(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続監視手段が前記停電中に前記装置と前記受電デバイスとの間の前記接続の中断を検出しなかった場合、前記コントローラは、前記保存された情報に基づいて前記停電後に前記受電デバイスに前記電力を提供するように前記装置を制御する、請求項2に記載の装置。
前記接続監視手段は、前記有線データリンク及び前記受電デバイスを通る電流ループ内を流れる試験電流を提供する電源を備え、前記接続監視手段は、前記停電中の前記電流ループの中断を記憶する記憶手段を備える、請求項2に記載の装置。
前記コントローラは、前記記憶手段が前記停電中の前記電流ループの中断を示していない場合、前記保存された情報に基づいて前記停電後に前記受電デバイスに電力を提供するように前記装置を制御する、請求項4に記載の装置。
前記コントローラは、前記記憶手段が前記停電中の前記プッシュコンタクトの前記第1の位置から前記第2の位置への動き及び/又は前記第2の位置から前記第1の位置への動きを示していない場合、前記保存された情報に基づいて前記停電後に前記受電デバイスに電力を提供するように前記装置を制御する、請求項9に記載の装置。
前記記憶手段は、前記プッシュコンタクトの前記第1の位置から前記第2の位置への動き及び/又は前記プッシュコンタクトの前記第2の位置から前記第1の位置への動きに応答して放電されるキャパシタを備える、請求項9に記載の装置。
前記有線データリンクは、イーサネット(登録商標)リンクを含み、前記装置は、Power over Ethernet(登録商標)機構に応じて前記受電デバイスに電力を提供する、請求項1に記載の装置。
請求項1に記載のシステムの処理ユニット内で実行可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、請求項14に記載の方法を前記処理ユニットに実行させるプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、受電デバイスに接続された装置によるデータリンクを介した電力供給が中断した際に、受電デバイスのより速い開始を可能にすることである。各電力サイクルが始まる前に、装置に新しい受電デバイスが常に接続されているとは限らない。むしろ、前の電力サイクルと同じ受電デバイスが装置に接続されている可能性がある。これは特に、たとえば装置の電力供給の障害による短い停電の際に電力サイクルが開始するときに当てはまる。そのような場合、プロービング段階は、受電デバイスの開始に不必要な遅延を招く。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様では、装置と受電デバイスとを接続する有線データリンクを介して受電デバイスに電力を提供することが可能な装置が提案される。装置は、電力サイクル中に有線データリンクを介して受電デバイスによって伝送される少なくとも1つのパラメータに基づいて判定された構成に従って受電デバイスに電力を提供するように構成され、装置は、構成に関する情報を保存するメモリと、同じ構成に従って停電後の次の電力サイクルで構成に従って受電デバイスに電力を提供するように保存された情報に基づいて装置を制御するコントローラとを備える。
【0008】
受電デバイスに電力を提供する構成をメモリ内に保存すること、及び保存された構成に基づいて停電後に受電デバイスに電力を提供するように装置を制御することによって、停電に続く電力サイクルの初めにプロービング段階を不要にすることができる。したがって、停電後に受電デバイスのより速い開始を実現することができる。
【0009】
受電デバイスに電力を提供する構成は特に、たとえば、受電デバイスに提供される電流の特有の範囲及び/又は受電デバイスに提供される電力の特有の範囲を含む。有線データリンクを介して受電デバイスによって伝送されるパラメータは、構成を指定する任意のパラメータである。たとえば、パラメータは、受電デバイスに提供すべき電流の特有の範囲又は電力の範囲を指定する指示を含む。構成をメモリ内に保存するために、構成を識別するパラメータ又は別の指示が、メモリに書き込まれる。
【0010】
一実施形態では、有線データリンクは、イーサネット(登録商標)リンクを含む。関連する実施形態では、装置は、Power over Ethernet(登録商標)(PoE)機構に応じて受電デバイスに電力を提供するように構成される。この場合、前述のパラメータは、PoE仕様に応じた電力クラスである。しかし、本発明は同様に、たとえばUSB(Universal Serial Bus)データリンクなどの他の有線データリンクに関連して適用することもできる。
【0011】
好ましくは、コントローラは、追加の基準が満たされた場合、保存された構成に従って停電後に受電デバイスに電力を提供するように装置を制御するだけである。特に、この基準は、停電前に装置に接続された受電デバイスが、停電中に新しい受電デバイスに取り替えられていないことが確実になり、又は少なくともその可能性が高くなるように選択される。基準が満たされていない場合、すなわち停電中に受電デバイスが取り替えられている可能性が少なくとも高い場合、装置は、保存された構成に従って停電後に電力を提供するように制御されない。むしろ、装置は、新しいデバイスに電力が適当に提供されることを確実にするために、停電に続いてプロービング段階を伴って新しい電力サイクルを開始する。
【0012】
一実施形態では、装置は、停電中に装置と受電デバイスとの間の接続の中断を検出する接続監視手段をさらに備える。関連する実施形態では、接続監視手段が停電中に装置と受電デバイスとの間の接続の中断を検出しなかった場合、コントローラは、保存された情報に基づいて停電後に受電デバイスに電力を提供するように装置を制御するように構成されることが提供される。
【0013】
