(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第一の実施形態>
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
【0016】
本実施の形態における第一の態様としては下記の通りである。
<ネガ型感光性樹脂組成物>
本発明は、(A)ポリイミド前駆体を100質量部、及び(B)光重合開始剤を0.1質量部〜20質量部を含み、前記(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算において、3,000以上、16,000未満であることを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物である。
【0017】
(A)ポリイミド前駆体
本発明に用いられる(A)ポリイミド前駆体について説明する。本発明の(A)ポリイミド前駆体は、ポリアミド酸エステル又はポリアミド酸塩から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を主成分とする。ここで、主成分とは、これらの樹脂を全樹脂の50質量%以上含有することを意味し、60質量%以上含有することが好ましい。また、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
【0018】
本発明において(A)ポリイミド前駆体は、レリーフパターンを形成させるために、感光性樹脂であることが望ましい。感光性樹脂は、後述の(B)光重合開始剤とともに使用されることによりネガ型感光性樹脂組成物となり、その後の現像工程において溶解又は未溶解の現象を引き起こす樹脂である。
【0019】
(A)ポリイミド前駆体としては、ポリアミド酸エステル又はポリアミド酸塩から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を主成分とする。
【0020】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、耐熱性及び感光特性の観点から最も好ましい(A)ポリイミド前駆体の1つの例は、下記一般式(1):
【化29】
{式中、X
1は、炭素数6〜40の4価の有機基であり、Y
1は、炭素数6〜40の2価の有機基であり、nは、2〜50の整数であり、そして、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子、又は下記一般式(2)若しくは(3):
【化30】
(式中、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基であり、そしてmは、2〜10の整数である。)で表される基、または下記一般式(3):
【化31】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm
2は、2〜10の整数である。)で表される基である。ただし、R
1、R
2が同時に水素原子であることはない。}で表されるポリアミド酸エステル又はポリアミド酸塩である。
【0021】
上記一般式(1)中、X
1で表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基である。さらに好ましくは、−COOR
1基及び−COOR
2基と−CONH−基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。X
1で表される4価の有機基として、好ましくは芳香族環を含有する炭素原子数6〜40の有機基である。さらに好ましくは、下記式(30):
【化32】
{式中、R25は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、lは0〜2から選ばれる整数、mは0〜3から選ばれる整数、nは0〜4から選ばれる整数である。}で表される構造が挙げられる。
【0022】
上記一般式(1)中、X
1で表される4価の有機基の中で更に好ましい例として、下記一般式(4)〜(6):
【化33】
【化34】
【化35】
から選ばれる少なくとも一種以上の有機基が挙げられる。これらの有機基は、耐薬品性と感光性と銅ボイドの抑制効果に優れるため特に好ましいが、これらに限定されるものではない。また、X
1の構造は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0023】
上記一般式(1)中、Y
1で表される2価の有機基は、耐熱性と感光性と銅ボイドの抑制効果とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、例えば、下記式(31):
【化36】
{式中、R25は水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、nは0〜4から選ばれる整数である。}で表される構造が挙げられる。
【0024】
上記一般式(1)中、Y
1で表される2価の有機基の中で更に好ましい例として、一般式(7):
【化37】
(式中、R
9〜R
12は、水素原子又は炭素数1〜4の1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)で表される基、下記一般式(8):
【化38】
または下記一般式(9):
【化39】
(式中、R
13〜R
14は、各々独立に、フッ素原子またはトリフルオロメチル基、またはメチル基を表す。)から選ばれる少なくとも1種以上の2価の有機基が挙げられる。
この中で、X
1が一般式(5)を含み、且つ、Y
1が一般式(7)または(8)または(9)を含む構造が耐薬品性と銅ボイドの抑制効果の観点から好ましい。
この中で、X
1が一般式(4)を含み、且つ、Y
1が一般式(7)を含む構造が耐薬品性と銅ボイドの抑制効果の観点から好ましい。
この中で、X
1が一般式(6)を含む構造が耐薬品性と銅ボイドの抑制効果に優れるため好ましい。特に耐薬品性と銅ボイドの抑制効果の観点から、X
1が一般式(6)を含む構造で、且つ、Y
1が一般式(8)または(7)を含む構造がより好ましく、X
1が一般式(6)を含む構造で、且つ、Y
1が一般式(8)を含む構造が最も好ましい。
これらの組み合わせは耐薬品性と銅ボイドの抑制効果に優れるため特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物に、感光性を付与する方式としては、エステル結合型とイオン結合型とが挙げられる。前者は、(A)ポリイミド前駆体の側鎖にエステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法である。後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とをイオン結合を介して結合させて、光重合性基を付与する方法である。
【0026】
エステル結合型の感光性樹脂組成物として用いる場合、前記一般式(1)におけるR
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子、又は下記一般式(2):
【化40】
(式中、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基であり、そしてmは、2〜10の整数である。)である。ただし、R
1、R
2が同時に水素原子であることはない。上記一般式(2)中のR
3は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R
4及びR
5は、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、mは感光特性の観点から、2以上、10以下の整数、好ましくは2以上、4以下の整数である。
【0027】
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物を、イオン結合型の感光性樹脂として用いる場合、前記一般式(1)におけるR
1およびR
2はそれぞれ独立に、水素原子、又は下記一般式(3):
【化41】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm
2は、2〜10の整数である。)である。ただし、R
1、R
2が同時に水素原子であることはない。上記一般式(3)中のR
6は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R
7及びR
8は、感光特性の観点から、水素原子であることが好ましい。
また、m
2は、感光特性の観点から、2以上、10以下の整数、好ましくは2以上、4以下の整数である。
【0028】
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、まず、前述の4価の有機基X
1を含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び任意に炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。その後、これと、前述の2価の有機基Y
1を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
【0029】
(アシッド/エステル体の調製)
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X
1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(30)に示されるテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
【0031】
上記アルコール類に、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を一部混合して用いることもできる。
【0032】
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶剤中、温度20〜50℃で4〜10時間撹拌溶解、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
【0033】
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には後述する溶剤中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合することにより、アシッド/エステル体をポリ酸無水物とする。その後、得られたアシッド/エステル体のポリ酸無水物に、本発明で好適に用いられる2価の有機基Y
1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。もしくは、上記アシッド/エステル体を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミン化合物と反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
【0034】
本発明で好適に用いられる2価の有機基Y
1を含むジアミン類としては、上記一般式(31)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
【0035】
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等が挙げられる。好ましくはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等、並びにその混合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別する。その後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させる。さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶剤で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
【0037】
一方、上記イオン結合型のポリイミド前駆体は、典型的には、テトラカルボン酸二無水物にジアミンを反応させて得られる。この場合、上記一般式(1)中のR
1及びR
2のうち少なくともいずれかは水素原子である。
【0038】
テトラカルボン酸二無水物としては、上記式(30)の構造を含むテトラカルボン酸の無水物が好ましく、ジアミンとしては、上記式(31)の構造を含むジアミンが好ましい。得られたポリアミド前駆体に、後述する、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を添加することで、カルボキシル基とアミノ基とのイオン結合により光重合性基が付与される。
【0039】
アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物として、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1〜10、アルキル鎖が炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
【0040】
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、1〜20質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
【0041】
上記アシッド/エステル体とジアミンを反応することにより得られるポリイミド前駆体のポリマー末端に、光照射あるいは熱によって反応する公知の置換基を導入することができる。光照射あるいは熱によって反応する公知の置換基の例としては、アクリレート基、アリル基、アルコキシメチル基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキセタン基、カルボジイミド基、グリシジル基、トリアジンチオール基、ビスマレイミド基、ベンゾオキサジン基、メタクリレート基、及びメチロール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの光照射あるいは熱によって反応する公知の置換基を2種類以上導入してもよい。
【0042】
また、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される樹脂層と、各種基板との密着性の向上を目的に、ポリイミド前駆体の調製に際して、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
【0043】
本実施形態に係る(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)の好適な範囲は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算において、3,000以上、16,000未満である。当該範囲の重量平均分子量(Mw)の(A)ポリイミド前駆体を用いることで、200℃以下のキュア条件下においても、ポリイミドのイミド環化反応(イミド化)が良好に進行し、耐薬品性が高く、かつ、銅ボイドの発生を抑制できる樹脂層が得られる。重量平均分子量(Mw)が当該範囲よりも大きいと、キュア条件中で(A)ポリイミド前駆体の分子運動が不十分でイミド化が進行し難くなり、得られる樹脂層の耐薬品性が十分でなく、銅ボイドが発生しやすくなる。一方で、重量平均分子量(Mw)が当該範囲よりも小さいと、キュア条件中で(A)ポリイミド前駆体の分子運動は活発になりイミド化は進行し易くなる。一方で(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)が小さい為、キュア後に得られる樹脂層の耐薬品性が十分ではなく、銅ボイドの発生を抑制しやすくなる。重量平均分子量(Mw)が当該範囲の(A)ポリイミド前駆体を用いることで、200℃以下のキュア条件下でもイミド化率が良好で、かつ、得られる硬化膜の耐薬品性が良好で、かつ、銅ボイドの発生を抑制できる樹脂を得られる。なお、上記(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)のより好ましい範囲は、3,000以上、15,000以下、さらに好ましくは3,000以上、13,000以下、さらに好ましくは3,000以上、11,000以下、さらに好ましくは3,000以上、10,000以下、更に好ましくは、3,000以上、10,000未満、更に好ましくは、3,000以上、9,500以下、特に好ましくは、3,000以上、9,000以下、である。
上記(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)の下限は、4,000以上であってもよく、5,000以上であってもよく、6,000以上であってもよく、7,000以上であってもよい。上記(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)の上限は、
15,000以下であってもよく、13,000以下であってもよく、12,000以下であってもよく、11,000以下であってもよく、10,000以下であってもよく、10,000未満であってもよい。
【0044】
(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)を制御する調製方法は特に限定されるものではないが、以下のような手法が知られている。例えば、アミノ重縮合の際に、4価の有機基X
1を含むアシッド/エステル体と、2価の有機基Y
1を含むジアミン類との添加モル比率を適宜制御することによって達成できる。4価の有機基X
1を含むアシッド/エステル体あるいは2価の有機基Y
1を含むジアミン類のどちらか一方を過剰に添加することで、重量平均分子量(Mw)を小さくすることが可能である。
【0045】
本実施形態における重量平均分子量(Mw)の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)により行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により算出することが出来る。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
【0046】
イミド化率は、以下の方法で容易に算出できる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm
−1付近、1377cm
−1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理し、熱処理後の赤外吸収スペクトルを測定する。そして、1377cm
−1付近のピーク強度を熱処理前の強度と比較することによって、熱処理前ポリマー中のイミド化率を算出する。
【0047】
(B)光重合開始剤
本発明に用いられる(B)光重合開始剤について説明する。(B)光重合開始剤の、ネガ型感光性樹脂組成物中の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部である。上記配合量は、光感度又はパターニング性の観点で0.1質量部以上であり、硬化性又は硬化後の感光性樹脂層の膜物性の観点から20質量部以下である。
【0048】
(B)光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α−(n−オクタンスルフォニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド等の光重合開始剤が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
上記の光重合開始剤の中では、下記一般式(10):
【化42】
(式中R
1〜R
3は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。)
で表わされるオキシムエステル化合物が銅ボイド抑制の観点から特に好ましい。
【0050】
ここでR
1〜R
3として好ましく用いられるのは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基から選ばれる基や、複素原子を含む炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基から選ばれる基である。
