【文献】
斉藤一哉 等,任意断面を持つハニカムコアの展開図設計法,日本機械学会論文集(A編),2012年 3月,Vol. 78, No. 787,p. 76-87
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたアイソグリッド構造体の製造方法は、格子状に形成した金型の溝内に、繊維を、一層ずつ積層しなければならない。そのため、アイソグリッド構造体の製造に長時間を要する。
【0007】
同様に、特許文献2に記載されたアイソグリッド構造体の製造方法は、リブの高さとリブの数に対応する大きさのチューブを成形する必要がある上に、成形したチューブを輪切りにしかつ、多数の輪切りにしたチューブを外板の表面に配置しなければならない。この製造方法は工程数が多いため、アイソグリッド構造体の製造に長時間を要する。
【0008】
また、金属板を削ることによってアイソグリッド構造体を製造する方法も、金属板の大部分を削らなければならないため、アイソグリッド構造体の製造に長い時間が必要である。
【0009】
従って、従来のグリッド補強構造体の製造方法は、製造コストが増大してしまうという問題がある。
【0010】
さらに、特許文献1及び特許文献2に記載されたアイソグリッド構造体の製造方法は、格子状のリブと外板とを、それぞれ個別に成形した後に、両者を接合することによって一体化している。いずれの製造方法も繊維強化樹脂複合材料によってアイソグリッド構造体を製造するが、完成したアイソグリッド構造体において、繊維は、外板とリブとの間で連続しない。リブと外板とを接合することによってアイソグリッド構造体を製造する方法は、繊維強化樹脂複合材料の特性を活かしたアイソグリッド構造体を製造することができないという問題もある。
【0011】
ここに開示する技術はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アイソグリッド構造体又はオルソグリッド構造体を含むグリッド補強構造体を低コストで製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
具体的に、ここに開示する技術は、外板の一面に一体的に設けられた、三角又は四角の格子状のリブを有するグリッド補強構造体を製造する方法に係る。
【0013】
この製造方法は、前記外板を構成するシート材の一面において、三角形又は四角形のセルを規則的に並べると共に、セルとセルとの間に前記リブを構成するためのリブ構成領域を設けた格子状のパターンを設定する工程、前記シート材における前記リブ構成領域が交差する箇所に、前記リブ構成領域が分断するように貫通孔を設ける工程、前記シート材の前記リブ構成領域を折り曲げることによって、前記シート材の一面から凸になったリブを形成する工程、及び、前記貫通孔の位置において、前記リブの端同士を互いに連結する工程、を備えている。
【0014】
この製造方法によると、グリッド補強構造体は、シート材を折り曲げることによって製造される。従来の製造方法とは異なり、グリッド補強構造体を、短時間で製造することができる。
【0015】
より詳細に、この製造方法は、シート材の一面に格子状のパターンを設定する。パターンは、セルと、リブ構成領域とを含む。セルは、グリッド補強構造体において、リブ以外の箇所を構成する。セルの形状は、三角形又は四角形とすればよい。セルは正三角形としてもよい。但し、セルは任意の形の三角形とすることができる。セルは平行四辺形としてもよい。セルはひし形としてもよい。セルは正方形や長方形としてもよい。
【0016】
リブ構成領域は、規則的に配置されたセルとセルとの間に位置する。リブ構成領域は、シート材の一面において、所定の複数の方向のそれぞれに、真っ直ぐに伸びることによって、三角の格子、又は、四角の格子を形成する。
【0017】
シート材には、リブ構成領域が交差する箇所に貫通孔を設ける。シート材の所定の箇所に貫通孔を形成する加工を行ってもよいし、予め貫通孔が所定の箇所に形成されたシート材を作成してもよい。貫通孔は、所定の方向に伸びるリブ構成領域を分断する。
【0018】
パターンが設定されれば、少なくとも1箇所を山折りにしかつ、山折りの箇所を間に挟んだ両側の2箇所を谷折りにするよう、シート材のリブ構成領域を折り曲げる。これによって、シート材の一面から凸になったリブが形成される。シート材に設定したリブ構成領域の内、同じ方向に伸びる複数のリブ構成領域は、同時に折り曲げることが可能である。複数のリブを一度に形成することが可能であるから、加工時間の短縮が図られる。
【0019】
リブ構成領域が交差する箇所においては、貫通孔によってリブ構成領域が分断されている。このため、一方向に伸びる複数のリブ構成領域をそれぞれ折り曲げることによって、一方向に伸びる複数のリブを形成した後に、他の方向に伸びる複数のリブ構成領域を、先に形成したリブが干渉することなく、それぞれ折り曲げることができる。それによって、他の方向に伸びる複数のリブを形成することができる。
【0020】
シート材に形成されたリブは、貫通孔の箇所において分断していて連続していない。貫通孔の位置において分断されているリブの端同士を互いに連結することによって、リブが連続する。リブが連続することによって、グリッド補強構造体の強度が高まる。
【0021】
この製造方法では、一枚のシート材を、少なくとも二方向について折り曲げることにより、外板に一体化した格子状のリブを形成することができる。グリッド補強構造体の製造時間が短くなり、グリッド補強構造体の製造コストが低減する。
【0022】
前記製造方法において、前記貫通孔の位置において隣り合う前記リブの端と端との間に連結具を取り付けることによって、前記リブの端同士を互いに連結する、としてもよい。
【0023】
シート材を折り曲げてリブを形成した後に、リブの端に連結具を取り付けることによって、分断していたリブを、容易に連結することができる。
【0024】
前記製造方法において、前記貫通孔の位置において隣り合う前記リブの端と端との間に接着剤を充填することによって、前記リブの端同士を互いに連結する、としてもよい。
【0025】
シート材を折り曲げてリブを形成した後に、リブの端とリブの端との間に、接着剤を充填することにより、分断していたリブを、容易に連結させることができる。
【0026】
前記製造方法において、前記貫通孔の開口縁の形状を所定の形状にすることによって、前記リブ構成領域を折り曲げて前記リブを形成したときに、前記リブの端部から前記貫通孔の中央側に突出する延設部を一体に設け、前記貫通孔の位置において隣り合う前記リブの前記延設部同士を互いに連結することによって、前記リブの端同士を互いに連結する、としてもよい。
【0027】
こうすることで、シート材を折り曲げることによってリブと延設部とを形成することができると共に、貫通孔によって分断されているリブ同士を、延設部によって容易に連結することができる。
【0028】
前記製造方法は、前記外板の他面における、前記リブの形成箇所に、前記リブを間に挟んで隣り合う前記シート材と前記シート材とを連結する補強材を取り付ける工程をさらに備えてもよい。
【0029】
リブの形成箇所において外板の他面に補強材を取り付けることにより、シート材を折り曲げて形成したリブの形状が安定化する。リブの強度が高まり、その結果、グリッド補強構造体の強度が高まる。
【0030】
前記製造方法は、前記外板の他面の、前記リブの形成箇所において、前記リブを間に挟んで隣り合う前記シート材と前記シート材とを接着剤により接着する工程をさらに備えてもよい。
【0031】
これにより、シート材を折り曲げて形成したリブの形状が安定化する。リブの強度が高まる結果、グリッド補強構造体の強度が高まる。