この場合、受電デバイスの取り替えには通常、装置と受電デバイスとの間の接続の中断が必要とされるため、受電デバイスが停電中に取り替えられている可能性は少なくとも低い。したがって、停電前及び停電後に同じ受電デバイスが装置に接続されていると想定することができ、したがって、最後の電力サイクルからの保存された構成に従って、停電後に受電デバイスに電力を供給することができる。
【0014】
一実施形態では、接続監視手段は、有線データリンク及び受電デバイスを通る電流ループ内を流れる試験電流を提供する電源を備え、接続監視手段は、停電中の電流ループの中断を記憶する記憶手段を備える。関連する実施形態では、コントローラは、記憶手段が停電中の電流ループの中断を示していない場合、保存された情報に基づいて停電後に受電デバイスに電力を提供するように装置を制御するように構成される。
【0015】
これらの実施形態は、電流ループの中断が装置と受電デバイスとの間の接続の中断を示すことを利用している。したがって、電流ループが停電中に中断されなかったとき、受電デバイスは停電中に取り替えられていないと想定することができる。したがって、この場合、保存された構成に従って停電後に電力を提供することができる。
【0016】
前述の実施形態においてループ電流を提供する電源は、受電デバイスに給電するために装置によって提供される電力によって充電されるキャパシタを備える。これらの実施形態において使用される記憶手段は、電流ループの中断に応答して放電されるさらなるキャパシタを備える。さらに、一実施形態では、電源は、記憶手段に対応する。特に、接続監視モジュールは、電源及び記憶手段として働くキャパシタを備える。これにより、接続監視手段の複雑さが低減される。
【0017】
一実施形態では、接続監視手段は、
− 受電デバイスへの有線データリンクを確立するようにコネクタを受けるソケットに配置されたプッシュコンタクトであって、コネクタがソケット内へ差し込まれているときは第1の位置にあり、コネクタがソケット内へ差し込まれていないときは第2の位置にあるプッシュコンタクトと、
− 停電中のプッシュコンタクトの第1の位置から第2の位置への動き及び/又は第2の位置から第1の位置への動きを記憶する記憶手段とを備える。
【0018】
関連する実施形態では、コントローラは、記憶手段が停電中のプッシュコンタクトの第1の位置から第2の位置への動き及び/又は第2の位置から第1の位置への動きを示していない場合、保存された情報に基づいて停電後に受電デバイスに電力を提供するように装置を制御するように構成される。
【0019】
これらの実施形態は、プッシュコンタクトの第1の位置から第2の位置への動き又はその逆の動きが装置と受電デバイスとの間の接続の中断を示すことを利用している。したがって、記憶手段がそのような動きを示していない場合、受電デバイスは停電中に取り替えられていないと想定することができる。したがって、この場合、保存された構成に従って停電後に電力を提供することができる。
【0020】
前述の実施形態において使用される記憶手段は、プッシュコンタクトの第1の位置から第2の位置への動き及び/又はプッシュコンタクトの第2の位置から第1の位置への動きに応答して放電されるキャパシタを備える。特に、プッシュコンタクトは、プッシュコンタクトが第1の位置から第2の位置へ動き且つ/又はその逆へ動くとき、キャパシタの端子を接続するスイッチを閉じるように配置される。さらに、キャパシタは、受電デバイスを給電するために装置によって提供される電力によって充電される。
【0021】
本発明のさらなる態様では、装置と受電デバイスとを接続する有線データリンクを介して受電デバイスに電力を提供することが可能な装置を動作させる方法が提案される。この方法は、
− 電力サイクル内で有線データリンクを介して受電デバイスによって伝送される少なくとも1つのパラメータに基づいて判定された構成に従って受電デバイスに電力を提供するステップと、
− 構成に関する情報を装置のメモリ内に保存するステップと、
− 同じ構成に従って停電に続く次の電力サイクルで受電デバイスに電力を提供するように保存された情報に基づいて装置を制御するステップとを含む。
【0022】
さらなる態様では、コンピュータプログラムが提案される。コンピュータプログラムは、請求項1に記載のシステムの処理ユニット内で実行可能であり、コンピュータプログラムは、請求項14に記載の方法を処理ユニットに実行させるプログラムコード手段を備える。
【0023】
請求項1の装置、請求項14の方法、及び請求項15のコンピュータプログラムは、特に従属請求項に記載の類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態はまた、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組合せとすることができることを理解されたい。
【0025】
本発明の上記その他の態様は、以下に記載する実施形態から明らかになり、それらの実施形態を参照して説明される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、イーサネット(登録商標)ケーブル3を介して受電デバイス(PD)2に電力を供給することが可能な電力供給機器(PSE)として構成された装置1の構成要素を概略的且つ例示的に示す。特に、PSE1の1つのイーサネット(登録商標)ポートを動作させるために使用されるPSE1の構成要素が示されている。加えて、PSE1は、アナログで装備された1つ又は複数のさらなるイーサネット(登録商標)ポートを含む。
【0028】
イーサネット(登録商標)ケーブル3のコネクタ5の一方を受けるために、ポートはソケット4を備える。受電デバイス2は、イーサネット(登録商標)ケーブル3の他方のコネクタ5を受ける対応するソケット6を処理する。
【0029】
