(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、空調ダクトと換気ダクトとが建物ユニットの天井裏に設置される上述の構成では、空調ダクトと換気ダクトとが途中で交差する等して上下に並ぶ場合が考えられる。しかしながら、建物ユニットの天井裏空間は、その上下寸法が天井大梁の高さ寸法により概ね規定されているため、建物ユニットの天井裏空間に空調ダクトと換気ダクトとを上下に並ぶように配設しようとしても配設できない場合が想定される。その場合、それらのダクトの配設経路を変更せざるを得なくなる等、ダクトの配設態様に関する自由度が制約されるおそれがある。
【0006】
なお、このような問題は、建物ユニットの天井裏に空調ダクトと換気ダクトとが配設される場合に限らず、建物ユニットの天井裏に複数のダクトが配設される場合にはダクトの種類にかかわらず同様に生じうる問題である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物ユニットの天井裏に複数のダクトを配設するにあたり、その配設態様に関する自由度の制約を少なくすることができる建物におけるダクト設置構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物におけるダクト設置構造は、天井梁、床梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットが互いに組み合わされることで構築されるユニット式の建物に適用され、前記建物ユニットの天井裏には、空気を搬送する通気ダクトとして第1ダクト及び第2ダクトが設置されている建物におけるダクト設置構造であって、前記建物ユニットの天井部には、下がり天井が設けられており、前記下がり天井の上方には、天井裏空間が形成されており、前記天井裏空間は、前記天井梁としての天井大梁により囲まれて形成された上側天井裏空間と、前記天井大梁よりも下方であってかつ前記下がり天井よりも上方に形成された下側天井裏空間とを有し、前記上側天井裏空間には前記第1ダクトが配設されており、前記下側天井裏空間には前記第2ダクトが配設されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、建物ユニットの天井部に設けられた下がり天井の上方に天井裏空間が形成されている。この天井裏空間には、天井大梁により囲まれて形成された上側天井裏空間と、天井大梁よりも下方であってかつ下がり天井よりも上方に形成された下側天井裏空間とが含まれている。そして、建物ユニットの天井裏では、上側天井裏空間に第1ダクトが配設され、下側天井裏空間に第2ダクトが配設されているため、それら複数の通気ダクトを建物ユニットの天井裏にて互いに干渉することなく上下に並べて配設することができる。これにより、建物ユニットの天井裏に複数のダクトを配設するにあたって、その配設態様に関する自由度の制約を少なくすることができる。
【0010】
第2の発明の建物におけるダクト設置構造は、第1の発明において、前記第1ダクトは、その断面の大きさが小さい小ダクトであり、前記第2ダクトは、その断面の大きさが大きい大ダクトであることを特徴とする。
【0011】
上側天井裏空間は、その上下寸法が天井大梁の高さ寸法により概ね規定されているのに対し、下側天井裏空間は、その上下寸法を下側天井面材の設置高さを下げる等することで大きくすることが可能である。そこで本発明では、この点に鑑みて、複数の通気ダクトのうち断面の大きさが小さい小ダクト(第1ダクト)を上側天井裏空間に配設し、断面の大きさが大きい大ダクト(第2ダクト)を下側天井裏空間に配設している。この場合、各通気ダクトの断面の大きさに応じた好適なダクト設置を実現することができる。
【0012】
第3の発明の建物におけるダクト設置構造は、第1又は第2の発明において、隣り合う前記建物ユニットの前記上側天井裏空間は、それら各建物ユニットの前記天井大梁に形成された梁貫通孔を介して互いに連通しており、前記第1ダクトは、前記梁貫通孔を挿通可能な大きさで形成されており、前記第2ダクトは、前記梁貫通孔を挿通不能な大きさで形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、複数の通気ダクトのうち天井大梁に形成された梁貫通孔を挿通可能な大きさで形成されたダクト(第1ダクト)を上側天井裏空間に配設し、梁貫通孔を挿通不能な大きさで形成されたダクト(第2ダクト)を下側天井裏空間に配設している。この場合、第1ダクトについては梁貫通孔を通じて隣り合う建物ユニットの上側天井裏空間に跨がって配設することができ、その配設態様に関する自由度を高めることができる。
【0014】
