特許第6368101号(P6368101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368101
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/15 20060101AFI20180723BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   F24F13/15 B
   B60H1/34 631
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-25151(P2014-25151)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-152202(P2015-152202A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月27日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】日比野 義光
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−089529(JP,A)
【文献】 特開2009−083518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/15
B60H 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リテーナ内に並設された複数のフィンの表面がフィンシャット時にそれぞれ近接して略同一平面状になることによって前記リテーナを閉じた状態にするレジスタであって、
前記複数のフィンには、フィンシャット時に前記リテーナの通風方向下流側に位置する表面にて、当該表面に近接したフィンの端部に沿って該端部に近接して凸設されると共に当該表面に近接したフィンの端部に向かう返しが形成された側面を有する突条を備え
前記突条の側面は、コの字状の凹面であること、を特徴とするレジスタ。
【請求項2】
リテーナ内に並設された複数のフィンの表面がフィンシャット時にそれぞれ近接して略同一平面状になることによって前記リテーナを閉じた状態にするレジスタであって、
前記複数のフィンには、フィンシャット時に前記リテーナの通風方向下流側に位置する表面にて、当該表面に近接したフィンの端部に沿って該端部に近接して凸設されると共に当該表面に近接したフィンの端部に向かう返しが形成された側面を有する突条を備え
前記突条の側面は、四分円状の凹面であること、を特徴とするレジスタ。
【請求項3】
リテーナ内に並設された複数のフィンの表面がフィンシャット時にそれぞれ近接して略同一平面状になることによって前記リテーナを閉じた状態にするレジスタであって、
前記複数のフィンには、フィンシャット時に前記リテーナの通風方向下流側に位置する表面にて、当該表面に近接したフィンの端部に沿って該端部に近接して凸設されると共に当該表面に近接したフィンの端部に向かう返しが形成された側面を有する突条を備え
前記突条の側面は、半円状の凹面であること、を特徴とするレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィンシャットが行われる空気吹出調整用のレジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィンシャットが行われる空気吹出調整用のレジスタには、例えば、下記特許文献1の「背景技術」の欄に記載されたレジスタがある。このレジスタでは、フィンシャットされると、フィンが相互に接近して空気吹出口を全閉状態に遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−41429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィンシャットされても、相互に接近したフィン間には僅かな隙間が形成されるため、漏れ風が生じる。しかも、フィンシャット時の各フィン間から生じる漏れ風は、同一方向の風向きであるため、合流して、風速が高い一つの空気流れとなる。
【0005】
尚、低価格帯のレジスタに対しては、漏れ風を防ぐダンパーを省きたい要請がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、フィンシャット時の漏れ風の速度を低下させるレジスタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、リテーナ内に並設された複数のフィンの表面がフィンシャット時にそれぞれ近接して略同一平面状になることによって前記リテーナを閉じた状態にするレジスタであって、前記複数のフィンには、フィンシャット時に前記リテーナの通風方向下流側に位置する表面にて、当該表面に近接したフィンの端部に沿って該端部に近接して凸設されると共に当該表面に近接したフィンの端部に向かう返しが形成された側面を有する突条を備え、前記突条の側面は、コの字状の凹面であること、を特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、リテーナ内に並設された複数のフィンの表面がフィンシャット時にそれぞれ近接して略同一平面状になることによって前記リテーナを閉じた状態にするレジスタであって、前記複数のフィンには、フィンシャット時に前記リテーナの通風方向下流側に位置する表面にて、当該表面に近接したフィンの端部に沿って該端部に近接して凸設されると共に当該表面に近接したフィンの端部に向かう返しが形成された側面を有する突条を備え、前記突条の側面は、四分円状の凹面であること、を特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、リテーナ内に並設された複数のフィンの表面がフィンシャット時にそれぞれ近接して略同一平面状になることによって前記リテーナを閉じた状態にするレジスタであって、前記複数のフィンには、フィンシャット時に前記リテーナの通風方向下流側に位置する表面にて、当該表面に近接したフィンの端部に沿って該端部に近接して凸設されると共に当該表面に近接したフィンの端部に向かう返しが形成された側面を有する突条を備え、前記突条の側面は、半円状の凹面であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
