらに別の代替手段は、ダイヤモンドヒートスプレッダとセラミック支持フレームとの間にいかなる追加の結合材料も用いることなく、ダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレームに直接結合することである。これは、セラミック支持プレート内へダイヤモンドヒートスプレッダを焼成することによって実現することができる。たとえば、ダイヤモンドヒートスプレッダは、焼成前に未焼結セラミック体内へ取り付けることができ、次いでこのアセンブリを焼成することができ、それによりセラミックはダイヤモンドヒートスプレッダの周りに収縮して硬化し、したがってダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレームに直接結合する。次いで、このアセンブリを金属化することができ、ダイヤモンドヒートスプレッダとセラミック支持フレームとの間には導電性(または他の)結合材料が存在しないため、アセンブリの頂面と底面との間の電気的分離を保持しながら、ダイヤモンドヒートスプレッダとセラミック支持フレームとの間のインターフェースにわたってアセンブリを金属化することができる。
【0046】
複数の半導体ダイをダイヤモンドヒートスプレッダに取り付けるために利用される結合材料は、有利には、熱伝導性と、これらの構成要素間の結合を維持しながら、使用の際に熱膨張係数の不一致による構成要素の相対的な変位を吸収するのに十分な弾性との両方を有する。複数の半導体ダイをダイヤモンドヒートスプレッダに取り付ける熱伝導結合は、少なくとも50Wm
-1K
-1、100Wm
-1K
-1、200Wm
-1K
-1、または300Wm
-1K
-1の熱伝導率を有することができる。そのような熱伝導率は、半導体ダイからダイヤモンドヒートスプレッダ内へ熱を効率的に伝達することが有利である。例には、熱伝導ポリマーまたはエポキシ接着剤、セラミックセメント、ならびにはんだおよびろうなどの金属結合が含まれる。金属ろう結合などの金属結合方法が利用される場合、典型的には動作温度で、結合された構成要素の何らかの機械的変位を可能にする金属組成を選択することが可能である。
【0047】
前述の配置は、ダイヤモンドヒートスプレッダがセラミック支持フレームの開口内に取り付けられて結合される構成を備える。ダイヤモンドヒートスプレッダの底面は、セラミック支持フレームの下面と共平面になるように、またはセラミック支持フレームの下面から突出するように位置し、上面は、セラミック支持フレームの上面と共平面になるように、またはセラミック支持フレームの上面を越えてさらに突出するように、開口内に位置することができる。さらに、ダイヤモンドヒートスプレッダは、全体として多結晶CVD人工ダイヤモンドウェーハまたは単結晶人工ダイヤモンドプレートから製作することができるが、ダイヤモンドヒートスプレッダは、ヒートスプレッダを形成するための2次熱拡散材料内に多結晶CVD人工ダイヤモンドウェーハまたは単結晶人工ダイヤモンドプレートが取り付けられる複合構造を備えることができることも想定される。たとえば、1つの構成では、ダイヤモンドヒートスプレッダは、多結晶CVD人工ダイヤモンドウェーハ内に取り付けられた1つまたは複数の単結晶人工ダイヤモンドプレートを備えることができる。そのような配置では、リードフレームに取り付けられたとき、ダイヤモンド材料の頂面および底面が露出され、それにより使用の際、頂面上に半導体ダイを取り付けることができ、底面を外部の放熱器に取り付けることができる。
【0048】
特定の取付け構成では、くさび状または階段状の側壁を有する開口を有するセラミック支持フレームを提供し、この側壁にダイヤモンドヒートスプレッダが取り付けられることが有利である。これは、ダイヤモンドヒートスプレッダのより頑丈な取付けを提供するのに役立ち、またダイヤモンドヒートスプレッダの頂面および/または底面をセラミック支持フレームの頂面および/または底面に対して正確かつ確実に位置決めするのに役立つことができる。
製造手段に関して、1つの方法は、ダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレーム内に取り付け、次いでダイヤモンドヒートスプレッダ上へ半導体ダイを取り付けることである。しかし、半導体ダイをダイヤモンドヒートスプレッダに結合するために使用される取付け材料と比較すると、ダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレームに対して保持する取付け材料に関する制約はより少ないため、特定の実施形態では、半導体ダイをダイヤモンドヒートスプレッダに取り付け、次いでダイヤモンドヒートスプレッダをセラミック支持フレームに取り付けることが好ましい可能性がある。ダイヤモンドヒートスプレッダに対する半導体ダイの取付けは、ダイヤモンドがまだ独立したウェーハの形であるときでも行うことができ、これは、大量処理の場合に役立つことができる。
【0049】
前述の例はすべて、ダイヤモンドヒートスプレッダがセラミック支持フレームの開口内に取り付けられた配置を備えるが、想定されるさらに別の代替手段は、ダイヤモンドヒートスプレッダが開口にわたって延びるように、ダイヤモンドヒートスプレッダがセラミック支持フレーム内の開口の周りで結合材料によってセラミック支持フレームの底面に取り付けられた取付け配置である。他の点に関しては、電子デバイスパッケージの構成要素は、前述の構成要素と同じにすることができる。そのような構成では、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面は、支持フレームの下面から隔置された平面内に位置する。支持フレームまたはスペーサ要素のコンプライアンスを使用して、そのような配置を放熱器の平面の表面に取り付けることができることを確実にすることができる。