【0032】
前記製造方法は、前記外板の他面の、前記リブの形成箇所において、前記リブを間に挟んで隣り合う前記シート材と前記シート材とを溶接により接合する工程をさらに備えてもよい。
【0033】
これにより、シート材を折り曲げて形成したリブの形状が安定化する。リブの強度が高まる結果、グリッド補強構造体の強度が高まる。
【0034】
前記製造方法は、前記外板の他面に、第2の外板を重なるように取り付ける工程をさらに備えてもよい。
【0035】
これにより、グリッド補強構造体の強度を、さらに高めることができる。
【0036】
前記リブは、前記シート材の他面同士が当接するよう、前記シート材を折り曲げることによって構成され、前記製造方法は、前記リブの形成箇所において、当接した前記シート材の他面同士を接着剤によって接着する工程をさらに備えてもよい。
【0037】
これにより、シート材を折り曲げて形成したリブの強度を高めることができるから、グリッド補強構造体の強度を高めることができる。
【0038】
前記接着する工程に代えて、前記製造方法は、前記リブの形成箇所において、当接した前記シート材の他面同士を溶接により接合する工程をさらに備えてもよい。
【0039】
こうすることによっても、シート材を折り曲げて形成したリブの強度を高めることができるから、グリッド補強構造体の強度を高めることができる。
【0040】
前記リブは、その頂部がアール形状となるよう、前記シート材を折り曲げることによって構成されている、としてもよい。
【0041】
こうすることで、グリッド補強構造体のリブの頂部における応力集中を避けることができる。
【0042】
前記リブ構成領域を折り曲げるときに、横断面円形状の部材を、前記シート材と前記シート材との間に挟み込む、としてもよい。
【0043】
こうすることで、リブの頂部に、横断面円形状の部材が埋め込まれるから、リブの頂部を、容易に、アール形状にすることができる。
【0044】
前記リブは、シート材の他面同士が当接する構成に限らず、横断面が逆U字状となるよう、前記シート材を折り曲げることによって構成されている、としてもよい。
【0045】
前記リブは、横断面が逆V字状となるよう、前記シート材を折り曲げることによって構成されている、としてもよい。
【0046】
グリッド補強構造体の製造方法は、前記リブの頂部を削る工程をさらに備えてもよい。
【0047】
前記シート材において、前記セルは三角形であり、前記シート材に設定された前記リブ構成領域は、第1方向に伸びるリブ構成領域、第2方向に伸びるリブ構成領域、及び、第3方向に伸びるリブ構成領域を含み、
所定のセルにおける2つのリブ構成領域を、それぞれ、第1方向に伸びるリブ構成領域、及び、第2方向に伸びるリブ構成領域とし、前記第1方向に伸びるリブ構成領域と前記第2方向に伸びるリブ構成領域とが交差する位置に最も近い前記所定のセル以外のセルにおける、前記第1方向及び前記第2方向とは異なる方向に伸びるリブ構成領域を、第3方向に伸びるリブ構成領域としたときに、第1方向に伸びるリブ構成領域と第2方向に伸びるリブ構成領域とが交差する位置、第2方向に伸びるリブ構成領域と第3方向に伸びるリブ構成領域とが交差する位置、及び、第3方向に伸びるリブ構成領域と第1方向に伸びるリブ構成領域とが交差する位置は、互いにずれている、としてもよい。
【0048】
こうすることで、シート材を折り曲げて完成したグリッド補強構造体において、第1方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げて形成したリブと、第2方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げて形成したリブとが交差する位置、第2方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げて形成したリブと、第3方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げて形成したリブとが交差する位置、及び、第3方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げて形成したリブと、第1方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げて形成したリブとが交差する位置は、互いにずれる。その結果、グリッド補強構造体において応力集中を抑制することが可能になる。
【0049】
前記シート材は、塑性加工が可能な板材である、としてもよい。
【0050】
前記シート材は、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料によって構成されている、としてもよい。
【0051】
前述したグリッド補強構造体の製造方法は、シート材を折り曲げることによってリブを形成するため、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の繊維は、外板とリブとの間で連続するように配置される。従って、従来の製造方法と比較して、より一層、高強度のグリッド補強構造体を、短時間で製造することが可能になる。
【0052】
前記シート材は、繊維強化熱硬化性樹脂複合材料によって構成されている、としてもよい。
【0053】
前記と同様に、繊維強化熱硬化性樹脂複合材料の繊維は、外板とリブとの間で連続するように配置される。従って、従来の製造方法と比較して、より一層、高強度のグリッド補強構造体を、短時間で製造することが可能になる。
【0054】
前記シート材は、塑性加工が可能な線材を網状に組み合わせた板材である、としてもよい。
【0055】
塑性加工が可能な線材を網状に組み合わせた板材を、折り曲げ加工することにより製造したグリッド補強構造体は、例えばコンクリート構造体の鉄筋として用いることができる。
【0056】
ここに開示する技術は、外板の一面に一体的に設けられた、三角又は四角の格子状のリブを有するグリッド補強構造体に係る。
【0057】
このグリッド補強構造体において、前記外板と前記リブとは、折り曲げられた一枚の連続するシート材によって構成され、前記シート材には、リブ同士が交差する箇所に、前記リブを分断する貫通孔が形成されている。
【0058】
この構成のグリッド補強構造体は、前述した製造方法によって製造することができる。
【発明の効果】
【0059】
以上説明したように、前記のグリッド補強構造体の製造方法によると、低コストでグリッド補強構造体を製造することができる。また、前記の製造方法に従い、特に繊維強化樹脂複合材料によって製造したグリッド補強構造体は、外板とリブとの間で連続する繊維を配置することができるから、より一層、強度が高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、ここに開示するグリッド補強構造体、及び、グリッド補強構造体の製造方法について、図を参照しながら説明する。尚、以下の説明は、グリッド補強構造体、及び、グリッド補強構造体の製造方法の例示である。
【0062】
(グリッド補強構造体の構成)
図1は、グリッド補強構造体1を示している。グリッド補強構造体1は、外板11と、外板11に一体に設けられたリブ121、122、123とを備えている。グリッド補強構造体1は、その構成に起因して、軽量でかつ高強度である。
【0063】
リブ121、122、123は、外板11の一面(つまり、
図1において見ることができる面)から凸となるように設けられている。リブ12は、外板11の一面において格子状に配置されている。より詳細に、リブ121、122、123は、第1方向に伸びる複数のリブ121と、第2方向に伸びる複数のリブ122と、第3方向に伸びる複数のリブ123とを含んでいる。リブ121とリブ122とリブ123とは、所定の箇所で互いに交差している。これらのリブ121、122、123が交差する角度は、約60°である。
