特許第6368172号(P6368172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368172
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ゲート装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/04 20060101AFI20180723BHJP
   E04H 6/00 20060101ALI20180723BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20180723BHJP
   B61L 29/04 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   E01F13/04 A
   E04H6/00 B
   E04H6/42 D
   B61L29/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-134410(P2014-134410)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-11547(P2016-11547A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 典雅
(72)【発明者】
【氏名】金森 崇
(72)【発明者】
【氏名】六本木 恵一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大輔
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−061980(JP,A)
【文献】 特開2012−100505(JP,A)
【文献】 特開2007−313956(JP,A)
【文献】 特開平11−291911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/04
B61L 29/04
E04H 6/00
E04H 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーの上昇下降により通行を制限するゲート装置であって、
前記バーが自重により下降するときに前記バーを回生制動する発電機により発電された電力を蓄える蓄電部を備え、
前記蓄電部に蓄えられた前記電力の量が上限値に達した場合には、前記発電機により発電された電力を抵抗器に供給する
ート装置。
【請求項2】
前記蓄電部に蓄えられた電力の量に応じて前記蓄電部から前記発電機を制御する制御部へ電力が供給されるように電気的接続を切り替える切替部を備える
請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記バーを駆動して前記上昇時の非遮断位置から前記非遮断位置と前記下降時の遮断位置との間の落下開始位置まで移動させる駆動部を備え、
前記発電機は、前記バーが自重により前記落下開始位置から前記落下開始位置と前記遮断位置との間の減速開始位置に移動する間はフリーに回転し、前記バーが前記減速開始位置から前記遮断位置に移動する間は発電しながら前記バーを制動するモーターである
請求項1又は2に記載のゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場の出入り口に設置されるゲート装置が知られている。特許文献1には、駐車場ゲートの閉鎖用部材の下降時に発生する回生エネルギーの一部をモーターの駆動制御部の制御電流として使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−106155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたゲート装置は、鎖等の閉鎖用部材が上下する方式を採用しているため、発電効率はあまり高くないと考えられる。この場合、発電により得られる電力量が少ないため、消費電力はあまり低減されない。
本発明は、ゲート装置の消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、バーの上昇下降により通行を制限するゲート装置であって、前記バーが自重により下降するときに前記バーを回生制動する発電機により発電された電力を蓄える蓄電部を備え、前記蓄電部に蓄えられた前記電力の量が上限値に達した場合には、前記発電機により発電された電力を抵抗器に供給するゲート装置を提供する。
【0006】
前記ゲート装置は、前記蓄電部に蓄えられた電力の量に応じて前記蓄電部から前記発電機を制御する制御部へ電力が供給されるように電気的接続を切り替える切替部を備えてもよい。
【0007】
前記ゲート装置は、前記バーを駆動して前記上昇時の非遮断位置から前記非遮断位置と前記下降時の遮断位置との間の落下開始位置まで移動させる駆動部を備え、前記発電機は、前記バーが自重により前記落下開始位置から前記落下開始位置と前記遮断位置との間の減速開始位置に移動する間はフリーに回転し、前記バーが前記減速開始位置から前記遮断位置に移動する間は発電しながら前記バーを制動するモーターであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ゲート装置の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】駐車場システムの一例を示す図。
図2】ゲート装置の外観を示す図。
図3】ゲート装置の回路構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.構成
図1は、駐車場システム1の一例を示す図である。駐車場システム1は、ゲート装置2と、入場機3と、車両検知センサ4及び5とを備える。ゲート装置2は、駐車場の入口に設置され、車両の通行を制限する。車両検知センサ4は、例えばループコイル式のセンサであり、駐車場の入口に接近した車両を検知する。車両検知センサ4により車両が検知されると、入場機3は、駐車券を発行する。駐車券が発行されると、入場機3は、ゲート装置2を制御して、車両の通行を許可する。車両検知センサ5は、例えばループコイル式のセンサであり、ゲート装置2を通過した車両を検知する。車両検知センサ5により車両が検知されると、入場機3は、ゲート装置2を制御して、次の車両の通行を禁止する。