第4の発明の建物におけるダクト設置構造は、第3の発明において、前記隣り合う建物ユニットにはそれぞれ前記下側天井裏空間が形成されており、前記第1ダクトは、前記梁貫通孔を通じて前記隣り合う建物ユニットの前記上側天井裏空間に跨がって配設されており、前記第2ダクトは、前記隣り合う建物ユニットの前記下側天井裏空間に跨がって配設されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、隣り合う建物ユニットの上側天井裏空間に跨がって第1ダクトが配設され、隣り合う建物ユニットの下側天井裏空間に跨がって第2ダクトが配設されている。この場合、梁貫通孔を挿通可能な第1ダクトに加えて、梁貫通孔を挿通不能な第2ダクトについてもユニット間を跨いだ設置が可能となる。そのため、第1ダクト及び第2ダクトをそれぞれ上下に並べた状態でユニット間を跨いで設置するといったことが可能となる。
【0016】
第5の発明の建物におけるダクト設置構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記第1ダクトは、屋外の空気を屋内へ向けて又は屋内の空気を屋外へ向けて搬送する換気ダクトであり、前記第2ダクトは、空調装置により生成される空調用の空気を搬送する空調ダクトであることを特徴とする。
【0017】
一般に空調空気(暖気又は冷気)を搬送する空調ダクトは高い断熱性能が要求されるため、断熱材料等により比較的大きな厚みで形成される。それに対し、屋外の空気を屋内へ向けて搬送する又は屋内の空気を屋外へ向けて搬送する換気ダクトは、それほど断熱性能が求められないため、空調ダクトと比べて小さい厚みで形成される。そのため、空調ダクトと換気ダクトとで断面の大きさを比較すると、空調ダクトの方が断面が大きく、換気ダクトの方が断面が小さい場合が多い。
【0018】
そこで本発明では、この点に着目し、換気ダクトを上側天井裏空間に配設し、空調ダクトを下側天井裏空間に配設している。上述した通り、上側天井裏空間はその上下寸法が天井大梁により概ね規定されているのに対し、下側天井裏空間はその上下寸法を下側天井面材の設置位置を下げる等して大きくすることが可能であるため、この場合、空調ダクト及び換気ダクトの断面の大きさを考慮した好適なダクト設置を実現することができる。
【0019】
第6の発明の建物におけるダクト設置構造は、第5の発明において、前記換気ダクトには、当該換気ダクトを通じた空気の搬送を行う換気装置が接続されており、前記換気装置は、前記空調ダクトが設けられた前記下側天井裏空間又はそれとは別の下側天井裏空間に設置されており、前記換気ダクトは、前記換気装置が設置された前記下側天井裏空間へ向けてその上方の前記上側天井裏空間から下方へと延び、当該換気装置に接続されていることを特徴とする。
【0020】
通常、換気ダクトには換気装置が接続されており、その換気装置により換気ダクトを通じた空気の搬送が行われる。具体的には、換気ダクトが屋外の空気を屋内へと搬送する給気ダクトの場合、換気装置により屋外の空気が給気ダクトを通じて屋内へ取り込まれる。また、換気ダクトが屋内の空気を屋外へと搬送する排気ダクトの場合、換気装置により屋内の空気が排気ダクトを通じて屋外へ排出される。ここで、この種の換気装置は、一般に換気ダクトと比べると、上下寸法が大きい。そこで本発明では、この点に鑑みて、換気装置を下側天井裏空間に配設している。これにより、換気装置を天井裏に好適に設置することができる。
【0021】
第7の発明の建物におけるダクト設置構造は、第5又は第6の発明において、居室と、その居室に向けて延びる廊下とを有する建物に適用され、前記換気ダクトは、屋外の空気を前記居室へ搬送するものであり、前記空調ダクトは、前記空調用の空気を前記居室へ搬送するものであり、前記廊下の上方には、当該廊下に沿って延びる前記下側天井裏空間が形成されており、前記空調ダクトは、前記下側天井裏空間において前記廊下に沿って配設されており、前記換気ダクトは、前記上側天井裏空間において前記空調ダクトと上下に並んだ状態で当該空調ダクトに沿って配設されていることを特徴とする。
【0022】
換気ダクトによる屋外の空気(換気用の空気)の搬送先と、空調ダクトによる空調用の空気の搬送先とが同じ居室である場合、換気ダクトと空調ダクトとがそれぞれ同じ居室へ向けて配設されるため、それら各ダクトの配設経路が同じ経路を辿ることが考えられる。この場合、例えば各ダクトを横並びにして同じ経路に沿って配設することが考えられるが、各ダクトを横並びに配設しようとしても、いずれかのダクトが天井小梁に干渉する等して配設できない場合が想定される。
【0023】
この点本発明では、居室へ向けて延びる廊下の上方に下側天井裏空間が形成されており、その下側天井裏空間には空調ダクトが配設され、その上方の上側天井裏空間には換気ダクトが配設されている。そして、これら各ダクトは互いに上下に並んだ状態で廊下に沿って配設されているため、これら各ダクトを同じ居室へ向けて好適に配設することができる。よって、この場合、換気用の空気と空調用の空気とを同じ居室へ搬送するにあたって好ましい構成といえる。
【0024】
第8の発明の建物におけるダクト設置構造は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記第1ダクトは、長尺状のダクト部材により構成されており、前記第2ダクトは、短尺状のダクト部材が複数連結されることにより構成されていることを特徴とする。
【0025】