【0051】
ポリイミド被膜を層間絶縁膜として用いる場合、金属配線層材料の銅や合金銅などとの間で、信頼性試験後に高い密着性を維持することが要求される。しかしながら、従来のポリイミド樹脂を用いて信頼性試験を行うと、再配線層の銅成分がポリイミド層に移動する。すると、銅層とポリイミド層の界面で、空隙(以下、ボイドともいう。)が発生して密着性が低下し、再配線層でショートや断線が起こるという問題があった。
オキシムエステル系光開始剤を使用、または、特定のポリイミドを使用することにより、銅層とポリイミド層との密着性を高めることができ、ボイドの発生を抑制することができる。
【0052】
銅ボイド抑制の観点から、(B)光重合開始剤として更に好ましく用いられるものとしては下記一般式(11):
【化43】
{式中、Zはイオウ又は酸素原子であり、そしてR
15はメチル基、フェニル基または2価の有機基を表し、R
16〜R
18は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。}
で表されるオキシムエステル化合物である。
【0053】
ここでR
16〜R
18として好ましく用いられるのは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の直鎖、分枝又は環状のアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基から選ばれる基である。具体的には水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、ヒドロキシエチルオキシ基、ヒドロキシプロピルオキシ基等を挙げることができる。
【0054】
これら(B)光重合開始剤として好適に用いられる具体例としては、下記式:
【化44】
から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。これらの商品名としては、BASF社製Irgacure OXE−01、常州強力新電子材料有限公司製TR−PBG−305、同じくTR−PBG−3057、ADEKA社製NCI−930等を挙げることができる。
このようなオキシムエステル系光開始剤を用いることにより、イミド化率が良好で、耐薬品性が高く、かつ、銅ボイドの発生を抑制できる樹脂層が得られる。
【0055】
更に、上述した通り、一般式(1)で表される(A)ポリイミド前駆体がイオン結合型の場合、(A)ポリイミド前駆体の側鎖にイオン結合を介して光重合性基を付与するために、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物が用いられる。この場合には、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物が(B)光重合開始剤として使用される。アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物としては、前述したように、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1〜10、アルキル鎖が炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
【0056】
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、1〜20質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(B)光重合開始剤として、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
【0057】
本実施形態におけるネガ型樹脂組成物である前述のポリイミド前駆体樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物は、これらの樹脂を溶解するための溶剤を含むことができる。
【0058】
本実施の形態として、感光性樹脂組成物が、(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体、および
(B2)光酸発生剤、を含むポジ型感光性樹脂組成物を用いることもできる。
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物に用いる感光性樹脂としては、下記一般式(12)で表される繰り返し単位を含むポリ(o−ヒドロキシアミド)を用いることができる。
【0059】
【化45】
{式中、UとVは、2価の有機基である}
【0060】
耐薬品性と銅ボイド抑制の観点から、Uは、炭素数1〜30の2価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜15の鎖状アルキレン基(但し、鎖状アルキレンの水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい)がより好ましく、炭素数1〜8で且つ水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された鎖状アルキレン基が特に好ましい。
【0061】
また、耐薬品性と銅ボイド抑制の観点から、Vは、芳香族基を含む2価の有機基であることが好ましく、より好ましくは下記一般式(13)〜(15)で表される少なくとも1つの構造を含む2価の有機基であることが好ましい。
【0062】
【化46】
(R
10、R
11、R
12及びR
13は、水素原子、炭素数が1〜5の1価の脂肪族基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
【0063】
【化47】
(R
14〜R
21は、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜5の1価の有機基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
【0064】
【化48】
(R
22は2価の基であり、R
23〜R
30は、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜5の1価の脂肪族基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
【0065】
一般式(8)中のR
22は、例えば、炭素数1〜40の2価の有機基やハロゲン原子である。
【0066】
耐薬品性と銅ボイド抑制との密着性の観点から、Vは、下記一般式(16)で表される構造を含む2価の有機基が特に好ましい。
【0068】
耐薬品性と銅ボイド抑制との密着性の観点から、Vは、炭素数1〜40の2価の有機基が好ましく、炭素数1〜40の2価の鎖状脂肪族基がより好ましく、炭素数1〜20の2価の鎖状脂肪族基が特に好ましい。
【0069】
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、一般的にジカルボン酸誘導体とヒドロキシ基含有ジアミン類とから合成できる。具体的には、ジカルボン酸誘導体をジハライド誘導体に変換した後、ジアミン類との反応を行うことにより合成できる。ジハライド誘導体としては、ジクロリド誘導体が好ましい。
【0070】
ジクロリド誘導体は、ジカルボン酸誘導体にハロゲン化剤を作用させて合成することができる。ハロゲン化剤としては、通常のカルボン酸の酸クロリド化反応に使用される、塩化チオニル、塩化ホスホリル、オキシ塩化リン、五塩化リン等が使用できる。
【0071】
ジクロリド誘導体を合成する方法としては、ジカルボン酸誘導体と上記ハロゲン化剤を溶媒中で反応させる方法、過剰のハロゲン化剤中で反応を行った後、過剰分を留去する方法等で合成できる。
【0072】
ジカルボン酸誘導体に使用するジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ−n−ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸等が挙げられる。これらを混合して使用してもよい。
【0073】
ヒドロキシ基含有ジアミンとしては、例えば、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらを混合して使用してもよい。
【0074】
(B2)光酸発生剤
光酸発生剤は、光照射部のアルカリ水溶液可溶性を増大させる機能を有するものである。光酸発生剤としては、ジアゾナフトキノン化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。このうち、ジアゾナフトキノン化合物は、感度が高く好ましい。
本実施形態に係る(A
2)ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)の好適な範囲は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算において、3,000以上、16,000未満である。当該範囲の重量平均分子量(Mw)の(A
2)ポリベンゾオキサゾール前駆体を用いることで、200℃以下のキュア条件下においても、ポリベンゾオキサゾールの環化反応が良好に進行し、耐薬品性が高く、かつ、銅ボイドの発生を抑制できる樹脂層が得られる。重量平均分子量(Mw)が当該範囲よりも大きいと、キュア条件中で(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体の分子運動が不十分で環化が進行し難くなり、得られる樹脂層の耐薬品性が十分でなく、銅ボイドが発生しやすくなる。一方で、重量平均分子量(Mw)が当該範囲よりも小さいと、キュア条件中で(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体の分子運動は活発になりイミド化は進行し易くなる。一方で(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)が小さい為、キュア後に得られる樹脂層の耐薬品性が十分ではなく、銅ボイド
が発生しやすくなる。重量平均分子量(Mw)が当該範囲の(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体を用いることで、200℃以下のキュア条件下でも環化率が良好で、かつ、得られる硬化膜の耐薬品性が良好で、かつ、銅ボイドの発生を抑制できる樹脂を得られる。
なお、上記(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)のより好ましい範囲は、3,000以上、15,000以下、さらに好ましくは3,000以上、13,000以下、さらに好ましくは3,000以上、11,000以下、さらに好ましくは3,000以上、10,000以下、更に好ましくは、3,000以上、10,000未満、更に好ましくは、3,000以上、9,500以下、特に好ましくは、3,000以上、9,000以下、である。上記(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)の下限は、4,000以上であってもよく、5,000以上であってもよく、6,000以上であってもよく、7,000以上であってもよい。上記(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)の上限は、15,000以下であってもよく、13,000以下であってもよく、12,000以下であってもよく、11,000以下であってもよく、10,000以下であってもよく、10,000未満であってもよい。
【0075】
(A2)ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)を制御する調製方法は特に限定されるものではないが、以下のような手法が知られている。例えば、重縮合の際に、2価の有機基X
1を含むジカルボン酸と、2価の有機基Y
1を含むアミノフェノール類との添加モル比率を適宜制御することによって達成できる。2価の有機基X
1を含むジカルボン酸あるいは2価の有機基Y
1を含むアミノフェノール類のどちらか一方を過剰に添加することで、重量平均分子量(Mw)を小さくすることが可能である。
【0076】
本実施形態における重量平均分子量(Mw)の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)により行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により算出することが出来る。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
【0077】
<溶剤>
溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられる。
例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
【0078】
このような溶剤の中でとりわけ、生成ポリマーを完全に溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。
【0079】
本発明の感光性樹脂組成物において、溶剤の使用量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは100〜1000質量部であり、より好ましくは120〜700質量部であり、さらに好ましくは125〜500質量部の範囲である。
【0080】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)、(B)成分以外の成分をさらに含有してもよい。
【0081】
例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物、プリン誘導体等の含窒素複素環化合物を任意に配合することができる。
【0082】
アゾール化合物としては、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。
【0083】
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
【0084】
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、9−メチルアデニン、2−ヒドロキシアデニン、2−メチルアデニン、1−メチルアデニン、N−メチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、2−フルオロアデニン、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、8−アミノアデニン、6−アミノ‐8−フェニル‐9H−プリン、1−エチルアデニン、6−エチルアミノプリン、1−ベンジルアデニン、N−メチルグアニン、7−(2−ヒドロキシエチル)グアニン、N−(3−クロロフェニル)グアニン、N−(3−エチルフェニル)グアニン、2−アザアデニン、5−アザアデニン、8−アザアデニン、8−アザグアニン、8−アザプリン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
【0085】
ネガ型感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制される。一方、アゾール化合物の配合量が20質量部以下である場合には、光感度に優れる。
【0086】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、銅表面上の変色を抑制するためにヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
【0087】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
【0088】
1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
【0089】
1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
【0090】
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましい。光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明のネガ型感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止される。一方、ヒンダードフェノール化合物の配合量が20質量部以下である場合には、光感度に優れる。
【0091】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、有機チタン化合物を含有させてもよい。有機チタン化合物を含有することにより、200℃以下という低温で硬化した場合であっても基板密着性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
【0092】
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
【0093】
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)〜VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましい。具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
【0094】
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2−エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n−ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n−プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2−(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
【0095】
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η
5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η
5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等である。
【0096】
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
【0097】
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
【0098】
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
【0099】
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
【0100】
中でも、有機チタン化合物が、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、及びビス(η
5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
【0101】
有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現する。一方、10質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
【0102】
さらに、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
【0103】
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。ネガ型感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
【0104】
シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ−n−プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、ジ−i−ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ビス(ペンタジオネート)チタン−O,O’−ビス(オキシエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
【0105】
シランカップリング剤としては、前記したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記構造で表されるシランカップリング剤が好ましい。
【化50】
【0106】
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
【0107】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
【0108】
増感剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜25質量部であることが好ましい。
【0109】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
【0110】
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
【0111】
また、溶剤を含む溶液の状態では、保存時の粘度及び光感度の安定性を向上させるために熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
【0112】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、従来から感光性樹脂組成物の添加剤として用いられている染料、界面活性剤はじめ熱酸発生剤、溶解促進剤、基材との密着性を高めるための接着助剤等を適宜添加することができる。
【0113】
上記添加剤について更に具体的に述べると、染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類又はその誘導体から成る非イオン系界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M社製)、メガファック(商品名、大日本インキ化学工業社製)又はルミフロン(商品名、旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。接着助剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー等、及び各種シランカップリング剤が挙げられる。
【0114】
上記の染料及び界面活性剤の配合量としては、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0115】
又、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、熱酸発生剤を任意に配合することができる。
熱酸発生剤は、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、配合することが好ましい。
【0116】
熱酸発生剤としては、熱により酸を生成する機能を有する、オニウム塩等の強酸と、塩基とから形成される塩や、イミドスルホナートが挙げられる。
【0117】
オニウム塩としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩等のジアリールヨードニウム塩;
ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩等のジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩;
トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩;ジメチルフェニルスルホニウム塩等のジアルキルモノアリールスルホニウム塩;
ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールモノアルキルヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0118】
これらの中で、パラトルエンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のトリメチルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩、ノナフルオロブタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、カンファースルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、エタンスルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トルエンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩等が好ましい。
【0119】
また、強酸と塩基とから形成される塩としては、上述のオニウム塩の他、次のような強酸と塩基とから形成される塩、例えば、ピリジニウム塩を用いることもできる。強酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が挙げられる。塩基としては、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2−クロロ−N−メチルピリジンのようなN−アルキルピリジン、ハロゲン化−N−アルキルピリジン等が挙げられる。
【0120】
イミドスルホナートとしては、例えば、ナフトイルイミドスルホナート、フタルイミドスルホナート等を用いることができるが、熱により酸が発生する化合物であれば限定されない。
【0121】
熱酸発生剤を使用する場合の配合量としては、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。
【0122】
<硬化レリーフパターンの製造方法>
また、本発明は、(1)上述した本発明のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程と、(2)該樹脂層を露光する工程と、(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、(4)該レリーフパターンをキュアすることによって硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供する。以下、各工程の典型的な態様について説明する。
【0123】
(1)ネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程
本工程では、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
【0124】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いてレリーフパターンを形成する方法として、該ネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂層を該基板上に形成するだけでなく、該ネガ型感光性樹脂組成物をフィルムの形態にしてネガ型感光性樹脂組成物の層を基板上に積層することによって樹脂層を形成してもよい。また、支持基材上に本発明に係るネガ型感光性樹脂組成物のフィルムを形成し、該フィルムを使用する際に積層してから支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
【0125】
必要に応じて、ネガ型感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、基板上に樹脂層を形成できる。
【0126】
(2)樹脂層を露光する工程
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
【0127】
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃であり、そして時間は10秒〜240秒であることが好ましいが、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
【0128】
(3)露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
本工程においては、露光後の感光性樹脂層の未露光部を現像除去する。現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
【0129】
現像に使用される現像液としては、ネガ型感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。例えば良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって、良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
【0130】
(4)レリーフパターンをキュアすることによって硬化レリーフパターンを形成する工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンをキュアすることによって、硬化レリーフパターンに変換する。キュアの方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等、種々の方法を選ぶことができる。キュアは、例えば150℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。キュアの際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
【0131】
<半導体装置>
本発明はまた、上述した本発明の硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを含む、半導体装置を提供する。本発明は、半導体素子である基材と、前記基材上に、上述した硬化レリーフパターン製造方法により形成された樹脂の硬化レリーフパターンとを含む半導体装置も提供する。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
【0132】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
【0133】
<第二の実施形態>
本発明の実施の形態について、以下に具体的に説明する。なお本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0134】
本実施の形態にかかる第二の態様は以下の通りである。
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、主鎖の末端に、反応性の置換基を有する感光性ポリイミド前駆体を含む、粘度が80ポイズ以下のネガ型感光性樹脂であることを特徴とする。
【0135】
[感光性ポリイミド前駆体]
本発明に用いられる、末端に反応性の置換基を有する感光性ポリイミド前駆体について説明する。
本発明における感光性ポリイミド前駆体として好ましく用いられるのは、i線吸光度が0.1〜2.0のものである。i線吸光度は、感光性ポリイミド前駆体を単独の溶液として塗布し、プリベークした後に得られる、10μm厚フィルムについて測定される。
感光性樹脂組成物から得られる硬化レリーフパターンにおける、開口部の側面を順テーパー型にするために、本発明の感光性樹脂組成物は、上記の要件を満たす感光性ポリイミド前駆体を含有することが好ましい。
<i線吸光度の求め方>
10μm厚フィルムのi線吸光度は、感光性ポリイミド前駆体を単独で石英ガラス上に形成した塗膜について、プリベークした後、通常の分光光度計により測定することができる。形成されたフィルムの厚みが10μmでない場合には、該フィルムについて得られた吸光度を、ランベルト・ベールの法則に従って10μm厚に換算することにより、10μm厚のi線吸光度を求めることができる。
i線吸光度が0.1未満の場合には、これを満たす感光性ポリイミド前駆体の構造が限定されるため、機械物性、熱物性等が劣ることとなる。i線吸光度が2.0を超える場合には、塗膜のi線吸収が大きすぎて底部まで光が到達しない。そのため、ネガ型の場合、塗膜の底部が硬化しないという問題が出る場合がある。
【0136】
本発明の感光性ポリイミド前駆体は、例えばポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、及びポリアミド酸アミドから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とするものであることが好ましい。ここで、主成分とは、これら樹脂を、全樹脂に対して、60質量%以上含有することを意味し、80質量%以上含有することが好ましい。また、感光性ポリイミド前駆体は、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
【0137】
感光性ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、熱処理後に得られる膜の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)の上限は100,000以下であることが好ましい。現像液に対する溶解性の観点から、重量平均分子量(Mw)の上限は50,000以下であることがより好ましい。
【0138】
本発明の、感光性ポリイミド前駆体の主鎖の末端の、熱又は光によって反応する反応性の置換基は、例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルカジエニル基、スチリル基、エチニル基、イミノ基、イソシアナト基、シアナト基、シクロアルキル基、エポキシ基、オキセタニル基、カーボネート基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチロール基、アルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも一種である。面内均一性の観点から、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルカジエニル基、スチリル基、エチニル基が好ましく用いられる。
【0139】
ここで、本発明で用いられる感光性ポリイミド前駆体は、ジアミンモノマーのアミン部分と、酸二無水物モノマーの酸無水物部分がアミド結合を形成して行く重縮合反応により合成される。重縮合はジアミンモノマーもしくは酸二無水物モノマーのどちらかが過剰の状態で行なわれるので、重縮合終了後、ジアミン過剰の場合は主鎖の末端にアミンが、酸二無水物過剰の場合には主鎖の末端に酸無水物が残ることになる。これらのアミンや酸無水物と、熱又は光によって反応する反応性置換基を有する化合物を反応させることにより、主鎖の末端に熱又は光によって反応する反応性の置換基を導入することができる。ジアミンモノマーもしくは酸二無水物モノマーへの反応性の置換基の導入は、主鎖の末端への導入ではない。
【0140】
以下、本発明と先行技術文献との違いについて説明する。説明の簡略化のため、ポリイミド前駆体の酸二無水物モノマーを「A」、ジアミンモノマーを「B」と模式的に表す。酸二無水物モノマーAは側鎖に置換基Xを有し、ジアミンモノマーBは側鎖に置換基Yを有しているとする。主鎖の末端に反応性置換基Mが導入されている。すなわち、本発明に係るポリイミド前駆体は、以下のように表される。ここではBが末端である場合を例に挙げているが、Aが末端になる場合もある。
【化51】
そして本発明に係るポリイミド前駆体は、末端基Mが、モノマーが有している置換基YやXと同じである場合も含む。したがって、本発明は以下のように模式的に表されるポリイミド前駆体をも含む。
【化52】
このように、本発明において、ポリイミド前駆体が有する、反応性を有する基Mは、重合後の「主鎖」の末端に、「積極的に」導入されたものであり、モノマーが元々有していた置換基Yとは異なるものである。したがって、末端基Mが、モノマーが元々有していた置換基Yとたまたま同じであったとしても、両者は区別されるべきである。
【0141】
これに対し、先行技術文献(例えば、特開2011−123219号公報)には、ポリアミド前駆体について記載されているが、主鎖の末端が変性されていないものもある。この先行技術文献に記載されているポリアミド前駆体は、模式的に以下のように表される。ここではBが末端である場合を例に挙げているが、Aが末端になる場合もある。
【化53】
このように、重合後の主鎖の末端を積極的に変性したものでない場合、主鎖の末端に反応性を有する置換基Y,Xが存在していたとしても、本発明でいう、反応性を有する基Mではない。また、モノマーAまたはモノマーBへの、反応性を有する置換基X,Yの導入は、主鎖の末端への導入ではない。
【0142】
ここで、熱又は光によって反応する、とは、熱又は光によって何らかの化学変化が起こることを意味する。例えば、メタクリロキシ基のように、熱又は光で架橋することや、t−ブチルカーボネート基のように、熱又は光で保護基が外れることなどを含む。
【0143】
具体的には後述するように、主鎖の末端に熱又は光で反応する反応性の官能基を導入する前、感光性ポリイミド前駆体の主鎖の末端は、通常アミノ基もしくは酸無水物基やカルボキシル基になっている。この末端に、熱又は光で反応する反応性の置換基が、直接、もしくはアルキル基、芳香族基等、炭素数1〜20の2価の置換基を介して導入される。末端基の導入は、モノマーの段階でも、重合後でもよい。末端への反応性の置換基の導入割合は、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。また、末端に複数種の反応性の置換基を導入してもよい。
【0144】
本発明の感光性樹脂組成物において、耐熱性及び感光性の観点から、最も好ましい感光性ポリイミド前駆体の1つは、下記一般式(A1):
【化54】
{一般式(A1)中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、水素原子、下記一般式(R1):
【化55】
(一般式(R1)中、R
7、R
8、及びR
9は、それぞれ独立に、水素原子又はC
1〜C
3の有機基であり、そしてpは1〜10から選ばれる整数である。)で表される1価の有機基、又はC
1〜C
4の飽和脂肪族基である。但し、R
5及びR
6の両者が同時に水素原子であることはない。}で表される構造を含む、エステル型の感光性ポリイミド前駆体である。pは2〜10であってもよい。
【0145】
上記一般式(A1)中、Xで表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基である。さらに好ましくは、−COOR基及び−COOR
2基と−CONH−基とが、互いにオルト位置にある、芳香族基又は脂環式脂肪族基である。Xで表される4価の有機基として、好ましくは芳香族環を含有する炭素原子数6〜40の有機基である。さらに好ましくは、下記式(30):
【化56】
{式中、R25は水素原子、フッ素原子、C
1〜C
10の炭化水素基、C
1〜C
10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、lは0〜2から選ばれる整数であり、mは0〜3から選ばれる整数であり、そしてnは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Xの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式で表される構造を有するX基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
【0146】
上記一般式(A1)中、Xで表される4価の有機基の中で更に好ましい例として、下記(B1)〜(B3):
【化57】
【化58】
【化59】
から選ばれる少なくとも一種以上の有機基が挙げられる。これらの有機基は、膜厚の面内均一性を向上させる観点から特に好ましいが、これらに限定されるものではない。また、Xの構造は1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0147】