【0011】
図2は、ゲート装置2の外観を示す図である。筐体21の一側面には、保持体22が設けられる。保持体22には、バー23が保持される。バー23は、筐体21の内部に設けられたモーター30の駆動により、軸24を中心に回転する。これにより、バー23は、車両の進行を妨げる遮断位置dと車両の進行を妨げない非遮断位置aとの間を移動する。
【0012】
より詳細には、モーター30の駆動力は、図示せぬリンク機構を介してバー23に伝達される。バー23が遮断位置dに位置するとき、リンク機構は一方の死点に位置する状態となる。これにより、バー23が遮断位置dで固定される。また、バー23が非遮断位置aに位置するとき、リンク機構は他方の死点近傍に位置する状態となる。
【0013】
位置センサ25〜28は、バー23の位置を検出する。位置センサ25〜28は、例えば磁気センサである。保持体22の後端には、磁性体の金属部材29が設けられる。バー23が遮断位置dに位置するとき、金属部材29は位置センサ28と対向する位置にある。バー23が非遮断位置aに位置するとき、金属部材29は位置センサ25と対向する位置にある。バー23が落下開始位置bに位置するとき、金属部材29は位置センサ26と対向する位置にある。バー23が減速開始位置cに位置するとき、金属部材29は位置センサ27と対向する位置にある。位置センサ25〜28は、それぞれ、金属部材29が近づくと、電圧が印加される。これにより、位置センサ25〜28は、それぞれ、バー23が非遮断位置a、落下開始位置b、減速開始位置c、遮断位置dに位置することを検出する。
【0014】
図3は、ゲート装置2の回路構成を示す図である。モーター30は、例えばAC(Alternating-Current)モーターであり、バー23の上昇時には駆動部として機能し、バー23を駆動し回転させる。また、モーター30は、バー23の下降時は発電機として機能し、回生制動を行う。具体的には、バー23が自重により下降する間、モーター30は、バー23の運動エネルギーにより回転し、電磁誘導により発電する。また、モーター30は、発電により生じる抵抗により、バー23を制動する。
【0015】
切替器31は、例えば電子式のスイッチであり、モーター30とAC電源とが接続された状態、モーター30とバッテリー32とが接続された状態、モーター30がAC電源にもバッテリー32にも接続されていない状態のいずれかの状態になるように、回路を切り替える。この「回路を切り替える」とは、電気的接続を切り替えることをいう。
【0016】
バッテリー32(蓄電部の一例)は、モーター30により発電された電力を蓄える。残量検出回路33は、バッテリー32の残量を検出する。例えば、残量検出回路33は、バッテリー32の電圧を測定し、測定した電圧によりバッテリー32の残量を検出する。
【0017】
制御回路34(制御部の一例)は、モーター30を制御する。また、制御回路34は、切替器31、36及び37を制御する。スイッチング電源35は、AC電源から供給された電力を直流電力に変換して、制御回路34に供給する。切替器36(切替部の一例)は、例えば電子式のスイッチであり、制御回路34とスイッチング電源35とが接続された状態、又は、制御回路34とバッテリー32とが接続された状態のいずれかの状態になるように、回路を切り替える。
【0018】
切替器37(切替部の一例)は、例えば電子式のスイッチであり、モーター30とバッテリー32とが接続された状態、又は、モーター30と抵抗器39(負荷の一例)とが接続された状態のいずれかの状態になるように、回路を切り替える。
【0019】
2.動作
車両の通行を許可する場合には、上位機器から制御回路34にゲート上昇信号が入力される。この上位機器は、図1に示す例では、入場機3である。ゲート上昇信号が入力されると、制御回路34は、モーター30とAC電源とを接続するよう指示する第1切替信号を切替器31に供給する。切替器31は、第1切替信号が供給されると、モーター30とAC電源が接続されるように、回路を切り替える。これにより、AC電源からモーター30に電力が供給される。
【0020】
また、制御回路34は、バー23が上昇する方向に回転駆動するよう制御する第1制御信号をモーター30に供給する。モーター30は、第1制御信号が供給されると、AC電源から供給された電力を用いてバー23を駆動し、軸24を中心に図2中の矢印D1方向に回転させる。これにより、バー23は、遮断位置dから非遮断位置aへと移動する。バー23が非遮断位置aへと移動すると、位置センサ25は、バー23が非遮断位置aに位置することを検出し、第1検出信号を制御回路34に供給する。制御回路34は、第1検出信号が供給されると、モーター30に停止信号を供給する。モーター30は、停止信号が供給されると、バー23の駆動を停止する。
【0021】
車両の通行を禁止する場合には、上位機器から制御回路34にゲート下降信号が入力される。ゲート下降信号が入力されると、制御回路34は、バー23が下降する方向に回転駆動するよう制御する第2制御信号をモーター30に供給する。モーター30は、第2制御信号が供給されると、AC電源から供給された電力を用いてバー23を駆動し、軸24を中心に図2中の矢印D2方向に回転させる。これにより、バー23は、非遮断位置aから落下開始位置bへと移動する。バー23が落下開始位置bへと移動すると、位置センサ26は、バー23が落下開始位置bに位置することを検出し、第2検出信号を制御回路34に供給する。制御回路34は、第2検出信号が供給されると、モーター30に停止信号を供給する。モーター30は、停止信号が供給されると、バー23の駆動を停止する。
【0022】