すなわち、本発明のレジスタでは、リテーナ内に並設された複数のフィンには、フィンシャット時にリテーナの通風方向下流側に位置する表面にて、当該表面に近接したフィン
の端部に沿って該端部に近接して凸設されると共に当該表面に近接したフィンの端部に
向かう返しが形成された側面を有する突条を備える。そのため、当該表面と当該表面に近接したフィンの端部との間から生じる漏れ風は、突条の側面で形成された返しによって風向きが変わり、他の漏れ風と合流することない。本発明の第1の観点では、突条の側面は、コの字状の凹面である。また、本発明の第2の観点では、突条の側面は、四分円状の凹面である。また、本発明の第3の観点では、突条の側面は、半円状の凹面である。各観点の側面を用いることで、本発明のレジスタでは、それぞれの漏れ風が均一に分散するので、フィンシャット時の漏れ風の速度を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るレジスタ1を表した斜視図である。
図2】同レジスタ1を表した正面図である。
図3】同レジスタ1を表した平面図である。
図4】同レジスタ1を表した底面図である。
図5】同レジスタ1を表した左側面図である。
図6】同レジスタ1を表した右側面図である。
図7】フィンオープン時の同レジスタ1を図2の線A−Aで切断した断面図であって、リテーナ2や、ベゼル3、縦フィン6等を表した図である。
図8】フィンシャット時の同レジスタ1を図2の線A−Aで切断した断面図であって、リテーナ2や、ベゼル3、縦フィン6等を表した図である。
図9】フィンシャット時の同レジスタ1の縦フィン6について図8の線Bで囲まれた部分を拡大した断面図であって、2つの縦フィン6が近接した状態を表した図である。
図10】同レジスタ1の縦フィン6を一つの部材として成型するための金型10,11を表した図である。
図11】フィンシャット時の同レジスタ1の縦フィン6について図8の線Bで囲まれた部分の変更例を拡大した断面図であって、2つの縦フィン6が近接した状態を表した図である。
図12】フィンシャット時の同レジスタ1の縦フィン6について図8の線Bで囲まれた部分の変更例を拡大した断面図であって、2つの縦フィン6が近接した状態を表した図である。
図13】フィンシャット時の同レジスタ1の縦フィン6について図8の線Bで囲まれた部分の変更例を拡大した断面図であって、2つの縦フィン6が近接した状態を表した図である。
図14】フィンシャット時の同レジスタ1を図2の線A−Aで切断した断面図であって、縦フィン6の突条7の変更例を拡大した図である。
図15】フィンシャット時の同レジスタ1を図2の線A−Aで切断した断面図であって、縦フィン6の突条7の変更例を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1乃至図15を参照して、本発明の一実施形態に係るレジスタ1について詳細に説明する。
【0015】
[1.レジスタの外観]
図1は、本実施形態に係るレジスタ1を表した斜視図である。図2は、本実施形態に係るレジスタ1を表した正面図である。図3は、本実施形態に係るレジスタ1を表した平面図である。図4は、本実施形態に係るレジスタ1を表した底面図である。図5は、本実施形態に係るレジスタ1を表した左側面図である。図6は、本実施形態に係るレジスタ1を表した右側面図である。
【0016】
図1乃至図6に表したように、本実施形態に係るレジスタ1は、リテーナ2や、ベゼル3、横フィン4、操作ノブ5、縦フィン6等を有している。リテーナ2は、空気誘導路を形成するダクトである。ベゼル3は、本実施形態に係るレジスタ1の前面部を構成し、リテーナ2と嵌合して連結している。
【0017】
ベゼル3の向こう側には、5本の横フィン4がリテーナ2内に横方向で平行に配置されている。その配置されている真ん中の横フィン4には、左右の横方向に摺動可能な操作ノブ5が嵌め込まれている。さらに、5本の横フィン4の奥には、4本の縦フィン6がリテーナ2内に縦方向で平行に配置されている。
【0018】
操作ノブ5を上下方向に移動させると、5本の横フィン4が連動すると共に回動して一斉にその向きを変えることができる。これに対して、操作ノブ5を左右方向に移動させると、4本の縦フィン6が連動すると共に回動して一斉にその向きを変えることができる。
【0019】
横フィン4や縦フィン6のこのような動きを操作ノブ5を介して行うメカニズムは、横フィン4の回動装置や、縦フィン6の回動装置、操作ノブ5に設けられたギヤなどで構成されるが、公知技術であり、その説明は省略する。
【0020】
[2.縦フィンによるフィンオープン・フィンシャット]
図7は、フィンオープン時の本実施形態に係るレジスタ1を図2の線A−Aで切断した断面図であって、リテーナ2や、ベゼル3、縦フィン6等を表した図である。図8は、フィンシャット時の本実施形態に係るレジスタ1を図2の線A−Aで切断した断面図であって、リテーナ2や、ベゼル3、縦フィン6等を表した図である。
【0021】
図7に表したように、本実施形態に係るレジスタ1では、フィンオープン時の各縦フィン6は、リテーナ2の通風方向Wと略平行に位置する。これに対して、図8に表したように、フィンシャット時の各縦フィン6は、リテーナ2の通風方向Wと略直角に位置する。つまり、フィンシャット時の各縦フィン6は、それぞれ近接して略同一平面状になり、リテーナ2を閉じた状態にする。
【0022】
[3.縦フィンの突条]
図9は、フィンシャット時の本実施形態に係るレジスタ1の縦フィン6について図8の線Bで囲まれた部分を拡大した断面図であって、2つの縦フィン6が近接した状態を表した図である。
【0023】
図9に表したように、縦フィン6には、フィンシャット時にリテーナ2の通風方向Wの下流側(図9の下側)に位置する表面6Aにて、その表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bに沿った突条7が設けられている。つまり、突条7は、表面6Aから突出した突起部が細長く続いたものである。
