【文献】
齋藤 央,外2名,マルチタッチを用いた片手文字入力手法FlickSの提案と評価,ヒューマンインタフェースシンポジウム2011 論文集,日本,特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会,2011年 9月13日,pp.425-428
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態に係る文字入力装置10を内蔵した情報端末機器としてタブレットPCを想定するが、本発明は、スマートフォンやタブレット端末等、タッチ式の入力面を備えた情報端末機器に搭載することができる。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る文字入力装置10を内蔵したタブレットPC100の主要な構成を示すブロック図である。同図に示したように、タブレットPC100は、入力部12、制御部14、記憶部16及び表示部18を含んで構成されている。そして、本実施形態に係る文字入力装置10は、入力部12、制御部14、記憶部16を含んで構成され、文字群の中から任意の文字を選択して入力するための装置である。
【0027】
ここで、文字群は、複数の代表文字で構成される代表文字グループと、各代表文字に従属する従属文字グループとを含んで構成される。この文字群の種類や構成は特に限定されないが、例えば
図2(a)に示した文字群30は、代表文字グループ32が50音表の「あ段」に属する文字「あ・か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ」で構成され、「あ」を代表文字とする従属文字グループ34が「あ行」に属する「あ・い・う・え・お」で構成されている。以下同様に、代表文字「か」の従属文字グループ34が「か行」の「か・き・く・け・こ」で構成され、代表文字「さ」の従属文字グループ34が「さ行」の「さ・し・す・せ・そ」で構成されている。
【0028】
入力部12は、ユーザの指先やスタイラスペンのペン先等での接触を検出して機能するタッチ式の入力面であり、例えば、タッチパネルやタッチパッド等が挙げられる。本実施形態の入力部12に係る入力面への第1段階の接触及び第2段階の接触があると、後述する制御部14に係る一次接触検出部20a及び二次接触検出部20bにその情報が送られ、一次接触検出部20a及び二次接触検出部20bにおいて第1段階の接触及び第2段階の接触が検出されることとなる。
【0029】
制御部14は、入力部12に係る入力面への第1段階の接触の有無及び第1段階の接触に係る一次接触点の座標を検出する一次接触検出部20aと、一次接触点が入力面から一旦離れた後、続く第2段階の接触の有無及び第2段階の接触に係る二次接触点の座標を検出する二次接触検出部20bからの情報に基づいて入力面への接触操作の有無を判断し、文字群から入力したい文字を選択・決定して出力部18へ出力する。本実施形態に係る制御部14は、上記の一次接触検出部20a及び二次接触検出部20bと、一次操作検出部22a、二次操作検出部22b、代表文字選択部24a及び従属文字選択部24bとを含んで構成されている。
【0030】
一次操作検出部22aは、第1段階の接触に係る一次接触点の数、及び一次接触点が入力面に接触状態のままスライド移動したときの一次移動方向、更には一次移動方向の変化を検出する。一次移動方向及びその変化を検出するためのアルゴリズムについては特に限定されず、公知のアルゴリズムが適用できる。例えば、入力面における一次接触点の位置情報の変化を検出する。そして、所定の2点を結ぶ直線のXY座標上におけるX成分とY成分とを比較することによって一次移動方向及びその変化を検出する。ここで、一次接触点のスライド移動を直線移動とし、一次移動方向を入力面における上下方向とした場合、まず一次接触点を入力面において下方向に移動させたとき、一次操作検出部22aは一次接触点の最初の移動方向を検出し、その後、上方向に移動方向を変化させたとき、つまり一次接触点の移動方向を下方向から上方向へ折り返したとき、一次操作検出部22aは一次接触点の移動方向が変化したことを検出する。
【0031】
代表文字選択部24aは、一次操作検出部22aで検出された一次接触点の数、及び一次移動方向並びにその変化に応じて、
図2(a)に示す代表文字グループ32内で代表文字の送り動作を行う。例えば、入力面における一次接触点の数が5つ(以下、一次接触点の数を[1−〇]で表す。)まで検出でき、また一次接触点のスライド移動を直線移動とし、一次移動方向を上下方向とした場合、まず一次接触検出部20aが第1段階の接触を検出することによって、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態となる。そして、一次操作検出部22aが、一次接触点の数が[1−1]から[1−2]に変化したことを検出することによって、代表文字選択部24aでは代表文字グループ32内に係る代表文字サブグループ32a内において、代表文字「あ」から「か」へ送り動作が行われる。以降、一次接触点の数が[1−3]→[1−4]→[1−5]と変化するのに応じて、代表文字「か」から「さ」→「た」→「な」と代表文字サブグループ32a内で代表文字の送り動作が行われる。
【0032】