【0064】
以下の説明において、リブ121、122、123によって囲まれた部分を、セル13と呼ぶ。
図1に示すグリッド補強構造体1は、セル13が正三角形である。このグリッド補強構造体1は、アイソグリッド構造体とも呼ばれる。
【0065】
グリッド補強構造体1は、様々な材料によって構成することが可能である。グリッド補強構造体1は、例えば繊維強化樹脂複合材料によって構成してもよい。より具体的に、グリッド補強構造体1は、繊維強化熱硬化性樹脂複合材料によって構成してもよい。また、グリッド補強構造体1は、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料によって構成してもよい。グリッド補強構造体1はさらに、金属材料によって構成してもよい。例えばアルミニウム合金によって、グリッド補強構造体1を構成してもよい。
【0066】
グリッド補強構造体1は、
図1に示すように、平らな板状に構成してもよい。また、
図1に示すグリッド補強構造体1に曲げ加工を施すことによって曲面板に構成してもよい。さらに、
図1に示すグリッド補強構造体1を、筒状に曲げると共に、端縁部同士を接合してもよい。
【0067】
(グリッド補強構造体の製造方法)
ここに開示するグリッド補強構造体1は、一枚のシート材10を折り曲げることによって製造される。以下、その製造方法の詳細を、図面を参照しながら説明する。
【0068】
(シート材の構成)
図2は、
図1に示すグリッド補強構造体1を製造するためのシート材10を示している。シート材10は、前述の通り、繊維強化樹脂複合材料や金属材料等、塑性加工が可能な材料によって構成される。シート材10は、比較的厚みが薄い板状とすればよい。シート材10の厚みは、グリッド補強構造体1において必要な外板11の厚みt、又は、リブ121、122、123の幅W1(
図1参照)に応じて、適宜設定することが可能である。
【0069】
シート材10の一面には、前述したセル13が規則的に並んで設定される。
図2の例では、一点鎖線によって形作られる正三角形のセル13が、ほぼ密になるように並んでいる。
図2における一点鎖線は、後述するように、シート材10を谷折りする線を示している。一点鎖線は、シート材10において視認することができる線ではなく、理解を容易にするために、
図2において仮想的に示している線である。
【0070】
シート材10の一面において、隣り合うセル13とセル13との間には、リブ構成領域141、142、143が設定される。リブ構成領域141、142、143は、平行な一点鎖線によって挟まれた領域である。リブ構成領域141、142、143は、後述するように、グリッド補強構造体1においてリブ121、122、123を構成するための領域である。
図2に例示するリブ構成領域141、142、143は、第1方向に真っ直ぐに伸びるリブ構成領域141、第2方向に真っ直ぐに伸びるリブ構成領域142、及び第3方向に真っ直ぐに伸びるリブ構成領域143を含んでいる。これらのリブ構成領域141、142、143は正三角格子を構成している。尚、シート材10に設けるリブ構成領域141、142、143の数は、グリッド補強構造体1に設けるリブ121、122、123の数に応じて設定される。
【0071】
リブ構成領域141、142、143の幅W2は、グリッド補強構造体1におけるリブ121、122、123の高さH(
図1参照)に応じて設定することができる。後述するように、リブ構成領域141、142、143の幅W2を広くすると、グリッド補強構造体1におけるリブ121、122、123の高さHが高くなり、リブ構成領域141、142、143の幅W2を狭くすると、グリッド補強構造体1におけるリブ121、122、123の高さHが低くなる。リブ構成領域141、142、143における中央の破線は、後述するように、シート材10を山折りする線を示している。この破線も、一点鎖線と同様に、シート材10において視認することができる線ではなく、理解を容易にするために、
図2において仮想的に示している線である。
【0072】
シート材10には、リブ構成領域141、142、143同士が交差する箇所に、貫通孔15が形成されている。
図2の例では、貫通孔15は、リブ構成領域141、142、143幅W2を一辺とする正六角形をなしている。第1、第2又は第3方向のそれぞれに伸びるリブ構成領域141、142、143は、貫通孔15によって分断されている。但し、
図2の例では、貫通孔15を中心とした周方向において隣り合うリブ構成領域141、142、143の端は、互いに接している。
【0073】
尚、シート材10の周縁部の形状は、
図2に示す形状に限らない。シート材10の周縁部の形状は、適宜の形状にすることができる。例えば、シート材10の周縁部のリブ構成領域141、142、143は無くてもよい。一部のリブ構成領域141、142、143のみを、シート材10の周縁部に残してもよい。
【0074】
(シート材の折り曲げ加工)
図3は、
図2に例示するシート材10から、グリッド補強構造体1を製造する手順を示している。最初の手順として、シート材10を準備する。シート材10は、前述したように、所定の位置に貫通孔15が形成されている。シート材10に対して貫通孔15を形成する加工を施してもよいし、貫通孔15が予め設けられたシート材10を用意してもよい。
【0075】
シート材10において、第1方向に伸びるリブ構成領域141を折り曲げることによって、第1方向に伸びるリブ121を形成する(工程P1〜P3)。シート材10の折り曲げには、工程P1に例示するように、雌型101と雄型102とを含む成形型を用いる。雌型101及び雄型102はそれぞれ、所定の方向に伸びる棒状である。雌型101をシート材10の一面に配置しかつ、雄型102をシート材10の他面に配置し、雌型101と雄型102とによって、シート材10のリブ構成領域141を、シート材の厚み方向に挟み込む。このことにより、リブ構成領域141の中央(
図2の破線の箇所)が山折りになり、それを挟んだ両側(
図2の一点鎖線の箇所)が谷折りになる。尚、
図3は、
図1、2に示すグリッド補強構造体1に対し、シート材10の表裏を逆に配置している。そうして、工程P2に示すように、横断面がV字状となるようシート材10が折り曲げられる。このときに、工程P1に示すように、雌型101と雄型102とを有する成形型を複数用いることによって、第1方向に伸びる複数のリブ構成領域141は、同時に折り曲げることが可能である。
【0076】
そして、工程P3に例示するように、V字状に折り曲げたリブ構成領域141のそれぞれにおいて、シート材10の他面同士が互いに当接するまで、リブ構成領域141を、さらに折り曲げる。このことにより、シート材10の一面から凸になったリブ121が形成される。リブ121は、第1方向に伸びると共に、貫通孔15の箇所において分断している。リブ121を形成することによって、シート材10は、第1方向に対して直交する方向に、縮小する(
図3の矢印参照)。
【0077】