【0024】
突条7の側面7Aは、表面6Aに近づくに連れて、その表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bから遠ざかる傾斜面である。この傾斜面により、側面7Aには、その表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bに向かう「返し」が形成されている。
【0025】
そして、図9の線Fで表したように、リテーナ2の通風方向Wに流れる空気は、近接した状態にある2つの縦フィン6間を通った後、突条7の側面7Aや端部6Bに当たる。その結果、近接した状態にある2つの縦フィン6間から生じる漏れ風は、突条7の側面7Aと端部6Bとの間を抜けると、リテーナ2の通風方向Wに近い風向きとなる。
【0026】
[4.縦フィンの型内成形]
図10は、本実施形態に係るレジスタ1の縦フィン6を一つの部材として成型するための金型10,11を表した図である。図10に表したようにパーティングラインPLを金型10,11に対して設けることで、突起部が細長く続いた突条7を有する縦フィン6を、スライドがなくとも成型することができる。
【0027】
[5.まとめ]
すなわち、本実施形態に係るレジスタ1において、リテーナ2内に並設された複数の縦フィン6には、フィンシャット時にリテーナ2の通風方向Wの下流側に位置する表面6Aにて、その表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bに沿って凸設されると共にその表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bに向かう「返し」が形成された側面7Aを有する突条7を備える。
【0028】
その表面6Aとその表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bとの間から生じる漏れ風(図9の線F参照)は、突条7の側面7Aで形成された「返し」によって風向きが変わり、他の漏れ風と合流しない。よって、それぞれの漏れ風は、ベゼル3の全面に均一に分散するので、フィンシャット時の漏れ風の速度を低下させることができる。
【0029】
[5.その他]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0030】
[5.−1 「返し」の変更例その1]
例えば、図9の突条7の側面7Aに代えて図11の突条7の側面7Aで「返し」を形成してもよい。図11の突条7の側面7Aは、「コ」の字状の凹面である。このような場合でも、図11の線Fで表したように、リテーナ2の通風方向Wに流れる空気は、近接した状態にある2つの縦フィン6間を通った後、突条7の側面7Aや端部6Bに当たる。その結果、近接した状態にある2つの縦フィン6間から生じる漏れ風は、突条7の側面7Aと端部6Bとの間を抜けると、リテーナ2の通風方向Wに近い風向きとなる。
【0031】
そのため、その表面6Aとその表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bとの間から生じる漏れ風(図11の線F参照)は、突条7の側面7Aで形成された「返し」によって風向きが変わり、他の漏れ風と合流しない。よって、それぞれの漏れ風は、ベゼル3の全面に均一に分散するので、フィンシャット時の漏れ風の速度を低下させることができる。
【0032】
[5.−2 「返し」の変更例その2]
また、図9の突条7の側面7Aに代えて図12の突条7の側面7Aで「返し」を形成してもよい。図12の突条7の側面7Aは、四分円状の凹面である。このような場合でも、図12の線Fで表したように、リテーナ2の通風方向Wに流れる空気は、近接した状態にある2つの縦フィン6間を通った後、突条7の側面7Aや端部6Bに当たる。その結果、近接した状態にある2つの縦フィン6間から生じる漏れ風は、突条7の側面7Aと端部6Bとの間を抜けると、リテーナ2の通風方向Wに近い風向きとなる。
【0033】
そのため、その表面6Aとその表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bとの間から生じる漏れ風(図12の線F参照)は、突条7の側面7Aで形成された「返し」によって風向きが変わり、他の漏れ風と合流しない。よって、それぞれの漏れ風は、ベゼル3の全面に均一に分散するので、フィンシャット時の漏れ風の速度を低下させることができる。
【0034】
[5.−3 「返し」の変更例その3]
また、図9の突条7の側面7Aに代えて図13の突条7の側面7Aで「返し」を形成してもよい。図13の突条7の側面7Aは半円状の凹面である。このような場合でも、図13の線Fで表したように、リテーナ2の通風方向Wに流れる空気は、近接した状態にある2つの縦フィン6間を通った後、突条7の側面7Aや端部6Bに当たる。その結果、近接した状態にある2つの縦フィン6間から生じる漏れ風は、突条7の側面7Aと端部6Bとの間を抜けると、リテーナ2の通風方向Wに近い風向きとなる。
【0035】
そのため、その表面6Aとその表面6Aに近接した縦フィン6の端部6Bとの間から生じる漏れ風(図13の線F参照)は、突条7の側面7Aで形成された「返し」によって風向きが変わり、他の漏れ風と合流しない。よって、それぞれの漏れ風は、ベゼル3の全面に均一に分散するので、フィンシャット時の漏れ風の速度を低下させることができる。
【0036】
[5.−4 「返し」の変更例その4,5]
また、図14に表したように突条7の側面7Aが台形状の凹面であってもよいし、図15に表したように突条7の側面7Aが三角形状の凹面であってもよい。
【0037】
[5.−5 フィンの変更例]
また、縦フィン6ではなく横フィン4のフィンシャットでリテーナ2を閉じた状態にするケースでは、横フィン4に対して、上述した各突条7を設ければよい。
【符号の説明】
【0038】
1 レジスタ
2 リテーナ
6 縦フィン
6A 縦フィンの表面
6B 縦フィンの表面に近接した縦フィンの端部
7 突条
7A 突条の側面(返し)
W リテーナの通風方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15