また、一次操作検出部22aが、一次接触点が入力面において下方向に移動したことを検出することによって、代表文字選択部24aでは代表文字グループ32内に係る代表文字サブグループ32aから代表文字サブグループ32bに移行する。つまり、一次接触検出部20aが第1段階の接触を検出することによって、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態となった後、一次操作検出部22aが、一次接触点が入力面において下方向に移動したことを検出することによって、代表文字「あ」から「は」へ送り動作が行われる。そして、一次操作検出部22aが、一次接触点の数が[1−1]から[1−2]に変化したことを検出することによって、代表文字サブグループ32b内において、代表文字「は」から「ま」へ送り動作が行われる。以降、一次接触点の数が[1−3]→[1−4]→[1−5]と変化するのに応じて、代表文字「ま」から「や」→「ら」→「わ」と代表文字サブグループ32b内で代表文字の送り動作が行われる。
【0033】
なお、代表文字の送り動作は上記の態様に限定されない。例えば、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態から、一次接触点の数の変化に応じて「あ」→「か」→「さ」と代表文字サブグループ32a内で代表文字の送り動作を行った後、一次接触点(この場合であれば[1−3])を下方向に移動することによって、代表文字サブグループ32a内の「さ」から代表文字サブグループ32b内の「や」に文字送りを行うことも可能である。
【0034】
また、一次接触点の一次移動方向が上方向へ変化したときは、代表文字グループ32内に係る代表文字サブグループ32bから代表文字サブグループ32aに再び移行し、例えば、代表文字「ら」が選択されている状態であれば、代表文字「ら」から「た」に文字送りがなされ、一次接触点の数に応じて代表文字グループ32a内において代表文字の送り動作が行われることとなる。
【0035】
二次操作検出部22bは、少なくとも二次接触検出部20bが検出する第2段階の接触に係る二次接触点の数を検出する。
【0036】
従属文字選択部24bは、二次操作検出部22bで検出された二次接触点の数の変化に応じて、代表文字選択部24aで選択された代表文字に従属する従属文字グループ34内で文字の送り動作を行う。
【0037】
例えば、入力面における二次接触点の数が5つ(以下、二次接触点の数を[2−〇]で表す。)まで検出できる場合、代表文字選択部24aで選択された代表文字が「さ」であれば、二次接触検出部20bが第2段階の接触を検出することによって、代表文字「さ」に従属する従属文字グループ34内の「さ」が入力状態になると共に、「さ行」の従属文字グループ34内での文字選択状態となる。そして、二次操作検出部22bが、二次接触点の数が[2−1]から[2−2]に変化したことを検出することによって、従属文字選択部24bでは「さ行」の従属文字グループ34内において従属文字「さ」から従属文字「し」へ送り動作が行われる。以降、二次接触点の数が[2−3]→[2−4]→[2−5]と変化するのに応じて、従属文字「し」から「す」→「せ」→「そ」と従属文字グループ34内で従属文字の送り動作が行われる。
【0038】
入力文字決定部26は、従属文字選択部24bによって選択された文字を入力文字として決定する。入力文字を決定する方法は特に限定されないが、例えば、第2段階の接触が解除されたとき、つまり入力面から二次接触点が離れたときに、従属文字選択部24bによって選択された文字を入力文字として決定する。
【0039】
記憶部16は、代表文字選択部24a及び従属文字選択部24bが使用する代表文字グループ32及び各代表文字に従属する従属文字グループ34を含んで構成される文字群30(
図2(a)参照)を記憶した記憶装置であって、例えば、フラッシュメモリやHDD等が挙げられる。
【0040】
表示部18は、制御部14に係る代表文字選択部24a及び従属文字選択部24bで選択中の文字、並びに入力文字決定部26で決定された文字を表示する装置であり、代表文字選択部24a、従属文字選択部24b及び入力文字決定部26からの出力情報に応じて文字を表示することができれば、装置の種類は特に限定されるものではない。なお、入力部12と表示部18とは分離して設けることもできるが、本実施形態に係るタブレットPC100では、入力部12と表示部18とを一体的に設け、表示部18の画面上に入力部12に係る入力面を備える構成としている。
【0041】
次に、本実施形態に係る文字入力装置10の動作について、
図3(a)、
図4及び
図5に示したフローチャートに基づいて詳述する。本実施形態の文字入力装置10は、
図3(a)に示すように、基本的にはまず代表文字選択処理50が動作し、次に従属文字選択処理60が動作することによって入力したい文字が決定され、決定された文字が入力(文字入力70)されることによって終了する。
【0042】
まず代表文字選択処理50は、
図4に示すように、ステップS51において、入力部12に係る入力面への第1段階の接触の有無を一次接触検出部20aが検出し、第1段階の接触が検出された場合、ステップS52に進んで、制御部14は一次接触検出部20aが検出した一次接触点の座標を記憶部16に格納すると共に、文字群30に係る代表文字グループ32から最初の代表文字「あ」が表示部18に表示され、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態となる。
【0043】
次に、ステップS53において、入力部12に係る入力面への一次接触点の数の変化の有無を検出する。例えば、ステップS53において一次接触点の数が[1−1]から[1−2]に変化したことを一次操作検出部22aが検出することによって、ステップS54において代表文字グループ32に係る代表文字サブグループ32a内での文字送りが行われて最初の代表文字「あ」から「か」へ文字の送り動作が行われる。
【0044】