図示の実施形態では、イーサネット(登録商標)ケーブルは、データのPSE1からPD2への伝送及びその逆の伝送のために、4つの対線7i(i=a,...,d)を備える。対線7iのそれぞれに対して、PSE1内に1つのデータ変換器8iが設けられ、PD2内に1つの対応するデータ変換器9iが設けられる。それぞれのデータ変換器8i、9iの一方の側は、PSE1又はPD2内でそれぞれのデータ対に結合され(
図1ではデータ対は図示せず)、本明細書では、この側を1次側と呼ぶ。それぞれのデータ変換器8i、9iの他方の側は、イーサネット(登録商標)ケーブル3の対応する対線7iのワイヤに接続され、本明細書では、この側を2次側と呼ぶ。そのような構成を使用して、イーサネット(登録商標)規格に応じて、当業者にはそのように知られているやり方で、PSE1からPD2へ対線7iを介してデータを伝送することができる。
【0030】
イーサネット(登録商標)ケーブル3を介してPSE1からPD2へ電力を提供するために、データ変換器8i、9iの中心タブ内で、いわゆるファンタム供給技法が使用される。そのような技法を適用するために、PSE1のデータ変換器8iの中心タブは電力供給14に結合され、電力供給14は、これらの中心タブを介してそれぞれの対線7i上へ電力を重ね合わせる。PD2では、電力は、PD2内の対応する2つのデータ変換器9iの中心タブを介して対線7iから導出される。これらの中心タブは、PDのさらなる構成要素11に結合される。さらなる構成要素11は、たとえば、PD2のさらなる構成要素に電力を提供するDC−DCコンバータである。特に、イーサネット(登録商標)ケーブル3の2つの対線7a及び7cは、PSE1のデータ変換器8a及び8cのそれぞれの中心タブを介して電力供給14の正極に結合される。イーサネット(登録商標)ケーブル3の2つの他の対線7b及び7dは、電力帰還経路として使用される。これらの対線7b及び7dは、電力供給14の負極及び/又は接地電位に結合される。
【0031】
イーサネット(登録商標)ケーブル3を介してPD2の電力供給を制御するために、ポートコントローラ10が設けられる。ポートコントローラ10は特に、PD2がポートに接続されているかどうかを判定すること、及び所定の構成に従ってPD2に電力が供給されるように電力供給14を制御することが可能である。その際、ポートコントローラ10は、好ましくは、その適切な動作を確実にするために、PD2への電力接続を監視する。その際、ポートコントローラ10は特に、所定の電力及び/又は電流の範囲を超過したかどうかを確認する。超過した場合、ポートコントローラ10は、PD2への電力供給を中断するか、又は他の適したことを開始する。
【0032】
ポートコントローラ10の制御を受けて、PSE1によって支持されるいくつかの可能な構成の1つに応じて、PD2に電力が特に提供される。これらの構成はそれぞれ、PD2が消費する電力を定義する電力範囲を含む。この点で、イーサネット(登録商標)仕様に記載されているように、PD2のいくつかのクラスが定義され、各クラスは、PSE1から受電デバイス2へ電力を提供する1つの構成に対応する。PoE仕様は特に、4つのクラス0〜4を定義し、これらのクラスでは、0.44〜12.96W(クラス0)、0.44〜3.84W(クラス1)、3.84〜6.49W(クラス3)、及び6.49〜12.96W(クラス4)をPD2に提供するべきである。しかし、PD2に対してさらなる及び/又は他の電力クラスを定義することも可能である。
【0033】
正しい構成に従ってPD2に電力を提供するために、ポートコントローラ10は、PD2に電力を提供する電力サイクルの初めのプロービング段階において、接続されたPD2に対する適当な構成を判定する。このプロービング段階では、ポートコントローラ10は、PD2のあらゆる損傷を回避するために、PD2にわずかな電圧レベルを供給するだけである。プロービング段階中、ポートコントローラ10はまず、有効なPD2がイーサネット(登録商標)ポートに接続されているかどうかを確認する。このプロセスで、ポートコントローラ10は、PoE仕様に記載されている特有の抵抗器を探す。このプロセスは、「ライン検出」としても知られている。有効なPD2が接続されていることを示すこの特徴的な抵抗器を検出すると、ポートコントローラ10は、接続されたPD2に電力を提供する適当な構成を判定する。この目的で、ポートコントローラは、適した構成を示すパラメータをPD2から回収する。このパラメータは特に、前述のクラス0〜4のうち、PD2が割り当てられた1つのクラスを指定する。PD2から回収されたパラメータに基づいて、ポートコントローラ10は次いで、接続されたPD2に対する適当な構成を判定する。その後、PSE1及びPD2の通常動作を開始し、PSE1は、判定された構成に従って、完全な電力レベルをPD2に提供し始める。
【0034】
通常動作中、ポートコントローラ10は特に、PSE1からのPD2の切断を検出するために、PD2への接続を監視する。この目的で、ポートコントローラ10は、PD2によって引き込まれる電流を監視し、電流が流れを止めたとき、又は所定の閾値を下回ったとき、PD2の切断を検出する。ポートコントローラ10は、電力サイクル中にPD2が切断されたことを検出したとき、イーサネット(登録商標)ポートのデータ変換器8iを介して電力を供給するのを止めるように、電力供給14を制御する。
【0035】
従来、上述したプロービング段階は、イーサネット(登録商標)ポートを介してPD2に電力を提供する各電力サイクルの初めに、すなわち電力供給の中断の際又は最初にPSE1がイーサネット(登録商標)ポートを介して電力を供給し始めるたびに行われる。これは、電力供給の中断中に1つのPD2がイーサネット(登録商標)ポートから切断され、新しいPD2が接続された可能性のために行われる。これらの場合、プロービング段階中の評価により、PSE1が、新しいPD2にとって適当な正しい構成に従って新しいPD2に電力を提供することが確実になる。
【0036】