ところで、通気ダクトとして、短尺状のダクト部材が複数連結されることにより構成されているものがある。かかる通気ダクトは、施工時に、天井下から各ダクト部材を互いに連結することでダクトを構築することが考えられる。そこで本発明では、この点に鑑みて、かかる通気ダクト(第2ダクト)を下側天井裏空間に配設している。この場合、天井下から各ダクト部材を連結する作業をし易くすることができるため、ダクトの設置作業を好適に行うことが可能となる。
【0026】
第9の発明の建物におけるダクト設置構造は、第1乃至第8のいずれかの発明において、複数の前記建物ユニット上に跨がって形成された陸屋根を有する建物に適用され、前記陸屋根直下の前記建物ユニットに前記上側天井裏空間と前記下側天井裏空間とがそれぞれ形成されており、当該上側天井裏空間に前記第1ダクトが設けられ、当該下側天井裏空間に前記第2ダクトが設けられていることを特徴とする。
【0027】
屋根部が切り妻式や寄せ棟式の傾斜屋根からなる建物では、屋根部に屋根裏空間(小屋裏空間)が形成されているため、屋根部の直下に配設された建物ユニットの天井裏に複数の通気ダクトを設置するにあたり、それらのダクトを天井裏のみならず屋根裏を利用して設置することが可能となる。これに対して、屋根部が陸屋根からなる建物では、上記のような屋根裏を利用したダクトの設置を行うことができないため、複数の通気ダクトを上下に並んで配設することができない等、ダクトの配設態様に制約が生じ易い。その点本発明では、かかる構成に第1の発明を適用しているため、陸屋根直下の天井裏であっても複数の通気ダクトを互いに干渉することなく上下に並べて配設することができ、それらダクトの配設態様に関する自由度の制約を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、鉄骨ラーメン構造を有する二階建てのユニット式建物において本発明を具体化している。
図1はユニット式建物の概要を示す斜視図であり、
図2は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
【0030】
図1に示すように、住宅等の建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、その上方に設けられた屋根部13とを備える。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有する二階建てであり、複数の建物ユニット20が互いに連結されることにより構成されている。建物ユニット20は製造工場においてあらかじめ製造され、その後施工現場にトラック等により運搬されるものとなっている。また、屋根部13は、陸屋根(フラットルーフ)として構成されている。
【0031】
図2には建物ユニット20の斜視図を示す。
図2に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。天井大梁22(詳細には、そのウエブ)には、複数の箇所に梁貫通孔22aが設けられている。
【0032】
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27(詳細には、後述する上側天井面材27)が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
【0033】
続いて、建物10の二階部分15の構成について
図3に基づいて説明する。
図3は、二階部分15の構成を示す縦断面図である。
【0034】
図3に示すように、二階部分15には、屋内空間として、居室16と廊下17と機械室18と納戸19とが設けられている。廊下17は、居室16と機械室18とを繋いでいる。廊下17は間仕切壁31により居室16と仕切られている。間仕切壁31には、廊下17から居室16へ出入りするための出入口32が設けられ、その出入口32にはドア33が設けられている。ドア33は、その下端部がアンダーカットされており、ドア33と床面49との間には居室16と廊下17とを連通する通気部34が形成されている。
【0035】
機械室18は、廊下17を挟んで居室16とは反対側に設けられている。機械室18は、その三方が間仕切壁35により囲まれており、その一側面には廊下17に向けて開口する開口部36が形成されている。開口部36には、上下一対のドア37,38が設けられている。
【0036】
機械室18には、その床面49上に空調装置61が設置されている。また、機械室18の上部には、物品を収納可能な収納棚39が設置されている。開口部36において収納棚39よりも下側の部分は空調装置61をメンテナンスする際に用いられるメンテナンス開口部48となっている。上下一対のドア37,38のうち、上側のドア37は収納棚39を開閉するためのドアとなっており、下側のドア38はメンテナンス開口部48を開閉するためのドアとなっている。ドア38は、その下端部がアンダーカットされており、ドア38の下端部と床面49との間には廊下17と機械室18とを連通する通気部41が形成されている。
【0037】