ステップS54において、代表文字グループ32内で一次接触点の数に応じて代表文字の送り動作が行われると、ステップS53に戻って再び一次接触点の数の変化が検出される。そして、ステップS53において一次接触点の数の変化が検出されなければ、ステップS55において、記憶部16に時系列で格納された一次接触点の各座標を繋ぎ合わせた軌跡を算出し、一次操作検出部22aにおいて一次接触点の一次移動方向及び一次移動方向の変化の有無を検出する。
【0045】
例えば、一次接触点のスライド移動を直線移動とし、一次移動方向を上下方向とした場合、ステップS55において一次接触点が入力面において下方向に移動したことを一次操作検出部22aが検出することによって、ステップS56において代表文字グループ32内での文字送りが行われる。具体的には、一次接触点の数が[1−2]の場合、代表文字「か」が表示部18に表示され、代表文字サブグループ32a内での代表文字選択状態となっている。ステップS55において一次接触点が入力面において下方向に移動したことを検出することによって、代表文字グループ32内に係る代表文字サブグループ32aから代表文字サブグループ32bに移行し、代表文字「か」から「ま」へ送り動作が行われる。
【0046】
ステップS56において代表文字の送り動作が行われると、ステップS57において入力面への一次接触点の接触の有無が検出され、一次接触点の接触が検出されれば再びステップS52に戻って一次接触点の座標が記憶部16に格納され、続くステップS53において一次接触点の数の変化が検出される。一次接触点の数が[1−2]から[1−3]に変化したことが検出されれば、代表文字サブグループ32b内において、代表文字「ま」から「や」へ送り動作が行われる。
【0047】
ステップS53のおける一次接触点の数の変化の検出、及びステップS54における一次接触点の移動及びその変化の検出に応じて代表文字の送り動作が行われた後、ステップS57において入力面への一次接触点の接触の有無が検出される。そして、ステップS57において一次接触点の接触が検出されなければ、ステップS58において代表文字が決定され、代表文字選択処理50が終了する。
【0048】
代表文字選択処理50において代表文字が決定されると、次に従属文字選択処理60において代表文字選択処理50において決定された代表文字に従属する従属文字グループ34内から入力したい文字が選択される。
【0049】
従属文字選択処理60が動作するためには、入力部12に係る入力面への第1段階の接触が解除された後、即ち一次接触点が入力面から一旦離れた後、第2段階の接触を二次接触検出部20bが検出しなければならない。
図5に示すように、ステップS61において、入力部12に係る入力面への第2段階の接触の有無を二次接触検出部20bが検出し、第2段階の接触が検出された場合、ステップS62に進んで、制御部14は二次接触検出部20bが検出した二次接触点の座標を記憶部16に格納すると共に、代表文字選択処理50で選択された代表文字、例えば「た」が表示部18に表示された状態で、代表文字「た」の従属文字グループ34に含まれる「た・ち・つ・て・と」が選択可能な状態となる。
【0050】
次に、ステップS63において、入力部12に係る入力面への二次接触点の数の変化の有無を検出する。例えば、ステップS63において二次接触点の数が[2−1]から[2−2]に変化したことを二次操作検出部22bが検出することによって、ステップS64において従属文字グループ34内での文字送りが行われる。つまり、代表文字選択処理50で選択された代表文字が「た」の場合、二次操作検出部22bが二次接触点の数の変化を検出することによって、従属文字グループ34内で従属文字「た」から「ち」へ文字の送り動作が行われ、表示部18に「ち」が表示される。なお、ステップS63において二次接触点の数の変化が検出されない場合はステップS65に進む。
【0051】
ステップS64において、従属文字グループ34内で二次接触点の数に応じて従属文字の送り動作が行われると、ステップS63に戻って再び二次接触点の数の変化が検出される。そして、ステップS63において一次接触点の数の変化が検出されなければ、ステップS65において、入力面への二次接触点の接触の有無が検出される。ステップS65において二次接触点の接触が検出されなければ、ステップS66において従属文字が検定され、従属文字選択処理60が終了する。なお、ステップS65において二次接触点の接触が検出されれば、再びステップS62に戻って二次接触点の座標が記憶部16に格納された後、続くステップS63において二次接触点の数の変化の検出がなされる。
【0052】
従属文字選択処理60の終了に伴い、ステップS67において決定された従属文字が文字入力70によって入力され、本実施形態に係る文字入力装置10の動作が終了する。
【0053】
次に、
図6に基づいて、本実施形態の文字入力装置10に係る文字入力方法を説明する。例えば、ユーザが「す」を入力したい場合、まず
図6(a)に示すように、本実施形態の文字入力装置10を内蔵したタブレットPC100の入力部12に係る入力面において第1段階の接触を検出すると、文字入力動作が開始され、代表文字の選択状態になる。このとき、第1段階の接触に係る一次接触点40の数は[1−1](一次接触点40−1のみ)であるので、表示部18には、
図2(a)に示す文字群30に係る代表文字グループ32における代表文字サブグループ32a内の「あ」が表示され、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態となる。
【0054】
次に、
図6(b)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点の数が[1−1]から[1−2](一次接触点40−1,40−2)に変化することによって、代表文字グループ32に係る代表文字サブグループ32a内で、代表文字「あ」から「か」へ文字の送り動作が行われる。そして、