次に、雌型101及び雄型102からなる成形型の向きを変え、又は、シート材10の向きを変え、シート材10に第2方向に伸びるリブ122を形成する(工程P4)。詳細な図示は省略するが、第2方向に伸びるリブ122の形成も、前述した手順と同じである。つまり、シート材10の一面に配置した雌型101と、シート材10の他面に配置した雄型102とを用いて、第2方向に伸びるリブ構成領域142を、シート材10の厚み方向に挟み込む。このことにより、リブ構成領域142の横断面がV字状となるように、シート材10を折り曲げる。このときに、シート材10に先に形成をしたリブ121が貫通孔15の箇所において分断しているため、リブ121が干渉することなく、第2方向に伸びるリブ構成領域142を折り曲げることが可能である。その後、折り曲げたリブ構成領域142において、シート材10の他面同士が互いに当接するように、V字状のリブ構成領域142を、さらに折り曲げる。そうして、シート材10の一面から凸になったリブ122が形成される。第2方向に伸びるリブ122も、貫通孔15の箇所において分断している。
【0078】
第2方向に伸びるリブ122を形成した後、再び、雌型101及び雄型102からなる成形型の向きを変え、又は、シート材10の向きを変え、シート材10に第3方向に伸びるリブ123を形成する(工程P5)。第3方向に伸びるリブ123も、前述した手順と同じ手順で形成する。つまり、シート材10の一面に配置した雌型101と、シート材10の他面に配置した雄型102とを用いて、第3方向に伸びるリブ構成領域143をシート材10の厚み方向に挟み込むことにより、リブ構成領域143の横断面がV字状となるように、シート材10を折り曲げる。このときに、シート材10に先に形成をした、第1方向に伸びるリブ121及び第2方向に伸びるリブ122がそれぞれ貫通孔15の箇所において分断しているため、第3方向に伸びるリブ構成領域143を折り曲げることが可能になる。その後、折り曲げたリブ構成領域143においてシート材10の他面同士が互いに当接するように、V字状のリブ構成領域143を、さらに折り曲げる。こうして、シート材10の一面から凸になったリブ123が形成される。第3方向に伸びるリブ123も、貫通孔15の箇所において分断している。
【0079】
このように、一枚のシート材10を折り曲げることによって、第1方向、第2方向及び第3方向のそれぞれに伸びるリブ121、122、123を、シート材10に形成することが可能になる。つまり、格子状のリブ121、122、123が、外板11と一体に設けられる。リブ121、122、123同士が交差する箇所には、リブ121、122、123を分断する貫通孔15が形成されている(
図1を参照)。詳細な図示は省略するが、前述したようにシート材10において、貫通孔15を中心とした周方向において隣り合うリブ構成領域141、142、143の端が互いに接しているため、グリッド補強構造体1においても、貫通孔15を中心とした周方向に隣り合うリブ121、122、123の端は、ほぼ接している。
【0080】
詳細は後述するが、この後、リブ121、122、123同士が交差する箇所において、リブ121、122,123の端同士を互いに連結することにより、グリッド補強構造体1が完成する。
【0081】
尚、工程P5に示すように、外板11の他面に、必要に応じて第2の外板86(つまり、裏板)を、外板11に重なるように取り付けてもよい。こうすることで、貫通孔15は塞がれる。
【0082】
(繊維強化熱硬化性樹脂複合材からなるグリッド補強構造体の製造プロセス)
次に、繊維強化熱硬化性樹脂複合材によってグリッド補強構造体を製造する手順について、
図4を参照しながら説明をする。先ずステップS41において、繊維強化熱硬化性樹脂複合材からなるシート材10を所定の形状に切り出す。ステップS41では、シート材10の所定位置に、貫通孔15を形成することも行う。従って、シート材10に、セル13とリブ構成領域141、142、143とを含む格子状のパターンが設定される(
図2参照)。
【0083】
シート材10は、図示は省略するが、例えば繊維の方向が互いに異なる、複数の繊維層を積層すると共に、マトリックスとしての熱硬化性樹脂を含浸することによってシート状にしたものとすればよい。強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、及び、樹脂繊維等、その種類はどのようなものであってもよい。また、熱硬化性樹脂も、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等、その種類はどうようなものであってもよい。
【0084】
さらに、シート材10は、どのような製造方法で製造してもよい。例えば複合材テープ(プリプレグ)を積層することによって、シート材10を製造してもよい。
【0085】
シート材10を所定の形状に切り出せば、続くステップS42において、
図3に示す手順に従って、シート材10の曲げ加工を行う。これにより、シート材10に、格子状のリブ121、122、123が形成される。
【0086】
続くステップS43では、リブ121、122、123の交差部分において、貫通孔15によって分断されているリブ121、122、123の端同士を互いに連結する。リブ121、122、123の連結についての詳細は、後述する。
【0087】
ステップS44では、シート材10の他面に裏板(第2の外板86)を配置する。裏板が不要であればステップS44は省略する。裏板が繊維強化樹脂複合材料製であるときには、シート材10の繊維の方向と、裏板の繊維の方向とを考慮して、シート材10の他面に裏板を配置する。
【0088】
ステップS45〜S48は、熱硬化性樹脂を硬化するプロセスに関する。先ず、ステップS45では、シート材10を真空バッグに入れて真空引きをする際に、ステップS42において作成したリブ121、122、12が潰れてしまわないように、各リブ121、122、123の両側に支持材(図示省略)を配置する。
【0089】
続くステップS46では、支持材を配置したシート材10をバッグ(図示省略)の中に入れて、バッグ内を真空引きする。
【0090】
ステップS47では、リブ121、122、123を有するシート材10を入れた真空バッグを、図示省略のオートクレーブに入れて、シート材10を加熱する。これにより、熱硬化性樹脂が硬化する。また、裏板がシート材10の他面に貼り付く。
【0091】
ステップS48では、オートクレーブから真空バッグを取り出すと共に、真空バッグ内から、リブ121、122、123を有するシート材10を取り出して、前記の支持材をシート材10から取り外す。
【0092】
そうして、ステップS49で不要な部分を切り取ることにより、外板11と、格子状のリブ121、122、123とが一体化した、繊維強化熱硬化性樹脂複合材料からなるグリッド補強構造体1が完成する。
【0093】
前述したように、ここに開示するグリッド補強構造体の製造方法では、一枚のシート材10を折り曲げることによって、第1方向、第2方向及び第3方向のそれぞれに伸びるリブ121、122、123を形成するため、繊維強化熱硬化性樹脂複合材料によってグリッド補強構造体1を製造すると、外板11とリブ121、122、123との間で連続する繊維を配置することができる。従って、この製造方法は、繊維強化樹脂複合材料の特性を活かしたグリッド補強構造体1を製造することができ、この製造方法によって作成したグリッド補強構造体1は、従来の製造方法によって作成したグリッド補強構造体よりも強度が高くなる。
【0094】
(繊維強化熱可塑性樹脂複合材からなるグリッド補強構造体の製造プロセス)
次に、繊維強化熱可塑性樹脂複合材によってグリッド補強構造体を製造する手順について、
図5を参照しながら説明をする。ステップS51は、ステップS41と実質的に同じであり、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料からなるシート材10を所定の形状に切り出す。ステップS51では、シート材10の所定位置に、貫通孔15を形成することも行う。従って、シート材10に、セル13とリブ構成領域141、142、143とを含む格子状のパターンが設定される(