納戸19は、機械室18を挟んで廊下17とは反対側に設けられている。納戸19は、間仕切壁35により機械室18と仕切られている。納戸19は、図示しない廊下と間仕切壁42により仕切られている。間仕切壁42には、廊下から納戸19へ出入りするための出入口43が形成されており、その出入口43にはドア44が設けられている。ドア44はその下端部がアンダーカットされており、ドア44と床面49との間には廊下と納戸19とを連通する通気部46が形成されている。
【0038】
納戸19は、外壁部51によって屋外と仕切られている。外壁部51には、納戸19と屋外とを連通する窓部52が形成されている。窓部52には、当該窓部52を開閉する窓戸53が設けられている。外壁部51は、横並びに設けられた複数の外壁パネル51aを備える。図示は省略するが、外壁パネル51aは、屋外に面して設けられた外壁面材と、その裏面側に固定された外壁フレームとを有しており、外壁フレームが天井大梁22及び床大梁23に屋外側から取り付けられることで外壁パネル51aが建物ユニット20に固定されている。
【0039】
上述した居室16、廊下17、機械室18及び納戸19は横並びに設けられた複数(具体的には3つ)の建物ユニット20により形成されている。以下、説明の便宜上、これら各建物ユニット20の符号にそれぞれA〜Cを付す。具体的には、
図3における左側の建物ユニット20から右側の建物ユニット20にかけて順にA,B,Cを付す。この場合、居室16、機械室18及び納戸19がそれぞれ一の建物ユニット20A,20B,20Cにより形成されており、廊下17が複数(具体的には2つ)の建物ユニット20A,20Bに跨がって形成されている。
【0040】
続いて、二階部分15の天井部の構成について説明する。
【0041】
二階部分15の天井部には、天井面材として、上側天井面材27と、上側天井面材27の下方に配置された下側天井面材56(下がり天井に相当)とが設けられている。上側天井面材27と下側天井面材56とはいずれも石膏ボードにより構成されている。上側天井面材27は、各屋内空間16〜19の天井部(換言すると各建物ユニット20A〜20Cの天井部)にそれぞれ設けられている。上側天井面材27は、天井大梁22及び天井小梁25(
図3では便宜上図示を省略している)の下面に設けられた野縁54により上方から支持されている。
【0042】
下側天井面材56は、廊下17の天井部と納戸19の天井部とにそれぞれ設けられている。廊下17の天井部に設けられた下側天井面材56は、廊下17を挟んで対向する各間仕切壁45の間に架け渡された状態で支持されている。具体的には、各間仕切壁45の間には、矩形枠状の天井フレーム47が複数架け渡されており(
図4参照)、これら天井フレーム47の下面側に下側天井面材56が取り付けられている。
【0043】
上記のように、各屋内空間16〜19に上側天井面材27及び下側天井面材56が配設されることで、居室16及び機械室18については上側天井面材27により天井面が形成され、廊下17及び納戸19については下側天井面材56により天井面が形成されている。したがって、廊下17及び納戸19は、天井高さが居室16及び機械室18よりも低くされた低天井空間となっており、それとは逆に居室16及び機械室18は、天井高さが廊下17及び納戸19よりも高くされた高天井空間となっている。
【0044】
天井面材27,56の上方には天井裏空間58,59が形成されている。天井裏空間58,59は天井面材27,56により屋内空間16〜19と上下に仕切られている。天井裏空間58,59には、上側天井面材27とその上方の屋根部13との間に形成された上側天井裏空間58と、上側天井面材27と下側天井面材56との間に形成された下側天井裏空間59とがある。これら各天井裏空間58,59は上側天井面材27により上下に仕切られている。
【0045】
上側天井裏空間58は、建物ユニット20の各天井大梁22により囲まれた内側空間として形成されている。上側天井裏空間58は、各建物ユニット20A〜20Cごとにそれぞれ形成されており、以下においては、各建物ユニット20A〜20Cの上側天井裏空間58の符号にそれぞれA〜Cを付す。上側天井裏空間58の上下寸法H1(高さ寸法)、すなわち上側天井面材27から屋根部13までの上下寸法H1は概ね天井大梁22の高さ寸法と同じとなっており、詳しくは天井大梁22の高さ寸法よりも若干大きくなっている。また、各上側天井裏空間58A〜58Cは天井大梁22の梁貫通孔22aを介して互いに連通している。なお、屋根部13(陸屋根)は各建物ユニット20A〜20Cの天井大梁22の上面に跨がって設けられている。
【0046】
下側天井裏空間59は、廊下17の上方と納戸19の上方とにそれぞれ設けられている。廊下17上方の下側天井裏空間59(以下、この符号にaを付す)は複数(具体的には2つ)の建物ユニット20A,20Bに跨がって形成されている。下側天井裏空間59aは天井大梁22よりも下方に形成されているため、天井大梁22によって分断されず、各建物ユニット20A,20Bに跨がって連続して形成されている。なお、以下の説明では、下側天井裏空間59aのうち建物ユニット20Aに形成された部分を下側天井裏空間59Aといい、建物ユニット20Bに形成された部分を下側天井裏空間59Bという。
【0047】