図6(c)に示すように、一次接触点の数が[1−2]から[1−3](一次接触点40−1,40−2,40−3)に変化することによって、代表文字「か」から「さ」へ文字の送り動作が行われ、
図6(d)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点40が全て入力面から離れたとき、代表文字「さ」が選択された状態で代表文字選択処理が終了する。なお、一次接触点40の数が[1−3]から[1−2]に変化した場合は、代表文字「さ」から代表文字「か」へ文字の送り動作が行われる。
【0055】
続いて、
図6(e)に示すように、入力部12に係る入力面へ第2段階の接触に係る二次接触点42を接触させる。このとき、第2段階の接触に係る二次接触点の数は[2−1](二次接触点42−1のみ)であるので、表示部18には「さ」が表示された状態で、代表文字「さ」に従属する「さ・し・す・せ・そ」で構成される「さ行」の従属文字グループ34内の文字が選択可能な状態となる。
【0056】
そして、
図6(f)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42の数が[2−1]から[2−2](二次接触点42−1,42−2)に変化することによって、従属文字グループ34内で従属文字「さ」から従属文字「し」への文字送りが行われて表示部18に「し」が表示され、更に
図6(g)に示すように、二次接触点42の数が[2−3](二次接触点42−1,42−2,42−3)に変化することによって、従属文字「し」から「す」へ文字送りが行われる。最終的に、
図6(h)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42が全て入力面から離れたとき、最後に選択・表示されていた従属文字「す」が入力文字として確定し、入力されることとなる。なお、一次接触点40の場合と同様、二次接触点42の数が[2−3]から[2−2]に変化した場合は、従属文字「す」から従属文字「し」へ文字の送り動作が行われる。
【0057】
また、
図7に基づいて、本実施形態の文字入力装置10に係る文字入力方法の他の実施形態を説明する。例えば、ユーザが「り」を入力したい場合、まず
図7(a)に示すように、本実施形態の文字入力装置10を内蔵したタブレットPC100の入力部12に係る入力面において第1段階の接触を検出すると、文字入力動作が開始され、代表文字の選択状態になる。このとき、第1段階の接触に係る一次接触点40の数は[1−1](一次接触点40−1のみ)であるので、表示部18には、
図2(a)に示す文字群30に係る代表文字グループ32における代表文字サブグループ32a内の「あ」が表示され、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態となる。
【0058】
次に、
図7(b)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点40の数が[1−1]から[1−2](一次接触点40−1,40−2)に変化することによって、代表文字グループ32に係る代表文字サブグループ32a内で、代表文字「あ」から「か」へ文字の送り動作が行われる。そして、
図7(c)及び
図7(d)に示すように、一次接触点40の数が[1−2]から[1−3]→[1−4](一次接触点40−1,40−2,40−3,40−4)へと変化することによって、代表文字「か」から「さ」→「た」へ文字の送り動作が行われる。
【0059】
更に、第1段階の接触に係る一次接触点40のスライド移動を直線移動とし、一次移動方向を上下方向とした場合、同図(e)に示すように、一次接触点40(40−1〜40−4)を入力面において下方向に移動させることによって、代表文字グループ32内に係る代表文字サブグループ32aから代表文字サブグループ32bに移行し、代表文字「た」から「ら」へ送り動作が行われる。そして、
図7(f)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点40が全て入力面から離れたとき、代表文字「ら」が選択された状態で代表文字選択処理が終了する。
【0060】
続いて、
図7(g)に示すように、入力部12に係る入力面へ第2段階の接触に係る二次接触点42を接触させる。このとき、第2段階の接触に係る二次接触点42の数は[2−1](二次接触点42−1のみ)であるので、表示部18には「ら」が表示された状態で、代表文字「ら」に従属する「ら・り・る・れ・ろ」で構成される「ら行」の従属文字グループ34内の文字が選択可能な状態となる。
【0061】
そして、
図7(h)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42の数が[2−1]から[2−2](二次接触点42−1,42−2)に変化することによって、従属文字グループ34内で従属文字「ら」から従属文字「り」への文字送りが行われて表示部18に「り」が表示される。最終的に、
図7(i)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42が全て入力面から離れたとき、最後に選択・表示されていた従属文字「り」が入力文字として確定し、入力されることとなる。
【0062】
更に、
図8に基づいて、本実施形態の文字入力装置10に係る文字入力方法のまた別の実施形態を説明する。例えば、
図7に示した実施形態と同様に、ユーザが「り」を入力したい場合、まず