図2参照)。
【0095】
繊維強化熱可塑性樹脂複合材からなるシート材10も、前述した繊維強化熱硬化性樹脂複合材からなるシート材10と同様に構成すればよい。繊維強化熱可塑性樹脂複合材からなるシート材10は、図示は省略するが、例えば繊維の方向が互いに異なる、複数の繊維層を積層すると共に、マトリックスとしての熱可塑性樹脂を含浸することによってシート状に構成したものとすればよい。強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、及び、樹脂繊維等、その種類はどのようなものであってもよい。また、熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン樹脂や、ポリアミド樹脂等、その種類はどうようなものであってもよい。さらに、シート材は、どのような製造方法で製造してもよい。例えば複合材テープ(プリプレグ)を積層することによって、シート材10を製造してもよい。
【0096】
シート材10を所定の形状に切り出せば、続くステップS52において、シート材10を加熱しながら、
図3に示す手順に従いシート材10のプレス加工(つまり、曲げ加工)を行う。これにより、シート材10にリブ121、122、123が一体に形成される。また、加熱したシート材10が冷えると、シート材10に形成したリブ121、122、123も硬化する。
図3の工程P3に示すように、リブ構成領域141、142、143において、シート材10の他面同士を当接した状態となるように、シート材10を折り曲げれば、他面同士が接合した状態で、リブ121、122、123が硬化する。
【0097】
ステップS53では、前述したステップS43と同様に、リブ121、122、123の交差部分において、リブ121、122、123の端同士を互いに連結する。リブ121、122、123の連結についての詳細は、後述する。
【0098】
ステップS54では、前述したステップS44と同様に、必要に応じて、シート材10の他面に裏板(つまり、第2の外板86)を配置し、裏板をシート材10に貼り付ける。シート材10と裏板とは、適宜の方法で、接合すればよい。裏板が不要であればステップS54は省略する。
【0099】
最後に、ステップS55で不要な部分を切り取ることにより、外板11と、格子状のリブ121、122、123とが一体化した、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料からなるグリッド補強構造体1が完成する。
【0100】
繊維強化熱可塑性樹脂複合材料によってグリッド補強構造体1を製造したときも、外板11とリブ121、122、123との間で連続する繊維を配置することができる。
【0101】
(金属材料からなるグリッド補強構造体の製造プロセス)
次に、金属材料(例えばアルミニウム合金)によってグリッド補強構造体1を製造する手順について、
図6を参照しながら説明をする。ステップS61は、ステップS41と実質的に同じであり、金属材料からなるシート材10を所定の形状に切り出す。ステップS61では、シート材10の所定位置に、貫通孔15を形成することも行う。従って、シート材10に、セル13とリブ構成領域141、142、143とを含む格子状のパターンが設定される(
図2参照)。尚、金属材料からなるシート材10は、公知の、様々な製造方法により製造することが可能である。
【0102】
シート材10を所定の形状に切り出せば、続くステップS62において、
図3に示す手順に従いシート材10の曲げ加工を行う。これにより、シート材10にリブ121、122、123が一体に形成される。
【0103】
ステップS63では、前述したステップS43と同様に、リブ121、122、123の交差部分において、リブ121、122、123の端同士を互いに連結する。リブ121、122、123の連結についての詳細は、後述する。
【0104】
ステップS64では、シート材10の他面におけるリブ121、122、123の形成箇所において、リブ121、122、123を間に挟んで隣り合うシート材10同士を接合する。シート材10の接合方法は特定の方法に限定されない。例えば、摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding:FSW)によって接合してもよいし、溶接によって接合してもよい。また、接着剤によってシート材10同士を接合してもよい。金属材料からなるシート材10を折り曲げたときには、スプリングバックが生じ得るが、シート材10の他面におけるリブ121、122、123の形成箇所において、隣り合うシート材10同士を接合することによって、グリッド補強構造体1において、リブ121,122、123の形状が安定化する。尚、シート材の接合については、後述する。
【0105】
尚、
図6ではステップを省略しているが、必要に応じて、シート材10の他面に裏板(つまり、第2の外板86)を配置し、裏板をシート材10に貼り付けるようにしてもよい。
【0106】
最後に、ステップS65で不要な部分を切り取ることにより、外板11と、格子状のリブ121、122、123とが一体化した、金属材料からなるグリッド補強構造体1が完成する。
【0107】
(リブの端同士の連結)
前述したように、シート材10を折り曲げることによって製造されるグリッド補強構造体1は、第1〜第3の各方向に伸びるリブ121、122、123が、シート材10に形成した貫通孔15によって分断していて、連続していない。この構成は、グリッド補強構造体1の強度を低下させる。
【0108】
そこで、リブ121、122、123の端同士は、互いに連結することが好ましい。例えば
図7は、貫通孔15の位置において隣り合うリブ121、122、123の端と端との間に、連結具61を取り付けることによって、リブ121、122、123の端同士を互いに連結する構成を示している。連結具61は、前記ステップS43、ステップS53又はステップS63において、リブ121、122、123に取り付ければよい。尚、連結具61の形状は、図例の形状に限定されず、任意の形状とすることが可能である。
【0109】
また、図示は省略するが、貫通孔15の位置において隣り合うリブ121、122、123の端と端との間に接着剤を充填することによって、リブ121、122、123の端同士を互いに連結してもよい。
【0110】
分断していたリブ121、122、123を、連結具61又は接着剤によって連結することにより、グリッド補強構造体1の強度を高めることが可能になる。
【0111】
(貫通孔の拡大構成)
図8はグリッド補強構造体2の変形例を示している。
図9は、
図8に示すグリッド補強構造体2を製造するためのシート材20を示している。尚、
図8は、グリッド補強構造体2における一つの貫通孔25の周囲の部分のみを示し、
図9は、
図8に示すグリッド補強構造体2の部分を製造するためのシート材20を示している。
図8において、符号21は、グリッド補強構造体2における外板、符号221は、第1方向に伸びるリブ、符号222は、第2方向に伸びるリブ、符号223は、第3方向に伸びるリブ、符号23は、正三角形のセル、符号25は、貫通孔をそれぞれ示す。また、
図9において、符号241は、第1方向に伸びるリブ構成領域、符号242は、第2方向に伸びるリブ構成領域、符号243は、第3方向に伸びるリブ構成領域をそれぞれ示している。
【0112】
図8及び
図9に示すグリッド補強構造体2及びそのシート材20は、
図1及び
図2に示すグリッド補強構造体1及びそのシート材10と比べて、貫通孔25の大きさを大きくしている(
図9の矢印参照)。
【0113】
具体的には、