上記一般式(A1)中、Yで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基である。例えば、下記式(31):
【化60】
{式中、R25は水素原子、フッ素原子、C
1〜C
10の炭化水素基、C
1〜C
10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、そしてnは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式(31)で表される構造を有するY基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
【0148】
上記の一般式(A1)中のR
5及びR
6に関して、上記一般式(R1)中のR
7は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。R
8及びR
9は、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、pは、感光特性の観点から2以上、10以下の整数であり、好ましくは2以上、4以下の整数である。
【0149】
上記一般式(A1)中、Yで表される2価の有機基の中で更に好ましい例として、下記(C1)〜(C3):
【化61】
(一般式(C1)中、R
10〜R
13は、水素原子又はC1〜C4の1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
【化62】
【化63】
(一般式(C3)中、R
14〜R
21は、水素原子、ハロゲン原子、又はC
1〜C
4の1
価の有機基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
から選ばれる少なくとも1種以上の2価の有機基が挙げられる。これらの有機基は、膜厚の面内均一性を向上させる観点から特に好ましいが、これらに限定されるものではない。その中でも特に、一般式(A1)中のYが、前記(C3)を含有することが好ましい。
【0150】
本発明の感光性樹脂組成物は、一般式(A1)中のXが、下記(B3):
【化64】
を含有し、かつ、Yが下記(C2):
【化65】
を含有することが、膜厚の面内均一性を向上させることができ、特に好ましい。
【0151】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、一般式(A1)中のXが、下記(B3):
【化66】
を含み、かつYが下記(C3):
【化67】
を含有することが、膜厚の面内均一性を向上させることができ、特に好ましい。
【0152】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、一般式(A1)中のXが、下記(B2):
【化68】
を含有し、かつ、Yが下記(C2):
【化69】
を含有することが、膜厚の面内均一性を向上させることができ、特に好ましい。
【0153】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、一般式(A1)中のXが、下記(B3):
【化70】
を含み、かつYが下記(C1):
【化71】
を含むことが、膜厚の面内均一性を向上させることができ、好ましい。
【0154】
この中で、Xが一般式(B3)を含み、Yが一般式(C2)または(C1)を含む構造が好ましい。
この中で、Xが一般式(B2)を含み、Yが一般式(C1)または(C2)または(C3)を含む構造が好ましい。
この中で、Xが一般式(B1)を含み、Yが一般式(C1)を含む構造が好ましい。
これらの組み合わせは耐薬品性と銅ボイドの抑制効果に優れるため特に好ましいが、これらに限定されるものではない。これらの組み合わせの中で、耐薬品性と銅ボイドの抑制効果の観点から、Xが一般式(B3)を含み、Yが一般式(C2)を含む構造が最も好ましい。
【0155】
本実施形態に係る(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)の好適な範囲は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算において、3,000以上、16,000未満である。当該範囲の重量平均分子量(Mw)の(A)ポリイミド前駆体を用いることで、200℃以下のキュア条件下においても、ポリイミドのイミド環化反応(イミド化)が良好に進行し、耐薬品性が高く、かつ、銅ボイドの発生を抑制できる樹脂層が得られる。重量平均分子量(Mw)が当該範囲よりも大きいと、キュア条件中で(A)ポリイミド前駆体の分子運動が不十分でイミド化が進行し難くなり、得られる樹脂層の耐薬品性が十分でなく、銅ボイドが発生しやすくなる。一方で、重量平均分子量(Mw)が当該範囲よりも小さいと、キュア条件中で(A)ポリイミド前駆体の分子運動は活発になりイミド化は進行し易くなる。一方で(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)が小さい為、キュア後に得られる樹脂層の耐薬品性が十分ではなく、銅ボイド
が発生しやすくなる。重量平均分子量(Mw)が当該範囲の(A)ポリイミド前駆体を用いることで、200℃以下のキュア条件下でもイミド化率が良好で、かつ、得られる硬化膜の耐薬品性が良好で、かつ、銅ボイドの発生を抑制できる樹脂を得られる。
【0156】
なお、上記(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)のより好ましい範囲は、3,000以上、15,000以下、さらに好ましくは3,000以上、13,000以下、さらに好ましくは3,000以上、11,000以下、さらに好ましくは3,000以上、10,000以下、更に好ましくは、3,000以上、10,000未満、更に好ましくは、3,000以上、9,500以下、特に好ましくは、3,000以上、9,000以下、である。
上記(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)の下限は、4,000以上であってもよく、5,000以上であってもよく、6,000以上であってもよく、7,000以上であってもよい。上記(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)の上限は、15,000以下であってもよく、13,000以下であってもよく、12,000以下であってもよく、11,000以下であってもよく、10,000以下であってもよく、10,000未満であってもよい。
【0157】
(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)を制御する調製方法は特に限定されるものではないが、以下のような手法が知られている。例えば、アミノ重縮合の際に、4価の有機基X
1を含むアシッド/エステル体と、2価の有機基Y
1を含むジアミン類との添加モル比率を適宜制御することによって達成できる。4価の有機基X
1を含むアシッド/エステル体あるいは2価の有機基Y
1を含むジアミン類のどちらか一方を過剰に添加することで、重量平均分子量(Mw)を小さくすることが可能である。
【0158】
本実施形態における重量平均分子量(Mw)の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)により行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により算出することが出来る。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
【0159】
感光性ポリイミド前駆体を用いる場合に、感光性樹脂組成物に感光性を付与する方式としては、エステル結合型とイオン結合型とが挙げられる。前者は、ポリイミド前駆体の側鎖に、エステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法である。後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とを、イオン結合を介して結合させることにより、光重合性基を付与する方法である。
【0160】
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、つぎのようにして得られる。すなわち、まず、前述の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類、及び任意に炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させることにより、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。その後、このアシッド/エステル体と、前述の2価の有機基Yを含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
【0161】
前記感光性ポリイミド前駆体の主鎖の少なくとも一方の末端が下記一般式(E1)又は(F1)の構造を有することが好ましい。
【化72】
(式中、a1はアミド結合、イミド結合、ウレア結合、ウレタン結合の少なくとも1つの結合を含み、b1は熱又は光で架橋する反応性の置換基であり、e1は炭素数1〜30の1価の有機基であり、R
11、R
14はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基であり、R
12、R
13はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30の1価の有機基、芳香族環または脂肪族環の一部のいずれかである。(ただしR
12とR
13は同時に水素原子であることはない。)
【化73】
(式中、f1はアミド結合、イミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、エステル結合の少なくとも1つの結合を含み、g1は熱又は光で架橋する反応性の置換基であり、R
15〜R
19はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30の1価の有機基、または芳香族環または脂肪族環の一部、のいずれかである。
(ただしR
16、R
17、R
18は同時に水素原子になることはない。)
【0162】
一般式(E1)において、末端が酸二無水物を変性したものである場合、つまり、a1がエステル基の場合、現像後ベークの際に熱をかけると酸二無水物に戻ってしまい、現像後ベークでの架橋が難しくなる。本実施形態では、a1はアミド結合、イミド結合、ウレア結合、ウレタン結合のいずれかであるため、現像後ベークの際に酸二無水物に戻るおそれがなく、現像後ベークによる架橋を効率よく行うことができる。
上記一般式(E1)および(F1)において、b1及びg1は、末端に二重結合を有する反応性の置換基であることが、現像後ベークによる架橋の観点から好ましい。
【0163】
また、上記一般式(E1)と(F1)を比較すると、一般式(F1)の方が好ましい。これはジアミン末端のほうが立体障害が少なく、末端が架橋しやすい。そのため、耐薬品性が高い。
またf1がアミド基、イミド結合、ウレア基、ウレタン基の少なくとも1つの基を含むことが好ましい。f1がエステル基であると加水分解しやすいので架橋されない可能性がある。これらの4つの基(アミド基、イミド結合、ウレア基、ウレタン基)は、加水分解されにくいので、現像後ベークによる架橋が効率よく行われる。そのため、耐薬品性が高い。
【0164】
熱又は光で架橋する反応性の置換基b1は、例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルカジエニル基、スチリル基、エチニル基、イミノ基、イソシアナト基、シアナト基、シクロアルキル基、エポキシ基、オキセタニル基、カーボネート基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチロール基、およびアルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
膜厚均一性の観点から、b1は、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルカジエニル基、スチリル基、エチニル基から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。特にメタクリル基が好ましい。
【0165】
熱又は光で架橋する反応性の置換基g1は、例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルカジエニル基、スチリル基、エチニル基、イミノ基、イソシアナト基、シアナト基、シクロアルキル基、エポキシ基、オキセタニル基、カーボネート基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチロール基、およびアルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも一つである。
膜厚均一性の観点から、g1は、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルカジエニル基、スチリル基、エチニル基から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。特にメタクリル基が好ましい。
【0166】
このとき、主鎖の末端に、熱又は光で反応する反応性の置換基を導入する方法としてはつぎのような方法を挙げることができる、すなわち、まず、アミド重縮合の際、例えばジアミンを過剰で仕込むことにより、主鎖の両末端をアミノ基とする。そして、アミノ基とも反応する部位を有する、熱又は光で反応する反応性の置換基を有する化合物をアミノ基と反応させる。このとき、アミノ基と反応する部位としては、酸無水物、エポキシ、イソシアネート等を挙げることができる。逆に、つぎのような方法を挙げることもできる。すなわち、まず、アミド重縮合の際、部分的にエステル化したテトラカルボン酸を過剰に仕込むことにより、主鎖の両末端をカルボキシル基とする。そして、カルボキシル基とも反応する部位を有する、熱又は光で反応する反応性の置換基を有する化合物をカルボキシル基と反応させる。このとき、カルボキシル基と反応する部位としては、アミン、アルコール等を挙げることができる。
【0167】
感光性ポリイミド前駆体の合成方法の一例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
【化74】
【0168】
以上は、アミド重縮合を行なってから、主鎖の末端に熱又は光で反応する反応性の置換基を導入する方法である。しかし、アミド重縮合の最初もしくは途中の段階で、ジアミンが過剰の場合は、熱又は光で反応する反応性の置換基を有しアミノ基と反応する部位を有する化合物を添加してもよい。また、部分的にエステル化したテトラカルボン酸が過剰の場合は、熱又は光で反応する反応性の置換基を有し、カルボキシル基と反応する部位を有する化合物を添加してもよい。
【0169】
(アシッド/エステル体の調製)
本発明において、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを有するテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(30)に示される構造を有する酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。より好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0170】
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性基を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
【0171】
上記光重合性基を有するアルコール類とともに、任意的に使用できる飽和脂肪族アルコール類としては、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールが好ましい。その具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
【0172】
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、好ましくはピリジン等の塩基性触媒の存在下、好ましくは適当な反応溶媒中、温度20〜50℃で4〜10時間撹拌することにより、混合する。これにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる(上記式(D1))。
【0173】
上記反応溶媒としては、原料であるテトラカルボン酸二無水物及びアルコール類、並びに生成物であるアシッド/エステル体を完全に溶解するものが好ましい。より好ましくは、更に、該アシッド/エステル体とジアミンとのアミド重縮合生成物である感光性ポリイミド前駆体をも、完全に溶解する溶媒である。このような溶媒として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等を挙げることができる。
【0174】
これらの具体例としては、
ケトン類として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル等
を;
ラクトン類として、例えば、γ−ブチロラクトン等を;
エーテル類として、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を;
ハロゲン化炭化水素類として、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等を;
炭化水素類として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を、それぞれ挙げることができる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0175】
(感光性ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には、上記反応溶媒中に溶解された溶液状態にある。)に、好ましくは氷冷下、適当な脱水縮合剤を投入混合することにより、アシッド/エステル体をポリ酸無水物とする(上記式(D2))。もしくは適当な塩化物を投入混合することにより、アシッド/エステル体をポリ酸
塩化物とする。次いでこれに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Yを有するジアミン類を、別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入する。そして、両者をアミド重縮合させることにより、目的の感光性ポリイミド前駆体を得ることができる(上記式(D3))。上記2価の有機基Yを有するジアミン類とともに、ジアミノシロキサン類を併用してもよい。
上記脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。上記塩化物としては、例えば、塩化チオニル、五塩化リン等が挙げられる。
以上のようにして、中間体であるポリ酸無水化物もしくはポリ酸塩化物が得られる。
【0176】
本発明において、上記のようにして得られるポリ酸無水化物もしくはポリ酸塩化物との反応に好適に用いられる、2価の有機基Yを有するジアミン類としては、上記一般式(31)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等;
及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン原子等で置換されたもの;
並びにこれらの混合物等が挙げられる。
【0177】
前記置換体の具体例としては、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4‘−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4‘−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等;