図8(a)に示すように、入力部12に係る入力面において第1段階の接触を検出すると、文字入力動作が開始され、代表文字の選択状態になる。このとき、第1段階の接触に係る一次接触点40の数は[1−1](一次接触点40−1のみ)であるので、表示部18には、
図2(a)に示す文字群30に係る代表文字グループ32における代表文字サブグループ32a内の「あ」が表示され、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態となる。
【0063】
ここで、第1段階の接触に係る一次接触点40のスライド移動を直線移動とし、一次移動方向を上下方向とした場合、
図8(b)に示すように、一次接触点40−1を入力面において下方向に移動させることによって、代表文字グループ32内に係る代表文字サブグループ32aから代表文字サブグループ32bに移行し、代表文字「あ」から「は」へ送り動作が行われる。
【0064】
次に、
図8(c)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点40の数が[1−1]から[1−2](一次接触点40−1,40−2)に変化することによって、代表文字グループ32に係る代表文字サブグループ32b内で、代表文字「は」から「ま」へ文字の送り動作が行われる。そして、
図8(d)及び
図8(e)に示すように、一次接触点40の数が[1−2]から[1−3]→[1−4](一次接触点40−1,40−2,40−3,40−4)へと変化することによって、代表文字「ま」から「や」→「ら」へ文字の送り動作が行われる。そして、
図8(f)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点40が全て入力面から離れたとき、代表文字「ら」が選択された状態で代表文字選択処理が終了する。
【0065】
続いて、
図8(g)に示すように、入力部12に係る入力面へ第2段階の接触に係る二次接触点42を接触させる。このとき、第2段階の接触に係る二次接触点42の数は[2−1](二次接触点42−1のみ)であるので、表示部18には「ら」が表示された状態で、代表文字「ら」に従属する「ら・り・る・れ・ろ」で構成される「ら行」の従属文字グループ34内の文字が選択可能な状態となる。
【0066】
そして、
図8(h)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42の数が[2−1]から[2−2](二次接触点42−1,42−2)に変化することによって、従属文字グループ34内で従属文字「ら」から従属文字「り」への文字送りが行われて表示部18に「り」が表示される。最終的に、
図8(i)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42が全て入力面から離れたとき、最後に選択・表示されていた従属文字「り」が入力文字として確定し、入力されることとなる。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る文字入力装置10及び本実施形態に係る文字入力方法によると、タッチ式の入力面を備えた情報端末機器等において、視覚情報に一切、頼ることなく、単純な操作によって文字群の中から任意の文字を素早く選択して入力することができる。従って、視覚障害者であっても、タッチパネル、タブレット等の情報端末において、手書き入力以外の方法によって簡単、且つ正確に文字入力を行うことができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態に係る文字入力装置10及び文字入力方法について詳述したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。上記の文字入力装置10に係る一次操作検出部22aは入力面における一次接触点の数を5つまで検出でき、当該一次接触点の数、及び一次接触点の一次移動方向並びにその変化に応じて、
図2(a)に示す代表文字グループ32内で代表文字の送り動作を行っている。これは、ユーザが片手で文字入力を行うことを想定しているが、ユーザが両手で文字入力を行うことが可能である場合、入力面における一次接触点の数を10個まで検出できる態様とすることによって、
図2(a)に示す代表文字グループ32内で代表文字の選択を行う際、一次接触点の数の検出のみで代表文字グループ32内の「あ」〜「わ」を選択することが可能となる。
【0069】
同様に、上記の文字入力装置10に係る二次操作検出部22bが、入力面における二次接触点の数を10個まで検出できる態様とすることによって、
図2(a)に示す従属文字グループ34を構成する文字数を増やすことができる。即ち、
図2(a)に示す従属文字グループ34において、例えば、代表文字「か」の従属文字グループ34を「か・き・く・け・こ・が・ぎ・ぐ・げ・ご」で構成したり、また、濁音を持たない代表文字「な」「ら」などの従属文字グループ34は、「な行」「ら行」の文字以外に数字、記号などを含む構成にしたりすることが可能である。
【0070】
次に、本発明の文字入力装置の他の実施形態について詳述する。
図9は、本発明の他の実施形態に係る文字入力装置10aを内蔵したタブレットPC100の主要な構成を示すブロック図である。同図に示したように、本実施形態に係る文字入力装置10aの構成は、上記の実施形態に係る文字入力装置10の構成とほぼ同様であるが、本実施形態に係る文字入力装置10aは、制御部14に付属文字選択部24cを更に含んで構成されている。
【0071】
まず、本実施形態の文字入力装置10aに係る文字群30aは、