【0050】
前述の電子デバイス構成要素は、様々な電子デバイス内へ取り付けるための製品として販売することができる。これらの電子デバイス構成要素は、カプセル化された構成要素として販売することができ、電子デバイス構成要素が組み込まれる電子デバイスの構成に応じて、様々な放熱器に取り付けることができる。電子デバイス構成要素の構成は、特定の適用分野に合わせて適切に熱管理された電子デバイス構成要素を実現するために、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面が放熱器とのインターフェースを形成する小型で容易に取り付けることができるような構成である。本発明の実施形態は、熱経路を簡略化して、内部のダイから外部の放熱器へのはるかに良好な熱伝導率を与え、その結果、デバイスの温度が上昇することなく、電子デバイス構成要素の後部と放熱器との間の接触面積を低減させ、したがってより高い包装密度を可能にすることができる。別法として、同じインターフェース面積を保持して、より低い結合温度およびより長いデバイス寿命を与えることができる。
【0051】
様々な形の放熱器が想定され、様々な放熱器に容易に取り付けることができることは、本明細書に記載する構成要素の構成の重要な特徴である。しかし、特定の適用分野では、放熱器がシリコン接合ダイヤモンド(ScD)複合材料などのダイヤモンド複合材料から形成されることが想定される。そのような解決策は、熱拡散機能と放熱機能の両方に対してダイヤモンド材料の極端な熱性能を利用しており、多結晶CVDダイヤモンド材料のより薄いウェーハをヒートスプレッダに利用することを可能にすることができる。有利には、放熱器は、環境に対して熱を効果的に放散するために、高い熱伝導率と大きい表面積の両方を有する。
【0052】
ScD外部放熱器に対する代替手段として、放熱器は、たとえば国際公開第2004/034466号に記載されているダイヤモンドで被覆されたScDによって提供することもできる。後者の構成では、電子デバイス構成要素内のダイヤモンドヒートスプレッダを薄いまま保つことができ、このとき、熱を横方向にならびに平面を通って拡散するダイヤモンドの利益は、ScD放熱器上のダイヤモンド層によって部分的に提供することができ、ダイヤモンド層の粒径は、ScDの表面でダイヤモンド結晶上にエピタキシャル成長する効果によって、典型的な核形成層の粒径から向上させることができる。別法として、別の形のCVDダイヤモンドに基づく放熱器の前面は、被覆として、または独立層として、提供することもできる。放熱器の一部を形成するさらなるダイヤモンド層上へ取り付けられた電子デバイス構成要素内にダイヤモンドを組み合わせることで、可能な限り最大の性能の向上が得られる。放熱器に付随する外部のダイヤモンド層は、有利には、いくつかの適用分野では低い導電率を有することができるが、他の適用分野では、電子デバイス構成要素内のダイヤモンド層によって電気的分離を提供することができるため、高い導電性を有することができる(たとえば、ホウ素ドーパントを含有する)。
【0053】
電子デバイス構成要素の構造により、放熱器は、電子デバイス構成要素との平面の表面のインターフェースを容易に形成することができる。さらに、放熱器は、効率的な放熱を確実にするために、セラミック支持フレームの底面の少なくとも一部分の下で、ダイヤモンドヒートスプレッダの底面全体にわたって延びることができる。ダイヤモンドヒートスプレッダと下にある放熱器との間には、これらの構成要素間に良好な熱接触を提供するために、熱伝導性インターフェース材料を設けることができる。概して、これは強度または取付け特性をほとんどもたない熱ペーストである。なぜなら、これらの要件が支持フレーム内へ組み込まれる機械的取付け特徴によって提供されるからである。しかし、導電性エポキシ材料などの他のインターフェース材料を設けることもできる。
【0054】
本明細書に記載する電子デバイス構成要素の構成は、半導体ダイ構成要素および半導体ダイモジュールのサイズの低減を可能にする。これは、半導体ダイ構成要素に密接に熱接触して取り付けられた高品質の多結晶CVD人工ダイヤモンド材料を使用して、局部的なヒートスポットからの熱をより効果的に拡散し、それに続いて特定の適用分野に合わせて最適化されるように選択することができる放熱を行うことによって可能になる。各半導体ダイ構成要素は、ダイヤモンドヒートスプレッダ上に取り付けられたとき、ダイヤモンドヒートスプレッダとの熱接触表面積が0.2mm
2〜400mm
2の範囲内になるように構成することができる。特定の配置では、電子デバイス構成要素のダイヤモンドヒートスプレッダ上に1〜10個の半導体ダイが取り付けられて半導体ダイモジュールを形成することが想定される。
【0055】
ダイ構成要素は、垂直方向に向けられた電気コネクタまたは水平方向に向けられた電子コネクタを有するように構成することができる。水平方向に向けられた電気コネクタを有する半導体ダイ構成要素は、ダイヤモンドヒートスプレッダの上に電気的接続を作ることができるため、本発明で使用することが好ましい可能性があることが想定される。対照的に、垂直方向に向けられた電気コネクタを有する半導体ダイ構成要素では、電気的接続がダイヤモンドヒートスプレッダの縁部と支持フレーム内の開口の側壁との間の開口の周辺領域を通過するように、ダイヤモンドヒートスプレッダ内にあけた孔を通って、またはダイヤモンドヒートスプレッダの周縁部の周りに、電気コネクタが位置する必要がある。