図9に示すように、シート材20に、二点鎖線で示す最小径の貫通孔(つまり、
図2に示すシート材10の貫通孔15に相当する)よりも大きい径の六角形の貫通孔25を形成している。
図8及び
図9に示すグリッド補強構造体2及びそのシート材20は、
図9において二点鎖線で示す貫通孔の外周縁部に、貫通孔が拡大するように切り欠きを設けた、と言い換えることができる。
【0114】
尚、貫通孔25の形状は、六角形に限らない。図示は省略するが、貫通孔は、例えば円形にしてもよい。また、
図9に示すシート材20では、最小径の六角形の貫通孔をそのまま拡大することによって、周方向に隣り合うリブ構成領域241、242、243とリブ構成領域241、242、243との間における貫通孔25の開口縁がV字状に折れ曲がっているが、周方向に隣り合うリブ構成領域241、242、243とリブ構成領域241、242、243との間における貫通孔25の開口縁を、図示は省略するが、直線にすることによって、全体として12角形の貫通孔を形成してもよい。
【0115】
図9に示すシート材20のリブ構成領域241、242、243をそれぞれ、前述したように折り曲げることにより、
図8に示すように、シート材20の一面から凸になったリブ221、222、223を、外板21と一体に設けることができる。
【0116】
貫通孔25を大きくすることによって、グリッド補強構造体2の貫通孔25の位置において隣り合うリブ221、222、223の端と端との間隔は、
図1に示すグリッド補強構造体1よりも大きくなる。このグリッド補強構造体2は、貫通孔25の位置における空きスペースが大きいため、リブ221、222、223の端と端とを連結する連結具(図示省略)が取り付けやすくなる。
【0117】
(リブの端同士を連結する構成の変形例)
図10A〜
図10Cは、シート材30の貫通孔35を拡大した構成の変形例を示している。つまり、
図10A〜
図10Cのシート材30及びグリッド補強構造体3は、シート材30の貫通孔35を拡大する構成に、リブ321、322、323の端と端とを互いに連結する構成を追加している。
【0118】
具体的に、
図10Aに示すように、シート材30には、所定の形状の貫通孔35を形成している。この貫通孔35は、その外周縁部に切り欠きを設けることによって拡大している(
図10Aの矢印を参照)。また、第1〜第3方向のそれぞれに伸びるリブ構成領域341、342、343には、貫通孔35の中央に向かって伸びる延設部3411、3421、3431を一体に設けている。これにより、貫通孔35の開口縁は、所定の形状となっている。
【0119】
各延設部3411、3421、3431には、その幅方向の中央位置に、切り込み3412、3422、3432を設けている。切り込み3412、3422、3432は、延設部3411、3421、3431の先端から基端に向かって伸びている。切り込み3412、3422、3432は、各リブ構成領域341、342、343において、シート材30を山折りする線(つまり、
図10Aの破線)の延長線上に位置している。
【0120】
前記と同様に、
図10Aに示すシート材30のリブ構成領域341、342、343を折り曲げることによってリブ321、322、323を形成する。
図10Bは、リブ321、322、323を形成した状態を示している。このときに、延設部3411、3421、3431も、切り込み3412、3422、3432の位置において折り曲げられる。延設部3411、3421、3431は、貫通孔35の開口縁から中央に向かって突出している。
【0121】
延設部3411、3421、3431における切り込み3412、3422、3432の両側部分を、それぞれ互いに離れるように開くことにより、
図10Cに示すように、周方向に隣り合うリブ321、322、323の端と端とを、延設部3411、3421、3431を介して、互いに連結する。延設部3411、3421、3431同士は、適宜の方法によって接合すればよい。
【0122】
こうして、グリッド補強構造体3の貫通孔35の箇所において、リブ321、322、323の端同士を互いに連結する、六角形をした環状の連結部を設けることができる。環状の連結部は、応力集中を防ぐことができるという利点がある。尚、
図10Cは、延設部3411、3421、3431を六角形の環状となるように連結しているが、例えば、図示は省略するが、円形の環状となるように、延設部3411、3421、3431を連結してもよい。
【0123】
(リブが交差する箇所における応力集中を防止する構成)
グリッド補強構造体に設けたリブを、貫通孔を形成した箇所において互いに交差させると、応力集中を招く恐れがある。
図11及び
図12は、グリッド補強構造体4において、リブ421、422、423が交差する箇所における応力集中を回避する上で効果的な構成を示している。具体的に
図11に示すシート材40は、
図9に示す貫通孔25を拡大したシート材20と比較して、リブ構成領域441、442、443の位置をずらしている。つまり、
図11における二点鎖線は、
図9に示すシート材20のリブ構成領域241、242、243の位置を示している。
図11に矢印で示すように、このシート材40において、第1方向に伸びるリブ構成領域441は、
図11における左に位置をずらしている。また、第2方向に伸びるリブ構成領域442は、
図11における右下に位置をずらしている。さらに、第3方向に伸びるリブ構成領域443は、
図11における右上に位置をずらしている。リブ構成領域441、442、443は、貫通孔45を拡大することによって、貫通孔45の開口縁の範囲を限度として、その位置をずらすことができる。
【0124】
尚、
図11には、シート材40における、一つの貫通孔45の周囲のリブ構成領域441、442、443のみを示しているが、シート材40において第1方向に伸びる複数のリブ構成領域441は全て、同じ左方向に位置をずらし、第2方向に伸びる複数のリブ構成領域442は全て、同じ右下方向に位置をずらし、第3方向に伸びる複数のリブ構成領域443は全て、同じ右上方向に位置をずらすことになる。
【0125】
図11に示すシート材40のリブ構成領域441、442、443を折り曲げてリブ421、422、423を形成すると、
図12に示すようなグリッド補強構造体4が製造される。
図12において、符号41は、グリッド補強構造体4における外板、符号421は、第1方向に伸びるリブ、符号422は、第2方向に伸びるリブ、符号423は、第3方向に伸びるリブ、符号43は、正三角形のセル、符号45は、貫通孔をそれぞれ示す。このグリッド補強構造体4では、第1方向に伸びるリブ421、第2方向に伸びるリブ422、及び第3方向に伸びるリブ423は、一点で交差しない。第1方向に伸びるリブ421と第2方向に伸びるリブ422との交点、第2方向に伸びるリブ422と第3方向に伸びるリブ423との交点、及び、第3方向に伸びるリブ423と第1方向に伸びるリブ421との交点はそれぞれ、位置がずれる。これにより、このグリッド補強構造体4は、リブ421、422、423が交差する箇所における応力集中を防止することができる。
【0126】
尚、グリッド補強構造体4においても、リブ421、422、423の端同士は、適宜の方法によって連結される。
【0127】
(グリッド補強構造体の形状に関するバリエーション)
図13〜16は、グリッド補強構造体の形状に関するバリエーションを示している。尚、
図13〜16では、理解を容易にするために、グリッド補強構造体に形成される貫通孔の図示を省略している。
【0128】
図13は、
図1と同様に、セル511が三角形であるが、