PSE1に接続されたPD2が停電中に取り替えられなかったとき、PD2に電力を提供する電力構成の判定は、実際上必要ない。停電後のPD2に対する構成のそのような不必要な判定を回避するために、PSE1は、1つの電力サイクル内で使用される電力構成を、この電力サイクルを終了させた停電中に保存するメモリ12を備える。停電が終了し、新しい電力サイクルが始まるとき、PSE1は、保存された構成をメモリ12から読み取り、保存された構成に従って、イーサネット(登録商標)ポートを介して電力をすぐに提供し始める。プロービング段階は不要になる。PSE1では、各イーサネット(登録商標)ポートに対して1つのメモリ12が設けられる。このメモリ12は、関連するイーサネット(登録商標)ポートに割り当てられたそれぞれのポートコントローラ10内に接続又は一体化される。構成を保存するために、メモリが割り当てられたイーサネット(登録商標)ポートを介して電力が提供される各電力サイクル中、構成を指定する所定のパラメータをメモリ12に書き込むことができる。特に、このパラメータは、イーサネット(登録商標)ポートを介してPSE1に接続されたPD2のクラスを指定する。
【0037】
PD2が停電中に取り替えられた場合、前の電力サイクルからの構成の使用を回避するために、PSE1は、好ましくは、追加の基準が満たされたときのみ、保存された構成を使用する。
【0038】
一実施形態では、PSE1は、停電の持続時間が所定の閾値を超過していないときのみ、保存された構成を使用する。閾値は、閾値より小さい持続時間を有する時間間隔内でPD2の変更の可能性が低くなるように選択される。特有の実施形態では、閾値は、たとえば5秒〜20秒である。
【0039】
さらなる実施形態では、各イーサネット(登録商標)ポートに対してPSE1内に接続監視モジュール13が設けられる。接続監視モジュール13は、ポートコントローラ10に接続され、停電中にPSE1とPD2との間の接続の中断を検出することが可能である。さらに、接続監視モジュール13は、PSE1とPD2との間の接続の検出された中断を記憶することが可能な記憶ユニットを備える。
【0040】
接続監視モジュール13の使用に関連する電力サイクルの初めのPSE1の動作のステップを、
図2に概略的且つ例示的に示す。ステップ201で新しい電力サイクルを始めるとき、ポートコントローラ10は、ステップ202で接続監視モジュール13の記憶ユニットにアクセスする。次いで、ポートコントローラ10は、接続監視モジュール13が電力サイクル前の停電中のPSE1とPD2との間の接続の中断を検出したことを記憶ユニットが示しているかどうかを確認する(ステップ203)。これに該当しない場合、すなわち記憶ユニットが停電中のPSE1とPD2との間の接続の中断を示していない場合、電力コントローラ10は、前の電力サイクルからの保存された構成を、メモリ12から読み取る(ステップ204)。次いで、電力コントローラ10は、ステップ205で、保存されて読み取られた構成に従って、イーサネット(登録商標)ポートを介してPD2に電力を提供するように、電力供給14を制御する。
【0041】
ポートコントローラ10は、記憶ユニットが停電中のPSE1とPD2との間の接続の中断の検出を示すとステップ203で判定した場合、イーサネット(登録商標)ポートを介してわずかな電圧レベルだけが供給されるプロービング段階を伴って、新しい電力サイクルを開始する。上記で説明したように、電力コントローラはまず、プロービング段階において、有効なPD2がイーサネット(登録商標)ポートを介してPSE1に接続されているかどうかを確認する(ステップ206)。ポートコントローラ10は、有効なPD2をステップ206で検出しなかった場合、イーサネット(登録商標)ポートを介して電力をさらに提供することなく、電力サイクルを終了する(ステップ207)。ポートコントローラ10は、有効なPD2をステップ206で検出した場合、接続されたPD2に電力を提供するのに適した構成を判定する(ステップ208)。上記で説明したように、ポートコントローラ10は、この目的で、適当な構成を示すパラメータをPD2から回収する。その際、ポートコントローラ10は、判定された構成に従ってPD2に電力を提供するように、電力供給14を制御する(ステップ209)。
【0042】
図3a及び
図3bに概略的且つ例示的に示す一実施形態では、接続監視モジュール13は、イーサネット(登録商標)ポートに配置された機械式プッシュコンタクト31を備え、プッシュコンタクト31は、停電中のPSE1とPD2との間の接続の中断を記憶する記憶ユニットとして働くキャパシタ32と相互作用する。
【0043】
キャパシタ32は、電力供給14がイーサネット(登録商標)ケーブル3を介してPD2に電力を供給する間に、電力供給14によって充電される。これを実現するために、キャパシタ32は、PD2に並列して電力供給14に接続される。さらに、キャパシタ32は、データ変換器8b及び8dの中心タブからの帰還経路にキャパシタを接続するダイオード33a及び33bを介して、電力供給14の負極に結合される。これらのダイオード33a及び33bは、停電中、すなわち電力供給14によって電力が提供されていないときに、キャパシタ32を放電するはずである放電電流が、帰還経路を通って流れるのを防止する。加えて、スイッチ34が設けられ、スイッチ34は、スイッチ34が閉じられた場合にキャパシタ32の端子を互いに接続する。したがって、キャパシタ32は、スイッチ34が閉じている間に短絡及び放電される。
【0044】
スイッチ34は、ソケット4がコネクタ5を保持しているときはスイッチ34が開き、ネットワークケーブル3のコネクタ5がイーサネット(登録商標)ポートのソケット4内へ挿入され且つ/又はソケット4から抜かれつつあるときはスイッチ34が閉じていくように、プッシュコンタクト31に結合される。したがって、キャパシタ32は、特に新しいコネクタ5が停電中にソケット4内へ挿入されつつあるときは放電されていく。キャパシタの放電速度は、スイッチ34に直列接続された適当な寸法の抵抗器39によって制御することができる。
【0045】