また、制御回路34は、モーター30がAC電源にもバッテリー32にも接続されない状態になるよう指示する第2切替信号を切替器31に供給する。切替器31は、第2切替信号が供給されると、モーター30がAC電源にもバッテリー32にも接続されない状態になるように、回路を切り替える。これにより、モーター30がフリーに回転する状態となり、バー23の自重によりバー23が落下開始位置bから減速開始位置cへと移動する。バー23が減速開始位置cへと移動すると、位置センサ27は、バー23が減速開始位置cに位置することを検出し、第3検出信号を制御回路34に供給する。制御回路34は、第3検出信号が供給されると、モーター30とバッテリー32とを接続するよう指示する第3切替信号を切替器31に供給する。
【0023】
切替器31は、第3切替信号が供給されると、モーター30とバッテリー32とが接続されるように、回路を切り替える。バー23が減速開始位置cから遮断位置dへと移動する間、モーター30は、バー23の運動エネルギーを用いて発電し、バー23を制動する。モーター30により発電された電力は、整流器38で整流された後、バッテリー32に蓄えられる。また、バー23は、回生制動により減速され、遮断位置dで停止する。バー23が遮断位置dへと移動すると、位置センサ28は、バー23が遮断位置dに位置することを検出し、第4検出信号を制御回路34に供給する。
【0024】
なお、バー23が遮断位置dに到達する前に停止してしまった場合には、モーター30を駆動し、又はモーター30がフリーに回転する状態にすることにより、バー23を遮断位置dへと移動させてもよい。具体的には、バー23の下降が開始された時点から一定時間経過しても、位置センサ28から第4検出信号が供給されない場合には、バー23が遮断位置dに到達する前に停止してしまったことになる。この場合、制御回路34は、上述したバー23が非遮断位置aから落下開始位置bに移動するときの動作と同様にモーター30を駆動し、又は上述したバー23が落下開始位置bから減速開始位置cに移動するときの動作と同様にモーター30がフリーに回転する状態になるように制御する。これにより、バー23が遮断位置dへと移動する。
【0025】
バッテリー32に電力が蓄えられ、バッテリー32の容量が所定の値以上になると、残量検出回路33は、充電検出信号を制御回路34に供給する。制御回路34は、充電検出信号が供給されると、バッテリー32と制御回路34とを接続するよう指示する第4切替信号を切替器36に供給する。切替器36は、第4切替信号が供給されると、バッテリー32と制御回路34とが接続されるように、回路を切り替える。これにより、バッテリー32から制御回路34に電力が供給される。制御回路34は、バッテリー32から供給された電力を用いて、モーター30を制御する。
【0026】
バッテリー32に蓄えられた電力の量が上限値に達し、バッテリー32が満充電の状態になると、残量検出回路33は、満充電検出信号を制御回路34に供給する。制御回路34は、満充電検出信号が供給されると、モーター30と抵抗器39とを接続するよう指示する第5切替信号を切替器37に供給する。切替器37は、第5切替信号が供給されると、モーター30と抵抗器39とが接続されるように、回路を切り替える。バッテリー32が満充電の状態である場合には、バー23の下降時においてモーター30で発電した電力がバッテリー32に蓄えられないため、バー23が減速開始位置cから遮断位置dに移動する間、バー23に制動力が付与されない。しかし、モーター30で発電した電力を抵抗器39に供給することにより、バッテリー32が満充電の状態であっても、バー23が減速開始位置cから遮断位置dに移動する間、バー23に制動力を付与することができる。
【0027】
本実施形態によれば、バー23の下降時に発電された電力が制御回路34で用いられるため、ゲート装置2の消費電力を低減することができる。
【0028】
3.変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0029】
(1)ゲート装置2のゲート方式は、バー23が回転する方式に限定されず、他のゲート方式であってもよい。
【0030】
(2)ゲート装置2には、バー23の上昇時にバー23を駆動するモーターと、バー23の下降時に発電するモーターとが別々に設けられてもよい。これらのモーターは、クラッチで繋ぎかえて用いられる。この場合、バー23の駆動用には、駆動効率の良いモーター30を採用し、発電用には、発電効率の良いモーター30を採用することができる。
【0031】
(3)バッテリー32に蓄えらえた電力は、バー23の上昇時にモーター30に供給されてもよい。例えば、停電等の緊急時に、バッテリー32とモーター30とが接続されるように回路が切り替えることにより、バッテリー32に蓄えらえた電力をモーター30に供給する。モーター30がACモーターである場合には、バッテリー32に蓄えられた電力は、インバーターにより交流電力に変換された後、モーター30に供給される。モーター30は、バッテリー32から供給された電力を用いて、バー23を駆動し、遮断位置dから非遮断位置aへと移動させる。
【0032】
(4)バッテリー32に代えて、キャパシタが用いられてもよい。位置センサ25〜28は、磁気センサに限定されない。位置センサ25〜28は、例えば光センサであってもよい。
【0033】
(5)図1に示す例では、ゲート装置2は駐車場の入口に設置されていたが、ゲート装置2は、精算機とともに駐車場の出口に設置されてもよい。精算機は、駐車料金の精算処理を行う。精算処理が完了すると、精算機は、ゲート装置2を制御して、車両の通行を許可する。また、車両がゲート装置2を通過すると、精算機は、ゲート装置2を制御して、次の車両の通行を禁止する。この場合、精算機が上位機器となる。また、ゲート装置2は、駐車場の出入り口に限らず、高速道路の料金所や建物の出入り口に設置されてもよい。
【0034】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0035】
2:ゲート装置、23:バー、25〜28:位置センサ、30:モーター、31、36及び37:切替器、32:バッテリー、33:残量検出回路、34:制御回路、39:抵抗器
図1
図2
図3