及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中で好ましく用いられるものとして、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4‘−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4‘−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等を挙げることができる。より好ましくはp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等を、並びにこれらの混合物等を挙げることができる。ジアミン類は、上記の例示に限定されるものではない。
【0178】
ジアミノシロキサン類は、本発明の感光性樹脂組成物から形成される塗膜と各種基板との間の密着性の向上を目的として、感光性ポリイミド前駆体の調製に際して、上記2価の有機基Yを含むジアミン類と併用される。このようなジアミノシロキサン類の具体例としては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等を挙げることができる。
【0179】
主鎖の末端に熱又は光で反応する反応性の置換基を導入するために用いられる、熱又は光で反応する反応性の置換基を有しアミノ基とも反応する部位を有する化合物としては、例えば、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸、無水メタクリル酸、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート、4−エチニル無水フタル酸、4−ビニル無水フタル酸、ジt−ブチルジカーボネート等を挙げることができる。熱又は光で反応する反応性の置換基を有しカルボキシル基とも反応する部位を有する化合物としては、例えば、4−アミノスチレン、4−エチニルアニリン等を挙げることができる。
【0180】
熱又は光で反応する反応性の置換基を有しカルボキシル基とも反応する部位を有する化合物、および、反応性の置換基で変性された、ポリイミド前駆体の主鎖末端の具体例を以下に示す。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)無水マレイン酸:
【化75】
(2)2−イソシアナトエチルメタクリレート:
【化76】
(3)エチニルフタル酸無水物:
【化77】
(4)ジ−t−ブチルカーボネート:
【化78】
(5)無水メタクリル酸:
【化79】
(6)無水イタコン酸:
【化80】
(7)無水エポキシテトラヒドロフタル酸:
【化81】
【0181】
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別する。その後、重合体成分を含有する溶液に、適当な貧溶媒、例えば水、脂肪族低級アルコール、その混合液等)を投入することにより、重合体成分を析出させる。更に必要に応じて、再溶解及び再沈析出操作等の操作を繰り返すことにより重合体を精製する。その後、真空乾燥を行うことにより、目的の感光性ポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通すことにより、イオン性不純物を除去してもよい。
【0182】
エステル結合型のポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、熱処理後に得られる膜の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)の上限は100,000以下であることが好ましい。現像液に対する溶解性の観点から、重量平均分子量(Mw)の上限は50,000以下であることがより好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン又はN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。分子量は、標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求められる。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
【0183】
このような方法により合成された感光性ポリイミド前駆体について、単独で形成したプリベーク後フィルムのi線吸光度は、分子構造に応じて様々な値をとる。しかしながら、混合物のi線吸光度は、各成分のi線吸光度の相加平均となる。そのため、2種類以上の感光性ポリイミド前駆体を適当な割合で組み合わせることにより、機械物性、熱物性等とのバランスをとりながら、感光性ポリイミド前駆体のプリベーク後10μm厚フィルムのi線吸光度を0.1〜2.0にすることができる。
【0184】
[その他の成分]
本発明の感光性樹脂組成物は、上記感光性ポリイミド前駆体以外の成分を更に含有してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物には、通常、感光剤としては光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、
【0185】
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
【0186】
これらの感光剤の配合量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、1〜50質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。感光剤を感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、50質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
【0187】
本発明の感光性樹脂組成物は、典型的には、上記各成分、及び必要に応じて更に使用される任意成分を、溶剤に溶解してワニス状にした、液状の感光性樹脂組成物として使用される。そのため、その他の成分としては、溶剤を挙げることができる。その他、その他の成分としては、例えば上記感光性ポリイミド前駆体以外の樹脂、増感剤、光重合性の不飽和結合を有するモノマー、接着助剤、熱重合禁止剤、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物等を挙げることができる。
【0188】
前記溶剤としては、例えば極性の有機溶剤、アルコール類等を挙げることができる。
溶剤としては、感光性ポリイミド前駆体に対する溶解性の点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
【0189】
本発明における溶剤としては、感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点から、アルコール類を含む溶剤が好ましい。好適に使用できるアルコール類は、典型的には、分子内にアルコール性水酸基を持ち、オレフィン系二重結合を有さないアルコールである。
具体的な例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類;
乳酸エチル等の乳酸エステル類;
プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテル、プロピレングリコール−2−(n−プロピル)エーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル等のモノアルコール類;
2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール等のジアルコール類;
等を挙げることができる。
これらの中では、乳酸エステル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類、及びエチルアルコールが好ましい。特に乳酸エチル、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、及びプロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテルがより好ましい。
【0190】
上記溶剤は、感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、例えば30〜1500質量部の範囲、好ましくは100〜1000質量部の範囲で用いることができる。溶剤が、オレフィン系二重結合を有さないアルコールを含有する場合、全溶剤中に占める、オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量が5質量%以上の場合、感光性樹脂組成物の保存安定性が良好になる。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量が50質量%以下の場合、感光性ポリイミド前駆体の溶解性が良好になる。
【0191】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した感光性ポリイミド前駆体以外の樹脂成分を更に含有してもよい。含有できる樹脂成分としては、例えば、ポリイミド、ポリオキサゾール、ポリオキサゾール前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分の配合量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部の範囲である。
【0192】
本発明の感光性樹脂組成物には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N−メチルアセトアニリド、3‘,4’−ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
【0193】
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜25質量部であることが好ましい。
【0194】
本発明の感光性樹脂組成物には、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましい。
以下に限定されるものではないが、特に、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
グリセロールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート;
1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
ベンゼントリメタクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート;
アクリルアミド及びその誘導体;
メタクリルアミド及びその誘導体;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;
グリセロールのジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラ(メタ)アクリレート;
並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
【0195】
本発明の感光性樹脂組成物が、レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを含有する場合、その配合量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。
【0196】
本発明の感光性樹脂組成物から形成される膜と基板との接着性向上のために、該感光性樹脂組成物には、接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、例えば、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
【0197】
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、その配合量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
【0198】
本発明の感光性樹脂組成物が特に溶剤を含む溶液状態にある場合、その保存時の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、該感光性樹脂組成物に熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
【0199】
感光性樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
【0200】
例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物プリン誘導体等の含窒素複素環化合物を任意に配合することができる。アゾール化合物としては、例えば1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールから選ばれる1種以上である。これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
【0201】
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、9−メチルアデニン、2−ヒドロキシアデニン、2−メチルアデニン、1−メチルアデニン、N−メチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、2−フルオロアデニン、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、8−アミノアデニン、6−アミノ‐8−フェニル‐9H−プリン、1−エチルアデニン、6−エチルアミノプリン、1−ベンジルアデニン、N−メチルグアニン、7−(2−ヒドロキシエチル)グアニン、N−(3−クロロフェニル)グアニン、N−(3−エチルフェニル)グアニン、2−アザアデニン、5−アザアデニン、8−アザアデニン、8−アザグアニン、8−アザプリン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
【0202】
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましい。光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の感光性ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本発明の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制される。一方、アゾール化合物の配合量が20質量部以下である場合には光感度に優れる。
【0203】
銅表面の変色を抑制するために、前記のアゾール化合物に代えて、或いは前記のアゾール化合物とともに、ヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
【0204】
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の感光性ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止される。一方、ヒンダードフェノール化合物の配合量が20質量部以下である場合、該感光性樹脂組成物の優れた光感度が維持される。
【0205】
本発明の感光性樹脂組成物には、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、加熱硬化により生成するポリイミドを架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤であることができる。架橋剤は、感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
【0206】
架橋剤としては、例えば、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物である、サイメル(登録商標)300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174;UFR65、300;マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラック(登録商標)MX−270、−280、−290;ニカラックMS―11;ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)、DML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MF(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル等が挙げられる。
【0207】
また、オキシラン化合物であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、YDB−340、YDB−412、YDF−2001、YDF−2004(以上商品名、新日鐵化学(株)製)、NC−3000−H、EPPN−501H、EOCN−1020、NC−7000L、EPPN−201L 、XD−1000、EOCN−4600(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピコート(登録商標)1001、エピコート1007、エピコート1009、エピコート5050、エピコート5051、エピコート1031S 、エピコート180S65、エピコート157H70、YX−315−75(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EHPE3150 、プラクセルG402、PUE101、PUE105(以上商品名、ダイセル化学工業(株)製)、エピクロン(登録商標)830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(以上商品名、DIC社製)、デナコール(登録商標)EX−201、EX−251、EX−203、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−711、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(以上商品名、ナガセケムテックス社製)、エポライト(登録商標)70P、エポライト100MF(以上商品名、共栄社化学製)等が挙げられる。
【0208】
また、イソシアネート基含有化合物である、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート(登録商標)500、600、コスモネート(登録商標)NBDI、ND(以上商品名、三井化学社製)、デュラネート(登録商標)17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(以上商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0209】
また、ビスマレイミド化合物である、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、BMI−1000、BMI−1100、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−TMH、BMI−6000、BMI−8000(以上商品名、大和化成工業(株)製)等が挙げられるが、上述した様に熱架橋する化合物であれば、これらに限定されない。
【0210】
架橋剤を使用する場合、その配合量としては、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現する。一方、配合量が20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
【0211】