図13に示すグリッド補強構造体51は、セル511が正三角形ではなく、直角三角形である。つまり、三角形の一つの内角の角度が90°である。ここに開示するグリッド補強構造体の製造方法は、セルの形状が任意の三角形のグリッド補強構造体を製造することが可能である。
【0129】
図14に示すグリッド補強構造体52は、セル521が長方形である。つまり、四角形の内角が全て90°である。ここに開示するグリッド補強構造体の製造方法は、オルソグリッド構造体を製造することが可能である。オルソグリッド構造体を製造する場合、シート材には、第1方向に伸びるリブ構成領域と、それに直交する第2方向に伸びるリブ構成領域とを設けた四角格子状のパターンを設定し、第1方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げると共に、第2方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げれば、オルソグリッド構造体を形作ることができる。尚、図示は省略するが、セルは正方形であってもよい。つまり、セルは、四角形の内角が全て90°でかつ、全ての辺の長さが同じであってもよい。
【0130】
図15に示すグリッド補強構造体53は、セル531がひし形である。つまり、セル531は四つの辺の長さが全て同じである。このグリッド補強構造体53を製造するときも、前記と同様に、シート材には、第1方向に伸びるリブ構成領域と、それとは異なる第2方向に伸びるリブ構成領域とを設けた格子状のパターンを設定し、第1方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げると共に、第2方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げれば、グリッド補強構造体を形作ることができる。
【0131】
図16に示すグリッド補強構造体54は、セル541が平行四辺形である。つまり、セル541は、向かい合う一対の辺が平行な四角形である。このグリッド補強構造体54を製造するときも、前記と同様に、シート材には、第1方向に伸びるリブ構成領域と、それとは異なる第2方向に伸びるリブ構成領域とを設けた格子状のパターンを設定し、第1方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げると共に、第2方向に伸びるリブ構成領域を折り曲げれば、グリッド補強構造体を形作ることができる。
【0132】
(リブの高さの変形例)
グリッド補強構造体におけるリブの高さHは、適宜の高さに設定することが可能である。前述したように、リブの高さHは、シート材におけるリブ構成領域の幅W2によって決定される。
【0133】
ここで、第1方向に伸びるリブ構成領域と、第2方向に伸びるリブ構成領域とは、同じ幅に設定しなくても、その幅が互いに異なっていてもよい。また、第3方向に伸びるリブ構成領域は、第1方向に伸びるリブ構成領域及び第2方向に伸びるリブ構成領域とは、幅が異なっていてもよい。こうすることによって、例えば
図17に例示するグリッド補強構造体7のように、第1方向に伸びるリブ721の高さH1と、第2方向に伸びるリブ722の高さH2と、第3方向に伸びるリブ723の高さH3が互いに異なってもよい。
【0134】
尚、第1方向に伸びるリブ、第2方向に伸びるリブ、及び第3方向に伸びるリブの内のいずれか二つのリブの高さを同じにし、残り一つのリブの高さのみを異なるようにしてもよい。
【0135】
また、図示は省略するが、セルが四角形(前述した長方形、正方形、ひし形及び平行四辺形を含む)のグリッド補強構造体において、第1方向に伸びるリブと、第2方向に伸びるリブとの高さを互いに異ならせてもよい。
【0136】
(リブの補強構造のバリエーション)
図18A〜18Dは、リブ82の補強構造のバリエーションを例示している。前述したように、ここに開示するグリッド補強構造体の製造方法は、シート材を折り曲げることによってリブ82を形成している。外板81の他面(
図18A〜18Dにおける下面)には、リブ82の形成箇所において、一対のシート材80が隣り合って配置される。
【0137】
例えば
図18Aに示すように、外板81の他面におけるリブ82の形成箇所に、補強材83を取り付けることによって、一対のシート材80を互いに接合するようにしてもよい。補強材83は、適宜の材料によって構成することが可能である。また、補強材83は、様々な方法によってシート材80の他面に取り付けることが可能である。補強材83を取り付けることによって、一対のシート材80が、互いに離れてしまうことが防止され、シート材80を折り曲げて形成されるリブ82の形状を安定化させることができる。これはグリッド補強構造体8の強度を高める上で有利になる。
【0138】
また、
図18Bに示すように、外板81の他面におけるリブ82の形成箇所において、一対のシート材80を、溶接84によって互いに接合してもよい。尚、ここでいう溶接84は、アーク溶接や、電子ビーム溶接、又は、レーザービーム溶接といった、いわゆる金属溶接の他に、ろう付けや、摩擦攪拌接合も、溶接に含まれる。こうすることでも、前記と同様に、一対のシート材80が、互いに離れてしまうことが防止され、シート材80を折り曲げて形成されるリブ82の形状を安定化させることができる。
【0139】
さらに、
図18Cに示すように、外板81の他面におけるリブ82の形成箇所において、一対のシート材80を、接着剤85によって互いに接着してもよい。
【0140】
加えて、
図18Dに示すように、外板81の他面の全体を覆うように、第2の外板86を、外板81の他面に接合してもよい(
図3の工程P5も参照)。こうすることでも、前記と同様に、シート材80を折り曲げて構成した、全てのリブの形状を安定化させることができる。
【0141】
尚、
図18A等に示すように、シート材80の他面同士が当接するようシート材80を折り曲げて形成したリブ82の内部において、当接したシート材80の他面同士を溶接により接合するようにしてもよい。また、シート材80を折り曲げて形成したリブ82の内部において、当接したシート材80の他面同士を接着剤により接着するようにしてもよい。こうすることによって、リブ82の強度を高めることができるから、グリッド補強構造体8の強度を高めることができる。
【0142】
(リブの形状のバリエーション)
シート材を折り曲げて形成するリブは、
図18A等に示すような、シート材の他面同士を互いに当接する形状に限らない。例えば
図19Aに示すように、リブ92は、横断面逆U字状となる形状としてもよい。このリブ92は、シート材90の他面同士が互いに当接していない。こうすることで、グリッド補強構造体におけるリブ92の幅W3を、適宜の幅に調整することが可能になる。
【0143】
尚、シート材90の他面において、リブ92を構成するシート材90とシート材90との隙間は、
図19Aに示すように空洞にしてもよい。また、図示は省略するが、シート材90とシート材90との隙間を、適宜の充填材によって埋めてもよい。
【0144】
また、
図19Bに示すように、リブ93は、横断面逆V字状となるよう形状としてもよい。尚、横断面逆V字状のリブ93の、幅W4及び高さH4は、適宜の幅及び高さに設定することが可能である。
【0145】
さらに、
図19Cに示すように、リブ94の上端部を、アール形状に構成してもよい。
図19Cの構成例は、シート材90の間に断面円形状の部材95を挟んで、シート材90を折り曲げることによって、リブ94の内部に断面円形状の部材95を埋め込んでいる。リブ94の上端部をアール形状にすれば、応力集中を回避することができる。
【0146】
図20は、