図3bの実施形態では、プッシュコンタクト31は、ソケット4の裏側の領域からソケット4内へ延びるロッド又は細長い板として構成される。プッシュコンタクト31は、プッシュコンタクト31の一方の端部がソケット4の内側(すなわち、ソケット4内へ差し込まれたコネクタによって占有される領域)へ延びない第1の位置と、プッシュコンタクト31がソケット4の内側へ所定の長さにわたって延びる第2の位置との間で動くことができるように、可動に取り付けられる。さらに、プッシュコンタクト31は、圧力ばね要素35に結合される。圧力ばね要素35は、プッシュコンタクト31がソケット4の内側へ延びる第2の位置の方へプッシュコンタクト31を押す力を印加する。したがって、プッシュコンタクト31は、コネクタ5がソケット4内へ挿入されていないときは第2の位置にある。コネクタ5がソケット4内へ差し込まれつつあるとき、プッシュコンタクト31は、圧力ばね要素35によって生成される力に逆らって第2の位置へ動かされる。
図3bに示す実施形態では、圧力ばね要素35は、プッシュコンタクト31の端部に固定されてソケット4の内側へ延びるばねである。しかし、圧力ばね要素は、別の弾性要素としても同様に構成することができ、且つ/又は別のやり方でプッシュコンタクトに固定することもできる。
【0046】
スイッチ34は、ソケット4の裏側に配置され、たとえば金属板として構成される第1の導電要素34a及び第2の導電要素34bを備える。導電要素の一方34aは、接触ノーズ部分36を有し、接触ノーズ部分36は、他方の導電要素34bに接触することができ、また弾性力に逆らって他方の導電要素34bから分離することができる。弾性力は、接触ノーズ部分36を備える導電要素34a又は導電要素34aに結合されるさらなる要素によって生成される。
【0047】
プッシュコンタクト31は、少なくとも1つの中断要素37aを処理する。この要素は、非導電材料から作られる。この要素は、プッシュコンタクト31とともに動くようにプッシュコンタクト31に固定されており、実質上、プッシュコンタクト31が前述の第1の位置にあるとき(すなわち、コネクタ5がソケット4内へ差し込まれているとき)のみ、第1の導電要素34aの接触ノーズ部分36と第2の導電要素34bとの間に位置決めされるように配置される。プッシュコンタクト31が第1の位置を離れるとき、中断要素37aは、接触ノーズ部分36及び第2の導電要素34bを分離しなくなる。したがって、スイッチ34が閉じ、キャパシタが放電される。これは、
図3bに示す状況である。
【0048】
したがって、ポートコントローラ10は、新しい電力サイクルの初めにキャパシタ32の充電を測定することによって、新しいコネクタ5が停電中にソケット4内へ挿入されたかどうかを判定することができる。新しいコネクタの挿入は、PSE1に接続されたPD2の取り替えを示すため、ポートコントローラ10は、キャパシタ32の充電の判定に基づいて、前の電力サイクルからの保存された構成に従って電力を供給し始めるか、それともプロービング段階を伴って新しい電力サイクルを開始するかを判断する。
【0049】
停電後に新しい電力サイクルを始めるとき、ポートコントローラ10は特に、キャパシタ32の2つの端子を接続する対応する測定タブを使用して、キャパシタ32にかかる電圧U_Cを判定する。測定された電圧は、基準電圧と比較される。基準電圧は、完全に充電されたキャパシタ32にかかる電圧に対応し、ポートコントローラ10内に事前に保存されている。測定された電圧が基準電圧に実質上対応する場合、すなわち測定された電圧と基準電圧との差が事前定義された閾値を下回る場合、新しいコネクタ5は停電中にソケット4内へ挿入されていない。この場合、ポートコントローラは、メモリ12内に保存されている前の電力サイクルの構成に従って、接続されたPD2にイーサネット(登録商標)ポートを介して電力を供給するように、電力供給14を実質上すぐに制御する。しかし、測定された電圧と基準電圧との差が事前定義された閾値を超過するとポートコントローラ10が判定した場合、メモリ12内に保存されている構成に基づいて新しい電力サイクルにおけるPD2への電力供給は行われない。むしろ、ポートコントローラ10は、プロービング段階を伴って新しい電力サイクルを開始し、プロービング段階中、この電力サイクルで電力を供給するための構成が判定される。
【0050】
中断要素37aに加えて、プッシュコンタクトは、任意選択で、実質上、プッシュコンタクト31が前述の第2の位置にあるとき(すなわち、コネクタ5がソケット4内へ差し込まれていないとき)のみ、接触ノーズ部分36及び第2の導電要素34bを分離するさらなる中断要素37bを処理する。この実施形態では、スイッチ34は、コネクタ5がソケット4内へ差し込まれていないときにも開き、コネクタ5がソケット4内へ挿入され又はソケット4から除去されつつあるときのみ閉じていく。この実施形態には、停電前に未使用であったソケットが停電後もまだ未使用であるかどうかをポートコントローラ10が判定することが容易に可能になるという利点がある。
【0051】
この実施形態では、イーサネット(登録商標)ポートが1つの電力サイクル内で使用されていない場合、ポートコントローラ10は、対応する指示をメモリ12内に保存する。停電後の新しい電力サイクルの初めに、ポートコントローラ10は、メモリにアクセスし、メモリがそのような指示を含むかどうかを確認する。メモリ12がそのような指示を含まないが、前の電力サイクルで電力を供給する使用された構成に関する情報を含む場合、ポートコントローラ10は続けて、上記で説明したように、保存された構成に従って新しい電力サイクル内で電力が供給されるか否かを判断する。イーサネット(登録商標)ポートが前の電力サイクルで使用されなかったという指示をメモリ12が含むと判定した場合、ポートコントローラ10はまた、キャパシタ32にかかる電圧を測定し、測定された電圧と基準電圧を比較する。測定された電圧と基準電圧との差が閾値(前述の閾値に対応し、又は異なる事前定義された閾値である)を下回る場合、新しいコネクタは停電中にソケット内へ挿入されていない。この場合、ポートコントローラ10は、イーサネット(登録商標)ポートを介して電力供給を開始しない。測定された電圧と基準電圧との差が閾値を超過したとポートコントローラ10が判定した場合、PD2は、停電中にイーサネット(登録商標)ポートに接続されている。したがって、ポートコントローラは、測定された電圧と基準電圧との差が閾値を超過した場合、プロービング段階を伴って新しい電力サイクルを開始する。