【0056】
本発明について、実施形態を参照して特に図示および記載してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細に様々な変更を加えることができることが、当業者には理解されよう。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕支持フレームであって、頂面、底面、および支持フレームの前記頂面と前記底面との間に延びる開口を備える支持フレームと、
頂面および底面を有する人工ダイヤモンド材料のウェーハを備えるダイヤモンドヒートスプレッダであって、前記ダイヤモンドヒートスプレッダが前記支持フレーム内の前記開口にわたって延びるように前記支持フレームに結合されるダイヤモンドヒートスプレッダと、
前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に取り付けられて結合された1つまたは複数の半導体構成要素とを備え、
前記支持フレームが、電気絶縁セラミック材料から形成され、前記電気絶縁セラミック材料に前記ダイヤモンドヒートスプレッダが結合され、
前記電気絶縁セラミック支持フレーム上に1つまたは複数の電気的接続が取り付けられ、前記1つまたは複数の半導体構成要素に電気的に接続するように構成され、
前記1つまたは複数の電気的接続が、前記支持フレームの前記頂面および前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に配置された金属化層から形成され、前記金属化層が、前記支持フレームおよび前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に1つまたは複数の導電トラックを形成するようにパターニングされ、
前記支持フレームの前記頂面上に1つまたは複数の半導体構成要素が取り付けられて結合され、
前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面が、500μmの範囲内で、前記リードフレームの前記頂面と共平面である、
電子デバイス構成要素。
〔2〕前記支持フレームおよび/または前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記底面上に金属化層をさらに備える、
前記〔1〕に記載の電子デバイス構成要素。
〔3〕前記支持フレームが2つ以上の開口を備え、前記支持フレーム内の各開口にわたってダイヤモンドヒートスプレッダが延び、
各ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に1つまたは複数の半導体構成要素が取り付けられて結合される、
前記〔1〕または〔2〕に記載の電子デバイス構成要素。
〔4〕前記ダイヤモンドヒートスプレッダの少なくとも2つが、異なる幾何形状を有し、かつ/または異なる熱伝導率を有する異なる等級のダイヤモンド材料から構成される、
前記〔3〕に記載の電子デバイス構成要素。
〔5〕前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記底面が、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、50μm、30μm、または20μmの範囲内で、前記リードフレームの前記底面と共平面である、
前記〔1〕から〔4〕までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
〔6〕前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面が、400μm、300μm、200μm、100μm、50μm、30μm、または20μmの範囲内で、前記リードフレームの前記頂面と共平面である、
前記〔1〕から〔5〕までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
〔7〕前記人工ダイヤモンド材料のウェーハが、多結晶CVDダイヤモンド材料または単結晶ダイヤモンド材料から形成される、
前記〔1〕から〔6〕までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
〔8〕前記電気絶縁セラミック支持フレームが、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、または炭化ケイ素の1つまたは複数から形成される、
前記〔1〕から〔7〕までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
〔9〕前記電気絶縁セラミック支持フレームが、少なくとも50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、500μm、または600μmの厚さを有する、
前記〔1〕から〔8〕までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