図19Cに示すグリッド補強構造体を製造する手順の一部を示している。前述したように、シート材90を、雌型101及び雄型102によって挟み込むときに、リブ94の内部に埋め込む部材95(つまり、丸棒)を、雄型102とシート材90との間に介在させる(工程P11)。尚、シート材90を雌型101と雄型102とによって折り曲げた後の工程P12において、V字状に形成した溝の内部に部材95を配置してもよい。
【0147】
そして、工程P13において、部材95を溝の内部に配置した状態で、シート材90をさらに折り曲げる。こうすることで、部材95がシート材90の間に挟まれるため、
図19Cに示すように、リブ94の上端部に部材95を埋め込むことが可能になる。
【0148】
尚、図示は省略するが、第1方向に伸びるリブを形成した後、第2方向に伸びるリブ、及び、第3方向に伸びるリブを形成する際に、部材95はそのままにしておいてもよいが、第2又は第3方向に伸びるリブを形成するための部材95を配置する際に、先に配置した部材95と干渉してしまう場合は、先に配置した部材95において、貫通孔付近に位置する箇所を取り除く(例えば切断して取り除く)ようにしてもよい。
【0149】
尚、リブの内部に部材を埋め込まずに、リブの上端部をアール形状となるように、シート材を折り曲げてもよい。
【0150】
また、図示は省略するが、グリッド補強構造体において、外板の一面から突出するリブの頂部の一部を、適宜の形状となるように、削ってもよい。
【0151】
前述した様々な構成例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0152】
(グリッド補強構造体の適用例)
ここに開示するグリッド補強構造体は、様々な製品に利用することが可能である。
【0153】
ここに開示するグリッド補強構造体は、例えば航空機の構造部材や内装に用いることができる。また、例えば各種の運搬車両の後部等に取り付けられる荷役装置の踏み板等に用いることができる。さらに、立体駐車場において、車両を載せるパレット等に用いることもできる。
【0154】
また、ここに開示するグリッド補強構造体は、例えば自動車のシャシーや、ボディ等に用いることもできる。また、ノートPC等の電子機器の筐体等に用いることもできる。また、様々な機械製品の構造体として用いることもできる。加えて、家具等の平板として用いることもできる。
【0155】
さらに、ここに開示するグリッド補強構造体を製造するためのシート材は、平らな板に限らない。例えば塑性加工が可能な線材を網状に組み合わせた板材としてもよい。具体的には、
図21に例示するように、例えば鉄筋コンクリートの鉄筋を構成する鋼製の線材を網状にしたものを、シート材100としてもよい。そして、この網状のシート材100を、前述した手順に従って折り曲げることにより、リブを一体に設け、グリッド補強構造体を作成してもよい。このようにして作成したグリッド補強構造体は、プレキャストコンクリートパネルの製造に用いることができる。例えば、前記のグリッド補強構造体を型枠に設置した後、コンクリートを流し込むことによって、プレキャストコンクリートパネルを製造すればよい。
【0156】
(グリッド補強構造体の特徴)
ここで説明をしたグリッド補強構造体は、次の特徴を有している。つまり、グリッド補強構造体は、外板の一面に一体的に設けられた、三角又は四角の格子状のリブを有し、前記外板と前記リブとは、折り曲げられた一枚の連続するシート材によって構成され、前記シート材には、リブ同士が交差する箇所に、前記リブを分断する貫通孔が形成されている(
図1、8、12、13〜16参照)。
【0157】
前記グリッド補強構造体は、前記貫通孔の位置において隣り合う前記リブの端と端との間に取り付けられかつ、前記リブの端同士を互いに連結する連結具を備えていてもよい(
図7参照)。
【0158】
前記グリッド補強構造体は、前記貫通孔の位置において隣り合う前記リブの端と端との間に接着剤が充填されることによって、前記リブの端同士が互いに連結していてもよい。
【0159】
前記グリッド補強構造体は、前記リブに一体に設けられかつ、前記リブの端部から前記貫通孔の中央側に突出する延設部を備え、前記リブの端同士は、前記延設部を介して互いに連結していてもよい(
図10C参照)。
【0160】
前記グリッド補強構造体は、前記外板の他面における、前記リブの形成箇所に取り付けられかつ、前記リブを間に挟んで隣り合う前記シート材と前記シート材とを連結する補強材を備えていてもよい(
図18A参照)。
【0161】
前記グリッド補強構造体は、前記外板の他面の、前記リブの形成箇所において、前記リブを間に挟んで隣り合う前記シート材と前記シート材とが、接着剤により接着されていてもよい(
図18C参照)。
【0162】
前記グリッド補強構造体は、前記外板の他面の、前記リブの形成箇所において、前記リブを間に挟んで隣り合う前記シート材と前記シート材とが、溶接により接合されていてもよい(
図18B参照)。
【0163】
前記グリッド補強構造体は、前記外板の他面に重なるように取り付けられた第2の外板を備えてもよい(
図18D参照)。
【0164】
前記グリッド補強構造体は、シート材の他面同士が当接するよう前記シート材が折り曲げられたリブにおいて、当接した前記シート材の他面同士が接着剤によって接着されていてもよい。
【0165】
前記グリッド補強構造体は、シート材の他面同士が当接するよう前記シート材が折り曲げられたリブにおいて、当接した前記シート材の他面同士が溶接によって接着されていてもよい。
【0166】
前記グリッド補強構造体は、前記リブの頂部がアール形状であってもよい。
【0167】
前記グリッド補強構造体は、前記リブの内部に、横断面円形状の部材が埋め込まれていてもよい(
図19C参照)。
【0168】
前記グリッド補強構造体の前記リブは、横断面が逆U字状であってもよい(
図19A参照)。
【0169】
前記グリッド補強構造体の前記リブは、横断面が逆V字状であってもよい(
図19B参照)。
【0170】
前記グリッド補強構造体の前記リブは、頂部が所定の形状に削られていてもよい。
【0171】
前記グリッド補強構造体は、前記貫通孔の大きさを大きくすることにより、前記貫通孔の位置において隣り合う前記リブの端が互いに離れていてもよい(
図8参照)。
【0172】
前記グリッド補強構造体は、前記セルが三角形であり、第1方向に伸びるリブと第2方向に伸びるリブとが交差する位置、第2方向に伸びるリブと第3方向に伸びるリブとが交差する位置、及び、第3方向に伸びるリブと第1方向に伸びるリブとが交差する位置は、互いにずれていてもよい(
図12参照)。
【0173】
前記グリッド補強構造体の前記シート材は、塑性加工が可能な板材である、としてもよい。
【0174】
前記グリッド補強構造体の前記シート材は、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料によって構成されている、としてもよい。
【0175】
前記グリッド補強構造体の前記シート材は、繊維強化熱硬化性樹脂複合材料によって構成されている、としてもよい。
【0176】
前記グリッド補強構造体の前記シート材は、塑性加工が可能な線材を網状に組み合わせた板材である、としてもよい(
図21参照)。
【解決手段】グリッド補強構造体1を製造する方法は、シート材10の一面において、三角形又は四角形のセルを規則的に並べると共に、セルとセルとの間にリブ構成領域141を設けた格子状のパターンを設定する工程、シート材におけるリブ構成領域が交差する箇所に、リブ構成領域が分断するように貫通孔15を設ける工程、シート材のリブ構成領域を折り曲げることによって、シート材の一面から凸になったリブ121、122、123を形成する工程、及び、貫通孔の位置において、リブの端同士を互いに連結する工程、を備えている。