【0052】
上記で説明した実施形態では、ポートコントローラ10は、定義された手順に従い、保存された構成に従って電力が供給され、又はキャパシタ32の両端間の電圧が基準電圧に実質上対応する場合、電力は供給されない。説明したように、この挙動は、短い停電に続く電力サイクルの初めに特に望ましい。しかし、電力サイクルがより長い停電に続くときは、ポートコントローラ10は、プロービング段階に基づいて従来のやり方で電力サイクルを始めることが望ましい。これを実現するために、一実施形態では、
図3aに概略的に示すように、抵抗器38が任意選択でキャパシタ32に並列接続される。抵抗器38は、短い停電、すなわち数十秒又は数分の持続時間を有する停電中に、キャパシタ32が実質上放電されないように寸法設定される。しかし、より長い停電中は、キャパシタ32は抵抗器38を介して放電される。そのようなより長い停電後、ポートコントローラ10は、基準電圧とキャパシタ32の両端間で測定された電圧との差が閾値を超過すると判定する。この結果、ポートコントローラ10は、上記で説明したように、プロービング段階を伴って電力サイクルを開始する。
【0053】
さらなる実施形態では、接続監視モジュール13は、機械式プッシュコンタクト31を備えず、停電中の電気信号に基づいてPSE1とPD2との間の接続を監視する。
【0054】
これらの実施形態では、接続監視モジュール13は、特に停電中、イーサネット(登録商標)ケーブル3の対線7iの少なくとも1つにループ電流を投入する電源41を備える。ループ電流は、対線7iの一方のワイヤを通ってPD2へ流れる。次いで、ループ電流は、対線7iに対応するPD2のデータ変換器9iの2次側を流れ、対線7iの他方のワイヤを通ってPD2に戻る。停電中にループ電流を駆動するために、電源41は、PD2に電力を供給する電力供給14が利用可能でないときに電力を提供するように構成される。特に、電源41は、電力サイクル中に電源14によって充電されるキャパシタとして構成される。停電中、キャパシタは放電されつつあり、それによってループ電流を駆動する。十分に長い時間(すなわち、停電中に特定の持続時間まで)にわたってキャパシタがループを駆動することを可能にするために、たとえば適当な抵抗器によって、容量が適当に選択され、放電速度が適当に構成される。代替実施形態では、電源41が別のやり方で構成されることも同様に可能である。たとえば、電源41は、停電中にループ電流を駆動する電池を備えることができる。
【0055】
PD2が停電中にPSE1から切断されたとき、ループ電流は中断される。ループ電流のそのような中断は、接続監視モジュール内に一体化された記憶ユニットの状態の変化を招く。一実施形態では、記憶ユニットは、ループ電流の中断により、充電された状態から、少なくとも部分的に放電された状態へ変化するキャパシタである。記憶ユニットの状態の変化は、新しい電力サイクルの初めにポートコントローラ10によって検出される。ポートコントローラ10がそのような状態変化を検出した場合、PD2は、この電力サイクルに先行した停電中にPSE1から切断されている。この場合、ポートコントローラは、プロービング段階を伴って新しい電力サイクルを開始する。そうでない場合、すなわちポートコントローラ10が、記憶ユニットの状態が変化していないと判定したとき、PSE1とPD2との接続は、停電中に維持されている。この場合、ポートコントローラ10は、前の電力サイクルからの保存された構成をメモリ12から読み取り、保存された構成に従ってPD2に電力を供給するように、電源14を実質上すぐに制御する。
【0056】
機械式プッシュコンタクト31を含む前述の実施形態と比較すると、PSE1とPD2との間の切断を検出するためにループ電流を使用する実施形態には、イーサネット(登録商標)ケーブル3がイーサネット(登録商標)ポートから抜かれずに新しいPD2がイーサネット(登録商標)ケーブルに接続された状況で、そのような切断を検出することも可能であるという利点がある。
【0057】
ループ電流を使用する一実施形態の実施を、
図4に概略的且つ例示的に示す。検証を容易にするために、
図4は、イーサネット(登録商標)ケーブル3の一方の対線7i内でループ電流を駆動するPSE1の構成要素のみを示す。
図4は、ポートコントローラ10及びイーサネット(登録商標)ケーブルの他方の対線7iを特に示さない。
図4に示すように、電源41は、PSE1内のデータ変換器8iの2次側の端子に接続され、対線7iの各ワイヤが、電源41の電極の1つに結合される。上記で説明したように、電源41は、キャパシタを構成し、停電中にキャパシタの適した放電速度を確実にするように寸法設定された抵抗器42を備え、又はそのような抵抗器42に直列接続される。加えて、データパルスの影響を最小にするために、フィルタインダクタ43が電源41に直列接続される。キャパシタ41は、PSE1の通常動作中に電源14によって充電される。この目的で、キャパシタ41は、好ましくは、キャパシタ41及びイーサネット(登録商標)ケーブル3を電源14から分離するために、分離式のDC/DC変換器44を介して電源14に接続される。さらに、キャパシタ41は、好ましくは、ダイオード45を介して充電され、したがってキャパシタは、DC/DC変換器44ではなく、対線7iのみを介して放電する。
【0058】
キャパシタ41は、PSE1のデータ変換器8iの2次側(