図2(b)に示すように、まず文字群30と同様、代表文字グループ32が50音表のあ段に属する文字「あ・か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ」で構成され、「あ」を代表文字とする従属文字グループ34が「あ行」に属する「あ・い・う・え・お」で構成されている。以下同様に、代表文字「か」の従属文字グループ34が「か行」の「か・き・く・け・こ」で構成され、代表文字「さ」の従属文字グループ34が「さ行」の「さ・し・す・せ・そ」で構成されている。そして、文字群30aでは更に、従属文字グループ34を構成する各従属文字に付属する付属文字で構成される付属文字グループ38を含んで構成されている。例えば、「は」を代表文字とする従属文字グループ34が「は行」に属する「は・ひ・ふ・へ・ほ」で構成され、従属文字「は」の付属文字が「ば・ぱ」、従属文字「ひ」の付属文字が「び・ぴ」のように構成されて、これら「ば・び・ぶ・べ・ぼ」や「ぱ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ」によって付属文字グループ38が構成されている。
【0072】
本実施形態の文字入力装置10aに係る二次操作検出部22bは、上記実施形態の文字入力装置10に係る二次操作検出部22bと同様、二次接触検出部20bが検出する第2段階の接触に係る二次接触点の数を検出すると共に、二次接触点が入力面に接触状態のままスライド移動したときの二次移動方向及び二次移動方向の変化を検出する。
【0073】
二次接触点の二次移動方向及びその変化の検出については、一次接触点の一次移動方向及びその変化の検出と同様である。具体的には、入力面における二次接触点の位置情報の変化を検出する。そして、所定の2点を結ぶ直線のXY座標上におけるX成分とY成分とを比較することによって二次移動方向及びその変化を検出する。例えば、二次接触点のスライド移動を直線移動とし、二次移動方向を入力面における上下方向とした場合、まず二次接触点を入力面において下方向に移動させたとき、二次操作検出部22bは二次接触点の最初の移動方向を検出し、上方向に移動方向を変化させたとき、つまり二次接触点の移動方向を下方向から上方向へ折り返したときに二次操作検出部22bは二次接触点の移動方向が変化したことを検出する。
【0074】
付属文字選択部24cは、二次操作検出部22bで検出された二次接触点の二次移動方向及びその変化に応じて、従属文字選択部24bで選択された従属文字と、この従属文字に付属する付属文字との間で送り動作を行う。例えば、入力面における二次接触点のスライド移動を直線移動とし、二次移動方向を上下方向とした場合、代表文字選択部24aで選択された代表文字が「は」、従属文字選択部24bで選択された従属文字が「ふ」であって、二次接触検出部20bが第2段階の接触を検出している状態であれば、「ふ」の付属文字選択状態となっている。そして、二次接触点が入力面において下方向に移動することによって二次操作検出部22bが二次接触点の二次移動方向を検出し、従属文字「ふ」から、「ふ」の付属文字「ぶ」へ送り動作が行われる。二次接触点の移動方向が上方向へ変化したとき、付属文字「ぶ」から付属文字「ぷ」へ送り動作が行われ、以降、二次移動方向の変化に応じて「ぷ」→「ふ」→「ぶ」→「ぷ」・・・と従属文字を含む付属文字の送り動作が行われる。
【0075】
なお、例えば、二次接触点のスライド移動を直線移動とし、二次移動方向を入力面における上下方向とした場合、代表文字「は」の従属文字グループ34に属する「ふ」の付属文字「ぶ」が選択されている状態で、二次接触点の数を変化させることによって、「は行」の従属文字グループ34に付属する「ば・び・ぶ・べ・ぼ」で構成される付属文字グループ38内で文字送りをすることも可能である。つまり、付属文字「ぶ」が選択されている状態(二次接触点の数が[2−3])から、二次接触点の数を[2−4]へ変化させることによって、二次操作検出部22bが二次接触点の数の変化を検出し、付属文字グループ38内において付属文字「ぶ」から付属文字「べ」へ送り動作が行われる。更に、二次接触点の数を[2−5]に変化させることによって、付属文字「べ」から付属文字「ぼ」へ送り動作が行われる。
【0076】
本実施形態に係る文字入力装置10aの動作について、
図3(b)、
図10に示したフローチャートに基づいて説明する。本実施形態の文字入力装置10aは、
図3(b)に示すように、基本的にはまず代表文字選択処理50が動作し、次に従属文字選択処理60が動作した後、付属文字選択処理90が動作することによって入力したい文字が決定され、決定された文字が入力(文字入力70)されることによって終了する。
【0077】
付属文字選択処理90が動作するためには、入力部12に係る入力面への二次接触点の接触状態が維持されたままでなければならない。
図10に示すように、入力部12に係る入力面への第2段階の接触の有無を二次接触検出部20bが検出し、第2段階の接触が検出されている場合、ステップS92に進んで、制御部14は二次接触検出部20bが検出した二次接触点の座標を記憶部16に格納すると共に、従属文字選択処理60で選択された従属文字、例えば「ふ」が表示部18に表示された状態で、従属文字「ふ」及び従属文字「ふ」の付属文字「ぶ・ぷ」が選択可能な状態となる。
【0078】
次に、ステップS93において、記憶部16に時系列で格納された二次接触点の各座標を繋ぎ合わせた軌跡を算出し、二次操作検出部22bにおいて二次接触点の二次移動方向及び二次移動方向の変化の有無を検出する。例えば、二次接触点の二次移動方向を上下方向とした場合、ステップS93において、二次接触点が入力面において下方向に移動したことを二次操作検出部22bが検出することによって、ステップS94において、従属文字選択処理60で選択された従属文字と、この従属文字の付属文字との間で文字送りが行われる。つまり、従属文字選択処理60で選択された従属文字が「ふ」の場合、二次操作検出部22bが二次接触点の下方向の移動を検出することによって、従属文字「ふ」から付属文字「ぶ」への文字送りが行われて表示部18に「ぶ」が表示される。なお、ステップS93において二次接触点の二次移動方向及びその変化が検出されない場合はステップS95に進む。