このような本発明の感光性樹脂組成物の粘度は、80ポイズ以下であり、40ポイズ以下が好ましく、20ポイズ以下がより好ましい。なお、ここで言う粘度は、25℃で、E型粘度計(東機産業製、RE80型)を用いて測定したものである。粘度が80ポイズ以下、好ましくは40ポイズ以下、より好ましくは20ポイズ以下になることにより、塗布後の膜厚の面内均一性が向上する。主鎖の末端に熱又は光により反応する反応性置換基を導入し、かつ組成物の粘度を下げると、粘度を下げたことによりスピンコート時の樹脂のフロー性が向上し、かつプリベーク時のポリマー間の相互作用の状態が変わることで、塗布膜厚の面内均一性が向上すると推測される。
感光性樹脂組成物の粘度の下限は特に限定はないが、1ポイズ以上であってもよく、3ポイズ以上であってもよい。また、5ポイズ以上であってもよく、8ポイズ以上であってもよい。
【0212】
<硬化レリーフパターンの形成方法>
本発明はまた、硬化レリーフパターンの形成方法も提供する。
本発明における硬化レリーフパターンの形成方法は、例えば以下の工程:
(1)上述した本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することにより、該基板上に感光性樹脂層を形成する塗布工程と、
(2)感光性樹脂層を露光する露光工程と、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像することによりレリーフパターンを形成する現像工程と、
(4)レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する加熱工程と、
を上記に記載の順に含むことを特徴とする。
以下、各工程の典型的な態様について説明する。
【0213】
(1)塗布工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、必要に応じて、その後乾燥させることにより感光性樹脂層を形成する。
基板としては、例えばシリコン、アルミニウム、銅、銅合金等から成る金属基板;
エポキシ、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等の樹脂基板;
前記樹脂基板に金属回路が形成された基板;
複数の金属、又は金属と樹脂とが多層に積層された基板;
等を使用することができる。
塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法を用いることができる。例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
【0214】
必要に応じて、感光性樹脂組成物膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性樹脂組成物中の、感光性ポリイミド前駆体のイミド化が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上により基板上に感光性樹脂層を形成できる。
【0215】
(2)露光工程
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を露光する。露光装置としては、例えばコンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置が用いられる。露光は、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して、又は直接に行うことができる。露光に使用する光線は、例えば、紫外線光源等である。
【0216】
露光後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃、時間は10秒〜240秒が好ましい。しかし、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
【0217】
(3)現像工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法を選択して使用することができる。例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等である。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる、現像後ベークを施してもよい。現像後ベークの温度は、例えば80〜130℃とすることができる。現像後ベーク時間は例えば0.5〜10分とすることができる。
【0218】
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましい。貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性に応じて、良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
【0219】
(4)加熱工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、感光性ポリイミド前駆体をイミド化させることにより、ポリイミドからなる硬化レリーフパターンに変換する。
加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等、種々の方法を選ぶことができる。
加熱は、例えば200℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
以上のようにして、硬化レリーフパターンを製造することができる。
本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、スピンコート時の樹脂のフロー性が向上し、かつプリベーク時のポリマー間の相互作用の状態が変わる。これにより、塗布膜厚の面内均一性を向上した感光性樹脂層を形成することができる。ひいては、硬化レリーフパターンを高解像度で形成することができる。
【0220】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途にも有用である。
【実施例】
【0221】
<第一の実施形態に関する実施例及び比較例>
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例、比較例、及び製造例においては、ネガ型感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
【0222】
(1)重量平均分子量(Mw)
各(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは昭和電工(株)製の商標名「Shodex KD−805」「Shodex KD−804」「Shodex KD−803」を、3本この順で直列に接続した。標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製の商標名「Shodex STANDARD SM−105」を選択した。展開溶媒は、0.01mol/Lの臭化リチウムを含有したN−メチル−2−ピロリドンを使用し、流速は1.0mL/分で測定した。示差屈折率検出器は、日本分光(株)製の商標名「RI−2031 Plus」、ポンプは、日本分光(株)製の商標名「PU−2080 Plus」、カラムオーブンは、日本分光(株)製の商標名「CO−2065 Plus」を使用して測定した。
【0223】
(2)耐薬品性試験
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に本発明のネガ型感光性樹脂組成物をスピン塗布し、乾燥することにより、約11μm厚の塗膜を感光性樹脂層として形成した。この塗膜にテストパターン付レチクルを用いてghiステッパー(Prisma−ghi、ウルトラテック社製)により、500mJ/cm
2のエネルギーを照射して露光した。次いで、ウェハー上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて、現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像した。そして、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスして未露光部を現像除去することにより、ポリイミド前駆体のレリーフパターンを得た。レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で2時間キュアすることにより、約9μm厚のポリイミドの硬化レリーフパターンを得た。
【0224】
得られたポリイミドパターンを水酸化カリウム1wt%、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール39wt%、ジメチルスルホキシド60wt%からなる溶液に、100℃で1時間浸漬した。水洗及び風乾の後、膜厚測定と光学顕微鏡下での観察とにより、ポリイミド塗膜の評価を行った。
浸漬後の塗膜について、浸漬前に対する塗膜の膜厚変動が±1%以内であり、かつ、クラックが発生していない場合を「◎」、塗膜の膜厚変動が±3%以内であり、かつ、クラックが発生していない場合を「○」、塗膜の膜厚変動が±5%以内であり、かつ、クラックが発生していない場合を「△」、膜厚変動が±5%を超えている、又はクラックが発生している場合を「×」と評価した。
【0225】
(3)銅ボイド発生試験
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚の銅をこの順にスパッタした。続いて、このウェハー上に、後述の方法により調製した感光性ポリアミド酸エステル組成物を、コーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により300mJ/cm
2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いて、コーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像した。そして、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることにより、銅上のレリーフパターンを得た。
【0226】
銅上に該レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、各実施例に記載の温度において2時間加熱処理した。このようにして、銅上に約6〜7μm厚のポリイミド樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。
【0227】
得られた硬化レリーフパターンを以下の高温保存試験により銅ボイドの発生面積を確認した。
まず、銅上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、湿度5%の空気中で、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、銅上のポリイミド樹脂層をプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記の通りである。
出力:133W
ガス種・流量:O
2:40ml/分 + CF
4:1ml/分
ガス圧:50Pa
モード:ハードモード
エッチング時間:1800秒
【0228】
ポリイミド樹脂層を全て除去した銅表面を、FE−SEM(S−4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって真上から1000倍で観察した。そして、126μm×87μmの面積について、1280×960の画素数で写真撮影を行なった。ここで撮影した写真について、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、銅層の表面に占めるボイドの面積比率を算出した。すなわち、SEM像のコントラストを元に、ボイドである部分とそうでない部分とに分離した。ボイドの部分の画素数を、写真全体の画素数で割ることで、銅面の上方から見たボイドの面積比率を算出した。
なお、銅ボイドの発生面積比率が0〜3%の場合を「◎」、3〜4%の場合を「○+」、4〜5%の場合を「○」、5%〜10%の場合を「△」、10%よりも大きい場合を「×」とした。
【0229】
<製造例1>(ポリマー(A)−1の合成)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを2Lのセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
【0230】
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を、攪拌しながら40分かけて反応混合物に加えた。続いて、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gをγ−ブチロラクトン350mLに懸濁したものを、攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
【0231】
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、γ−ブチロラクトン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマー(A)−1)を得た。
ポリマー(A)−1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は2,000であった。
【0232】
<製造例2>(ポリマー(A)−2の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから45.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−2)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0233】
<製造例3>(ポリマー(A)−3の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから57.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−3)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0234】
<製造例4>(ポリマー(A)−4の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから60.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−4)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0235】
<製造例5>(ポリマー(A)−5の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから67.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−5)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
【0236】
<製造例6>(ポリマー(A)−6の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから70.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−6)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
【0237】
<製造例7>(ポリマー(A)−7の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから75.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−7)の重量平均分子量(Mw)は17,000であった。
【0238】
<製造例8>(ポリマー(A)−8の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−8)の重量平均分子量(Mw)は2,000であった。
【0239】
<製造例9>(ポリマー(A)−9の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから45.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−9)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0240】
<製造例10>(ポリマー(A)−10の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから57.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−10)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0241】
<製造例11>(ポリマー(A)−11の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから60.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−11)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0242】
<製造例12>(ポリマー(A)−12の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから67.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−12)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
【0243】
<製造例13>(ポリマー(A)−13の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから70.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−13)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
【0244】
<製造例14>(ポリマー(A)−14の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)の添加量を40.0gから75.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−14)の重量平均分子量(Mw)は17,000であった。
【0245】
<製造例15>(ポリマー(A)−15の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)21.6gに変更した以外は製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−15)の重量平均分子量(Mw)は2,000であった。
【0246】
<製造例16>(ポリマー(A)−16の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)24.3gに変更した以外は製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−16)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0247】
<製造例17>(ポリマー(A)−17の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)30.8gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−17)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0248】
<製造例18>(ポリマー(A)−18の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)32.4gに変更した以外は製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−18)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0249】