図4の電流路46a)及びPD2のデータ変換器の2次側9i(
図4の電流路46b)を流れるループ電流を駆動する。この電流ループでは、PSE1及びPD2のデータ変換器8i及び9iは、並列接続される。ループ電流は特に、DC電流であり、対線7iを通るデータパルスの伝送を妨害することなく、ループ電流は停電中も流れ続ける。特に、ループ電流は、キャパシタ41が放電されるまで、制限された持続時間にわたって流れ続ける。たとえば、持続時間は、数十秒又は数分である。PD2がPSE1から切り離されたとき、ループ電流は、PD2のデータ変換器9iの2次側を流れなくなり、PSE1のデータ変換器8iの2次側のみを流れる。したがって、電流は、電流路46aのみを流れ、
図4に示す電流路46bは存在しなくなる。この結果、データ変換器9iの2次側が抵抗器として機能しなくなるため、電流ループ内の抵抗が減少し、したがって、PSE1のデータ変換器8iの2次側の両端間の電圧降下U_tstが増大する。PSE1のデータ変換器8iの2次側及びPD2のデータ変換器9iの2次側がほぼ同じ抵抗を有すると想定すると、ケーブル長さが短い場合(すなわち、イーサネット(登録商標)ケーブル3の抵抗を無視できるとき)、電圧降下U_tstはほぼ2倍になる。
【0059】
図4に示す実施形態では、PSE1のデータ変換器8iの2次側の両端間の電圧降下U_tstを測定し、PD2がPSE1から切断された場合は電圧降下の増大を検出する増幅比較器47が設けられる。この目的で、増幅比較器47は、データ変換器8iの2次側の両端間の電圧降下U_tstを所定の閾値と比較する。所定の閾値は、ループ電流がPSE1のデータ変換器8iの2次側のみを流れるときの電圧降下U_tstより高く、ループ電流がPSE1及びPD2のデータ変換器8i及び9iの両方の2次側を流れるときの電圧降下U_tstより低い。この実施形態では、増幅比較器47は、データ変換器8iの2次側の両端間で測定された電圧U_tstが所定の閾値を上回るとき、電圧降下U_tstの増大を検出する。
【0060】
増幅比較器47は、PSE1からのPD2の切断に起因する電圧降下の増大を検出したとき、スイッチ48を閉じ、それによってキャパシタ41を短絡させる。したがって、キャパシタ41は、PD2がPSE1から切断されつつあるときは放電されていく。したがって、キャパシタ41はまた、PD2が停電中にPSE1から切断されたときにその状態(すなわち、放電されつつある)を変更する記憶ユニットとして働く。次の電力サイクルの初めに、ポートコントローラ10は、キャパシタ41がまだ充電されているか否かを確認する。キャパシタ41がまだ充電されている場合、PD2はPSE1から切断されておらず、ポートコントローラは、保存された構成に従ってPD2に電力を提供する。そうでない場合、すなわちキャパシタ41が次の電力サイクルの初めに放電されているとき、ポートコントローラ10は、プロービング段階を伴って次の電力サイクルを開始する。
【0061】
さらなる実施形態を、
図5に概略的且つ例示的に示す。検証を容易にするために、この図も同様に、ループ電流を駆動するのに関連するPSE1の構成要素のみを示す。この図に示す実施形態では、PSE1のデータ変換器8iの2次側及びPD2のデータ変換器9iの2次側は、ループ電流路内で直列接続される。これを実現するために、上記で説明したように構成された電源41は、データ変換器8iの1つの端子ワイヤ51に並列接続され、データ変換器8iは、イーサネット(登録商標)ケーブル3の対線7iの1つのワイヤに接続される。
図5に示す実施形態では、この場合も電源41は、分離式のDC/DC変換器54及びダイオード55を介してPSE1の電力供給14によって充電されるキャパシタとして構成される。上記で説明した実施形態と同様に、停電中にキャパシタ41の適した放電速度を確実にするために、ループ電流路内で抵抗器56がキャパシタ41に直列接続される。さらに、好ましくは、対線7iを介して伝送されるデータパルスからキャパシタ41を分離するために、フィルタインダクタ53がキャパシタ41に直列接続される。端子ワイヤ51内には、好ましくはフィルタキャパシタ52が挿入され、電源41に並列接続される。フィルタキャパシタ52は、キャパシタ41が端子ワイヤ51を介して短絡することを防止し、対線7iを介して伝送される交互のデータパルスを通すことができる。
【0062】
この実施形態では、ループ電流は、特にDC電流であり、PSE1のデータ変換器8iの2次側、PD2のデータ変換器9iの2次側、及びイーサネット(登録商標)ケーブル3の対線7iを流れる。特に、ループ電流は、停電中も流れ続ける。PD2がPSE1から切断されたとき、ループ電流は流れを止める。これは特に、フィルタキャパシタ52の両端間の電圧U_tstの増大を招く。したがって、フィルタキャパシタ52の両端間の電圧U_tstは、電流ループ内のデータ変換器8i及び9iの2次側並びにイーサネット(登録商標)ケーブル3の両端間の電圧降下に対応する。ループ電流が流れを止めたとき、電圧U_tstは、キャパシタ41がそれでもなお十分に充電されている限り、著しく大きいキャパシタ41の両端間の電圧にほぼ対応する。したがって、フィルタキャパシタ52の両端間の電圧U_tstの増大は、PD2がPSE1から切断された状況を示す。
【0063】
図5に示す実施形態では、この場合も、フィルタキャパシタ52の両端間の電圧U_tstを測定し、PD2がPSE1から切断された場合は電圧U_tstの増大を検出する増幅比較器57が設けられる。特に、増幅比較器57は、フィルタキャパシタの両端間の電圧U_tstを所定の閾値と比較する。所定の閾値は、ループ電流が流れているときの電圧U_tstより高く設定され、キャパシタ41の両端間の電圧より低く設定される。この点で、閾値は、好ましくは、キャパシタ41が部分的に放電されているときのキャパシタ電圧よりも低くなるように設定される。増幅比較器57は、フィルタキャパシタ52の両端間で測定された電圧U_tstが所定の閾値を上回るとき、ループ電流の中断に起因する電圧U_tstの増大を検出する。