納戸19上方の下側天井裏空間59(以下、この符号にbを付す)は建物ユニット20Cに形成されている。下側天井裏空間59bは、間仕切壁35,42及び外壁部51により周囲を囲まれており、その上下寸法が廊下17上方の下側天井裏空間59aの上下寸法と同じとなっている。また、これら下側天井裏空間59a,59bの上下寸法H2(詳しくは各天井面材27,56間の上下寸法)は上側天井裏空間58の上下寸法H1よりも大きくなっている。
【0048】
二階部分15の床部には、床大梁23上及び床小梁26(
図3では図示を省略している)上にそれぞれ根太57が設けられており、それら根太57の上に床面材28が設けられている。床面材28は、例えばパーティクルボードよりなる。この床面材28により屋内空間16〜19の床面49が形成されている。
【0049】
本実施形態では、建物10の二階部分15に、屋内空間の空調を行う空調システム60と、屋内空間の換気を行う換気システム70とが設けられている。以下、これら空調システム60及び換気システム70の構成について説明する。
【0050】
まず空調システム60の構成について
図3に加え
図4を用いながら説明する。
図4は空調システム60の構成を示す斜視図である。なお、
図4では便宜上、紙面手前側の間仕切壁45の図示を省略している。
【0051】
図3及び
図4に示すように、空調システム60は、空調空気(暖気及び冷気)を生成する空調装置61と、空調装置61に接続された空調ダクト62と、空調ダクト62に接続された吹出チャンバ63とを備える。空調装置61は、機械室18に設置された室内機として構成されている。空調装置61は、廊下17から機械室18に流れ込む空気を還気として取り込み、その還気をもとに空調空気を生成する。そして、空調装置61は、その生成した空調空気を空調ダクト62へ供給する。
【0052】
空調ダクト62は、廊下17上方の下側天井裏空間59aに設置されている。空調ダクト62は、下側天井裏空間59aにおいて廊下17に沿って延びており、各下側天井裏空間59A,59Bに跨がって配設されている。空調ダクト62は、その一端側が下側天井裏空間59aから機械室18に突出しており、その突出部分が接続ダクト64を介して空調装置61に接続されている。また、空調ダクト62の他端側は居室16に向かって延びている。なお、空調ダクト62が「第2ダクト」及び「大ダクト」に相当する。
【0053】
空調ダクト62は、横並びに設けられた複数のダクト部66を有し、それら各ダクト部66が互いに連結されることにより構成されている。各ダクト部66は、断熱性能に優れたポリスチレンフォーム等の発泡スチロールにより四角筒状に形成されている。各ダクト部66(ひいては空調ダクト62)は、その高さ寸法(上下寸法)が上側天井裏空間58の上下寸法H1よりも大きく、かつ、下側天井裏空間59の上下寸法H2よりも小さい寸法に設定されている。なお、各ダクト部66がそれぞれ「短尺状のダクト部材」に相当する。
【0054】
なお、各ダクト部66は必ずしも発泡スチロールにより形成される必要はなく、発泡スチロール以外の樹脂材料により形成されてもよい。また、各ダクト部66は、金属材料等、樹脂材料以外の材料により形成されてもよい。
【0055】
図示は省略するが、隣り合うダクト部66同士は長尺状の連結部材により互いに連結されている。隣り合うダクト部66の側面にはそれぞれ互いに対向する突出部66aが設けられ、それら対向する突出部66aにはそれら各突出部66aを束ねるように連結部材が取り付けられている。これにより、隣り合うダクト部66同士が互いに連結されている。
【0056】
吹出チャンバ63は、空調ダクト62(詳しくはダクト部66)の側面部に接続されている。本実施形態では、吹出チャンバ63が空調ダクト62において複数箇所(具体的には3箇所)に接続されている。吹出チャンバ63は空調空気を吹き出す吹出口67を有している。空調ダクト62から吹出チャンバ63に空調空気が供給されると、その吹出口67より空調空気が屋内空間に向けて吹き出される。また、各吹出チャンバ63の吹出口67側には矩形枠状の吹出グリル69が設けられている。
【0057】
各吹出チャンバ63のうち一部の吹出チャンバ63は、空調ダクト62の先端部(接続ダクト64とは反対側の端部)における側面部に接続されている。この吹出チャンバ63は、間仕切壁31に形成された開口部68に配設されており、空調空気を居室16へ向けて吹き出すものとなっている。具体的には、この吹出チャンバ63は、上側天井面材27と下側天井面材56との間の段差部に配設されており、空調空気を居室16へ向けて横向きに吹き出すものとなっている。かかる吹出チャンバ63より居室16へ吹き出された空調空気は、ドア33下の通気部34等を通じて廊下17へ流れ込み、その後ドア38下の通気部41を通じて機械室18へと流れ込むようになっている。
【0058】
続いて、換気システム70の構成について
図3に基づいて説明する。
【0059】
図3に示すように、換気システム70は、換気装置71と、換気装置71に接続された複数のダクト72〜74とを備える。換気装置71は、納戸19の下側天井裏空間59bにおいて外壁部51寄りに設置されている。換気装置71は、直方体状に形成されており、その上下寸法(高さ寸法)が各ダクト72〜74よりも大きくなっている。より詳しくは、換気装置71の上下寸法は上側天井裏空間58の上下寸法H1よりも大きく、かつ、下側天井裏空間59の上下寸法H2よりも小さくなっている。