【0079】
ステップS94において、従属文字とこの付属文字との間で文字が1文字送られると、ステップS95に進んで第2段階の接触の有無、即ち二次接触点の有無が検出される。ステップS95において第2段階の接触が検出されれば、再びステップS92において二次接触点の座標が記憶部16に格納されることとなる。以降、二次移動方向が下方向から上方向へ変化したとき、付属文字「ぶ」から「ぷ」へ文字の送り動作が行われ、二次移動方向の変化に応じて「ぷ」→「ふ」→「ぶ」→「ぷ」・・・と従属文字と付属文字との間で文字の送り動作が行われる。
【0080】
一方、ステップS95において第2段階の接触が検出されなかった場合は、ステップS96に進む。そして、ステップS96において付属文字が決定され、付属文字選択処理90が終了する。
【0081】
付属文字選択処理90の終了に伴い、ステップS96において決定された付属文字が文字入力70によって入力され、本実施形態に係る文字入力装置10aの動作が終了する。
【0082】
次に、
図11に基づいて、本実施形態の文字入力装置10aに係る文字入力方法を説明する。例えば、ユーザが「げ」を入力したい場合、まず
図11(a)に示すように、本実施形態の文字入力装置10aを内蔵したタブレットPC100の入力部12に係る入力面において第1段階の接触を検出すると、文字入力動作が開始され、代表文字の選択状態となる。このとき、第1段階の接触に係る一次接触点40の数は[1−1](一次接触点40−1のみ)であるので、表示部18には、
図2(b)に示す文字群30aに係る代表文字グループ32における代表文字サブグループ32a内の「あ」が表示され、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態となる。
【0083】
次に、
図11(b)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点40の数が[1−1]から[1−2](一次接触点40−1,40−2)に変化することによって、代表文字グループ32に係る代表文字サブグループ32a内で、代表文字「あ」から「か」へ文字の送り動作が行われる。そして、
図11(c)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点40が全て入力面から離れたとき、代表文字「か」が選択された状態で代表文字選択処理が終了する。
【0084】
続いて、
図11(d)に示すように、入力部12に係る入力面へ第2段階の接触に係る二次接触点42を接触させる。このとき、第2段階の接触に係る二次接触点42の数は[2−1](二次接触点42−1のみ)であるので、表示部18には「か」が表示された状態で、代表文字「か」に従属する「か・き・く・け・こ」で構成される「か行」の従属文字グループ34内の文字が選択可能な状態となる。
【0085】
そして、
図11(e)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42の数が[2−1]から[2−2](二次接触点42−1,42−2)に変化することによって、従属文字グループ34内で従属文字「か」から従属文字「き」への文字送りが行われて表示部18に「き」が表示され、更に
図11(f)(g)に示すように、二次接触点42の数が[2−3]→[2−4](二次接触点42−1,42−2,42−3,42−4)へと変化することによって、従属文字「き」から「く」→「け」へと文字送りが行われる。
【0086】
ここで、第2段階の接触に係る二次接触点42のスライド移動を直線移動とし、二次移動方向を上下方向とした場合、
図11(h)に示すように、二次接触点42(二次接触点42−1〜42−4)を入力面において下方向に移動させることによって、従属文字「け」から、従属文字「け」の付属文字「げ」へ送り動作が行われる。最終的に、
図11(i)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42が全て入力面から離れたとき、最後に選択・表示されていた付属文字「げ」が入力文字として確定し、入力されることとなる。
【0087】
また、
図12に基づいて、本実施形態の文字入力装置10aに係る文字入力方法の他の実施形態を説明する。例えば、ユーザが「ぶ」または「ぷ」を入力したい場合、まず
図12(a)に示すように、入力部12に係る入力面において第1段階の接触を検出すると、文字入力動作が開始され、代表文字の選択状態になる。このとき、第1段階の接触に係る一次接触点40の数は[1−1](一次接触点40−1のみ)であるので、表示部18には、
図2(b)に示す文字群30aに係る代表文字グループ32における代表文字サブグループ32a内の「あ」が表示され、代表文字「あ」から始まる代表文字選択状態となる。
【0088】
ここで、第1段階の接触に係る一次接触点40のスライド移動を直線移動とし、一次移動方向を上下方向とした場合、
図12(b)に示すように、一次接触点40−1を入力面において下方向に移動させることによって、代表文字グループ32内に係る代表文字サブグループ32aから代表文字サブグループ32bに移行し、代表文字「あ」から「は」へ送り動作が行われる。そして、
図12(c)に示すように、第1段階の接触に係る一次接触点40が入力面から離れたとき、代表文字「は」が選択された状態で代表文字選択処理が終了する。