<製造例19>(ポリマー(A)−19の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)36.2gに変更した以外は製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−19)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
【0250】
<製造例20>(ポリマー(A)−20の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)37.8gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−20)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
【0251】
<製造例21>(ポリマー(A)−21の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)40.6gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−21)の重量平均分子量(Mw)は17,000であった。
【0252】
<製造例22>(ポリマー(A)−22の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)42.5gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−22)の重量平均分子量(Mw)は2,000であった。
【0253】
<製造例23>(ポリマー(A)−23の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)47.8gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−23)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0254】
<製造例24>(ポリマー(A)−24の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)60.5gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−24)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0255】
<製造例25>(ポリマー(A)−25の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)63.7gに変更した以外は製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−25)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0256】
<製造例26>(ポリマー(A)−26の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)71.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−26)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
【0257】
<製造例27>(ポリマー(A)−27の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)74.3gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−27)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
【0258】
<製造例28>(ポリマー(A)−28の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)79.6gに変更した以外は製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−28)の重量平均分子量(Mw)は17,000であった。
【0259】
<製造例29>(ポリマー(A)−29の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)64.0gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−29)の重量平均分子量(Mw)は2,000であった。
【0260】
<製造例30>(ポリマー(A)−30の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)72.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−30)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0261】
<製造例31>(ポリマー(A)−31の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)91.3gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−31)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0262】
<製造例32>(ポリマー(A)−32の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)96.1gに変更した以外は製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−32)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0263】
<製造例33>(ポリマー(A)−33の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)107.3gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−33)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
【0264】
<製造例34>(ポリマー(A)−34の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)112.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−34)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
【0265】
<製造例35>(ポリマー(A)−35の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)120.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−35)の重量平均分子量(Mw)は17,000であった。
【0266】
<製造例36>(ポリマー(A)−36の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)134.0gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを4,4’−チオジアニリン(TDA)59.5gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A)−36)の重量平均分子量(Mw)は10,000であった。
【0267】
<製造例37>(ポリマー(A2)−1の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)24.3gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−1)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0268】
<製造例38>(ポリマー(A2)−2の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)30.8gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−2)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0269】
<製造例39>(ポリマー(A2)−3の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)32.4gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−3)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0270】
<製造例40>(ポリマー(A2)−4の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)36.2gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−4)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
【0271】
<製造例41>(ポリマー(A2)−5の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)37.8gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−5)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
【0272】
<製造例42>(ポリマー(A2)−6の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)47.8gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−6)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0273】
<製造例43>(ポリマー(A2)−7の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)60.5gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−7)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0274】
<製造例44>(ポリマー(A2)−8の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)63.7gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−8)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0275】
<製造例45>(ポリマー(A2)−9の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)71.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−9)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
【0276】
<製造例46>(ポリマー(A2)−10の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)74.3gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−10)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
【0277】
<製造例47>(ポリマー(A2)−11の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)72.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−11)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0278】
<製造例48>(ポリマー(A2)−12の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)91.3gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−12)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0279】
<製造例49>(ポリマー(A2)−13の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)96.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−13)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
<製造例50>(ポリマー(A2)−14の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)107.3gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−14)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
<製造例51>(ポリマー(A2)−15の合成)
製造例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)112.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−15)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
<製造例52>(ポリマー(A2)−16の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを48.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−16)の重量平均分子量(Mw)は5,000であった。
【0280】
<製造例53>(ポリマー(A2)−17の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを52.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−17)の重量平均分子量(Mw)は9,500であった。
【0281】
<製造例54>(ポリマー(A2)−18の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを62.1gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−18)の重量平均分子量(Mw)は13,000であった。
【0282】
<製造例55>(ポリマー(A2)−19の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)24.3gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−19)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
【0283】
<製造例56>(ポリマー(A2)−20の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)30.8gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−20)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0284】
<製造例57>(ポリマー(A2)−21の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)32.4gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−21)の重量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0285】
<製造例58>(ポリマー(A2)−22の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)36.2gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−22)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
【0286】
<製造例59>(ポリマー(A2)−23の合成)
製造例1において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを、ピロメリット酸無水物(PMDA)109.6gに変更し、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)40.0gを1,4−フェニレンジアミン(PPD)37.8gに変更した以外は、製造例1と同様にして合成した。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A2)−23)の重量平均分子量(Mw)は16,000であった。
【0287】
<製造例60>(ポリマー(A3)−1の合成)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、ジカルボン酸として4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g、N−メチルピロリドンを仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニルを滴下し、30分間反応させて、ジカルボン酸クロリドの溶液を得た。次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドンを仕込み、ビスアミノフェノールとしてビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)28.57gとm−アミノフェノール2.18gを攪拌溶解した後、ピリジンを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、ジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリマー(ポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマー(A3)−1))を得た。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A3)−1))の重量平均分子量(Mw)は10,000であった。
【0288】
<製造例61>(ポリマー(A3)−2の合成)
ジカルボン酸をセバシン酸(12.13g)に変更した以外は前述のポリマー(A3)−1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A3)−2を得た。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A3)−2)の重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0289】
<製造例62>(ポリマー(A3)−3の合成)
ジカルボン酸をジシクロペンタジエンジカルボン酸(DCPD)(11.3g)に変更した以外は前述のポリマー(A3)−1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A3)−3を得た。
得られた粉末状のポリマー(ポリマー(A3)−3)の重量平均分子量(Mw)は9,000であった。
【0290】