【0060】
換気装置71には、屋外に通じる取込ダクト72及び排出ダクト73が接続されている。取込ダクト72及び排出ダクト73はそれぞれ外壁部51に形成された挿通孔78に挿通されている。なお、
図3では、取込ダクト72及び排出ダクト73が1本のダクトで示されているが、これら各ダクト72,73は紙面奥行き方向に並んで配置されている。
【0061】
換気装置71には、給気ダクト74が接続されている。給気ダクト74は、樹脂材料又は金属材料により形成された円管状のフレキシブル管(長尺状のダクト部材に相当)からなる。給気ダクト74は、空調ダクト62とは異なり、それ程断熱性能が要求されないため、断熱材料(断熱素材)等で厚みを大きくする必要がない。そのため、給気ダクト74は、その厚みが空調ダクト62よりも小さくされており、さらにはその断面の大きさが空調ダクト62よりも小さくされている。より詳しくは、給気ダクト74は、その外径が天井大梁22の梁貫通孔22aの孔径よりも小さくされている。なお、給気ダクト74が「換気ダクト」、「第1ダクト」及び「小ダクト」に相当する。
【0062】
給気ダクト74は、建物ユニット20Cにおいて上側天井面材27に形成された挿通孔部79を通じて下側天井裏空間59bから上側天井裏空間58Cへと延びている。さらに、給気ダクト74は、その上側天井裏空間58Cから建物ユニット20Bの上側天井裏空間58Bを経由して建物ユニット20Aの上側天井裏空間58Aへと延びている。この場合、給気ダクト74は、天井大梁22に形成された梁貫通孔22aを通じてこれら各上側天井裏空間58A〜58Cに跨がって延びている。なお、給気ダクト74は、各上側天井裏空間58A〜58Cにおいて天井小梁25に沿って延びている。
【0063】
給気ダクト74は、廊下17の上方において各上側天井裏空間58A,58Bに跨がって延びている。この場合、給気ダクト74は、廊下17に沿って延びており、その一端部が居室16の天井面に設けられた給気グリル76に接続されている。したがって、廊下17の上方では、下側天井裏空間59aに配設された空調ダクト62と、上側天井裏空間58A,58Bに配設された給気ダクト74とがそれぞれ上下に並んだ状態で廊下17に沿って延びている。
【0064】
換気装置71は、その内部に取込ファン(図示略)を有している。この取込ファンが作動すると、取込ダクト72を介して屋外の空気(外気)が換気装置71に取り込まれるとともに、その取り込まれた空気が給気ダクト74を介して給気グリル76へと供給される。そして、その供給された空気が給気グリル76より居室16に向けて(下向きに)吹き出される。
【0065】
居室16へ吹き出された空気はドア33,44下に形成された通気部34,46を介して納戸19へと流れ込む。納戸19の下側天井面材56には吸込グリル81が設けられており、この吸込グリル81は換気装置71と接続されている。換気装置71は、その内部に排気ファン(図示略)を有している。排気ファンが作動すると、吸込グリル81を介して納戸19の空気(内気)が換気装置71に吸い込まれ、その吸い込まれた空気が換気装置71より排出ダクト73を介して屋外に排出される。このようにして、居室16(ひいては屋内空間)の換気が行われるようになっている。
【0066】
次に、空調ダクト62及び給気ダクト74を二階部分15の天井裏に設置する際の作業手順について説明する。
【0067】
まず製造工場において各建物ユニット20を製造し、それら製造した建物ユニット20をトラック等により施工現場へ搬送する。施工現場ではまず、製造工場から搬送されてきた各建物ユニット20を所定の設置位置に設置する。
【0068】
各建物ユニット20を設置後、空調ダクト62の設置作業を行う。この設置作業に際しては、まず廊下17の天井部に天井フレーム47を組み付ける作業を行う。但し、天井フレーム47を製造工場において予め建物ユニット20に組み付けるようにしてもよい。
【0069】
天井フレーム47の組み付け後、空調ダクト62を天井フレーム47上に設置する作業を行う。ここでは、かかる設置作業を天井下(すなわち廊下17側)から行うことを想定している。この設置作業では、空調ダクト62を構成する各ダクト部66を順次天井フレーム47上に載置するとともに、ダクト部66同士を連結部材により連結していく。なお、ダクト部66を天井フレーム47上に載置する際には、ダクト部66を天井フレーム47の枠内を通してフレーム47上まで持ち上げて載置する。この際、ダクト部66は発泡スチロールにより形成されて比較的軽量となっているため、かかるダクト部66の持ち上げを容易に行うことが可能となっている。空調ダクト62を設置後、天井フレーム47に下側天井面材56を組み付ける。
【0070】