【0064】
増幅比較器47は、ループ電流の中断に起因する電圧U_tstの増大を検出したとき、スイッチ58を閉じ、それによってキャパシタ41を短絡させる。したがって、キャパシタ41は、PD2がPSE1から切断されつつあるときは放電されていく。したがって、キャパシタ41はこの場合も、PD2が停電中にPSE1から切断されたときにその状態(すなわち、放電されつつある)を変更する記憶ユニットとして働く。次の電力サイクルの初めに、ポートコントローラ10は、保存された構成に従ってPD2に電力を提供し、又は
図4に示す実施形態に関連してすでに説明したように、キャパシタの充電状態に基づいてプロービング段階を開始する。
【0065】
前述の実施形態では、ポートコントローラ10は、キャパシタ41の充電状態に基づいて、特により短い停電中にPD2がPSE1から切断されたかどうかを判定することができる。停電がより長い場合、キャパシタ41はまた、PD2とPSE1との間の接続が維持されているときにループ電流を介して放電されていく。したがって、より長い停電後、ポートコントローラ10は、プロービング段階を伴って新しい電力サイクルを開始する。プロービング段階を伴って新しい電力サイクルが開始される前のそのような「より長い」停電の最小持続時間は特に、キャパシタ41及び抵抗器42又は56を適当に寸法設定し、比較器47又は57内に適用される閾値を適当に設定することによって、設定することができる。
【0066】
さらに、接続監視モジュールの前述の実施形態はまた、PSE1の通常動作中にPSE1とPD2との間の接続を監視するために使用することができる。したがって、PD2がPSE1から切断された場合のキャパシタ41の放電により、DC/DC変換器44又は54を通ってキャパシタ41へ伝達される電力が増大する。キャパシタ41へ伝達される電力のそのような増大は、ポートコントローラ10によって検出される。ポートコントローラ10は、電力伝達のそのような増大を検出したとき、PD2がPSE1から切断されたと判定し、ネットワークポートを介した電力の供給を止めるように電源14を制御する。
【0067】
上記で説明したように、
図4及び
図5に示す実施形態では、ループ電流はDC電流である。他の変形形態では、電流はAC電流である。AC電流は、好ましくは、比較的低い周波数を有し、それによりループ電流が対線7iを介して伝送されるデータ信号に干渉しないことを確実にする。接続監視モジュール13がACループ電流を投入するとき、イーサネット(登録商標)ケーブル3に接続された2次側ではなく、データ信号が到達するデータ変換器8iの1次側に、電源41を接続することが可能である。この場合、投入されたAC電流は、データ変換器8i及び9iの2次側並びにイーサネット(登録商標)ケーブルの対線7iを含むループへ、データ変換器8iによって伝達される。データ変換器8iの2次側にDC電流が投入される前述の実施形態と比較すると、1次側のAC電流の投入には、電源14からの別個の分離が必要とされないという利点がある。したがって、前述の実施形態で使用される分離式のDC/DC変換器を不要にすることができる。さらに、試験電流は、データを復号するチップ(いわゆる、PHYチップ)内で生成することができ、試験電流を生成及び投入する別個の回路は必要とされない。
【0068】
本発明について、特にイーサネット(登録商標)接続及びPoE機構に関連して上記で説明したが、本発明は、そのように限定されるものではなく、他の有線データ接続に関連して同様に適用することができる。特に、本発明は、USB接続及びUSBデータリンクを介して電力を供給する機構に関連して適用することができる。そのような機構は特に、原則的に当業者には知られているUSB Power Delivery(USB−PD)機構である。この機構によれば、USB接続を介してPSE1からPD2へ電力を提供する構成を定義するいわゆるPower Delivery契約が、PSE1とPD2との間で交渉される。本発明の範囲内で、USBポートコントローラは、電力サイクル中に使用される契約を保存し、停電後の次の電力サイクルで保存された契約に応じて電力を提供するように、電源を制御する。したがって、電力サイクルの初めの契約のさらなる交渉を不要にすることができる。特に、PD2が停電中にPSE1から切断されていないと判定されたとき、保存された契約に応じて電力が供給される。USB接続の範囲内で、この判定は、イーサネット(登録商標)接続に関連して上記で論じたのと類似のやり方で行われる。
【0069】
開示する実施形態に対する他の変形形態は、クレームする本発明を実行する際、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲を検討すれば、当業者には理解及び実施されよう。
【0070】
特許請求の範囲では、「備える、含む(comprising)」という単語は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除しない。
【0071】
単一のユニット又はデバイスが、特許請求の範囲に記載のいくつかの物品の機能を満たすことができる。相互に異なる従属請求項内に特定の方策が記載されていることだけで、これらの方策の組合せを有利に使用できないことを示すものではない。
【0072】
光保存媒体又は固体媒体などの適した媒体上で、コンピュータプログラムを保存/分配し、他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として、供給することができるだけでなく、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムなどを介して他の形式で分配することもできる。
【0073】
特許請求の範囲内のあらゆる参照符号は、範囲を限定すると解釈されるべきではない。