これらポリマー(A)−1〜(A)−36、(A2)−1〜(A2)−23、(A3)−1〜(A3)−3を表1にまとめて示す。
【0291】
【表1】
【0292】
<実施例1>
ポリマー(A)−2を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
ポリマー(A)−2((A)ポリイミド前駆体に該当)100gを、B−1成分(光重合開始剤に該当)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート((C)−1に該当)4gと共に、N−メチル−2−ピロリドン((D)−1に該当)80gと乳酸エチル((E)−1)20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズ(poise)に調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により200℃でキュアして耐薬品性試験を実施したところ、「○」であった。また、上述の方法により銅層上に硬化レリーフパターンを作製した。高温保存試験を行った後、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「〇+」であった。
【0293】
<実施例2〜49>
表2に示す配合量によりネガ型感光性樹脂組成物を調整した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性および銅層の表面に占めるボイド評価は表2−1に示す通りとなった。
【0294】
<実施例50〜52>
表2に示す配合量によりポジ型感光性樹脂組成物を調整した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性および銅層の表面に占めるボイド評価は表2−1に示す通りとなった。
【0295】
ここで、表および明細書中において、
B−1:
【化82】
B−2:
【化83】
B−4:
【化84】
を表し、(D)−2はγ―ブチロラクトン、そして(E)−2はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを表す。
【0296】
<比較例1>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−1に、(B)−1を(B)−4に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「×」であった。
【0297】
<比較例2>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−7に、(B)−1を(B)−4に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「×」であった。
【0298】
<比較例3>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−1に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「△」であった。
【0299】
<比較例4>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−7に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「○」であった。
【0300】
<比較例5>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−8に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「△」であった。
【0301】
<比較例6>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−14に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「○」であった。
【0302】
<比較例7>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−15に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「△」であった。
【0303】
<比較例8>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−21に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「○」であった。
【0304】
<比較例9>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−22に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「△」であった。
【0305】
<比較例10>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−28に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「○」であった。
【0306】
<比較例11>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−29に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「△」であった。
【0307】
<比較例12>
実施例1において、ポリマー(A)−2を(A)−35に変更した以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、上記の方法により耐薬品性試験を実施したところ、耐薬品性は「×」であった。また、銅層の表面に占めるボイド評価を行ったところ、「○」であった。
これら実施例1〜52の結果を表2に、比較例1〜12の結果を表3にまとめて示す。
【0308】
【表2】
【0309】
【表3】
【0310】
表2および表3から明らかなように、(A)ポリイミド前駆体として、重量平均分子量(Mw)が、3,000以上、16,000未満であるポリマーを用いた実施例では、いずれも良好な耐薬品性および銅ボイドの発生が抑制される結果が得られている。その中でも、重量平均分子量(Mw)が、3,000以上、12,000未満であるポリマーを用いた実施例では、特に良好な耐薬品性および銅ボイドの発生が抑制される結果が得られている。
これに対し、重量平均分子量(Mw)が、3,000未満、あるいは16,000以上であるポリマーを用いた比較例では、耐薬品性および銅ボイドの発生が抑制される結果が劣っていることがわかる。
また、実施例26と、その他の実施例とを比較してわかるように、一般式(1)で表される(A)ポリイミド前駆体において、炭素数6〜40の4価の有機基であるX
1の構造を特定の基にすることにより、耐薬品性および銅ボイドの発生が抑制される結果を特に優れたものとすることができる。
また、実施例50〜実施例52とその他の実施例とを比較して分かるように、(B)光重合開始剤にオキシムエステル化合物を用いることにより、耐薬品性および銅ボイドの抑制が抑制される結果を特に優れたものとすることができる。
【0311】
以上の結果より、本発明によれば、特定の重量平均分子量(Mw)を有する感光性樹脂を用いることにより、耐薬品性が高い樹脂層が得られる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた硬化レリーフパターンの製造方法を提供することができることが確認された。
これは、特定の重量平均分子量(Mw)を有する感光性樹脂を用いることにより、200℃以下の低温キュア条件下においても、ポリイミドのイミド環化反応(イミド化)が良好に進行する。このため樹脂膜中にポリイミド前駆体が残存しないためと考察される。
【0312】
<第二の実施形態に関する実施例及び比較例>
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例、比較例、及び製造例における感光性樹脂組成物の物性は、以下の方法に従って測定及び評価した。
【0313】
(1)重量平均分子量
後述の方法により合成した各ポリアミド酸エステルの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算により測定した。GPCの分析条件を以下に記す。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105
溶離液:N−メチル−2−ピロリドン 40℃
流速:1.0ml/分
検出器:昭和電工製 商標名 Shodex RI−930
【0314】
(2)塗布膜の形成と膜厚の面内均一性の評価
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物を、コーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗布膜を形成した。この塗布膜について、非接触型膜厚測定器(ナノメトリクス製、ナノスペック/AFT 5100型)を用いて、面内の39点の膜厚を測定し、その平均値と最大及び最小の膜厚の差を求めた。このときの膜厚の最大と最小の差を面内均一性の指標とした。
【0315】
(3)耐薬品性試験
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に本発明のネガ型感光性樹脂組成物をスピン塗布し、乾燥することにより、約11μm厚の塗膜を感光性樹脂層として形成した。この塗膜にテストパターン付レチクルを用いてghiステッパー(Prisma−ghi、ウルトラテック社製)により、500mJ/cm
2のエネルギーを照射して露光した。次いで、ウェハー上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて、現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像した。そして、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスして未露光部を現像除去することにより、ポリイミド前駆体のレリーフパターンを得た。レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で2時間キュアすることにより、約9μm厚のポリイミドの硬化レリーフパターンを得た。
【0316】
得られたポリイミドパターンを水酸化カリウム1wt%、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール39wt%、ジメチルスルホキシド60wt%からなる溶液に、100℃で1時間浸漬した。水洗及び風乾の後、膜厚測定と光学顕微鏡下での観察とにより、ポリイミド塗膜の評価を行った。
浸漬後の塗膜について、浸漬前に対する塗膜の膜厚変動が±1%以内であり、かつ、クラックが発生していない場合を「◎」、塗膜の膜厚変動が±3%以内であり、かつ、クラックが発生していない場合を「○」、塗膜の膜厚変動が±5%以内であり、かつ、クラックが発生していない場合を「△」、膜厚変動が±5%を超えている、又はクラックが発生している場合を「×」と評価した。
【0317】
<実施例1>
酸成分として4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)134.0g及びγ―ブチロラクトン400mlを加えた。室温下で攪拌しながら、ピリジン79.1gを加えることにより、反応混合物を得た。反応による発熱の終了後、室温まで放冷し、更に16時間静置した。
【0318】
次に、氷冷下において、反応混合物に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を、攪拌しながら40分かけて加えた。続いて、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)120.14gをγ−ブチロラクトン360mlに懸濁した懸濁液を、攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、末端変性剤として2−イソシアナトエチルメタクリレート37.2gを加えて2時間攪拌した。その後、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物を、ろ過により取り除き、反応液を得た。
【0319】
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾取した後に真空乾燥することにより、粉末状のポリマーA−1を得た。
このポリマーA−1の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、20,000であった。
【0320】
ポリイミド前駆体であるポリマーA−1 100gを、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、ベンゾトリアゾール 0.5g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、前記混合溶媒を更に加えることによって15ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物溶液とした。
【0321】
この溶液を前述の方法によりシリコンウェハ上に塗布し、膜厚の面内均一性と耐薬品性を求めた。その結果、面内均一性の評価結果は0.03μmであった。また、耐薬品性試験の結果は◎であった。
実施例1で用いた酸成分の種類と量、ジアミン成分の種類と量、末端変性剤の種類と量を、ネガ型感光性樹脂組成物溶液の粘度(ポイズ)、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、面内均一性の評価結果、および耐薬品性試験の結果と併せて表1に示す。
【0322】
なお、表1の酸末端/ジアミン末端の項目において、
酸末端であると、ポリマーの主鎖の両末端が
【化85】
(式中、a1はアミド結合、イミド結合、ウレア結合、ウレタン結合の少なくとも1つの基を含み、b1は
熱又は光で架橋する反応性の置換基であり、e1は炭素数1〜30の1価の有機基であり、R
11、R14はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基であり、R
12、R
13はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30の1価の有機基、芳香族環または脂肪族環の一部のいずれかである。(ただしR
12とR
13は同時に水素原子であることはない。)
の構造となっていることを示し、
酸末端/ジアミン末端の項目がアミン末端であると、ポリマーの主鎖の両末端が
【化86】
(式中、f1はアミド結合、イミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、エステル結合の少なくとも1つの基を含み、g1は熱又は光で架橋する反応性の置換基であり、R
15〜R
19はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30の1価の有機基、または芳香族環または脂肪族環の一部、のいずれかである。(ただしR16、R
17、R
18は同時に水素原子になることはない。)
の構造となっていることを示す。
また、表1の結合の種類の項目は、
ポリマーの主鎖の両末端が(E1)の場合には、a1の結合の種類を表し、ポリマーの主鎖の両末端が(F1)の場合には、f1の結合の種類を表している。
【0323】
<実施例2〜29>
酸成分の種類と量、ジアミン成分の種類と量、末端変性剤の種類と量、ネガ型感光性樹脂組成物溶液の粘度(ポイズ)を表1に記載の通り変更した以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法を行うことで、実施例2〜29のネガ型感光性樹脂組成物溶液を得た。
得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、面内均一性の評価結果、耐薬品性試験の結果は表1に記載の通りである。
【0324】
<参考例1〜4>
酸成分の種類と量、ジアミン成分の種類と量、末端変性剤の種類と量、ネガ型感光性樹脂組成物溶液の粘度(ポイズ)を表1に記載の通り変更した以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法を行うことで、参考例1〜4のネガ型感光性樹脂組成物溶液を得た。
参考例1〜4のネガ型感光性樹脂組成物溶液はネガ型感光性樹脂組成物溶液の粘度(ポイズ)が90であった。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、面内均一性の評価結果、耐薬品性試験の結果は表1に記載の通りである。
【0325】
<比較例1>
酸成分として4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)134.0g及びγ―ブチロラクトン400mlを加えた。室温下で攪拌しながら、ピリジン79.1gを加えることにより、反応混合物を得た。反応による発熱の終了後、室温まで放冷し、更に16時間静置した。
【0326】
次に、氷冷下において、反応混合物に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を、攪拌しながら40分かけて加えた。続いて、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)84.1gをγ−ブチロラクトン240mlに懸濁した懸濁液を、攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次にγ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物を、ろ過により取り除き、反応液を得た。
【0327】
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾取した後に真空乾燥することにより、粉末状のポリマーB−1を得た。
このポリマーB−1の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、20,000であった。このポリマーB−1は主鎖の末端に、熱又は光によって反応する反応性の置換基を有していない。
ポリイミド前駆体であるポリマーB−1 100gを、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、ベンゾトリアゾール 0.5g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、前記混合溶媒を更に加えることによって15ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物溶液とした。
この溶液を前述の方法によりシリコンウェハ上に塗布し、膜厚の面内均一性と耐薬品性を求めた。
膜厚の面内均一性と耐薬品性の評価結果は表1の通りである。
【0328】
<比較例2>
酸成分の種類と量、ジアミン成分の種類と量、末端変性剤の種類と量、ネガ型感光性樹脂組成物溶液の粘度(ポイズ)を表1に記載の通り変更した以外は、比較例1に記載の方法と同様の方法を行うことで、比較例2のネガ型感光性樹脂組成物溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、面内均一性の評価結果、耐薬品性試験の結果は表4に記載の通りである。
【0329】
各実施例および比較例で用いた酸成分の種類と量、ジアミン成分の種類と量、末端変性剤の種類と量を、ネガ型感光性樹脂組成物溶液の粘度(ポイズ)、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、面内均一性の評価結果、および耐薬品性試験の結果と併せて表4に示す。
【0330】
【表4】
【0331】
表から明らかなように、主鎖の末端に、主鎖の末端に、熱又は光によって反応する反応性の置換基を有する感光性ポリイミド前駆体を含み、粘度が80ポイズ以下である実施例のネガ型感光性樹脂組成物では、膜厚均一性および耐薬品性に優れることがわかる。
【0332】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。