次に、給気ダクト74の設置作業を行う。給気ダクト74の設置作業は建物ユニット20上にて行う。この作業では、給気ダクト74を天井大梁22の梁貫通孔22aに挿通して各建物ユニット20の上側天井裏空間58A〜58Cに跨がって配設する。その後、給気ダクト74の両端部をそれぞれ換気装置71及び給気グリル76に接続する。但し、給気ダクト74のいずれかの端部を換気装置71又は給気グリル76に先付けしておいてから給気ダクト74を上側天井裏空間58A〜58Cに配設してもよい。
【0071】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0072】
建物ユニット20の天井部において、天井梁22,25により支持された上側天井面材27の上方に天井大梁22により囲まれた上側天井裏空間58を形成し、上側天井面材27とそれよりも下方に配置された下側天井面材56との間に下側天井裏空間59を形成した。そして、これら各天井裏空間58,59のうち、上側天井裏空間58に給気ダクト74を配設し、下側天井裏空間59に空調ダクト62を配設したため、建物ユニット20の天井裏において給気ダクト74と空調ダクト62とを互いに干渉することなく上下に並べて配設することが可能となる。これにより、建物ユニット20の天井裏に複数のダクト62,74を配設するにあたって、その配設態様に関する自由度の制約を少なくすることができる。
【0073】
一般に空調空気(暖気又は冷気)を搬送する空調ダクト62は高い断熱性能が要求されるため、断熱材料等により比較的大きな厚みで形成されるのに対し、屋外の空気を屋内空間(居室16)へ向けて搬送する給気ダクト74は、それほど断熱性能が求められないため、空調ダクト62と比べて小さい厚みで形成される。そのため、空調ダクト62と給気ダクト74とで断面の大きさを比較すると、空調ダクト62の方が断面が大きく、給気ダクト74の方が断面が小さい。より詳しくは、空調ダクト62の方が断面高さが大きく、給気ダクト74の方が断面高さが小さい。そこで上記の実施形態では、この点に鑑みて、給気ダクト74を上側天井裏空間58(58A,58B)に配設し、空調ダクト62を下側天井裏空間59a(59A,59B)に配設している。上側天井裏空間58はその上下寸法H1が天井大梁22により概ね規定されているのに対し、下側天井裏空間59はその上下寸法H2を下側天井面材56の設置位置を下げる等して大きくすることが可能であるため、この場合、空調ダクト62及び給気ダクト74の断面の大きさを考慮した好適なダクト設置を実現することができる。
【0074】
給気ダクト74及び空調ダクト62のうち、天井大梁22の梁貫通孔22aを挿通可能な大きさで形成された給気ダクト74を上側天井裏空間58に配設し、梁貫通孔22aを挿通不能な大きさで形成された空調ダクト62を下側天井裏空間59に配設した。この場合、給気ダクト74については梁貫通孔22aを通じて隣り合う建物ユニット20A,20Bの上側天井裏空間58A,58Bに跨がって配設することができ、その配設態様に関する自由度を高めることができる。
【0075】
隣り合う建物ユニット20A,20Bにそれぞれ上側天井裏空間58A,58Bに加え下側天井裏空間59A,59Bを形成した。そして、それら各建物ユニット20A,20Bの上側天井裏空間58A,58Bに跨がって給気ダクト74を配設し、各建物ユニット20A,20Bの下側天井裏空間59A,59Bに跨がって空調ダクト62を配設した。この場合、梁貫通孔22aを挿通可能な給気ダクト74に加えて、梁貫通孔22aを挿通不能な空調ダクト62についても建物ユニット20間を跨いだ設置が可能となる。そのため、給気ダクト74及び空調ダクト62を上下に並べた状態でユニット間を跨いで設置することが可能となる。
【0076】
給気ダクト74に、当該給気ダクト74を通じて屋外の空気を屋内空間(居室16)へ取り込む(搬送する)換気装置71を接続し、その換気装置71を下側天井裏空間59bに配設した。換気装置71は、その上下寸法が給気ダクト74よりも大きいため、この場合換気装置71を好適に設置することができる。
【0077】
居室16へ向けて延びる廊下17の上方に下側天井裏空間59aを形成し、その下側天井裏空間59aに空調ダクト62を配設し、その上方の上側天井裏空間58A,58Bに給気ダクト74を配設した。そして、これら各ダクト62,74を上下に並べた状態で廊下17に沿って延びるように配設した。この場合、これら各ダクト62,74を同じ居室16へ向けて好適に配設することができるため、換気用の空気(屋外の空気)と空調用の空気とを同じ居室16へ搬送するにあたって好ましい構成といえる。
【0078】
給気ダクト74及び空調ダクト62のうち、長尺状のフレキシブル管からなる給気ダクト74を上側天井裏空間58に配設し、短尺状のダクト部66が複数連結されることにより構成される空調ダクト62を下側天井裏空間59に配設した。この場合、天井下から各ダクト部66を連結して空調ダクト62を構築するに際し、その作業をし易くすることができる。そのため、ダクトの設置作業を好適に行うことが可能となる。
【0079】