〔10〕前記支持フレームの前記頂面と前記底面との間に延びる前記開口が、くさび状または階段状の側壁を備え、前記側壁に前記ダイヤモンドヒートスプレッダが取り付けられる、前記〔1〕から〔9〕までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
〔11〕前記ダイヤモンドヒートスプレッダが、
少なくとも50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、500μm、または600μmの厚さ、
少なくとも600Wm-1K-1、800Wm-1K-1、1000Wm-1K-1、1200Wm-1K-1、または1400Wm-1K-1の熱伝導率、
倍率nを1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、または2として、前記多結晶CVDダイヤモンドウェーハの核形成面で、50〜500μmの厚さの場合は760MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合は700MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合は650MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合は600MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合は550MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合は500MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合は450MPa×n以上、または2000μm以上の厚さの場合は400MPa×n以上の引張破断強度、
倍率nを1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、または2として、前記多結晶CVDダイヤモンドウェーハの成長面で、50〜500μmの厚さの場合は330MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合は300MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合は275MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合は250MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合は225MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合は200MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合は175MPa×n以上、または2000μm以上の厚さの場合は150MPa×n以上の引張破断強度、
750MPa以上の破壊応力を有する単結晶ダイヤモンドプレート、
20μm以下、10μm以下、5μm以下の表面平坦性、
2μm、3μm、5μm、7μm、10μm、13μm、または15μmを超過する頂面粒径、
0.5μm、1μm、2μm、3μm、5μm、7μm、または10μmを超過する底面粒径、
3.0cm-1、2.5cm-1、2.0cm-1、1.5cm-1、1.2cm-1、1.0cm-1、0.8cm-1、または0.6cm-1以下の光吸収、
1×1010Ωcm、3×1010Ωcm、1×1011Ωcm、3×1011Ωcm、または1×1012Ωcm以上の電気抵抗率、という特徴の1つまたは複数をさらに備える、前記〔1〕から〔10〕までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
〔12〕前記ダイヤモンドヒートスプレッダが前記支持フレームに直接結合される、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の電子デバイス構成要素。
〔13〕支持フレームであって、頂面、底面、および支持フレームの前記頂面と前記底面との間に延びる開口を備える支持フレームと、
頂面および底面を有する人工ダイヤモンド材料のウェーハを備えるダイヤモンドヒートスプレッダであって、ダイヤモンドヒートスプレッダが前記支持フレーム内の前記開口にわたって延びるように前記支持フレームに結合されるダイヤモンドヒートスプレッダとを備え、
前記支持フレームが、電気絶縁セラミック材料から形成され、
前記支持フレームの前記頂面および前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面上に金属化層が配置され、
前記ダイヤモンドヒートスプレッダの前記頂面が、500μmの範囲内で、前記支持フレームの前記頂面と共平面である、
前記〔1〕から〔12〕までのいずれか1項に記載の前記電子デバイス構成要素内で使用するための熱拡散基板。
〔14〕熱拡散基板を製作する方法であって、
ダイヤモンドヒートスプレッダを未焼結セラミック体内に取り付けるステップと、
前記未焼結セラミック体を焼成し、それによって前記セラミック体が前記ダイヤモンドヒートスプレッダの周りで収縮して硬化し、したがって前記ダイヤモンドヒートスプレッダを前記セラミック体に直接結合し、前記ダイヤモンドヒートスプレッダの周りにセラミック支持フレームを形成するステップと、
前記ダイヤモンドヒートスプレッダおよび前記セラミック支持フレームの頂面を金属化するステップとを含む方法。