【0089】
続いて、
図12(d)に示すように、入力部12に係る入力面へ第2段階の接触に係る二次接触点42を接触させる。このとき、第2段階の接触に係る二次接触点42の数は[2−1](二次接触点42−1のみ)であるので、表示部18には「は」が表示された状態で、代表文字「は」に従属する「は・ひ・ふ・へ・ほ」で構成される「は行」の従属文字グループ34内の文字が選択可能な状態となる。
【0090】
そして、
図12(e)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42の数が[2−1]から[2−2](二次接触点42−1,42−2)に変化することによって、従属文字グループ34内で従属文字「は」から従属文字「ひ」への文字送りが行われて表示部18に「ひ」が表示され、更に
図12(f)に示すように、二次接触点42の数が[2−3](二次接触点42−1,42−2,42−3)に変化することによって、従属文字「ひ」から「ふ」へ文字送りが行われる。
【0091】
更に、第2段階の接触に係る二次接触点42のスライド移動を直線移動とし、二次移動方向を上下方向とした場合、
図12(g)に示すように、二次接触点42(二次接触点42−1〜42−3)を入力面において下方向に移動させることによって、従属文字「ふ」から、従属文字「ふ」の付属文字「ぶ」へ送り動作が行われる。最終的に、
図12(h)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42が全て入力面から離れたとき、最後に選択・表示されていた付属文字「ぶ」が入力文字として確定し、入力されることとなる。
【0092】
なお、第2段階の接触に係る二次接触点42のスライド移動を直線移動とし、二次移動方向を上下方向とした場合、
図12(g)の状態から二次接触点42(二次接触点42−1〜42−3)を入力面において上方向に移動させる、或いは
図12(f)の状態から二次接触点42を入力面において上方向に移動させることによって、
図12(i)に示すように、付属文字「ぶ」から付属文字「ぷ」、或いは従属文字「ふ」から付属文字「ぷ」へ送り動作をおこなうことができ、最終的に
図12(j)に示すように、第2段階の接触に係る二次接触点42が全て入力面から離れたとき、最後に選択・表示されていた付属文字「ぷ」が入力文字として確定し、入力されることとなる。
【0093】
以上、本発明の種々の実施形態について詳述したが、本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。例えば、一次接触点及び二次接触点のスライド移動は、上記の各実施形態に係る直線移動に限定されず、回転移動であってもよく、直線移動と回転移動を適宜、組み合わせて文字入力を実施することも可能である。
【0094】
また、各図に示した文字入力方法においては、第1段階の接触に係る一次接触点の数、及び第2段階の接触に係る二次接触点の数を順に増加させることによって文字送りを行う態様を例示したが、複数の一次接触点及び二次接触点を入力面に同時に接触させることによって代表文字や従属文字を選択することも可能である。即ち、
図6に示した文字入力方法では、代表文字「さ」を選択するまでに
図6(a)から
図6(d)までの手順が例示されているが、例えば、ユーザの指3本を同時に入力面に接触させることによって、文字入力動作が開始され、代表文字の選択状態になると共に、代表文字「さ」が選択された状態となる。そして、この3本の指を入力面から離すことによって、代表文字「さ」が選択完了となり、入力面への1回のタッチで代表文字を選択することが可能となる。
【0095】
同様にして、再びユーザの指3本を同時に入力面に接触させることによって、当該接触動作は第2段階の接触として認識されるため、代表文字「さ」に従属する従属文字グループ34の内、従属文字「す」が直接選択されることとなり、この3本の指を入力面から離すことによって、従属文字「す」が入力文字として確定することとなる。
【0096】
つまり、本発明の文字入力装置や文字入力方法等によると、ツータッチ、若しくはツータッチとスライド移動との組合せによって、視覚情報に頼ることなく、単純な操作によって文字群の中から任意の文字を素早く選択して入力することができる。
【0097】
また、本発明に係る一次移動方向及び二次移動方向も上下方向に限定されず、左右方向であってもよく、更には、上下方向と左右方向を組み合わせて、それぞれの移動方向とその変化を一次操作検出部及び二次操作検出部によって検出することも可能である。例えば、上下方向の移動及び移動方向の変化によって、上記の各実施形態に示したように文字の送り動作を行い、左右方向の移動及び移動方向の変化によって、文字種の変更や変換機能、入力文字の削除、文字選択作業の解除など、種々の機能を実行させることができる。
【0098】
更に、上記の種々の実施形態では、制御部14に係る代表文字選択部24a、従属文字選択部24b、付属文字選択部24cで選択中の文字、並びに入力文字決定部26で決定された文字を表示部18に表示させたが、表示部18への表示と共に、或いは表示部18へ表示させずに、スピーカーやイヤホン等の音声出力部(不図示)から代表文字選択部24a等で選択中の文字や入力文字決定部26で決定された文字を音声出力させることも可能である。或いは、本発明の文字入力装置と有線または無線接続された点字ディスプレイ等の触覚デバイスから出力させることも可能である。音声出力部や触覚デバイスから出力させることによって、視覚障害者にとって文字入力が更に簡便となる。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。