屋根部が切り妻式や寄せ棟式の傾斜屋根からなる建物では、屋根部に屋根裏空間(小屋裏空間)が形成されているため、屋根部の直下に配設された建物ユニット20の天井裏に複数の通気ダクトを設置するに際し、それらのダクトを天井裏のみならず屋根裏を利用して設置することが可能となる。それに対して、屋根部13が陸屋根からなる上記実施形態の建物10では、そのような屋根裏を利用したダクトの設置を行うことができないため、給気ダクト74と空調ダクト62とを上下に並んで配設できない等、ダクトの配設態様に制約が生じ易い。その点、かかる建物10に上述のダクト設置構造、すなわち上側天井裏空間58に給気ダクト74を設置し、下側天井裏空間59に空調ダクト62を設置するダクト設置構造を適用したため、陸屋根直下の天井裏であっても複数の通気ダクト62,74を互いに干渉することなく上下に並べて配設することが可能となり、それらダクト62,74の配設態様に関する自由度の制約を少なくすることができる。
【0080】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0081】
(1)上記実施形態では、上側天井裏空間58に給気ダクト74を設置し、下側天井裏空間59に空調ダクト62を設置したが、これを逆にしてもよい。すなわち、上側天井裏空間58に空調ダクト62を設置し、下側天井裏空間59に給気ダクト74を設置してもよい。但し、この場合、空調ダクト62の上下寸法(断面高さ)が上側天井裏空間58の上下寸法H1よりも小さくされている必要がある。
【0082】
また、必ずしも上側天井裏空間58及び下側天井裏空間59のうち一方に空調ダクト62を配設し、他方に給気ダクト74を配設する必要はない。例えば空調システムに複数の空調ダクトが設けられている場合において、それら複数の空調ダクトをそれぞれ上側天井裏空間58及び下側天井裏空間59に別々に設置するようにしてもよい。また、換気システムに複数の給気ダクトが設けられている場合において、それら複数の給気ダクトをそれぞれ上側天井裏空間58及び下側天井裏空間59に別々に設置するようにしてもよい。
【0083】
(2)上記実施形態では、屋外の空気を屋内空間へ向けて搬送する給気ダクト74(換気ダクトに相当)を上側天井裏空間58に配設する場合について説明したが、換気システムによっては、屋内空間の空気を屋外へ向けて搬送する排気ダクトが長尺状に形成されている場合もある。そこで、そのような場合に、その排気ダクト(換気ダクトに相当)を上側天井裏空間58に配設するようにしてもよい。かかる排気ダクトも断熱性能が求められないため、空調ダクト62と比べて小さい厚みで形成される。そのため、その断面の大きさも空調ダクト62より小さい大きさとされる。したがって、この場合にも、排気ダクトを上側天井裏空間58に配設し、空調ダクト62を下側天井裏空間59に配設することで、各ダクトの断面の大きさに応じた好適なダクト設置を実現することができる。
【0084】
(3)上記(2)の構成において、排気ダクト(の上流側)に換気装置を接続し、その換気装置により屋内空間の空気を排気ダクトを通じて屋外へ排出することが考えられる。このような構成にあっても、換気装置を下側天井裏空間59に配設するようにすれば、換気装置を天井裏に好適に設置することができる。
【0085】
(4)上記実施形態では、空調ダクト62が設置された下側天井裏空間59aとは異なる下側天井裏空間59bに換気装置71を設置したが、下側天井裏空間59aに換気装置71を設置するスペースが存在すれば、そのスペースに換気装置71を設置するようにしてもよい。
【0086】
(5)上記実施形態では、空調ダクト62を短尺状のダクト部66(短尺状のダクト部材)を複数連結することにより構成したが、空調ダクトを長尺管(長尺状のダクト部材)により構成してもよい。また、給気ダクト74を短尺状のダクト部材を複数連結することにより構成してもよい。
【0087】
(6)上記実施形態では、給気ダクト74及び空調ダクト62の双方について隣り合う建物ユニット20A,20Bの天井裏空間58A,58B(59A,59B)に跨がって配設したが、これを変更して、給気ダクト74及び空調ダクト62のうち少なくとも一方のダクト62,74については一の建物ユニット20の天井裏空間58(59)にのみ配設するようにしてもよい。その場合でも、その一の建物ユニット20においては上側天井裏空間58に給気ダクト74が配設され、下側天井裏空間59に空調ダクト62が配設されるため、それら各ダクト62,74を上下に並んで配設することが可能となる。
【0088】
(7)上記実施形態では、上側天井裏空間58と下側天井裏空間59とを上下に仕切る上側天井面材27を設けたが、かかる上側天井面材27を設けないようにしてもよい。この場合にも、下側天井面材56(下がり天井に相当)上方の天井裏空間のうち、天井大梁22により囲まれた内側空間が上側天井裏空間58となり、天井大梁22よりも下方であってかつ下側天井面材56よりも上方の空間が下側天井裏空間59となる。
【0089】
(8)上記実施形態では、二階部分15の建物ユニット20の天井裏に本発明のダクト設置構造を適用したが、一階部分14の建物ユニット20の天井裏に本発明のダクト設置構造を適用してもよい。また、上記実施形態では、陸屋根(屋根部13)を有する建物10に本発明のダクト設置構造を適用したが、切り妻式や寄せ棟式の屋根(傾斜屋根)を有する建物に本発明のダクト設置構造を適用してもよい。